JP4404312B2 - 半導電性シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

半導電性シームレスベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カラー複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリなどの電子写真記録装置において、感光体ベルト、中間転写ベルト、転写搬送ベルト等として好適に使用できる半導電性シームレスベルト製造方法に関する。
従来、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置としては、カラー複写機やレーザプリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写(一次転写)し、それを印刷シート上に転写(二次転写)してから定着を行う中間転写方式等が検討されている。また、装置の小型化等を目的に、転写搬送ベルトを使用して転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる方式も検討されている。
このような中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用いるベルトとして、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開昭63−311263号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報
しかし、これまでに提案されているポリイミド樹脂からなる半導電性ベルトは、導電性フィラーの1つである汎用カーボンブラックをポリイミド系樹脂に均一分散させた場合には、温度、湿度等の環境変化に対する電気抵抗値の変動は小さいが、カーボンブラックを均一に分散させることが非常に難しい。
つまり、一般に、カーボンブラックは二次凝集を起こしやすく、凝集により導通経路が生じ、ベルト内での電気抵抗値のばらつきにつながる。そのようなベルトを電子写真記録装置の中間転写ベルトとして用いた場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラが生じるなどの問題がある。このように電気抵抗値のバラツキが中間転写に影響するのは、中間転写ベルトの帯電抑制能の不均一化や、導電抑制能の不均一化により、局所的な剥離放電や導電が生じやすくなるためと考えられる。
一方、電子写真記録装置の中間転写ベルトや転写ベルトに限らず、中間転写ベルトに要求される帯電抑制能や導電抑制能は用途により程度に差があるものの、均一なものほど好ましい。高画質の転写画像を得るために、中間転写体の電気抵抗値は所定の範囲に制御され、かつ中間転写体の面内バラツキ(抵抗値の最大値と最小値の差)が少なく、かつ印加電圧が変化しても電気抵抗値が大きく変化しないことが求められる。そして、また長期耐久試験において経時的な電気抵抗値の変動が少ないことが、高画質の転写画像を常に得るために必要である。
また、同種のカーボンブラックを用いた場合でも、凝集を生じている場合、樹脂に対するカーボン配合量によるその抵抗値の変化が急激なものとなり、中間転写ベルトに要求される抵抗値領域での抵抗値制御が非常に困難なものとなる。
そこで、本発明の目的は、導電性フィラーの凝集が抑制され、電圧依存性が極めて小さく、電気抵抗値のバラツキが小さく、経時的な電気抵抗の変化の小さい半導電性シームレスベルトおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す半導電性シームレスベルトおよびその製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂からなる半導電性シームレスベルトであって、該半導電性シームレスベルトの表面抵抗率の常用対数値が9〜11(logΩ/□)であり、かつ100V及び500Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.5(logΩ/□)以内であることを特徴とする。
上記のように、中間転写ベルトや転写ベルトなどにあっては、高画質の転写画像を得るためには電気抵抗値は所定の範囲に制御され、かつ印加電圧が変化しても電気抵抗値が大きく変化しないことが求められる。特に、こうしたベルトは抵抗値の電圧依存性が大きいため、転写部において印加した電圧集中等の電気的負荷により、電気抵抗値が低下する場合がある。このような電気抵抗値の低下は転写時にベルトに過大な電流を流すため、一度転写したトナーが再転写する等画像上の不具合を発生させる。また、このような抵抗低下は、電子写真方式の画像形成装置における半導電性ベルトの寿命の短命化につながるおそれがある。本発明者は、表面抵抗率を限定するとともに、その電圧依存性についても所定範囲に制限することによって、抵抗低下を防止することができることを見出したもので、こうしたベルトを供給することによって、ベルトの交換等のメンテナンスを軽減しランニングコストを低減することが可能となった。
本発明は、半導電性シームレスベルトの製造方法であって、導電性フィラーを分散させた分散液に酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液の製造工程を有する半導電性シームレスベルトの製造方法において、20℃以下に導電性フィラーを分散させた分散液を調整した後、酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させ、重合により溶液粘度が上昇したポリアミド酸溶液を、加熱しながら無攪拌状態で粘度調整を行うことを特徴とする。
本発明者は、半導電性シームレスベルトの製造工程において、電気抵抗値のバラツキあるいはその電圧集中に起因する抵抗低下を生じる要因が導電性フィラーの凝集によるものであり、その凝集が導電性フィラーを分散させた分散液に酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し重合する工程での温度と、上昇した溶液粘度を低下させる工程でのポリアミド酸溶液中の混練状態に大きく依存することを見出した。つまり、分散液を低温状態にして導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を作製し、重合したポリアミド酸溶液の粘度低下工程を無攪拌状態とすることによって、大幅に導電性フィラーの凝集を防止することができることとなった。これによって、電圧依存性が極めて小さく、電気抵抗値のバラツキが小さく、経時的な電気抵抗の変化の小さい半導電性シームレスベルトの製造方法を提供することが可能となった。
本発明は、上記半導電性シームレスベルトの製造方法であって、前記加熱温度が50〜90℃であることを特徴とする。
半導電性シームレスベルトの成形工程においては、導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液を均一に展開し、均一な厚みを有するベルトを作製する必要がある。このとき、ポリアミド酸溶液の均一な展開には、溶液粘度の制御が非常に重要な要素であり、本発明においては、上記の低温状態でのポリアミド酸溶液の作製を行うとともに、重合したポリアミド酸溶液の無攪拌状態での粘度低下工程において溶液の温度を所定範囲に制御することによって、導電性フィラーの凝集を防止しつつ均一なポリアミド酸溶液の展開を可能にした。従って、ベルト内部の電気抵抗の均一性とともに、ベルトの外形的な均一性を確保した半導電性シームレスベルトの優れた製造方法を提供することが可能となった。
以上のように、本発明の半導電性シームレスベルトは、導電性フィラーの凝集が小さく電圧依存性が極めて小さいために、抵抗の面内バラツキを小さくし、電気的な負荷や経時による抵抗低下を小さくすることができることから、画像形成装置における転写ベルト等に好適に用いることができる。
また、半導電性シームレスベルトの製造過程において、低温分散あるいは無攪拌状態での粘度制御など最適な重合条件によって、導電性フィラーの凝集が抑制され、電圧依存性が極めて小さく、電気抵抗値のバラツキが小さく、経時的な電気抵抗の変化の小さい半導電性シームレスベルトおよびその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の半導電性シームレスベルトは、導電性フィラーを含有するポリイミド樹脂からなる。以下、導電性フィラーとしてカーボンブラックを用いた中間転写ポリイミドベルトを中心に説明する。
本発明の中間転写ベルトは、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして用いられる場合、その表面抵抗率の常用対数値が9〜11(logΩ/□)であることが好ましい。表面抵抗率の常用対数値が9よりも低くなると、トナーのチリ(飛び散り)が起こり画質が粗くなってしまうおそれがある一方、表面抵抗の常用対数値が11よりも高すぎると、転写時の電荷がベルトに残り画像ムラをおこすおそれがあるため、適正な範囲内にあることが望まれる。特に、画像形成装置等において、像保持体から中間転写体にトナー像が転写されるとき、中間転写体は絶縁体的な働きをして形成された電荷が有効にトナーに働く一方、中間転写体へ転写されたトナーが持っている静電気は転写効率や画像に大きな影響を与えることがあり、中間転写体にわずかな導電性を保持させることができれば、記録紙等に転写する前にこの静電気は中間転写体を介してアースに逃げて、転写における静電気の影響はほとんどなくなる。その場合の表面抵抗率の常用対数値は、9〜11(logΩ/□)の範囲であるのが好ましい。なお、ここでいう表面抵抗率は後述する<評価方法>における測定値を基準とする。
また、中間転写ベルトに100V及び500Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.5(logΩ/□)以内であり、0.35(logΩ/□)以内であることがより好ましい。本発明者の知見として、表面抵抗率の電圧依存性である常用対数値の差が0.5(logΩ/□)を超えると、電圧集中等の電気的負荷により、電気抵抗値が低下する場合があることを見出したもので、このような電気抵抗値の低下は転写時にベルトに過大な電流を流すため、一度転写したトナーが再転写する等画像上の不具合を発生させる。従って、表面抵抗率の電圧依存性を所定範囲内とし、その確認を行うことによって、電気抵抗の経時的変化の小さい半導電性シームレスベルトを確保することができる。
本発明の中間転写ポリイミドベルトを製造するには、原料として本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いる。
本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法は、(1)カーボンブラックを分散させた分散液を作製し、(2)該分散液を20℃以下に調整し、(3)該分散液に酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、(4)重合させた後、(5)重合により溶液粘度が上昇したポリアミド酸溶液を加熱しながら無攪拌状態にて粘度調整を行うことを特徴とする。以下、本発明のカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の製造方法について説明する。
(1)まず、有機極性溶媒中にカーボンブラックを分散させ、カーボンブラック分散液を作製する。このとき、カーボンブラックを添加した溶液を、攪拌羽根によって攪拌し分散させる。攪拌羽根は、適宜公知のものを使用することができ、羽根のサイズ、形状は特に制限されるものではない。
(2)分散液を低温状態にして、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を作製する。具体的には、カーボンブラックを分散させた分散液を20℃以下に調整することが好ましい。20℃を超えるとカーボンブラックの凝集あるいは分散のバラツキが生じやすくなるためであり、20℃以下の条件を維持することによって、電圧依存性が極めて良好で、電気抵抗値のバラツキが小さな中間転写ポリイミドベルトの作製をすることができる。
(3)このようにして得られたカーボンブラック分散液を溶媒として、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミン成分を溶解させる。この際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定され、通常、5〜30重量%程度が好ましい。
(4)重合させてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を作製する。反応温度は50℃以下、特に0〜40℃に設定することが好ましく、反応時間は5〜10時間程度に設定することが好ましい。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成されるならば、上記の酸二無水物成分及びジアミン成分を共重合したものでもブレンドしたものでも構わない。
(5)重合により溶液粘度が上昇したポリアミド酸溶液を加熱しながら無攪拌状態にて粘度調整を行う。つまり、ポリアミド酸溶液中のカーボンブラックの凝集は、粘度上昇後に加熱しながら行う粘度調整のための攪拌工程中に生じることが確認できている。凝集の程度は、高粘度時に高速回転で攪拌して粘度を低下させたものほど凝集が大きくなる傾向がある。一方、上記の反応により得られたアミド酸溶液は、その溶液粘度が上昇するが、そのまま加熱を行うと溶液粘度が低下する。この現象を利用して、アミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。
このときの加熱温度は、溶液粘度の低下を促進させるため,50〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。50℃よりも低い温度では、溶液粘度が高くなりベルト作製時において均一な展開が難しくなり、ベルトの厚みバラツキが生じる原因となりうる。加熱時間は、下記溶液粘度に達するまで行えばよい。
また、カーボンブラックの凝集を抑制するために無攪拌状態にすることが好ましい。撹拌を行った場合には、溶液粘度低下時にカーボンブラックの凝集が発生しやすくなるためであり、無攪拌状態にすることによって電気抵抗値のバラツキの少ない中間転写ポリイミドベルトの作製が可能となる。
このように得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の溶液粘度は、B型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)とすることが好ましい。溶液粘度が1Pa・sより小さい場合あるいは1000Pa・sを超える場合は、遠心成形などの塗膜形成の際に、均一に展開することが困難であり、ベルトの厚みバラツキが生じる原因となりうる。
このように作製されたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて、本発明の中間転写ベルトは次のように作製される。まず、円筒金型内に前記溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。製膜後、加熱により溶媒を除去した後、さらに300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応を進行させた後、金型から取り出す。この金型への加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶剤蒸発時においてもカーボンブラックの凝集バラツキが発生し、ベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら加熱する、熱風の循環の改善等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくするなどの方法がある。
このようにして得られた中間転写ベルトは、カーボンブラックの凝集が抑制され、電圧依存性が極めて良好で、電気抵抗値のバラツキが小さく、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして使用した場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラが生じることなく、良好な画像を転写することが可能になる。
以下、上記の中間転写ベルトの作製において使用される試剤あるいはその調整の詳細について述べる。
導電性フィラーとしては、カーボンブラックに限らず、酸化チタン、アルミニウム、ニッケル、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機化合物やポリアニリンやポリピロールなどに代表される導電性高分子を用いることができる。特に、抵抗制御や抵抗低下の観点からは、各種導電材料を均一に分散させることが重要である。そのため、カーボンブラック等を用いる場合は、分散性の良いカーボンブラックなどの導電性フィラーの選定や分散方法を適宜選択する必要がある。また、導電性高分子などを用いる場合には、樹脂素材が溶解されている溶媒と同じものに溶解することが望ましい。これら各種導電材料の含有量は、導電材料の種類に応じて適宜選択することができるが、樹脂に対して5〜50重量%程度が好ましく、より好ましくは7〜40重量%である。この含有量が5重量%未満であると、電気抵抗の均一性が低下し、耐久使用時の表面抵抗率の低下が大きくなる場合がある。一方、50重量%を超えると、所望の抵抗値が得られ難く、また、成型物として脆くなるため好ましくない。
代表的導電性フィラーであるカーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独使用することもでき、または複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の中抵抗から高抵抗域(表面抵抗率の常用対数値が9〜11(logΩ/□)、体積抵抗率の常用対数値が7〜9(logΩ・cm)において制電性が必要である場合は、特にチャンネルブラックやファーネスブラックが好適に用いられ、その用途によっては酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いると好ましい。カーボンブラックの含有量については、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、画像形成装置用機能性ベルトとしてはその機械的強度等から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%である。
具体的には、ファーネスブラックとして、デグサ・ヒュルス社製の「Spec1al Black 550」、「Special Black 350」、「Special Black 250」、「Special Black 100」、「Printex 35」、「Printex 25」、三菱化学社製の「MA 7」、「MA 77」、「MA 8」、「MA 11」、「MA 100」、「MA 100R」、「MA 220」、「MA 230」、キャボット社製、「MONARCH 1300」、「MONARCH 1100」、「MONARCH 1000」、「MONARCH 900」、「MONARCH 880」、「MONARCH 800」、「MONARCH 700」、「MOGUL L」、「REGAL 400R」、「VULCAN XC−72R」等が挙げられ、チャンネルブラックとしてデグサ・ヒュルス社製の「Color Black FW200」、「Color B1ack FW2」、「Color Black FW2V」、「Color Black FW1」、「Color Black FW18」、「Special Black 6」、「Color Black S170」、「Color Black S160」、「Special Black5」、「Special Black 4」、「Special Black 4A」、「Printex 150T」、「Printex U」、「Printex V」、「Printex 140U」、「Printex 140V」等が挙げられる。
本発明に用いる有機極性溶媒は、カーボンブラックなどの導電性フィラーの分散性を高めるものであれば特に制限されないが、カーボンブラックなどの導電性フィラーの分散用と重合反応の溶媒用とを兼用できるN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のものとしてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは、蒸発、置換又は拡散によりポリアミド酸及びポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N‐ジエチルホルムアミド、N,N‐ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併せて使用しても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロへキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。
本発明に用いるカーボンブラックなどの導電性フィラー分散液には、前記カーボンブラックなどの導電性フィラーと前記有機極性溶媒との親和性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
カーボンブラックなどの導電性フィラーの分散方法には公知の分散方法を適用でき、例えば、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波分散等の方法が挙げられ、これらの分散方法を適宜選択して分散作業を行う。カーボンブラックの分散状態を調べる方法は、特に制限されないが、例えば顕微鏡にて目視観察する方法が挙げられる。
酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンニ無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロへキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレシジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
以下、具体的実施例により本発明をさらに説明する。また、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。なお、本発明がかかる実施例、評価方法に限定されるものでないことはいうまでもない。
<評価方法>
(1)表面抵抗率
実施例および比較例で得られたポリイミドベルトについて、ハイレスタUP MCP−HT450(三菱化学社製、プローブ:UR)を用い、印加電圧100V、10秒間の測定条件にて、25℃、60%RHでの表面抵抗率を調べた。測定は、得られたベルトを周方向に8分割、幅方向に3分割して、ベルト面内24点計測し、その平均値を表面抵抗率とした。また、それらの最大値と最小値の対数値の差を、表面抵抗率の面内バラツキ(△R)とした。
(2)表面抵抗率の電圧依存性
本実施例における表面抵抗率の電圧依存性は、表面抵抗率を測定する時の印加電圧を100Vと500Vにして計測し、表面抵抗率の対数値をとり、その差分を算出した。
(3)画像、耐久性
得られた中間転写ベルトをタムデム式中間転写ベルトとして、実際の複写機に組み込み、普通紙による1万枚の画像形成テストを行った。画像の良好なものに○、画像に欠陥(白抜け画像)のあるものは×とした。また、表面抵抗率の変動を測定した。
<実施例1>
N−メチル−2−ピロリドン4241.5gにカーボンブラックPrintex V(デグサジャパン社製)184.2gをボールミルで室温(25℃)にて12時間混合した。得られたカーボンブラック分散液を15℃に調整し4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)419.4gとピロメリット酸二無水物(PMDA)456.8gとを室温にて溶解し、重合した。反応により増粘した溶液を、回転を停止し60℃で、無攪拌状態にて12時間加熱することにより溶液粘度110Pa・sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
この溶液を内径200mm長さ500mmのドラム金型内周面に,ディスベンサを介して塗布し、1500rpmで10分間回転させて、厚さ400μmの均一な展開層を得た。熱風を均等に循環させた150℃の乾燥炉内で250rpmでドラム金型を回転させながら、30分間加熱した。さらに2℃/minの速度で320℃まで昇温し、そのまま30分加熱を続け、イミド化を進行させた。室温に冷却した後金型内面より剥離し、厚さ75μmの中間転写ポリイミドベルトを得た。
<実施例2>
実施例1において、カーボンブラックの代わりに酸化チタン微粒子粉末(石原産業社製ET−300W、平均一次粒子径0.05μm、比重5.0)を280g(ポリイミド固形分に対して35重量%)使用し、溶液粘度100Pa.sとする以外は実施例1と同様の処理を行い、厚さ76μmの中間転写ポリイミドベルトを得た。
<比較例1>
得られたカーボンブラック分散液を20℃以下に調整せず、常温(25℃)で4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)419.4gとピロメリット酸二無水物(PMDA)456.8gとを室温にて溶解し、重合した。重合反応により粘度が上昇した溶液を、60℃で、回転速度100rpmにて12時間攪拌することにより溶液粘度120Pa.sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た以外は実施例1と同様にして、厚さ75μmの中間転写ポリイミドベルトを得た。
<比較例2>
得られた酸化チタン分散液を20℃以下に調整せず、比較例1と同様に重合反応により粘度が上昇した溶液を、60℃で、回転速度100rpmにて12時間攪拌することにより溶液粘度120Pa.sの酸化チタン分散ポリアミド酸溶液を得た以外は実施例1と同様にして、厚さ75μmの中間転写ポリイミドベルトを得た。
<評価結果>
上記試料を評価した結果、表1の通りとなった。
Figure 0004404312
表1から、実施例1および実施例2の中間転写ベルトは、表面抵抗率の常用対数値が10〜11(logΩ/□)の範囲内で、表面抵抗率の面内バラツキ、表面抵抗率の電圧依存性、および実際の複写機に組み込み、普通紙による1万枚の画像形成テスト後の表面抵抗率の変動幅は0.5(logΩ/□)以内にあり、非常に良好な画像が得られた。特に、電圧依存性が良好で0.5(logΩ/□)以内にあることから、システム上必要な電圧変化、例えば環境の変化や用紙の厚みに伴う転写電流の制御などに対しても、容易に行うことが可能になった。また、連続使用に対する表面抵抗率の変動幅が小さいことは、画像形成装置の信頼性と安定性を獲得するとともに、中間転写性ベルトの交換によるコストを抑制できるなどの利点があり、さらに、転写ローラや支持ローラに対しても汎用性が広がり、システム全体のコスト抑制も得ることができる。
一方、比較例1および比較例2の中間転写ベルトは、表面抵抗率の常用対数値が10〜11(logΩ/□)の範囲内であったが、表面抵抗率の面内バラツキ、表面抵抗率の電圧依存性および実際の複写機に組み込み、普通紙による1万枚の画像形成テスト後の表面抵抗率の変動幅が大きく、1万枚の画像形成テスト後の画像が白く抜ける問題が発生し、実使用に耐えるものではなかった。

Claims (2)

  1. 導電性フィラーを分散させた分散液に酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させる導電性フィラー分散ポリアミド酸溶液の製造工程を有する半導電性シームレスベルトの製造方法において、20℃以下に導電性フィラーを分散させた分散液を調整した後、酸二無水物成分とジアミン成分を溶解し、重合させ、重合により溶液粘度が上昇したポリアミド酸溶液を、加熱しながら無攪拌状態で粘度調整を行うことを特徴とする半導電性シームレスベルトの製造方法。
  2. 前記加熱温度が50〜90℃であることを特徴とする請求項記載の半導電性シームレスベルト製造方法。
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