JP4440033B2 - 中間転写体とその製造方法及び成膜液組成物、この中間転写体を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
(1)トナーにより像担持体上に順次形成される複数の可視の色現像画像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置に用いる中間転写体において、揮発分が0.4〜25重量%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、下記の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする中間転写体。
R1−O−(C2H4O)m−(C3H6O)nH …… (6)
R2−O−(C3H6O)p−(C2H4O)qH …… (7)
((6),(7)式中、R1およびR2は、炭素数1〜14の分岐してもよいアルキル基を示し、nおよびpは前記アルキル基とポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が1200以下であることを満たす自然数であり、mはポリオキシエチレンユニットの分子量が(6)式の全分子量に占める割合として25〜50%を満たす自然数であり、qはポリオキシエチレンユニットの分子量が(7)式の全分子量に占める割合として15〜40%を満たす自然数である。)
HO(C2H4O)l−(C3H6O)m−(C2H4O)nH …… (8)
((8)式中、mはポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が2500以下であることを満たす自然数であり、l、nは、ポリオキシエチレンユニットの合計分子量が、(8)式の全分子量に占める割合として5〜30%を満たす自然数である。)
R1−O・SO3M …… (10)
((10)式中、R1はドデシル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、又はアルカノールアミンを表す。)
(2)重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を更に含有することを特徴とする上記(1)に記載の中間転写体。
(3)前記化合物(A)と前記カーボンブラックの比率が0.01重量%以上4重量%以下(化合物(A)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の中間転写体。
(4)カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の中間転写体。
(5)前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下(水溶性樹脂(B)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記載の中間転写体。
(6)前記水溶性樹脂がポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)、アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体のいずれかであることを特徴とする上記(2)〜(5)のいずれかに記載の中間転写体。
(7)前記バインダー樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体または複数を配合したものを用いることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の中間転写体。
(8)前記中間転写体中のカーボンブラックの粒子径が電子顕微鏡観察における平均粒子径が10〜50nmの範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の中間転写体。
(9)前記中間転写体の表面及び又は裏面の抵抗が108〜1012Ω/□であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の中間転写体。
(10)前記中間転写体の層構成が単層構成であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の中間転写体。
(11)前記中間転写体の層構成が複層構成であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の中間転写体。
(12)前記中間転写体がシームレスベルト形状であることを特徴とする上記(1)〜()11)のいずれかに記載の中間転写体。
(13)トナーにより像担持体上に順次形成される複数の可視の色現像画像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、前記中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置に用いる中間転写体を形成するための中間転写体形成用成膜液組成物において、揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、極性有機溶剤、上記(1)に記載の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物。
(14)重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂(B)の少なくとも一種を更に含有することを特徴とする上記(13)に記載の成膜液組成物。
(15)前記化合物と前記カーボンブラックの比率が0.01重量%以上4重量%以下(化合物(A)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする上記(13)又は(14)に記載の成膜液組成物。
(16)カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあることを特徴とする上記(13)〜(15)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(17)前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下(水溶性樹脂(B)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする上記(14)〜(16)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(18)前記水溶性樹脂がポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)、アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体のいずれかであることを特徴とする上記(14)〜(17)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(19)前記極性有機溶剤がn−メチル−2−ピロリドン或はジメチルアセトアミドから選ばれることを特徴とする上記(13)〜(18)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(20)表面張力が25〜50mN/mの範囲にあることを特徴とする上記(13)〜(19)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(21)成膜液組成物中におけるカーボンブラックの体積平均粒子径が200〜400nm、数平均粒子径が100〜300nm、算術平均粒子径が200〜400nmの範囲にあることを特徴とする上記(13)〜(20)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(22)成膜液組成物中に含有される樹脂が、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記(13)〜(21)のいずれかに記載の成膜液組成物。
(23)極性有機溶剤中に、カーボンブラック、バインダー樹脂、請求項1に記載の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を分散させることからなる請求項13〜22のいずれかに記載の中間転写体形成用成膜液組成物を製造する方法において、少なくとも、表面張力が50mN/m以下の水系媒体中でカーボンブラックを粉砕する工程と、該カーボンブラックを水系媒体中で分散させて親水性官能基を導入し、表面改質カーボンブラックを含むカーボンブラック分散液を得る工程とを含むことを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物を製造する方法。
(24)少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像剤を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、前記中間転写装置が上記(1)〜(12)のいずれかに記載の中間転者体を用いることを特徴とする前記画像形成装置。
(中間転写体、中間転写装置)
中間転写装置に用いる中間転写体の代表例として中間転写ベルトを用いて説明する。
中間転写ユニット(500)は、図1に示すように、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などで構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
本発明の中間転写体は少なくとも揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック(以下では、表面に酸性基を有するカーボンブラックを「酸性カーボンブラック」という)、バインダー樹脂、式(1)〜(11)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1つ(A)を含有する層を有し、前記化合物(A)と前記酸性カーボンブラックとの比率が0.01重量%以上4重量%以下、カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること、更に重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を含有する層を有し、前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下の範囲にあることを特徴とする。
カーボンブラックは、各種の炭化水素又は炭素を含む化合物を不完全燃焼して得られる微細な球状粒子の集合体と定義され、化学組成が炭素98%以上の、限りなく純粋に近い炭素材料の総称である。
種類は、製法で分類する方法が一般的で、原料炭化水素の熱分解か、不完全燃焼か何れかに大別され(表1)、更に原料の種類により細分化される。コンタクト法は、炎を鉄や石などに接触させる製造法であり、チャンネル法やその改良法であるガスブラック法(ローラ法)等が含まれる。チャンネルブラックは、コンタクト法の代表的な製品で、チャンネル鋼の底面に炎を接触させて採取するものである。
サーマル法は、原料の炭素源として天然ガスを利用し燃焼と熱分解を周期的に繰り返す特殊な製造法で、その特徴は大粒子径を有するカーボンブラックが得られることにある。
アセチレンブラックもアセチレンを原料とする一種のサーマル法であるが、アセチレンの熱分解は他の原料が吸熱反応であるのに対し発熱反応であるため、サーマル法における燃焼サイクルを省略することが可能となり、連続運転が出来る。アセチレンブラックの特徴は、通常のカーボンブラックに比較して結晶性が発達し、かつ、ストラクチャーが高いことにあるため導電性にすぐれ、乾電池用並びに各種ゴム、プラスチックの導電性付与剤として使用されている。
カーボンブラックをゴムや樹脂、塗料やインキのビヒクルに配合、分散させ補強性や黒色度、導電性などの機能を付与する際重要な因子は、粒子径とストラクチャー、それに粒子表面の物理化学的性質であり、これを通常カーボンブラックの三大特性と呼んでおり、これらの組み合わせで種々のカーボンブラックが製造されている。
カーボンブラックの3大基本特性
(I)粒子径:粒子径と表面積
(II)ストラクチャー:DBP吸油量(ml/100g)とストラクチャー指数
(III)表面の化学的特性:揮発分(%)とpH
1)少なくとも揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、式(1)〜(11)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1つ(A)を含有する層を有し、前記化合物(A)と前記酸性カーボンブラックとの比率が0.01重量%以上4重量%以下、カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること、
2)重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を含有する層を有し、前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下の範囲にあることによって、抵抗均一性が高く、しかも分散安定性が良好な成膜液組成物を作成できることを見い出し本発明に至った。
カーボンブラックのpHが4以下であると抵抗均一性が高くなる理由は定かでないが、推測するところでは、このようなカーボンブラックではpHを左右する表面酸性基が多く存在するため、顔料粒子自体の成膜液溶媒への親和性が上がり、このために微分散が可能になり、その結果、抵抗均一性が上がると思われる。
更に、成膜液を遠心成型法等で中間転写体に成型加工する方法にあっては、揮発分が25重量%を超えるカーボンブラックで成膜液を作成しても、抵抗均一性はこれ以上が高くなり易いので、揮発分が0.4〜25%の範囲にあるカーボンブラックを用いることが特に望ましい。これは、揮発成分が余り多いとカーボンブラックの分散性の阻害の原因となるためであると考えられる。
R2−O−(C3H6O)p−(C2H4O)qH …… (7)
((6),(7)式中、R1およびR2は、炭素数1〜14の分岐してもよいアルキル基を示し、nおよびpは前記アルキル基とポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が1200以下であることを満たす自然数であり、mはポリオキシエチレンユニットの分子量が(6)式の全分子量に占める割合として25〜50%を満たす自然数であり、qはポリオキシエチレンユニットの分子量が(7)式の全分子量に占める割合として15〜40%を満たす自然数である。)
((8)式中、mはポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が2500以下であることを満たす自然数であり、l、nは、ポリオキシエチレンユニットの合計分子量が、(8)式の全分子量に占める割合として5〜30%を満たす自然数である。)
((10)式中、R1はドデシル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、又はアルカノールアミンを表す。)
また、カーボンブラックの表面処理を行うことで、分散安定性、表面濡れ性、レオロジー特性、電気特性などの特性を改良することが出来る。表面処理の方法には次のものが挙げられる。
(1)表面酸化処理
カーボンブラックを酸化剤で処理すると、粒子表面の縮合芳香族環へカルボキシル基やフェノール性水酸基が導入される。
(2)界面活性剤分散
カーボンブラックは通常のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等により成膜液中に分散することが出来る。
(3)高分子(樹脂)分散安定剤による分散安定
カーボンブラックは、高分子分散安定剤の鎖状部分の立体障害反発による成膜液中での分散安定化が可能である。
カーボンブラックが樹脂により被覆され溶剤中に分散されている。または、樹脂にカーボンブラックが含浸されたもの、即ち、表層もしくは内部、あるいは全体にカーボンブラックが存在するものが使用できる。その特徴は、分散安定性、表面濡れ性、レオロジー特性、電気特性などの特性を改良することが出来る。特に、分散安定性では、グラフト鎖の良溶媒中への分散性(分散媒中への易分散性と分散後の安定性)が著しく向上し、また、電気特性では、カーボンブラック粒子がポリマーマトリックス中へ容易に、しかも均一に分散するので、広い面積にわたって一定の抵抗値が得られるという特徴がある。
カーボンブラックのグラフト化処理は、グラフト機構に基づいて次のように分類できる。
(a)カーボンブラック表面へのグラフト重合
カーボンブラックの存在下で、重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する生長ポリマー鎖を粒子表面で捕捉する方法
(b)カーボンブラック表面からのグラフト重合
カーボンブラック表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を生長させる方法
(c)カーボンブラック表面とポリマーとのグラフト反応
カーボンブラック表面の官能基と反応性ポリマーとの反応による方法
このうち、(a)の方法は最も簡単に行なうことができるが、非グラフトポリマーの生成が優勢に起こるため、グラフト率の大きなものを得ることができない。これに対して、(b)の系では、カーボンブラック表面からポリマー(グラフト鎖)が外へ向かって生長するので、グラフト率の大きなものが得られるという特徴がある。更に、(c)の方法によると、グラフト鎖の分子量や数を制御できるという大きな特徴があり、グラフト率も比較的大きなものが得られる。
オゾン処理やプラズマ処理によるカーボンブラック表面の酸化処理方法であり、カーボンブラックにプラズマ照射することでプラズマの高エネルギーによってカーボンブラック表面に水酸基やカルボキシル基を付けることが出来る。
(1)表面酸化処理
カーボンブラックを酸化剤で処理すると、下記の式に示すように粒子表面の縮合芳香族環へカルボキシル基やフェノール性水酸基が導入される。更に、カーボンブラック表面の縮合芳香族環は、次の様々な試薬と反応し、粒子表面への多彩な官能基の導入が可能となっている。
本発明において用いられる活性剤として、前記に挙げた活性剤以外にも、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。
本発明においては、前記カーボンブラックと前記成膜液の分散媒液体との親和性を高めるために分散安定剤をさらに添加することができる。分散安定剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。単独又は複数の高分子分散安定剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
表面への官能基導入
カーボンブラック表面に存在するフェノール性水酸基やカルボキシル基は、そのままグラフト反応の足場として利用できるが、これをベースとして、より反応性の高い官能基に変換すると、様々なポリマーのグラフト反応へ活用できる。
(a)表面へのグラフト重合
カーボンブラックの存在下で、ビニルモノマーのラジカル重合を行なうと、生成するポリマーの一部が粒子表面へグラフトする。
(b)表面からのグラフト重合
a.ラジカル重合
i ペルオキシド及びペルオキシエステル基
ii アゾ基
b.カチオングラフト重合
i アシリウムパークロレート基
ii クロルメチル基
iii ベンジリウムパークロレート
c.アニオングラフト重合
i カリウムカルボン酸塩基
ii カーボンブラック/BuLi複合体(OLi基)
iii アミノ基
(c)表面におけるポリマーとのグラフト反応
a.応性カーボンブラックとポリマーとの反応
b.カーボンブラックと反応性ポリマーとの反応
i リビングポリマーとの反応
ii 末端イソシアナート基ポリマーとの反応
好ましくは、高分子(樹脂)分散タイプ、グラフトタイプ、カプセル化タイプが良い。
ポリイミドは、一般的には芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンとの縮合反応によって得られる。しかし、その剛直な主鎖構造により不溶、不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンからまず有機溶媒に可溶なポリアミック酸(又はポリアミド酸〜ポリイミド前駆体)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行われ、その後加熱若しくは化学的な方法で脱水環化(イミド化)することでポリイミドが得られる(化学式1参照)。
具体的にポリアミック酸の製造方法について説明する。
それらは例えば、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、リカコート(新日本理化社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等を代表的に挙げることが出来る。
具体的な例を挙げるならば、表面平坦性、レベリング性を向上させる目的で各種表面張力調節剤を添加することができる。これらの添加剤は一般的にはレベリング剤、消泡剤、塗膜欠陥改良剤として知られているものである。これらの中で特に好ましい添加剤はシリコ−ン系添加剤である。又、非シリコ−ン系添加剤でも、例えばグリセリン高級脂肪酸エステル類、高級アルコ−ルホウ酸エステル類、含フッ素界面活性剤等が好適に用いられる。これらの添加量は0.001〜1%(対組成物重量)である。
更に滑り性を改良する目的で、固体潤滑剤、例えば二硫化モリブデン、グラファイド、窒化ホウ素、一酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加することができる。
本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加することができる。
イミド化の程度を評価するには通常イミド化率を測定すればよい。
イミド化率の測定方法は種々知られており、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法があるが、最も一般的にはフ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)が用いられる。
フ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)ではイミド化率を次のように定義することが出来る。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
等を用いてイミド化率を評価することが出来る。
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すれば更にイミド化完結の信頼性は高まる。
<フッ素変性PIの説明>
ポリイミドは、一般的には芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンとの縮合反応によって得られる。(化学式2参照)
本発明の少なくとも表面に用いられるポリイミド変性シリコーン樹脂は、下記の一般式で表すことが出来る。
このようなポリイミド変性シリコーン樹脂は、シロキサンジアミン、芳香族ジアミン、テトラカルボン酸二無水物とからなる混合物を原料として製造することが出来る。
シロキサンジアミン化合物としては、
が一般式として示され、具体的には、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、アミノプロピル末端基を有するジメチルシロキサン4量体、8量体、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
架橋剤の添加量は、ポリイミド変性シリコーン樹脂100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下が好ましい。添加量が0.5重量部を下回ると架橋性が十分ではなくなり、10重量部を越えると余剰の架橋剤が中間転写体の離型性に悪影響を及ぼす。
ポリアミドイミドは分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミドは一般的なものを使用することが出来る。
ポリアミドイミド樹脂を合成する方法として一般的に、(1)イソシアネート法〜酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体と芳香族イソシアネートより溶媒中で製造する方法(例えば特公昭44−19274号公報)(2)酸クロライド法〜酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライド、最も代表的には前記誘導体クロライドとジアミンから溶媒中で製造する方法(例えば特公昭42−15637号公報)が用いられる。各製造方法について説明する。
酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体としては、例えば一般式(I)及び(II)で示す化合物を使用することができる。
これらは何れも使用することが出来るが最も代表的には無水トリメリット酸が用いられる。
また、これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライドとしては、例えば一般式(III)及び(IV)で示す化合物を使用することができる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、メチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。又ジアミンとして両末端にアミノ基を有するシロキサン系化合物、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノフェノキシメチル)ポリジメチルシロキサン、1,3,−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)ポリジメチルシロキサン等を用いればシリコーン変性ポリアミドイミドを得ることが出来る。
即ち本発明は、少なくとも揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、式(1)〜(11)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1つ(A)を含有する層を有し、前記化合物(A)と前記酸性カーボンブラックとの比率が0.01重量%以上4重量%以下、カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること、更に重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を含有する層を有し、前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下の範囲にあることを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物である。
1)少なくとも揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、式(1)〜(11)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1つ(A)を含有する層を有し、前記化合物(A)と前記酸性カーボンブラックとの比率が0.01重量%以上4重量%以下、カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること
2)重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を含有する層を有し、前記水溶性樹脂とカーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下の範囲にあることによって、抵抗均一性が高く、しかも分散安定性が良好な成膜液組成物を作成できることを見い出し本発明に至った。
カーボンブラックのpHが4以下であると抵抗均一性が高くなる理由は定かでないが、推測するところでは、このようなカーボンブラックではpHを左右する表面酸性基が多く存在するため、顔料粒子自体の成膜液溶媒への親和性が上がり、このために微分散が可能になり、その結果、抵抗均一性が上がると思われる。
即ち、カーボンブラック試料1〜10gをビーカーに量り採り、試料1gにつき10mlの割合で水を加え、時計皿で覆い、15分間煮沸する(試料をぬれやすくするため、エタノール数滴を加えてもよい)。煮沸後室温まで冷却し、傾斜法又は遠心分離法によって上澄み液を除去して、泥状物を残す。この泥状物中にガラス電極pH計の電極を入れ、JISZ8802(pH測定法)によってpHを測定する。この場合、電極の挿入位置により測定値が変化することがあるから、ビーカーを動かして電極の位置を変えて電極面の泥状面が十分に接触するように注意して量り、pH値が一定になったときの値を読む。
また、とりわけ揮発分が0.4%〜25%の範囲、より好ましくは15%〜20%の範囲のカーボンブラックを用いて本発明の成膜液を調整し、中間転写体を作成すると抵抗均一性の高い中間転写体が得られる。
WD:乾燥試料の質量(g)
WR:加熱後の試料の質量(g)
本発明で使用するカーボンブラックの量は重量比で3〜20重量%の範囲で用いることが望ましい。
水溶性樹脂は一般に、平均分子量が高くなると、同一量を水溶性有機溶剤に溶解させたときの粘度が高くなる。また、水溶性樹脂はカーボンブラックを分散させたときにカーボンブラックの周囲に吸着しカーボンブラックを立体障害により安定に分散させる役割を有しているため、水溶性樹脂の分子量が大きくなるということは吸着層が厚くなり分散体の粒子径が大きくなることを意味している。
つまり、本発明の成膜液組成物の如く、酸性カーボンブラックを使用する場合には、水溶性樹脂の平均分子量を小さいものにして成膜液の粘性、分散体の粒子径を小さくしなけば良好な分散安定性が得られず、しかも前述のように水溶性樹脂はカーボンブラックの周囲に吸着し立体障害の働きをしなくてはならないために平均分子量が小さ過ぎては長期保存における分散安定性が悪くなってしまうような特性がある。
多くの有機溶剤の中でも有機アミン類は、本発明の成膜液中に、好ましくは0.001〜10重量%含有されても良い。
また、本発明の成膜液は上記の成分の他に必要に応じて所望の物性値を持つ成膜液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤などを添加することも可能である。
さらに、最適な硬化が可能な成膜液の性能を鋭意研究した結果、成膜液中に溶解している水溶性樹脂の量を成膜液全重量の2%以下、好ましくは1%以下とすることである。
溶解している水溶性樹脂とは、成膜液中において顔料に反応していないで液媒体中に溶解した状態の水溶性樹脂を指す。
さらに、分散液中のカーボンブラックと水溶性樹脂の総量は10%以上であることが好ましい。その理由としては、分散液中に一定濃度以上のカーボンブラックと水溶性樹脂が存在しないと分散を効率的に行い最適な分散状態を得ることができないからである。
とりわけ未吸着水溶性樹脂量を2%以下にするためには、作成方法において、樹脂、アミンあるいは塩基等を含むビヒクルを60℃以上、30分間以上撹拌して水溶性樹脂を予め完全に溶解させることが必要である。
また、分散液に添加される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属塩の水和物などの無機アルカリ剤が好ましい。
その中でも高速型のサンドミルが好ましく、たとえばスーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
なお、本発明に係る未吸着樹脂の量を測定する方法としては、超遠心機等を用いて顔料分と顔料に吸着された樹脂分を沈殿させ、この上澄み液に含有される残存樹脂量をTOC(Total Organic Carbon、全有機炭素計)や、重量法(上澄みを蒸発乾固させ、樹脂量を測定する方法)などが好適に用いられる。
本発明の半導電性ベルトは、少なくとも表面層に導電性微粉末としてカーボンブラックを均一に分散させたポリイミド樹脂層を有する半導電性ベルトであり、単層であっても2層以上の複数層を有していてもよい。カーボンブラックとしては、一般的にカーボンブラックの一次粒子径は10nm〜1μmであるが、分散液や樹脂中に混入する場合、カーボンブラックの分散時に凝集を発生することがある。本発明では、半導電性ベルトとしてポリイミド樹脂中に分散されているカーボンブラックの粒子径が10〜300nmであることが好ましい。300nmを超えると半導電性ベルトの製造工程中に表面層に存在する粒子径の大きなカーボンブラックがベルト表面の突起となり、表面精度の悪化や抵抗の不均一化、さらには半導電性ベルトの電気的負荷による抵抗の低下を引き起こす原因となることがある。また、10nm未満だと所望の抵抗値を得るには添加量が過大で中間転写体の機械特性が低下してしまう。
本発明のポリイミド樹脂組成物は,導電性物質としてカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラックまたはファーネスブラックが好ましい。ファーネスブラックについては、酸化処理を施したものを用いると、溶媒への分散性が向上されるため、適宜酸化処理を行ったものが好ましい。さらに、酸化処理を施したファーネスブラックは、処理によってその表面に酸素を含有した官能基(カルボキシル基、ケトン基、ラクトン基、水酸基等)が付与されるため、極性溶媒との親和性がよく、かつ電気的負荷等によりカーボンブラック表面が酸化劣化を受け難くなる。そのようなカーボンブラックを半導電性ベルトに使用すると、導電経路の形成が起き難くなって、抵抗低下を防ぐことができる。
前記平均粒子径は、電子顕微鏡などで測定された一次粒子径に基づく平均粒子径を示す。また、前記カーボンブラックは、粒子表面をスチレンやメタクリル酸メチル等のポリマーでグラフト化したり、絶縁材を被覆したりすることで電気抵抗を制御してもよく、カーボンブラック粒子表面に酸化処理を施してもよい。
以下、本発明のポリイミド樹脂組成物及びシームレスベルトの製造方法の一例を説明する。
まず、前記有機極性溶媒中にカーボンブラック及び適宜高分子分散剤を添加、分散してカーボンブラック分散液を調製する。
分散方法としては公知の方法が適用でき、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等が挙げられる。
次に、前記カーボンブラック分散液に、前記酸二無水物及びジアミンを溶解し、混合・撹拌して重合反応を進行させ、ポリアミド酸溶液を得る。
溶媒の除去のための加熱温度は、適用した溶媒を蒸発させることができる温度であれば特に制限はなく適宜に設定できる。ポリアミド酸溶液中の溶媒が急激に蒸発するための微小ボイドの発生を防止するためには230℃以下が好ましく、加熱時間の短縮という観点から80℃以上が好ましい。加熱時間は加熱温度に応じて適宜設定され、通常、10〜60分程度である。
次いで、イミド転化反応完結や閉環水の除去のために、加熱する。通常、この時の加熱温度は上記溶媒蒸発温度以上から450℃以下、好ましくは250〜400℃、加熱時間は10〜60分である。
ポリイミド樹脂組成物を様々な形状の成形物にするには、各々公知の成形法を用いる。 例えば、フィルムやベルト等の薄膜を得るには、ガラス板若しくは銅板等の平板、エンドレスベルト又は円筒状金型等に前記ポリアミド酸溶液を塗布等することにより被膜を形成した後、加熱による溶媒除去、イミド転化反応、閉環水除去を行うことにより、ポリイミド樹脂組成物からなるフィルムやベルトを得ることができる。また、シームレスベルトを得るには、円筒状金型内面にポリアミド酸溶液を流延又は塗布後、金型を回転させる方法や弾丸状走行体を自重若しくは気体圧により走行させる方法、又は円柱状金型をポリアミド酸溶液に浸漬した後、引き上げて環状金型等により成形する方法等により被膜を形成した後、加熱による溶媒除去、イミド転化反応、閉環水除去を行うことにより、ポリイミド樹脂組成物からなるシームレスベルトを得ることが挙げられ、適宜選択することができる。
本発明のシームレスベルトは、積層することにより多層化することも可能であるが、少なくとも最外表面は、前記ポリイミド樹脂組成物からなる。
1)揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、式(1)〜(11)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1つ(A)を含有する層を有し、前記化合物と前記酸性カーボンブラックとの割合が0.01重量%以上4重量%以下、カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること。
2)重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を更に含有すること。
3)前記化合物(A)と前記カーボンブラックの比率が0.01重量%以上4wt%以下(化合物(A)/カーボンブラック)の範囲にあること。
4)カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあること。
5)前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下(水溶性樹脂(B)/カーボンブラック)の範囲にあること。
6)前記水溶性樹脂がポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)、アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体のいずれかであること。
7)前記バインダー樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体または複数を配合したものを用いること。
8)前記中間転写体中のカーボンブラックの粒子径が電子顕微鏡観察における平均粒子径が10〜50nmの範囲にあること。
9)成膜液の水溶性有機溶剤がn−メチル−2−ピロリドン或はジメチルアセトアミドから選ばれることを特徴とする。
10)成膜液組成物の表面張力が25〜50mN/mの範囲にあること。
11)カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの体積平均粒子径が200〜400nm、数平均粒子径が100〜300nm、算術平均粒子径が200〜400nmの範囲にあること。
12)前記中間転写体の表面及び又は裏面の抵抗が108〜1012Ω/□であること。
実施例で用いた水溶性樹脂は次の通りである。
水溶性樹脂(1):ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)
水溶性樹脂(2):ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)
水溶性樹脂(3):ポリ(N−ビニルホルムアミド)
水溶性樹脂(4):ポリ(N−ビニルアセトアミド)
水溶性樹脂(5):ポリ(N−ビニルフタルアミド)
水溶性樹脂(6):ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)
水溶性樹脂(7):ポリ(N−ビニル尿素)
水溶性樹脂(8):ポリ(N−ビニルピぺリドン)
水溶性樹脂(9):ポリ(N−ビニルカプロラクタム)
水溶性樹脂(10):ポリ(N−ビニルオキサゾリン)
水溶性樹脂(11):アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体
水溶性樹脂(12):スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体
温度計、攪拌羽根、冷却管を備え付けたバッチ式卓上サンドミル(株式会社カンペハピオ製)に、カーボンブラック(Special Black4 デグサ製)65部、化合物(1−4)0.6部、水溶性樹脂(5)3.2部、n−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学製試薬特級)350部、ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%)120部、をそれぞれ仕込み分散させた。続いてジルコニア製ビーズ(株式会社ニッカトー:YTZボール0.3mm径)424部をベッセル内に仕込んだ。回転数300rpmで攪拌しながら、25℃で4時間カーボンブラックの分散を行なった。続いて内容物とジルコニア製ビーズを分離しカーボンブラック分散液(1)を得た。
カーボンブラック表面に吸着された化合物(1−4)量は12.5μmol/m2であった。
カーボンブラック:(Special Black 4 デグサ製) 65部
化合物(1−4): 0.6部
水溶性樹脂(5): 3.2部
n−メチル−2−ピロリドン:(NMP:関東化学製試薬特級) 350部
ポリイミド樹脂溶液:(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 120部
シルコニア製ビーズ:(株式会社ニッカトー:YTZボール0.3mm径) 424部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(2−4)処理カーボンブラック分散液(2)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(2−4)の量は24.6μmol/m2であった。
化合物(2−4): 1.2部
水溶性樹脂(2): 5.5部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(3−3)処理カーボンブラック分散液(3)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(3−3)の量は13.6μmol/m2であった。
化合物(3−3): 2.4部
水溶性樹脂(8): 6.7部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(4−4)処理カーボンブラック分散液(4)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(4−4)の量は12.5μmol/m2であった。
化合物(4−4): 1.0部
水溶性樹脂(6): 5.5部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(5−1)処理カーボンブラック分散液(5)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(5−1)の量は13.8μmol/m2であった。
化合物(5−1)m+n=2: 1.5部
水溶性樹脂(1): 4.8部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(6−1)処理カーボンブラック分散液(6)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(6−1)の量は15.6μmol/m2であった。
化合物(6−1): 0.6部
水溶性樹脂(11): 5.0部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(7−2)処理カーボンブラック分散液(7)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(7−2)の量は20.6μmol/m2であった。
化合物(7−2): 0.8部
水溶性樹脂(9): 3.1部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(8−1)処理カーボンブラック分散液(8)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(8−1)の量は5.8μmol/m2であった。
化合物(8−1): 0.7部
水溶性樹脂(12): 4.7部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(9−1)処理カーボンブラック分散液(9)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(9−1)の量は11.2μmol/m2であった。
化合物(9−1): 0.9部
水溶性樹脂(7): 2.2部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(10−1)処理カーボンブラック分散液(10)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(10−1)の量は19.7μmol/m2であった。
化合物(10−1): 1.0部
水溶性樹脂(10): 4.6部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(11−1)処理カーボンブラック分散液(11)を得た。カーボンブラック表面に吸着された化合物(11−1)の量は23.5μmol/m2であった。
化合物(11−1): 1.2部
水溶性樹脂(3): 4.1部
前記分散例1において、カーボンブラック、化合物、水溶性樹脂を下記のもとする以外は前記分散例1と同様の操作を行ない化合物(1−4)/(13−4)処理カーボンブラック分散液(12)を得た。化合物(1−4)/(13−4)のカーボンブラック表面への吸着量は10.4μmol/m2であった。
化合物(1−4)/(13−4): 2.6部
水溶性樹脂(4): 2.7部
カーボンブラック分散液(1) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
0.01部
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 10部
分散例2で得られたカーボンブラック分散液(2)を下記成分に均一に混合し成膜液(2)を得た。
処理カーボンブラック分散液(2) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 2部
分散例3で得られたカーボンブラック分散液(3)を下記成分に均一に混合し成膜液(3)を得た。
カーボンブラック分散液(3) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 6部
分散例4で得られたカーボンブラック分散液(4)を下記成分に均一に混合し成膜液(4)を得た。
カーボンブラック分散液(4) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 40部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 40部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
分散5で得られた化合物カーボンブラック分散液(5)を下記成分に均一に混合し成膜液(5)を得た。
カーボンブラック分散液(5) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 6部
分散例6で得られたカーボンブラック分散液(6)を下記成分に均一に混合し成膜液(6)を得た。
カーボンブラック分散液(6) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
<実施例7>
分散例7で得られたカーボンブラック分散液(7)を下記成分に均一に混合し成膜液(7)を得た。
カーボンブラック分散液(7) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 2部
<実施例8>
分散例8で得られた化合物カーボンブラック分散液(8)を下記成分に均一に混合し成膜液(8)を得た。
カーボンブラック分散液(8) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
<実施例9〜62>
カーボンブラック分散液の(9)から(62)迄を用い、実施例1から8迄のカーボンブラック分散液のみを代えてその他は同様にして下記配合組成に示す様に、実施例9から実施例62迄の成膜液(成膜液9から62)を作製した。
<比較例1>
カーボンブラック分散例1においてカーボンブラック(Special Black 4 デグサ製)の代わりにカーボンブラック(Special Black 5デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例1と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(63)を得た。カーボンブラック分散液(63)を下記成分を均一に混合し成膜液(63)を得た。
処理カーボンブラック分散液(63) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 10部
カーボンブラック分散例2においてカーボンブラック(Special Black350 デグサ製)の代わりにカーボンブラック(Special Black6 デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例2と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(64)を得た。カーボンブラック分散液(64)に下記成分を均一に混合し成膜液(64)を得た。
カーボンブラック分散液(64) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 2部
カーボンブラック分散例3においてカーボンブラック(Special Black 550 デグサ製)の代わりにカーボンブラック(Special Black 100 デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例3と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(65)を得た。カーボンブラック分散液(65)に下記成分を均一に混合し成膜液(65)を得た。
カーボンブラック分散液(65) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 6部
<比較例4>
カーボンブラック分散例4においてカーボンブラック(MA7三菱化学製)の代わりにカーボンブラック(Special Black250 デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例4と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(66)を得た。カーボンブラック分散液(66)に下記成分を均一に混合し成膜液(66)を得た。
カーボンブラック分散液(66) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 40部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 40部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
カーボンブラック分散例5においてカーボンブラック(MA100三菱化学製)の代わりにカーボンブラック(Color Black FW2v デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例5と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(67)を得た。カーボンブラック分散液(67)に下記成分を均一に混合し成膜液(67)を得た。
カーボンブラック分散液(67) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 6部
カーボンブラック分散例6においてカーボンブラック(MA77三菱化学製)の代わりにカーボンブラック(FW18PSデグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例6と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(68)を得た。カーボンブラック分散液(68)に下記成分を均一に混合し成膜液(68)を得た。
カーボンブラック分散液(68) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 37部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 37部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
カーボンブラック分散例7においてカーボンブラック(MA200RB三菱化学製)の代わりにカーボンブラック(PS S170デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例7と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(69)を得た。カーボンブラック分散液(69)に下記成分を均一に混合し成膜液(69)を得た。
カーボンブラック分散液(69) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP:関東化学試薬特級) 2部
カーボンブラック分散例8においてカーボンブラック(#2400B三菱化学製)の代わりにカーボンブラック(Printex 95デグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例8と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(70)を得た。カーボンブラック分散液(70)に下記成分を均一に混合し成膜液(70)を得た。
カーボンブラック分散液(70) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 39部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 39部
シリコーン系レべリング剤 0.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
カーボンブラック分散例9においてカーボンブラック(#7550F東海カーボン製)の代わりにカーボンブラック(Printex Uデグサ製)とし、化合物(A)と水溶性樹脂(B)を用いない以外は分散例9と同様の操作を行ないカーボンブラック分散液(71)を得た。カーボンブラック分散液(71)に下記成分を均一に混合し成膜液(71)を得た。
カーボンブラック分散液(71) 20部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスA固形分18.3%) 38部
ポリイミド樹脂溶液(宇部興産製:UワニスS固形分18.1%) 38部
シリコーン系レべリング剤 1.01部
(日本ユニカー製:シルウェットFZ−2105)
表7に示す比較例使用カーボンブラックの10から18迄を使用し、下記表5に示す様に、比較例1から8迄のカーボンブラックを比較例使用カーボンブラックの10から18に代えてその他は同様にして比較10から比較例18迄の成膜液(成膜液72から80)を作製した。
1.成膜液の保存安定性評価
実施例と比較例の各性膜液を50℃で4週間保存した後、粘度と保存瓶の底に付着した沈殿物の量を目視にて観察した。
A;沈殿物が見られない。
B;瓶の底にわずかに沈殿物が見られるが、実用的には問題がない。
C;沈殿物がはげしく生じている。
評価結果を、表8に示した。
表面張力計を用いて各成膜液の静的表面張力を測定した。結果を表8に示す。
粒度分布計を用いて各カーボンブラック分散液の平均粒子分布を測定した。結果を表9に示す。
平均値/測定装置:MICROTRAC HRA粒度分布計(日機装(株)製:MODEL.No.9320−X100)
n=3の平均値
日本電子製走査電子顕微鏡を用いて中間転写体のカーボンブラックの一次粒子径を測定した。結果を表10に示す。
実施例と比較例の各成膜液を、内表面の表面粗さRaが0.2μmに鏡面仕上げされた内径300mm、長さ500mmの円筒状金型の内面に、ディスペンサーを介して400μmの厚さに塗布し、1800rpmで15分間回転させて均一な膜厚を有する被膜層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、150℃で60分間加熱した後、室温まで冷却した。前記金型内面より、自己支持できるまで硬化したポリアミド酸ベルトを該ベルト端部に空気を圧送することによって剥離し、表面粗さRaが1. 8μmの金属製シリンダの外面に差し替えた後、3℃/分の昇温速度で360℃まで昇温後、360℃で30分間保持し、脱水閉環水の除去およびイミド転化の完結反応を行った。その後室温まで冷却し、目的とする厚さ80μm前後の中間転写ベルトを得た。
ハイレスタIP、MCP−HT260(三菱油化社製、プローブ:HR−100)にて印加電圧100V、1分後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を測定した。測定は、ベルト外周面に関して12点測定し、この平均値をベルトの表面抵抗率とし、最大値と最小値の差をそのバラツキとした。測定結果を表11、12に示す。
また、各成膜液と中間転写体の評価結果を表11、12に示す。
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20Bk 現像装置
20M 現像装置
20Y 現像装置
20C 現像装置
21Bk 像担持体(感光体)
21M 像担持体(感光体)
21Y 像担持体(感光体)
21C 像担持体(感光体)
22 中間転写ベルト
23Bk 1次転写バイアスローラ
23M 1次転写バイアスローラ
23Y 1次転写バイアスローラ
23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231K Bk現像機
231Y Y現像機
231C C現像機
231M M現像機
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 クリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 駆動ローラ
509 テンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバック電流検知ローラ
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
P 記録紙(転写紙)
Claims (24)
- トナーにより像担持体上に順次形成される複数の可視の色現像画像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置に用いる中間転写体において、揮発分が0.4〜25重量%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、下記の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする中間転写体。
R1−O−(C2H4O)m−(C3H6O)nH …… (6)
R2−O−(C3H6O)p−(C2H4O)qH …… (7)
((6),(7)式中、R1およびR2は、炭素数1〜14の分岐してもよいアルキル基を示し、nおよびpは前記アルキル基とポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が1200以下であることを満たす自然数であり、mはポリオキシエチレンユニットの分子量が(6)式の全分子量に占める割合として25〜50%を満たす自然数であり、qはポリオキシエチレンユニットの分子量が(7)式の全分子量に占める割合として15〜40%を満たす自然数である。)
HO(C2H4O)l−(C3H6O)m−(C2H4O)nH …… (8)
((8)式中、mはポリオキシプロピレンユニットのユニット分子量の合計が2500以下であることを満たす自然数であり、l、nは、ポリオキシエチレンユニットの合計分子量が、(8)式の全分子量に占める割合として5〜30%を満たす自然数である。)
R1−O・SO3M …… (10)
((10)式中、R1はドデシル基、Mはアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、又はアルカノールアミンを表す。)
- 重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂の少なくとも一つ(B)を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記化合物(A)と前記カーボンブラックの比率が0.01重量%以上4重量%以下(化合物(A)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写体。
- カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下(水溶性樹脂(B)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記水溶性樹脂がポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)、アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記バインダー樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体または複数を配合したものを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体中のカーボンブラックの粒子径が電子顕微鏡観察における平均粒子径が10〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体の表面及び又は裏面の抵抗が108〜1012Ω/□であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体の層構成が単層構成であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体の層構成が複層構成であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の中間転写体。
- 前記中間転写体がシームレスベルト形状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の中間転写体。
- トナーにより像担持体上に順次形成される複数の可視の色現像画像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、前記中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置に用いる中間転写体を形成するための中間転写体形成用成膜液組成物において、揮発分が0.4〜25%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の表面に酸性基を有するカーボンブラック、バインダー樹脂、極性有機溶剤、請求項1に記載の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物。
- 重量平均分子量が3000〜30000の水溶性樹脂(B)の少なくとも一種を更に含有することを特徴とする請求項13に記載の成膜液組成物。
- 前記化合物と前記カーボンブラックの比率が0.01重量%以上4重量%以下(化合物(A)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする請求項13又は14に記載の成膜液組成物。
- カーボンブラック表面に吸着された前記化合物(A)の量が1〜30μmol/m2の範囲にあることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 前記水溶性樹脂(B)と前記カーボンブラックとの比率が1重量%以上20重量%以下(水溶性樹脂(B)/カーボンブラック)の範囲にあることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 前記水溶性樹脂がポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)、アクリル酸・アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイン酸エステル・無水マレイン酸共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 前記極性有機溶剤がn−メチル−2−ピロリドン或はジメチルアセトアミドから選ばれることを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 表面張力が25〜50mN/mの範囲にあることを特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 成膜液組成物中におけるカーボンブラックの体積平均粒子径が200〜400nm、数平均粒子径が100〜300nm、算術平均粒子径が200〜400nmの範囲にあることを特徴とする請求項13〜20のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 成膜液組成物中に含有される樹脂が、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項13〜21のいずれかに記載の成膜液組成物。
- 極性有機溶剤中に、カーボンブラック、バインダー樹脂、請求項1に記載の式(1)〜(3)、(5)〜(11)で表される化合物(A)の中から選ばれる少なくとも1種を分散させることからなる請求項13〜22のいずれかに記載の中間転写体形成用成膜液組成物を製造する方法において、少なくとも、表面張力が50mN/m以下の水系媒体中でカーボンブラックを粉砕する工程と、該カーボンブラックを水系媒体中で分散させて親水性官能基を導入し、表面改質カーボンブラックを含むカーボンブラック分散液を得る工程とを含むことを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物を製造する方法。
- 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像剤を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、前記中間転写装置が請求項1〜12のいずれかに記載の中間転者体を用いることを特徴とする前記画像形成装置。
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