JP2007302769A - カーボンブラック分散液及び導電性ポリイミドベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物とを溶媒に均一分散させたカーボンブラック分散液を用いることにより、導電特性、引張弾性率、引裂強度、及び耐折強さに優れた導電性ポリイミドベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】カーボンブラックを溶媒に分散させたカーボンブラック分散液において、導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物(アミド化合物を除く)とを含有することを特徴とするカーボンブラック分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンブラック分散液及びこれを用いた導電性ポリイミドベルトの製造方法等に関する。かかるベルトは、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着ベルト、中間転写ベルト等に使用することができる。
従来より、ポリイミド樹脂材料は、その高い機械的強度、耐熱性等の理由から、宇宙航空分野から電気電子材料まで、幅広い分野において実用化されている。その中でも、ポリイミド樹脂製シームレス状管状体は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真画像形成装置の定着ベルト、転写ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト、感光体ベルト等の機能性ベルト及びこれらの基材として使用されている。
特に、定着ベルトでは、未定着トナー像を加圧加熱しながら転写体を搬送するため、ロール間の張設に耐え得る強度、ロールの加熱温度に耐え得る耐熱性、ベルト端部で、よりを制御する際、座屈や裂けを起こさないような高弾性や、紙の巻き付き、トナーの塵をなくすための除電を目的に、表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が、5以下であることが求められる。
これらを解決する方法として、ポリアミド酸溶液にイミド化促進剤と無機フィラーを添加混合した溶液を筒状SUSにキャストし、熱処理することで、熱伝導率と引裂強度に優れたポリイミドベルトが提案されている(特許文献1)。
また、特許文献2では、全芳香族ポリイミドの前駆体と、導電性カーボンブラックと、pKbが5以上の塩基性有機化合物とを主成分とした成形原液を金属製円筒体内に塗布し、加熱することで、耐屈曲性と反復耐電圧性に優れた半導電性全芳香族ポリイミド系無端管状フィルムを得ている。
上記フィルムを使用したポリイミドベルトは、表面抵抗率も比較的安定し、ロール間に張設した状態で、駆動させたときに受ける屈曲疲労に対しても効果があるが、ベルト端部に応力が加わった場合、屈曲、裂けが生じやすかった。
特許文献3では、ポリイミド前駆体に3級アミンを添加することで、無機粉末を含有したポリイミドベルトでも、引裂伝搬強度が3000N/m以上を有しているが、一方で、伸びやすく弾性に欠けるため、座屈が生じやすかった。
また、イミド化促進剤を用いた無機フィラー入りポリアミド酸溶液から得られたポリイミドベルト(特許文献1)は、引裂強度が向上することで、成形中及び成形後の割れや、つぶれが抑制できるようになるが、一方で、ベルト端面が荒れてしまうため、ベルト駆動上、裂けに対しては弱いものとなっていた。
特開2004−138655号公報 特開2003−213014号公報 特開2002−296919号公報
そこで、上記実情に鑑み、本発明の目的は、導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物とを溶媒に均一分散させたカーボンブラック分散液を用いることにより、導電特性、引張弾性率、引裂強度、及び耐折強さに優れた導電性ポリイミドベルトの製造方法を、提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すカーボンブラック分散液及び導電性ポリイミドベルトの製造方法等を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、カーボンブラックを溶媒に分散させたカーボンブラック分散液において、導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物とを含有することを特徴とするカーボンブラック分散液、に関する。
前記分散液は、分子量210以下のアミノ化合物を溶剤に添加しカーボンブラックを分散させるため、粘度が高くなりにくく、カーボンブラックの分散性が高い。従って、前記分散液を用いて製造した導電性ポリイミドベルトは、カーボンブラックの分散性がよく、電気抵抗値のバラツキが小さいものとなる。なお、ここで、アミノ化合物とは、アミド結合を有する化合物を除くものである。
また、本発明は、カーボンブラックが溶媒に分散し、更にテトラカルボン酸二無水物成分、及びジアミン成分を含有する溶液を重合させるポリアミド酸溶液の製造方法において、前記カーボンブラックを分散させるにあたり、導電性指標が40〜500のカーボンブラックを用いると共に、予め分子量210以下のアミノ化合物を溶媒に添加しておくことを特徴とするポリアミド酸溶液の製造方法、に関する。
ここで、前記アミノ化合物として、少なくとも前記ジアミン成分の一部を添加することが好ましい。前記アミノ化合物をポリアミド酸溶液の製造における、重合反応の際に使用するジアミン成分を選定することにより、製造工程での簡略化を図れると共に、優れたポリイミドベルトを得ることができる。
前記アミノ化合物の添加量が、前記カーボンブラックに対して1重量%以上で前記テトラカルボン酸二無水物成分の等モル未満であり、
前記カーボンブラックを溶媒に分散した後に、残部のジアミン成分を添加し、更にテトラカルボン酸二無水物成分を添加して溶液を調製する前記アミノ化合物が、少なくとも前記ジアミン成分の一部であるポリアミド酸溶液であることが好ましい。
前記アミノ化合物の添加量は、前記カーボンブラックに対して、より好ましくは、3〜15重量%であり、前記テトラカルボン酸二無水物成分に対して、より好ましくは、前記モル比が、アミノ化合物/テトラカルボン酸二無水物成分=0.01〜0.1である。
前記導電性ポリイミドベルトの製造方法として、前記ポリアミド酸溶液の製造方法によりポリアミド酸溶液を調製する工程と、そのポリアミド酸溶液をベルト状に成形してイミド転化させる工程とを含むことが好ましい。
上記導電性ポリイミドベルトの製造方法によって得られる導電性ポリイミドベルトであって、表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が5以下、引裂強度が6N/mm以上、耐折強さが1000回以上、引張弾性率が4000MPa以上である導電性ポリイミドベルトであることが好ましく、より好ましくは表面抵抗率の常用対数値が2〜4、引裂強度が7〜9N/mm、耐折強さが2000〜20000回、引張弾性率が5000〜7000MPaである。上記範囲内にある場合は、実装状態におけるベルトの長期安定的な駆動と、安定な電気特性による良好な画像の確保を達成することができる。一方、上記範囲の特性値を達成できない場合は、定着ベルトとして長期駆動させた場合に、ベルト端部の座屈や裂け、塵等の画像不具合を生じやすく、好ましくない。
<カーボンブラック分散液>
本発明のカーボンブラック分散液は、カーボンブラックを溶媒に分散させたものであり、導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物(アミド化合物を除く)とを含有する。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によって、酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや、溶剤への分散性を向上させたものを用いることが好ましい。また、定着ベルト等の低抵抗(表面抵抗率が10〜10Ω/□)での制御を行うことが好ましい。
なお、本発明におけるカーボンブラックとして、導電性指標が40〜500のものを使用するが、具体的には、東海カーボン社製 ♯4550(比表面積99m/g、DBP吸油129cm/100g、揮発分1.8、導電性指標40)、東海カーボン社製 ♯4600(比表面積142m/g、DBP吸油130cm/100g、揮発分1.8、導電性指標49)、三菱化学社製♯3400B(比表面積154m/g、DBP吸油173cm/100g、揮発分1.0、導電性指標82)、キャボット社製 バルカンXC−72(比表面積254m/g、DBP吸油178cm/100g、揮発分1.5、導電性指標85)、デンカ社製 アセチレンブラック(比表面積61m/g、DBP吸油190cm/100g、揮発分0.05、導電性指標103)、ライオン社製 ケッチェンEC(比表面積1000m/g、DBP吸油350cm/100g、揮発分0.8、導電性指標329)、ライオン社製 ケッチェンEC600JD(比表面積1270m/g、DBP吸油495cm/100g、揮発分0.7、導電性指標466)などが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
なお、導電性指標とは、次式により算出できる。

導電性指標=(比表面積×DBP吸油量)1/2/(1+揮発分)
前記カーボンブラックの導電性指標は40〜500であり、好ましくは60〜400である。導電指標が40未満であると、ポリイミドベルトの表面抵抗率を10Ω/□以下にすることが困難となる。一方、500を越えると、カーボンブラックを分散させることが困難となる。
ここで、揮発分とは、JIS K 6221に準じ、加熱前のカーボンブラックの重量(W)と、950℃で7分間加熱した後のカーボンブラックの重量(W)を測定し、次式より算出できる。

揮発分(%)=(W−W)/W×100
前記カーボンブラックの揮発分は、0.05〜2重量%であることが好ましい。その揮発分の成分としては、カーボンブラック粒子の表面に存在するカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、フェノール基等の酸素含有基であることが知られている。
また、比表面積は、100m/gより高いことが好ましく、DBP吸油値(cm/100g)は、130より高いことが好ましい。
ここで、比表面積とは、カーボンブラックの単位質量当たりの表面積(m)をいい、DBP吸油とは、ジブチルフタレートアブソープトメータによる値をいう。
カーボンブラックの含有量については、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、画像形成装置用機能性ベルトとしてはその機械的強度等から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。カーボンブラックの含有量が3重量%未満であると、抵抗値のコントロールが困難となり、また、ベルト内のバラツキが大きくなりやすい。一方、40重量%を越えると、ベルトの機械的強度が低下しやすくなる。
カーボンブラックの分散液中の含有量は、2〜20重量%が好ましく、より好ましくは4〜15重量%である。カーボンブラック含有量が高いほど、分散させることが困難となり、また、カーボンブラックの凝集・沈殿が発生しやすく保存安定性が著しく低下する。一方、含有量が低い場合には、導電特性の効果を発揮することができない。
カーボンブラックの分散方法には公知の分散方法を適用することができ、上記アミノ化合物を溶解した溶液にカーボンブラックを添加した後、例えば、ナノマイザー、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波などの方法を適宜選択して分散作業を行うことができる。その中でも、特にナノマイザー、ビーズミル、超音波が好ましい。上記分散方法を用いることにより、カーボンブラックの粒度分布が狭く、バラツキの小さい分散液が得られる。
本発明のカーボンブラック分散液の製造方法は、まず溶媒中に前記アミノ化合物を溶解し、ここにカーボンブラックを添加・分散させ、カーボンブラック分散液を調製する。
前記アミノ化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの1級、2級、3級アミンのいずれであってもよい。これらのアミノ化合物は、単独で又は2種以上併用して使用することができる。但し、カーボンブラック分散液におけるカーボンブラックの分散性の点から、前記アミノ化合物の分子量は210以下であり、より好ましくは80〜120である。前記アミノ化合物の分子量が210を超えると、溶媒に溶けにくく、その溶液の粘度が高くなる傾向にある。また、カーボンブラックに対して濡れ性が悪くなり、ゲル化しやすい傾向がある。なお、前記アミノ化合物を2種以上併用する場合には、その一部のアミノ化合物の分子量が210以上でも構わない。
前記アミノ化合物の分散液中の含有量は、0.02〜13重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.4重量%である。ここで、アミノ化合物の含有量が0.02重量%未満であると、カーボンブラックの分散性が悪く、カーボンブラックが凝集し、一方、13重量%を超えると、ポリイミドの分子量が低下する。
本発明において用いる溶媒として、カーボンブラックの分散性を高めるものであれば、特に制限されないが、カーボンブラックの分散用と重合反応の溶媒用として兼用できるものが好ましい。具体的には、N,N−ジアルキルアミド類が有用であり、この中で、低分子量のものとしては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が用いられる。また、上記以外であれば、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられるが、特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
本発明の導電性ポリイミドベルトの製造方法は、まず、前記分散液にジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分を溶解、重合させてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を調製する。
前記テトラカルボン酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられるが、特に好ましくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5 −メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
本発明では、前記アミノ化合物として、上記以外のアミノ化合物を添加してもよいが、少なくとも前記ジアミン成分の一部を添加することが、より好ましい。そして、前記カーボンブラック分散液に、残部のジアミン成分を添加し、更にテトラカルボン酸二無水物成分を添加して、前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を調製することが好ましい。
その場合、前記アミノ化合物の添加量が、前記カーボンブラックに対して1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、3〜15重量%である。また、前記アミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物成分のモル比は、アミノ化合物がテトラカルボン酸二無水物成分に対して、等モル未満であり、より好ましくは前記モル比が、アミノ化合物/テトラカルボン酸二無水物成分=0.01〜0.1である。
重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定される。通常は、5〜25重量%程度が好ましい。また反応温度は30℃以下が好ましく、特に好ましくは10〜25℃である。
触媒としては、特に限定されないが、イミダゾール系、2級アミン、3級アミンなどが挙げられる。これらの触媒は低温でのイミド化促進剤としても有効である。
上記の反応により得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は55〜75℃が好ましい。
<導電性ポリイミドベルトの製造方法>
上記のように得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて、本発明の導電性ポリイミドベルトは以下に示す方法により作製される。
まず、円筒金型内に上記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。このとき前記溶液の粘度は、B型粘度計で100〜300Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ポリイミドベルトの厚みバラツキの原因となる。製膜後、90〜150℃にて加熱を行い、溶媒を除去する。
次いで、300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応を進行させた後、金型から取り出す。この溶媒除去及びイミド化反応時の加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶剤蒸発時において、カーボンブラックの凝集バラツキが発生し、ポリイミドベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら加熱する、熱風の循環を改善する等の方法や、低温で投入し昇温速度を小さくする等の方法がある。
本発明の製造方法により得られた導電性ポリイミドベルトは、カーボンブラックの分散性が良く、電気抵抗値のバラツキが小さい。また、定着ベルト等として使用した場合、印刷シートに転写したトナー像を静電気で散らすことなく、良好な画質で定着することが可能となる。
本発明の製造方法で得られる導電性ポリイミドは、その表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が5以下であることが好ましく、より好ましくは2〜4である。表面抵抗率の常用対数値が5を超えると、帯電による紙の巻き付き等の不具合の原因となる。
前記引裂強度が6N/mm以上が好ましく、より好ましくは7〜9N/mmである。ここで、6N/mm未満であると、ベルトの成形の際に、割れやつぶれが発生する恐れがあり、ベルト駆動の際に、裂けに対して弱いものとなる。
前記耐折強さが1000回以上であることが好ましく、より好ましくは2000〜20000回である。ここで、1000回未満であると、ベルト端部に応力が加わった場合、屈曲や裂けが生じやすくなる。
前記引張弾性率が4000MPa以上であることが好ましく、より好ましくは5000〜7000MPaである。ここで、4000MPa未満であると、ベルト端部で、よりを制御する際に、座屈や裂けを起こす恐れがある。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における物性等の評価方法は次のとおりである。
(実施例1)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)99g中にp−フェニレンジアミン(PDA)21.6gを溶解し、ここに乾燥した導電性指標82のカーボンブラック(三菱化学社製、ファーネスブラック、揮発分1重量%)11gを添加し、周波数40kHzの超音波で、室温にて1時間混合を行い、カーボンブラック分散液を得た。
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液131.5gに、NMP267gを添加し、次いで3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)58.8gを窒素雰囲気中で室温にて投入し、溶解した。続いて、2−フェニルイミダゾール5.8gを添加し、撹拌しながら加温し、65℃で15時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック15部、固形分20重量%)を得た。
<導電性ポリイミドベルトの製造方法>
前記溶液を内径80mm、長さ850mmの円筒状金型の内面に、ディスペンサにて最終の厚さが400μmとなるよう塗布し、その後、1500rpmで10分間回転させて、均一な展開層を得た。その後、熱風を均等に循環させた130℃の乾燥炉内にて40rpmでドラム金型を回転させながら、20分間加熱し、さらに220℃まで昇温させ、そのまま20分加熱を続け、膜を形成した。金型内面より円筒状の膜を剥離し、パイプに差し替え、更に400℃で30分間加熱し、イミド転化を行い、80μmの導電性ポリイミドベルトを得た。
(実施例2)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
NMP4451g中にジエタノールアミン25gを溶解し、ここに乾燥した導電性指標82のカーボンブラック(三菱化学社製、ファーネスブラック、揮発分1重量%)495gを添加し、ビーズミルで、室温にて1時間混合を行い、カーボンブラック分散液を得た。分散条件は、ビーズ径0.1mm、ジルコニアビーズ1kg、ミル回転数2000rpm、流量700g/分とし、2時間撹拌したものを、カーボンブラック分散液とした。
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液110.5gに、NMP267gを添加し、窒素雰囲気中で室温にて投入し、次いで2−フェニルイミダゾール5.8g及びPDA21.1gを加え、最後に、BPDA58.8g撹拌しながら加温し、65℃で8時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック15部、固形分20重量%)を得た。
<導電性ポリイミドベルトの製造方法>
上記導電性ポリイミドベルトを上記、実施例1と同様の方法で行った、
(実施例3)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
NMP4451g中に、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド30gとジエタノールアミン20gを溶解し、ここに乾燥した導電性指標82のカーボンブラック(三菱化学社製、ファーネスブラック、揮発分1重量%)495gを添加し、ビーズミルで、室温にて1時間混合を行い、カーボンブラック分散液を得た。分散条件は、実施例2と同様である。
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法及び導電性ポリイミドベルトの製造方法は、実施例2と同様の方法で行った。
(実施例4)
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液110.5gに、NMP267gを添加し、窒素雰囲気中で室温にて投入し、次いでイソキノリン5.2g及びPDA21.1gを加え、最後に、BPDA58.8g撹拌しながら加温し、65℃で12時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック15部、固形分20重量%)を得た。
カーボンブラック分散液の製造方法及びは導電性ポリイミドベルトの製造方法は、実施例3と同様の方法で行った。
(比較例1)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
NMP2800g中に、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(ISP社製、K−90、分子量3.7×10)395gを溶解し、ここに乾燥した導電性指標85のカーボンブラック(キャボット社製、ファーネスブラック、揮発分1.5重量%)495gを添加し、ビーズミルで、室温にて1時間混合を行い、カーボンブラック分散液を得た。分散条件は、実施例2と同様である。
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液73.3gに、NMP303.6gを添加し、窒素雰囲気中で室温にて投入し、次いで2−フェニルイミダゾール5.8g及びPDA21.6gを加え、最後に、BPDA58.8g撹拌しながら加温し、65℃で8時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック15部、固形分20重量%)を得た。
導電性ポリイミドベルトの製造方法は、実施例3と同様の方法で行った。
(比較例2)
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液73.3gに、NMP303.6gを添加し、窒素雰囲気中で室温にて投入し、次いでイソキノリン5.2g及びPDA21.6gを加え、最後に、BPDA58.8g撹拌しながら加温し、65℃で8時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック15部、固形分20重量%)を得た。
カーボンブラック分散液の製造方法及びは導電性ポリイミドベルトの製造方法は、比較例1と同様の方法で行った。
(比較例3)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
実施例3のカーボンブラックを、導電性指標15のカーボンブラック(デグサ社製、チャンネルブラック、比表面積180m/g、DBP吸油280cm/100g、揮発分14%)に変更したこと以外は同様の方法で行った。
<カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法>
上記分散液102.6gに、NMP296.2gを添加し、窒素雰囲気中で室温にて投入し、次いでイソキノリン5.2g及びPDA21.6gを加え、最後に、BPDA58.8g撹拌しながら加温し、65℃で10時間加熱を続け、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(ポリイミド固形分100部に対して、カーボンブラック21部、固形分20重量%)を得た。
導電性ポリイミドベルトの製造方法は、実施例3と同様の方法で行った。
<評価方法>
(1)表面抵抗率
JIS K7194に準拠して、ロレスターGP(三菱化学製)に接続した4探針プローブ(MCP−TP03P)をベルト表面に押し当てて測定した。
(2)引張弾性率
JIS K6301に準拠して、引張速度100mm/分において、ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)につき、測定した。
(3)引裂強度
JIS K7128−1トラウザー引裂法に準拠して、引張速度20mm/分において、試験片(全長150mm/幅75mm)につき、測定した。
(4)MIT耐折強さ
JIS P8115に準拠して、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175回/分において、試験片(全長110mm/幅15mm)が破断するまでの往復折り曲げ回数を測定した。
Figure 2007302769
<評価結果>
表1に示した評価結果から、本発明に示した製造方法を用いた実施例1〜4のいずれにおいても、導電特性、引張弾性率、引裂強度、及び耐折強さに優れたポリイミドベルトが得られた。
特に実施例1においては、カーボンブラック分散液を製造する際に、アミノ化合物であるp−フェニレンジアミンを添加し、その後のポリアミド酸溶液の製造時に添加するジアミン成分と兼用することができるため、製造工程における簡略化を図ることができた。また、引裂強度及び耐折強さにおいて、特に優れたポリイミドベルトが得られた。
一方、比較例1及び2では、カーボンブラック分散液を製造する際に、アミノ化合物として、分子量が210を超える高分子量のポリ(N-ビニル−2−ピロリドン)を添加してポリイミドベルトを製造した場合、引裂強度及び耐折強さが目標値を下回る結果となった。
また、比較例3では、導電性指標が40未満のカーボンブラックを使用してポリイミドベルトを製造した場合、表面抵抗率の常用対数値が9.0と非常に高く、目標値を満足することができなかった。
以上より、本発明の導電性ポリイミドベルトの製造方法等を用いることにより、導電特性、引張弾性率、引裂強度、及び耐折強さに優れた導電性ポリイミドベルトを得ることが確認できた。

Claims (6)

  1. カーボンブラックを溶媒に分散させたカーボンブラック分散液において、
    導電性指標が40〜500のカーボンブラックと、分子量210以下のアミノ化合物とを含有することを特徴とするカーボンブラック分散液。
  2. カーボンブラックが溶媒に分散し、更にテトラカルボン酸二無水物成分、及びジアミン成分を含有する溶液を重合させるポリアミド酸溶液の製造方法において、
    前記カーボンブラックを分散させるにあたり、導電性指標が40〜500のカーボンブラックを用いると共に、予め分子量210以下のアミノ化合物を溶媒に添加しておくことを特徴とするポリアミド酸溶液の製造方法。
  3. 前記アミノ化合物として、少なくとも前記ジアミン成分の一部を添加する請求項2記載のポリアミド酸溶液の製造方法。
  4. 前記アミノ化合物の添加量が、前記カーボンブラックに対して1重量%以上で前記テトラカルボン酸二無水物成分の等モル未満であり、
    前記カーボンブラックを溶媒に分散した後に、残部のジアミン成分を添加し、更にテトラカルボン酸二無水物成分を添加して溶液を調製する請求項3記載のポリアミド酸溶液の製造方法。
  5. 請求項2〜4いずれかに記載のポリアミド酸溶液の製造方法によりポリアミド酸溶液を調製する工程と、そのポリアミド酸溶液をベルト状に成形してイミド転化させる工程とを含む導電性ポリイミドベルトの製造方法。
  6. 請求項5記載の導電性ポリイミドベルトの製造方法によって得られる導電性ポリイミドベルトであって、
    表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が5以下、引裂強度が6N/mm以上、耐折強さが1000回以上、引張弾性率が4000MPa以上である導電性ポリイミドベルト。
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KR20150003166A (ko) 2012-04-20 2015-01-08 가부시키가이샤 가네카 도전성 폴리이미드 필름의 제조 방법

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