JPH1184893A - 中間転写体及び中間転写体を用いた画像形成装置 - Google Patents

中間転写体及び中間転写体を用いた画像形成装置

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JPH1184893A
JPH1184893A JP10177443A JP17744398A JPH1184893A JP H1184893 A JPH1184893 A JP H1184893A JP 10177443 A JP10177443 A JP 10177443A JP 17744398 A JP17744398 A JP 17744398A JP H1184893 A JPH1184893 A JP H1184893A
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toner image
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JP10177443A
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English (en)
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Kazuhiko Arai
和彦 新井
Ryuji Katsuno
龍司 勝野
Masanori Kobayashi
政憲 小林
Tsutomu Ando
力 安藤
Tatsuo Okuno
辰男 奥野
Sanehiro Katsuta
修弘 勝田
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/14Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base
    • G03G15/16Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer
    • G03G15/1605Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer using at least one intermediate support
    • G03G15/162Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer using at least one intermediate support details of the the intermediate support, e.g. chemical composition

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコーン系ゴムのような表面を持つ中間転
写体を用いて感光体からのトナー画像を記録体へ転写定
着する画像形成装置において、中程度(40〜70%程
度)のグロスを採用する際、感光体との摩擦係数を下げ
て中間転写体の駆動走行制御を容易にし、且つカブリト
ナーの転写率を低減して画質の劣化を防止できる中間転
写体、及びその中間転写体を用いた画像形成装置を提供
すること。 【課題を解決するための手段】 トナー像保持体上に保
持されたトナー像の転写を受け、かつこのトナー像を記
録媒体に再度転写して、前記記録媒体上に画像を形成す
るための中間転写体において、トナー像の転写を受ける
表面を、凸部と粗面化された凹部との混在した表面とし
て構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光体上に形成さ
れたトナー像を中間転写体に1次転写し、中間転写体上
に1次転写されたトナー像を、記録紙上に転写定着する
方式を採用したプリンタ及び複写機等の画像形成装置に
関する。
【従来の技術】
【0002】画像形成装置、たとえば、従来広く用いら
れている、感光体上に静電潜像を形成し、それを乾式ト
ナーでトナー像として現像した後、静電的にそのトナー
像を記録媒体に転写し、定着する画像形成技術において
は、画像に濃度むらを生じたり、あるいは、転写部にお
いて粉体トナーの飛散を生じ、解像力やドット再現性に
劣るという問題がある。
【0003】この原因は主に、感光体上のトナー画像を
記録媒体へ静電的に移行させる転写プロセスに起因する
ところが大きい。すなわち、静電転写方式を用いた転写
方式は、感光体上に形成されたトナー像を均一にかつ効
率よく転写することができない。トナー転写効率はトナ
ー層に印加される電界(以降Etと表す)に比例して上
昇するが、ある程度の電界になるといわゆるパッシェン
放電が生じ、Etが低下し転写効率が低下に転ずる。つ
まり、転写効率はあるEt値でピークを持つ。この転写
効率のピーク値も100%ではなく、最大で95%程度
と言われている。トナー層の転写効率はEtに依存する
から、トナー層厚や、紙で代表される記録媒体の凹凸,
電気物性ムラに依らずEtを一定にしないと、転写効率
がトナー層厚や記録媒体の転写位置で異なることにな
る。記録媒体上に形成されたトナー像が単色で層厚が薄
い場合は主に記録媒体の凹凸、電気物性ムラによって画
像ムラが起こる。これは、記録媒体上の各独立に形成さ
れた単色のトナー像を記録媒体上に重ね転写するときも
同様であり、記録媒体の凹凸、電気物性ムラによって画
像ムラが起こる。つまり、重ね転写する部分と重ね転写
せず単色の転写をする部分の差は静電的に抑えることが
できるが、記録媒体の凹凸、電気物性ムラを補うことは
困難である。
【0004】一方、記録媒体上の各独立に形成された単
色のトナー像を、凹凸なく物性の管理された中間媒体上
に重ね転写するいわゆる中間転写体においては、中間転
写体上にムラがなく均一な画像が得られる。この中間転
写体上のトナー像は多層で、多いところでは3層以上、
少ないところでは1層以下となる。これらトナー層を紙
で代表される記録媒体に静電的に一括して均一に転写す
るために一定の電界を印加することは困難であり、Et
は不均一となる。従って、静電転写方式では、中間転写
体上で色重ねしたカラー画像がすべては記録媒体に転写
されず、一部中間転写体上に残留する。また、残留量は
中間転写体上に形成されたトナー層厚で異なる。よって
記録媒体に得られるカラー画像の色バランスがずれ、所
望のカラー画像が得られない。また、記録媒体である紙
の表面の凹凸のために、紙とが完全に密着せず、不均一
なギャップが生じ、転写電界が乱れたり、粉体トナー同
士のクーロン反発力を招きトナーが飛散するために、画
像の品質が劣化するのである。
【0005】この問題に対して、特公昭46−4167
9号公報には、感光体に形成したトナー像を弾性体であ
る中間転写体に粘着転写し、次いで、中間転写体から記
録媒体にトナーを溶融熱転写する方法が開示されてい
る。この方法は、記録媒体へのトナー像の転写を非静電
的に行うので、上記のような転写工程での画像品質の劣
化が生じにくくなっている。また、例えば、特開平2−
108072号公報では、中間転写体に色の異なるトナ
ー像を静電的に重ね転写し、さらに中間転写体上で多色
の多重トナー像を溶融した後、記録媒体に、その溶融し
た多重トナー像を転写してカラーコピーを得るようにし
た技術が開示されている。この方法によっても、記録媒
体へのトナー像の転写を非静電的に行うので、前述した
ような、画像品質の劣化が生じにくくなる。この方式を
転写定着方式と呼ぶことにする。
【0006】この転写定着方式を用いた画像形成装置に
ついては、USP2990278号明細書、特開平5−
19642号公報,特開平5−249798号公報で、
中間転写体から記録媒体へのトナー像の移行が完全に行
われるように中間転写体と記録媒体を密着加熱および加
圧後トナー間の凝集力がトナーと中間転写体との接着力
より大きくなるまで冷却した後、記録媒体を中間転写体
から剥離する技術が開示されている。これによると、ト
ナーの転写効率が高く色バランスが良好で高光沢度かつ
トナーの透明性に優れた高画質の画像を得ることができ
る。しかし、このような中間転写体を用いてトナーを転
写定着する場合、現有のカラーコピー用のトナーは、シ
リコーンオイルのような離型剤がないと、加熱溶融する
物体の表面に付着するいわゆるオフセット現象を発生さ
せてしまう。
【0007】一方、中間転写体を利用することによる利
点を有効に生かすために特に中間転写体の最上層の構成
に関して研究が行われている。例えば、耐熱性、トナー
離型性をもつ材料として、従来の定着装置に用いられて
いるような、シリコーン系ゴムやフッ素系の樹脂及びフ
ッ素ゴム中にフッ素系の樹脂を分散させたものなどがあ
る。中間転写体を用いた装置では、中間転写体が感光体
表面と接触しているために、従来の定着装置のように、
中間転写体表面にシリコーンオイルなどのような離型剤
を与えることができない。そこで転写定着する際に中間
転写体表面にトナー像がオフセットしないように、トナ
ーをそのトナーの融点以下に冷却してから、記録体と中
間転写体を剥離する方法がある。これは前述の特許にお
いて開示されている通りである。
【0008】しかしながら、中間転写体の表面材料とし
てフッ素系の樹脂またフッ素ゴム中にフッ素系の樹脂を
分散させたものを用いる場合、中間転写体と記録媒体と
の密着性が少ないために、トナーが十分冷却する前に剥
がれてしまい、オフセットや光沢のムラが発生してしま
う。それを防止するには密着手段が必要となり、装置の
複雑化、大型化が生じてしまう。もともとフッ素系の樹
脂またフッ素ゴム中にフッ素系の樹脂を分散させたもの
はシリコーン系ゴムに比較すると、トナーの離型性は劣
り、また表面が固いために、トナー画像表面にならうこ
とがなく、トナー画像の高さに大きな差があるような場
合は、高さの高いトナー像の周りの画像は転写されにく
くなり、転写抜けとなってしまう。またそのトナー像の
高さによって光沢が異なるため、光沢ムラが発生してし
まう。また細線と細線が近接している画像の場合は、そ
の細線を潰して、所どころくっついた状態になってしま
うなど、特にカラー画像のような多色を転写定着する場
合、画質においてシリコーンゴムに劣る。
【0009】従ってカラー画像を感光体表面から、中間
転写体へ転写し、その転写した像を記録紙に転写定着す
る場合、中間転写体表面材料としては、画質上の欠点が
少ないシリコーン系ゴムが一般的に使用される場合が多
い。しかし中間転写体の表面材料としてシリコーン系ゴ
ムを用いる場合でも、中間転写体表面のトナー画像に記
録紙を密着させて転写定着した後、一度トナーの融点以
下まで冷却してから記録紙を中間転写体から剥離せねば
ならない。このように、一度溶融したトナー像を冷却し
てから剥離すると、中間転写体表面へのオフセット現象
の発生はないが、中間転写体表面から剥がされた記録体
上のトナー像は中間転写体の表面形状にならってしま
う。つまりトナー像の表面は、型をとるように、中間転
写体の表面形状を概略写し取ることになり、中間体表面
が平滑なら、トナー画像は非常に光沢、即ちグロスが高
くなり、中間体表面が荒れていたり、曇っていると、ト
ナー画像のグロスは低くなるという特徴がある。
【0010】また感光体表面には、画像となるトナー像
以外に、孤立した多数のカブリトナーと呼ばれるトナー
が存在する。シリコーン系ゴムはその弾性及び粘着性の
ためにこの感光体上のカブリトナーもほとんど中間転写
体表面に転写してしまう。従来のように静電気力を利用
して感光体表面のトナー像を直接記録紙に転写する場合
は、カブリトナーに対して静電気力を利用した選択転写
が行われ、記録紙へ転写されても認識できないレベルで
ある。このようにシリコーン系ゴムをコーティングした
中間転写体を用いると、カブリトナーのほとんどが記録
体上に転写定着されてしまい、画像品質が低下してしま
うという問題がある。
【0011】またシリコーン系ゴムはそのレベリング性
の良さから、中間転写体表面にコーティングすると非常
に平滑な面となる。そのために感光体など非常に平滑な
表面との摩擦係数は高くなる。従来カラー画像を複写、
プリントする場合は3色以上のトナー像を重ね合わせ
て、色を出している。その場合各色のレジストレーショ
ン、即ち位置のズレは画像品質に重要な影響を持つ。中
間転写体表面が平滑であると、感光体との摩擦係数が高
くなり、中間転写体を駆動する駆動ロールと中間転写体
裏面の間でスリップが生じてしまう。また駆動ロールと
中間転写体裏面との摩擦係数を高くして駆動力を上げて
いくと、中間転写体は駆動ロールから受ける力の方向と
感光体から受ける力の方向が一致している場合は良い
が、通常は機械精度の問題もあり、それらの方向は厳密
には一致しておらず、互いの引っ張り合いから中間転写
体が波打ったりして平面を保てなくなる。その結果、感
光体表面のトナー画像を忠実に転写できず画像欠陥を発
生させてしまうという問題がある。
【0012】通常、ゴムの摩擦係数を低下させるには、
その表面を粗す方法が用いられる。その方法はいくつか
ある。その一つはスプレーコーティングにおいて、スプ
レー中のシリコーン系ゴムが霧化しにくい条件、例えば
温度、湿度、スプレーガンとの距離などのコーティング
条件やシリコーン系ゴムの粘度などをかえて粗くする。
しかしこの方法では、細かなうねりは出てもそのうねり
の表面は平滑なままなので、摩擦係数が大きく低下する
ことはない。また砂やスティールの粒を当てるブラスト
処理の場合については、ゴム表面に凹部を作るように全
体的に粗くするものであり、摩擦係数は僅かしか低下し
ない。カブリトナーの転写率も低下できない。しかも画
像のグロスが大きく低下してしまうばかりでなく、また
均一に粗くすることが困難であるためムラとなり、画像
品質としては大きく劣化してしまう。その他のコーティ
ング方法であるブレードコーター、ディッピングなどが
あるが、どちらも大きなうねりはできても、その表面は
鏡面のようになってしまい、本発明者らが着目した問題
の解決はできない。
【0013】中間転写体の表面粗さについて言及がされ
ているものとして、特開昭59−50473号公報の中
には、スプレー塗布で表面粗さを制御すると記載されて
いるが、ゴムの耐久性向上を目的としたものであり、感
光体に対して中間転写体をすべらせて制御できるほどに
感光体との摩擦係数を下げることも、カブリトナーの転
写を認識できないレベルまで低下させることもできな
い。また、特開平5−333711号公報には、転写抜
けを防止する目的のために、中間転写体表面の粗さを規
定することが提案されているが、そこに記載されている
表面粗さを達成しても、シリコーン系ゴムの表面をもつ
中間転写体の、カラー画像として望ましい高グロスを持
ち、且つ画像ズレ防止のための中間転写体駆動走行制御
性がよい中間転写体、つまり感光体との摩擦係数が低
い、カブリトナーの転写率を減少できるという要求をす
べて満足する中間転写体を得ることはできない。上記の
ような欠点に鑑み、本発明者らは、シリコーン系ゴムの
ような表面を持つ中間転写体を用いて感光体からのトナ
ー画像を記録体へ転写定着する画像形成装置において、
画像グロスはカラー画像に望ましい高い値を取り、感光
体との摩擦係数を下げて中間転写体駆動走行制御を容易
にし、且つカブリトナーの転写率を低減して画質の劣化
を防止できる中間転写体、及びその中間転写体を用いた
画像形成装置として、凸部と平滑な凹部とを設けた中間
転写体及びその中間転写体を用いた画像形成装置を考案
した。
【0014】しかしながら、画像グロスに関しては、好
みにばらつきがあり、大半は高いグロス(70%以上)
を好ましいとしたものの、現在のカラー複写機にて再現
している中程度(40〜70%)のグロスを好ましいと
いう意見も出された。本発明者らが考案した凸部と平滑
な凹部とを設けた中間転写体を用いて、中程度のグロス
を達成するのは、凸部の面積を大きくすることにより実
現されるが、感光体との接触面積の増加に伴い感光体と
の摩擦係数が上がり、中間転写体駆動走行性が劣化する
という問題が顕在化した。
【0015】一方、表面を均一に粗くすることにより、
感光体との摩擦係数を下げて中間転写体駆動走行制御を
容易にすることは可能ではあるが、このときの画像グロ
スは20%前後の低いグロスとなってしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シリ
コーン系ゴムのような表面を持つ中間転写体を用いて感
光体からのトナー画像を記録体へ転写定着する画像形成
装置において、画像グロスは現在のカラー複写機にて再
現している中程度(40〜70%程度)のグロスを採用
し、感光体との摩擦係数を下げて中間転写体駆動走行制
御を容易にし、且つカブリトナーの転写率を低減して画
質の劣化を防止できる中間転写体、及びその中間転写体
を用いた画像形成装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、トナー像保持体上に保持されたトナー
像を受けて、このトナー像を記録媒体に再度転写して、
前記記録媒体上に画像を形成するための中間転写体の、
前記トナー像を受ける表面を、凸部と粗面化された凹部
との混在した表面として構成する。
【0018】また、本発明の画像形成装置は、静電潜像
担持体と、この静電潜像担持体に静電潜像を形成する静
電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体上に形成された
静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を作成する
現像手段と、中間転写体と、前記トナー像を前記中間転
写体に一次転写する転写手段と、前記中間転写体上の前
記トナー像を記録媒体上に少なくとも加熱により転写す
る二次転写手段とを備えた画像形成装置において、、前
記中間転写体の前記トナー像の転写を受ける表面が、凸
部と粗面化された凹部との混在した表面であることを特
徴とする。また、粗くした表面の粗さすなわち、中心線
平均粗さRaを0.1μmから0.6μmまでとしたこ
とを特徴とするものである。
【0019】また、静電潜像が形成される感光体、該感
光体を帯電する帯電手段、帯電された感光体を画像情報
に応じた光情報を用いて、感光体上に決定する潜像形成
および現像手段と、現像された該感光体から、トナー画
像が移行した中間転写体に形成されたトナー画像を、記
録媒体との間で挟持し、少なくとも加熱により記録媒体
へトナー画像の転写を行う画像形成方法において、中間
転写体が表面に凸部を有しており、中間転写体表面の凸
部でない面の表面粗さにより、記録媒体上のトナー画像
の光沢を調整したことを特徴とするものである。また、
凸部と凸部の間隔はトナーの粒子径から200μmまで
であることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明について、詳細に説明
する。図1は本発明の中間転写体を用いた画像形成装置
の一例の概略を示すもので、符号50はベルト状の中間
転写体であり、ベース層と表面層の2層構造のベルト状
のものを用いた。従来中間転写体として提案されている
ベルトの基材はポリイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン(PEEK)、ポリアリーレンスルフィド(PA
S)、ポリイミドアミド、ポリエーテルスルフォン(P
ES)、ポリエーテルニトリル(PEN)、熱可塑性ポ
リイミドなどがあるが、耐熱性及び機械強度の要求から
ポリイミドが多く用いられている。本実施例では、カー
ボンブラックを添加した厚さ80μmのポリイミドフィ
ルムを用い、トナー像を感光体から中間転写体に静電的
に、画像乱れなく転写するために、ベース層の体積抵抗
率はカーボンブラックの添加量を変化させ、108 Ωc
mから1011Ωcmに調整した。また、表面層は、トナ
ー像を感光体から中間転写体に静電的に画像乱れなく転
写するために、その体積抵抗率が1012Ωcmから10
15Ωcmであり、また中間転写体から紙への同時転写定
着を行うときに、トナー像を挟み中間転写体と紙の密着
をよくし、トナーの離型性、耐熱性を考慮してゴム硬度
40度、厚さ50μmのシリコーン系ゴムを表面層とし
てベース上にコートした。
【0021】図1において、ベルト状の中間転写体50
は、ローラ5−1、5−2、および加熱ロール2により
支持されて矢印方向に回転を行う。加熱ロール2には、
加圧ロール3が対向して配置されている。加熱ロール2
と加圧ロール3は逆の配置とすることもでき、また、加
圧ロール3を内部に熱源を持つ加熱ロールとしてもよ
い。中間転写体50の周辺には4つの感光体1−1、1
−2、1−3、1−4が配置され、それぞれ帯電器10
−1、10−2、10−3、10−4により一様に帯電
された後、濃度信号に応じ光ビームパルス幅変調装置に
よってオンオフされる光ビーム走査装置20により露光
され、静電潜像が形成される。各感光体上の静電潜像
は、それぞれ、黒、イエロー、マゼンタ、シアン色のト
ナーが入った現像器11、12、13、14により現像
され、面積変調により濃度を表すいわゆるディジタル画
像の各色トナー像が各感光体上に形成される。この各色
トナー像は、順次、転写器50−1、50−2、50−
3、50−4により、中間転写体50へ転写され、中間
転写体50上に複数色のトナー像が形成される。
【0022】加圧ロール3は、トレイ6からの記録紙P
の送紙に伴い、加熱ロール2に圧接する。その後、前記
複数色のトナー像を保持した中間転写体50と記録紙P
が、タイミングを合わせて加熱,加圧ロール2および3
の間を移動し、加圧加熱される。溶融温度以上に加熱さ
れたトナーは軟化,溶融し、記録紙Pに浸透、その後固
化することで転写定着が行われる。冷却装置4は加熱領
域から一体となって搬送される中間転写体50および記
録紙Pを冷却するもので、これによりトナーは凝集固化
し、記録紙Pとの強い接着力が生じる。冷却装置4によ
り冷却された中間転写体50および記録紙Pは搬送さ
れ、曲率半径の小さなロール5−2において記録紙Pが
記録紙P自体の腰の強さによって中間転写体50からト
ナーとともに分離され、カラー画像が形成される。記録
紙Pに転写定着されたトナー像の表面は中間転写体50
の表面にならった凹凸構造となる。感光体1−1、1−
2、1−3、1−4としては、各種無機感光体(Se、
a−Si、a−SiC、CdS等)の他に、各種有機感
光体を用いることができる。
【0023】カラートナーは少なくともイエロー、マゼ
ンタ、シアン等の着色剤を含有した熱可塑性のバインダ
樹脂を含むが、該着色剤及びバインダ樹脂としては公知
の材料を用いることができる。また、各色の記録紙上の
トナー量は、その色素の含有量によりおよそ0.4mg
/cm2 〜 0.7mg/cm2 になるように前記露光
条件または現像条件が設定される。本実施例では、各色
0.65mg/cm2に設定した。
【0024】加熱および加圧ロールとしては金属ロー
ル、または、金属ロール上にシリコーンゴム等の耐熱弾
性層を有したものを用いることができる。加熱ロールの
内部には熱源が配置され、その加熱温度は、加熱領域で
のトナー温度がトナー溶融温度以上となるように設定、
制御される。また、加熱領域は、加熱領域での中間転写
体50とトナー像および記録紙Pが十分に密着し部分的
な浮きが発生せず、かつ記録紙Pにしわやずれが発生し
ないように設定される。そのニップ圧力は、今回用いた
トナーに対しては、1×105 Pa〜1×106 Paの
範囲が適当であった。本実施例では加熱,加圧ロールと
して、アルミニウムの中空ロール上に硬度55度のシリ
コーンゴムを厚さ3mmで積層したものを用い、加熱ロ
ール内部の熱源としては、ハロゲンランプを使用した。
なお、ニップ圧力は5.5×105Paに設定した。
【0025】加熱領域通過直後には記録紙Pに接する加
熱領域出口冷却装置7を設けている。加熱領域出口冷却
装置7は、加熱領域通過直後のトナー温度を下げる目的
のものであり、紙側だけでなく中間転写体側から加熱領
域通過直後を冷却するようにしても同じ効果が得られ
る。また、両側から加熱領域通過直後を冷却するように
しても同様である。冷却することによって、トナーの凝
集力を増大させて剥離時にトナーが転写材にオフセット
することを防止する。
【0026】本発明者らは、まず中間転写体表面を均一
に粗して、その表面粗さとグロスの関係について調べる
ことにした。シリコーンゴム表面を均一に粗くする方法
として、シリコーンゴムの表面に均一な粗さを持つ部材
を押し当てる、型押し法を試みた。実際は、ラッピング
フィルム(商品名:インペリアルラッピングフィルムシ
ート、住友3M製)をシリコーンゴム表面に押し当て
て、そのラッピングフィルムの表面をシリコーンゴム表
面に写し出す方法である。 具体的には、導電処理した
ポリイミドベルトの表面にゴム硬度40Hsのシリコー
ンゴム(信越化学社製、シリコーンゴムKE4895)
とゴム硬度65Hsのシリコーンゴム(東レ・ダウコー
ニング・シリコーン社製、試作品)を約50μmコーテ
ィングし、架橋する以前にその表面にラッピングフィル
ムを載せ、ある時間経過した後に剥がし、残りの架橋工
程に入るのであるが、そのラッピングフィルムの番手、
シリコーンゴム表面に載せるタイミング、時間、などを
変えて、いろいろな表面粗さの中間転写体を作成した。
それら型押し中間転写体を用いて画像のグロスと粗さの
関係を調べたものが、図2である。
【0027】ここで、評価に用いた装置等を示す。 評価マシン Acolor935 トナー Acolor935用トナー 用紙 富士ゼロックス(株)製Jコート紙 光沢度計 村上色彩技術研究所の Gloss Meter Model GM-26D for 75 ° 表面粗さ計 Keyence 社製 Profile Micrometer VF7500/7510 図2は、均一に粗くした中間転写体表面の粗さと画像グ
ロスの関係を表しており、図2より、シリコーンゴムの
硬度の違いによるグロスに大差はないことが分かる。こ
れはトナー像を転写定着された記録体は、冷却されてか
ら中間転写体より剥がされるからと考えられる。現在の
カラー複写機、具体的には富士ゼロックス(株)製Ac
olor935、Acolor620及びキャノン
(株)製CLC−500、CLC−700にて再現して
いるグロスは、中程度(40〜70%)である。図2に
よると、中間転写体表面全体が一定に粗されている場合
に、中程度(40〜70%)のグロスを再現しようとす
るには、表面粗さは、中心線平均粗さRa0.3〜0.
5μmの範囲でなければならない。
【0028】次にそれら型押し中間転写体の、感光体と
の摩擦係数を調べたものを図3に示す。使用した感光体
は、富士ゼロックス(株)製Acolor935機で用
いられている有機感光体である。また、用いた摩擦係数
測定装置は、 Heidon社製 Peeling/Slipping/Scratching Tester H
eidon-14 である。速度は100mm/sec、荷重は、10gf
/mmである。Raが大きくなるにつれ、摩擦係数が小
さくなることが示されている。また、図2で示す画像グ
ロスと同様、シリコーンゴムの硬度の違いによるグロス
に大差はない。
【0029】ここで、中間転写体及び感光体との摩擦係
数の許容範囲について述べる。図4は、感光体1a、中
間転写体50aおよび中間転写体を駆動する中間転写体
駆動ロール5aに作用する力の関係を示したものであ
る。機械的工作精度には限界があり、感光体表面の速度
と中間転写体ベルトの移動速度との間に速度差が生じ、
かつ、感光体と駆動ロールの平行に対し誤差が生じてい
るときの様子を示したものである。
【0030】感光体と中間転写体間には、感光体と中間
転写体間の摩擦係数μと転写圧力Fnにより定まる摩擦
力Fsが作用する。ここで転写圧力Fnは転写に伴う静
電気的吸着力や機械的な押しつけ力の和であり、一般的
に最低0.5g/mm2 の値を必要とするといわれてい
る。また、中間転写体ベルト裏面と中間転写体駆動ロー
ル間には、中間転写体ベルトを移動させるための搬送力
Fdが作用する。一方、中間転写体ベルト自体には曲げ
剛性Rがある。ベルト曲げ剛性Rが十分な場合におい
て、搬送力Fdに比べ摩擦力Fsが大きいと、中間転写
体駆動ロールと中間転写体ベルト裏面との間にスリップ
が生じ、中間転写体ベルトの移動速度は制御不能とな
り、画像の伸縮や色重ねのずれが生じることになる。一
方、摩擦力Fsに対して、搬送力Fdが十分ではある
が、ベルト曲げ剛性Rが不足した場合、中間転写体ベル
トには波打ちが生じ、同様に中間転写体ベルトの移動速
度は制御不能となり、画像の伸縮や色重ねのずれが生じ
ることになる。
【0031】表1は、実際に、感光体と中間転写体間の
摩擦係数μやベルトの厚みなどを変えた時の制御の可否
を示したものである。これより、ベルトが薄く剛性が小
さい場合には、中間転写体ベルトの波打ちにより、一
方、ベルトの厚み等によりベルト曲げ剛性を増した場合
には、中間転写体駆動ロールのスリップにより閾値を定
められ、いずれにせよ、摩擦係数1.2以下でないと、
制御可能とならないことがわかる。なお、この結果は転
写圧力Fnを、最低の0.5g/mm2 の値としたとき
の結果である。したがって、Fnがこれより大きい場合
にはさらに摩擦係数は小さいことが望ましいことにな
る。従って型押し中間転写体の、感光体との摩擦係数を
調べた図3より、その値を1.2以下にするためには、
中間転写体表面の粗さは0.5μm中心線平均粗さRa
より大きいことが必要である。
【0032】
【表1】
【0033】次にそれら型押し中間転写体の、カブリト
ナーの転写率を調べたものを図5に示す。図中のハッチ
ング部は、従来の、感光体上のトナー像を静電転写によ
り直接記録体上へ転写する場合の転写率である。従って
従来並みにするには、中間転写体表面の中心線平均粗
さ、Raは約0.6μm以上にしなければならない。
【0034】ところで、先に説明した図2から分かるよ
うに、中間転写体表面を均一に粗くすることにより、現
在のカラー複写機にて再現している中程度(40〜70
%)のグロスを実現しようとした場合、表面の中心線平
均粗さ、Raは0.3〜0.5μmの範囲でなければな
らない。そうすると図3からそのときの摩擦係数は1.
2以上となってしまい、中間転写体の駆動走行性が劣化
し、さらに、カブリトナーの転写率が高くなってしまう
ことがわかる。一方、表面粗さを一層粗くしていくこと
により、摩擦係数1.2以下とカブリトナー転写率を従
来の静電転写の場合と同等以下に達成することができる
が、グロスは低下して40%以下になってしまうことが
わかる。
【0035】次に、中間転写体表面を均一に粗すのでは
なく、平滑な凹部と凸部の混在する表面層を設けた中間
転写体を用いたときの結果を述べる。
【0036】図6は実験に用いたベルトの断面図で、図
7は上から見た図である。ベルトはポリイミドベース層
61とシリコーンゴムの表面層60からなり、表面層は
凸部60aと平滑な凹部60bから構成される。凹部
は、表面粗さRaが0.1μmより小さい平滑面であ
る。ここで、この様な中間転写体表面を得るための、型
押しの型の作成について示す。本来は金属を加工して、
平滑な面に微小な凹部を形成するのであるが、本発明者
らは、高いグロスの出る、この転写定着方式を利用する
ことを考えた。つまり図7の凸部に対応する位置に画像
の無いようにして、結果的に凹部になるような画像を記
録紙に転写定着し、その記録紙を型押しの型として用い
るものである。図8にその用紙型の断面を示す。この時
に、穴の間隔、穴の深さ、穴の大きさは、重ねるトナー
の数、線数/inch、トナー画像の面積率を変えるこ
とによって調節する。例えばトナーは1色、200線/
inch、トナー画像の面積率を85%にした用紙型を
用いて中間転写体表面に凸部作ると、転写定着の条件に
より、中間転写体表面の凸部の高さは、3μmから4μ
m、間隔は100μmから125μm、平滑部(凹部)
の面積率は85%から90%に変えることができる。型
のトナー画像部62の表面粗さRaが0.1μmにも満
たなく、図2よりこの平滑部のグロスは鏡面の如く10
0%を越える。なお、63は記録紙である。
【0037】図9は、このようにして作成した用紙型を
用いてゴム硬度40Hsのシリコーンゴムを被覆した中
間転写体を作り、感光体との摩擦係数と凸部面積率
(%)及び凸部高さh(μm)との関係を示したもので
ある。なお、凸部面積率(%)と平滑部(凹部)面積率
(%)との関係は、 凸部面積率(%)+平滑部(凹部)面積率(%)=100(%) である。図9からわかるように、凸部面積率(%)が2
0%までは、凸部面積率(%)におおよそ比例して摩擦
係数が低下する。これは、感光体と凸部との接触面積の
大きさが摩擦係数を支配していると考えられるからであ
る。一方、20%以下では、凸部高さが高い場合は、同
様に、凸部面積率(%)におおよそ比例して摩擦係数が
低下するが、凸部高さが低い場合は、凸部面積率(%)
を小さくするにつれ摩擦係数が増加する。これは、接触
面積が小さくなってくると、各凸部に対する荷重が高く
なり、凸部がつぶれ始め、凸部高さが低い場合は下地
(平滑部)と接触し始めるため、摩擦係数が増加すると
考察されるからである。いずれにせよ、摩擦係数を1.
2以下とするためには、凸部面積率(%)を35%以下
とする必要がある。
【0038】一方、図10は、グロス(%)、凸部面積
率(%)及び凸部高さh(μm)の関係を示したもので
ある。図10より凸部面積率(%)を増加させるとグロ
スを低下させることができる。また、凸部高さを高くし
ても、多少ではあるが、グロスを低下させることができ
る。この結果は以下のように考察される。前述したよう
に、図11に示したごとく、記録紙65に転写定着され
たトナー像64の表面は中間転写体の表面にならった凹
凸構造となる。すなわち、中間転写体の凸部は、トナー
像の凹部となり、中間転写体の凹部(平滑部)は、トナ
ー像の凸部(表面)となる。トナー像の凸部(表面)は
鏡面のごとく平滑であり光を反射するが、凹部の壁面に
おいて影が形成され、反射光が低減し、グロスが低下す
る。影の量は、壁の長さが長い、すなわち、中間転写体
の凸部面積率は高いほど多くなり、また、壁の高さが高
い、すなわち、中間転写体の凸部高さが高いほど多くな
る。このようにして、グロスが変化したと考察される。
【0039】図10より、摩擦係数1.2以下を満たす
凸部面積率(%)が35%以下のときのグロスは70以
上であった。凸部高さをさらに高くするとグロスを低下
させられるが、凸部高さが高いと感光体からの転写不良
が発生してしまう。図10の凸部高さ10μmにおいて
も転写不良が発生しはじめており、凸部高さ10μmが
限界である。このようにして、平滑な表面に対して凸部
を設けた中間転写体を用いても、摩擦係数が1.2以下
で、現在のカラー複写機にて再現している中程度(40
〜70%)のグロスが実現できないことがわかった。
【0040】そこで、本発明者らは、中間転写体の凹部
(平滑部)がグロスには影響をもつのに対し、摩擦係数
に対しては影響をもたないことに着眼し、中間転写体の
凹部を粗くすることを考えた。図12は本発明の中間転
写体ベルトの断面図で、図13はそれを上から見た図で
あり、ポリイミドのベース層71の上にシリコーンゴム
の表面層70を設けたもので、シリコーンゴムの表面層
は、凸部70a及び粗面化された凹部70bから構成さ
れている。この様な中間転写体表面を得るための、型押
しの型の作成の一方法を示す。すなわち、図14に示す
ように、感光体72の上に、最終中間転写体の凹部70
bに対応する静電潜像を形成しその後トナーで現像して
トナー画像73を形成する(したがって、最終中間転写
体の凸部70aに対応する部分には画像は存在しな
い。)。次いで、図15で示されるように、表面の全面
を均一に粗くした中間転写体74の粗面上に前記トナー
画像73を静電的に転写する。トナー画像73は静電力
及び粘着力で該粗面に付着している。その後、トナー画
像73を転写された中間転写体74の画像付着面を記録
紙75に熱圧接し、トナー画像73を記録紙75に転写
定着させ、図16で示されるような断面を有する型押し
の型を得る。この型を未架橋のシリコーンゴムに型押し
すると、図12に示すような凸部70aと粗面化された
凹部70bが混在する表面を有する中間転写体を得るこ
とができる。中間転写体の穴の間隔、穴の深さ、穴の大
きさは、重ねるトナーの数、線数/inch、トナー画
像の面積率を変えることによって調節した。
【0041】図17は、グロスと中間転写体凹部(粗
面)の表面の中心線平均粗さ、Raと凸部面積率(%)
の関係を示したものである。図17より、中間転写体凹
部の中心線平均粗さRaを大きくすることにより、グロ
スが低下することがわかる。そして、中間転写体凹部の
表面粗さにより、グロスを調整できることがわかる。こ
の結果は以下のように考察される。前述したように、記
録紙に転写定着されたトナー像の表面は中間転写体の表
面にならった凹凸構造となる。すなわち、中間転写体の
凹部は、トナー像の凸部(表面)となる。よって、中間
転写体の凹部を粗面としたことにより、図18に示した
ように記録紙77に転写されたトナー像76の凸部(表
面)が粗面となって鏡面性を落とすことができ、グロス
が低下したと考察される。
【0042】ここで、凸部及び粗面化された凹部を有す
る中間転写体における摩擦係数は、図9に示した平滑な
凹部と凸部を有する中間転写体を用いる場合の摩擦係数
と全く一致した。摩擦係数が中間転写体の凸部面積率
(%)に支配され、中間転写体の凹部は影響をもたない
ことが、狙いどおりに確認された。
【0043】したがって、図17より、摩擦係数1.2
以下となる凸部面積率が35%以下の条件において、中
間転写体凹部の中心線平均粗さ、Raが0.1μmにも
満たなく鏡面のごとく平滑であった場合には、グロスは
70(%)以上の高い値となってしまうのに対し、中間
転写体凹部の表面粗さ(中心線平均粗さRa)を0.1
μm以上の粗面とすることにより、グロスは70(%)
以下の値となることがわかる。これに対し、凹部の中心
線平均粗さRaが0.6μmより大きいと、グロスは4
0(%)以下の低いものとなってしまう。つまり、現在
のカラー複写機において再現している中程度(40〜7
0%)のグロスを達成するためには、凹部のRaが0.
1ないし0.6μmの範囲になるように調節される。ま
た、中間転写体表面における凸部面積率は、3〜35%
が好ましいが、より好ましくは10〜30%、最も好ま
しい範囲は10〜20%の範囲である。
【0044】前記のように粗面化された凹部と凸部を有
する中間転写体の摩擦係数が中間転写体の凸部面積率
(%)に支配され、中間転写体の凹部は影響をもたない
ことが確認されたが、カブリトナーの転写率について
も、実験の結果、平滑な凹部と凸部を有する中間転写体
を用いたときの結果と同様な結果が得られた。また、カ
ブリトナーの転写率に関しても、感光体と接触する凸部
が支配し、中間転写体の凹部は影響をもたないことがわ
かった。
【0045】ここで考慮せねばならないことは、記録体
上の画像にはこの中間転写体表面の凸部が、トナー画像
の表面に凹部を作ってしまうことである。通常、視覚に
認識されないためには図19に示した視覚関数(VT
F)の図より、少なくとも150線/inch以上が必
要とされる。つまり凸部と凸部の間隔は、170μm以
下が良い。しかし視覚に認識されても気にならない間隔
として官能評価した結果、200μmほどでもよいこと
がわかった。間隔を200μm以下とすることにより、
この問題は解決することができた。また、凸部と凸部と
の間隔がトナーの粒子径以下であると、凹部にトナーが
接触せず凸部のみの接触となり、結果としてカブリが増
加し好ましくない。したがって、凸部と凸部との間隔は
トナーの粒子径ないし200μmの範囲の間が好まし
い。
【0046】なお、以上の説明では、凸部の形状として
円形のものを用いたが、凸部の形状は円形に限らず、図
20に示したような四角形の凸部80でもよい。また、
凸部の形状は三角形、五角形、ひし形、楕円形でもよ
い。さらに図19に示したような線形状の凸部81でも
よい。
【0047】
【発明の効果】本発明によると、トナーの離型性や画像
品質を高めるためにシリコーン系ゴムのような表面を持
つ中間転写体を用いて感光体からのトナー画像を記録体
へ転写定着する画像形成装置において、画像グロスは現
在のカラー複写機にて再現している中程度(40〜70
%程度)のグロスをとり、感光体との摩擦係数を下げて
中間転写体駆動走行制御を容易にし、且つカブリトナー
の転写率を低減して画質の劣化を防止できる中間転写
体、及びその中間転写体を用いた画像形成装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間転写体を用いた画像形成装置の一例の概略
を示す。
【図2】均一に粗くした中間転写体表面の粗さと、画像
グロスとの関係を表す。
【図3】均一に粗くした中間転写体表面の粗さと、感光
体と該中間転写体との摩擦係数の関係を表す。
【図4】感光体、中間転写体及び中間転写体駆動ロール
に作用する力の関係を表す。
【図5】均一に粗くした中間転写体表面の粗さと、カブ
リトナーの転写率の関係を表す。
【図6】凸部と平滑な凹部を設けた中間転写体表面の断
面図を示す。
【図7】凸部と平滑な凹部を設けた中間転写体表面の平
面図を示す。
【図8】凸部と平滑な凹部を設けた中間転写体表面を作
成するために型押しする型の、一例の断面図を示す。
【図9】凸部と平滑な凹部を設けた中間転写体を用いた
場合の、凸部面積率と摩擦係数の関係を表す。
【図10】凸部と平滑な凹部を設けた中間転写体を用い
た場合の、画像グロス、凸部面積率及び凸部高さとの関
係を表す。
【図11】凸部と粗面化された凹部を設けた中間転写体
を用いて形成された、トナー画像の断面図、及びトナー
画像に光が当たった場合の光の反射を説明する図であ
る。
【図12】凸部と粗面化された凹部を設けた中間転写体
表面の断面図を示す。
【図13】凸部と粗面化された凹部を設けた中間転写体
表面の平面図を示す。
【図14】中間転写体を作成する工程において、中間転
写体の凹部に対応する形状のトナー画像を感光体上に設
けた図を示す。
【図15】中間転写体を作成する工程において、全面均
一に粗面化した表面に図14のトナー画像を転写した図
を示す。
【図16】中間転写体を作成する工程において、図15
で示される転写体を記録紙の上に転写定着した図を示
す。
【図17】凸部と粗面化された凹部を設けた中間転写体
を用いた場合の、画像グロス、凹部の表面粗さ及び凸部
面積率との関係を表す。
【図18】凸部と粗面化された凹部を設けた中間転写体
を用いて形成された、トナー画像の断面図、及びトナー
画像に光が当たった場合の光の反射を説明する図であ
る。
【図19】空間周波数と視覚関数値の関係を表す。
【図20】四角形の凸部を設けた中間転写体を示す。
【図21】線形状の凸部を設けた中間転写体を示す。
【符号の説明】
1−1、1−2、1−3、1−4、1a: 感光体 2: 加熱ロール 3: 加圧ロール 4: 冷却装置 5−1、5−2、5a: ロール 6: 用紙トレイ 7: 加熱領域出口冷却装置 10: 帯電器 11、12、13、14: 現像器 20: 露光装置 50、50a: 中間転写体 50-1、50-2、50-3、50-4 :転写器 70: 中間転写体表面層 71: 中間転写体ベース層 72: 感光体 73: トナー画像 74: 中間転写体 75: 記録紙 76: トナー層 77: 記録紙 80: 四角形凸部 81: 線形状凸部 Fd: 搬送力 Fn: 転写圧 Fs: 摩擦力 P: 記録紙 R: ベルト曲げ剛性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 力 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 奥野 辰男 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 勝田 修弘 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい富士ゼロックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナー像保持体上に保持されたトナー像
    を受けて、このトナー像を記録媒体に再度転写して、前
    記記録媒体上に画像を形成するための中間転写体におい
    て、前記中間転写体の前記トナー像を受ける表面が、凸
    部と粗面化された凹部との混在した表面であることを特
    徴とする中間転写体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の中間転写体において、
    前記粗面化された凹部の中心線平均粗さRaが0.1μ
    mから0.6μmまでの範囲であることを特徴とする中
    間転写体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の中間転写体において、
    前記凸部と凸部との間隔がトナーの粒子径から200μ
    mまでの範囲であることを特徴とする中間転写体。
  4. 【請求項4】 静電潜像担持体と、この静電潜像担持体
    に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜
    像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像し
    て、トナー像を作成する現像手段と、中間転写体と、前
    記トナー像を前記中間転写体に一次転写する転写手段
    と、前記中間転写体上の前記トナー像を、前記記録媒体
    に少なくとも加熱により転写する二次転写手段とを備え
    る画像形成装置において、前記中間転写体が請求項1に
    記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の画像形成装置におい
    て、中間転写体の粗面化された凹部の中心線平均粗さR
    aが0.1μmから0.6μmまでの範囲であることを
    特徴とする画像形成装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の画像形成装置におい
    て、中間転写体の凸部と凸分との間隔がトナーの粒子径
    から200μmまでの範囲であることを特徴とする画像
    形成装置。
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