JP5326936B2 - 電子写真用中間転写ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特にフルカラー電子写真に用いられる電子写真用中間転写ベルト及びそれを装備する電子写真装置に関する。
電子写真装置においては、その装置内においてさまざまな機能、用途でシームレスベルト部材が用いられている。例えば、定着ベルト、転写ベルト、紙搬送ベルトなどが挙げられる。
その中でも、フルカラー電子写真装置において、感光体上に形成された4色の、あるいはそれ以上のトナー画像を、一旦電子写真用中間転写ベルト(以降、「中間転写ベルト」ということがある)に転写することにより、中間転写ベルト上に未定着フルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写媒体に一括転写する方式における中間転写ベルトがある。
中間転写ベルトは、複写機のフルカラー化が進み、需要が急増している。中間転写ベルトとしては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴムやエラストマーなどの材料が使用されている。この方式においては、高速性を得るため、中間転写ベルトに対峙する各色の色現像装置を直列に配置したタンデム方式といわれる方式が主流となっている。
このタンデム方式に使用される中間転写ベルトは、走行中に変形による色重ねずれが生じず、繰返し使用に耐えうる高強度のものが要求され、また、難燃性も要求されるため、ポリイミドやポリアミドイミド樹脂が好ましく用いられている。とりわけクリープ変形性や耐久性、電気特性制御の点でポリイミド樹脂が好ましく用いられている。
ポリイミド樹脂による中間転写ベルトにおいては、トナー画像の転写された後も中間転写ベルト上にある程度のトナーが残留しているので、このような残留トナーを除去するベルトクリーニング装置が必要となる。
この残留トナーの除去には、クリーニングブレードのブレードエッジを中間転写ベルトの表面に押圧して、残留トナーを「擦り取る」のが最も有効である。
しかし、中間転写ベルトには、トナー画像の転写に必要な電気的特性が与えられているが、長期にわたる画像形成を繰り返していくと、クリーニングブレードの圧接により、このような電気特性が損なわれ、中間転写ベルトの寿命を短命化する問題がある。その結果、クリーニング不良による異常画像が発生する。
また、定着のオイルレス化の流れに伴い、現像剤であるトナーはワックスを含有する場合が多くなり、省エネルギー化に伴う定着温度の低下のため、トナー母体においても従来に比べ低温でより軟化しやすい材料が用いられるようになった。前記のワックスとトナー母体は中間転写ベルトに付着しやすく、画像形成を繰り返すと、トナー成分が膜状に付着する、いわゆるフィルミングが発生し、中間転写ベルトの電気特性を劣化させてしまう。さらに、画像形成を行う紙に対しても、従来のコピー用紙だけではなく、コート紙や印刷用紙のように、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の填料を多量に含有する紙への画像形成が求められてきている。しかし、これらの紙の填料は二次転写の際に紙から中間転写ベルトへ付着しやすく、この付着した填料を起点としてフィルミングが発生しやすくなり不具合が生じやすい。
上記のクリーニングブレードの圧接によるダメージを軽減し、トナー成分や紙の填料によるフィルミングを抑制するのに、中間転写ベルトの表面摩擦係数を低下させることが有効であることが知られており、上記表面摩擦係数の低減化のために、中間転写ベルトの表面に潤滑剤として金属石鹸を塗布することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
実際、これら中間転写ベルトの表面に金属石鹸を塗布する画像形成装置は、低速において高画質の画像形成が可能である。しかし、画像形成の高速化の要求に伴い、中間転写ベルトの線速を速くし、連続で画像形成を行った際は、例えば帯状の異常画像が発生しやすい。これは、画像が存在している箇所は存在していない箇所に比べて表面摩擦係数が高くなってしまい、トナー成分や紙の填料が膜状に付着する、いわゆるフィルミングが生じ、フィルミングの生じた箇所の電気特性が変化してしまうことにより、帯状の濃度ムラが発生することに起因している。このため、フィルミングが生じるのは金属石鹸の付着量が十分でない可能性があった。
中間転写ベルト表面上に潤滑剤を十分に付着させるため、中間転写ベルト表面の形態を制御することが考えられる。これまで、中間転写ベルトの表面を研磨紙、研磨剤で研磨する等の表面を荒らす方法が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。
本発明者らは、これらの方法を参考に最適な表面形態を把握しようと試みた。しかし、中間転写ベルト上に金属石鹸が十分存在しているはずにも関わらず、中間転写ベルトの線速高速下で画像形成を行うと、フィルミングが生じる箇所と生じない箇所が存在した。
本発明者らはフィルミングが生じている箇所とフィルミングが生じていない箇所の中間転写ベルトを電子顕微鏡で詳細に分析したところ、フィルミングが生じる箇所では中間転写ベルト上に金属石鹸が非常に少なく、金属石鹸の付着にムラがあることが分かった。一般的に金属石鹸は2分子で存在することが安定と言われている。これらのことから、金属石鹸は存在するかどうかが重要であることが分かった。そのため、中間転写ベルトの線速が速い状態で高画質の画像形成を実現するためには、金属石鹸を中間転写ベルトの表面全面に被覆させることが重要であると考えられた。
本発明は、上記従来技術の問題を解決するものであり、電気特性が安定し、耐摩耗性に優れ、中抜けや濃度むら、色むらのような異常画像がなく、高品質なフルカラー画像が得られる長寿命な画像形成装置(フルカラー電子写真装置)の中間転写ベルト、およびそれを用いた画像形成装置を提供するものである。
本発明者らは中間転写ベルト上の金属石鹸の被覆率を把握するため、感光体において、一般的に金属石鹸として用いられるステアリン酸亜鉛の感光体表面上の被覆率をXPS(X-ray photoelectron spectroscopy:X線光電子分光法)分析により求める方法(例えば、特開2005−17469号公報、特開2005−249901号公報、特開2005−004051号公報、特開2004−198662号公報等に記載)により、好ましい中間転写ベルト上の金属石鹸の被覆率を規定することを試みた。なお、前記露出率の定義は後記のとおりである。
XPS分析法では、サンプルの極表面の水素原子以外の元素全てを検出できるため、XPSを用いてステアリン酸亜鉛が塗布された感光体表面を分析すると、ステアリン酸亜鉛の被覆率が増えるにつれて、感光体の持つ元素比率からステアリン酸亜鉛の元素比率に近づき、ステアリン酸亜鉛の被覆率が100%になると元素比率はステアリン酸亜鉛の元素比率と理論的に一致し、検出される亜鉛元素C atm%は飽和してしまう。すなわちステアリン酸亜鉛が感光体表面全面を全て覆っている場合、ステアリン酸亜鉛の分子中の水素以外の元素比より、XPSにより検出される全元素に対する、亜鉛元素の割合D atm%は理論上2.44となる。このため、ステアリン酸亜鉛の被覆率を(C/2.44)×100(%)で算出することができる。よって、ステアリン酸亜鉛の存在しない領域の割合は、(1−C/2.44)×100(%)と算出できる。
また、ステアリン酸亜鉛に分子の長さが若干小さいパルミチン酸亜鉛を一定量以上含有させると、パルミチン酸亜鉛はステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、金属石鹸が引伸ばされやすくなり、中間転写ベルトの線速が速くても、金属石鹸は十分中間転写ベルトを被覆できる。
金属石鹸としてステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物を用いる場合、上記の亜鉛元素の割合D atm%の理論値2.44は使えなくなり、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物中の亜鉛の割合を用いる必要がある。
このように本発明者らは金属石鹸の被覆率で好ましい中間転写ベルトを規定しようと試みたが、70%以上金属石鹸が被覆していても、高温高湿下で像流れ(画像ボケ)が生じる場合が多々あった。画像ボケの発生している中間転写ベルトを詳細に解析したところ、画像ボケが発生している箇所にはトナーの外添剤であるシリカやワックス、あるいは紙の添料が付着していることが分かった。このため、金属石鹸が被覆していない領域は何も付着していない状態である必要があることが分かった。
そこで、中間転写ベルト表面の亜鉛元素の割合から算出される、中間転写ベルト表面に金属石鹸の存在しない領域の割合(1−C/D)×100(%)だけでなく、金属石鹸塗布による中間転写ベルト表面の窒素元素含有率の減少率から算出される露出率に着目する方法に至った。
本発明の画像形成装置において、現像剤やフィルミング物質の中で窒素元素を主成分として含有する物はなく、中間転写ベルト表面の窒素元素の減少は表面の付着物に起因している。そのため、画像形成前の中間転写ベルト表面の窒素元素含有率A atm%と画像形成後の中間転写ベルト表面の窒素元素含有率B atm%から中間転写ベルト表面の露出率を(B/A)×100(%)で算出することができる。
上記の亜鉛元素の割合から算出される中間転写ベルト表面に金属石鹸の存在しない領域の割合(1−C/D)×100(%)と、窒素元素の割合から算出される中間転写ベルト表面の露出率(B/A)×100(%)の差が小さいほど、前記中間転写ベルト表面の付着物はフィルミング物質ではなく金属石鹸であると言える。
前記の方法を用いて評価を行った結果、(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)の差が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であれば、十分に金属石鹸の塗布の効果が得られることを見出した。前記条件であれば、中間転写ベルト表面の付着物はフィルミング物質ではなく金属石鹸であると言える。
また、(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)は算出方法が異なるが、金属石鹸が被覆していない領域の割合(露出率)を示すもので、この値が小さいほど金属石鹸が被覆している割合が多いことになる。本発明者らは、これら2つの値が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であれば、さらに金属石鹸の塗布の効果が得られることを見出した。
また、本発明者らは、前記(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)の差が10%以下になる表面の形態及び、金属石鹸の構成の探索を試みた。その結果、金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物で、その混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であり、中間転写ベルト表面に高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部が存在し、画像形成領域が線状の凸部により囲まれ、複数に分割されており、かつその分割された領域の個々の面積(線状の凸部が囲む個々のベルト表面)が1000〜30000μmの範囲にあるとき、前記(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)の差が10%以下になることを見出した。また、前記金属石鹸が微粉化されて中間転写ベルト上へ供給されたとき、前記中間転写ベルト上の凸部周辺で金属石鹸の供給が促進されることが分かった。更に、凸部の間隔が広い場合、金属石鹸の供給が促進される場所が限定されてしまうため、凸部の間隔が狭く線状の方が金属石鹸を効率良く中間転写ベルトへ供給できることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、上記課題は本発明の下記(1)〜(6)によって解決される。
(1)窒素元素を表面に有し、かつ画像形成時に亜鉛を含有する金属石鹸が塗布されながら用いられる電子写真用中間転写ベルトであって、画像形成領域の表面は、高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部により囲まれ、複数に分割されており、かつその分割された領域の個々の面積が1000〜30000μmの範囲にあることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
(2)少なくとも潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を表面に窒素元素を含有した中間転写ベルトに転写する中間転写手段と、前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備え、前記中間転写ベルトに亜鉛を含有する金属石鹸を塗布しながら画像形成を行う画像形成装置であって、前記中間転写ベルトが前記(1)に記載の中間転写ベルトであり、画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%から算出される(B/A)×100(%)と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛元素の含有率C atm%と金属石鹸中の水素を除く全元素中の亜鉛元素の割合D atm%から算出される(1−C/D)×100(%)の差が10%以下であることを特徴とする画像形成装置。
(3)前記(B/A)×100(%)が30%以下であることを特徴とする前記(2)に記載の画像形成装置。
(4)前記(1−C/D)×100(%)が30%以下であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の画像形成装置。
(5)前記亜鉛を含有する金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であることを特徴とする前記(5)に記載の画像形成装置。
本発明によれば、金属石鹸の構成や金属石鹸の分解に関わらず、金属石鹸の中間転写ベルト上の被覆状態を把握することができ、亜鉛元素の割合から算出される中間転写ベルト表面に金属石鹸の存在しない領域の割合(1−C/D)×100(%)と、窒素元素の割合から算出される中間転写ベルト表面の露出率(B/A)×100(%)の差を10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下にすることで、前記中間転写ベルト表面にフィルミング物質ではなく金属石鹸だけを塗布し、十分に金属石鹸塗布の効果を得ることができる。
また、本発明によれば、前記(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下にすることで、さらにより金属石鹸塗布の効果を得ることができる。
また、本発明によれば、前記金属石鹸はステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であり、その混合の割合(重量比)を73:27〜45:55にすることにより、中間転写ベルト表面の摩擦係数をより容易に低減化することができる。
さらに、本発明によれば、前記中間転写ベルトの表面に高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部が存在し、画像形成領域において前記線状の凸部で囲まれた領域の個々の面積が1000〜30000μmであることにより、金属石鹸の塗布ムラをなくすことができ、中抜けや濃度むら、色むらのような異常画像をなくすことができる。
さらに、本発明によれば、クリーニングブレードの圧接によるダメージを軽減し、フィルミングを抑制し、電気特性を安定させ、耐摩耗性を向上し、中間転写ベルトを長寿命化でき、感光体や用紙等の転写媒体の表面性状によらず高い転写性能を発現し、中抜けや濃度むら、色むらのような異常画像がない高品質なフルカラー画像を提供するフルカラー電子写真装置とすることができる。
本発明に係る電子写真装置のベルト構成部に用いられるシームレスベルトと装置を説明するための要部模式図である。 本発明に係る電子写真装置のベルト構成部に配備される1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている一構成例を示す要部模式図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[中間転写ベルト]
本発明で用いる電子写真用シームレスベルトに用いる樹脂として、クリープ変形性や耐久性の点でポリイミド樹脂を用いた。ポリイミド樹脂は、熱可塑性タイプ、溶剤可溶タイプ、熱硬化タイプのいずれも使用可能であるが、種々の材料を配合させる必要性、特に電気抵抗を調整するための抵抗調整剤を配合させるために、有機極性溶媒を用いたポリイミド前駆体を含む溶液(ポリイミドワニス)を塗布し、熱硬化させて成形する熱硬化タイプのものが好適である。
中間転写ベルト表面の露出率は30%以下であり、また画像形成時に中間転写ベルト表面に付着される亜鉛元素含有率は1.7 atm%以上であることが好ましい。
ここにいう「亜鉛元素含有率」とは中間転写ベルト表面の金属石鹸の被覆率を意味するものである。亜鉛元素含有率が1.7 atm%未満であると中間転写ベルト表面の露出率が30%以下であっても、表面付着物が金属石鹸以外の物質である可能性があり、金属石鹸が十分に表面に塗布されている確認が得られない。
中間転写ベルト表面の露出率30%以下かつ亜鉛元素含有率1.7 atm%以上を確保するためには、中間転写ベルト表面を適度に荒らすことが非常に有効である。その方法としては研磨剤、研磨機、ブラスト加工、荒れた金型に押し付ける、乾燥の条件を変える等の機械的処理、エッチング、電子線処理等の化学的処理、フィラーを入れる、スプレーで荒れた表層を作製する、溶出する溶剤を入れて後から抽出する等の処方を変えるなどの方法が考えられる。
その中でも最適な方法として、中間転写ベルト上に線状の凸部を作製する方法がある。中間転写ベルト上に凸部があると、その凸部の周辺で金属石鹸の供給が促進される。しかし、凸部の幅が広い(5μmより以上)と、潤滑剤の供給が促進される場所が限定され、金属石鹸の供給量にムラが発生してしまう。凸部はその幅が0.5〜5μmでかつ線状であると、金属石鹸を効率良く、ムラなく中間転写ベルトへ供給できる。
中間転写ベルト上に線状の凸部を作製する方法以下について説明する。
<線状の凸部の作製>
中間転写ベルト上に凸部を作製するには、ポリイミド樹脂を熱硬化させて成形する際に凸部を作製する方法、成形後の中間転写ベルト表面に作製する方法がある。
ポリイミド樹脂を熱硬化させて成形する際に凸部を作製する場合、一般的な製膜方法である支持体に製膜する方法であれば、支持体の表面に線状の凹部を作製することにより線状の凸部を作製することができる。製膜方法としては、遠心成形、ロールコート、ブレードコート、リングコート、ディッピング、スプレーコート、ディスペンサーコート、ダイコートなどがあり、ポリイミドのシームレスベルトの製膜方法としては、遠心成形法がよく用いられる。遠心成形用の型内面に凹部を作製し、その凹部で囲まれた面積が1000〜30000μmになるように調整することで、中間転写ベルト表面の線状の凸部で囲まれた面積を制御することができる。
前記成型用の型の凹部を作製する方法としては、切削加工,研削加工,電気加工、スパッタリング、ドライエッチング、ケミカルエッチングなどがある。本発明ではケミカルエッチングで凹部を作製した。切削加工,研削加工,電気加工、スパッタリング、ドライエッチングによる微細加工は非常に高価であること、ケミカルエッチングは外周円上の均一な加工も可能で費用も安価であることから選択した。
本発明では実施していないが、ポリイミド樹脂成形後の中間転写ベルト表面に凸部を作製する場合、作製する方法としては、ポリイミド樹脂の熱可塑性を利用して加熱しながら凹部のある物を押し当てる方法、切削加工,研削加工,電気加工などがある。
前記線状の凸部の形状は直線状であっても良いが、緩い曲線と短い直線の組み合わせでもよい。ここにいう緩い曲線と短い直線の組み合わせの具体例としては、鱗模様や瓦の様な形状等の形態が挙げられる。
線状の凸部は、格子状、ハニカム状、鱗模様、瓦の様な模様などさまざまな形状が考えられるが、ハニカム状、鱗模様、瓦の様な模様のように、中間転写ベルトの周方向に対して斜め方向の成分を多数設けている方が、フィルミングの発生を抑制することができ好ましい。
以上の形状は単一の形状が規則正しく配置されていてもよいし、複数の形状が混在していてもよいし、一つ一つの形状が異なっていてもよい。
前記線状の凸部は高さ0.01〜1μm、幅0.5〜5μm、より好ましくは高さ0.02〜0.1μm、幅1〜2μmである。前記凸部で囲まれた個々の面積(前記凸部で囲まれた個々のベルト面積)は1000〜30000μm、より好ましくは3000〜15000μmである。
前記線状の凸部は場所に依らず同じ高さが望ましいが、場所により高さが異なったり、一部がわずかに欠落していても、本発明の効果はほぼ維持されており、欠落部も凸部があるものとみなし、面積を算出している。
凸部の高さが0.01μm未満では、金属石鹸に主に使用されているステアリン酸亜鉛の分子長が0.01μm程度であるため、金属石鹸分子そのものに比べても高さが低すぎるため、平坦な場合と変わらず金属石鹸を効率良く供給することができない。凸部の高さが1μmより以上では、凸部自体が中間転写ベルト表面の異物となり異常画像の原因となる。高さが0.02〜0.1μmでは特に凸部の効果が十分に得られ、異物として異常画像の原因になる可能性もない。
凸部の幅が0.5μm未満では、凸部の形状が細くなり過ぎるため凸部自身が脆くなってしまい、凸部が折れて異常画像の原因となる可能性がある。凸部の幅が5μmより以上では、形状がなだらか過ぎるため平坦な場合と変わらず、金属石鹸を効率良く供給することができない。凸部の幅が1〜2μmでは特に凸部の耐久性が良く、凸部の効果が十分に得られる。
凸部で囲まれた面積が1000μm未満では、金属石鹸の供給量が多すぎることにより、中間転写ベルトの表面光沢度が落ち、中間転写ベルト上に形成された画像の濃度を計測し、画像形成条件を調整する、いわゆるプロセスコントロールに影響を及ぼすことや、金属石鹸自体が異物として異常画像の原因になる可能性がある。凸部で囲まれた面積が30000μmより以上では中間転写ベルトの線速が早い状況で金属石鹸の供給量が少なすぎることにより、金属石鹸の塗布ムラが発生し、異常画像の原因となる。
凸部の高さ、幅、凸部で囲まれた面積は一定の方が良いが、前期の範囲内であれば十分な凸部の効果が得られる。凸部の形状はレーザ顕微鏡、光干渉顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)、走査電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
また、凸部で囲まれた面積は走査電子顕微鏡の写真から求めた。写真中に表記されているスケールを基準に、400×400μmの領域を囲み、領域中の凸部で囲まれた領域の個々の面積を計測した。その計測した面積の平均を算出することにより、凸部で囲まれた面積を求めた。
凸部で囲まれた面積を算出する時に計測する領域は、凸部の密度や形状によって選択されるものであるが、好ましくは200×200〜600×600μmである。計測する領域が200×200μm以下では凸部の局所的なムラが大きく影響し、信用のある数値とは言えない。計測する領域が600×600μm以上では視野が広すぎるため、凸部で囲まれた領域の個々の面積を計測するのが困難になり、時間もかかりすぎる。
次に、本発明における塗工液の組成分であるポリイミド前駆体および当該前駆体の加熱処理(イミド化)により生成するポリイミドについて詳しく説明する。
<ポリイミド>
本発明に用いられるポリイミドは、まず一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行なわれ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとする。反応の概略を下記化学反応式(I)に示す。
Figure 0005326936
(式中、Arは少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Arは少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。)
上記芳香族多価カルボン酸無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。また、エチレンテトラカルボン酸二無水物やシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物のような他の(非芳香族系の)多価カルボン酸無水物を、本発明の目的を損なわない範囲(50モル%未満の範囲)で、併用することができる。
次に、芳香族多価カルボン酸無水物と反応させる芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
上記多価カルボン酸無水物成分とジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることができる。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
なお、ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、あるいはスラリー状に拡散させる。この溶液に、前記した少なくとも1種の多価カルボン酸無水物あるいは、その誘導体を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、まず前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させておき、この溶液中に前記ジアミンを添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
上記のようにして、前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と、前記ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
また、熱可塑性タイプとしては、オーラム(三井化学社製)、ベスペル(デュポン社製)などがある。また、溶剤可溶タイプとしては、リカコート(新日本理化社製)、ブロック共重合ポリイミド(ピーアイ技研社製)、GPI(群栄化学工業社製)等がある。これらは、本発明の目的を損なわない範囲の副成分樹脂として、熱硬化性タイプの材料に添加混合して用いることができる。
合成あるいは入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じた配合物を配合して塗工液が調製される。塗工液は支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行なわれる。
ポリアミック酸からポリイミドへ転化させる方法は、加熱のみの方法(1)、または化学的方法(2)によってイミド化することができる。加熱のみの方法(1)は、ポリアミック酸を200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱のみの方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
しかしながら最近では、(2)の方法の一種であるが、イミダゾールやキノリンなどのアミン類を触媒としてワニスに含有させることによって乾燥時におけるイミド化を促進させる方法がとられることも多い。ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが必要であるが、これによると、より低温でイミド化が促進され、機械的耐久性も向上するといわれている。しかし、これらの触媒は極少量であり、乾燥中に分解・昇華するものもあるが、不純物として残留するものもあり好ましくない。
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行なわれているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)では、イミド化率を、例えば、次のように定義する。すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表わされる。
イミド化率=[(A)/(B)]×100
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
本発明の塗布液では、上記ポリイミドに他の樹脂を併用してもよい。また、中間転写ベルトとしての必要な機能を付与するための種種の材料を配合する。
配合する材料としては、例えば抵抗調整剤、補強材、レベリング剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等を配合することができる。この中でも特に抵抗調整剤は重要である。
次に、抵抗調整材について説明する。抵抗調整材は、中間転写ベルトを所定の抵抗値に調整する必要上、添加が欠かせない。
抵抗制御剤としては、ポリイミドの抵抗値を調整しうるものなら適用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、あるいは、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などの充填材やポリエーテルアミドやポリエーテルエステルアミド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどのような導電性高分子材料、また、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどのようなイオン導電性材料を用いてもよい。また、これらを併用することも可能である。なお、本発明における抵抗制御剤は、これらの例示化合物に限定されるものではない。
本発明の中間転写ベルトにおいては、上記抵抗制御剤のうち、カーボンブラックが好ましく用いられる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッキェンブラック、チャネルブラック、などのものが使用できるが、これらの表面を酸化処理した酸化処理カーボンブラックが好ましい。
また、必要に応じて分散助剤を用いてもよい。さらには、カーボンブラックの表面官能基と、その官能基と反応性を有する有機化合物とを反応させて表面処理したものでもよい。
次に、前記ポリイミド前駆体を含む塗工液を用いてシームレスベルトを製造する方法について説明する。例えば、以下のような工程にて作製する。
ポリアミック酸溶液に抵抗調整剤を分散させる分散液作製工程、該工程により得られる分散液を所定の抵抗調整剤の含有量に調整する塗布液作製工程、該工程により作製された塗布液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程、支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する工程、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する工程、形成された薄膜を支持体から離型しシームレスベルトとすることにより製造される。
抵抗調整剤を分散させる工程では、ポリイミド前駆体溶液に直接抵抗調整剤を分散・混合させる方法、またはあらかじめ溶媒に抵抗制御剤を分散させてからポリイミド前駆体溶液と混合させる方法がある。
ここでは、抵抗制御剤としてカーボンブラックを分散させる方法を例として説明する。なお、一例でありこれに限定されるものではない。
N−メチル−2−ピロリドンにカーボンブラックとポリイミド前駆体少量を混合し、ジルコニアビーズを用いて、ボールミルやペイントシェーカー、ビーズミル等にて所定時間分散させる。ある程度の粒径に分散された後、取り出した液を分散液とする。
該分散液にポリイミド前駆体溶液を混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。
また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
次に、上記作製の塗膜を硬化する工程について説明する。
前記中間転写ベルト上の線状の凸部作製方法で述べた通り、遠心成形用の型である金属製の円筒支持体外面上にスッパタリングで凹部を作製した後、型に離型剤を塗布し、所定膜厚のポリアミック酸を含む塗布液を塗布後、熱風乾燥機、IHヒーター、遠赤外線ヒーターなどにより塗膜を乾燥させる。乾燥においては、まず、80〜120℃程度の温度にて10〜60分間乾燥させ、その後、2〜5℃/分程度の昇温速度にて昇温させ、300〜400℃でイミド化焼成を行なう。
本発明で形成する中間転写ベルトの膜厚としては、50〜100μmが好ましい。膜厚が薄すぎると強度が不足し耐久性に劣り、厚すぎると剛性が大きすぎて曲率の小さい駆動ローラにて安定して駆動させるのが困難になる。また、抵抗調整剤としてのカーボンブラックの含有量としては、5〜25wt%が好ましく、体積抵抗値として10〜1010Ωcmとなることが好ましい。カーボンブラックの含有量が少なすぎると抵抗値のばらつきを制御するのが難しく、また多すぎると膜が脆く屈曲性に劣り耐久性に劣る。体積抵抗値は、低くすぎると転写時にトナーが非画像部に散り鮮明性が低下する。一方、高すぎると転写電界がうまく作用せず転写効率上、好ましくない。
次に、本発明で用いる潤滑剤である亜鉛元素含有の金属石鹸について説明する。
[亜鉛元素含有の金属石鹸]
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パルチミン酸亜鉛、以下、ステアリン酸と同様の亜鉛化合物を用いることができる。これらは有機系の固形金属石鹸となりやすく、トナーとの相性も良い。
本発明の金属石鹸はステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物を用いている。一定量のパルミチン酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を混合することで、中間転写ベルトの線速が速くても、中間転写ベルト上へ金属石鹸が引伸ばされ、中間転写ベルトを覆うことができる。
<ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛>
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は、何れも脂肪酸金属塩であるが、脂肪酸部分はステアリン酸は炭素数が18であり、パルミチン酸は炭素数が16である。そのため、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は構造が似ていて、よく相溶し、ほぼ同じ材料としてふるまい、何れも中間転写ベルトを同じように保護することができる。
また、パルミチン酸亜鉛はステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、パルミチン酸亜鉛が一定量以上含有していると、金属石鹸が引伸ばされやすくなるため、中間転写ベルトの線速が速くても、金属石鹸は十分中間転写ベルトを被覆できるものと思われる。
また、感光体の線速が速くなると、中間転写ベルトに降り注ぐ帯電のエネルギー、特にAC帯電のエネルギーはより強くなるため、金属石鹸による中間転写ベルトの保護効果を高めるために、中間転写ベルト上の金属石鹸の厚みを厚くしておく必要がある。
ステアリン酸亜鉛は、中間転写ベルト上にランダムに付着しているのではなく、2分子で付着した状態が安定である。即ち、ステアリン酸亜鉛を中間転写ベルト上に塗布しても、ステアリン酸亜鉛の2分子分の厚みで飽和してしまう。ここにステアリン酸亜鉛に比べ、分子の長さが若干小さいパルミチン酸亜鉛が一定量以上含有すると、分子層の高さは一定ではなくなり、低い部分と高い部分が共存するようになる。すると次の分子が低い部分に入り込み、分子層を形成するようになる。そのため、結果的に2分子よりも厚い金属石鹸層を形成することができ、中間転写ベルトの保護効果が向上するものと思われる。当然、パルミチン酸亜鉛の量が多くなりすぎると、パルミチン酸亜鉛の2分子層が形成されやすくなり、金属石鹸の厚みは厚くはならない。そればかりか、パルミチン酸亜鉛は、ステアリン酸亜鉛よりも分子が小さいため、ステアリン酸亜鉛単独に比べても中間転写ベルトの保護効果は低下する。
本発明の画像形成装置に用いる金属石鹸中のステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の重量比率は、好ましくは73:27〜45:55である。この重量比率の範囲では中間転写ベルトの線速が速い状況でも金属石鹸が中間転写ベルト全体を保護し、金属石鹸の層の厚みが薄くならず、金属石鹸の保護効果が高まる。
本発明の画像形成装置に用いる亜鉛元素を含有する金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛の他に異なる金属石鹸を加えても良い。ただし、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛と構造的に大きく異なる金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛が中間転写ベルト上に形成する金属石鹸層を乱す恐れがあるため好ましくなく、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛と構造が似ている亜鉛元素を含有する金属石鹸(炭素数が13〜20の脂肪酸の亜鉛石鹸)が好ましい。
本発明の画像形成装置においては、上記金属石鹸の粉末を直接中間転写ベルト上に供給しても良いが、金属石鹸をブロック状に加工し、金属石鹸ブロックにブラシ等を擦りつけ、金属石鹸を微粉化して中間転写ベルトに供給する方が、金属石鹸の収納性、金属石鹸塗布手段が簡単で、均一な金属石鹸の供給を図ることができ好ましい。
金属石鹸ブロックは溶融成型により作製する場合は、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を溶融し、混合した後、成型機に溶融した金属石鹸を流し込み、冷却することで金属石鹸ブロックを作製することができる。
作製した金属石鹸ブロックは、金属、合金、プラスチック等の基材に接着剤等で貼り付けて用いられる。
本発明の金属石鹸ブロック中のステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の比率は、用いる材料が確実に分かっていれば、材料の投入量で計算しても良いが、材料には必ず不純物を含有しているため、正確に知るためには製造された金属石鹸ブロック中のステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の比率を製造ロット毎に測定することが好ましい。金属石鹸ブロック中のステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の比率は、金属石鹸ブロックを塩酸−メタノール溶液に溶解し、80℃で加熱することで、ステアリン酸、パルミチン酸をメチル化し、ガスクロマトグラフィーにより、ステアリン酸、パルミチン酸の比率を求め、その比率をステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の比率に換算して求めることができる。
次に、本発明における画像形成後の中間転写ベルト表面露出率の算出方法及び金属石鹸の存在しない領域の割合の算出方法について説明する。
[中間転写ベルト表面露出率の算出]
画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)で測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%とから算出する。XPSで検出できる深さは最表面から数nmであることから、中間転写ベルトの最表面に存在する元素の量を測定することができる。
本発明の画像形成装置において、金属石鹸やフィルミングを生じる物質で窒素元素を含有しているものはほぼなく、窒素元素の減少率が中間転写ベルト表面の露出率の減少率とみなすことができる。そのため、中間転写ベルト表面の露出率は(B/A)×100(%)で算出することができる。この露出率が小さいほど金属石鹸が被覆している可能性が高くなり、30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であることが望ましい。
[中間転写ベルト表面の金属石鹸の存在しない領域の割合の算出]
画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛の含有率C atm%と本発明で用いられる金属石鹸であるステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物の水素を除く全元素に対する亜鉛元素の割合D atm%から、中間転写ベルト表面の金属石鹸の存在しない領域の割合は(1−C/D)×100(%)で算出することができる。この金属石鹸が存在しない割合が小さいほど金属石鹸が被覆している可能性が高くなり、30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であることが望ましい。
前記中間転写ベルト表面露出率(B/A)×100(%)と中間転写ベルト表面の金属石鹸の存在しない領域の割合(1−C/D)×100(%)は中間転写ベルト表面の付着物がフィルミング物質ではなく、金属石鹸のみであれば一致するはずである。これらの二つの値の差が小さいほど中間転写ベルト表面の付着物はフィルミング物質ではなく金属石鹸であるということが言える。これらの二つの値の差は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であることが望ましい。
次に、本発明における電子写真装置に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であってこれに限定されるものではない。
図1の模式図に、ベルト構成部等を装備した電子写真装置の要部概略構成を示す。
図1に示すベルト構成部である中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、金属石鹸塗布手段の金属石鹸塗布部材である金属石鹸塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
この中間転写ベルト(501)は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ(507)、ベルト駆動ローラ(508)、ベルトテンションローラ(509)、2次転写対向ローラ(510),クリーニング対向ローラ(511)、及びフィードバック電流検知ローラ(512)に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ(507)以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ(507)には、定電流または定電圧制御された1次転写電源(801)により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト(501)は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ(508)により、矢印方向に駆動される。このベルト構成部である中間転写ベルト(501)は、通常、半導体、または絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明のシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム(200)上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源(802)によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ(610)は、2次転写バイアスローラ(605)と2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙(P)を送り込む。また、2次転写バイアスローラ(605)には、クリーニング手段であるクリーニングブレード(608)が当接している。該クリーニングブレード(608)は、2次転写バイアスローラ(605)の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム(200)は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、それぞれのカラーに応じ、帯電チャージャ(203)による帯電、露光手段(L)による像露光の後、該感光体ドラム(200)上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行なわれる。中間転写ベルト(501)はベルト駆動ローラ(508)によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト(501)の回転に伴って、1次転写バイアスローラ(507)に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行なわれ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト(501)上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行なわれる。
図1において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像機(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム(200)上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム(200)と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト(501)のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム(200)の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム(200)の再使用に備えて、感光体クリーニング装置(201)で清掃される。この感光体ドラム(200)側では、Bk画像形成工程の次にY画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるY画像データの読み取りが始まり、そのY画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム(200)の表面にY静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つ静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット(230)の回転動作が行なわれ、Y現像機(231Y)が現像位置にセットされ、Y静電潜像がYトナーで現像される。以後、Y静電潜像領域の現像を続けるが、Y静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機(231K)の場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行ない、次のC現像機(231C)を現像位置に移動させる。これもやはり次のC静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、C及びMの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Yの工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体ドラム(200)上に順次形成されたBk、Y,C、Mのトナー像は、中間転写ベルト(501)上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト(501)上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙(P)が転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ(610)のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙(P)の先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行なわれる。
この転写紙(P)は、転写紙ガイド板(601)に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ(606)との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置(210)により定着装置(270)に向けて送られる(図1参照)。そして、この転写紙(P)は、定着装置(270)の定着ローラ(271)、(272)のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置(270)は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム(200)の表面は、感光体クリーニング装置(201)でクリーニングされ、上記除電ランプ(202)で均一に除電される。また、転写紙(P)にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード(504)によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード(504)は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
このベルトクリーニングブレード(504)の上記中間転写ベルト(501)の移動方向上流側には、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材(503)が設けられている。このトナーシール部材(503)は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード(504)から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙(P)の搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材(503)は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード(504)とともに、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト(501)のベルト外周面には、上記金属石鹸塗布ブラシ(505)により削り取られた金属石鹸(506)が塗布される。該金属石鹸(506)は、該金属石鹸塗布ブラシ(505)に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記金属石鹸塗布ブラシ(505)及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム(200)への画像形成は、1枚目の4色目(M)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト(501)は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード(504)でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行なうことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット(230)の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード(504)を中間転写ベルト(501)に接触させたままの状態にしてコピー動作を行なう。
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図2に示すような複数の感光体ドラムを一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図2は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK),(21Y),(21M),(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図2において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に坦持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング装置(25)の下流側には、金属石鹸塗布装置が配設されている。この金属石鹸塗布装置は、固形金属石鹸(30)と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形金属石鹸を塗布する導電性ブラシ(31)とで構成されている。該導電性ブラシ(31)は、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形金属石鹸(30)を塗布している。
なお、本発明におけるシームレスベルトは、上述したような中間転写ベルト(501)または(22)を装備した中間転写ベルト方式の画像形成装置に好適に適用できる他、該中間転写ベルト(501)または(22)の代りに転写搬送ベルトを装備した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。さらに、転写搬送ベルト方式の画像形成装置の場合においても、前記1感光体ドラム方式あるいは4感光体ドラム方式の何れにも適用可能である。
また、中間転写ベルトの線速は何でも良いが、望ましくは200mm/sec以上が良い。中間転写ベルトの線速が450mm/sec以上では、本発明の形態でないと金属石鹸の塗布ムラが発生する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
〔実施例1〕
[中間転写ベルトAの作製]
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、カーボン分散液を作製した。
<分散液構成材料>
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 2重量部
・カーボンブラックSpecialblack4A(デグサ社製) 8重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学社製) 90重量部
<基層用塗布液構成材料>
上記分散液を用いて、下記の構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
・上記カーボンブラック分散液 50重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 50重量部
・ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング社製)0.01重量部
<シームレスベルトの作製>
次に、離型剤を施した内径100mm、長さ300mmのドラム状金属筒を型として用い、50rpm(回/分)で金属筒を回転させながら、上記塗工液を金属筒の内面に均一に流し込んで塗布した。ドラム状金属筒の内面にはケミカルエッチングによりハニカム状の深さ0.01μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整した。
塗布量としては最終的な膜厚が70μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度2℃/分で310℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した。
これにより表面上にハニカム状の高さ0.01μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトAを得た。
[金属石鹸Aの作製]
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(ともに一次粒径:0.18μm)を下記に示す割合になるように秤量し、145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した金属石鹸を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×(長さ)350mmの金属石鹸ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを金属石鹸用の基材に接着剤で貼り付けて、金属石鹸Aを得た。
<金属石鹸構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 45重量部
・パルミチン酸亜鉛 55重量部
〔実施例2〕
[中間転写ベルトBの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトBを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.02μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.02μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトBを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例3〕
[中間転写ベルトCの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトCを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm 、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm 、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトCを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例4〕
[中間転写ベルトDの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトDを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトDを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例5〕
[中間転写ベルトEの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトEを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトEを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例6〕
[中間転写ベルトFの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAのカーボンブラック分散液を用いて、下記の構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
<基層用塗布液構成材料>
・上記カーボンブラック分散液 45重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 55重量部
・ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング社製)0.01重量部
<シームレスベルトの作製>
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトFを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅2μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅2μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトFを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例7〕
[中間転写ベルトGの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトGを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトGを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例8〕
[中間転写ベルトHの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトHを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μmである中間転写ベルトHを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例9〕
[中間転写ベルトIの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトIを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が15000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が15000μmである中間転写ベルトIを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例10〕
[中間転写ベルトJの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトJを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が30000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が30000μmである中間転写ベルトJを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔実施例11〕
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[金属石鹸Bの作製]
実施例1に記載の金属石鹸Aと、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の割合以外は同様に作製する。ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合にして、金属石鹸Bを得た。
<金属石鹸構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 72.5重量部
・パルミチン酸亜鉛 27.5重量部
〔実施例12〕
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Cの作製]
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合に変えた以外は、実施例1に記載の潤滑剤Aの作製と同様にして、潤滑剤Cを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 70重量部
・パルミチン酸亜鉛 30重量部
〔実施例13〕
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Dの作製]
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合に変えた以外は、実施例1に記載の潤滑剤Aの作製と同様にして、潤滑剤Dを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 40重量部
・パルミチン酸亜鉛 60重量部
〔比較例1〕
[中間転写ベルトKの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトKを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.005μm、幅1μm の線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.005μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトKを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例2〕
[中間転写ベルトLの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトLを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ1.5μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ1.5μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトLを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例3〕
[中間転写ベルトMの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトMを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトMを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例4〕
[中間転写ベルトNの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトNの作製を作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅6μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅6μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μmである中間転写ベルトNを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例5〕
[中間転写ベルトOの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトOを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が900μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が900μmである中間転写ベルトOを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例6〕
[中間転写ベルトPの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトPを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が35000μmになるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が35000μmである中間転写ベルトPを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
〔比較例7〕
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[金属石鹸Eの作製]
ステアリン酸亜鉛(一次粒径:0.18μm)を145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した金属石鹸を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×(長さ)350mmの金属石鹸ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを金属石鹸用の基材に接着剤で貼り付けて、金属石鹸Eを得た。
実施例に記載の中間転写ベルトA〜Pの表面をXPSで測定し、窒素元素の含有率を得た。その後、各中間転写ベルトと金属石鹸A〜Cを実施例及び比較例の組み合わせで図2に記載の画像形成装置に装備し、画像濃度が7%のテストチャートを、23℃、45%RHの環境で1000枚画像形成した。用紙はTYPE6200(リコー社製)を用いた。画像形成の線速は250mm/秒とした。その後、各中間転写ベルトの表面をXPSで測定し窒素元素及び亜鉛元素含有率を得た。窒素元素含有減少率から各中間転写ベルト表面の露出率を算出した。また、同時に前記条件で出力された各画を評価した。
次に、上記の評価で異常画像が見られなかった実施例及び比較例について、画像形成の線速を450mm/秒に上げて、画像濃度が7%のテストチャートを、23℃、45%RHの環境で5枚ずつ、合計30000枚画像形成し、出力された各画を評価した。
以上の評価結果を表1に示す。表中の出力画像評価の基準は◎が全てにおいて異常画像が見られず高品質な画像が得られたものを示している。○が画像形成の線速は250mm/秒では異常画像はなかったが、線速を450mm/秒に上げた際、許容範囲ではあるが拡大鏡で見るとわずかにドットが流れている箇所が存在したものを示している。×は許容範囲を超えて異常画像が見られたものを示している。
Figure 0005326936
以上の結果から、画像形成1000枚後の中間転写ベルト表面の露出率(B/A)×100(%)が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下で、中間転写ベルト表面の金属石鹸の存在しない割合(1−C/D)が30%以下好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下で、この二つの値の差が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であると、中間転写ベルト表面に金属石鹸が適量均一に塗布されており、フルミング物質もなく、異常画像もなく、高品質なフルカラー画像が得られることが分かった。この形態を実現するには、中間転写ベルト表面に線状の凸部が高さ0.01〜1μm、幅0.5〜5μm、より好ましくは高さ0.02〜0.1μm、幅1〜2μmで存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000〜30000μm、より好ましくは3000〜15000μmで、同時に金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物で、より好ましくは混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であると良いことが分かった。
本発明により、電気特性が安定し、耐摩耗性に優れ、中抜けや濃度むら、色むらのような異常画像がなく、高品質なフルカラー画像を提供する長寿命なフルカラー電子写真装置の中間転写ベルトを提供することが可能となった。
(図1について)
P 転写紙
L 露光手段
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 トナー画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271 定着ローラ
272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 金属石鹸塗布ブラシ
506 金属石鹸
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図2について)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK 現像装置
20M 現像装置
20Y 現像装置
20C 現像装置
21BK 感光体
21M 感光体
21Y 感光体
21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK 1次転写バイアスローラ
23M 1次転写バイアスローラ
23Y 1次転写バイアスローラ
23C 1次転写バイアスローラ
24 ベルト駆動ローラ
25 ベルトクリーニング装置
26 ベルト従動ローラ
27 除電手段
28 光学センサ
30 金属石鹸
31 金属石鹸塗布ブラシ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 バイアスローラ
特開平8−95455号公報 特許第3753909号公報 特開2005−316231号公報 特開2004−361694号公報

Claims (6)

  1. 窒素元素を表面に有し、かつ画像形成時に亜鉛を含有する金属石鹸が塗布されながら用いられる電子写真用中間転写ベルトであって、
    画像形成領域の表面は、高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部により囲まれ、複数に分割されており、かつその分割された領域の個々の面積が1000〜30000μmの範囲にあることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
  2. 少なくとも潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を表面に窒素元素を含有した中間転写ベルトに転写する中間転写手段と、前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備え、前記中間転写ベルトに亜鉛を含有する金属石鹸を塗布しながら画像形成を行う画像形成装置であって、
    前記中間転写ベルトが請求項1に記載の中間転写ベルトであり、画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%から算出される(B/A)×100(%)と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛元素の含有率C atm%と金属石鹸中の水素を除く全元素中の亜鉛元素の割合D atm%から算出される(1−C/D)×100(%)の差が10%以下であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記(B/A)×100(%)が30%以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記(1−C/D)×100(%)が30%以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
  5. 前記亜鉛を含有する金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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