JP5326936B2 - 電子写真用中間転写ベルト及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
その中でも、フルカラー電子写真装置において、感光体上に形成された4色の、あるいはそれ以上のトナー画像を、一旦電子写真用中間転写ベルト(以降、「中間転写ベルト」ということがある)に転写することにより、中間転写ベルト上に未定着フルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写媒体に一括転写する方式における中間転写ベルトがある。
この残留トナーの除去には、クリーニングブレードのブレードエッジを中間転写ベルトの表面に押圧して、残留トナーを「擦り取る」のが最も有効である。
しかし、中間転写ベルトには、トナー画像の転写に必要な電気的特性が与えられているが、長期にわたる画像形成を繰り返していくと、クリーニングブレードの圧接により、このような電気特性が損なわれ、中間転写ベルトの寿命を短命化する問題がある。その結果、クリーニング不良による異常画像が発生する。
金属石鹸としてステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物を用いる場合、上記の亜鉛元素の割合D atm%の理論値2.44は使えなくなり、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物中の亜鉛の割合を用いる必要がある。
本発明の画像形成装置において、現像剤やフィルミング物質の中で窒素元素を主成分として含有する物はなく、中間転写ベルト表面の窒素元素の減少は表面の付着物に起因している。そのため、画像形成前の中間転写ベルト表面の窒素元素含有率A atm%と画像形成後の中間転写ベルト表面の窒素元素含有率B atm%から中間転写ベルト表面の露出率を(B/A)×100(%)で算出することができる。
上記の亜鉛元素の割合から算出される中間転写ベルト表面に金属石鹸の存在しない領域の割合(1−C/D)×100(%)と、窒素元素の割合から算出される中間転写ベルト表面の露出率(B/A)×100(%)の差が小さいほど、前記中間転写ベルト表面の付着物はフィルミング物質ではなく金属石鹸であると言える。
また、(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)は算出方法が異なるが、金属石鹸が被覆していない領域の割合(露出率)を示すもので、この値が小さいほど金属石鹸が被覆している割合が多いことになる。本発明者らは、これら2つの値が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であれば、さらに金属石鹸の塗布の効果が得られることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
(1)窒素元素を表面に有し、かつ画像形成時に亜鉛を含有する金属石鹸が塗布されながら用いられる電子写真用中間転写ベルトであって、画像形成領域の表面は、高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部により囲まれ、複数に分割されており、かつその分割された領域の個々の面積が1000〜30000μm2の範囲にあることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
(2)少なくとも潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を表面に窒素元素を含有した中間転写ベルトに転写する中間転写手段と、前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備え、前記中間転写ベルトに亜鉛を含有する金属石鹸を塗布しながら画像形成を行う画像形成装置であって、前記中間転写ベルトが前記(1)に記載の中間転写ベルトであり、画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%から算出される(B/A)×100(%)と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛元素の含有率C atm%と金属石鹸中の水素を除く全元素中の亜鉛元素の割合D atm%から算出される(1−C/D)×100(%)の差が10%以下であることを特徴とする画像形成装置。
(3)前記(B/A)×100(%)が30%以下であることを特徴とする前記(2)に記載の画像形成装置。
(4)前記(1−C/D)×100(%)が30%以下であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の画像形成装置。
(5)前記亜鉛を含有する金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であることを特徴とする前記(5)に記載の画像形成装置。
また、本発明によれば、前記(1−C/D)×100(%)と(B/A)×100(%)が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下にすることで、さらにより金属石鹸塗布の効果を得ることができる。
本発明で用いる電子写真用シームレスベルトに用いる樹脂として、クリープ変形性や耐久性の点でポリイミド樹脂を用いた。ポリイミド樹脂は、熱可塑性タイプ、溶剤可溶タイプ、熱硬化タイプのいずれも使用可能であるが、種々の材料を配合させる必要性、特に電気抵抗を調整するための抵抗調整剤を配合させるために、有機極性溶媒を用いたポリイミド前駆体を含む溶液(ポリイミドワニス)を塗布し、熱硬化させて成形する熱硬化タイプのものが好適である。
ここにいう「亜鉛元素含有率」とは中間転写ベルト表面の金属石鹸の被覆率を意味するものである。亜鉛元素含有率が1.7 atm%未満であると中間転写ベルト表面の露出率が30%以下であっても、表面付着物が金属石鹸以外の物質である可能性があり、金属石鹸が十分に表面に塗布されている確認が得られない。
中間転写ベルト上に線状の凸部を作製する方法以下について説明する。
中間転写ベルト上に凸部を作製するには、ポリイミド樹脂を熱硬化させて成形する際に凸部を作製する方法、成形後の中間転写ベルト表面に作製する方法がある。
線状の凸部は、格子状、ハニカム状、鱗模様、瓦の様な模様などさまざまな形状が考えられるが、ハニカム状、鱗模様、瓦の様な模様のように、中間転写ベルトの周方向に対して斜め方向の成分を多数設けている方が、フィルミングの発生を抑制することができ好ましい。
以上の形状は単一の形状が規則正しく配置されていてもよいし、複数の形状が混在していてもよいし、一つ一つの形状が異なっていてもよい。
前記線状の凸部は場所に依らず同じ高さが望ましいが、場所により高さが異なったり、一部がわずかに欠落していても、本発明の効果はほぼ維持されており、欠落部も凸部があるものとみなし、面積を算出している。
また、凸部で囲まれた面積は走査電子顕微鏡の写真から求めた。写真中に表記されているスケールを基準に、400×400μmの領域を囲み、領域中の凸部で囲まれた領域の個々の面積を計測した。その計測した面積の平均を算出することにより、凸部で囲まれた面積を求めた。
凸部で囲まれた面積を算出する時に計測する領域は、凸部の密度や形状によって選択されるものであるが、好ましくは200×200〜600×600μmである。計測する領域が200×200μm以下では凸部の局所的なムラが大きく影響し、信用のある数値とは言えない。計測する領域が600×600μm以上では視野が広すぎるため、凸部で囲まれた領域の個々の面積を計測するのが困難になり、時間もかかりすぎる。
本発明に用いられるポリイミドは、まず一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行なわれ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとする。反応の概略を下記化学反応式(I)に示す。
なお、ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
イミド化率=[(A)/(B)]×100
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
配合する材料としては、例えば抵抗調整剤、補強材、レベリング剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等を配合することができる。この中でも特に抵抗調整剤は重要である。
抵抗制御剤としては、ポリイミドの抵抗値を調整しうるものなら適用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、あるいは、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などの充填材やポリエーテルアミドやポリエーテルエステルアミド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどのような導電性高分子材料、また、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどのようなイオン導電性材料を用いてもよい。また、これらを併用することも可能である。なお、本発明における抵抗制御剤は、これらの例示化合物に限定されるものではない。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッキェンブラック、チャネルブラック、などのものが使用できるが、これらの表面を酸化処理した酸化処理カーボンブラックが好ましい。
ポリアミック酸溶液に抵抗調整剤を分散させる分散液作製工程、該工程により得られる分散液を所定の抵抗調整剤の含有量に調整する塗布液作製工程、該工程により作製された塗布液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程、支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する工程、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する工程、形成された薄膜を支持体から離型しシームレスベルトとすることにより製造される。
ここでは、抵抗制御剤としてカーボンブラックを分散させる方法を例として説明する。なお、一例でありこれに限定されるものではない。
該分散液にポリイミド前駆体溶液を混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。
また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
前記中間転写ベルト上の線状の凸部作製方法で述べた通り、遠心成形用の型である金属製の円筒支持体外面上にスッパタリングで凹部を作製した後、型に離型剤を塗布し、所定膜厚のポリアミック酸を含む塗布液を塗布後、熱風乾燥機、IHヒーター、遠赤外線ヒーターなどにより塗膜を乾燥させる。乾燥においては、まず、80〜120℃程度の温度にて10〜60分間乾燥させ、その後、2〜5℃/分程度の昇温速度にて昇温させ、300〜400℃でイミド化焼成を行なう。
[亜鉛元素含有の金属石鹸]
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パルチミン酸亜鉛、以下、ステアリン酸と同様の亜鉛化合物を用いることができる。これらは有機系の固形金属石鹸となりやすく、トナーとの相性も良い。
本発明の金属石鹸はステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物を用いている。一定量のパルミチン酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を混合することで、中間転写ベルトの線速が速くても、中間転写ベルト上へ金属石鹸が引伸ばされ、中間転写ベルトを覆うことができる。
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は、何れも脂肪酸金属塩であるが、脂肪酸部分はステアリン酸は炭素数が18であり、パルミチン酸は炭素数が16である。そのため、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は構造が似ていて、よく相溶し、ほぼ同じ材料としてふるまい、何れも中間転写ベルトを同じように保護することができる。
また、パルミチン酸亜鉛はステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、パルミチン酸亜鉛が一定量以上含有していると、金属石鹸が引伸ばされやすくなるため、中間転写ベルトの線速が速くても、金属石鹸は十分中間転写ベルトを被覆できるものと思われる。
作製した金属石鹸ブロックは、金属、合金、プラスチック等の基材に接着剤等で貼り付けて用いられる。
画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光法)で測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%とから算出する。XPSで検出できる深さは最表面から数nmであることから、中間転写ベルトの最表面に存在する元素の量を測定することができる。
本発明の画像形成装置において、金属石鹸やフィルミングを生じる物質で窒素元素を含有しているものはほぼなく、窒素元素の減少率が中間転写ベルト表面の露出率の減少率とみなすことができる。そのため、中間転写ベルト表面の露出率は(B/A)×100(%)で算出することができる。この露出率が小さいほど金属石鹸が被覆している可能性が高くなり、30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であることが望ましい。
画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛の含有率C atm%と本発明で用いられる金属石鹸であるステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物の水素を除く全元素に対する亜鉛元素の割合D atm%から、中間転写ベルト表面の金属石鹸の存在しない領域の割合は(1−C/D)×100(%)で算出することができる。この金属石鹸が存在しない割合が小さいほど金属石鹸が被覆している可能性が高くなり、30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であることが望ましい。
図1に示すベルト構成部である中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、金属石鹸塗布手段の金属石鹸塗布部材である金属石鹸塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
図1において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像機(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
図2は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK),(21Y),(21M),(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
[中間転写ベルトAの作製]
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、カーボン分散液を作製した。
<分散液構成材料>
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 2重量部
・カーボンブラックSpecialblack4A(デグサ社製) 8重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学社製) 90重量部
上記分散液を用いて、下記の構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
・上記カーボンブラック分散液 50重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 50重量部
・ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング社製)0.01重量部
次に、離型剤を施した内径100mm、長さ300mmのドラム状金属筒を型として用い、50rpm(回/分)で金属筒を回転させながら、上記塗工液を金属筒の内面に均一に流し込んで塗布した。ドラム状金属筒の内面にはケミカルエッチングによりハニカム状の深さ0.01μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整した。
塗布量としては最終的な膜厚が70μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度2℃/分で310℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した。
これにより表面上にハニカム状の高さ0.01μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトAを得た。
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(ともに一次粒径:0.18μm)を下記に示す割合になるように秤量し、145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した金属石鹸を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×(長さ)350mmの金属石鹸ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを金属石鹸用の基材に接着剤で貼り付けて、金属石鹸Aを得た。
<金属石鹸構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 45重量部
・パルミチン酸亜鉛 55重量部
[中間転写ベルトBの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトBを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.02μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.02μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトBを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトCの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトCを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm 、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm 、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトCを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトDの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトDを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトDを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトEの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトEを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトEを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトFの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAのカーボンブラック分散液を用いて、下記の構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
<基層用塗布液構成材料>
・上記カーボンブラック分散液 45重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産社製、固形分18wt%) 55重量部
・ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング社製)0.01重量部
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトFを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅2μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅2μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトFを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトGの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトGを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトGを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトHの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトHを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトHを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトIの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトIを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が15000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が15000μm2である中間転写ベルトIを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトJの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例6に記載の中間転写ベルトFと同様の方法で、中間転写ベルトJを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が30000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が30000μm2である中間転写ベルトJを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[金属石鹸Bの作製]
実施例1に記載の金属石鹸Aと、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の割合以外は同様に作製する。ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合にして、金属石鹸Bを得た。
<金属石鹸構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 72.5重量部
・パルミチン酸亜鉛 27.5重量部
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Cの作製]
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合に変えた以外は、実施例1に記載の潤滑剤Aの作製と同様にして、潤滑剤Cを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 70重量部
・パルミチン酸亜鉛 30重量部
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Dの作製]
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合に変えた以外は、実施例1に記載の潤滑剤Aの作製と同様にして、潤滑剤Dを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 40重量部
・パルミチン酸亜鉛 60重量部
[中間転写ベルトKの作製]
表面上の凸部の形状以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトKを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.005μm、幅1μm の線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.005μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトKを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトLの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトLを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ1.5μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ1.5μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトLを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトMの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトMを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトMを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトNの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトNの作製を作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅6μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅6μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトNを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトOの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトOを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が900μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が900μm2である中間転写ベルトOを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
[中間転写ベルトPの作製]
表面上の凸部の形状が異なる以外は実施例1に記載の中間転写ベルトAと同様の方法で、中間転写ベルトPを作製した。即ち、成型型内面にハニカム状の深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が35000μm2になるように調整し、表面上にハニカム状の高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が35000μm2である中間転写ベルトPを得た。
また、金属石鹸には実施例1に記載の金属石鹸Aを用いた。
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[金属石鹸Eの作製]
ステアリン酸亜鉛(一次粒径:0.18μm)を145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した金属石鹸を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×(長さ)350mmの金属石鹸ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを金属石鹸用の基材に接着剤で貼り付けて、金属石鹸Eを得た。
次に、上記の評価で異常画像が見られなかった実施例及び比較例について、画像形成の線速を450mm/秒に上げて、画像濃度が7%のテストチャートを、23℃、45%RHの環境で5枚ずつ、合計30000枚画像形成し、出力された各画を評価した。
P 転写紙
L 露光手段
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 トナー画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271 定着ローラ
272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 金属石鹸塗布ブラシ
506 金属石鹸
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図2について)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK 現像装置
20M 現像装置
20Y 現像装置
20C 現像装置
21BK 感光体
21M 感光体
21Y 感光体
21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK 1次転写バイアスローラ
23M 1次転写バイアスローラ
23Y 1次転写バイアスローラ
23C 1次転写バイアスローラ
24 ベルト駆動ローラ
25 ベルトクリーニング装置
26 ベルト従動ローラ
27 除電手段
28 光学センサ
30 金属石鹸
31 金属石鹸塗布ブラシ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 バイアスローラ
Claims (6)
- 窒素元素を表面に有し、かつ画像形成時に亜鉛を含有する金属石鹸が塗布されながら用いられる電子写真用中間転写ベルトであって、
画像形成領域の表面は、高さ0.01μm以上1μm以下、幅0.5μm以上5μm以下の線状の凸部により囲まれ、複数に分割されており、かつその分割された領域の個々の面積が1000〜30000μm2の範囲にあることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。 - 少なくとも潜像担持体と、前記潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記現像されたトナー像を表面に窒素元素を含有した中間転写ベルトに転写する中間転写手段と、前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写して未定着画像を形成する転写手段と、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備え、前記中間転写ベルトに亜鉛を含有する金属石鹸を塗布しながら画像形成を行う画像形成装置であって、
前記中間転写ベルトが請求項1に記載の中間転写ベルトであり、画像形成前の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率A atm%と画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた窒素元素の含有率B atm%から算出される(B/A)×100(%)と、画像形成1000枚後の前記中間転写ベルト表面をXPSで測定して得られた亜鉛元素の含有率C atm%と金属石鹸中の水素を除く全元素中の亜鉛元素の割合D atm%から算出される(1−C/D)×100(%)の差が10%以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記(B/A)×100(%)が30%以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記(1−C/D)×100(%)が30%以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
- 前記亜鉛を含有する金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合の割合(重量比)が73:27〜45:55であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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