JP2006259248A - 転写定着ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー等への伝熱性に優れ、転写定着速度の高速化に対応でき、トナー像の変形や転写ムラがなく、良好な画像を記録シートに転写でき、特に内周面および外周面の摩擦抵抗が小さく耐ストレスクラッキング性が良好で、長寿命をもつ転写定着ベルトを提供する。
【解決手段】下記のA成分、B成分およびC成分:(A)熱伝導性無機質充填粉末、(B)導電性粉末、および(C)フッ素樹脂粉末、を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる転写定着ベルトであって、前記各成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、それぞれ4.0μm以下であり、前記各成分を所定量で含有することを特徴とする転写定着ベルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる転写定着ベルトに関するものである。
ポリイミド樹脂は、耐熱性、寸法安定性、機械的特性および化学的特性に優れており、複写機等の画像形成装置の定着ベルトとして用いられている。近年、電子写真画像に対するカラー化に伴い、高画質、高速化への要求が強まっている。これに伴い、帯電、露光、現像、転写、定着という一連の電子写真プロセス(カールソン法)を複合化した電子写真画像形成装置が開発されている。一方、転写体や定着体として高強度、高精度のシームレスベルトが開発されており、これに伴い転写と定着を同時に行う転写定着装置の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
電子写真方式の定着器における転写紙への画像定着方法の一例として、前記ポリイミド樹脂の管状物を用いたベルト転写定着方式がある。従来は転写工程と定着工程とが別れていたが、このベルト転写定着方式においては、1つのベルトで転写と定着を行うことができ、転写部から定着部へ転写材が搬送中に画像が乱れるなどの従来技術の問題点が改良されており、感光体表面に形成された現像像を忠実に鮮明な画像のまま転写材上に転写定着することができる。
このようなベルト転写定着方式では、前記シームレスベルトを極めて薄く形成することで、ヒーターの発熱を直ちに定着ベルトに伝導させることができ、また、熱容量を小さくすることもできる。したがって、電源を入れると、直ちに定着ベルトの表面温度が所定の温度まで昇温するため、待ち時間が著しく短縮されると同時に省電力を実現できるという利点がある。
上記のような場合、強度がより要求されるため、上記シームレスベルトを薄く形成すると機械強度が低くなり、画像定着装置に組み込んだ場合にシワの発生や蛇行等が起こってしまうため、安易に薄く形成することができなかった。一方、上記シームレスベルトの厚みが増すと、元来ポリイミド樹脂は熱伝導性能が極めて悪いため、当然に熱伝導性能の低下を招くといった不都合が生じる。
また、特許文献2には、搬送転写体の画像担持面にフイラーによる突起を形成させることにより、クリーニングブレードのめくれや画像欠陥の発生を押える搬送転写体および画像形成装置が提案されているが、このような転写搬送体の突起は、抵抗値のバラツキの原因となり、特に添加する導電性微粉末であるカーボンブラックの粒子により突起を形成する場合、この突起に過大な電流が集中するため転写ベルトの抵抗の低下を引き起こす要因となりうる。
このような用途に用いられるベルトとして、ポリカーボネート系樹脂材料や、ゴム材料からなるベルトが知られているが、ゴム材料からなる半導電性ベルトは、導電性微粉末の均一な混合が困難なために、バラツキの少ない抵抗値の発現が難しい上に、表面が粗面となりやすく、かつ摩擦抵抗値が高い。このため、ゴム材料からなる半導電性ベルトを画像形成装置に用いると、ベルト上に残存したトナーをクリーニングするブレードのめくれが発生したり磨耗が進みやすくなるために、ベルトやブレードのメンテナンスや交換を頻繁に行う必要が生じたり、装置寿命が短くなるという問題点があった。また、ゴム材料からなる半導電性ベルトは、その弾性のため、特に従来のベルトより口径の大きいタンデム式の転写搬送ベルトや中間転写ベルトに用いた場合に、伸縮が起こりやすく、色ズレ等の位置合わせ精度に問題があり、実用的ではなかった。
また、ポリカーボネート系樹脂材料からなるベルトは、ストレスクラッキングを起こしやすいために、ベルト駆動時のロール屈曲部のストレス、ベルト端部に施した蛇行防止用のリブ接着部へのストレス、ベルトエッジ部にかかるストレスによってベルト転写面にクラックが発生し、ベルトが破損する等の問題が生じることがある。
さらに、特許文献3や特許文献4には、導電性物質を含有させた熱硬化性ポリイミド樹脂を用いたシームレスベルトが提案されているが、これら特許文献には抵抗バラツキの改善や機械特性に関しては言及されているが、表面摩擦係数やベルトの形状精度に関しては何ら言及されていない。
特開平5−6059号公報 特開2000−206798号公報 特許第2560727号公報 特開平5−77252号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、トナー等への伝熱性に優れ、転写定着速度の高速化に対応でき、トナー像の変形や転写ムラがなく、良好な画像を記録シートに転写でき、特に内周面および外周面の摩擦抵抗が小さく耐ストレスクラッキング性が良好で、長寿命をもつ転写定着ベルトを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を重ねたところ、ポリイミド樹脂を主成分とし、熱伝導性無機質充填粉末(A成分)、導電性粉末(B成分)およびフッ素樹脂粉末(C成分)を所定の条件で含有するポリイミド系樹脂系組成物を転写定着ベルトに用いることにより、所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の転写定着ベルトは、下記のA成分、B成分およびC成分:
(A)熱伝導性無機質充填粉末、
(B)導電性粉末、および
(C)フッ素樹脂粉末
を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる転写定着ベルトであって、前記A成分、B成分、およびC成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、それぞれ4.0μm以下であり、前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して10〜50重量%であり、前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%であり、前記C成分の含有量はポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜10重量%であることを特徴とする。
本発明の転写定着ベルトによると、所定の性状の熱伝導性無機質充填粉末(A成分)、導電性粉末(B成分)、およびフッ素樹脂粉末(C成分)を所定の割合で含有することにより、熱伝導性、転写性、耐久性に優れ、高画質および高速化に対応した転写定着ベルトとして画像形成装置に好適に使用することができる。
前記転写定着ベルトにおいて、前記ベルトの外周面及び内周面のφ10mmの鋼球を用いた表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による前記ベルト外周面および内周面の表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましい。ここで、前記φ10mmの鋼球を用いた表面動摩擦係数は、実施例に示す方法により測定した値であり、前記ベルト外周面及び内周面の表面粗さRaは、JIS B 0601(1994)に準じて、実施例に示す方法により測定した値である。かかる転写定着ベルトは、画像形成装置に用いた場合、画像欠陥やクリーニングブレードのめくれを抑制でき、画像の転写定着性や紙の分離性も良好で、高画質および高速化に対応することができる。また、ベルト内周面および外周面の摩擦抵抗が小さく、耐ストレスクラッキング性が良好であるため、ベルトの長寿命化を実現することができる。
前記転写定着ベルトにおいて、前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が8〜16(logΩ・cm)であり、その最大値と最小値の差が1.0(logΩ・cm)以内であることが好ましい。前記体積抵抗率は、実施例に示す方法にて測定した値である。かかるベルトは、電気抵抗値の変動が少なく、転写が良好で、オフセットをより確実に防止することができる。
また、前記転写定着ベルトにおいて、前記ポリイミド樹脂系組成物は、ポリアミド酸1モル当量に対して0.02〜0.3モル当量の触媒を含有するポリアミド酸溶液を加熱によりイミド転化して得られるものであることが好ましい。このようなベルトであると、ベルトの機械的強度および寸法安定性が向上し、耐久性に優れた転写定着ベルトを提供することができる。
さらに、前記転写定着ベルトにおいて、前記ベルトの外周面に剥離層を有し、当該剥離層がフッ素樹脂またはシリコーンゴムで形成されていることが好ましい。かかる転写定着ベルトによれば、トナー離型性が高まり、画像形成装置に使用すると、より良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離することができる。
本発明の転写定着ベルトによると、所定の性状の熱伝導性無機質充填粉末(A成分)、導電性粉末(B成分)、およびフッ素樹脂粉末(C成分)を所定の割合で含有することにより、熱伝導性、転写性、耐久性に優れ、高画質および高速化に対応した転写定着ベルトとして画像形成装置に好適に使用することができる。すなわち、本発明の転写定着ベルトは、前記A成分、B成分およびC成分の一次粒子に基づく平均粒子径と配合量を調節することにより、ベルトの表面粗さ、動摩擦係数が所定の範囲内にあるため、残りトナーのクリーニングが確実に行われ、トナー融着、転写効率の低下を起こさず、クリーニングブレードめくれも生じにくく、画像の転写定着性や紙の分離性も良好で、高画質および高速化に対応することができ、さらに、耐ストレスクラッキング性が良好で、ベルトの長寿命化を実現できる。また、B成分の凝集が少なく、ベルトの体積抵抗率が所定範囲内にあるため、B成分の分散が均一で、抵抗値のバラツキが小さく、電気的な負荷や経時による抵抗低下が小さく、画像形成装置における転写定着ベルトとして好適に用いることができる。さらに本発明ベルトの基材層を構成するポリイミド樹脂の製造において、触媒を通常の化学イミド化に使用する量よりも少量使用して、加熱によりイミド転化をした場合、ポリイミドの分子鎖の強度および配向効果が大きくなり、機械的強度および寸法安定性により優れた半導電性ベルトを提供することができる。
本発明の転写定着ベルトは、下記のA成分、B成分およびC成分:(A)熱伝導性無機質充填粉末、(B)導電性粉末および(C)フッ素樹脂粉末を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層とする転写定着ベルトである。
前記A成分としては、熱伝導機能を有する無機質粉末であれば特に制限はなく、例えば窒化ホウ素、チタン酸カリウム、マイカ、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化珪素、珪素、窒化珪素、シリカ、グラファイト、金、銀、白金、酸化ベリリウム、マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。なかでも、熱伝導機能が高く、離型効果を発揮し、化学的に安定で無害であるという点で、窒化ホウ素が好ましい。
前記A成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、4.0μm以下であり、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは0.5〜2.0μmである。平均粒子径が4.0μmを超えると、粒子が大きくなるため、得られた転写定着ベルトの内周面および外周面に粒子に起因した凹凸が生じやすくなる傾向がある。
本発明において、「一次粒子に基づく平均粒子径」とは、エタノール等の有機溶剤中に超音波分散した液を試料として、光透過式遠心沈降法を用いた粒度分布測定器によって測定した値である。
前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して10〜50重量%であり、好ましくは20〜35重量%、より好ましくは30〜35重量%である。このような範囲内であると、転写定着ベルトの熱伝導性を高く保つことができるので好適である。A成分の含有量が50重量%を超えると、得られた転写定着ベルトは機械的強度が低く、亀裂や割れが生じやすくなる傾向がある。10重量%未満であると、十分な熱伝導性が得られなくなる。

前記B成分としては、例えばケッチェンブラックやアセチレンブラックの如きカーボンブラック、アルミニウムやニッケルの如き金属、酸化錫の如き酸化金属化合物やチタン酸カリウム等の導電性乃至半導電性の粉末、あるいはポリアニリンやポリアセチレンの如き導電ポリマーなどの適宜なものの1種または2種以上を用いることができ、その種類について特に限定はない。本発明においては、導電性の付与効果や均一な分散性等の観点から、カーボンブラックを単独で使用するか、カーボンブラックと他の導電性物質と併用するのが好ましい。
前記B成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、4.0μm以下であり、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは5nm〜0.02μmである。平均粒子径が4.0μmを超えると、粒子が大きくなるため、得られた転写定着ベルトの内周面および外周面に粒子に起因した凹凸が生じやすくなる傾向がある。
前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは8〜15重量%である。5重量%未満であると電気抵抗の均一性が低下する傾向があり、30重量%を超えると、ポリイミド樹脂系組成物に由来する高い機械的強度が低下したり、表面形状が悪化する傾向がある。また、5重量%未満でも30重量%を超えても、所望の表面抵抗率が得られ難い。
前記B成分としてカーボンブラックを用いる場合、ポリイミド樹脂中に含有されているカーボンブラックは、実質的に0.5μm以上の粒子径を有する粒子を含まないものであり、0.3μm以上の粒子径の粒子を含まないとさらに好ましい。一般的にカーボンブラックの一次粒子径は10nm〜100nm(0.01μm〜0.1μm)であるが、分散液や樹脂中に混入する場合、カーボンブラックの分散時に凝集を発生することがある。本発明では、半導電性ベルトとしてポリイミド樹脂中に分散されているカーボンブラックの粒子径が0.5μm以上であると、転写定着ベルトの製造工程中に表面層に存在する粒子径の大きなカーボンブラックがベルト表面の突起となり、表面精度の悪化や抵抗の不均一化、さらには転写定着ベルトの電気的負荷による抵抗の低下を引き起こす原因となることがある。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラックまたはファーネスブラックが好ましい。ファーネスブラックについては、酸化処理を施すことにより溶媒への分散性が向上されるため、適宜酸化処理したものが好ましい。さらに、酸化処理したファーネスブラックは、処理によってその表面に酸素を含有した官能基(カルボキシル基、ケトン基、ラクトン基、水酸基等)が付与されるため、極性溶媒との親和性がよく、かつ電気的負荷等によりカーボンブラック表面が酸化劣化を受け難くなる。そのようなカーボンブラックを半導電性ベルトに使用すると、導電経路の形成が起き難くなって、抵抗低下を防ぐことができる。
本発明に用いられるチャンネルブラックとしては、デグサ社製カラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラック2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、スペシャルブラック6、カラーブラックS170、カラーブラックS160、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、プリンテックス150T、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V等が挙げられ、酸化処理したファーネスブラックとしては、デグサ社製スペシャルブラック550、スペシャルブラック350、スペシャルブラック250、スペシャルブラック100、三菱化学社製MA100、MA100R、MA100S、MA11、MA230、MA220、MA7、MA8、MA77、キャボット社製MONARCH1000、MONARCH1400、MONARCH1300、MOGUL−L、REGAL400R等が挙げられる。
前記C成分としては、フッ素樹脂であれば特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等を挙げることができる。
これらフッ素樹脂粉末は球状、鱗状あるいは無定形等いずれであっても使用できるが、ポリイミド樹脂製管状層への分散性の観点から、粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は4.0μm以下であり、1〜4μmがより好ましい。
前記C成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。このような範囲内であると、転写定着ベルトの摩擦抵抗を抑えることができるので好適である。C成分の含有量が10重量%を超えると、得られる転写定着ベルトは機械的強度が低く、亀裂や割れが生じやすくなる傾向がある。0.5重量%未満であると、フッ素樹脂による摩擦抵抗を低減する効果が得られなくなる。
本発明の転写定着ベルトは、前記ポリイミド樹脂系組成物を基材層として形成されたものであり、前記基材層単独からなるものでもよく、基材層を二層以上有するものでもよいが、離型性を高めるため、前記基材層の外周面に剥離層が形成されていることが好ましく、前記剥離層は、フッ素樹脂またはシリコーンゴムから形成されていることが好ましい。また、前記基材層と剥離層との間に、ベルトに弾力性を付与する観点から、弾性層を設けてもよい。さらに、前記各層間の接着力を向上させるため、各層間にプライマー層を設けてもよい。
前記剥離層の樹脂成分であるフッ素樹脂は、通常、溶液状(ディスパージョンを含む)で用いられ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。これらは単独で、若しくは2種以上併せて用いられる。これらフッ素樹脂の中でも、特にトナー離型性が高いという点からPFAを用いることが好ましい。
また、前記剥離層としては、フッ素樹脂コーティング層に限らず、ある程度の耐熱性と剥離性を有する樹脂(ゴムを含む)であれば何れも使用可能であり、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が好ましいものとして例示される。
また、前記剥離層は、導電性を付与するために、カーボンブラック、金属等の導電材を含有してもよい。さらに、前述の熱伝導性無機質充填粉末(A成分)を併用すると、この転写定着ベルトを画像形成装置に組み込んだ場合、ヒーターからの熱を剥離層まで効率よく伝達することができ、トナー定着性の向上を実現できるようになるため、より好ましい。さらに、二酸化珪素、ガラスビーズ、架橋シリコーン樹脂、セラミック、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の粉末を耐磨耗性向上のために添加してもよい。
これらの粉末成分は、フッ素樹脂との分散性を考慮し、その粒子径を通常4.0μm以下とするのが好ましく、添加量は、機械強度の維持およびトナー離型性を損なわないよう、フッ素樹脂100重量部に対して通常0.5〜50重量部とするのが好ましい。
上記したように、本発明の転写定着ベルトの外周面は、基材層の場合と剥離層の場合がある。いずれの場合でも、トナーへの伝熱性やトナーとの密着性を向上させるためには、ベルト外周面の表面粗さRaは5.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下である。また、ベルト内周面の表面粗さRaは、ベルト駆動性の観点から、5.0μm以下であることが好ましい。前記表面粗さRaを所望の範囲内にするためには、前記粉末の分散性を高めたり、含有量を少なくしたり、塗工方法を均一化したりする方法等がある。
また、本発明において、転写定着ベルトの外周面が基材層および剥離層いずれの場合でも、ベルト外周面のφ10mmの鋼球を用いた表面動摩擦係数は0.5以下であり、より好ましくは0.4以下である。表面動摩擦係数が0.5を超えると、クリーニングブレードとの摩擦係数が高くなり、ブレードめくれが発生しやすくなる。
本発明の転写定着ベルトのベルト内周面のφ10mmの鋼球を用いた表面動摩擦係数は、ベルト駆動時のロール屈曲部のストレス、ベルト端部に施した蛇行防止用のリブ接着部へのストレス、ベルトエッジ部にかかるストレス等の応力緩和の観点から0.5以下であるが、小さすぎるとスリップが発生し駆動できないという問題が発生するため、0.2〜0.4がより好ましい。
本発明において、ベルトが基材層のみの単層ベルトの場合でも、剥離層等を有する複層ベルトの場合であっても、ベルトの体積抵抗率の常用対数値は、8〜16(logΩ・cm)であることが好ましく、より好ましくは8〜14(logΩ・cm)、さらに好ましくは9〜12(logΩ・cm)である。前記範囲内の体積抵抗率を有する転写定着ベルトは、トナー画像を良好に転写し、オフセットも防止することができる。また、前記体積抵抗率の常用対数値の最大値と最小値の差は、1.0(logΩ・cm)以内であることが好ましく、より好ましくは0.8(logΩ・cm)以内である。最大値と最小値の差が1.0(logΩ・cm)を超えると、例えば、装置使用中に電気抵抗値の低下や過電流が生じ、ベルトの寿命低下を招く場合がある。
次に、本発明の転写定着ベルトの製造方法を説明する。なお、本発明においては、転写定着ベルトはシームレスタイプが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の転写定着ベルトの基材層を構成するポリイミド樹脂系組成物は、ポリイミド樹脂を主成分とする。ここで、「主成分」とは、ポリイミド樹脂系組成物を構成する主たる成分のことであって、組成物の特性に大きな影響を与えるものであることを意味する。前記ポリイミド樹脂は、ポリアミド酸がイミド転化したものである。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンとの略等モルを有機溶媒中で反応させて得ることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物としては、下記の一般式で表されるものが挙げられる。
Figure 2006259248
〔式中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族とを組み合わせたもの、またはそれらの置換された基を示す。〕
前記テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’ ,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレンー3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4ージカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、このようなテトラカルボン酸二無水物と反応させるジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、べンジジン、3,3’−ジメチルべンジジン、3,3’−ジメトキシべンジジン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エ−テル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)べンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)べンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロへキシル)メタン、へキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルへプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシへキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルへキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルへプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロへキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CH)O(CH)OCHNH、HN(CH)S(CH)NH、HN(CH)N(CH)(CH)NH等が挙げられる。
これらテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体およびジアミンは、それぞれ1種類以上を適宜に選定し反応させることができる。
前記テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させる際に用いられる有機極性溶媒は、その官能基がテトラカルボン酸二無水物またはジアミンと反応しない双極子を有するものである。そして、系に対して不活性であり、かつ生成物であるポリアミド酸に対して溶媒として作用するものが好ましい。しかも、反応成分の少なくとも一方、好ましくは両者に対して溶媒として作用するものが好ましい。
このような有機極性溶媒としては、特にN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えばこれの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは蒸発、置換または拡散によりポリアミド酸およびポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、へキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、併せて用いても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロへキサン、へキサン、べンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。ただし、生成するポリアミド酸の加水分解による低分子量化を防ぐため、水の混入は避けることが好ましい。
これらの材料を用いてポリイミド樹脂系組成物を作製するには、まずポリアミド酸溶液を作製する。この方法として、熱伝導性無機質充填粉末(A成分)、導電性粉末(B成分)およびフッ素樹脂粉末(C成分)を予め前記有機極性溶媒中に分散させ、さらにイソキノリン等の触媒を加え、この分散媒中に酸無水物成分とジアミン成分を溶解・重合させてポリアミド酸溶液を得る方法、前記有機極性溶媒中で酸二無水物成分とジアミン成分を溶解・重合させポリアミド酸溶液とし、さらにイソキノリン等の触媒を加え、この溶液中に前記A成分およびB成分を添加することによる方法等、適宜公知の方法を適用することができる。このとき、公知の分散方法が適用でき、ボールミル、サンドミル、超音波分散等の方法にて適宜分散作業を行う。
ここで使用される触媒としては、第3級アミンが好ましく、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられるが、特にイソキノリンが好ましい。触媒の添加量としては、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸1モル当量に対して0.02〜0.3モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.2モル当量である。
前記ポリアミド酸溶液中のモノマー濃度(溶媒中における酸無水物とジアミンの濃度)は種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。反応時間は5〜10時間が好ましい。ポリアミド酸溶液のポリマー成分は、本発明の目的を達成できるならば、上記の酸二無水物およびジアミン成分を共重合したものでもブレンドしたものでも構わない。
前記ポリアミド酸溶液の溶媒を加熱等による除去、脱水閉環水の除去およびイミド転化反応の完結を行うと、ポリイミド樹脂系組成物を得ることができる。
さらに、前記ポリイミド樹脂系組成物を基材層として成形することにより、本発明の転写定着ベルトが得られる。本発明においては、成形の容易さからポリアミド酸溶液の段階で成形することが好ましい。
基材層の成形方法は、シームレスベルトの場合、前記ポリアミド酸溶液を、成型金型となるシリンダーの内周面または外周面に塗布する。塗布後、加熱することによりポリアミド酸をイミド転化し、基材層を形成する。次いで、基材層をシリンダーから剥離して取り出す。
得られた基材層は、転写定着ベルトとして供することができる。本発明においては、前記基材層を管状内層とし、その外周面に、プライマーを塗布する等してプライマー層を形成し、形成されたプライマー層の外周面に、上記フッ素樹脂の溶液を塗布し、加熱することにより剥離層を形成した転写定着ベルトが好ましい。
前記プライマー層を形成する原料としては、テフロン855−001(デュポン社製)、テフロン855−300(デュポン社製)、ポリフロンEK−1800(ダイキン工業社製)、ポリフロンEK−1900(ダイキン工業社製)、K−001−KB(三井デュポンフロロケミカル社製)等の従来公知のプライマーが挙げられる。さらに、カーボンブラック粉末、アルミニウム粉、鉄粉、金粉、銀粉等の導電性に優れた粉末を前記プライマー層形成原料中に1〜40重量%の範囲で含有した導電性プライマーを使用すると、得られた転写定着ベルトは帯電しにくく、除電も容易で、オフセットも防止でき鮮明な画像を定着できるので好ましい。
上記工程において、イミド転化反応が完結するまでの反応途中段階で、ボリイミド半硬化基材層の外周面に導電性プライマーを塗布する等して、導電性プライマー層を形成・乾燥し、次いで、フッ素樹脂溶液を塗布し、加熱処理することが好ましい。この場合、イミド転化反応の完結処理とフッ素樹脂の焼成処理とを同時に行うことになり、前記処理を別々に行う場合に比べて、熱効率も上がり、かつ、処理時間を短縮することができる。さらに、基材層であるポリイミド系樹脂と剥離層であるフッ素樹脂の強固な一体化をはかることができるので、より好ましい。この場合の加熱温度は、通常、360〜400℃であり、加熱時間は、5〜30分程度である。
また、上記工程において、成形金型となるシリンダーとしては、従来から管状物の製造に用いられているものであればどのようなものであっても差し支えはない。前記シリンダーの材質としては、耐熱性の観点から、金属、ガラス、セラミックス等の各種のものがあげられる。
また、本発明の転写定着ベルトにおいて、層の厚みは、組み込む装置等に応じて適宜に設定されるが、通常、基材層の厚みは40〜100μmの範囲であると、機械強度が高く、また熱伝導性にも支障がでない範囲であるので、実用的に好ましい。前記基材層の外周面に剥離層を設けた場合、剥離層の厚みは、トナー定着性を向上させるためにはできるだけ薄い方が好ましいが、薄すぎると剥離層の耐久性が低下するため、6〜13μmの範囲に設定されていると好ましい。また、弾性層を設ける場合、その厚さとしては10〜500μmが好ましい。さらに、基材層と剥離層との間にプライマー層を設ける場合、プライマー層の厚みとしては、1〜10μmが好ましい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
<実施例1>
窒化ホウ素粉末(三井化学社製、MBN−010T、一次粒子に基づく平均粒子径1.3μm)と乾燥したカーボンブラック(PrntexV、デグサジャパン社製、チャンネルブラック、一次粒子に基づく平均粒子径25nm)とさらに平均粒径3.5μmのPTFE粉末(喜多村社製、KTL−8)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に添加した。なお、窒化ホウ素粉末の添加量は、ボリイミド樹脂固形分に対し30重量%となるようし、カーボンブラックの添加量はポリイミド樹脂固形分に対し23重量%となるようにし、フッ素樹脂粉末の添加量はポリイミド樹脂固形分に対し2重量%となるようにした。ついで、ボールミルで12時間攪拌することにより分散し、#400ステンレスメッシュを用いて濾過した後、フラスコに移した。つぎに、触媒としてイソキノリンを添加した。イソキノリンの添加量は、ポリアミド酸1モル当量に対し0.2モル当量となるようにした。つぎに、酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を準備するとともに、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの混合物(モル比7:3)を準備し、両者の略等モルをフラスコ中のNMPに溶解(モノマー濃度20重量%)した後、温度20℃で1時間反応させ、その後、70℃で12時間加温して回転粘度130Pa・s(B型粘度計にて測定:測定温度25℃)のポリアミド酸溶液(窒化ホウ素粉末、カーボンブラック、フッ素樹脂粉末含有)を調製した。その後、#800ステンレスメッシュを用いて濾過し、管状内層形成用のポリアミド酸溶液とした。
次に、前記のポリアミド酸溶液を内径100mm、長さ500mmのドラム金型の内周面にディスペンサを介して厚さ400μmに塗布し、1500rpmで10分間回転させて均一厚の展開層とした後、250rpmで回転させながらドラム金型の外側より60℃の熱風を30分間吹き付け、ついで150℃で60分間加熱した後、2℃/分の速度で300℃に昇温し、その温度で30分間加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、およびイミド転化を行い、それを室温に冷却して金型より剥離し、窒化ホウ素粉末、カーボンブラックとフッ素粉末を含有する厚さ73〜78μmのポリイミド樹脂製の管状物を得た。
このようにして得られたポリイミド樹脂製の管状物の外表面を、ポリイミド系導電性プライマー(製品名:K−001−KB、三井デュポンフロロケミカル社製)により均一にコートし、150℃で10分間風乾して導電性プライマー層を形成させた。この導電性プライマー層の厚みは、1μmであった。
一方、PFA濃度60重量%の水性ディスパージョン(デュポン社製のTE−334J)と、カーボンブラック濃度1.62重量%の水性ディスパージョン(ライオン社製のW−311N)をボールミルを用いて混合・分散し、PFAとカーボンブラックの混合ディスパージョンを得た。
次いで、上記混合ディスパージョンを導電性プライマー層が形成されたポリイミド樹脂製の管状物の外周面に、均一にスプレーコートし、10分間風乾した。その後、100℃で10分間加熱して分散媒である水を蒸発除去し、さらにフルキュアとして400℃で5分間加熱し、270分かけて室温まで温度を下げ、ポリイミド系樹脂製の基材層と、前記基材層の外周面に形成された導電性プライマー層と、さらに前記導電性プライマー層の外周面に焼結させたPFA製の剥離層とからなる3層構造の半導電性複合管状物を得た。尚、PFA製の剥離層の厚みは10μmであり、剥離層外周面の表面粗さRaは0.15μmであった。
この複合管状物を幅300mmに切断して、レーザープリンタに転写定着ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
<比較例1>
窒化ホウ素粉末とフッ素樹脂粉末を前記ポリアミド酸に含有しなかったこと以外は、実施例1と同様にして半導電性複合管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザープリンタに転写定着ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
<比較例2>
フッ素樹脂粉末を前記ポリアミド酸に含有しなかったこと以外は、実施例1と同様にして半導電性複合管状物を得た。実施例1と同様にして、レーザープリンタに転写定着ベルトとして組み込んだ。結果を表1に示す。
<評価試験>
実施例および比較例で得た半導電性ベルトについて下記の特性を調べた。
(1)表面粗さRa
JIS B 0601(1994)に準じ、ベルト外周面および内周面の任意の5点よりサンプルを採取し、その周方向に関して、表面粗さ計(サーフテストSJ−301、ミツトヨ社製)にてカットオフ0.25mm、測定長さ1.25mm,駆動速度0.25mm/sec、触針荷重70mgにて測定を行った。
(2)体積抵抗率とそのバラツキ
ハイレスタUP MCP−HT450(三菱油化社製、プローブ:UR−100)にて印加電圧100V、1分値の測定条件による25℃、60%RHでの体積抵抗率を調べた。また、その最大値と最小値の差をそのバラツキとした。
(3)表面動摩擦係数
得られたベルトの任意の8点よりサンプリングし、各々ベルトの周方向について、往復動摩擦試験機(AFT−15B、オリエンテック社製)にて、φ10mmの鋼球を用い、試験荷重200g、試験速度150mm/minの条件下での動摩擦係数を測定し、平均値を求めた。
(4)カーボンブラック凝集粒子径
得られたベルトをミクロトームで切断し、この断面をSEM(走査型顕微鏡)にて観察し、0.5μm以上の凝集粒子径を含まないものを○、含むものを×とした。
(5)画像転写定着性、画像・ベルト駆動性
得られたベルトを、レーザービームプリンタに転写定着ベルトとして組み込み、普通紙からなる記録シート印刷テストを行った。また評価は、1万枚のテスト中で画像およびベルト駆動性の良好なものを○、若干の画像欠損または駆動性不具合のあるものを△、画像欠陥が目視で認識できるものあるいは駆動不具合のあるものを×とした。また、定着温度を200℃に固定し、定着速度だけを徐々に速くしていき、印字を擦ってもトナーがにじまない最高の速度を、最高定着速度とした。
Figure 2006259248
表1の結果が示すように、所定の性状の窒化ホウ素とカーボンブラックおよびフッ素樹脂を所定量含有の転写定着ベルト(実施例1)は、最高定着速度が速く、画像転写定着性と画像ベルト駆動性に優れ、ベルトの割れも発生せず耐久性にも優れたものであった。一方、窒化ホウ素とフッ素樹脂粉末を含有しない比較例1およびフッ素樹脂粉末を含有しない比較例2の転写定着ベルトは、実施例1のベルトと比べて、最高定着速度が遅く、画像転写定着性および画像ベルト駆動性に劣り、ベルトの割れが発生した。

Claims (5)

  1. 下記のA成分、B成分およびC成分:
    (A)熱伝導性無機質充填粉末、
    (B)導電性粉末、および
    (C)フッ素樹脂粉末
    を含有するポリイミド樹脂系組成物を基材層としてなる転写定着ベルトであって、前記A成分、B成分、およびC成分の粉末の一次粒子に基づく平均粒子径は、それぞれ4.0μm以下であり、前記A成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して10〜50重量%であり、前記B成分の含有量は、ポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して5〜30重量%であり、前記C成分の含有量はポリイミド樹脂系組成物中のポリイミド樹脂固形分に対して0.5〜10重量%であることを特徴とする転写定着ベルト。
  2. 前記ベルトの外周面及び内周面のφ10mmの鋼球を用いた表面動摩擦係数は0.5以下であり、JIS B0601(1994)による前記ベルト外周面および内周面の表面粗さRaが0.5μm以下である請求項1記載の転写定着ベルト。
  3. 前記ベルトの体積抵抗率の常用対数値が8〜16(logΩ・cm)であり、その最大値と最小値の差が1.0(logΩ・cm)以内である請求項1または2に記載の転写定着ベルト。
  4. 前記ポリイミド樹脂系組成物は、ポリアミド酸1モル当量に対して0.02〜0.3モル当量の触媒を含有するポリアミド酸溶液を加熱によりイミド転化して得られるものである請求項1〜3いずれかに記載の転写定着ベルト。
  5. 前記転写定着ベルトの外周面に剥離層を有し、当該剥離層がフッ素樹脂またはシリコーンゴムで形成されている請求項1〜4いずれかに記載の転写定着ベルト。
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