JP2009250711A - シームレスイミドベルトの検査方法及びシームレスイミドベルトの製造方法 - Google Patents

シームレスイミドベルトの検査方法及びシームレスイミドベルトの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置において、感光体ベルト、中間転写ベルト、転写搬送ベルトとして好適に使用でき、ロール跡(巻き癖)が付きにくいか否か、更には画像形成性に優れたシームレスイミドベルトであるか否かを判定するシームレスイミドベルトの検査方法を提供し、更には、前記検査方法を含み、長時間、画像形成装置のロールにベルトを装着し放置した後であっても、ベルトにロール跡の付き難いシームレスイミドベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】シームレスイミドベルトの検査方法であって、前記ベルトを少なくとも2本のロールに装着し、前記ロール間に張力を付加して、前記ベルトにロール跡を付け、前記ロール跡を付けたベルト表面状態を測定・定量化することを特徴とするシームレスイミドベルトの検査方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置において、感光体ベルト、中間転写ベルト、転写搬送ベルトとして好適に使用できるシームレスイミドベルトであるか否かを判定するシームレスイミドベルトの検査方法、及び、シームレスイミドベルトの製造方法に関する。
複写機、レーザープリンタ、ビデオプリンタ、ファクシミリおよびそれらの複合機の如き電子写真方式で像を形成記録する装置では、装置寿命の向上などを目的に、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤を介し形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避して、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写し、それを印刷シート上に定着させる中間転写方式が検討されている。また、装置の小型化等を目的に、転写搬送ベルトを使用して転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる方式も検討されている。
前記中間転写方式を用いた画像形成装置に用いられる無端ベルトの材料として、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート(PAT)、PC/PATのブレンド材料、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等の熱可塑性樹脂からなる半導電性のシームレスイミドベルトが提案されている。
また、近年の高速化の観点から、中間転写体を用いる画像形成装置は、各色毎の現像機を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置し、各色毎に感光体上の顕画像を中間転写体上に転写した後、一括して紙等の被転写体に転写するタンデム式中間転写体方式のカラー画像形成装置等が採用されている。
前記中間転写体は、従来の4サイクルの中間転写ベルトに比べて、その径が大きく、独立した4色の現像機を備えるため、各色毎の色ズレ精度等に関して、高精度の装置設計が要求される。このような画像形成装置に搭載される中間転写体には、高弾性率で耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が採用されている(特許文献1)。
また、画像形成装置のコンパクト化も要求されており、装置自体を小さくすることにより、装置内に設置されるロール径も小さくなる傾向にある。但し、ロール径を小さくすると、ロール径が大きな場合に比べて、画像形成装置を使用せず、長時間放置した場合に、ベルト自体にロール跡(巻き癖)がついてしまい、このようなロール跡がついたベルト部分に、画像不良が現れ、問題となっている。
そこで、長時間、画像形成装置を使用しない場合に、ベルトのテンション(張力)を緩める機構を設計したり、ロールの配置を工夫するなど様々な方法が行われている(特許文献2〜4)。
特開平5−77252号公報 特開2005−49678号公報 特開2004−184449号公報 特開2000−112261号公報
しかし、画像形成装置自体にベルトのテンションを緩める機構等を配置することは設計上の制約やコスト面でも不利に働くことになる。
そこで、本発明の目的は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置において、感光体ベルト、中間転写ベルト、転写搬送ベルトとして好適に使用でき、ロール跡(巻き癖)が付き難いか否か、更には画像形成性に優れたシームレスイミドベルトであるか否かを判定するシームレスイミドベルトの検査方法を提供し、更には、前記検査方法を含み、画像形成装置のロールにベルトを搭載(装着)し、長時間放置した後であっても、ベルトにロール跡の付き難いシームレスイミドベルトの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究したところ、下記の検査方法を用いることにより、中間転写ベルト等に好適に用いることができるか否かを判定する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シームレスイミドベルトの検査方法であって、前記ベルトを少なくとも2本のロールに装着し、前記ロール間に張力を付加して、前記ベルトにロール跡を付け、前記ロール跡を付けたベルト表面状態を測定・定量化することを特徴とする。
前記検査方法を用いることにより、ロール跡を付けたベルトの表面状態を測定・定量化することができ、定量化によりベルト自体の弾性率等の機械的強度や、前記ベルトを複写機等の画像形成装置に搭載(装着)し、長時間放置した後に駆動させた場合であっても、優れた画像形成性を得ることができるか否かを判定することができ、有効である。
本発明の検査方法において、前記定量化が、前記ロール跡の付いたベルト表面の凹凸を定量化することであり、前記定量化した凹凸から、前記ベルトを画像形成装置に使用した際の画像形成性の判定に用いることが好ましい。
前記検査方法を用いてベルト表面の凹凸を測定・定量化することにより、前記ベルトを複写機等の画像形成装置に搭載(装着)し、長時間放置した後に駆動させた場合であっても、優れた画像形成性を得ることができるか否かを判定することができ、有効である。
本発明におけるシームレスイミドベルトの製造方法は、テトラカルボン酸成分及びジアミン成分を反応させて得られるシームレスイミドベルトの製造方法において、前記テトラカルボン酸成分及びジアミン成分を反応させてポリアミド酸溶液を製造する工程と、前記ポリアミド酸溶液をイミド転化させる工程と、前記イミド転化により製造されるシームレスイミドベルトに前記検査方法を実施する工程と、を含むことが好ましい。前記検査方法を実施する工程を含むことにより、前記ベルトにロール跡(巻き癖)が付きやすいか否か、更にはそのベルトの画像形成性が優れているか否かを測定・定量化することができ、中間転写ベルト等に有効なベルトであるか否かを見極めることができ、有効である。
本発明におけるシームレスイミドベルトの製造方法は、前記ジアミン成分が、芳香族環を3つ以上有する芳香族ジアミンを含有し、前記芳香族ジアミンが、ジアミン成分全体の50重量%以上含有されることが好ましい。前記ジアミンを含むことにより、高弾性率で、ロール跡(巻き癖)が付き難く、かつ、画像形成性に優れたシームレスイミドベルトを得ることができ、有効である。
本発明のシームレスイミドベルトの製造方法及び検査方法については、例えば、下記のように説明することができる。
(1)ポリアミド酸溶液を調製する工程。
(2)円筒状成形型内周面に前記ポリアミド酸溶液を塗布する工程。
(3)塗布後、少なくともそれ自身で支持できるまで、乾燥(加熱)・硬化させて、塗膜面を形成した後、一旦剥離し、円筒状成形型となるシリンダをベルト状塗膜内面に挿入し、イミド転化が終了するまで加熱して、シームレスイミドベルトを形成する工程(なお、途中で剥離することなく、イミド転化が終了するまで加熱して、シームレスイミドベルトを形成してもよい)。
(4)前記ベルトを前記成形型内周面より剥離する工程。
(5)前記剥離したベルトを、画像形成装置に用いられる2本のロールに装着し、ロール間に張力をかけて、ロール跡(巻き癖)をつける工程。
(6)前記ロール跡の付いたベルトを取り外し、更にベルトの不要部分を切断する工程。
(7)前記切断後のベルトの一端を固定し、他端を滑車またはロール(ローラー)等を用いて、吊り下げ、吊り下げたベルトの先端に荷重をかける工程。
(8)前記荷重をかけた状態のベルト表面を、レーザー変位計を用いて、測定し、表面に存在する凹凸を定量化する工程。
上記工程(1)〜(8)について、以下に具体的に説明する。
<ポリアミド酸溶液の調製>
まず、本発明のシームレスイミドベルトの製造方法に用いるポリアミド酸溶液は、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体(テトラカルボン酸成分)とジアミン成分を等モル溶媒に溶解し、重合反応させることにより得られるものである。具体的には以下に説明する。
本発明において用いる溶媒として、特に限定されないが、例えば、有機極性溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が用いられる。また、上記以外であれば、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられるが、特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。特に、高弾性率のイミドベルトを得るためには、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物やピロメリット酸二無水物を使用することが好ましい。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン等が挙げられる。また、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)などの芳香族ジアミンがあげられる。特に、前記芳香族ジアミンを使用することにより、機械的強度に優れたベルトを得ることができ、有効である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
なお、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の反応温度は、80℃以下が好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成できるものであれば、上記テトラカルボン酸成分およびジアミン成分を共重合したものでも、ブレンドしたものでも構わない。
上記の反応により得られたポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
本発明は、導電性を得るために樹脂中に各種導電性フィラーを使用することが好ましい。具体的には、カーボンブラック、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子を用いることができる。特に、抵抗制御や抵抗低下の観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、中間転写ベルトや転写搬送ベルトなどの中抵抗から高抵抗域(表面抵抗率が10〜1014Ω/□)において、制電性が必要である場合は、特にファーネスブラックやチャンネルブラックが好適に用いられる。
前記ファーネスブラックとしては、デグサ社製のSpecial Black 550、Special Black 350、Special Black 250、Special Black 100、Printex 35、Printex 25、三菱化学社製のMA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、キャボット社製のMONARCH 1300、MONARCH 1100、MONARCH 1000、MONARCH 900、MONARCH 880、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGULL、REGAL 400R、ULCAN XC−72R等が挙げられる。また、チャンネルブラックとして、デグサ社製のColor Black FW200、Color B1ack FW2、Color Black FW2V、Color Black FW1、Color Black FW18、Special Black6、Color Black S170、Color Black S160、Special Black 5、Special Black 4、Special Black 4A、Printex 150T、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V等が挙げられる。
また、カーボンブラックはその用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましく、特に、酸化処理されたカーボンブラックを用いることが好ましい。
前記酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面に酸素含有官能基(例えば、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)を付与して得ることができるものである。
前記酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触・反応させる空気酸化法、常温で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、及び高温での空気酸化後、低温でオゾン酸化する方法等により行うことができる。上記方法により得られる酸化処理カーボンブラックは、一部に過剰な電流が流れ、繰り返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくい。また、その表面に付着する酸素含有官能基の効果で、ポリイミド中への分散性が高く、抵抗のバラツキを小さくすることができ、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起き難くなる。
その結果、転写電圧による電気抵抗の低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性や環境による抵抗の変化が少なく、用紙走行部が白く抜ける等の画質欠陥の発生を抑制することができるため、高画質を得ることのできる中間転写体となる。
前記酸化処理カーボンブラックの含有量は、ポリイミド樹脂に対して10〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは12〜30重量%である。この含有量が10重量%未満であると、電気抵抗の均一性が低下し、耐久使用時の表面抵抗率の低下が大きくなる場合がある。一方、50重量%を超えると、所望の抵抗率が得られ難く、また、本発明のシームレスイミドベルトの製造方法により得られるベルトを用いた成型物が脆くなるため、好ましくない。
また、カーボンブラックの添加・分散させる方法としては、例えば、予め本発明に用いることができる有機極性溶媒中にカーボンブラックを添加し、分散させた分散液を調製することが好ましい態様である。
カーボンブラックの分散方法には、公知の分散方法を適用することができる。例えば、溶媒中にカーボンブラックを添加した後、ナノマイザー、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波などの方法を適宜選択して分散作業を行うことができる。その中でも、特にナノマイザー、ビーズミル、超音波が好ましい。上記分散方法を用いることにより、カーボンブラックの粒度分布が狭く、バラツキの小さい分散液が得られる。その上、ポリアミド酸溶液のカーボン表面への浸透性、吸着性も良好である。
なお、カーボンブラックなどの導電性フィラーと溶媒との親和性を高めるため、分散剤をさらに添加することができる。
上記分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロールクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。
前記分散剤の添加量は、カーボンブラックを均一に分散させるため、カーボンブラックに対して0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。分散剤の添加量が0.01重量%未満の場合も10重量%を超える場合も分散に対する効果が得られない。
また、テトラカルボン酸成分とジアミン成分の反応に寄与する触媒としては、例えばイミダゾール類、第2級アミン、第3級アミン等を用いることができる。例えば、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、イミダゾール、イソキノリン等が挙げられる。触媒の添加量としては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して0.01〜2モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.02〜1モル当量である。
また、この他に本発明の目的の範囲内で、界面活性剤や分散安定化剤等を用いることもできる。
<ポリアミド酸溶液の塗布工程> まず、円筒状成形型(例えば、円筒状金型)内にポリアミド酸溶液を供給する。このとき前記溶液の粘度は、塗布厚みや塗布方法、塗布条件、溶液温度等に応じて設定されるが、本発明においては、B型粘度計で1〜1000Pa・s(23℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、シームレスイミドベルトの厚みバラツキの原因となる。
円筒状成形型内へのポリアミド酸溶液の塗布方法としては、ポリアミド酸溶液(ワニス)供給用のノズルを成形型内面に沿うようにして挿入し、成形型を回転させながら、ポリアミド酸溶液を供給し、成形型内面に螺旋状に塗布する方法や、螺旋状の塗布を粗く行った後に、成形型との間に、一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、ポリアミド酸溶液中に成形型を浸潰して内面に塗布膜を形成し、これを円筒状ダイス等で成膜する方法や、成形型内面の片端部にポリアミド酸溶液を供給した後、この成形型との間に、一定のクリアランスを有する走行体(弾丸状、球状)を走行させる方法、成形型を軸周りに回転させ、内面にポリアミド酸溶液を供給し、遠心力により均一な塗布皮膜とする方法等が挙げられる。
上述の走行体を走行させる方法としては、自重走行法(成形型を垂直に立て、走行体をその自重により下方に走行させる方法)の他、圧縮空気やガス爆発力を利用する方法、牽引ワイヤ等により牽引する方法等が挙げられる。
<イミド転化工程>
上記ポリアミド酸溶液を塗布した後の加熱温度は、80〜200℃程度の低温で加熱して溶媒を除去し、次いで、250〜400℃程度に昇温してイミド転化を終了する多段加熱法等が用いられる。
上記加熱時間は加熱時間に応じて適宜設定されるが、通常、低温加熱及びその後の高温加熱ともに20〜60分程度である。このような多段加熱法を用いれば、イミド転化に伴い発生する閉環水や溶媒の蒸発に起因するベルトにおける微小ボイドの発生を防止することができる。
上記製造方法において、円筒状成形型としては、従来からシームレスイミドベルトの製造に用いられるものであればどのようなものであっても差し支えなく、材質としては耐熱性の観点から、金属、ガラス、セラミックス等各種のものが例示される。
上記加熱により硬化したベルト状塗膜を、円筒状成形型内周面より剥離する。剥離方法としては、例えば、円筒状成形型の端部の周壁面に予め設けられた微小貫通孔に空気を圧送する方法が挙げられる。また、剥離を容易にするためには、予め内周面にシリコーン樹脂等の離型剤を塗布して、離型処理を施すことも、作業性向上にとって、好ましい。
次いで、離型後、円筒状成形型となるシリンダをベルト状塗膜内面に挿入し、加熱によりイミド転化反応を行うこと。このとき用いるシリンダは、公知のものを使用することができるが、例えば、耐熱性の観点から、金属製、ガラス製、セラミックス製などを例示することができる。より好ましいものとしては、線膨張係数が、ポリイミド樹脂より大きいアルミニウム製のものを用いることである。また、シリンダの外径をベルト状塗膜の内径より、一定量小さくすることで、ヒートセットを行うことができ、均一な膜厚の、ムラのないシームレスイミドベルトを得ることができる。
シリンダをベルト状塗膜内面に挿入後、イミド転化反応を促進させるため、250〜400℃で高温加熱する。この際の加熱も、上述した均等に加熱する方法を用いる。ついで、更に乾燥温度よりも低温中に投入して、乾燥温度までの昇温速度を下げるなどの方法を用いることができる。上記工程により、ポリイミド製のシームレスイミドベルトを得ることができる。なお、加熱時間は上記低温加熱及び高温加熱共に、20〜60分程度が好ましい。このような多段加熱法を用いることにより、イミド転化反応に伴う水や溶媒の蒸発に起因するシームレスイミドベルトにおける微小ボイドの発生を防止することができ、好ましい態様である。
<ベルト表面の検査工程>
前記ベルトを成形型内周面より剥離し、画像形成装置に用いられる少なくとも2本のロールに装着し、ロール間に張力をかけて、ロール跡(巻き癖)をつける。このロール跡を目視等により観察し、評価することができる。なお、ロール間に張力をかける方法としては、一方のロールを固定し、他方のロールに荷重(重りなど)をかけて、吊り下げ、ベルト自体に荷重をかける方法が挙げられる。また、両ロール間の距離を広げて、ベルトに直接荷重をかける方法を用いてもよい。また、ロールの大きさはそれぞれ異なっても良いし、同じ大きさであっても構わない。なお、ロールの直径を小さくすることにより、ロールと接触するベルト部分に、より強いロール跡(巻き癖)を付けることができるため、ベルトの表面凹凸を定量化しやすく、好ましい態様である。
前記ベルトに荷重をかけて、ロール跡を付ける方法としては、例えば、直径7mm、長さ100mmのロール(上)と、直径10mm、長さ100mmのロール(下)を用意し、前記ベルト(幅25mm、厚さ0.08mm)1本を両ロールに装着する。続いて、ベルトを装着した状態で、前記直径10mmのロール(下)の両端に、各600gの重りを吊り下げ、ベルトに荷重(ロール間に張力を付加)をかけ、ロール跡(巻き癖)を付ける方法等が挙げられる。
なお、ロール跡を付ける条件としては、特に限定されないが、複写機等の画像形成装置に装着し、長時間放置した場合を考慮して、常温の20〜30℃が好ましく、より好ましくは23〜25℃、湿度は50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜80%、放置時間は10〜48時間が好ましく、より好ましくは20〜30時間に設定して、行うことが実際の条件に、より適合しており、好ましい態様である。
次に、ロール跡(巻き癖)の付いたベルトを取り外し、ロール跡の付いた部分を中心として切断する。
前記切断後のベルトの一端を固定し、他端を滑車を用いて、吊り下げ、吊り下げたベルトの先端に重りなどを用いて荷重をかける。
前記荷重をかけられた状態のベルト表面に対して、スライドレールに設置されたレーザー変位計を、ベルト表面に沿って移動させ、ベルト表面の凹凸を測定・定量化する。この定量化により、測定したベルトが複写機等の画像形成装置に搭載された際に、画像形成性に優れたベルトになりうるかを判定することができる。また、この検査方法をシームレスイミドベルトの製造方法の工程に含めることにより、画像形成性に優れたベルトを得ることができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
[実施例1]
(ポリアミド酸溶液の製造工程)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3030.3gおよびカーボンブラック(スペシャルブラック4、デグサ社製)144.1gを、ボールミルで室温にて8時間、撹拌・混合し、カーボンブラック分散液を調製した。前記分散液に、テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.2g(1モル)と、ジアミン成分(芳香族ジアミン成分)として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)410.5g(1モル)とを窒素雰囲気下で、室温にて溶解・重合させた。その後、50℃にて撹拌を続けて粘度調整を行い、150Pa・s(23℃)のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(固形分濃度20重量%)を得た。
(イミドベルトの製造工程)
前記溶液を、内径300mm、長さ800mmの円筒状金型内周面にディスペンサを介して300gを塗布し、1500rpmで10分間回転させて、均一な展開層を得た。熱風を均等に循環させた130℃の乾燥炉内で、250rpmで金型を回転させながら、20分間加熱した。さらに360℃まで30分間で昇温・加熱し、イミド転化を進行させた。続いて、室温に冷却した後、金型内面より剥離し、厚さ80μmのシームレスイミドベルトを得た。
[実施例2]
芳香族ジアミン成分として、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ80μmのシームレスイミドベルトを得た。
[実施例3]
芳香族ジアミン成分として、BAPP205.3g(0.5モル)とp−フェニレンジアミン54.1g(0.5モル)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ80μmのシームレスイミドベルトを得た。
[比較例1]
芳香族ジアミン成分として、BAPP41.1g(0.1モル)とp−フェニレンジアミン97.3g(0.9モル)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、厚さ80μmのシームレスイミドベルトを得た。
以上の実施例、比較例で得たシームレスイミドベルトについて、下記の特性を評価した。
<評価方法>
(ロール跡の評価)
直径7mm、長さ100mmのロール(上)と、直径10mm、長さ100mmのロール(下)を用意し、前記ベルト(幅25mm、厚さ0.08mm)のうち1本を両ロールに装着した。続いて、ベルトを装着した状態で、前記直径100mmのロール(下)の両端に、各600gの重りを吊り下げ、ベルトに荷重(ロール間に張力を付加)をかけ、ロール跡(巻き癖)をつけた。次にロール跡の付いたベルトを取り出し、ロール跡によるベルト表面の凹凸を、レーザー変位計(キーエンス社製、LK−030)を用いて測定し、ベルトの変位量とした。
(色ムラの評価)
前記製造したベルトを、市販のタンデム式中間転写型画像形成装置の中間転写ベルトとして搭載(装着)し、25℃×80%RH×24時間放置し、ロール跡を付け、画像形成性(色ムラ)の判定を目視により行った。
なお、画像形成性(色ムラ)の判定は、ロール跡を付けたベルトを、タンデム式中間転写ベルトとして複写機(画像形成装置)に組み込み、普通紙による画像形成(印刷)テストにより行った。色ムラ評価は、ロール跡を付けた直後に試験を行い、色ムラのないものを○、色ムラ(画像欠損・印刷不良)が目視で認識できるものを×とした。
(表面抵抗率)
ハイレスタUP MCP−HT450(三菱油化社製、プローブ:UR)にて印加電圧100V、10秒値の測定条件による25℃、60%RHでの表面抵抗率を調べた。
Figure 2009250711
表1より、実施例1〜3のシームレスイミドベルトは、芳香族環を3つ以上有する芳香族ジアミンをジアミン成分全体に対して、50重量%以上配合して、製造したものであり、前記ベルトはロール跡(巻き癖)がほとんど認められず、ベルトの変位量(ベルト表面の凹凸を定量化した値)も小さいことが確認され、前記ベルトを画像形成装置に中間転写ベルトとして搭載し駆動させて、画像形成性を色ムラにより判定したところ、良好な画像形成性を得られることが確認できた。また、ベルトの変位量と色ムラに相関関係が存在することも確認でき、本発明がベルトの検査方法として、有効であることが確認できた。一方、比較例1のシームレスイミドベルトは、芳香族ジアミンが50重量%未満(10重量%)を配合して、製造したものであり、前記ベルトはロール跡(巻き癖)がはっきりと認められ、ベルトの変位量も大きいことが確認され、画像形成性を色ムラにより判定したところ、色ムラが認められた。また、ベルトの変位量と色ムラに相関関係が存在することも確認できた。

Claims (4)

  1. シームレスイミドベルトの検査方法であって、
    前記ベルトを少なくとも2本のロールに装着し、
    前記ロール間に張力を付加して、前記ベルトにロール跡を付け、
    前記ロール跡を付けたベルト表面状態を測定・定量化することを特徴とするシームレスイミドベルトの検査方法。
  2. 前記定量化が、前記ロール跡の付いたベルト表面の凹凸を定量化することであり、
    前記定量化した凹凸から、前記ベルトを画像形成装置に使用した際の画像形成性の判定に用いることを特徴とする請求項1記載のシームレスイミドベルトの検査方法。
  3. テトラカルボン酸成分及びジアミン成分を反応させて得られるシームレスイミドベルトの製造方法において、
    前記テトラカルボン酸成分及びジアミン成分を反応させてポリアミド酸溶液を製造する工程と、
    前記ポリアミド酸溶液をイミド転化させる工程と、
    前記イミド転化により製造されるシームレスイミドベルトに請求項1又は2記載の検査方法を実施する工程と、を含むことを特徴とするシームレスイミドベルトの製造方法。
  4. 前記ジアミン成分が、芳香族環を3つ以上有する芳香族ジアミンを含有し、
    前記芳香族ジアミンが、ジアミン成分全体の50重量%以上含有されることを特徴とする請求項3記載のシームレスイミドベルトの製造方法。
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