JP2010036520A - シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シームレスベルトの製造方法は、固形分濃度が22重量%以上のポリアミド酸溶液を用いることにより、膜厚差が小さく、厚みムラの少ない、画像形成性に優れたシームレスベルトを提供する。
【解決手段】ポリアミド酸溶液を用いたシームレスベルトの製造する方法において、固形分濃度が22重量%以上であるポリアミド酸溶液を調製する工程と、前記ポリアミド酸溶液を円筒状成形型に塗布する工程と、前記ポリアミド酸溶液をイミド転化する工程と、を含むことを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シームレスベルトの製造方法に関する。かかる製造方法により得られるシームレスベルトは、例えば、電子写真方式の複写機、レーザープリンタやファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着ベルト、転写ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト、感光体ベルト等に使用することができる。
従来より、ポリイミド樹脂材料は、機械的強度や耐熱性等に優れており、寿命向上の目的のため、宇宙航空分野から電気電子材料まで、幅広い分野において実用化されている。その中でも、ポリイミド樹脂製シームレス状管状体(ベルト)は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置の定着ベルト、転写ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト、感光体ベルト等の機能性ベルト及びこれらの基材として使用されている。
上記電子画像形成装置等においては、画像形成の高速化や省エネルギー化などの目的のため、エンドレスベルトを用いた定着方式が採用されている。
特許文献1には、エンドレスベルトとして、耐熱性や機械的強度を有するポリイミドを内層に設け、外層にフッ素樹脂を用いた複合管状体が開示されている。
また、特許文献2には、中間転写ベルトとして、半導電性ポリイミドベルトが開示されている。
ここで、ポリイミドベルトの製造方法として、円筒状成形型にポリアミド酸溶液(ワニス)を粗く塗布した後、目的の厚みに製膜する方法や、当初から所定厚みのポリアミド酸溶液を塗布する方法等が挙げられる。
しかし、円筒状成形型にポリアミド酸溶液を均一な、目的の厚みに製膜し、イミド化することにより、ポリイミドベルトを製造する方法は、より厚い膜厚のベルトを得ようとすると、円筒状成形型と治具、例えば走行体との関係において、クリアランスを広げる必要があった。
通常、薄い膜厚のポリイミド製のシームレスベルトを得ようとする場合、円筒状成形型に螺旋状にポリアミド酸溶液(ワニス)を塗布しても、クリアランスが狭く設定しているため、問題なく製膜することができ、液状であるワニスの厚みは、粘度と表面張力のバランスにより、成形型からワニスが垂れることなく、乾燥させイミド化することが可能であった。よって、生産設備において、円筒状成形型を立てたままであっても、乾燥させることができるため、設備の設置面積を小さくすることができ効率的であった。
しかしながら、厚い膜厚のポリイミド製のシームレスベルトを得ようとする場合、クリアランスを広げる必要があり、この場合、螺旋状に塗布したポリアミド酸溶液(ワニス)が円筒状成形型のある一方向に偏って存在することになり、治具が押しのけられ、螺旋状に偏肉した塗膜となる問題が生じていた。
また、液状であるポリアミド酸溶液(ワニス)の厚みが、粘度と表面張力のバランスを超えて、垂れるため、成形型を横にして回転させながら、乾燥させる必要があるため、回転成形機や回転台を有する乾燥炉等が必要となり、横方向に回転させるため、生産設備の設置面積を広く取る必要があった。
更に、回転させながら乾燥させる方法においても、成形型や回転台の精度、成形型の重量等の問題から、垂れを防ぐために十分な回転数まで上げることができない場合も生じた。
特開平3−130149号公報 特開2000−187403号公報
一般的なポリイミドベルトの製造方法では、その原料であるポリアミド酸溶液の固形分濃度(ポリアミド酸溶液中のテトラカルボン酸成分及びジアミン成分からなる固形分の濃度)は20重量%以下で用いられる場合が多く、通常21重量%が限界濃度である。これは、ポリイミドベルトの製造工程において、ポリアミド酸の分子量が大きくなり、これに伴い粘度が上昇するため、ポリアミド酸溶液の固形分濃度を、より高く調製すると、粘度が高くなりすぎて、ポリアミド酸溶液の流動性が低下し、更にはゲル状に到達する恐れがあるからである。このような状態になると、中間転写ベルトや定着ベルト等に用いることができる所望のポリイミドベルトを製造することができなくなる。
一方、ポリアミド酸溶液の固形分濃度が低い場合には、ベルト厚みの精度が低下しやすくなる。このような場合、ベルトの外観精度が低下し、電子写真記録装置などにこのようなベルトを用いた場合、画像に悪影響を及ぼす原因となる。
また、加熱時に、厚み方向の溶剤の蒸発(除去)にも差が生じるため、塗膜が成形型から剥離する場合が生じる。これらの問題を解消するためには、溶媒の除去を低温から長時間かけて行う必要があり、生産性の低下を招く原因になる。
更に、ポリアミド酸溶液の固形分濃度を低く調製すると、その分、溶媒を多量に使用することになり、コスト面でも問題が生じる。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、固形分濃度が高いポリアミド酸溶液を用いたシームレスベルトの製造方法を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、ポリアミド酸溶液を用いたシームレスベルトの製造する方法において、固形分濃度が22重量%以上であるポリアミド酸溶液を調製する工程と、前記ポリアミド酸溶液を円筒状成形型に塗布する工程と、前記ポリアミド酸溶液をイミド転化する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、ポリアミド酸溶液の固形分濃度が22重量%以上に調製することにより、固形分濃度が低い場合に比べて、使用する溶媒量も少なく抑えることができ、コスト面において、極めて有効である。
また、ベルトを製造する際の溶媒除去工程において、塗膜の厚み減少が小さくなり、より均一に溶媒を除去することができ、塗膜が成形型から剥離することがなく、厚み精度や外観精度の高いベルトを得ることができる。
更に、得られる厚膜のシームレスベルトは、厚みによる硬さ(自立性)により、定着装置などに装着し駆動させた際に、よれにくく、蛇行が生じにくいため、蛇行防止装置が必要なく、装置の設計を単純化することができ、更にこれによりコスト削減をも実現することが出来、作業性や歩留まりの向上など、優れた効果を有する。
また、薄い膜厚のシームレスベルトを定着ベルト等として用いた場合、2軸方向にテンションをかけてベルトを引っ張り、ベルト自体にシワが発生しないように装置を設計する必要があるが、本発明により得られる厚膜のシームレスベルトを用いた場合、自立性を有するため、2軸方向にベルト自体を引っ張ることなく、シワ発生を防止したベルトを得ることができ、有効である。
更に、シワの発生を防止することができるため、本発明により得られるシームレスベルトを用いて、紙にトナーを転写する場合に、高い圧力(ニップ圧)に設定することができる。これにより、カラープリンターのように、モノクロ印刷に比べて、紙に転写されるトナー量が多い場合に、十分にトナーを紙に転写することができ、画像形成性といった印刷品質を向上させることが出来る。また、シワの発生を防止できるため、高い圧力に設定しても、シワによるトナーのカスレ等が生じにくく、安定した定着工程を実現することができる。
更に、本発明のシームレスベルトの製造方法は、前記塗布工程後に、前記円筒状成形型との間に、クリアランスを有する走行体を走行させて、塗膜面を調製する工程を含むことが好ましい。前記円筒状成形型との間に、一定のクリアランスを有する走行体を走行させる工程を含むことにより、所望の厚膜で、厚みムラの小さい均一な膜厚の塗膜面を得ることができ、更にこの塗膜面を用いることにより、均一な膜厚のシームレスベルトを得ることができる。
本発明のシームレスベルトの製造方法は、例えば、下記の工程により製造することができる。
(i)固形分濃度が22%以上のポリアミド酸溶液を調製する工程。
(ii)円筒状金型内周面に前記ポリアミド酸溶液を塗布する工程。
(iii)塗布後、少なくともそれ自身で支持できるまで、乾燥(加熱)・硬化させて、塗膜面を形成した後、更にイミド転化が終了するまで加熱し、厚膜のシームレスベルトを形成する工程。
(iv)(iii)の代わりに、イミド転化が終了するまで加熱することにより、厚膜のシームレスベルトを形成する工程。
(v)前記シームレスベルトを前記金型内周面より剥離する工程。
上記工程(i)〜(v)について、以下に具体的に説明する。
<ポリアミド酸溶液の調製>
まず、本発明のシームレスベルトの製造方法に用いるポリアミド酸溶液は、テトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体)とジアミン成分とを、等モル重合反応させることにより得られるものである。具体的には以下に説明する。
ポリアミド酸溶液は、テトラカルボン酸成分やジアミンから重合されるものであれば特に制限はないが、ポリアミド酸溶液中の両成分の全固形分濃度が22重量%以上であり、好ましくは24〜30重量%、より好ましくは25〜28重量%である。固形分濃度が22重量%未満の場合、イミド転化等の加熱時に、厚み方向の溶剤の蒸発(除去)に差が生じ、塗膜が成形型から剥離する場合が生じる。これらの問題を解消するためには、溶媒の除去を低温から長時間かけて行う必要があり、生産性の低下を招く原因になり、更に、得られるベルトの外観精度が低下し、電子写真記録装置などにこのようなベルトを用いた場合、画像に悪影響を及ぼす原因となる。また、ポリアミド酸溶液の固形分濃度を低く調製する、つまりは、溶媒を多量に使用することになり、コスト面でも問題が生じ、好ましくない。
本発明において用いる溶媒として、特に限定されないが、例えば、有機極性溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が用いられる。また、上記以外であれば、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられるが、特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記テトラカルボン酸成分(テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体)としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられるが、特に好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
なお、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の反応温度は、80℃以下が好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成できるものであれば、上記テトラカルボン酸成分およびジアミン成分を共重合したものでも、ブレンドしたものでも構わない。
上記の反応により得られたポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
本発明のポリアミド酸溶液の製造方法により得られるポリアミド酸溶液を用いて、電子写真記録装置等に用いられる中間転写ベルト等に用いられるポリイミド製のシームレスベルトを調製する場合、半導電性を付与する場合、樹脂中に各種導電フィラーを使用することが好ましい。具体的には、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子を用いることができる。特に、抵抗制御や抵抗低下の観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましい。また、中間転写ベルト等として用いる場合には、その表面抵抗率が10〜1014Ω/□であることが好ましく、1010〜1013Ω/□であることがより好ましい。
カーボンブラックの含有量については、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、中間転写ベルト等として使用する場合には、その機械的強度等の観点から、ポリイミド樹脂固形分に対し、3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。カーボンブラックの含有量が3重量%未満であると、抵抗値のコントロールが困難となり、また、ベルト内のバラツキが大きくなりやすい。一方、40重量%を越えると、ベルトの機械的強度が低下しやすくなる。
また、カーボンブラックの添加・分散させる方法としては、例えば、予め本発明に用いることができる有機極性溶媒中にカーボンブラックを添加し、分散させた分散液を調製することが好ましい態様である。
カーボンブラックの分散方法には、公知の分散方法を適用することができる。例えば、溶媒中にカーボンブラックを添加した後、ナノマイザー、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波などの方法を適宜選択して分散作業を行うことができる。その中でも、特にナノマイザー、ビーズミル、超音波が好ましい。上記分散方法を用いることにより、カーボンブラックの粒度分布が狭く、バラツキの小さい分散液が得られる。その上、ポリアミド酸溶液のカーボン表面への浸透性、吸着性も良好である。
なお、カーボンブラックなどの導電性フィラーと溶媒との親和性を高めるため、分散剤をさらに添加することができる。
上記分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。
前記分散剤の添加量は、カーボンブラックを均一に分散させるため、カーボンブラックに対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。分散剤の添加量が0.01重量%未満の場合も10重量%を超える場合も分散に対する効果が得られない。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の反応に寄与する触媒としては、例えばイミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等を用いることができる。例えば、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール、イソキノリン等が挙げられる。これらのうちでも2−フェニルイミダゾールが機械強度を向上させる点で好ましい。触媒の添加量としては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して0.1〜2モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜1モル当量である。
また、この他に本発明の目的の範囲内で、界面活性剤や分散安定化剤等を用いることもできる。
<ポリアミド酸溶液の塗布工程>
まず、円筒状成形型(例えば、円筒状金型)内にポリアミド酸溶液を供給する。このとき前記溶液の粘度は、塗布厚みや塗布方法、塗布条件、溶液温度等に応じて設定されるが、本発明においては、B型粘度計で0.01〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ポリイミド製のシームレスベルトの厚みバラツキの原因となる。
円筒状成形型(円筒状金型)内へのポリアミド酸溶液の塗布方法としては、ポリアミド酸溶液(ワニス)供給用のノズルを円筒状金型内面に沿うようにして挿入し、金型を回転させながら、ポリアミド酸溶液を供給し、金型内面に螺旋状に塗布する方法や、螺旋状の塗布を粗く行った後に、金型との間に、一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、ポリアミド酸溶液中に金型を浸潰して内面に塗布膜を形成し、これを円筒状ダイス等で成膜する方法や、金型内面の片端部にポリアミド酸溶液を供給した後、この金型との間に、一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、金型を軸周りに回転させ、内面にポリアミド酸溶液を供給し、遠心力により均一な塗布皮膜とする方法等が挙げられる。
上述の走行体を走行させる方法としては、自重走行法(金型を垂直に立て、走行体をその自重により下方に走行させる方法)の他、圧縮空気やガス爆発力を利用する方法、牽引ワイヤ等により牽引する方法等が挙げられる。
<イミド転化工程>
上記ポリアミド酸溶液を塗布した後の加熱温度は、80〜200℃程度の低温で加熱して溶媒を除去し、次いで、250〜400℃程度に昇温してイミド転化を終了する多段加熱法等が用いられる。
上記加熱時間は加熱時間に応じて適宜設定されるが、通常、低温加熱及びその後の高温加熱ともに20〜60分程度である。このような多段加熱法を用いれば、イミド転化に伴い発生する閉環水や溶媒の蒸発に起因するベルトにおける微小ボイドの発生を防止することができる。
上記製造方法において、円筒状成形型としては、従来からシームレスベルトの製造に用いられるものであればどのようなものであっても差し支えなく、材質としては耐熱性の観点から、金属、ガラス、セラミックス等各種のものが例示される。
<ベルトの剥離工程>
上記加熱により硬化したベルト状塗膜を、円筒状成形型(円筒状金型)内周面より剥離する。剥離方法としては、例えば、円筒状成形型の端部の周壁面に予め設けられた微小貫通孔に空気を圧送する方法が挙げられる。また、剥離を容易にするためには、予め内周面にシリコーン樹脂等の離型剤を塗布して、離型処理を施すことも、作業性向上にとって、好ましい。
次いで、離型後、円筒状成形型となるシリンダをベルト状塗膜内面に挿入し、加熱によりイミド化反応を行うこと。このとき用いるシリンダは、公知のも野を使用することができるが、例えば、耐熱性の観点から、金属製、ガラス製、セラミックス製などを例示することができる。より好ましいものとしては、線膨張係数が、ポリイミド樹脂より大きいアルミニウム製のものを用いることである。また、シリンダの外径をベルト状塗膜の内径より、一定量小さくすることで、ヒートセットを行うことができ、均一な膜厚の、ムラのないシームレスベルトを得ることができる。
シリンダをベルト状塗膜内面に挿入後、イミド化反応を促進させるため、250〜400℃で高温加熱する。この際の加熱も、上述した均等に加熱する方法を用いる。ついで、更に乾燥温度よりも低温中に投入して、乾燥温度までの昇温速度を下げるなどの方法を用いることができる。上記工程により、ポリイミド製のシームレスベルトを得ることができる。なお、加熱時間は上記低温加熱及び高温加熱共に、20〜60分程度が好ましい。このような多段加熱法を用いることにより、イミド化反応に伴う水や溶媒の蒸発に起因するシームレスベルトにおける微小ボイドの発生を防止することができ好ましい態様である。
以下、本発明の構成と効果を、具体的に示す実施例等について説明する。
(実施例1)
<ポリアミド酸溶液の製造方法>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1225.3g中に、水9.0g(0.5モル)を混合(添加)・溶解した。この混合溶媒に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.0g(1モル)とp−フェニレンジアミン(PDA)108.0g(1モル)を窒素雰囲気中で室温にて投入し、溶解した。続いて、重合反応により増粘後、65℃で18時間加熱を続け、ポリアミド酸溶液(150Pa・s、固形分濃度25重量%)を得た。
<シームレスベルトの製造方法>
前記溶液を内径24.2mm、長さ300mmの円筒状金型の内面に、1周に対して50mm移動する比率で、螺旋状に塗布した。前記金型内部に0.65mmのクリアランスを有する弾丸状走行体を自重により落下させた後、塗膜中の気泡を除く脱泡を行い、均一な塗膜面を得た。
その後、熱風を均等に循環させた150℃の乾燥炉内に投入し、250rpmで円筒状金型を回転させながら、5℃/分の昇温速度で220℃まで昇温し、15分間加熱した。上記工程により、ベルト形状を保持できるまで硬化した均一な塗膜面を得た。
次いで、金型内面より円筒状の前記塗膜を剥離し、耐熱成形型であるアルミニウム製シリンダを挿入し、更に2℃/分の昇温速度で400℃まで昇温し、20分間加熱し、閉環水の除去及びイミド転化を行った。その後、室温まで冷却し、シリンダからイミド転化が完了したベルトを取り出し、シームレスベルトを得た。
(実施例2)
前記金型内部に0.47mmのクリアランスを有する弾丸状走行体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、シームレスベルトを得た。
(実施例3)
ポリアミド酸溶液の製造方法については、実施例1と同様の方法を用いた。前記製造方法により得られたポリアミド酸溶液を、長方形状のダイス状ディスペンサー(長辺15mm×短辺1.5mm)を固定して配置し、内径70.0mm、長さ300mmの円筒状金型を1周に対して50mm移動する比率で、回転させながら移動させ、螺旋状に塗布した。
その後、前記金型を1500rpmで3分間、回転させて均一な塗膜面を得た。
更に、熱風を均等に循環させた150℃の乾燥炉内に投入し、100rpmで前記金型を回転させながら、2℃/分の昇温速度で350℃まで昇温し、30分間加熱し、閉環水の除去及びイミド転化を行った。その後、室温まで冷却し、シリンダからイミド転化が完了したベルトを取り出し、シームレスベルトを得た。
(比較例1)
ポリアミド酸溶液の固形分濃度を20重量%に調製した以外は、実施例1と同様の方法により、シームレスベルトを得た。
(比較例2)
前記金型内部に0.47mmのクリアランスを有する弾丸状走行体を用いた以外は、比較例1と同様の方法により、シームレスベルトを得た。
(比較例3)
前記金型内部に0.88mmのクリアランスを有する弾丸状走行体を用いた以外は、比較例1と同様の方法により、シームレスベルトを得た。
上記方法により得られたシームレスベルトの評価方法については、以下の事項について検討した。
(膜厚差及び平均膜厚)
直径30mmの軸心にリニアゲージ5個を等間隔に配置した。この軸心にベルトを挿入し、リニアゲージで長さ方向に等間隔5点を計測した。この操作を周方向に8等分した位置毎に計測し、5点×8点=40点について計測値を得た。
なお、前記40点の最大値と最小値の差を膜厚差とし、前記40点の計測値の平均値を平均膜厚とした。
(厚みムラ)
目視による明瞭な色ムラ(色差)を厚みムラとした。特に本発明においては、ワニス塗布に起因する螺旋状のワニス量が多い(厚い)部分が、色ムラとして確認された。
Figure 2010036520
<評価結果>
ポリアミド酸溶液の固形分濃度が22重量%以上である25重量%の弾丸状走行体を用いた実施例1及び2、弾丸状走行体を使用していない実施例3の全てにおいて、厚膜のシームレスベルトを得ることができた。また、ベルトの最大厚みと最小厚みの差が小さく、厚みムラも認められなかった。これにより、これら厚み精度の高いベルトを使用した電子写真記録装置は、画像形成性において優れているものと考えられる。
これに対して固形分濃度が20重量%の比較例1及び2については、平均膜厚が実施例に比べて小さくなり、比較例2については、膜厚差が大きく、厚みムラが認められた。比較例3については、クリアランスを大きくしたところ、平均膜厚は実施例と同様、厚くすることが可能であったが、膜厚差が非常に大きく、厚みムラも認められるため、実質的に電子写真記録装置などに用いる事が出来ないものと考えられる。

Claims (2)

  1. ポリアミド酸溶液を用いたシームレスベルトの製造する方法において、
    固形分濃度が22重量%以上であるポリアミド酸溶液を調製する工程と、
    前記ポリアミド酸溶液を円筒状成形型に塗布する工程と、
    前記ポリアミド酸溶液をイミド転化する工程と、を含むことを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
  2. 更に、前記塗布工程後に、前記円筒状成形型との間に、クリアランスを有する走行体を走行させて、塗膜面を調製する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のシームレスベルトの製造方法。

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