JP5321967B2 - 電子写真用中間転写ベルト及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
その中でも、フルカラー電子写真装置において、感光体上に形成された4色のトナー画像を、一旦中間転写ベルトに転写することにより、中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写媒体に一括転写する方式における中間転写ベルトがある。
しかしながら、この方式においては、高速性を得るため、中間転写ベルトに対峙する各色の色現像装置を直列に配置したタンデム方式といわれる方式が主流となっている。
この残留トナーの除去には、クリーニングブレードのブレードエッジを中間転写ベルトの表面に押圧して、残留トナーを「擦り取る」のが最も有効である。
しかし、中間転写ベルトには、潜像の形成やトナー画像の転写に必要な電気的特性が与えられているが、長期にわたる画像形成を繰り返していくと、クリーニングブレードの圧接により、このような電気特性が損なわれ、中間転写ベルトの寿命を短命化する問題がある。その結果、クリーニング不良による異常画像が発生する。
特許文献3に記載の方法は、中間転写ベルトの外周面に研磨剤を塗布し、中間転写ベルトを回転させると共に、中間転写ベルトの搬送方向と平行方向に研磨ブラシを回転させ、中間転写ベルトの周方向に凹部を形成するものであり、また、特許文献4に記載の方法は、研磨用マンドレルに中間転写ベルトを被せて研磨し、凹部を形成するものである。
しかし、これらの方法では、潤滑剤は形成された凹部に入り込んで滞留しやすく、中間転写ベルト表面全体に潤滑剤が供給されず、また、前記凹部には、潤滑剤だけでなく、フィルミングを生じる物質も堆積してしまい、フィルミングを発生する不具合が生じやすいものであり、また凹凸が激しくなって、転写ムラが発生しやすいものであった。
しかし、前記凸部の頂部が広すぎる場合、換言すれば中間転写ベルトが平坦で凹部が疎な状態では、潤滑剤の供給が促進される場所が限定されてしまうことも分かった。
逆に凸部の頂部が狭く、凸部の形状が直線または緩やかな曲線である線状であると潤滑剤を効率良く中間転写ベルトへ供給でき、さらに、前記線状の凸部は互いに交差し、凸部により囲まれた凹部を形成すると潤滑剤を効率良く中間転写ベルトへ供給できることを見出し本発明に到った。
(1)画像形成領域に複数の線状凸部を有する中間転写ベルトであって、該複数の線状凸部は互いに交差し、高さ0.01以上1μm以下、幅0.5以上5μm以下であり、前記複数の線状凸部により囲まれた領域の面積の平均が1000〜30000μm2であることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
(2)金属石鹸を供給されながら画像形成を行うものであることを特徴とする前記(1)に記載の中間転写ベルト。
(3)前記金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合物であることを特徴とする前記(2)に記載の中間転写ベルト。
(4)線速400mm/sec以上で使用されるものであることを特徴とする前記(1)乃至(3)いずれか1に記載の中間転写ベルト。
(5)像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行ない、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置において、該中間転写ベルトが前記(1)乃至(4)いずれか1に記載の中間転写ベルトであることを特徴とする電子写真装置。
本発明で用いる電子写真用シームレスベルトに用いる樹脂として、クリープ変形性や耐久性の点でポリイミド樹脂を用いることが好ましい。ポリイミド樹脂は、熱可塑性タイプ、溶剤可溶タイプ、熱硬化タイプのいずれも使用可能であるが、種種の材料を配合させる必要性、特に電気抵抗を調整するための抵抗調整剤を配合させるために、有機極性溶媒を用いたポリイミド前駆体を含む溶液(ポリイミドワニス)を塗布し、熱硬化させて成形する熱硬化タイプのものが好適である。
<線状の凸部の作製>
中間転写ベルト上に凸部を作製するには、ポリイミド樹脂を熱硬化させて成形する際に作製する方法、成形後の中間転写ベルト表面に作製する方法がある。
凸部の高さが0.01μm以下では、潤滑剤に主に使用されているステアリン酸亜鉛の分子長が0.01μm程度であるため、潤滑剤分子そのものに比べても高さが低すぎるため、平坦な場合と変わらず潤滑剤を効率良く供給することができない。凸部の高さが1μm以上では、凸自体が中間転写ベルト表面の異物となり異常画像の原因となる。高さが0.02〜0.1μmでは特に凸部の効果が十分に得られ、異物として異常画像の原因になる可能性もなく、より好ましい。
凸部の幅が0.5μm以下では、凸部の形状が細くなり過ぎるため凸部自身が脆くなってしまい、凸部が折れて異常画像の原因となる可能性がある。凸部の幅が5μm以上では、凸部の頂部が広くなり過ぎるため平坦な場合と変わらず、潤滑剤を効率よく供給することができない。
特に、凸部の幅が1〜2μmであると、凸部の耐久性がよく、凸部の効果が十分に得られ、より好ましい。
前記凸部で囲まれた凹部の面積は1000〜30000μm2、より好ましくは3000〜15000μm2である。
前記線状の凸部は場所によらず同じ高さが望ましいが、場所により高さが異なったり、一部がわずかに欠落していても、本発明の効果はほぼ維持されており、わずかな欠落部は凸部があるものとみなし、面積を算出している。
凸部で囲まれた面積が30000μm2以上では中間転写ベルトの線速が速くなると潤滑剤を充分供給できなくなることにより、潤滑剤の塗布ムラが発生し、異常画像の原因となる。
凸部で囲まれた面積を算出する時に計測する領域は、凸部の密度や形状によって選択されるものであるが、好ましくは200×200〜600×600μmである。計測する領域が200×200μm以下では凸部の局所的なムラが大きく影響し、信用のある数値とは言えない。計測する領域が600×600μm以上では視野が広すぎるため、凸部で囲まれた領域の個々の面積を計測するのが困難になり、時間もかかりすぎる。
<ポリイミド>
本発明に用いられるポリイミドは、まず一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を持つため、酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行なわれ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとする。反応の概略を下記化学反応式(I)に示す。
なお、ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、まず前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させておき、この溶液中に前記ジアミンを添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
上記のようにして、前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と、前記ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
しかしながら最近では、(2)の方法の一種であるが、イミダゾールやキノリンなどのアミン類を触媒としてワニスに含有させることによって乾燥時におけるイミド化を促進させる方法がとられることも多い。ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが必要であるが、これによると、より低温でイミド化が促進され、機械的耐久性も向上するといわれている。しかし、これらの触媒は極少量であり、乾燥中に分解・昇華するものもあるが、不純物として残留するものもあり好ましくない。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
イミド化率=[(A)/(B)]×100
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm−1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm−1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm−1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm−1とアミド基の特性吸収1,670cm−1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm−1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
配合する材料としては、例えば抵抗調整剤、補強材、レベリング剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等を配合することができる。この中でも特に抵抗調整剤は重要である。
抵抗制御剤としては、ポリイミドの抵抗値を調整しうるものなら適用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、あるいは、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などの充填材やポリエーテルアミドやポリエーテルエステルアミド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどのような導電性高分子材料、また、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどのようなイオン導電性材料を用いてもよい。また、これらを併用することも可能である。なお、本発明における抵抗制御剤は、これらの例示化合物に限定されるものではない。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッキェンブラック、チャネルブラック、などのものが使用できるが、これらの表面を酸化処理した酸化処理カーボンブラックが好ましい。
また、必要に応じて分散助剤を用いてもよい。さらには、カーボンブラックの表面官能基と、その官能基と反応性を有する有機化合物とを反応させて表面処理したものでもよい。
ポリアミック酸溶液に抵抗調整剤を分散させる分散液作製工程、該工程により得られる分散液を所定の抵抗調整材の含有量に調整する塗布液作製工程、該工程により作製された塗布液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程、支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する工程、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する工程、形成された薄膜を支持体から離型しシームレスベルトとすることにより製造される。
ここでは、抵抗制御剤としてカーボンブラックを分散させる方法を例として説明する。なお、一例でありこれに限定されるものではない。
該分散液にポリイミド前駆体溶液を混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。
また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
前記中間転写ベルト上の線状の凸部作製方法で述べた通り、遠心成形用の型である金属製の円筒支持体外面上にスッパタリングで凹部を作製した後、型に離型剤を塗布し、所定膜厚のポリアミック酸を含む塗布液を塗布後、熱風乾燥機、IHヒーター、遠赤外線ヒーターなどにより塗膜を乾燥させる。乾燥においては、まず、80〜120℃程度の温度にて10〜60分間乾燥させ、その後、2〜5℃/分程度の昇温速度にて昇温させ、300〜400℃でイミド化焼成を行なう。
[金属石鹸]
潤滑剤としては公知の種々のものを用いることができるが、特に好ましいものとして金属石鹸を挙げることができる。
金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものを用いることができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物や、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、以下、ステアリン酸と同様の化合物を用いることができる。これらは有機系の固形潤滑剤となりやすく、トナーとの相性も良い。
本発明の金属石鹸はステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物であることが好ましい。一定量のパルミチン酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を混合することで、中間転写ベルトの線速が速くても、中間転写ベルト上へ潤滑剤が引伸ばされ、中間転写ベルトを覆うことができる。
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は、何れも脂肪酸金属塩であるが、脂肪酸部分はステアリン酸は炭素数が18であり、パルミチン酸は炭素数が16である。そのため、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は構造が似ていて、よく相溶し、ほぼ同じ材料としてふるまい、何れも中間転写ベルトを同じように保護することができる。
また、パルミチン酸亜鉛はステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、パルミチン酸亜鉛が一定量以上含有していると、潤滑剤が引伸ばされやすくなるため、中間転写ベルトの線速が速くても、潤滑剤は十分中間転写ベルトを被覆できるものと思われる。
異なる金属石鹸を加えても良い。ただし、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛と構造的に大きく異なる金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛が中間転写ベルト上に形成する潤滑剤層を乱す恐れがあるため好ましくなく、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛と構造が似ている金属石鹸(炭素数が13〜20の脂肪酸の亜鉛石鹸)が好ましい。
作製した潤滑剤ブロックは、金属、合金、プラスチック等の基材に接着剤等で貼り付け
て用いられる。
料が確実に分かっていれば、材料の投入量で計算しても良いが、材料には必ず不純物を含
有しているため、製造された潤滑剤ブロック中のステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の
比率を製造ロット毎に測定することが好ましい。潤滑剤ブロック中のステアリン酸亜鉛と
パルミチン酸亜鉛の比率は、潤滑剤ブロックを塩酸−メタノール溶液に溶解し、80℃で
加熱することで、ステアリン酸、パルミチン酸をメチル化し、ガスクロマトグラフィーに
より、ステアリン酸、パルミチン酸の比率を求め、その比率をステアリン酸亜鉛とパルミ
チン酸亜鉛の比率に換算して求めることができる。
図3の模式図に、ベルト構成部等を装備した電子写真装置の要部概略構成を示す。
図3に示すベルト構成部である中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
図3において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像機(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、Bkトナー像が形成される。
そして、2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙(P)の先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行なわれる。
図4は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK),(21Y),(21M),(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
本発明の中間転写ベルトは400mm/sec以上の線速でも使用可能であるが、実用上は600mm/sec未満である。
[中間転写ベルトAの作製]
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、カーボン分散液を作製した。
<分散液構成材料>
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産 固形分18%) 2重量部
・カーボンブラックSpecialblack4A(デグサ) 8重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学) 90重量部
上記分散液を用いて、下記の構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機にて、混合、脱泡し、塗布液を得た。
・上記カーボンブラック分散液 50重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産 ;固形分18wt%) 50重量部
・ポリエーテル変性シリコンFZ2105(東レダウコーニング) 0.01重量部
次に、離型剤を施した外径100mm、長さ300mmのドラム状金属筒を型として用い、50rpm(回/分)で金属筒を回転させながら、上記塗工液を金属筒の内面に均一に流し込んで塗布した。ドラム状金属筒の内面にはスパッタリングにより深さ0.01μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整した。塗布量としては最終的な膜厚が70μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度2℃/分で310℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。加熱を停止した後、常温まで徐冷した。
これにより表面上に高さ0.01μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトAを得た。
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(一次粒径:0.18μm)を下記に示す割合になるように秤量し、145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した潤滑剤を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×長さ350mmの潤滑剤ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを潤滑剤用の基材に接着剤で貼り付けて、潤滑剤Aを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 45重量比
・パルミチン酸亜鉛 55重量比
[中間転写ベルトBの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に高さ0.02μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に深さ0.02μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトBを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトCの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm 、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm 、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトCを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトDの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ高さ1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトDを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトEの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ高さ0.1μm、幅0.5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトEを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトFの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅2μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅2μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトFを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトGの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅5μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅5μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトGを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトHの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が3000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が3000μm2である中間転写ベルトHを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトIの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が15000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が15000μm2である中間転写ベルトIを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトJの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が30000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が30000μm2である中間転写ベルトJを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Bの作製]
実施例1に記載の潤滑剤Aと、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の割合以外は同様に作製する。ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合にして、潤滑剤Bを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 75重量比
・パルミチン酸亜鉛 25重量比
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Cの作製]
実施例1に記載の潤滑剤Aと、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の割合以外は同様に作製する。ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合にして、潤滑剤Cを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 70重量比
・パルミチン酸亜鉛 30重量比
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Dの作製]
実施例1に記載の潤滑剤Aと、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の割合以外は同様に作製する。ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を下記に示す割合にして、潤滑剤Dを得た。
<潤滑剤構成材料>
・ステアリン酸亜鉛 40重量比
・パルミチン酸亜鉛 60重量比
[中間転写ベルトKの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.005μm、幅1μm の線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.005μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトKを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトLの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ1.5μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ1.5μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトLを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトMの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅0.4μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトMを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトNの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅6μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が1000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅6μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が1000μm2である中間転写ベルトNを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトOの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が900μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が900μm2である中間転写ベルトOを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
[中間転写ベルトPの作製]
実施例1に記載の中間転写ベルトAと、表面上の凸部の形状以外は同様の方法で作製した。成型型内面に深さ0.1μm、幅1μmの線状の凹部を作製し、前記凹部で囲まれた面積が35000μm2になるように調整し、表面上に高さ0.1μm、幅1μmの線状の凸部が存在し、前記凸部で囲まれた面積が35000μm2である中間転写ベルトPを得た。
実施例1に記載の潤滑剤Aを用いた。
実施例3に記載の中間転写ベルトCを用いた。
[潤滑剤Eの作製]
ステアリン酸亜鉛(一次粒径:0.18μm)を145℃に加熱して溶融し、成型型に溶融した潤滑剤を流し込み、冷却することで、40mm×8mm×長さ350mmの潤滑剤ブロックを作製した(溶融成型で作製しているため、圧縮の度合は100%)。この潤滑ブロックを潤滑剤用の基材に接着剤で貼り付けて、潤滑剤Eを得た。
実施例1〜13、比較例1、比較例4〜7は異常画像が見られなかった。
比較例2は1枚目から明らかに分かるスジ状の異常画像が発生した。
比較例3は1枚目から明らかな中抜け異常画像が発生した。
比較例1はブラックに、僅かにスジ状の異常画像が発生した。
比較例4はイエロー以外の画像において、拡大鏡で見るとドットが流れている場所が見られ、明らかに許容範囲を越えていた。
比較例5、6は、全ての色に、色むら異常画像が発生し、明らかに許容範囲を越えていた。
比較例7はイエロー以外の色に、拡大鏡で見るとドットが流れている場所が見られ、特にマゼンタにおいては明らかに許容範囲を越えていた。
実施例1,4、8,10、11、13のイエロー以外の画像において、拡大鏡で見るとわずかにドットが流れている場所が見られたが、実使用上は全ての色の画像で許容範囲であった。
実施例2、3,9、12では全ての色において高品質な画像が得られた。
××:23℃45%、250mm/秒で異常画像発生
× :23℃45%、450mm/秒で異常画像発生
○ :17℃10%、450mm/秒で異常画像発生
◎ :17℃10%、450mm/秒でも高品質画像形成
本発明により、電気特性が安定し、耐摩耗性に優れ、中抜けや濃度むら、色むらのような異常画像がなく、高品質なフルカラー画像を提供する長寿命なフルカラー電子写真装置の中間転写ベルトを提供することが可能となった。
P 転写紙
L 露光手段
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 トナー画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271 定着ローラ
272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
503 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図4について)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK 現像装置
20M 現像装置
20Y 現像装置
20C 現像装置
21BK 感光体
21M 感光体
21Y 感光体
21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK 1次転写バイアスローラ
23M 1次転写バイアスローラ
23Y 1次転写バイアスローラ
23C 1次転写バイアスローラ
24 ベルト駆動ローラ
25 ベルトクリーニング装置
26 ベルト従動ローラ
27 除電手段
28 光学センサ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 バイアスローラ
Claims (5)
- 画像形成領域に複数の線状凸部を有する中間転写ベルトであって、該複数の線状凸部は互いに交差し、高さ0.01以上1μm以下、幅0.5以上5μm以下であり、前記複数の線状凸部により囲まれた領域の面積の平均が1000〜30000μm2であることを特徴とする電子写真用中間転写ベルト。
- 金属石鹸を供給されながら画像形成を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 前記金属石鹸がステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合物であることを特徴とする請求項2に記載の中間転写ベルト。
- 線速400mm/sec以上で使用されるものであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1に記載の中間転写ベルト。
- 像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行ない、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置において、該中間転写ベルトが請求項1乃至4いずれか1に記載の中間転写ベルトであることを特徴とする電子写真装置。
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