JP2005345901A - 半導電性ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】 実際に画像形成装置に用いても高い機械特性を有し、抵抗の面内バラツキが小さく、電気的な負荷や経時による抵抗低下が小さく、形状精度が良好で、特に表面摩擦抵抗が小さく、耐ストレスクラッキング性も良好な半導電性ベルトを提供すること。
【解決手段】下記A成分およびB成分:(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる半導電性ベルトであって、前記ベルトの外周面および内周面の表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による外周面の表面粗さRaは0.5μm以下であることを特徴とする半導電性ベルト。
【選択図】 なし
【解決手段】下記A成分およびB成分:(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる半導電性ベルトであって、前記ベルトの外周面および内周面の表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による外周面の表面粗さRaは0.5μm以下であることを特徴とする半導電性ベルト。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリおよびこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる半導電性ベルトに関する。より詳しくは、前記画像形成装置の機能性ベルトとして、中間転写部、転写搬送部等に好適に用いられる半導電性ベルトに関する。
従来よりカラー用電子写真方式の画像形成方式として、シームレス形状の半導電性ベルトを用いた中間転写方式が知られている。この方式は、中間転写体である半導電性ベルトの上に複数の色のトナー像を転写(一次転写)して中間転写体上にフルカラー画像を得た後、紙やプラスチックシートからなる被転写材上へ一括転写(二次転写)する方式である。中間転写方式は、ドラム上に被転写材を巻き付けて転写を行う転写ドラム方式に比べ、被転写材を選ばないというメリットがある。近年、画像形成の高速化に鑑み、複数の現像器を中間転写体上に並べて設置したタンデム型転写方式が検討されている。この方式は、前記中間転写方式に比べ、各色毎に中間転写体上に像形成を行う必要がなく、転写ベルトを1回転させる間に像形成をすることができるものである。
このような半導電性ベルトを用いる転写方式を利用した画像形成装置においては、二次転写後の転写ベルト上にトナーが残存し、次の像形成を行う前に残存トナーを除去するためのクリーニング工程が必要であり、この工程にはクリーニングブレードを用いた方式が一般的に採用されている。クリーニングブレードを用いた転写方式においては、転写ベルトの表面性が画像欠陥やブレードめくれ、ストレスクラッキング等の問題を生じさせる。
特許文献1には、搬送転写体の画像担持面にフィラーによる突起を形成させることにより、クリーニングブレードのめくれや画像欠陥の発生を押える搬送転写体および画像形成装置が提案されている。しかしながら、このような転写搬送体の突起は、抵抗値のバラツキの原因となり、導電性フィラーであるカーボンブラック微粉末により突起を形成する場合、この突起に過大な電流が集中するため、転写ベルトの抵抗低下を引き起こす要因となりうる。
代表的な半導電性ベルトとして、ゴム材料、ポリカーボネート系樹脂材料またはポリイミド系樹脂材料からなるベルトが知られている。しかしながら、ゴム材料からなる半導電性ベルトは、導電性フィラーの均一な混合が困難なため、バラツキの少ない抵抗値の発現が難しい上に、表面が粗面となりやすく、かつ摩擦抵抗値が高い。このため、ゴム材料からなる半導電性ベルトを画像形成装置に用いると、ベルト上に残存したトナーをクリーニングするブレードのめくれが発生したり磨耗が進みやすくなるために、ベルトやブレードのメンテナンスや交換を頻繁に行う必要が生じたり、装置寿命が短くなるという問題点があった。ポリカーボネート系樹脂材料からなるベルトは、ストレスクラッキングを起こしやすいために、ベルト駆動時のロール屈曲部のストレス、ベルト端部に施した蛇行防止用のリブ接着部へのストレス、ベルトエッジ部にかかるストレスによってベルト転写面にクラックが発生し、ベルトが破損する等の問題が生じることがある。
ポリイミド系樹脂材料からなるベルトとして、導電性物質を含有させた熱硬化性ポリイミド樹脂を用いたシームレスベルトが提案されている(特許文献2および3を参照)。これらのベルトでは、電気抵抗バラツキの改善や機械特性の向上がなされている。また、画像形成装置の高速・高画質化に対応できるベルトとして、ベルトの製造に用いる金型の表面粗さを工夫することでベルト表面の特性を改善した半導電性ポリイミド樹脂ベルトが提案されている(特許文献4を参照)。また、定着ベルトとしての耐摩耗性に優れたポリイミド樹脂製ベルトとして、ポリイミド樹脂層にフッ素樹脂粉末が分散されたベルトが知られている(特許文献5を参照)。さらに、ポリイミド層を基材層として形成した転写定着ベルトも提案されている(特許文献6を参照)。
しかし、画像形成装置の高速・高画質化に対応するためには、さらなるベルトの改良が求められている。
特開2000−206798号公報
特許第2560727号明細書
特開平5−77252号公報
特開2002−287528号公報
特開平5−163360号公報
特開2003−177630号公報
本発明の目的は、実際に画像形成装置に用いても高い機械特性を有し、抵抗の面内バラツキが小さく、電気的な負荷や経時による抵抗低下が小さく、形状精度が良好で、特に表面摩擦抵抗が小さく、耐ストレスクラッキング性も良好な半導電性ベルトを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。すなわち、本発明の半導電性ベルトは、下記A成分およびB成分:
(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末
を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる半導電性ベルトであって、前記ベルトの外周面および内周面の表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による外周面の表面粗さRaは0.5μm以下であることを特徴とする。
(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末
を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる半導電性ベルトであって、前記ベルトの外周面および内周面の表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による外周面の表面粗さRaは0.5μm以下であることを特徴とする。
前記外周面の表面動摩擦係数は、クリーニングブレードとの摺擦性またはクリーニングブレードのめくれ抑制という観点から0.5以下であり、好ましくは0.4以下である。前記内周面の表面動摩擦係数は、ベルト駆動時のロール屈曲部のストレス、ベルト端部に施した蛇行防止用のリブ接着部へのストレス、ベルトエッジ部にかかるストレス等の応力緩和の観点から0.5以下であるが、小さすぎるとスリップが発生し駆動できないという問題が発生するため、0.2〜0.4が好ましい。前記表面動摩擦係数は、実施例に示す方法により測定した値である。
前記表面粗さRaは、画像形成装置で転写ベルトとして用いた場合に画像欠陥やクリーニングブレードのめくれを抑制するという観点から0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下である。前記表面粗さRaは、JIS B0601(1994)に準じて、実施例に示す方法により測定した値である。
本発明の半導電性ベルトにおいて、前記A成分およびB成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、それぞれ5.0μm以下であることが好ましく、前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜20重量%であり、前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%であることが好ましい。
本発明の半導電性ベルトは、画像形成装置で転写ベルトとして用いる場合、前記ベルトの外周面の表面抵抗率の常用対数値が9〜13(logΩ/□)であることが好ましく、より好ましくは10〜13(logΩ/□)である。前記表面抵抗率の常用対数値の最大値と最小値の差は、画像欠陥を抑制するためには1.0(logΩ/□)以内であることが好ましく、より好ましくは0.8(logΩ/□)以内である。前記表面抵抗率は、実施例に示す方法にて測定した値である。
前記ポリイミド樹脂系組成物は、ベルトの機械的強度および寸法安定性をさらに高めるためには、ポリアミド酸1モル当量に対して0.04〜0.3モル当量の触媒を含有するポリアミド酸溶液を加熱によりイミド転化して得られたものであることが好ましく、0.10〜0.20モル当量がより好ましい。
本発明の半導電性ベルトは、前記A成分およびB成分を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としたものであり、しかも表面粗さRaや表面動摩擦係数が所定の範囲内にあるため、形状精度が良好で表面摩擦抵抗が小さく、画像形成装置における転写ベルト等として好適に用いることができる。本発明によれば、かかる特性を有する半導電性ベルトは、前記A成分およびB成分の一次粒子に基づく平均粒子径と配合量を調節することにより達成することができる。また、本発明の半導電性ベルトは、前記A成分およびB成分の平均粒子径と配合量を調節することにより、B成分の凝集が少なく、ベルト外周面の表面抵抗率が所定範囲内にあるため、B成分の分散が均一であって、抵抗の面内バラツキが小さく、電気的な負荷や経時による抵抗低下が小さく、画像形成装置における転写ベルト等として好適に用いることができる。本発明ベルトの基材層を構成するポリイミド樹脂の製造において、触媒を通常の化学イミド化に使用する量よりも少量使用して、加熱によりイミド転化をした場合、ポリイミドの分子鎖の強度および配向効果が大きくなり、機械的強度および寸法安定性により優れた半導電性ベルトを提供することができる。
本発明の半導電性ベルトは、下記のA成分およびB成分:
(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層とするベルトである。
(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層とするベルトである。
前記A成分であるフッ素樹脂は特に限定されることなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等を用い得る。
前記A成分は、球状、鱗状または無定形等いずれであってもよいが、ポリイミド樹脂層への分散性の点から、粉末の一次粒子に基づく平均粒子径を5μm以下とするのが好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましい。
本発明において、「一次粒子に基づく平均粒子径」とは、エタノール等の有機溶剤中に超音波分散した液を試料として、光透過式遠心沈降法を用いた粒度分布測定器によって測定した値である。
前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。このような範囲内であると、半導電性ベルトの摩擦抵抗を抑えることができるので好適である。A成分の含有量が20重量%を超えると、得られる半導電性ベルトは機械的強度が低く、亀裂や割れが生じやすくなる傾向がある。
一方、前記B成分としては、例えばケッチェンブラックやアセチレンブラックの如きカーボンブラック、アルミニウムやニッケルの如き金属、酸化錫の如き酸化金属化合物やチタン酸カリウム等の導電性ないし半導電性の粉末、あるいはポリアニリンやポリアセチレンの如き導電ポリマーなどの適宜なものの1種または2種以上を用いることができ、その種類について特に限定はない。本発明においては、導電性の付与効果や均一な分散性等の観点から、カーボンブラックを単独で使用するか、あるいは他の導電性物質と併用するのが好ましい。
前記B成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以下であり、さらにより好ましくは5〜20nmである。5.0μmを超えると、粒子が大きくなるため、得られた半導電性ベルトの内周面および外周面に粒子に起因した凹凸が生じやすくなる傾向がある。
前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜25重量%である。5重量%未満であると電気抵抗の均一性が低下する傾向があり、30重量%を超えると、ポリイミド樹脂系組成物に由来する高い機械的強度が低下したり、表面形状が悪化する傾向がある。また、5重量%未満でも30重量%を超えても、所望の表面抵抗率が得られ難い。
B成分としてカーボンブラックを用いる場合、ポリイミド樹脂中に含有されているカーボンブラックは、実質的に0.5μm以上の粒子径を有する粒子を含まないものであり、0.3μm以上の粒子径の粒子を含まないとさらに好ましい。一般的にカーボンブラックの一次粒子径は10μm〜1μmであるが、分散液や樹脂中に混入する場合、カーボンブラックの分散時に凝集を発生することがある。本発明では、半導電性ベルトとしてポリイミド樹脂中に分散されているカーボンブラックの粒子径が0.5μm以上であると、半導電性ベルトの製造工程中に表面層に存在する粒子径の大きなカーボンブラックがベルト表面の突起となり、表面精度の悪化や抵抗の不均一化、さらには半導電性ベルトの電気的負荷による抵抗の低下を引き起こす原因となることがある。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラックまたはファーネスブラックが好ましい。ファーネスブラックについては、酸化処理を施すことにより溶媒への分散性が向上されるため、適宜酸化処理したものが好ましい。さらに、酸化処理したファーネスブラックは、処理によってその表面に酸素を含有した官能基(カルボキシル基、ケトン基、ラクトン基、水酸基等)が付与されるため、極性溶媒との親和性がよく、かつ電気的負荷等によりカーボンブラック表面が酸化劣化を受け難くなる。そのようなカーボンブラックを半導電性ベルトに使用すると、導電経路の形成が起き難くなって、抵抗低下を防ぐことができる。
本発明に用いられるチャンネルブラックとしては、デグサ社製カラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラック2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、スペシャルブラック6、カラーブラックS170、カラーブラックS160、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、プリンテックス150T、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V等が挙げられ、酸化処理したファーネスブラックとしては、デグサ社製スペシャルブラック550、スペシャルブラック350、スペシャルブラック250、スペシャルブラック100、三菱化学社製MA100、MA100R、MA100S、MA11、MA230、MA220、MA7、MA8、MA77、キャボット社製MONARCH1000、MONARCH1400、MONARCH1300、MOGUL−L、REGAL400R等が挙げられる。
次に、本発明の半導電性ベルトの製造方法を説明する。なお、本発明においては、半導電性ベルトはシームレスタイプが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の半導電性ベルトの基材層を構成するポリイミド樹脂系組成物は、ポリイミド樹脂を主成分とする。ここで、「主成分」とは、ポリイミド樹脂系組成物を構成する主たる成分のことであって、組成物の特性に大きな影響を与えるものであることを意味する。
前記ポリイミド樹脂は、ポリアミド酸がイミド転化したものである。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンとの略等モルを有機溶媒中で反応させて得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物としては、下記の一般式で表されるものが挙げられる。
(式中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族とを組み合わせたもの、またはそれらの置換された基を示す。)
前記テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
また、このようなテトラカルボン酸二無水物と反応させるジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロへキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレシジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、H2N(CH2)3O(CH2)2OCH2NH2、H2N(CH2)3S(CH2)3NH2、H2N(CH2)3N(CH3)(CH2)3NH2等があげられる。
これらテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体およびジアミンは、それぞれ1種類以上を適宜に選定し反応させることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させる際に用いられる有機極性溶媒は、その官能基がテトラカルボン酸二無水物またはジアミンと反応しない双極子を有するものである。そして、系に対して不活性であり、かつ生成物であるポリアミド酸に対して溶媒として作用するものが好ましい。しかも、反応成分の少なくとも一方、好ましくは両者に対して溶媒として作用するものが好ましい。このような有機極性溶媒としては、特にN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えばこれの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。これらは蒸発、置換または拡散によりポリアミド酸およびポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等があげられる。これらは単独で使用してもよいし、併せて用いても差し支えない。
さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。ただし、生成するポリアミド酸の加水分解による低分子量化を防ぐため、水の混入は避けることが好ましい。
これらの材料を用いてポリイミド樹脂系組成物を作製するには、まずポリアミド酸溶液を作製する。この方法として、フッ素樹脂粉末(A成分)および導電性粉末(B成分)を予め前記有機極性溶媒中に分散させ、さらにイソキノリン等の触媒を加え、この分散媒中に酸二無水物成分とジアミン成分を溶解・重合させてポリアミド酸溶液を得る方法、前記有機極性溶媒中で酸二無水物成分とジアミン成分を溶解・重合させポリアミド酸溶液とし、この溶液中に前記A成分およびB成分を添加することによる方法等、適宜公知の方法を適用することができる。このとき、公知の分散方法が適用でき、ボールミル、サンドミル、超音波分散等の方法にて適宜分散作業を行う。
本発明においては、触媒を加える前者の方法を適用することが好ましい。ここで用いられる触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン、ルチジン等の第3級アミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の有機塩基が例示され、触媒自体の安定性およびイミド化の制御が容易な第3級アミンが好ましく、イソキノリンがより好ましい。
前記ポリアミド酸溶液中のモノマー濃度(溶媒中における酸二無水物とジアミンの濃度)は種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。
前記触媒の添加量は、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して、0.04〜0.3モル当量が好ましく、0.1〜0.2モル当量がより好ましい。
また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は通常5〜10時間である。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成できるならば、上記の酸二無水物およびジアミン成分を共重合したものでもブレンドしたものでも構わない。
前記ポリアミド酸溶液の溶媒を加熱等による除去、脱水閉環水の除去およびイミド転化反応の完結を行うと、ポリイミド樹脂系組成物を得ることができる。さらに、前記ポリイミド樹脂系組成物を基材層として成形することにより、本発明の半導電性ベルトが得られる。本発明においては、成形の容易さからポリアミド酸溶液の段階で成形することが好ましい。
基材層の成形方法は、シームレスベルトの場合、前記ポリアミド酸溶液を、成形金型となるシリンダーの内周面または外周面に塗布する。塗布後、加熱することによりポリアミド酸をイミド転化し、基材層を形成する。この場合の加熱温度は、通常300〜400℃であり、加熱時間は、0.5〜6.0時間である。また、前記加熱温度を220℃程度までの低温と400℃までの高温との二段階の加熱条件を採用してもよい。次いで、基材層をシリンダーから剥離して取り出し、本発明の半導電性ベルトが得られる。
本発明の半導電性ベルトは、少なくともフッ素樹脂粉末と導電性微粉末を均一に分散させたポリイミド樹脂からなる基材層を有するベルトであり、基材層単層のみで本発明の目的を達成することができる。なお、前記ベルトは単層に限定されるものではなく、本発明の目的内で2層以上の複数層を有していてもよい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
<実施例1>
一次粒子に基づく平均粒子径3.5μmのPTFE粉末と乾燥したカーボンブラック(プリンテックスV、デグサ社製、チャンネルブラック、一次粒子に基づく平均粒子径25nm)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加した。なお、PTFE粉末の添加量は、ポリイミド樹脂固形分に対し2重量%となるようにし、カーボンブラックの添加量はポリイミド樹脂固形分に対し23重量%となるようにした。ついで、ボールミルで12時間撹拌することにより前記粉末をNMPに分散させ、#400ステンレスメッシュを用いて濾過した後、フラスコに移した。つぎに、触媒としてイソキノリンを添加した。イソキノリンの添加量は、ポリアミド酸1モル当量に対し0.2モル当量となるようにした。そして、酸成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)を準備するとともに、アミン成分として3,3′−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)を準備し、両者の略等モルをフラスコ中のNMPに溶解(モノマー濃度20重量%)した後、温度20℃で1時間反応させた。その後、溶液粘度を調整するために、70℃で12時間加温し、回転粘度150Pa・s(B型粘度計にて測定:測定温度25℃)のポリアミド酸溶液(PTFE粉末とカーボンブラック含有)を調製した。その後、#800ステンレスメッシュを用いて濾過し、ポリアミド酸溶液とした。
<実施例1>
一次粒子に基づく平均粒子径3.5μmのPTFE粉末と乾燥したカーボンブラック(プリンテックスV、デグサ社製、チャンネルブラック、一次粒子に基づく平均粒子径25nm)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加した。なお、PTFE粉末の添加量は、ポリイミド樹脂固形分に対し2重量%となるようにし、カーボンブラックの添加量はポリイミド樹脂固形分に対し23重量%となるようにした。ついで、ボールミルで12時間撹拌することにより前記粉末をNMPに分散させ、#400ステンレスメッシュを用いて濾過した後、フラスコに移した。つぎに、触媒としてイソキノリンを添加した。イソキノリンの添加量は、ポリアミド酸1モル当量に対し0.2モル当量となるようにした。そして、酸成分としてピロメリット酸二無水物(PMDA)を準備するとともに、アミン成分として3,3′−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)を準備し、両者の略等モルをフラスコ中のNMPに溶解(モノマー濃度20重量%)した後、温度20℃で1時間反応させた。その後、溶液粘度を調整するために、70℃で12時間加温し、回転粘度150Pa・s(B型粘度計にて測定:測定温度25℃)のポリアミド酸溶液(PTFE粉末とカーボンブラック含有)を調製した。その後、#800ステンレスメッシュを用いて濾過し、ポリアミド酸溶液とした。
次に、前記ポリアミド酸溶液を内径300mm、長さ500mmのドラム金型の内周面にディスペンサを介して厚さ400rpmに塗布し、1500μmで10分間回転させて均一厚の展開層とした後、250rpmで回転させながらドラム金型の外側より60℃の熱風を30分間吹き付け、ついで150℃で60分間加熱した後、2℃/分の速度で300℃に昇温し、その温度で30分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、およびイミド転化を行った。得られた管状物を室温に冷却して金型より剥離し、フッ素樹脂粉末とカーボンブラックを含有する厚さ73〜78μmのポリイミド樹脂製の管状物を得た。この管状物を幅300mmに切断して、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、およびアミン成分としてパラフェニレンジアミン(PDA)を用いること、ならびにPTFE粉末に代えて平均粒子径3.2μmのPFA粉末をポリイミド樹脂固形分に対し3.5重量%の割合となるように混合すること以外は実施例1と同様にして、フッ素樹脂粉末とカーボンブラックを含有するポリイミド樹脂製の管状物を得た。この管状物を幅300mmに切断して、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。
実施例1において、酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、およびアミン成分としてパラフェニレンジアミン(PDA)を用いること、ならびにPTFE粉末に代えて平均粒子径3.2μmのPFA粉末をポリイミド樹脂固形分に対し3.5重量%の割合となるように混合すること以外は実施例1と同様にして、フッ素樹脂粉末とカーボンブラックを含有するポリイミド樹脂製の管状物を得た。この管状物を幅300mmに切断して、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。
<比較例1>
PTFE粉末をポリアミド酸溶液に含有しなかったこと以外は実施例1と同様にして、半導電性管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
PTFE粉末をポリアミド酸溶液に含有しなかったこと以外は実施例1と同様にして、半導電性管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
<比較例2>
PFA粉末をポリアミド酸溶液に含有しなかったこと以外は実施例2と同様にして、半導電性管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
PFA粉末をポリアミド酸溶液に含有しなかったこと以外は実施例2と同様にして、半導電性管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザプリンターに半導電性ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
(評価試験)
1.表面粗さ(Ra)
JIS B 0601に準じ、ベルトの任意の8点よりサンプルを採取し、その周方向に関して、表面粗さ計(サーフコム554A(東京精密社製))にてカットオフ0.32mm、測定長さ2.5mm、駆動速度0.12mm/sec、触針荷重70mgにて測定を行い、平均値を求めた。
1.表面粗さ(Ra)
JIS B 0601に準じ、ベルトの任意の8点よりサンプルを採取し、その周方向に関して、表面粗さ計(サーフコム554A(東京精密社製))にてカットオフ0.32mm、測定長さ2.5mm、駆動速度0.12mm/sec、触針荷重70mgにて測定を行い、平均値を求めた。
2.表面動摩擦係数
ベルトの任意の8点よりサンプリングし、各々ベルトの周方向について、往復動摩擦試験機(オリエンテック社製AFT−15B)にて、φ10mmの鋼球を用い、試験荷重200g、試験速度150mm/min.の条件下での動摩擦係数を測定し、平均値を求めた。
ベルトの任意の8点よりサンプリングし、各々ベルトの周方向について、往復動摩擦試験機(オリエンテック社製AFT−15B)にて、φ10mmの鋼球を用い、試験荷重200g、試験速度150mm/min.の条件下での動摩擦係数を測定し、平均値を求めた。
3.カーボンブラック凝集粒子径
得られたベルトをミクロトームで切断し、この断面をSEM(走査型顕微鏡)にて観察し、0.5μm以上の凝集粒子径を含まないものを○、含むものを×とした。
得られたベルトをミクロトームで切断し、この断面をSEM(走査型顕微鏡)にて観察し、0.5μm以上の凝集粒子径を含まないものを○、含むものを×とした。
4.表面抵抗率とそのバラツキ
ハイレスタUP MCP−HT450(三菱油化社製、プローブ:UR)にて、1分後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を測定した。測定は、ベルト外周面に関して12点測定し、この平均値をベルトの表面抵抗率とし、最大値と最小値の差をそのバラツキとした。
ハイレスタUP MCP−HT450(三菱油化社製、プローブ:UR)にて、1分後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を測定した。測定は、ベルト外周面に関して12点測定し、この平均値をベルトの表面抵抗率とし、最大値と最小値の差をそのバラツキとした。
5.画像転写性、ベルト駆動性
得られた半導電性ベルトをタンデム式中間転写ベルトとして実際の複写機に組み込み、普通紙による5000枚の画像形成テストを行った。画像およびベルト駆動性の良好なものは○、若干の画像欠損または駆動性不具合のあるものは△、画像欠陥が目視で認識できるものまたは駆動不具合のあるものは×とした。
得られた半導電性ベルトをタンデム式中間転写ベルトとして実際の複写機に組み込み、普通紙による5000枚の画像形成テストを行った。画像およびベルト駆動性の良好なものは○、若干の画像欠損または駆動性不具合のあるものは△、画像欠陥が目視で認識できるものまたは駆動不具合のあるものは×とした。
6.クリーニング性、耐ストレスクラッキング性
上記5の画像形成テストを通じて、良好なクリーニング性を示したものを○、トナー残存が見られたものを△、クリーニングブレードのめくれが発生したものを×とした。また、試験中にベルトに割れが発生したものは×とした。
上記5の画像形成テストを通じて、良好なクリーニング性を示したものを○、トナー残存が見られたものを△、クリーニングブレードのめくれが発生したものを×とした。また、試験中にベルトに割れが発生したものは×とした。
表1より、実施例品の半導電性ベルトは、表面粗さRaや表面動摩擦係数が小さく、表面抵抗率のバラツキも少なかった。このような半導電性ベルトを複写機に用いると、クリーニングブレードのめくれを防ぎながら、良好なクリーニング性を有し、ベルトの割れの発生がなく、高耐久性(長寿命)であり、被転写体やトナー像の搬送を精度よく行うことができ、高品位の画像形成を行うことができる。一方、比較例品の半導電性ベルトは、画像形成およびベルト駆動性に問題を生じ、クリーニング性および耐久性にも劣るものであった。
Claims (4)
- 下記A成分およびB成分:
(A)フッ素樹脂粉末、および(B)導電性粉末
を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる半導電性ベルトであって、前記ベルトの外周面および内周面の表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による外周面の表面粗さRaは0.5μm以下であることを特徴とする半導電性ベルト。 - 前記A成分およびB成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、それぞれ3.0μm以下であり、前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜20重量%であり、前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%である半導電性ベルト。
- 前記ベルトの外周面の表面抵抗率の常用対数値が9〜13(logΩ/□)であり、その最大値と最小値の差が1.0(logΩ/□)以内である請求項1または2に記載の半導電性ベルト。
- 前記ポリイミド樹脂系組成物は、ポリアミド酸1モル当量に対して0.04〜0.3モル当量の触媒を含有するポリアミド酸溶液を加熱によりイミド転化して得られたものである請求項1〜3いずれかに記載の半導電性ベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004167367A JP2005345901A (ja) | 2004-06-04 | 2004-06-04 | 半導電性ベルト |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2007333904A (ja) * | 2006-06-13 | 2007-12-27 | Fuji Xerox Co Ltd | ポリアミック酸組成物及びその製造方法、ポリイミド無端ベルト及びポリイミド無端ベルトを備えた画像形成装置 |
JP2009042394A (ja) * | 2007-08-07 | 2009-02-26 | Ricoh Co Ltd | 電子写真用シームレスベルト及び製造方法 |
-
2004
- 2004-06-04 JP JP2004167367A patent/JP2005345901A/ja active Pending
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