JP4851838B2 - 半導電性ポリイミドベルトの製造方法 - Google Patents

半導電性ポリイミドベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導電性ポリイミドベルトの製造方法に関するものである。かかるベルトは、例えば電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の画像形成装置の中間転写ベルトに使用することができる。
従来、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置としては、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写(一次転写)し、それを印刷シート上に転写(二次転写)してから定着を行う中間転写方式が検討されている。
また、装置の小型化等を目的に、転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる転写ベルトを使用する方式も検討されている。
このような中間転写ベルト等に用いうる半導電性ベルトの一例として、ポリイミド系樹脂に導電性フィラーとしてアセチレンブラック等のカーボンブラックを分散してなる中間転写ベルトが特許文献1に提案されている。
しかしながら、汎用カーボンブラックをポリイミド系樹脂に分散させた場合、温度や湿度等の環境変化に対する電気抵抗値の変動は小さいが、カーボンブラックを均一に分散させることが非常に困難である。一般に、カーボンブラックは二次凝集を起こしやすく、凝集により導電経路が生じ、ベルト内での電気抵抗値のバラツキにつながる。このようなベルトを電子写真記録装置の中間転写ベルトとして用いた場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラが生じるなどの問題がある。このように電気抵抗値のばらつきが中間転写に影響するのは、半導電性ベルトの帯電抑制能の不均一化や、導電抑制能の不均一化により局所的な剥離放電や導電が生じやすくなるためと考えられる。
一方、電子写真記録装置の中間転写ベルトや転写ベルトに限らず、半導電性ベルトに要求される帯電抑制能や導電抑制能は用途により差があるものの、均一なものほど好ましい。
そして、特許文献2には、ポリイミド系樹脂に、カーボンブラック及び界面活性剤を添加してなる中間転写ベルト等について開示されている。しかし、この発明では、導電性を付与するために、非イオン型界面活性剤が使用されている。
また、揮発分が高いカーボンブラックを有機極性溶媒中に分散させる等の工程を含む半導電性ポリイミドベルトの製造方法が開示されている(特許文献3)。このように揮発分の高いカーボンブラックは、多くの官能基をカーボンブラック表面に含有するため、溶媒のへの分散に関する問題は生じにくい。しかし、揮発分の高いカーボンブラックは、導電特性に対する影響が大きく、揮発分の低いカーボンブラックを使用することが好ましい。
一方、揮発分の低いカーボンブラックは溶媒への分散性が悪く、得られるポリイミドベルトの電気抵抗値にバラツキが生じることが判明した。
特開昭63−311263号公報 特開2001−242725号公報 特開2002−292656号公報
そこで、上記実情に鑑み、本発明の目的は、揮発分が3重量%以下のカーボンブラックを溶剤に均一分散させた分散液が長期保存性に優れ、前記分散液を用いることにより、電気抵抗のバラツキが小さい半導電性ポリイミドベルトの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の示す半導電性ポリイミドベルトの製造方法を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、カーボンブラックを溶剤に分散させた分散液に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を原料とする半導電性ポリイミドベルトの製造方法において、揮発分が3重量%以下のカーボンブラックを、カチオン型又は両性型界面活性剤存在下で分散させることを特徴とする半導電性ポリイミドベルトの製造方法に関する。
従来、揮発分の低いカーボンブラックは、溶媒や樹脂等との親和性が低いため、均一分散することが困難であった。しかし、揮発分3重量%以下のカーボンブラックをカチオン型又は両性型界面活性剤の存在下で、溶媒に分散させることにより、カーボンブラックが均一に分散したカーボンブラック分散液を得ることができる。
前記分散液は、カーボンブラックの分散性が高く、また、保管時にカーボンブラックの凝集・沈殿が起こらず、前記分散液の粘度が高くなりにくいため、長期の保管においても安定性が高い。また、前記分散液を用いて製造した半導電性ポリイミドベルトは、カーボンブラックの分散性が良く、電気抵抗値のバラツキが小さいものとなる。
本発明の半導電性ポリイミドベルトの製造方法は、揮発分が3重量%以下のカーボンブラックを、カチオン型又は両性型界面活性剤存在下で分散させた分散液を製造する工程と、前記分散液に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を製造する工程とを含む。
本発明における揮発分(V)は、JIS K 6221に準じ、加熱前のカーボンブラックの重量(W)と、950℃で7分間加熱した後のカーボンブラックの重量(W)を測定し、次式より算出した。

V(%)=(W−W)/W×100
揮発分の成分は、カーボンブラック粒子の表面に存在するカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、フェノール基等の酸素含有基であることが知られており、本発明において使用されるカーボンブラックは、揮発分が3重量%以下のものである。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の中抵抗から高抵抗域(表面抵抗率10〜1014Ω/□)での制御を行うことが好ましい。
カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製Special Black250(揮発分 2重量%)、Printex200(揮発分0.9重量%)、キャボット社製 VulcanXC72R(揮発分1.5重量%)、MONARCH280(揮発分1.0重量%)、三菱化学社製MA−100(揮発分1.5重量%)、#2600(揮発分1.8重量%)などが挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
カーボンブラックの含有量については、その目的に応じ、添加するカーボンブラックの種類により適宜決定されるが、画像形成装置用機能性ベルトとしてはその機械的強度等から、ポリイミド樹脂固形分に対し3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。カーボンブラックの含有量が3重量%未満であると、抵抗値のコントロールが困難となり、また、ベルト内のバラツキが大きくなりやすい。一方、40重量%を越えると、ベルトの機械的強度が低下しやすくなる。
カーボンブラックの分散液中の含有量であるが、5〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。カーボンブラック含有量が高いほど、分散が困難となり、また、カーボンブラックの凝集・沈殿が発生しやすく保存安定性が著しく低下する。一方、含有量が低い場合は、半導電特性の効果を発揮することができない。
本発明に用いるカーボンブラック分散液には、前記カーボンブラックと前記有機極性溶媒との親和性を高めるため、カチオン型又は両性型界面活性剤を添加する。なお、塩を形成するアニオン成分としては、酢酸イオン、乳酸イオン、ハロゲンイオン等が挙げられる。
前記カチオン型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、4級アンモニウム塩型、4級ホスホニウム塩型、アミン塩型等の界面活性剤が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、トリブチルアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモウニウム塩、ジアルキルジブチルアンモウニウム塩、アルキルメチルベンジルジアンモウニウム塩、ジアルキルジベンジルアンモニウム塩、トリアルキルメチルアンモニウム塩、トリアルキルエチルアンモニウム塩、トリアルキルブチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩)、ベンジルメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノキシ)エトキシ]エチル}アンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ポリエチレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を2つ有するジアルキル4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩、ポリプロピレングリコール鎖を1つ有するトリアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されても良い。
上記4級ホスホニウム塩型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記アミン塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等が挙げられるが、特にこれらの酢酸塩が好ましい。これらのアミン塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、前記両性型界面活性剤としては、アルキルベタイン型、イミダゾリン型、アミノ酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、アルキルアミンオキシド型界面活性剤等が挙げられる。
上記アルキルベタイン(アルキルカルボキシベタインともいう。)型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジヒドロキシプロピルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらのアルキルベタイン型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記イミダゾリン型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、フランス特許第1,427,133号明細書および米国特許第4,331,447号明細書に記載のもの等が挙げられる。
上記アミノ酸塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ヤシ油アルキルアミノプロピオン酸塩、ミリスチルアミノプロピオン酸塩、パルミチルアミノプロピオン酸塩、ステアリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルアミノ酢酸塩、ラウリルアミノ酪酸塩等が挙げられる。これらのアミノ酸塩型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記硫酸エステル塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、2−[N,N−ジ(アルキルベンジル)−N−メチルアンモニウム]−エチルサルフェートおよび米国特許第2,699,991号明細書に記載のもの等が挙げられる。
上記スルホン酸塩型界面活性剤として、特に限定されるものではないが、例えば、N−ステアリルタウリンナトリウム、N−ラウリルタウリンナトリウムおよびフランス特許第1,427,133号明細書および米国特許第4,331,447号明細書に記載のもの等が挙げられる。
上記アルキルアミンオキシド型界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、オレイルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジエチルアミンオキシド、パルミチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、パーム核アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられるが、ウラリルジメチルアミンオキシドが好ましい。これらのアルキルアミンオキシド型界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
前記界面活性剤は、溶剤に対する親和性を高め、カーボンブラックの分散効果を向上させることができる。
前記カチオン型界面活性剤であるが、一般に水中で界面活性剤本体が陽イオンになるものである。また、前記両性型界面活性剤は、1つの分子内に陽イオンと陰イオンの両方を持ち、アルカリ性条件下ではアニオン型界面活性剤として、酸性条件下ではカチオン型界面活性剤として作用する。
前記界面活性剤の添加量は、特に限定されるものではないが、カーボンブラック分散液100重量%中、0.01〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1重量%である。添加量が0.01重量%未満であると、カーボンブラックの分散性が低下し、2重量%を超えると、カーボンブラックの分散性の効果は変わらないが、最終のベルト中におけるカーボンブラックの残留量が多くなる。
カーボンブラックの分散方法には公知の分散方法を適用することができ、上記界面活性剤を溶解した溶液にカーボンブラックを添加した後、例えば、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波分散等を用いることが効果的であり、これらの方法を適宜選択して分散作業を行う。
本発明のカーボンブラック分散液の製造方法は、まず有機極性溶媒中に前記界面活性剤を溶解し、ここにカーボンブラックを添加・分散させ、カーボンブラック分散液を調製する。
本発明において用いる有機極性溶媒として、カーボンブラックの分散性を高めるものであれば、特に制限されないが、カーボンブラックの分散用と重合反応の溶媒用として兼用できるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等が用いられる。
本発明の半導電性ポリイミドベルトの製造方法は、まず、前記分散液にテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン成分を溶解、重合させてカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を調製する。
前記テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
前記ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5 −ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5 −メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17 −ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用することができる。
重合反応の際のモノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定される。通常は、5〜30重量%程度が好ましい。また反応温度は80℃以下が好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。
上記の反応により得られたカーボンブラック分散アミド酸溶液の粘度は上昇するが、そのまま加熱を行うと、ポリアミド酸溶液の粘度が低下する。この現象を利用して、前記カーボンブラック分散アミド酸溶液を所定の粘度に調整することができる。このときの加熱温度は50〜90℃が好ましい。
このように得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用いて、本発明の半導電性ポリイミドベルトは以下に示す方法により作製される。
円筒金型内に上記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を供給し、回転遠心成形法により金型内周面に遠心力により均一に展開する。このとき前記溶液の粘度は、B型粘度計で1〜1000Pa・s(25℃)が好ましい。これ以外の場合は、遠心成形の際、均一に展開することが困難であり、ポリイミドベルトの厚みバラツキの原因となる。製膜後、80〜150℃にて加熱を行い、溶媒を除去する。
次いで、300〜450℃の高温で加熱することにより、閉環イミド化反応を進行させた後、金型から取り出す。この溶媒除去及びイミド化反応時の加熱は均等に行う必要がある。不均等であると、溶剤蒸発時において、カーボンブラックの凝集バラツキが発生し、ポリイミドベルトの抵抗値にバラツキが生じる。均等に加熱する方法としては、金型を回転させながら過熱する、熱風の循環を改善する等の方法や、低温で投入し、昇温速度を小さくする等の方法がある。
本発明の製造方法で得られる半導電性ポリイミドは、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして用いられる場合、その表面抵抗率が10〜1014Ω/□であることが好ましく、1010〜1013Ω/□であることがより好ましい。表面抵抗率が10Ω/□未満であると、転写時にトナーの飛散が発生しやすく、画質が低下することがある。一方、1014Ω/□を超えると、ベルトが除電しにくくなるため、除電装置が必要となることがある。
本発明の製造方法により得られた半導電性ポリイミドベルトは、カーボンブラックの分散が良く、電気抵抗値のバラツキが小さく、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして使用した場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラが生じることなく、良好な画質を転写することが可能となる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における物性等の評価方法は次のとおりである。
(実施例1)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
895.0gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に5gのカチオン型界面活性剤であるアミン塩類(ライオン(株)製アーマックC、有効成分100重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black250、揮発分2重量%)を添加した。次に、この溶液をボールミルにて室温にて12時間混合を行い、10重量%のカーボンブラック分散液を得た。
<カーボンブラック分散ポリアミド溶液の製造方法>
上記分散液800.0gにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)666.7gを添加し、次いで190.3gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と35.0gのp−フェニレンジアミン(PDA)と64.7gの4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とを窒素雰囲気中で室温にて投入し、溶解した。続いて、重合反応により増粘後、70℃で15時間加熱を続け、120Pa・sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
<半導電性ポリイミドベルトの製造方法>
前記溶液を内径180mm、長さ500mmのドラム金型内周面に、ディスペンサにて最終の厚さが75μmとなるよう塗布し、1500rpmで10分間回転させて、均一な展開層を得た。熱風を均等に循環させた120℃の乾燥炉内にて250rpmでドラム金型を回転させながら、30分間加熱し、溶剤を除去した。さらに2℃/分の速度で360℃まで昇温させ、そのまま10分加熱を続け、イミド化を進行させた。室温まで冷却した後、金型内面より剥離し、75μmの半導電性ポリイミドベルトを得た。
(実施例2)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
885.7gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に14.3gの両性型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド(花王(株)製アンヒトール20N、有効成分35重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black250、揮発分2重量%)を添加した。次に、この溶液をボ−ルミルにて室温にて12時間混合を行い、10重量%のカーボンブラック分散液を得た。
カーボンブラック分散ポリアミド溶液及び半導電性ポリイミドベルトの製造方法については、実施例1と同様である。
(実施例3)
<カーボンブラック分散液の製造方法>
885.7gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に14.3gの両性型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド(花王(株)製アンヒトール20N、有効成分35重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(三菱化学(株)製♯3050、揮発分0.5重量%)を添加した。次に、この溶液をボ−ルミルにて室温にて12時間混合を行い、10重量%のカーボンブラック分散液を得た。
カーボンブラック分散ポリアミド溶液及び半導電性ポリイミドベルトの製造方法については、実施例1と同様である。
(比較例1)
895.0gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、5.0gの非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王(株)製エマルゲン707、有効成分100重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black250、揮発分2重量%)を添加し、実施例1と同様にボールミルにて混合を行った。しかし溶液中で、カーボンブラックは沈降し、分散しなかった。
(比較例2)
858.3gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、41.7gの非イオン性界面活性剤であるメチルタウリン酸塩(ライオン(株)製リボタックTE、有効成分24重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black250、揮発分2重量%)を添加し、実施例1と同様にボールミルにて混合を行った。しかし溶液中で、カーボンブラックは沈降し、分散しなかった。
(比較例3)
894.7gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、5.3gのアニオン型界面活性剤であるラウリル酸ナトリウム(花王(株)製エマール10、有効成分94重量%)を溶解し、乾燥した100.0gのカーボンブラック(デグサ(株)製Special Black250、揮発分2重量%)を添加し、実施例1と同様にボールミルにて混合を行った。しかし溶液中で、カーボンブラックは沈降し、分散しなかった。
<評価方法>
(分散液の粘度)
カーボンブラック分散液の粘度を評価するにあたり、振動式粘度計ビスコメイトVM−1A−L(山一電機(株)製)を用い、25℃にて評価を行った。
(表面抵抗率)
ベルトの表面抵抗率を評価するにあたり、ハイレスタ IP MCP−HT260(三菱化学(株)製プローブUR−100)を用い、印加電圧100V、1分間の測定条件にて25℃、60%RHで評価した。表面抵抗率及び表面抵抗率のバラツキは、ベルトの幅方向3点、周方向4点の計12点を計測し、その平均値を表面抵抗率とし、測定した表面抵抗率の最大値と最小値の対数値の差を、表面抵抗率のバラツキとした。
<カーボンブラック分散液の保存安定性>
カーボンブラック分散液の保存安定性を評価するため、前記分散液を作製した後、30日間、25℃にて保管した。30日後、前記分散液の粘度、及び実施例1と同様の製造方法により、半導電性ポリイミドベルトを作製し、表面抵抗率を評価した。
なお、表1の割合で、実施例1〜3、比較例1〜3を調製した。
得られた実施例1〜3、比較例1〜3のカーボンブラック分散液の粘度及び半導電性ポリイミドベルトの表面抵抗率の評価結果を、表2に示した。
Figure 0004851838
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実施例1〜3より、揮発分が3重量%以下のカーボンブラックを、カチオン型又は両性型界面活性剤の存在下で分散させた分散液を用いることにより、半導電性ポリイミドベルトを製造することができることを確認した。
また、比較例1〜3では、非イオン性型及びアニオン型界面活性剤を使用しているが、カーボンブラックが沈降し、カーボンブラック分散液を調製することができず、粘度測定を行うことができなかった。また、表面抵抗率の評価を行うこともできなかった。
実施例1〜3においては、カーボンブラック分散液の調製を行った初日と、30日後の粘度に、相違は認められなかった。また、前記分散液を使用して製造した半導電性ポリイミドベルトの表面抵抗率及びそのバラツキにも、相違は認められず、カーボンブラックの分散性が高く、長期保存においても安定であることが確認できた。
以上より、本発明のカーボンブラック分散液及びこれを用いた半導電性ポリイミドベルトの製造方法を用いることにより、前記カーボンブラック分散液が長期保存することができ、半導電特性に優れたポリイミドベルトを得られることが確認できた。


Claims (1)

  1. カーボンブラックを溶媒に分散させた分散液に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン成分を溶解し、重合させたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を原料とする半導電性ポリイミドベルトの製造方法において、前記分散液を調整するにあたり、揮発分が3重量%以下のカーボンブラックを、カチオン型又は両性型界面活性剤存在下で分散させることを特徴とする半導電性ポリイミドベルトの製造方法。

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