JP4159978B2 - 中間転写体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、詳しくは中間転写ドラム、ベルト等の中間転写体を介在させて、一次、二次転写行程を伴う中間転写方式を用いた、中間転写装置、画像形成装置に関するものであり、更に小粒径・球形トナーを同時に用いることにより高画質が得られる画像形成装置に関するものである。更に又、中間転写体の製造方法に関わるものである。
近年、フルカラー画像の複写やプリントが可能な電子写真方式の画像形成装置が実用化されているが、フルカラー画像の転写材への転写方式としては、中間転写体ダブル転写方式(感光体等の像担持体上に色毎に形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色画像を、中間転写体上に順次重ね合わせて転写し、転写されたフルカラーのトナー像を一括して転写材に転写する方式(単に中間転写方式ともいう)が、ペーパーフリー性や前面コピーが可能等の点で有利であるため多用されている。
前記中間転写体は、(1)中間転写体が誘電体で形成されているとか、又は少なくともトナーが転写される中間転写体表面が誘電体で形成されて成る画像システムと、(2)中間転写体が中抵抗材料で形成されて成る画像形成システムとの2方式に大別される。(1)に関しては中間転写体に転写バイアスや摩擦帯電電荷に由来する電荷が次の転写工程に影響し、電荷を除去する為の特別な除電装置が必要となりコストが増大するため、(2)の画像形成システムが多く用いられている。上記(2)に関しては、中間転写体の表面抵抗率、中間転写体主材料、及び抵抗制御剤等を規定したものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
中間転写体は一般的にバインダー樹脂として例えばポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン)、ポリイミド等が使用されるが(これらに限定はされない)これらは絶縁性であるため、バインダー樹脂中にカーボン、金属酸化物等の抵抗制御剤(フィラー)を分散して抵抗を制御するが、フィラーを多く分散するとベルト表面が悪化し、その結果、トナーフィルミングが発生したり、トナー帯電が変化したり、画像品質が低下したりするという問題点があり、それらが発生しないものとしてカーボンが多く使われてきた。
ポリイミド樹脂は、耐熱性、機械特性、耐薬品性、耐放射線性などに優れた樹脂であることから、フィルム、シート等の各種成形材料、電線用エナメル等の塗料、電子材料、フレキシブルプリント基板、耐熱性基板、半導体封止材料、接着剤、有機質無機質複合材などの用途に広範に用いられている。このポリイミド樹脂に絶縁性微粒子を添加することで物性向上等の目的を達成することが試みられている。例えば、耐熱性を向上させ熱膨張率を低減させること(特許文献4参照)、滑り性や走行耐久性を向上させること(特許文献5、6参照)、印刷性、耐熱性、耐湿密着性を付与することが開示されている(例えば、特許文献7参照)。
ポリイミド樹脂の製造方法としては、まず溶媒可溶性のポリアミド酸を合成し、これを300℃以上に加熱してポリイミド化する方法が一般的である。したがって、ポリイミド樹脂中に絶縁性微粒子を分散させるには、ポリアミド酸の溶液中に絶縁性微粒子を分散させることが必要となる。この分散方法としては、ポリアミド酸溶液に絶縁性微粒子を添加し、サンドミル、ボールミルなどの分散機により分散させる方法や、半液体の状態のポリアミド酸ワニスに絶縁性微粒子を添加し、三本ロールにより混練分散する、直接分散方法が考えられる。しかし、絶縁性微粒子とポリアミド酸の親和性が非常に悪いため、両者を混合すると絶縁性微粒子の凝集が生じ、均一な分散を行うことが困難であった。ポリアミド酸溶液が極めて粘稠であることも、均一分散を困難とさせる。そこで、絶縁性微粒子分散液中でポリアミド酸を合成する方法、すなわち、予め絶縁性微粒子を分散させた有機極性溶媒中でジアミン化合物と酸無水化合物を反応させてポリアミド酸溶液を調製する方法が提案されている(特許文献7参照)。しかし、この方法でも、絶縁性微粒子同士の凝集力が強いため、絶縁性微粒子の凝集が起きる。
このように凝集した絶縁性微粒子は、10μm以上の粒径を有し、一種の異物となるため、例えばフィルム状に成形したとき、フィルムの表面が粗くなり、光沢がなくなる、フィルムの外観を損ね、引張り強度等の機械的特性や電気絶縁性等の電気的特性に悪影響を及ぼす。同様に、ポリアミド酸の溶液中にカーボンブラックを分散させる主な方法としては、(1)ポリアミド酸溶液にカーボンブラックを添加し、サンドミル、ボールミルなどの分散機により分散させる方法、(2)半液体の状態のポリアミド酸ワニスにカーボンブラックを添加し、三本ロールにより混練分散する方法、(3) カーボンブラック分散液中でポリアミド酸を合成する方法、が知られている。しかしながら、これらのいずれの方法によった場合も、カーボンブラックとポリアミド酸の相性が非常に悪いために、両者を混合するとカーボンブラックの凝集が生じ、均一な分散を行うことは不可能であった。その結果として、得られるポリイミドのフィルムや被膜中でもカーボンブラックが凝集した状態となるため、フィルムの表面が粗くなる、光沢がなくなる、電気抵抗値の制御が困難になる、等の問題が発生する。
特開昭63−311263号公報 特開昭56−164368号公報 特開昭64−74571号公報 特開昭63−172741号公報 特開平3−170548号公報 特開平6−145378号公報 特開平1−121364号公報
従来、絶縁性樹脂にカーボンを添加して中抵抗制御すると、カーボンの分散性が悪い為に成型後の中間転写体の(体積・表面)抵抗均一性が十分でなく、これを画像形成装置に装填すると結果的に転写性のバラツキが発生するという不具合が生じていたという問題があった。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、抵抗均一性が十分に改良された中間転写体及びその製造方法、並びに前記中間転写体により画質が改善された画像形成装置を提供することにある。また、前記中間転写体形成のための成膜液組成物に関しては、絶縁性微粒子やカーボンブラックなどの微粒子とポリイミドの相性を改善し、ポリアミド酸溶液中に前記微粒子が均一に分散したポリアミド酸含有微粒子分散組成物およびその製造方法と、この製造方法における原料中間体として有効に用いることも出来る微粒子分散組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナーにより像担持体上に形成される色現像画像を一次転写し、一括して二次転写する中間転写装置における中間転写体において、分散剤無添加で水溶性有機溶剤に分散及び/または溶解が可能な表面改質カーボンブラックを含んだ成膜液から形成された層を有し、該カーボンブラックがスルホン化剤により表面処理されたカーボンブラックであり、かつ、該カーボンブラックの親水性官能基量/比表面積の値が5〜30μmol/mの範囲にある中間転写体を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックが、酸性カーボンブラックをスルホン化して得られた請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックが、チャンネルカーボンブラックをスルホン化して得られた請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックが、極性有機溶剤中にてスルホン化ピリジン塩、スルファミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄、発煙硫酸、硫酸から選ばれるスルホン化剤により処理して得られた請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の極性有機溶剤がN−メチル−2−ピロリドンまたはスルホランである請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックが1.5mmol/g以上の親水性官能基を有する請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がグラフト重合された請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がカプセル化された請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記グラフト重合樹脂或いはカプセル化樹脂がアクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドンから選らばれた樹脂のいずれかの樹脂である請求項7又は9記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記成膜液に含有される樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体又は複数の樹脂を配合したものである請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記表面改質カーボンブラックの粒子径が10nm〜300nmである請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、前記中間転写体の表面抵抗が10〜1012Ω/□である請求項1記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、前記中間転写体の層構成が単層構成である請求項1に記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、前記中間転写体の層構成が複層構成である請求項1に記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、前記中間転写体がシームレスベルト形状である請求項1に記載の中間転写体を特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像剤を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、前記中間転写装置が請求項1から15に記載した何れかの中間転写体を用いる画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、分散剤無添加で水溶性有機溶剤に分散及び/または溶解が可能な表面改質カーボンブラックを含んだ成膜液から形成された層を有し、該カーボンブラックがスルホン化剤により表面処理されたカーボンブラックであり、かつ、該カーボンブラックの親水性官能基量/比表面積の値が5〜30μmol/mの範囲にあることにより、抵抗均一性に優れた中間転写体を提供することが可能となる。
また、表面改質カーボンブラックが、酸性カーボンブラックをスルホン化して得られたこと、チャンネルカーボンブラックをスルホン化して得られたこと、極性有機溶剤中にてスルホン化ピリジン塩、スルファミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄、発煙硫酸、硫酸から選ばれるスルホン化剤により処理して得られたこと、極性有機溶剤がN−メチル−2−ピロリドンまたはスルホランであること、表面改質カーボンブラックが1.5mmol/g以上の親水性官能基を有すること、表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がグラフト重合されたこと、表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がカプセル化されたこと、グラフト重合樹脂或いはカプセル化樹脂がアクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドンから選らばれた樹脂のいずれかの樹脂であることにより、更に抵抗均一性に優れた中間転写体を提供することが可能となる。
さらに、成膜液に含有される樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体又は複数の樹脂を配合したものであることにより、機械特性良好な中間転写体を提供することが可能となる。
さらに、中間転写体の表面抵抗が10〜1012Ω/□であることにより、更に機械特性良好な中間転写体を提供することが可能となる。
さらに、中間転写体の層構成が単層構成であることにより、製造容易で低コストの中間転写体を提供することが可能となる。
さらに、中間転写体の層構成が複層構成であることにより、表面特性に優れた中間転写体を提供することが可能となる。
さらに、中間転写体がシームレスベルト形状であることにより、レイアウト自由度に優れた中間転写体を提供することが可能となる。
以上のように本発明の中間転写体は抵抗均一性に優れており、画像形成装置に用いた時に濃度ムラが少なく安定した画像を長期に得ることが出来る。また、中間転写体形成用成膜液組成物は、カーボンブラックの分散安定性に優れることはもちろんのこと、成型した転写体の抵抗均一性が高く、種々の成型加工法で成型を行うことが可能で、長期保存安定性にも優れるという効果を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
[中間転写装置説明]
中間転写体の代表例として中間転写ベルトを用いて説明する。
図1は、1個の感光ドラムを使ったリボルバ型カラー電子写真装置の概略構成図である。
図1で、中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などで構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト501の外周面あるいは内周面に設けられる。但し、中間転写ベルト501の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて設ける工夫が必要であって配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト501の内周面側に設ける。図1の例では、マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト501が架け渡されている1次転写バイアスローラ507と駆動ローラ508との間の位置に設けられる。
この中間転写ベルト501は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ507、ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、2次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ507以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された1次転写電源801により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流又は電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト501は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。この中間転写ベルト501は、半導体、または絶縁体で、単層または多層構造となっている。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、幅は通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト501との間に記録紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源802によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ610は、2次転写バイアスローラ605と2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙Pを送り込む。また、2次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。該クリーニングブレード608は、2次転写バイアスローラ605の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム200は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム200上に、Bkトナー像形成、Cトナー像形成、Mトナー像形成、Yトナー像形成が行われる。中間転写ベルト501はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト501の回転に伴って、1次転写バイアスローラ507に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト501上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。図1において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム200上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト501のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で清掃される。この感光体ドラム200側では、Bk画像形成工程の次にY画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるY画像データの読み取りが始まり、そのY画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム200の表面にY静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つY静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行われ、Y現像機231Yが現像位置にセットされ、Y静電潜像がYトナーで現像される。以後、Y静電潜像領域の現像を続けるが、Y静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のC現像機231Cを現像位置に移動させる。これもやはり次のC静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、C及びMの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Yの工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体ドラム200上に順次形成されたBk、Y、C、Mのトナー像は、中間転写ベルト501上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト501上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ610のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙Pが2次転写部を通過すると、2次転写電源802によって2次転写バイアスローラ605に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト501上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(2次転写)される。この転写紙Pは、転写紙ガイド板601に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、ベルト搬送装置210により定着装置に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、図示しない定着装置の定着ローラのニップ部でトナー像が溶融定着された後、排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。このベルトクリーニングブレード504の上記中間転写ベルト501の移動方向上流側には、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材503が設けられている。このトナーシール部材503は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材503は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード504とともに、該中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト501のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。該潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト501のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト501のベルト外周面に接触したベルト除電ブラシ502により印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ505及び上記ベルト除電ブラシ502は、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト501のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム200への画像形成は、1枚目の4色目(M)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト501は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。
以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数の複写が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像器のみを現像動作状態にしておき、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト501に接触させた状態のままでコピー動作を行う。
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図2に示すような複数の感光体ドラムを一つの中間転写ベルトに沿って並設したタンデム型画像形成装置にも適用できる。図2は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図2において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部13は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体21BK、21M、21Y、21Cを備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体21BK、21M、21Y、21Cの周囲には、帯電装置、上記書込部12からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20BK、20M、20Y、20C、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23C、クリーニング装置30BK、30M、30Y、30C、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置20BK、M、Y、Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。中間転写ベルト22は、各感光体21BK、21M、21Y、21Cと、各1次転写バイアスローラ23BK、23M、23Y、23Cとの間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙Pは、給紙部14から給紙された後、レジストローラ16を介して、転写搬送ベルト50に坦持される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触するところで、上記中間転写ベルト22上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング装置25の下流側には、潤滑剤塗布装置が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト22に常時接触して、中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
なお、本発明は、上述したような中間転写ベルト501又は22を使用した中間転写ベルト方式の画像形成装置の他に、該中間転写ベルト501又は22の替りに転写搬送ベルトを使用した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。また、この転写搬送ベルト方式の画像形成装置においても、上記1ドラム方式4ドラム方式の何れにも適用可能である。
[中間転写体説明]
本発明の中間転写体は、分散剤無しに水溶性有機溶剤に分散及び/または溶解が可能な表面改質カーボンブラックを含んだ層を有し、該カーボンブラックがスルホン化剤により表面処理されたカーボンブラックであり、かつ、該カーボンブラックの親水性官能基量/比表面積の値が5〜30μmol/mの範囲にあることを特徴とする。
まずカーボンブラックについて説明する。
カーボンブラックは、各種の炭化水素又は炭素を含む化合物を不完全燃焼して得られる微細な球状粒子の集合体と定義され、化学組成が炭素98%以上の、限りなく純粋に近い炭素材料の総称である。
種類は、製法で分類する方法が一般的で、原料炭化水素の熱分解か、不完全燃焼か何れかに表1に示すように大別され、更に原料の種類により細分化される。コンタクト法は、炎を鉄や石などに接触させる製造法であり、チャンネル法やその改良法であるガスブラック法(ローラー法)等が含まれる。チャンネルブラックは、コンタクト法の代表的な製品で、チャンネル鋼の底面に炎を接触させて採取するものである。
ファーネス法は、燃料の空気による燃焼熱によって、原料炭化水素を連続的に熱分解させてカーボンブラックを生成させる方法で、ガスファーネス法とオイルファーネス法に分類される。
サーマル法は、原料の炭素源として天然ガスを利用し燃焼と熱分解を周期的に繰り返す特殊な製造法で、その特徴は大粒子径を有するカーボンブラックが得られることにある。
アセチレンブラックもアセチレンを原料とする一種のサーマル法であるが、アセチレンの熱分解は他の原料が吸熱反応であるのに対し発熱反応であるため、サーマル法における燃焼サイクルを省略することが可能となり、連続運転が出来る。アセチレンブラックの特徴は、通常のカーボンブラックに比較して結晶性が発達し、かつ、ストラクチャーが高いことにあるため導電性にすぐれ、乾電池用並びに各種ゴム、プラスチックの導電性付与剤として使用されている。
カーボンの基本的特性:
カーボンブラックをゴムや樹脂、塗料やインキのビヒクルに配合、分散させ補強性や黒色度、導電性などの機能を付与する際重要な因子は、粒子径とストラクチャー、それに粒子表面の物理化学的性質であり、これを通常カーボンブラックの三大特性と呼んでおり、これらの組み合わせで種々のカーボンブラックが製造されている。
カーボンブラックの3大基本特性は、
1.粒子径:粒子径と表面積
2.ストラクチャー:DBP給油量(ml/100g)とストラクチャー指数
3.表面の化学的特性:揮発分(%)とpH
である。
表1にカーボンブラックの製法による性能の特性を示した。
Figure 0004159978
本発明者らは、カーボンブラックを抵抗制御剤に使用した中間転写体において、安定した抵抗均一性を得るには、
(1)分散剤無しに水溶性有機溶剤に分散及び/または溶解が可能なカーボンブラックであって、該カーボンブラックがスルホン化表面処理されており、その親水性官能基量/比表面積の値が5〜30μmol/mの範囲のもの、
(2)表面改質カーボンブラックが酸性カーボンブラックをスルホン化して得られたもの、
(3)表面改質カーボンブラックが、チャンネルカーボンブラックをスルホン化して得られたもの、
(4)前記表面改質カーボンブラックが、極性有機溶剤中にてスルホン化ピリジン塩、スルファミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄、発煙硫酸、硫酸から選ばれるスルホン化剤により処理して得られたもの、
(5)極性有機溶剤がN−メチル−2−ピロリドンまたはスルホランであること、
(6)表面改質カーボンブラックが、1.5mmol/g以上の親水性官能基を有するもの、
これらの表面処理カーボンブラックを用いることにより抵抗均一性が高く、しかも分散安定性が良好な成膜液組成物を作製できることを見出し本発明に至った。
また、カーボンブラックの表面処理を行うことで、分散安定性、表面濡れ性、レオロジー特性、電気特性などの特性を改良することが出来る。表面処理の方法には次のものが挙げられる。
カーボンブラックの粒子表面は縮合芳香族環があり下記に示す各種表面処理が可能である。
(1)表面酸化処理
カーボンブラックを酸化剤で処理すると、粒子表面の縮合芳香族環へカルボキシル基やフェノール性水酸基が導入される。
(2)界面活性剤分散
カーボンブラックは通常のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等により分散することが出来る。
(3)高分子(樹脂)分散
カーボンブラックは高分子分散剤の立体障害反発による分散が可能である。
(4)カプセル化処理
カーボンブラックが樹脂により被覆され溶剤中に分散されている。または、樹脂にカーボンブラックが含浸されたもの、即ち、表層もしくは内部、あるいは全体にカーボンブラックが存在するもの。その特徴は、分散安定性、表面濡れ性、レオロジー特性、電気特性などの特性を改良することが出来る。特に、分散安定性では、グラフト鎖の良溶媒中への分散性(分散媒中への易分散性と分散後の安定性)が著しく向上し、また、電気特性では、カーボンブラック粒子がポリマーマトリックス中へ容易に、しかも均一に分散するので、広い面積にわたって一定の抵抗値が得られるという特徴がある。
(5)グラフト化処理
カーボンブラックのグラフト化処理は、グラフト機構に基づいて次の様に分類できる。
(a)カーボンブラック表面へのグラフト重合
カーボンブラックの存在下で、重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する生長ポリマー鎖を粒子表面で補足する方法
(b)カーボンブラック表面からのグラフト重合
カーボンブラック表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を生長させる方法
(c)カーボンブラック表面とポリマーとのグラフト反応
カーボンブラック表面の官能基と反応性ポリマーとの反応による方法
このうち、aの方法は最も簡単に行なうことができるが、非グラフトポリマーの生成が優勢に起こるため、グラフト率の大きなものを得ることができない。これに対して、bの系では、カーボンブラック表面からポリマー(グラフト鎖)が外へ向かって生長するので、グラフト率の大きなものが得られるという特徴がある。更に、cの方法によると、グラフト鎖の分子量や数を制御できるという大きな特徴があり、グラフト率も比較的大きなものが得られる。
(6)気相酸化法
オゾン処理やプラズマ処理によるカーボンブラック表面の酸化処理方法であり、カーボンブラックにプラズマ照射することでプラズマの高エネルギーによってカーボンブラック表面に水酸基やカルボキシル基を付けることが出来る。
より具体的に説明すると次のとおりである。
1.表面酸化処理
カーボンブラックを酸化剤で処理すると、粒子表面の縮合芳香族環へカルボキシル基やフェノール性水酸基が導入される。更に、カーボンブラック表面の縮合芳香族環は、次の様々な試薬と反応し、粒子表面への多彩な官能基の導入が可能となっている。
Figure 0004159978
2.界面活性剤分散
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤の種類としては次のような構造のものが使用できる。
好ましい界面活性剤としては界面ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。より具体的にはアニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩(II)、及び/または炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸(III)を用いることでカーボンブラックの分散安定性が選られる。
Figure 0004159978
R:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、m:3〜12
M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン
Figure 0004159978
、R:炭素数5〜7の分岐したアルキル基
M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン、さらに、本発明の界面活性剤の対イオンとしてリチウムイオン及び第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いることにより界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。
好ましい非イオン系の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである一般式(IV)、アセチレングリコール系界面活性剤である一般式(V)の活性剤があげられる。
Figure 0004159978
Rは分岐しても良い6〜14の炭素鎖 k:5〜12
Figure 0004159978
p、qは0〜40
3.高分子(樹脂)分散
本発明においては、前記カーボンブラックと前記有機極性溶媒との親和性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
4.グラフト化処理
表面への官能基導入
カーボンブラック表面に存在するフェノール性水酸基やカルボキシル基は、そのままグラフト反応の足場として利用できるが、これをベースとして、より反応性の高い官能基に変換すると、様々なポリマーのグラフト反応へ活用できる。
(a)表面へのグラフト重合
カーボンブラックの存在下で、ビニルモノマーのラジカル重合を行なうと、生成するポリマーの一部が粒子表面へグラフトする。
(b)表面からのグラフト重合
a.ラジカル重合
(i)ペルオキシド及びペルオキシエステル基
(ii)アゾ基
b.カチオングラフト重合
(i)アシリウムパークロレート基
(ii)クロルメチル基
(iii)ベンジリウムパークロレート
c.アニオングラフト重合
(i)カリウムカルボン酸塩基
(ii)カーボンブラック/BuLi複合体(OLi基)
(iii)アミノ基
(c)表面におけるポリマーとのグラフト反応
a.反応性カーボンブラックとポリマーとの反応
b.カーボンブラックと反応性ポリマーとの反応
(i)リビングポリマーとの反応
(ii)末端イソシアナート基ポリマーとの反応
好ましくは、高分子(樹脂)分散タイプ、グラフトタイプ、カプセル化タイプが良い。
上記のようにグラフト処理等されたカーボンブラックの説明は終わるが、以降は、成膜液に含有される樹脂であるポリアミド酸あるいはポリイミドよりなる重合体について、ポリイミドから説明する。
ポリイミドは、一般的には芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンとの縮合反応によって得られる。しかし、その剛直な主鎖構造により不溶、不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンからまず有機溶媒に可溶なポリアミック酸(又はポリアミド酸〜ポリイミド前駆体)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行われ、その後加熱若しくは化学的な方法で脱水環化(イミド化)することでポリイミドが得られる。(化学反応式1参照)
Figure 0004159978
(式中Ar、Arは少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示す。)
例えば芳香族多価カルボン酸無水物を具体的に挙げるなら、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
次に混合して使用できる芳香族ジアミンとしては、例えばm−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
これらの芳香族多価カルボン酸無水物成分とジアミン成分を略等モル有機極性溶媒中で重合反応させることによりポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることが出来る。
具体的にポリアミック酸の製造方法について説明する。
ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独或いは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは、複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解、あるいはスラリー状に拡散させる。この溶液に前記した少なくとも1種以上の芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体を固体の状態または有機溶媒溶液の状態あるいは、スラリー状態で添加すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に重合溶液の粘度の増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液を得る。この時の反応温度は、−20℃から100℃、望ましくは、60℃以下である。反応時間は、30分から12時間である。
また、この反応において、上記添加手順とは逆に、まず芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させ、この溶液中に前記ジアミンの固体もしくは有機溶媒による溶液もしくはスラリーを添加させても良い。また、同時に反応させても良く、酸二無水物成分、ジアミン成分の混合順序は限定されない。
上記芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミン成分をほぼ等モル計量し、前記有機極性溶媒中に溶解する。本発明において、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの添加順序は限定されない。同時に添加してもよい。また、それぞれを溶解した有機極性溶媒を混合してもよい。
本発明のかかるポリアミック酸組成物は、上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応により、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解しているポリアミック酸溶液が得られる。
これらのポリアミック酸組成物は上記のように容易に合成することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解されているポリイミドワニスとして上市されているものを入手することが可能である。
それらは例えば、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、リカコート(新日本理化社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等を代表的に挙げることが出来る。
ポリアミック酸組成物には各種の特性を改善するために必要に応じて種々の添加剤を添加することが出来る。
具体的な例を挙げるならば、表面平坦性、レベリング性を向上させる目的で各種表面張力調節剤を添加することができる。これらの添加剤は一般的にはレベリング剤、消泡剤、塗膜欠陥改良剤として知られているものである。これらの中で特に好ましい添加剤はシリコ−ン系添加剤である。又、非シリコ−ン系添加剤でも、例えばグリセリン高級脂肪酸エステル類、高級アルコ−ルホウ酸エステル類、含フッ素界面活性剤等が好適に用いられる。これらの添加量は0.001〜1%(対組成物重量)である。
補強剤として例えばガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラスビーズを一種以上添加することもできる。
更に滑り性を改良する目的で、固体潤滑剤、例えば二硫化モリブデン、グラファイド、窒化ホウ素、一酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加することができる。
本発明の目的をそこなわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤などの通常の添加剤を一種以上添加することができる。
本発明のポリイミドの電気抵抗値を調節するための抵抗制御剤のうち、電子電導性抵抗制御剤としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、或いは銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などがあげられる。
イオン電導性抵抗制御剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム、などがあげられる。しかし、本発明はこれらの例示化合物に限定されるものでない。
本発明のポリイミドはこれらの抵抗制御剤の内、カーボンブラックを好ましく用いることが出来る。しかし、カーボンブラックはその粒子間の凝集力が高く、他の樹脂や溶剤との親和力がそれに比べて弱いため、均一に混合または分散することがきわめて困難なことも事実であった。そこで、この問題を解決するために、カーボンブラック表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固体もしくは液体の基剤との親和性を高めることにより、カーボンブラックを均一に混合または分散する技術が数多く検討されている。
カーボンブラックの分散性を向上させる方法として、カップリング剤でカーボンブラックを処理する方法(特開昭63−175869、特開昭63−158566、英国特許第1583564、1583411)などが検討されているが、これらは処理後のカーボンブラックの重合性単量体への分散がまだ不完全であり、コストが高いという問題があった。また、カーボンブラックの存在下に単量体成分を使用する方法(特開昭64−6965、西独特許第3102823号)も提案されているが、この方法ではグラフト効率が悪いため、グラフト化後のカーボンブラックの重合性単量体への分散は不十分であった。また、カーボンブラックの表面官能基を利用して、高分子反応により有機化合物と反応させることでカーボンブラックを処理する方法(特開平1−284564、特開平5−241378)なども検討されている。
本発明で使用できる有機化合物としては、酢酸ビニルや、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ブロモスチレン、p−クロロスチレン、p−スチレンスルフォン酸ナトリウム等のスチレン系化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル等のアクリル酸エステル化合物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル化合物、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ピペリルアクリルアミド等のN−置換アクリルアミド系化合物、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等の架橋性単量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようにして得られたポリアミック酸は、加熱する方法又は化学的方法によってイミド化することが出来るが、加熱する方法は200〜350℃に加熱することによってポリイミドに転化する方法で、簡便且つ実用的にポリイミド樹脂を得ることが出来るが、化学的方法によってイミド化する方法は、ポリアミック酸をカルボン酸無水物と第3アミンの混合物などの脱水環化試薬と処理反応後、加熱して完全にイミド化する方法で加熱する方法に比べると煩雑でコストがかかる方法であるため、加熱する方法が多く用いられている。
加熱によりイミド化を完結させるためには、本質的に用いるポリイミドのガラス転移温度以上に加熱しなければ、そのポリイミドの本来的な性能を発揮することが出来ない。
イミド化の程度を評価するには通常イミド化率を測定すればよい。
イミド化率の測定方法は種々知られており、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法があるが、最も一般的にはフーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)が用いられる。
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)ではイミド化率を次のように定義することが出来る。
イミド化率=(焼成段階でのイミド基のモル数)/(100%理論的にイミド化された場合のイミド基のモル数)×100
これはIRのイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることが出来る。代表的なものを挙げると、
イミドの特性吸収の1つである725cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比
イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)とベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,70cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
等を用いてイミド化率を評価することが出来る。
又、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すれば更にイミド化完結の信頼性は高まる。
本発明の中間転写体の構成材料にはフッ素変性やシリコーン変性に代表される変性ポリイミドやポリアミドイミドも使用することが出来る。
[フッ素変性ポリイミドの説明]
ポリイミドは、一般的には芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンとの縮合反応によって得られる。(化学反応式2参照)
Figure 0004159978
本発明のポリイミドは化学反応式2に示したポリイミド繰り返し単位中のAr若しくはArに、−CF基を少なくとも一つ含有することを特徴としている。
ポリイミド中に−CF基が導入されたことにより、ポリイミドの優れた機械特性を維持しフッ素樹脂並の離型性を得ることが出来る。ポリイミド繰り返し単位中に、−CF基を導入するには原料となる芳香族多価カルボン酸無水物中のAr若しくは芳香族ジアミン中のArの少なくともどちらか一方に−CF基を有していることが必要である。
例えば芳香族多価カルボン酸無水物中のArの具体例としては、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルエーテル、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ベンゼン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ビフェニル、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ジフェニルエーテル、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることが出来る。
次に芳香族ジアミン中のArの代表例としては、ジアミノベンゾトリフルオロライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(アミノフェノキシ)ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス〔(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ〕ベンゼン、ビス〔(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ〕ビフェニル、ビス{〔(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ〕フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス{4−(m−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス{4−(o−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパン、2−{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}−2−{4−(m−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパン、2−{4−(m−アミノフェノキシ)フェニル}−2−{4−(o−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパン、2−{4−(o−アミノフェノキシ)フェニル}−2−{4−(p−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフロロプロパンなどが挙げられる。
本発明の中間転写体に用いる含フッ素ポリイミドには、少なくとも上記したフッ素を含有した芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンを原料として用いるが、フッ素を含有しない芳香族多価カルボン酸無水物或いはその誘導体と芳香族ジアミンも混合して用いることが出来る。
例えば芳香族多価カルボン酸無水物として最も代表的なテトラカルボン酸二無水物の例を挙げると、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
次に混合して使用できる芳香族ジアミンとしては、例えばm−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
本発明の中間転写体の少なくとも表面に用いられる含フッ素ポリイミドは、上記に挙げた化合物を用いて公知の方法により製造することが出来る。例えばこれらをN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリン、ヘキサメチルホスホルアミドなどの非プロトン性極性溶媒に溶解させ、室温または40〜80℃の温度で加熱攪拌することによりポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を得ることが出来る。
ポリアミド酸はNMP(N−メチルピロリドン)、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N、N−ジメチルアセトアミド)などのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン等のポリアミック酸やポリイミド樹脂に対して用いられる双極子溶媒、乳酸エチル、メトキシメチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの溶媒に溶解し、必要な固形分、粘度を有するポリイミドワニスとして使用することが出来る。
ワニスの粘度や使い勝手のバランスがより良好な観点から、溶媒の添加量を、含フッ素ポリイミド100重量部に対して、250〜2000重量部(固形分濃度約5〜30重量%)の範囲内とするのが好ましい。このワニスを用いて必要に応じて所定の有機溶媒に溶解して製膜液を調合し、例えば金属板や硝子板上にドクターブレード、ドクターナイフ等の適当な流延手段により流延した後、所定の温度に加熱してイミド化する事により含フッ素ポリイミドの膜を得ることが出来る。十分にイミド化を行うには、100〜400℃、好ましくは200〜350℃に加熱するのがよい。
[Si変性PIの説明]
本発明の中間転写体の少なくとも表面に用いられるポリイミド変性シリコーン樹脂は、下記の一般式(8)で表すことが出来る。
Figure 0004159978
(式中、Xは4価の芳香族環若しくは脂肪族環基、R,Rは2価の有機基、R〜Rはアルケニル基、アルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、nは5以上の整数を表す)
一般的にポリイミドは高強度で剛直な樹脂として知られるが、主鎖にシロキサン構造が導入されることで柔軟性が付与され、更に離型性も向上するという利点も生まれる。従って、上記材料を少なくとも表面に含むことで中間転写体の耐摩耗性、トナー離型性を満足することが可能になる。
ポリイミド変性シリコーン樹脂の構造中、R〜Rはメチル基が好適である。シロキサン構造の側鎖によって、表面特性特に摩擦係数を低減することが可能で、中間転写体の場合前述したように多くの当接部材があるために、駆動トルク等を小さくするにはその摩擦係数は0.2〜0.4の範囲であることが好ましい。ポリイミド変性シリコーン樹脂においては、シロキサンユニットとしてR〜Rにメチル基を導入した、ジメチルシロキサンモノマー成分を用いることでそれが可能になる。
このようなポリイミド変性シリコーン樹脂は、シロキサンジアミン、芳香族ジアミン、テトラカルボン酸二無水物とからなる混合物を原料として製造することが出来る。
シロキサンジアミン化合物としては、
N−R−(−SiR−O−)n−SiR−R−NH
(R、Rは2価の有機基、R〜Rはアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、nは5〜50の整数を示す)
が一般式として示され、具体的には、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、アミノプロピル末端基を有するジメチルシロキサン4量体、8量体、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
本発明のポリイミド変性シリコーン樹脂に用いられる芳香族ジアミンは例えば、ビフェニル系ジアミン化合物、ジフェニルエーテル系ジアミン化合物、ベンゾフェノン系ジアミン化合物、ジフェニルスルホン系ジアミン化合物、ジフェニルメタン系ジアミン化合物、2,2−ビス(フェニル)プロパンなどのジフェニルアルカン系ジアミン化合物、2,2−ビス(フェニル)ヘキサフルオロプロパン系ジアミン系化合物、ジフェニレンスルホン系ジアミン化合物、ジ(フェノキシ)ベンゼン系ジアミン化合物、ジ(フェニル)ベンゼン系ジアミン化合物、ジ(フェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン系ジアミン系化合物、ビス(フェノキシフェニル)プロパン系ジアミン系化合物物などの芳香族環(ベンゼン環など)を2個以上、特に2〜5個有する芳香族ジアミン化合物を主として含有する芳香族ジアミンを挙げることができ、それらを単独、あるいは、混合物として使用することができる。
前記芳香族ジアミンとしては、特に、1,4−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ジアミノジフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系ジアミン化合物、1,3−ジ(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンなどのジ(フェノキシ)ベンゼン系ジアミン化合物、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等のビス(フェノキシフェニル)プロパン系ジアミン系化合物を挙げることが出来る。
次に本発明に用いるテトラカルボン酸二無水物を具体的に挙げると、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
本発明で用いられるポリイミド変性シリコーン樹脂は、上記に挙げた化合物を用いて公知の方法により製造することが出来る。例えばこれらを有機溶媒中、必要に応じてトリブチルアミン、トリエチルアミン、亜リン酸トリフェニル等の触媒存在下で加熱し直接ポリイミドを得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒中反応させポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を得た後、必要に応じてp−トルエンスルホン酸等の脱水触媒を加え、加熱によりイミド化を行うことでポリイミドを得る方法、或いはこのポリアミド酸を、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等の脱水閉環剤と必要に応じてピリジン、イソキノリン、イミダゾール、トリエチルアミン等の閉環触媒を添加して化学閉環させる方法等がある。
本発明のポリイミド変性シリコーン樹脂は、シリコーンポリマーを架橋可能な架橋剤を適宜添加して使用することも可能である。架橋剤としては、特に限定するものではなく従来公知のものが用いられる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルペロキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキサイド系架橋剤があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、架橋性という観点からベンゾイルパーオキサイドを用いることが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリイミド変性シリコーン樹脂100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下が好ましい。添加量が0.5重量部を下回ると架橋性が十分ではなくなり、10重量部を越えると余剰の架橋剤が中間転写体の離型性に悪影響を及ぼす。
[ポリアミドイミド]
ポリアミドイミドは分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミドは一般的なものを使用することが出来る。
ポリアミドイミド樹脂を合成する方法として一般的に、
1.イソシアネート法〜酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体と芳香族イソシアネートより溶媒中で製造する方法(例えば特公昭44−19274)
2.酸クロライド法〜酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライド、最も代表的には前記誘導体クロライドとジアミンから溶媒中で製造する方法(例えば特公昭42−15637)
が用いられる。各製造方法について説明する。
1.イソシアネート法
酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体としては、例えば、一般式(9)及び(10)で示す化合物を使用することができる。
Figure 0004159978
Figure 0004159978
(両式中Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Yは−CH−、−CO−、−SO−又は−O−を示す)
これらは何れも使用することが出来るが最も代表的には無水トリメリット酸が用いられる。又これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
次に本発明のポリアミドイミドに用いられる芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等を使用することができる。これらを単独でもこれらを組み合わせて使用することもできる。
必要に応じてこの一部として、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
本方法に於いてはポリアミック酸を経由することなく、炭酸ガスを発生しながら、ポリアミドイミドが生成される。(化学反応式3)に無水トリメリット酸及び芳香族イソシアネートを用いた例を示す。(式中Arは芳香族基を示す。)
Figure 0004159978
2.酸クロライド法
酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライドとしては、例えば一般式(12)及び(13)で示す化合物を使用することができる。
Figure 0004159978
Figure 0004159978
(両式中Xはハロゲン元素を示し、Yは−CH−、−CO−、−SO−又は−O−を示す)
ハロゲン元素はクロライドが好ましく、具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3,’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、ダイマー酸、スチルベンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の多価カルボン酸の酸クロライドが挙げられる。
ジアミンは、特に限定されないが、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、および脂環族ジアミンのいずれもが用いられるが、芳香族ジアミンが好ましく用いられる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、メチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。又ジアミンとして両末端にアミノ基を有するシロキサン系化合物、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノフェノキシメチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)ポリジメチルシロキサン等を用いればシリコーン変性ポリアミドイミドを得ることが出来る。
酸クロライド法により本発明のポリアミドイミド樹脂を得るためには、ポリイミド樹脂の製造と同様に、上記した酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライドとジアミンを有機極性溶媒に溶解した後、低温(0〜30℃)で反応させ、ポリアミド酸(ポリアミック酸)にする。
使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独或いは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
その後ポリアミック酸をイミド化してポリアミドイミドにする。イミド化の方法としては、加熱により脱水閉環させる方法及び脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環させる方法があげられる。加熱により脱水閉環させる場合、反応温度は150〜400℃、好ましくは180〜350℃であり、時間は30秒間乃至10時間、好ましくは5分間乃至5時間である。また、脱水閉環触媒を用いる場合、反応温度は0〜180℃、好ましくは10〜80℃であり、反応時間は数十分間乃至数日間、好ましくは2時間〜12時間である。脱水閉環触媒としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸等の酸無水物があげられる。
[成膜液組成物]
本発明は、少なくとも揮発分が3.5〜8.0重量%の範囲にある酸性カーボンブラックと、重量平均分子量が3000〜300000の範囲にあるポリアミド酸あるいはポリイミドより成る重合体またはブロック型の重合体を分散剤として用い水溶性有機溶剤に分散されたカーボンブラック及びバインダー樹脂を含み、前記酸性カーボンブラックと前記分散剤との含有比率が重量比で3:1〜10:1の範囲にあることを特徴とする中間転写体形成用成膜液組成物である。
本発明者らは、カーボンブラックを抵抗制御剤に使用した中間転写体形成用成膜液組成物において、安定した抵抗均一性を得る成膜液組成物を鋭意検討したところ、とりわけ、
(1)カーボンブラックとして揮発分が3.5〜8重量%の範囲にある酸性カーボンブラックを用いること、
(2)ポリアミド酸あるいはポリイミドよりなる(ブロック)重合体を分散剤として用いること、
(3)樹脂分散剤の重量平均分子量を3000〜300000の範囲とすること、より好ましくは5000〜150000の範囲にすることに、
(4)酸性カーボンブラックと樹脂分散剤との含有比率を重量比で3:10:1の範囲にすること
によって、抵抗均一性が高く、しかも分散安定性が良好な成膜液組成物を作成できることを見い出し本発明に至った。
まず本発明において、酸性カーボンブラックとは、その表面に酸性基を有するカーボンブラックを意味し、その中でもとりわけpHが5以下のカーボンブラックで揮発分が3.5重量%〜8重量%のカーボンブラックを用いることが好ましい。
すなわち、とりわけpHが5以下のカーボンブラックを用いて本発明の成膜液を調整し、中間転写体を作成すると、抵抗均一性の高い中間転写体が得られる。
カーボンブラックのpHが5以下であると抵抗均一性が高くなる理由は定かでないが、推測するところでは、このようなカーボンブラックではpHを左右する表面酸性基が多く存在するため、顔料粒子自体の成膜液溶媒への親和性が上がり、このために微分散が可能になり、その結果、抵抗均一性が上がると思われる。
ここで、本発明で言うカーボンブラックのpHとは、以下の測定法によって得られる値を意味する。
即ち、カーボンブラック試料1〜10gをビーカーに量り採り、試料1gにつき10mlの割合で水を加え、時計皿で覆い、15分間煮沸する(試料をぬれやすくするため、エタノール数滴を加えてもよい)。煮沸後室温まで冷却し、傾斜法又は遠心分離法によって上澄み液を除去して、泥状物を残す。この泥状物中にガラス電極pH計の電極を入れ、JISZ8802(pH測定法)によってpHを測定する。この場合、電極の挿入位置により測定値が変化することがあるから、ビーカーを動かして電極の位置を変えて電極面の泥状面が十分に接触するように注意して量り、pH値が一定になったときの値を読む。
又、とりわけ揮発分が3.5重量%〜8重量%の範囲、より好ましくは4.5重量%〜6.0重量%の範囲のカーボンブラックを用いて本発明の成膜液を調整し、中間転写体を作成すると抵抗均一性の高い中間転写体が得られる。
カーボンブラックの揮発分が3.5重量%以上であると抵抗均一性が高くなる理由は定かでないが、推測するところでは、このようなカーボンブラックでは表面酸性基が多く存在するため、顔料粒子自体の成膜液溶媒への親和性が上がり、そのために微分散が可能になり、その結果、抵抗均一性が上がると思われる。
更に、成膜液を遠心成型法等で中間転写体に成型加工する方法にあっては、揮発分が8重量%を超えるカーボンブラックで成膜液を作成しても、抵抗均一性はこれ以上が高くなり易いので、揮発分が3.5〜8.5重量%の範囲にあるカーボンブラックを用いることが特に望ましい。これは、揮発成分が余り多いとカーボンブラックの分散性の阻害の原因となるためであると考えられる。
ここで、本発明で言うカーボンブラックの揮発分とは以下の測定方法によって得られる値を意味する。即ちカーボンブラックの乾燥試料を白金るつぼ又はそれと同形、同容量の落としふた付き磁器るつぼにふた下2mmを超えない程度まで打振して詰め、その質量を量る。これにふたをして電気炉に入れ、950±25℃で正確に7分間加熱した後取出し、デジケーター中で室温になるまで放冷して加熱後の質量を量り、次の式によって揮発分を算出する。
V=(WD−WR)/WD×100
ここに、V:揮発分(%)
WD:乾燥試料の質量(g)
WR:加熱後の試料の質量(g)
このような酸性カーボンブラックは例えばMA7、MA8、#2200B(以上、三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL400R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex U(以上、デグサ社製)等の市販品が使用でき、さらには本目的のために新たに製造されたものでも使用可能である。
酸性カーボンブラックの製造方法は、カーボンブラックは一般にチャンネルブラック法、ファーネスブラック法を用いて行われる。チャンネルブラック法は天然ガス、タウンガスや炭化水素を原料として部分燃焼させて冷たい面に衝突させる。ファーネスブラック法は天然ガスや石油留分を原料として高温雰囲気に保たれ密閉式反応炉中に原料を噴霧し、熱分解する。
さらに、これらのカーボンブラックを硝酸等で酸化処理を行い所望の酸性度を得る。
本発明で使用するカーボンブラックの量は重量比で3〜20重量%の範囲で用いる事が望ましい。
更に本発明では、カーボンブラックを分散するために使用する樹脂分散剤の重量平均分子量は3000〜300000、さらに好ましくは5000〜150000の範囲でなければならないことをも見い出した。
高分子分散樹脂は一般に、平均分子量が高くなると、同一量を水溶性有機溶剤に溶解させたときの粘度が高くなる。また、分散樹脂はカーボンブラックを分散させたときにカーボンブラックの周囲に吸着しカーボンブラックを立体障害により安定に分散させる役割を有しているため、分散樹脂の分子量が大きくなるということは吸着層が厚くなり分散体の粒子径が大きくなる事を意味している。
特に、酸性を示すカーボンブラックは表面に多くの酸性基を有しているために本発明に用いられる分散樹脂に付加されているカルボキシル基とは反発する関係にあり、その粒子径はさらに広がる傾向にある。
つまり、本発明の成膜液組成物の如く、酸性カーボンブラックを使用する場合には、分散樹脂の平均分子量を小さいものにして成膜液の粘性、分散体の粒子径を小さくしなけば良好な分散安定性が得られず、しかも前述のように分散樹脂はカーボンブラックの周囲に吸着し立体障害の働きをしなくてはならないために平均分子量が小さ過ぎては長期保存における分散安定性が悪くなってしまう。
本発明の成膜液にカーボンブラックの分散剤として含有される樹脂分散剤は、例えばポリアミド酸あるいはポリイミド樹脂分散剤であり、これは、芳香族カルボン酸無水物を芳香族ジアミン化合物と反応させてアミンを溶解させた水溶液に可溶で重量平均分子量が3000〜300000であるもの、あるいはこれらの塩等ならどんなものでも使用可能である。
分散樹脂の重量平均分子量の測定方法としては、種々の方法が上げられるが、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等で測定するのが一般的である。尚、前記樹脂分散剤は、成膜液全重量に対して、0.1〜10重量%の範囲で含有される事が好ましい。
以上の如きカーボンブラック及び樹脂分散剤は水溶性有機溶剤中に分散又は溶解される。
水溶性有機溶剤としては、後述の通りである。
多くの有機溶剤の中でも有機アミン類は、樹脂分散の場合には、本発明の成膜液中に、好ましくは0.001〜10重量%含有されても良い。
本発明の成膜液中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般には成膜液全重量の60〜95重量%の範囲であり、使用するバインダー樹脂の含有量は、一般には成膜液全重量の1〜40重量%の範囲である。
又、本発明の成膜液は上記の成分の他に必要に応じて所望の物性値を持つ成膜液とするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤などを添加することも可能である。
界面活性剤としては脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種または2種以上を適宜選択して使用でき。その使用量は分散剤により異なるが、成膜液全量に体して0.01から5重量%が望ましい。
一般に中間転写体成膜液に要求される性能としては前記した成膜液の粘度、電導度、分散性等の物性が挙げられるが、成膜液のような分散系ではこれらの物性を満足していても、とりわけ熱を与えてポリイミドを硬化反応させて成型加工する加工方法においては、成膜液の分散性が不安定となる場合がある。
そこで本発明者らは成膜液が熱的に安定で、さらに最適な分散性が可能な成膜液の性能を鋭意研究した結果、好ましくは成膜液においてカーボンブラックと樹脂分散剤の比率が3:1〜10:1(重量比)、より好ましくは10:3〜10:1(重量比)の範囲であると成型加工時において成膜液がどの様な加工条件でもポリイミドが正確に硬化し、さらには中間転写体の表面抵抗値と体積抵抗値にばらつきが生じないことを見いだした。
つまり、カーボンブラックに対して多量に余剰の樹脂分散剤が成膜液中に存在すると、成型加工時においてカーボンブラックの分散安定性とポリイミドの硬化に悪影響を与える原因となっていた。
さらに、最適な硬化が可能な成膜液の性能を鋭意研究した結果、成膜液中に溶解している樹脂分散剤の量を成膜液全重量の2%以下、好ましくは1%以下とすることである。
溶解している樹脂分散剤とは、成膜液中において顔料に吸着していないで液媒体中に溶解した状態の樹脂を指す。
さらに、分散液中のカーボンブラックと樹脂分散剤の総量は10%以上であることが好ましい。その理由としては、分散液中に一定濃度以上のカーボンブラックと樹脂分散剤が存在しないと分散を効率的に行い最適な分散状態を得ることができないからである。
以上述べた本発明の成膜液の作成方法としては、水溶性有機溶剤中に前述のカーボンブラックと分散剤と処方によっては所定量のアミン類又は塩基を加えて混合した後、後述する手段を用いて分散処理したものを分散液として、この分散液に前述したバインダー樹脂や添加剤等を添加し、更に分散して所定の粘度になるように調整し成膜液とする。また、この分散液中に必要に応じて水溶性溶剤、消泡剤等を添加してもよく、分散液そのものを成膜液としてもよい。更に、必要に応じて遠心分離処理を行ってもよい。
とりわけ未吸着樹脂量を2%以下にするためには、作成方法において、樹脂、アミンあるいは塩基等を含むビヒクルを60℃以上、30分間以上撹拌して樹脂を予め完全に溶解させることが必要である。
又、樹脂を溶解させるアミンあるいは塩基の量を、樹脂の酸価から計算によって求めたアミンあるいは塩基量の1.2倍以上添加することが必要である。このアミンあるいは塩基の量は以下の式によって求められる。
アミンあるいは塩基の量(g)=
樹脂の酸価×アミンあるいは塩基の分子量×樹脂量(g)/56000
更に顔料を含む成膜液を分散処理する前にプレミキシングを30分間以上行うことも又必要である。
このプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への樹脂の吸着を促進するものである。
分散液に添加させるアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミンが好ましい。
又分散液に添加される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属塩の水和物などの無機アルカリ剤が好ましい。
一方、本発明に使用する分散機は、一般に使用される分散機なら如何なるものでも良いが、たとえばボールミル、ロールミル、サンドミルなどが挙げられる。
その中でも高速型のサンドミルが好ましく、たとえばスーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
本発明において所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、また処理時間を長くする、吐出速度を遅くする、粉砕後フイルターや遠心分離機分等で分級するなどの手法が用いられる。またはそれらの手法の組合せが挙げられる。
尚、本発明に係る未吸着樹脂の量を測定する方法としては、超遠心機等を用いて顔料分と顔料に吸着された樹脂分を沈殿させ、この上澄み液に含有される残存樹脂量をTOC(Total Organic Carbon、全有機炭素計)や、重量法(上澄みを蒸発乾固させ、樹脂量を測定する方法)などが好適に用いられる。
[転写体構成]
本発明の半導電性ベルトは、少なくとも表面層に導電性微粉末としてカーボンブラックを均一に分散させたポリイミド樹脂層を有する半導電性ベルトであり、単層であっても2層以上の複数層を有していてもよい。カーボンブラックとしては、一般的にカーボンブラックの一次粒子径は10nm〜1μmであるが、分散液や樹脂中に混入する場合、カーボンブラックの分散時に凝集を発生することがある。
本発明では、半導電性ベルトとしてポリイミド樹脂中に分散されているカーボンブラックの粒子径が10〜300nmであることが好ましい。300nmを超えると半導電性ベルトの製造工程中に表面層に存在する粒子径の大きなカーボンブラックがベルト表面の突起となり、表面精度の悪化や抵抗の不均一化、さらには半導電性ベルトの電気的負荷による抵抗の低下を引き起こす原因となることがある。又、10nm未満だと所望の抵抗値を得るには添加量が過大で中間転写体の機械特性が低下してしまう。
[カーボンブラック]
本発明のポリイミド樹脂組成物は,導電性物質としてカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラックまたはファーネスブラックが好ましい。ファーネスブラックについては、酸化処理を施したものを用いると、溶媒への分散性が向上されるため、適宜酸化処理を行ったものが好ましい。さらに、酸化処理を施したファーネスブラックは、処理によってその表面に酸素を含有した官能基(カルボキシル基、ケトン基、ラクトン基、水酸基等)が付与されるため、極性溶媒との親和性がよく、かつ電気的負荷等によりカーボンブラック表面が酸化劣化を受け難くなる。そのようなカーボンブラックを半導電性ベルトに使用すると、導電経路の形成が起き難くなって、抵抗低下を防ぐことができる。
上記のように、本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等が挙げられ、単独又は複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。本発明においては、揮発分が1.0%以上のカーボンブラックを少なくとも1種類含有することが好ましい。
このようなカーボンブラックとしては、デグサ社製のカラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、スペシャルブラック6、カラーブラックS170、カラーブラックS160、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、プリンテックス150T、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック550、スペシャルブラック350、スペシャルブラック250、スペシャルブラック100、三菱化学社製のMA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA230、MA220、キャボット社製のMONARCH700、MONARCH800、MONARCH880、MONARCH900、MONARCH1000、MONARCH1300、MONARCH1400、MOGUL−L、REGAL400R、VULCAN XC−72R等が挙げられる。
本発明に用いるカーボンブラックは、平均粒子径が5〜100nmであり、好ましくは10〜70nmである。平均粒子径が5nm未満のものは、実質的に入手することが困難であり、平均粒子径が100nmを越える場合、該カーボンブラックを含有したポリイミド樹脂組成物の表面粗さ、機械的強度及び電気抵抗制御性等の観点から実用上満足できるものが得られ難いからである。
前記平均粒子径は、電子顕微鏡などで測定された一次粒子径に基づく平均粒子径を示す。また、前記カーボンブラックは、粒子表面をスチレンやメタクリル酸メチル等のポリマーでグラフト化したり、絶縁材を被覆したりすることで電気抵抗を制御してもよく、カーボンブラック粒子表面に酸化処理を施してもよい。
[ポリイミド樹脂]
本発明のポリイミド樹脂組成物は、前記カーボンブラックを含有するポリアミド酸溶液を加熱して、溶媒の除去及びイミド転化反応を行うことにより得ることができる。本発明に用いるポリイミド樹脂は、公知のものを使用することができ、酸二無水物とジアミンを溶媒中で重合反応させて得られる。なかでも、芳香族ポリイミド樹脂は、得られるベルトの機械的強度や耐熱性、寸法安定性が良好であり好ましい。
本発明に用いる溶媒としては、有機極性溶媒が好ましく、特にN,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のものとしてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは、蒸発、置換又は拡散によりポリアミド酸及びポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。
また、前記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、併せて使用しても差し支えない。さらに、前記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独でもしくは併せて混合することもできる。ただし、生成するポリアミド酸の加水分解による低分子量化を防ぐため、重合反応の際には水の混入は避けることが好ましい。
本発明においては、前記カーボンブラックと前記有機極性溶媒との親和性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。
また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩害の分散安定化剤を用いることもできる。
酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHOCHNH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
これらの原料よりカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を調製するためには、有機極性溶媒中にジアミンと酸二無水物を溶解し、重合反応後得られたポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを添加し混合・撹拌する方法、有機極性溶媒中に予めカーボンブラックを均一に分散し、カーボンブラック分散液を調製した後、この中にジアミン及び酸二無水物を溶解し、重合反応する方法等が挙げられる。
[成膜液製造方法]
以下、本発明のポリイミド樹脂組成物及びシームレスベルトの製造方法の一例を説明する。
まず、前記有機極性溶媒中にカーボンブラック及び適宜高分子分散剤を添加、分散してカーボンブラック分散液を調製する。
分散方法としては公知の方法が適用でき、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等が挙げられる。
次に、前記カーボンブラック分散液に、前記酸二無水物及びジアミンを溶解し、混合・撹拌して重合反応を進行させ、ポリアミド酸溶液を得る。
各原料の配合量に関しては、最終的に得られるポリイミド樹脂組成物の目的とする用途により、これに適合した組成を実験的に検討する必要がある。例えば、表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)である高制電性シームレスベルトを得るためのカーボンブラックの添加量は、ポリイミド樹脂固形分に対し10〜40重量%程度が好ましく、13〜30重量%がより好ましい。10重量%より少ないと、前記抵抗領域を発現するためには高導電性カーボンブラックを用いる必要があり、このような高導電性カーボンブラックを低添加量で加えると、安定した抵抗を再現よく製造するのが困難となる場合がある。一方、40重量%より多いと、ポリイミド樹脂本来の高い機械特性が損なわれ、脆性が発現し、ベルトを複数の駆動ローラ等により駆動する際にベルト端面に亀裂を生じることがある。
前記ポリアミド酸溶液のモノマー濃度(溶媒中の酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、重合反応は窒素雰囲気下で行い、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、反応時間は0.5〜10時間程度が好ましい。ポリアミド酸溶液は、重合反応の進行に従い、溶液粘度が増大するため、粘度を調整することができる。また、溶媒の添加等でモノマ−濃度を下げることによって、粘度の調整も可能である。本発明におけるポリアミド酸溶液の粘度は、通常、1〜1000Pa・sである。
このようにして得られたポリアミド酸溶液を加熱して、溶媒の除去及びイミド転化反応して本発明のポリイミド樹脂組成物を得る。
溶媒の除去のための加熱温度は、適用した溶媒を蒸発させることができる温度であれば特に制限はなく適宜に設定できる。ポリアミド酸溶液中の溶媒が急激に蒸発するための微小ボイドの発生を防止するためには230℃以下が好ましく、加熱時間の短縮という観点から80℃以上が好ましい。加熱時間は加熱温度に応じて適宜設定され、通常、10〜60分程度である。
次いで、イミド転化反応完結や閉環水の除去のために、加熱する。通常、この時の加熱温度は上記溶媒蒸発温度以上から450℃以下、好ましくは250〜400℃、加熱時間は10〜60分である。
[転写体製造方法]
ポリイミド樹脂組成物を様々な形状の成形物にするには、各々公知の成形法を用いる。例えば、フィルムやベルト等の薄膜を得るには、ガラス板若しくは銅板等の平板、エンドレスベルト又は円筒状金型等に前記ポリアミド酸溶液を塗布等することにより被膜を形成した後、加熱による溶媒除去、イミド転化反応、閉環水除去を行うことにより、ポリイミド樹脂組成物からなるフィルムやベルトを得ることができる。また、シームレスベルトを得るには、円筒状金型内面にポリアミド酸溶液を流延又は塗布後、金型を回転させる方法や弾丸状走行体を自重若しくは気体圧により走行させる方法、又は円柱状金型をポリアミド酸溶液に浸漬した後、引き上げて環状金型等により成形する方法等により被膜を形成した後、加熱による溶媒除去、イミド転化反応、閉環水除去を行うことにより、ポリイミド樹脂組成物からなるシームレスベルトを得ることが挙げられ、適宜選択することができる。
本発明の高制電性シームレスベルトは、積層することにより多層化することも可能であるが、少なくとも最外表面は、前記ポリイミド樹脂組成物からなる。
[カーボンブラックグラフトポリマー]
カーボンブラックグラフトポリマーとは、カーボンブラック部分に重合体部分がグラフト化された微粒子をいう。カーボンブラックグラフトポリマーは、カーボンブラックの一次粒子あるいは数個の凝集体に重合体がグラフト化されたものである。グラフト化に用いることができる付加反応には、求電子付加反応、ラジカル付加反応、求核付加反応、付加環化反応がある。
カーボンブラックは、通常数nm〜数百nmの粒子径を持つ。しかし、カーボンブラックは粒子同士の凝集力が大きいため、通常数ミクロン以上の粒子径を持つ凝集体として取り扱われる。また、カーボンブラック同士の凝集力は、カーボンブラックと他の物質、例えば樹脂系材料との親和性に比べ著しく大きく、カーボンブラックをサブミクロンで樹脂系材料等に分散させることは非常に困難であり、安定した抵抗値を得ることができない。
一方、カーボンブラックグラフトポリマーは、カーボンブラックの粒子間に重合体部分が有効に入り込み、カーボンブラック同士の凝集力を弱めることができる。さらに、重合体部分が樹脂系材料等と親和性のある時、カーボンブラックグラフトポリマーはサブミクロンで樹脂系材料等中に分散できる。しかしながら、重合体部分が樹脂系材料等と高い親和性を有していたとしても、カーボンブラック部分に重合体部分が有効にグラフト化されていないと、その特性は安定したものとはならずまたバラツキを生じやすくなり、良好な電気抵抗調整材とはならず、また一定レベルの親和性を得ようとするとカーボンブラックグラフトポリマーにおけるカーボンブラック部分の含有量が低くなってしまうという結果ともなり、カーボンブラックの有する導電性が著しく損なわれてしまうこととなる。
本発明に係るカーボンブラックグラフトポリマーを得るには、カーボンブラックに対して反応性を有する重合体を、カーボンブラックに反応させて得られる。
カーボンブラックに対して反応性を有する重合体は、例えばカーボンブラックの表面官能基と反応性を有する反応性基を有するものであれば良く、さらにこの反応性基としては、カーボンブラック表面に存在する官能基と反応して当該重合体のカーボンブラックへのグラフト化に寄与できるものであれば特に限定されるものではなく各種の反応性基を利用できる。
ここで、グラフト化をより確実かつ安定なものとするためには、重合体部分が共有結合を介してカーボンブラックに結合することが望まれ、特にエステル結合、チオエステル結合、アミド結合、アミノ結合、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合およびスルホニル結合よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合、さらには、エステル結合、チオエステル結合およびアミド結合よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合であることが望まれる。
このような点も考慮すると、反応性基は、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のものであることが望ましい。カーボンブラックに対する反応性基は必ずしもこれらのみに限定されるものではないが、これらの反応性基以外の基を有する重合体を用いる場合、使用できるカーボンブラックの種類に制限が生ずることがある。
重合体が前記反応性基を有するものであることが好ましい理由は、使用できるカーボンブラックの種類や状態にかかわらず、温和な条件においてもカーボンブラックと重合体とが非常に高いグラフト化効率で付加反応することにある。特に、カーボンブラックが上記したようにカルボキシル基を表面官能基として有する場合、カルボキシル基が、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基またはオキサゾリン基と熱反応により高収率で不可逆的付加反応を行ない、この付加反応により、カーボンブラック部分と重合体部分に上記した共有結合が形成されるゆえ望ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例中,部および%とあるは,重量部および重量%をそれぞれ示す。
[カーボンブラックの処理例1〜8]
表2に示す条件で,以下のようにカーボンブラックを処理した。カーボンブラックを溶剤に分散させ,スルホン化剤を添加し,加熱攪拌しながら維持した。ついで,溶剤にて数回洗浄後,水中に注ぎ,再度水洗を繰り返し,フィルターにて8種類の処理カーボンブラックの水性分散体(固形分15%)を得た。
Figure 0004159978
*1:カーボンブラック(デグサ社製 FW18)
*2:カーボンブラック(デグサ社製 S170)
*3:カーボンブラック(三菱化学製 MA−8)
*4:カーボンブラック(デグサ社製 FW200)
*5:カーボンブラック(デグサ社製 スペシャルブラック4)
*6:カーボンブラック(三菱化学製 MAー7)
*7:カーボンブラック(三菱化学製 #2600)
*8:カーボンブラック(デグサ社製 Printex35)
* :N−メチル−2−ピロリドン
1.表面改質カーボンブラック
(カーボンブラック分散液の調整)
[カーボンブラック分散液1]
市販の酸性カーボンブラックであるカラーブラックFW18(商品名;デグサ社製)(比表面積 260m/g)100gをスルホラン1000gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液を表2に示す条件にて10時間煮沸してスルホン化処理を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液1を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記した真空熱分解ガス法で測定したところ、2340μmol/gであり、この値をカラーブラックFW18の比表面積で除した値(すなわち親水性官能基量/比表面積の値)は9.0μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液2]
市販の酸性カーボンブラックであるカラーブラックS170(商品名;デグサ社製)(比表面積 200m/g)100gをn−メチル−2−ピロリドン1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液を表2に示す条件にて、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸してスルホン化処理を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液2を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、2100μmol/gであり、この値をカラーブラックS170の比表面積で除した値は10.5μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液3]
市販の酸性カーボンブラックであるMA8(商品名;三菱化学社製)(比表面積 137m/g)100gをn−メチル−2−ピロリドン1000gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液を表2に示す条件にて、10時間煮沸してスルホン化処理を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液3を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、1230μmol/gであり、この値をMA8の比表面積で除した値は9.0μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液4]
市販のチャンネルカーボンブラックであるカラーブラックFW200(商品名;デグサ社製)(比表面積460m/g)100gをスルホラン1000gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液を表2に示す条件にて、10時間煮沸してスルホン化処理を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液4を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水官能基量は、前記方法で測定したところ2600μmol/gであり、この値をFW200の比表面積で除した値は5.7μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液5]
市販のチャンネルカーボンブラックであるスペシャルブラック4(商品名;デグサ社製)(比表面積180m/g)100gをスルホラン500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液を表2に示す条件にて、10時間煮沸してスルホン化処理を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液5を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水官能基量は、前記方法で測定したところ、2500μmol/gであり、この値をスペシャルブラック4の比表面積で除した値は13.9μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液6、7、8]
カーボンブラック分散液1〜5の調整方法と同様な方法で、表2に示す条件にてn−メチル−2−ピロリドンのカーボンブラック分散液6、7、8を調整した。得られた表面改質カーボンブラックの親水官能基量は、それぞれ次の様になった。
カーボンブラック分散液6:21.2μmol/mであった。
カーボンブラック分散液7:12.5μmol/mであった。
カーボンブラック分散液8:27.6μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液9(比較例)]
カーボンブラック分散液1に記載の酸性カーボンブラックであるカラーブラックFW18 5gをn−メチル−2−ピロリドン95gに添加してホモミキサーで充分攪拌を行った。次いで、数分間、静置させるとカーボンブラックが凝集し沈降した。得られたカーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、130μmol/gであり、この値をカラーブラックFW18の比表面積で除した値は0.50μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液10(比較例)]
カーボンブラック分散液2に記載の酸性カーボンブラックであるカラーブラックS170 100gを水500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)350gを滴下し、10時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液10を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、960μmol/gであり、この値をカラーブラックS170の比表面積で除した値は4.80μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液11(比較例)]
カーボンブラック分散液3に記載の酸性カーボンブラックであるMA8、100gを水500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)70gを滴下し、6時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が2mS/cmになるまで脱塩および精製し、さらに顔料濃度が15重量%になるまで濃縮してカーボンブラック分散液11を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、620μmol/gであり、この値をMA8の比表面積で除した値は4.53μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液12(比較例)]
カーボンブラック分散液1に記載の酸性カーボンブラックであるカラーブラックFW18 100gを水500gに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)3840gを滴下し、10時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液12を調製した。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、7900μmol/gであり、この値をカラーブラックFW18の比表面積で除した値は30.38μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液13(比較例)]
カーボンブラック分散液2に記載の酸性カーボンブラックであるカラーブラックS170 100gを水1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)2420gを滴下して、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液13を調製した。得られた顔料分散液を塩酸水で酸性とし、再度膜精製を行った後、濃縮、乾燥、および微粉砕して酸化カーボンブラックの粉末を得た。得られた表面改質カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、6400μmol/gであり、この値をカラーブラックS170の比表面積で除した値は32.00μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液14(比較例)]
カーボンブラック分散液3に記載の酸性カーボンブラックであるMA8、100gを水1kgに混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて粉砕した。この粉砕原液に次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度 12%)870gを滴下して、ボールミルで粉砕しながら5時間反応させ、さらに攪拌しながら4時間煮沸して湿式酸化を行った。得られた分散原液をガラス繊維ろ紙GA−100(商品名、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過して、さらに水で洗浄した。得られたウェットケーキを水5kgに再分散して、逆浸透膜により電導度が20μS/cmになるまで脱塩および精製した。さらに乾燥し、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%のカーボンブラック分散液14を調製した。得られた顔料分散液を塩酸水で酸性とし、再度膜精製を行った後、濃縮、乾燥、および微粉砕して酸化カーボンブラックの粉末を得た。得られた酸化カーボンブラックの親水性官能基量は、前記方法で測定したところ、4320μmol/gであり、この値をMA8の比表面積で除した値は31.53μmol/mであった。
[カーボンブラック分散液15(比較例)]
カーボンブラック分散液4に記載のチャンネルカーボンブラックであるカラーブラックFW200 100g、水溶性樹脂の分散剤のジョンクリルJ−62(商品名、ジョンソンポリマー社製)150g、水酸化ナトリウム6g、n−メチル−2−ピロリドン250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約5μmのステンレス製フィルターにて濾過して、n−メチル−2−ピロリドンで顔料濃度が15重量%になるまで希釈して水溶性樹脂で分散したカーボンブラック分散液15を調製した。
[実施例1]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(A)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液1 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例2]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(B)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液2 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例3]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(C)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液3 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例4]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(D)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液4 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例5]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(E)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液5 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例6]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(F)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液6 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例7]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(G)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液7 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例8]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(H)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液8 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例1]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(I)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液9 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例2]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(J)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液10 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例3]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(K)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液11 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例4]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(L)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液12 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例5]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(M)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液13 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例6]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(N)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液14 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例7]
下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(O)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラック分散液15 25部
n−メチル−2−ピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
2.グラフト化カーボンブラック
[参考例1]
AA−6(東亜合成(株)製、ポリメチルメタクリレートマクロマー)75部、スチレンモノマー(St)15部、イソプロペニルオキサゾリン(IPO)10部、および開始剤としてのアゾイソブチロニトリル(AIBN)3部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−Ac)100部に溶解させ、重合性単量体組成物(1)を得た。攪拌機、N導入管、温度計、滴下漏斗を備え付けたセパラブルフラスコに、PGM−Ac50部を仕込み、80℃に昇温した。上記単量体組成物(1)を滴下漏斗に仕込み、80℃にて3時間かけて滴下を行ない、さらに2時間同温度にて重合後、120℃に昇温し、2時間熟成を行い、冷却し、重合体溶液(1)(不揮発分40%)を得た。
[参考例2]
参考例1においてAA−6の代りにAA−714(東亜合成(株)製、メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体マクロマー)を用いた以外は参考例1と同様の操作を行い重合体溶液(2)(不揮発分40%)を得た。
[参考例3]
参考例2で得られた重合体溶液(2)250部に対し、メタクロイルイソシアネート(分子量111.1)8.9部をPGM−Ac 13.35部に希釈した液を室温にて30分間にわたり滴下し、二重結合を有する重合体溶液(3)(不揮発分40%)を得た。
[合成例1]
温度計、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、カーボンブラック分散液1(固形物)30部、参考例1で得られた重合体溶液(1)22.5部、PGM−Ac97.5部をそれぞれ仕込み分散させた。続いてジルコニア製ビーズ800部をフラスコ内に仕込んだ。回転数300rpmで攪拌しながら、100℃で2時間グラフト化反応を行なった。続いて反応内容物とジルコニア製ビーズを分離しカーボンブラックグラフトポリマー分散液1を得た。
[合成例2]
合成例1においてカーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液2(固形物)、重合体溶液(1)22.5部の代わりに25部、PGM−Ac97.5部の代わりに90部とする以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液2を得た。
[合成例3]
合成例1においてカーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液3(固形物)を用いる以外は、合成例1と同様の操作を繰返してカーボンブラックグラフトポリマー分散液3を得た。
[合成例4]
合成例1においてカーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液4(固形物)、重合体溶液(1)22.5部、PGM−Ac97.5部の代わりに重合体溶液(2)25部、PGM−Ac82.5部とした以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液4を得た。
[合成例5]
合成例1においてカーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液5(固形物)、重合体溶液(1)の代わりに重合体溶液(3)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液5を得た。
[実施例9]
合成例1で得られたカーボンブラックグラフトポリマー分散液1を用い下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(P)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液1 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例10]
合成例2で得られたカーボンブラックグラフトポリマー分散液2を用い下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(Q)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液2 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例11]
合成例3で得られたカーボンブラックグラフトポリマー分散液3を用い下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(R)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液3 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例12]
合成例4で得られたカーボンブラックグラフトポリマー分散液4を用い下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(S)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液4 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[実施例13]
合成例5で得られたカーボンブラックグラフトポリマー分散液5を用い下記成分を混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(T)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液5 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例8]
合成例1において、カーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液9(固形物)、重合体溶液(1)22.5部の代わりに30部、PGM−Ac97.5部の代わりに90部とする以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液6を得た。カーボンブラックグラフトポリマー分散液6に下記成分を均一に混合し、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(U)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液6 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例9]
合成例1において、カーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液10(固形物)、重合体溶液(1)22.5部、PGM−Ac97.5部の代わりに重合体溶液(2)37.5部、PGM−Ac82.5部とした以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液7を得た。カーボンブラックグラフトポリマー分散液7に下記成分を均一に混合し、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(V)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液7 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例10]
合成例1において、カーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液11(固形物)、重合体溶液(1)22.5部の代わりに重合体溶液(3)30部を用いた以外は合成例1と同様の操作を行ないカーボンブラックグラフトポリマー分散液8を得た。カーボンブラックグラフトポリマー分散液8に下記成分を均一に混合し、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(W)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックグラフトポリマー分散液8 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
3.カプセル化カーボンブラック
カーボンブラックのカプセル化処理では、特にアクリル系やポリエステル系の微粒子に顔料が含浸されたもの、即ち、表層もしくは内部、あるいは全体に顔料が存在するカプセル化したカーボンブラックを用いることが好ましい。より具体的には特開平2000−53898号公報に開示された方法により製造されたカーボンブラック微粒子が挙げられる。以下にこれに準じたその1例を示す。
[カーボンブラックカプセル化分散液1]
攪拌翼、冷却管、窒素ガス導入管を取り付けた密閉可能な反応容器に、重合溶媒としてメチルエチルケトン20重量部、重合性不飽和モノマーとして下記の組成の初期仕込みモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を充分行った。
メタクリル酸メチル(モノマー) 12.8部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(モノマー) 1.2部
メタクリル酸、モノマー 2.9部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製 FM−0711) 2部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成株製 AN−6) 1部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 0.3部
窒素雰囲気下、反応容器内の混合液を撹拌しながら65℃まで昇温させた。これとは別に、下記の滴下モノマモノマー及び重合連鎖移動剤とメチルエチルケトン60部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部とを混合し、充分窒素置換して得られた混合液を3時間かけて反応容器内に徐々に滴下した。
メタクリル酸メチル(モノマー) 51部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(モノマー) 4.2部
メタクリル酸、モノマー 11部
シリコーンマクロマー(チッソ(株)製 FM−0711) 8部
スチレンアクリルニトリルマクロマー(東亜合成株製 AN−6) 4部
メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤) 1.2部
滴下が終了して2時間後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させることによりビニル系ポリマー溶液を得た。
得られたビニル系ポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、完全に溶媒を除去することによって単離した。重量平均分子量は約10,000、Tg180℃であった。
上記で得られたビニル系ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたビニル系ポリマー3gに、トルエン25gおよびカーボンブラック分散液1(固形物)10gを加えて完全に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を2g加えてビニル系ポリマーの酸性基を一部中和した。次いで、イオン交換水300gを加え、撹拌した後、乳化装置であるナノメーカーTM(ナノマイザー社製)を用いて、30分間乳化した。得られた乳化物を減圧下60℃でトルエンを完全に除去し、更に一部の水を除去することにより濃縮し、限外濾過膜にてモノマー等不純物を除去した。その後、減圧下60℃で水を完全に除去すると共に、NMPで置き換え、カーボンブラックを含浸させたビニル系ポリマー微粒子のカーボンブラックカプセル化分散液1(平均粒径;98nm、カーボンブラック固形分濃度;10%)を得た。
[カーボンブラックカプセル化分散液2]
カーボンブラックカプセル化分散液1において、カーボンブラック分散液1(固形物)の代わりにカーボンブラック分散液9(固形物)、ビニル系ポリマー3gの代わりに5gとする以外は前記と同様の操作を行いカーボンブラックカプセル化分散液2を得た。
[実施例14]
カーボンブラックカプセル化分散液1に下記成分を均一に混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(X)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックカプセル化ポリマー分散液1 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[比較例11]
カーボンブラックカプセル化分散液2に下記成分を均一に混合した後、超音波ホモジナイザーで1時間攪拌し成膜液(Y)を得た。
(成膜液の作成)
カーボンブラックカプセル化ポリマー分散液2 25部
N−メチルピロリドン 8部
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスS) 33部(固形分6部)
ポリイミド樹脂(宇部興産製U−ワニスA) 33部(固形分6部)
シリコーン系レべリング剤 0.001部
[成膜液と中間転写体の評価]
1.成膜液の保存安定性評価
実施例と比較例のそれぞれを密閉した容器に入れ、50℃で1ヶ月間放置した。放置前後の成膜液組成物の粘度および平均粒径を測定し、保存安定性を以下のように評価した。また、保存瓶の底に付着した沈殿物の有無を目視にて観察した。
A;成膜液組成物の粘度および平均粒径の変化が放置前に対して±20%以下である。 沈殿物が見られない。
B;成膜液組成物の粘度および平均粒径の変化が放置前に対して±20%以下である。瓶の底にわずかに沈殿物が見られるが、実用的には問題がない。
C;成膜液組成物の粘度または平均粒径の変化が放置前に対して±20%を越えている。沈殿物がはげしく生じている。
評価結果を、表4に示した。
2.中間転写体の形成方法
実施例と比較例の各成膜液を、内表面の表面粗さRaが0.2μmに鏡面仕上げされた内径300mm、長さ500mmの円筒状金型の内面に、ディスペンサーを介して400μmの厚さに塗布し、1800rpmで15分間回転させて均一な膜厚を有する被膜層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、150℃で60分間加熱した後、室温まで冷却した。前記金型内面より、自己支持できるまで硬化したポリアミド酸ベルトを該ベルト端部に空気を圧送することによって剥離し、表面粗さRaが1.8μmの金属製シリンダの外面に差し替えた後、3℃/分の昇温速度で360℃まで昇温後、360℃で30分間保持し、脱水閉環水の除去およびイミド転化の完結反応を行った。その後室温まで冷却し、目的とする厚さ80μm前後の中間転写ベルトを得た。
3.表面抵抗率とそのバラツキ
ハイレスタIP、MCP−HT260(三菱油化社製、プローブ:HR−100)にて印加電圧100V、1分後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を測定した。測定は、ベルト外周面に関して12点測定し、この平均値をベルトの表面抵抗率とし、最大値と最小値の差をそのバラツキとした。測定結果を表4に示す。
Figure 0004159978
Figure 0004159978
表4に示すように実施例の1から14迄は保存安定性に異常が見られず、抵抗値のばらつきも一桁以内であった。これに対して比較例1から11迄は保存安定性に異常は見られなかったが抵抗値のばらつきが一桁以上であった。
本発明の中間転写体を使用するリボルバ型カラー電子写真装置の概略構成図である。 本発明の中間転写体を使用するタンデム型カラー電子写真装置の概略構成図である。 表面改質カーボンブラックにおける親水性官能基量を測定するための真空熱分解装置の概略を示す図である。
符号の説明
1 電気炉
2 石英試料管
3 マノメーター
4 冷却トラップ
5 真空ポンプ
6 テプラーポンプ
7 ガスビュレット
8 ガスクロマトグラフ
9 キャリヤーガス出入口
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
25 ベルトクリーニング装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
203 帯電チャージャ
230 リボルバ現像ユニット
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ505
507 1次転写バイアスローラ
508 駆動ローラ
510 2次転写対向ローラ
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源

Claims (16)

  1. トナーにより像担持体上に形成される色現像画像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、一括して二次転写する中間転写装置における中間転写体において、分散剤無添加で水溶性有機溶剤に分散及び/または溶解が可能な表面改質カーボンブラックを含んだ成膜液から形成された層を有し、該カーボンブラックがスルホン化剤により表面処理されたカーボンブラックであり、かつ、該カーボンブラックの親水性官能基量/比表面積の値が5〜30μmol/mの範囲にあることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記表面改質カーボンブラックが、酸性カーボンブラックをスルホン化して得られたことを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  3. 前記表面改質カーボンブラックが、チャンネルカーボンブラックをスルホン化して得られたことを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  4. 前記表面改質カーボンブラックが、極性有機溶剤中にてスルホン化ピリジン塩、スルファミン酸、アミド硫酸、フルオロ硫酸、クロロ硫酸、三酸化硫黄、発煙硫酸、硫酸から選ばれるスルホン化剤により処理して得られたことを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  5. 前記極性有機溶剤がN−メチル−2−ピロリドンまたはスルホランであることを特徴とする請求項4記載の中間転写体。
  6. 前記表面改質カーボンブラックが1.5mmol/g以上の親水性官能基を有することを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  7. 前記表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がグラフト重合されたことを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  8. 前記表面改質カーボンブラックの表面に樹脂がカプセル化されたことを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  9. 前記グラフト重合樹脂或いはカプセル化樹脂がアクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドンから選らばれた樹脂のいずれかの樹脂であることを特徴とする請求項7又は8記載の中間転写体。
  10. 前記成膜液に含有される樹脂がポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂のうち単体又は複数の樹脂を配合したものであることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  11. 前記表面改質カーボンブラックの粒子径が10nm〜300nmであることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  12. 前記中間転写体の表面抵抗が10〜1012Ω/□であることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  13. 前記中間転写体の層構成が単層構成であることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  14. 前記中間転写体の層構成が複層構成であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  15. 前記中間転写体がシームレスベルト形状であることを特徴とする請求項1記載の中間転写体。
  16. 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像剤を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写し、該中間転写体上の一次転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、前記中間転写装置が請求項1から15に記載した何れかの中間転写体を用いることを特徴とする画像形成装置。
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