JP2005220320A - カーボンブラック、及びカーボンブラックの精製方法、並びにカーボンブラックを含有する半導電性部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属元素の含有量が100ppm以下であることを特徴とするカーボンブラック、又は、カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーを攪拌した後に、カーボンブラックを分離する精製工程により得られることを特徴とするカーボンブラック、及び、カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーからカーボンブラックを分離する精製工程を有することを特徴とするカーボンブラックの精製方法、並びに前記カーボンブラックを含有する熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導電性部材。
【選択図】 なし
Description
また、中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられるベルト材料としては、ポリエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが提案されている(例えば、特許文献8及び9参照。)。
しかし、前記補強材入り弾性ベルトは、経時でベルト材料のクリープ変形等に起因する色ずれの問題が発生する場合がある。
更に、この様な中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用いる半導電性部材(ベルト)として、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラー(導電剤)を分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献10及び11参照。)。
例えば、前記特許文献11では3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリアミド酸(Uワニス−S)をポリイミド樹脂の原料とし、これに導電性フィラーを分散したベルトが開示されているが、このタイプの中間転写ベルトでは、表面微小硬度が40以上であり、機械特性に優れており、駆動時の応力に対するベルト変形がなく、色ずれのない高品質の転写画質が安定して得られる。しかし、転写部において、ポリイミド樹脂材料は、機械的特性に優れるために、バイアスローラを用いて記録媒体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写する1次転写部でのバイアスローラによる押圧力による変形が少ないので、バイアスローラによる押圧力が集中する。このためトナーが凝集し、電荷密度が高くなることによってトナー層内部放電を起こし、トナー極性を変化させる等の原因によって、ライン画像が中抜けする(ホロキャラクター)の画質欠陥を発生させる問題を生じることがあった。
しかし、前記従来におけるカーボンブラックを分散したポリカーボネート、カーボンブラックを分散したエチレンテトラフロロエチレン共重合体などの熱可塑性樹脂、並びにカーボンブラックを分散したポリイミド樹脂を中間転写体として用い、10℃15%RHの低温低湿環境下において、葉書などの中間転写の幅より短い用紙を連続して、1000枚以上転写した後で、ハーフトーンの画像を転写すると用紙走行部が白抜けする問題が発生した。用紙走行部で白抜けするのは、二次転写部での用紙剥離時に中間転写体と用紙との間における剥離放電によって、中間転写体の用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して、転写効率が周辺部位より低下することが原因である。
<1> 金属元素の含有量が100ppm以下であることを特徴とするカーボンブラック。
<2> カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーを攪拌した後に、カーボンブラックを分離する精製工程により得られることを特徴とするカーボンブラック。
<4> 酸化処理カーボンブラックであることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載のカーボンブラック。
<6> 前記熱可塑性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする<5>に記載の半導電性部材。
<8> カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーを攪拌した後に、カーボンブラックを分離する精製工程を有することを特徴とするカーボンブラックの精製方法。
本発明のカーボンブラックにおける金属元素の含有量は、50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。ここで、前記金属元素としては、カルシウム元素、鉄元素、カリウム元素、ナトリウム元素、マグネシウム元素、シリカ元素、リン元素が挙げられ、本発明のカーボンブラックにおける金属元素の含有量が100ppm以下であるとは、これらの金属元素(カルシウム元素、鉄元素、カリウム元素、ナトリウム元素、マグネシウム元素、シリカ元素、リン元素)の含有量のトータル量が100ppm以下であることを示す。
また、本発明のカーボンブラックは、上述の金属元素の中でもカルシウム元素、鉄元素、シリカ元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。
カーボンブラックをマッフル炉で700℃以上の高温に加熱し燃焼させて、残留灰分を超純水中に溶解させ、それを原子吸光分析または高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)により測定する。
以下、本発明のカーボンブラックの精製方法について説明する。
また、前記スラリー調製では、カーボンブラック表面の濡れを良くする観点から界面活性作用を有する物質、例えば、所謂界面活性剤やアルコール類を更に添加してもよい。また、必要に応じて水溶性の有機溶媒を添加してもよいが、製造後の中間転写体に残留しないことが好ましい。このため、これら界面活性作用を有する物質としては、低沸点で界面活性作用のある溶媒が好ましく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−メトキシアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
更に適時、無機酸を添加することもできる。
一方、水に対するカーボンブラックの割合は、5〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。前記水に対するカーボンブラックの割合5質量%未満であると、精製されたカーボンブラックの量が少なくなり、生産性が低くなる場合がある。一方、30質量%を超えると、スラリーが高粘度となり攪拌が困難となり、精製効率が低下してしまう場合がある。
また、前記スラリーからのカーボンブラックの分離は、遠心分離する方法の場合、6000〜10000rpmの回転であれば10〜60分間行なうことが好ましく、20〜30分間行なうことがより好ましい。
前記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
また、既述のように、本発明のカーボンブラックが酸化処理カーボンブラックであることが好ましい。前記酸化処理カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、半導電性部剤中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
式(1) DH≡αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
測定環境:23℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
式(2) Δl=P・l・α/(t・w・E)
ここで、
Δl:ベルトの変位量(μm)
P:負荷 (N)
l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
α:係数
t:ベルト厚み(mm)
w:ベルト幅(mm)
E:ベルト材料のヤング率(N/mm2)を表す。
本発明の半導電性部材を中間転写体として用いた場合、転写面の表面抵抗率は1×1010〜1×1014Ω/□であることが好ましく、1×1011〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。この表面抵抗率が1×1014Ω/□より高い場合には、一次転写部の像担持体と中間転写体とが剥離するポストニップ部で剥離放電が発生し易くなることがあり、放電が発性した部分は、白抜けする画質欠陥が発生することがある。一方、該表面抵抗率が1×1010Ω/□未満の場合には、プレニップ部での電界強度が強くなることがあり、プレニップ部でのギャップ放電が発生し易くなるために画質の粒状性が悪化することがある。従って、前記表面抵抗率を1×1010〜1×1014Ω/□とすることで、表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜け、表面抵抗率が低い場合に発生する画質の悪化を防止することができる。
式(3) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
本発明の半導電性部材を中間転写体として用いた場合、体積抵抗率は1×108〜1×1013Ωcmであることが好ましく、1×109〜1×1012Ωcmであることがより好ましい。前記体積抵抗率が1×108ΩCm未満である場合には、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまうことがあり(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。一方、前記体積抵抗率が1×1013Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。従って、前記体積抵抗率を、前記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。
式(4) ρv=19.6×(V/I)×t
先ず、本発明のカーボンブラックを有機極性溶媒に分散し、カーボンブラック分散液を調製する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。又、カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液を均一に分散できるジェットミルが好ましい。
得られたカーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生することがある。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが好ましい。
ポリアミド酸をポリイミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られないことがある。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなることがあるため、中間転写体の特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
像担持体としては、従来公知のものを用いることができ、その感光層としては、有機系、アモルファスシリコン等公知のものを用いることができる。前期像担持体が円筒状の場合は、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出し成型後、表面加工する等の公知の製法により得られる。またベルト状の前記像担持体を用いることも可能である。
現像手段としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。
第二転写手段としては、前記第一転写手段として例示した転写ローラ等の接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。これらの中でも、前記第一転写手段と同様に接触型転写帯電器が好ましい。転写ローラ等の接触型転写帯電器により強く押圧するようにすると、画像の転写状態を良好な状態に維持させることができる。また、中間転写体を案内するローラの位置で転写ローラ等の接触型転写帯電器を押圧すると、中間転写体から被転写体に対してトナー像を移転させる作用を良好な状態で行うことが可能になる。
定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。
<実施例1>
(カーボンブラック1の作製)
下記表1に記載の組成の混合物を予備攪拌後、超音波ホモジナイザーで30分間混合してカーボンブラックスラリーを調製した。その後得られたカーボンブラックスラリーを遠心分離器(10000rpm、30分)により処理し、カーボンブラックスラリーからカーボンブラックを分離し、上澄み溶液を捨て湿潤状態のカーボンブラックを得た。これらは水及び有機溶媒が残留しているため、更に150℃120分間窒素ガス中で乾燥を行い、水及び有機溶媒を除去することにより本発明のカーボンブラック1を作製した。
得られたカーボンブラック1の金属元素量(カルシウム元素、鉄元素、カリウム元素、ナトリウム元素、マグネシウム元素、シリカ元素、リン元素のトータル)を以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸NMP溶液中に、表3に記載の量の前記カーボンブラック1を投入し、ジェトミル分散機で分散処理を行った(200N/mm2、5pass)。作製したカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、真空脱泡して最終的な塗布用溶液を作製した。次に、得られたポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、NMPを除去し半硬化状態として脱型した。その後、脱型したベルトを鉄芯に被せて表3に記載の焼成温度まで昇温し、その状態で60分加熱してイミド転化を行い、ポリイミドベルト1(半導電性部材)を得た。ベルト厚さは約80μmであった。
《表面抵抗率》
得られたポリイミドベルト1の(初期の)表面抵抗率を下記方法にて求めた。その結果を表4に示す。
図1に示す円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ:円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加し、10秒後の電流値を求めて表面抵抗率を算出した。
得られたポリイミドベルト1を図6に示す抵抗評価ベンチマシンに装着し、用紙として富士ゼロックス社製P紙A−4を用いて、ポリイミドベルト1の連続10000回転写後の用紙走行部の表面抵抗率の変動幅を求めた。図6は抵抗評価ベンチマシンを説明するための概略構成図である。図6に示す抵抗評価ベンチマシンは、ドライブロール301、BUR302、アイドル303の3つのロールを有し、更にBUR302に対向する位置に用紙を巻きつかせた対向ロール304を有するもので、ドライブロール301、BUR302、及びアイドル303に測定しようとするポリイミドベルト305を張架し、BUR302と対向ロール304とでポリイミドベルト305を挟持し、BUR302に電圧を印加して、所望の回数ポリイミドベルト305を転写(所望の回数対向ロール304を回転)させるものである。
尚、上述の図6に示す抵抗評価ベンチマシンは、BUR302に対向する位置に対向ロール304を配置し、更にBUR302に電圧を印加したが、対向ロール304の位置は、ドライブロール301、BUR302、アイドル303の何れか1つに対向する位置であればよく、更に電圧の印加は、ドライブロール301、BUR302、アイドル303のうち、対向ロール304と対向するロールに行なえばよい。
前記抵抗評価ベンチマシンで回転写後の用紙走行部の表面抵抗率の変動幅を測定したポリイミドベルトを、富士ゼロックス製DocuCentreColor2220に取りつけて、コピー画質をA−3紙(富士ゼロックス社製P紙)に出力し、A−4印字領域とA−3印字領域の濃度差を以下の基準で目視判定した。その結果を表4に示す。
グレード1:良い(濃度差が全く見られない。)
グレード2:普通(濃度差が見られるが、問題にならない程度である。)
グレード3:悪い(濃度差がはっきり確認できる。)
グレード4:非常に悪い(A−4印字領域で白抜けが発生し、画像が判別できない。)
実施例1におけるカーボンブラック1の作製において、カーボンブラックスラリーの組成、及び攪拌条件を表1に記載の条件に変えたこと以外カーボンブラック1の作製と同様にして、カーボンブラック2及び3を作製した。更に、得られたカーボンブラック2及び3の投入量、及びイミド転化の際の焼成温度を表3に記載の組成及び条件に変更すること以外実施例1と同様にして、ポリイミドベルト2及び3を作製した。得られたポリイミドベルト2及び3について、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4に示す。
実施例1において、カーボンブラック1の代わりに、表2に記載のカーボンブラック4及び5を用いたこと以外実施例1と同様にして、ポリイミドベルト4及び5を作製した。得られたポリイミドベルト4及び5について、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4に示す。
2 定着ロール
3 バックアップローラ
4 テンションローラ
5 二次転写ローラ
6 用紙経路
7 用紙トレイ
8 レーザー発生装置
9 感光体
10 一次転写ローラ
11 駆動ローラ
12 転写クリーナー
13 帯電ロール
14 感光体クリーナー
15 現像器
16 中間転写体
101 中間転写体
102 支持ローラ
103 転写ローラ
104 用紙
200 中間転写体
201 用紙走行部
202 非用紙走行部
301 ドライブロール
302 BUR
303 アイドル
304 対向ロール
305 ポリイミドベルト
Claims (8)
- 金属元素の含有量が100ppm以下であることを特徴とするカーボンブラック。
- カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーを攪拌した後に、カーボンブラックを分離する精製工程により得られることを特徴とするカーボンブラック。
- 金属元素の含有量が100ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載のカーボンブラック。
- 酸化処理カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカーボンブラック。
- 少なくとも請求項1〜4の何れか1項に記載のカーボンブラックを含有する熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導電性部材。
- 前記熱可塑性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の半導電性部材。
- 中間転写体として用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導電性部材。
- カーボンブラックに少なくとも水を混合してスラリーを調製し、該調製したスラリーを攪拌した後に、カーボンブラックを分離する精製工程を有することを特徴とするカーボンブラックの精製方法。
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