以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態の画像形成装置は、潜像担持体ユニットを有する。
図1は、第1実施形態の画像形成装置に備えられた潜像担持体ユニットの概略構成を中心に示した図である。
この図1には、本発明の第1の画像形成装置の技術的思想の一例が示されている。図1に示す画像形成装置1が有する潜像担持体ユニット1aは、回転軸101を中心にして矢印R方向に回転する潜像担持体ドラム10を備え、この潜像担持体ドラム10の周囲には、潜像担持体ドラム10の表面を帯電させる帯電領域に帯電装置20が備えられているほか、露光装置31、現像装置40、転写ロール32、クリーニング装置60、および除電ランプ33も備えられている。さらに、この画像形成装置1には、潜像担持体ドラム10と転写ロール32との間を通過する中間転写ベルト50も備えられている。図1に示す画像形成装置1では、潜像担持体ドラム10と転写ロール32によって挟み込まれた領域が1次転写領域になり、帯電装置20、露光装置31、および現像装置40は、この1次転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向上流側に配備されている。一方、クリーニング装置60および除電ランプ33は、この1次転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側に配備されている。
図1に示す画像形成装置1には、非接触帯電方式が採用されており、図1に示す帯電装置20はコロトロン帯電器である。なお、接触帯電方式を採用し、コロトロン帯電器に代えてロール状の帯電部材や、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などを配備してもよい。
図1に示す現像装置40は、トナー粒子およびトナー粒子よりも微粒子の外添剤を含む現像剤を収容した現像剤収容体41と、現像剤収容体41中のトナー粒子を担持して潜像担持体ドラム10の表面に接した状態で回転する現像ロール42を有する。潜像担持体ドラム10の表面には、この現像装置40によってトナー像が形成される。
以下、トナー像形成サイクルについて簡単に説明する。
トナー像形成サイクルが実行されると、まず、コロトロン帯電器25に帯電バイアスが印加され、帯電領域において潜像担持体ドラム10の表面は所定の電位に帯電される。その後、露光装置31によって画像情報に対応したレーザー光が照射され、潜像担持体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置40によって現像され、潜像担持体ドラム10の表面にはトナー像からなる可視像が形成される。こうして形成されたトナー像は、1次転写領域において中間転写ベルト50の表面に転写される。潜像担持体ドラム10の、1次転写領域を通過した表面は、後述するクリーニング装置60が配備された領域を経由した後、除電ランプ33によって除電され、一連のトナー像形成サイクルが終了する。1次転写領域において中間転写ベルト50の表面に転写されたトナー像は、その表面に担持されて2次転写領域へと送られるが、ここでは、2次転写領域における説明を行う前に、1次転写領域を通過した潜像担持体ドラム10について説明する。
1次転写領域を通過した潜像担持体ドラム10の表面には、未転写のトナーや外添剤、あるいは帯電において生じた放電生成物などの異物が残留している。図1に示すクリーニング装置60は、これらの異物を除去するための装置である。このクリーニング装置60は、
クリーニングブレード61、スプリングバネ66、潤滑剤供給装置67、および廃トナー搬送オーガ68を備えている。クリーニングブレード61は、転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側であって帯電領域よりも潜像担持体ドラム回転方向上流側の位置に配備されたものである。このクリーニングブレード61は、潜像担持体ドラム10の回転軸の延在方向に延びる板状のものであって、その先端エッジ部611は、スプリングバネ66の付勢力によって潜像担持体ドラム10の表面に所定の圧接力で所定の圧接角をもって圧接している。クリーニングブレード61は、潜像担持体ドラム10が回転することで、潜像担持体ドラム表面に残留した異物を掻き取るものである。クリーニングブレード61によって掻き取られた異物は、廃トナー搬送オーガ68によってクリーニング装置60の外まで搬送される。
潤滑剤供給装置67は、転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側であってクリーニングブレードよりも潜像担持体ドラム回転方向上流側の位置に配備されたものである。図1に示す潤滑剤供給装置67は、固形潤滑剤671と、ロールブラシ672とフリッキング部材673とを有する。固形潤滑剤671は、ステアリン酸亜鉛を主成分とするものである。ロールブラシ672は、潜像担持体ドラム10の表面に接触する領域と固形潤滑剤671に接触する領域との2つの領域を経由して、潜像担持体ドラム10の回転軸101に対して平行な回転軸6721を中心に回転するものである。このロールブラシ672は、トナー像形成サイクルが実行されている間、回転し続ける。回転するロールブラシ672の毛部は固形潤滑剤671に接することで、固形潤滑剤を掻き取り、固形潤滑剤を担持して潜像担持体ドラム10の表面に接触する。これにより、潜像担持体ドラム10の表面には潤滑剤が塗布される。フリッキング部材673は、ロールブラシ672の毛部に所定量の食い込むように配備されたものである。潜像担持体ドラム表面に接触したロールブラシ672の毛部は、その表面に存在する残留異物を掻き取り、掻き取られた残留異物は毛部に付着する。フリッキング部材673は、ロールブラシ672が回転することにより、毛部に付着した残留異物を叩き落とすものである。このため、図1に示すロールブラシ672の毛部に残留異物が堆積することが防がれる。このような潤滑剤供給装置67によって潤滑剤が供給された潜像担持体ドラム表面には、高離型層が形成される。この高離型層上ではトナー粒子や現像剤に含まれる外添微粒子等の粒子が滑りやすく、高離型層にはこれらの粒子や放電生成物が付着しにくい。また、高離型層が形成されることで、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に加わる摩擦抵抗が低減される。なお、図1に示す潤滑剤供給装置67は、ロールブラシ672等を省略し固形潤滑剤671を潜像担持体ドラム表面へ直接押しつけるものであってもよい。
ここで、図1とともに図2も用いて、図1に示すクリーニング装置について説明する。
図2は、クリーニングブレードの延在方向を図の左右にとって図1に示すクリーニング装置を示した図である。
図1及び図2に示すクリーニングブレード61は、ポリウレタン弾性体からなるものである。このクリーニングブレード61は、図1及び図2に示すクリーニング装置60に備えられたブレードホルダ62によって保持されている。ブレードホルダ62の長手方向(図2の左右方向)両端部にはガイド621が設けられており、これらのガイド621には、ガイドピン63が挿通されている。ブレードホルダ62は、このガイドピン63を中心に回動自在なものである。また、ブレードホルダ62は、クリーニングブレード61を保持した状態でガイドピン63に案内されて、クリーニングブレード61の長手方向、すなわち図1に示す潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動自在なものである。ブレイドホルダの一端側(図2では右端側)には圧縮スプリングバネ64が配備されており、ブレードホルダ62は他端側(図2では左端)に向かって付勢されている。ブレードホルダ62のその他端側には、突き出しピン622が配備されている。
図1及び図2に示すクリーニング装置60には、このブレードホルダ62を往復動する往復動機構65が備えられている。往復動機構65は、傾斜カム651と、その傾斜カム651を回転駆動する駆動モータ652と、その駆動モータ652を制御する往復動動作制御部653を有する。ブレードホルダ62に設けられた突き出しピン622の突出端は、傾斜カム651のカム面の、その傾斜カム651の回転中心Lから偏心した位置に圧縮スプリングバネ64の付勢力によって当接している。そのため、駆動モータ652によって傾斜カム651が回転駆動されると、ブレードホルダ62は図2の左右方向に往復動する。図2には、傾斜カム651のカム面によって最も右側へ移動した状態のブレードホルダ62が示されており、この状態から傾斜カム651が回転すると、ブレードホルダ62は左側に移動し、その後再び図2に示す状態に戻る。潜像担持体ドラム10の表面に圧接しているクリーニングブレード61の先端エッジ部611は、ブレードホルダ62のこのような往復動作によって、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動する。
ここで、クリーニングブレード61の往復動動作を行うと潜像担持体ドラム10に振動が伝わることは免れず、トナー像形成サイクルが実行されている間にも往復動動作を行うと、露光装置31によるレーザ光の照射の際に、往復動動作による振動によってレーザ光のスポットの位置がブレて静電潜像に乱れが生じる恐れがある。このため、図1に示す画像形成装置1では、クリーニングブレード61の先端エッジ部611の往復動動作は、トナー像形成サイクルが実行されていない間に行われる。トナー像形成サイクルが実行されていない間とは、画像形成装置電源投入後の立ち上げ動作時、画像形成Jobの前サイクル動作時、作像間のインターイメージ、画像形成Jobの後サイクル動作時や潜像担持体ドラム1の回転停止時などが上げられるが、これらの中でも画像形成速度の影響の少ない、画像形成装置電源投入後の立ち上げ動作時、画像形成Jobの後サイクル動作時、後サイクル動作後の潜像担持体ドラム回転停止時にクリーニングブレード61の往復動動作を行うことが好ましい。図2に示す往復動動作制御部653は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、駆動モータ652に回転駆動開始の指示を与え、クリーニングブレード61の往復動動作を開始させる。ここで、往復動動作時にクリーニングブレード61の先端エッジ部611に強い摩擦抵抗力を与えるほど、付着物の除去は容易になる。潤滑剤が供給されることで潜像担持体ドラム表面に高離型層が形成されると、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に加わる摩擦抵抗は低減されるため、図1に示す画像形成装置1では、クリーニングブレード61の往復動動作が行われている間は、図1に示すロールブラシ672の回転を停止し、潜像担持体ドラム表面への潤滑剤の供給を停止する。こうすることにより、潜像担持体ドラム10の表面に高離型層が形成されず、往復動する先端エッジ部611に強い摩擦抵抗力が与えられ、先端エッジ部611の付着物が容易に除去される。したがって、図1に示す画像形成装置1では、クリーニングブレード61の先端エッジ部611のダメージ劣化を抑えつつ先端エッジ部611への付着物の堆積が長期にわたり抑制される。
なお、図2に示す往復動機構65によってクリーニングブレード61を往復動させたが、潜像担持体ドラム10をその回転軸101の延在方向に往復動させてもよい。また、本発明の第1の画像形成装置によれば、クリーニングブレード61の往復動動作を、トナー像形成サイクルが実行されている間にも行ってよく、潜像担持体ドラム表面への潤滑剤供給をクリーニングブレード61が往復動動作している間にも行ってよい。
続いて、図3を用いて、図1に示す画像形成装置の2次転写領域における説明を行う。
図3は、図1に示す画像形成装置の2次転写領域を示した図である。
図3にも、図1に示す中間転写ベルト50の一部が示されている。この中間転写ベルト50は、支持ロール51に支持されて不図示の回転軸を中心に反時計回りの方向に循環移動するシームレスベルトである。この図3には、本発明の第2の画像形成装置の技術的思想の一例が示されており、この中間転写ベルト50が本発明にいう中間転写体の一例に相当する。
また、図3には、2次転写を行う一括転写装置70も示されている。この一括転写装置70は、中間転写ベルト50の、トナー像Tが担持された表面側に圧接配置された2次転写ロール71と、中間転写ベルト50の裏面側に配置されたバックアップロール72を備えており、これら2つのロール71,72で中間転写ベルト50を挟みこんでいる。これら2つのロール71,72によって挟み込まれた領域が2次転写領域になる。2次転写領域は、1次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側に設けられた領域である。この2次転写領域には記録用紙Pが搬送されてくる。2次転写領域では、中間転写ベルト50に担持されたトナー像Tが、搬送されてきた記録用紙P上に転写される。記録用紙P上に転写されたトナー像を構成するトナーは、不図示の定着ロールによって加熱され記録用紙Pに定着する。これで、一連の画像形成サイクルが終了する。
さらに、図3には、図1に示す画像形成装置1が備えるベルトクリーナ80も示されている。このベルトクリーナ80は、1次転写領域、さらには2次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側に設けられたものであって、その構成は、潤滑剤供給装置67を除いて図1及び図2に示すクリーニング装置60の構成と同じであるが、クリーニングブレード81の先端エッジ部811は中間転写ベルト50の表面に接している。すなわち、クリーニングブレード81は、1次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側に配備されたものであり、その先端エッジ部811は、中間転写ベルト50の、支持ロール51に巻き掛けられた部分の表面に接している。この図3に示すベルトクリーナ80は、このクリーニングブレード81の先端エッジ部811によって、中間転写ベルト50の表面に残留した異物を掻き取るものである。中間転写ベルト50が循環移動することで、中間転写ベルト50の、1次転写領域を通過した後の表面とクリーニングブレード81の先端エッジ部811の間に摺擦が生じ、表面に存在する残留異物が先端エッジ部811によって掻き取られる。なお、この図3では、往復動機構が図示省略されているが、この往復動機構の構成は、図2に示すクリーニング装置60に備えられた往復動機構65の構成と同様である。
図3に示す潤滑剤供給装置87は、1次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側であってクリーニングブレード81よりも中間転写ベルト循環方向上流側に配備されたものである。この潤滑剤供給装置87は、潤滑剤を中間転写ベルト50の表面に供給する装置であり、その構成は、図1に示す潤滑剤供給装置の構成に、本発明にいう回動部の一例に相当する回動アーム874と、本発明にいうモーメント発生部の一例に相当するおもり875を追加した構成である。図3に示す潤滑剤供給装置87では、固形潤滑剤871は回動アーム874によって保持されており、その回動アーム874は、ロールブラシ872の回転軸8721に平行な回動軸8741を回動中心にして回動自在に支持されたものである。また、回動アーム874の、固形潤滑剤871を保持する面とは反対の面にはおもり875が配備されている。したがって、回動アーム874には、おもり875の重量によるモーメントが生じており、この潤滑剤供給装置87では、回動アーム874に保持された固形潤滑剤871が、おもり875の重量によるモーメントによってロールブラシ872の毛部に押し付けられている。このような構成の潤滑剤供給装置87によれば、固形潤滑剤が中間転写ベルト50の回転軸方向に均一に長期にわたって安定して供給され、さらには、後述する潤滑剤の過剰供給の問題が解消される。図3に示すベルトクリーナ80は、画像形成サイクルが実行されている間、ロールブラシ872によって中間転写ベルト50の表面に潤滑剤を供給し、中間転写ベルト50の表面には高離型層が形成される。なお、図3に示す潤滑剤供給装置87は、図1に示す潤滑剤供給装置67であってもよいし、あるいはロールブラシ872等を省略し固形潤滑剤871を中間転写ベルト表面へ直接押しつけるものであってもよい。
中間転写ベルト50の表面に圧接しているクリーニングブレード81の先端エッジ部811は、図3では不図示の往復動機構(図2参照)によって、中間転写ベルト50の表面に対して、中間転写ベルト50の回転軸の延在方向(図3では紙面に対して垂直な方向)に往復動する。このクリーニングブレード81の先端エッジ部811の往復動動作は、画像形成サイクルが実行されていない間に行われる。ここにいう画像形成サイクルが実行されていない間とは、上述したトナー像形成サイクルが実行されていない間と同じように理解して構わない。往復動動作制御部は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、往復動動作の動力源となる駆動モータに回転駆動開始の指示を与え、クリーニングブレード81の往復動動作を開始させる。この際、図3に示すベルトクリーナ80でも、ロールブラシ872の回転を停止し、中間転写ベルト表面への潤滑剤の供給を停止する。こうすることにより、中間転写ベルト50の表面に高離型層が形成されず、往復動する先端エッジ部811に強い摩擦抵抗力が与えられ、先端エッジ部811の付着物が容易に除去される。この結果、図1に示す画像形成装置1では、中間転写ベルト50の表面に圧接するクリーニングブレード81においても、先端エッジ部811のダメージ劣化を抑えつつ先端エッジ部811への付着物の堆積が長期にわたり抑制される。
なお、この図3に示すベルトクリーナ80でも、クリーニングブレード81を往復動させたが、中間転写ベルト50をその回転軸の延在方向に往復動させてもよい。また、本発明の第2の画像形成装置においても、クリーニングブレード81の往復動動作を、画像形成サイクルが実行されている間にも行ってよく、中間転写ベルト表面への潤滑剤供給をクリーニングブレード81が往復動動作している間にも行ってよい。
本実施形態では、上述のごとく潜像担持体ドラム10のクリニング性能が良好であるため問題にならないが、さらに好ましくは、この2次転写ロール71の表面にも本発明の構成のクリーナーを配設することにより、多数枚に亘り良好な画像形成を行なうことができる。その一例として、2次転写ロール71をクリーニング対象物としたときの例を説明する。
図4は、本願発明の構成のクリーニング装置をさらに2次転写装置に設けた図である。
この図4には、図3と同じく、1次転写領域において中間転写ベルト50に転写されたトナー像Tが示されており、中間転写ベルト50はその表面でトナー像を担持している。また、図4には、2次転写ロール71とバックアップロール72を備えた一括転写装置70も示されている。2次転写ロール71は、中間転写ベルト50の、トナー像Tが担持された表面に接触した状態で、所定の回転軸711を中心に時計回りに回転するものである。
また、図4には、ロールクリーナ90も示されている。図4に示すロールクリーナ90は、2次転写領域よりも、回転部材である2次転写ロール71の回転方向下流側に配備されたものである。このロールクリーナ90の構成は、図1に示すクリーニング装置60の構成と同じであるが、クリーニングブレード91の先端エッジ部911とロールブラシ972はそれぞれ2次転写ロール71の表面に接触している。すなわち、クリーニングブレード91は、2次転写領域よりも2次転写ロール回転方向下流側に配備されたものであり、その先端エッジ部911は、2次転写ロール71の表面に接している。また、潤滑剤供給装置97に配備されたロールブラシ972は、2次転写領域よりも2次転写ロール回転方向下流側であってクリーニングブレード91よりも2次転写ロール回転方向上流側に配備されたものであり、2次転写ロール71の表面に接触する領域と固形潤滑剤971に接触する領域との2つの領域を経由して回転するものである。この変形例では、画像形成サイクルが実行されている間、ロールブラシ972によって2次転写ロール71の表面に潤滑剤を供給し、2次転写ロール71の表面には高離型層が形成される。
図4に示すロールクリーナ90は、クリーニングブレード91の先端エッジ部911によって、2次転写ロール71の表面に残留した異物を掻き取るものである。2次転写ロール71が回転することで、2次転写ロール71の、2次転写領域を通過した後の表面とクリーニングブレード91の先端エッジ部911の間に摺擦が生じ、表面に存在する残留異物が先端エッジ部911によって掻き取られる。また、この図4では、往復動機構が図示省略されているが、この往復動機構の構成は、図2に示すクリーニング装置60に備えられた往復動機構65の構成と同様である。2次転写ロール71の表面に圧接しているクリーニングブレード91の先端エッジ部911は、図4では不図示の往復動機構(図2参照)によって、2次転写ロール71の表面に対して、2次転写ロール71の回転軸711の延在方向(図4では紙面に対して垂直な方向)に往復動する。このクリーニングブレード91の先端エッジ部911の往復動動作は、画像形成サイクルが実行されていない間に行われる。往復動動作制御部は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、往復動動作の動力源となる駆動モータに回転駆動開始の指示を与え、クリーニングブレード91の往復動動作を開始させる。この際、図4に示すロールクリーナ90でも、ロールブラシ972の回転を停止し、2次転写ロール表面への潤滑剤の供給を停止する。こうすることにより、2次転写ロール71の表面に高離型層が形成されず、往復動する先端エッジ部911に強い摩擦抵抗力が与えられ、先端エッジ部911の付着物が容易に除去される。この結果、この変形例では、2次転写ロール71の表面に圧接するクリーニングブレード91において、先端エッジ部911のダメージ劣化を抑えつつ先端エッジ部911への付着物の堆積が長期にわたり抑制される。
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。以下、これまで説明した画像形成装置の構成要素と同じ構成要素には今まで用いた符号を付し、重複する説明は省略して説明する。
図5は、第2実施形態の画像形成装置に備えられた潜像担持体ユニットの概略構成を中心に示した図である。
この図5に示す画像形成装置1は、中間転写ベルトに代えて用紙搬送ベルト55を備えている。この用紙搬送ベルト55は、図1に示す中間転写ベルト50と同じく、潜像担持体ドラム10と転写ロール32の間を通過するものであり、この図5に示す画像形成装置1においても潜像担持体ドラム10と転写ロール32によって挟み込まれた領域が1次転写領域になる。用紙搬送ベルト55は、表面に記録用紙Pを担持してこの1次転写領域に記録用紙Pを搬送するものである。したがって、図5に示す画像形成装置1では、潜像担持体ドラム10の表面に形成されたトナー像が1次転写領域において記録用紙Pに直接転写される。
また、図5に示す画像形成装置1は、図1及び図2に示すクリーニング装置の構成と同じクリーニング装置60を備えている。すなわち、転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側であって帯電領域よりも潜像担持体ドラム回転方向上流側の位置に配備されたクリーニングブレード61や、転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側であってクリーニングブレード61よりも潜像担持体ドラム回転方向上流側の位置に配備された潤滑剤供給装置67を備えている。図5に示す画像形成装置1でも、画像形成サイクルが実行されている間、ロールブラシ672によって潜像担持体ドラム10の表面に固形潤滑剤671を供給し、潜像担持体ドラム10の表面には高離型層が形成される。さらに、図5では図示省略されているが、この第2実施形態の画像形成装置のクリーニング装置60にも、クリーニングブレード61の先端エッジ部611を、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動させる往復動機構65(図2参照)が配備されており、このクリーニングブレード61の往復動は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて実行される。したがって、本実施形態における画像形成装置1においても、潜像担持体ドラム10の表面に圧接するクリーニングブレード61の先端エッジ部611のダメージ劣化を抑えつつ先端エッジ部611への付着物の堆積が長期にわたり抑制される。
この実施形態でも、上述のごとく潜像担持体ドラム10のクリニング性能が良好であるため問題にならないが、さらに好ましい例としては、用紙搬送ベルト55にも本発明の構成のクリーニング装置を配設することが望ましい。
図6は、図5に示す画像形成装置に配備された用紙搬送ベルトの一部と、そのベルトをクリーニングする、本願発明の構成のベルトクリーナを追加した図である。
図6に示す画像形成装置に配備された用紙搬送ベルト55は、不図示の支持ロールに支持された状態で駆動ロール551からの回転駆動力を受けて、不図示の回転軸を中心に反対時計回りの方向に循環移動するシームレスベルトである。
また、図6に示すベルトクリーナ80は、1次転写領域よりも、回転部材である用紙搬送ベルト55の循環移動方向下流側に配備されたものである。このベルトクリーナ80の構成は、図3に示す中間転写ベルト50をクリーニングするベルトクリーナ80の構成と同じであるが、クリーニングブレード81の先端エッジ部811とロールブラシ872はそれぞれ用紙搬送ベルト55の表面に接触している。すなわち、クリーニングブレード81は、1次転写領域よりも用紙搬送ベルト循環方向下流側に配備されたものであり、その先端エッジ部811は、用紙搬送ベルト55の表面に接している。また、潤滑剤供給装置87に配備されたロールブラシ872は、1次転写領域よりも用紙搬送ベルト循環方向下流側であってクリーニングブレード81よりも用紙搬送ベルト循環方向上流側に配備されたものであり、用紙搬送ベルト55の表面に接触する領域と固形潤滑剤871に接触する領域との2つの領域を経由して回転するものである。本実施形態では、画像形成サイクルが実行されている間、ロールブラシ872によって用紙搬送ベルト55の表面に潤滑剤を供給し、用紙搬送ベルト55の表面には高離型層が形成される。
図6に示すベルトクリーナ80は、クリーニングブレード81の先端エッジ部811によって、用紙搬送ベルト55の表面に残留した異物を掻き取るものである。用紙搬送ベルト55が循環移動することで、用紙搬送ベルト55の、1次転写領域を通過した後の表面とクリーニングブレード81の先端エッジ部811の間に摺擦が生じ、表面に存在する残留異物が先端エッジ部811によって掻き取られる。また、この図6では、往復動機構が図示省略されているが、この往復動機構の構成は、図2に示すクリーニング装置60に備えられた往復動機構65の構成と同様である。用紙搬送ベルト55の表面に圧接しているlクリーニングブレード81の先端エッジ部811は、図6では不図示の往復動機構(図2参照)によって、用紙搬送ベルト55の表面に対して、用紙搬送ベルト55の回転軸の延在方向(図6では紙面に対して垂直な方向)に往復動する。このクリーニングブレード81の先端エッジ部811の往復動動作は、画像形成サイクルが実行されていない間に行われる。往復動動作制御部は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、往復動動作の動力源となる駆動モータに回転駆動開始の指示を与え、クリーニングブレード81の往復動動作を開始させる。この際、図6に示すベルトクリーナ80でも、ロールブラシ872の回転を停止し、用紙搬送ベルト表面への潤滑剤の供給を停止する。こうすることにより、用紙搬送ベルト55の表面に高離型層が形成されず、往復動する先端エッジ部811に強い摩擦抵抗力が与えられ、先端エッジ部811の付着物が容易に除去される。
以上、複数の画像形成装置について説明したが、これまで説明した画像形成装置に用いることができる潜像担持体ドラムについて詳述する。
潜像担持体ドラムは、ドラム状の導電性基体と、その導電性基体の上に設けられた下引き層と、その下引き層の上に設けられた電荷発生層と、その電荷発生層の上に設けられた電荷輸送層とを有する積層構造物である。
導電性基材としては、アルミニウム・銅・鉄・ステンレス・亜鉛・ニッケルなどの金属ドラムとしてもよいし、シート・紙・プラスチック又はガラス上にアルミニウム・銅・金・銀・白金・パラジウム・チタン・ニッケルークロム・ステンレス鋼・銅・インジウム等の金属を蒸着したり酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したものとしてもよいし、金属箔をラミネートしたり、或いは、カーボンブラック・酸化インジウム・酸化錫・酸化アンチモン粉・金属粉・沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理したもの等が用いられる。なお、導電性基材の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。ここで、導電性基材を金属パイプとした場合、表面は素管のままであってもよいし、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等の有機金属化合物等が挙げられ、これらの中でも有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すので好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。なお、下引き層を省略することもでる。
電荷発生層に含有される電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質なら何でも使用できる。赤外光用ではフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール、可視光用としては縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物微粒子等を用いる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる潜像担持体ドラムを得ることができる。また、フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生物質としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
フタロシアニン顔料結晶は公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系があげられる。使用される溶剤は、顔料結晶に対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100℃好ましくは−10〜60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる
また、電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ここで分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることは高感度・高安定性に対して有効である。
さらに、電荷発生材料は電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるがこれに限定されるものではない。表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
また、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
さらに、この電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
また、この電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であるが、下記に示すものを例示することができる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質。あるいは上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層の結着樹脂は公知のものであればいかなるものでも使用することが出来るが、電機絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂。シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N―カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシーメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れ好ましく用いられる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。電荷輸送層の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜40μmが適当である。さらにこの電荷輸送層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
さらに、潜像担持体ドラムには、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光熱による潜像担持体ドラムの劣化を防止する目的で、電荷輸送層等の中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加する事ができる。
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル フェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル フェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル 6−t−ブチル フェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチル フェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチル フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ 3’,5’−ジ−t−アミル フェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。潜像担持体ドラムに使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
また、電荷輸送層にはシリカやフッ素系樹脂のような微粒子を含有させることもできる。フッ素系樹脂の電荷輸送層中含量は、電荷輸送層全量に対し、0.1〜40wt%が適当であり、特に1〜30wt%が好ましい。含量が1wt%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40wt%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
また塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
また、電荷輸送層表面の磨耗、傷などに対する耐性を持たせるため、電荷輸送層表面に高強度表面層を設けることもできる。この高強度表面層としては、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができるが、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂からなるものが好ましく、このうち特に、一般式 (I) で示される構造のものが強度、安定性に優れ好ましい。一般式 (I)におけるFは、光キャリア輸送特性を有する構造として、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などが挙げられる。
G、D、Fを含む樹脂:一般式(I)
G:無機ガラス質ネットワークサブグループ
D:可とう性有機サブユニット
F:電荷輸送性サブユニット
一般式(I)におけるG、特に好ましくは反応性を有するSi基は、互いに架橋反応を起こして3次元的なSi−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成するためのものである。
一般式(I)におけるDとは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。
一般式(I)で表される化合物と結合可能な基とは、一般式(I)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−Si (R1)(3-a) Qaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどを意味する。これらのうち、−Si (R1)(3-a) Qaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基が有する化合物がより強い機械強度を有するため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2つ以上持つものが硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などを用いることができる。また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ −1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
また、膜の強度を向上させるために、−Si (R1)(3-a) Qaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)で示される化合物1部に対し0.5〜30部、好ましくは、1〜20部で使用される。反応温度および時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは、150〜50℃の温度で行うことが好ましい。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
さらに、硬化触媒としては、以下の様なものをあげることができる。
塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられるが、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
図1や図5に示す非接触帯電方式のコロトロン帯電器が配備された潜像担持体ドラムの表面架橋硬化膜には、帯電器で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。潜像担持体ドラム表面の機械的強度を高め、潜像担持体ドラムが長寿命になると、潜像担持体ドラムが酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20重量%以下が望ましく、10重量%以下がさらに望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の分子量は2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。添加量は1〜40%が好ましく、さらに好ましくは1〜30%であり、5〜20%が最も好ましい。1%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる。
更に、潜像担持体ドラム表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径1〜100nm、好ましくは10〜30の酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から最表面層の全固形分中の0.1〜50重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、平均粒子径1〜500nm、好ましくは10〜100nmの、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、潜像担持体ドラムの表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、潜像担持体ドラム表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。潜像担持体ドラムにおける最表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1〜30重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物をあげることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等をあげることができる。
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型潜像担持体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
単層型潜像担持層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型潜像担持層中の電荷発生物質の含有量は、10から85重量%程度、好ましくは20から50重量%とする。単層型潜像担持層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(I)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
さらに、潜像担持体ドラムの最表面層をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理こともできる。この場合、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
潜像担持体ドラムの表面層を処理するフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について説明する。
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマーまたはクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマーなどが挙げられ、特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5〜10:90で混合して用いることも好ましい。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液にはさらにワックス及び/またはシリコーンを含有させることもできる。ワックス及び/またはシリコーンを含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペロトラタムなど、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、シリコーンワニスなどが挙げられる。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤などを混合することもできる。
浸透層の形成は、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うことができるが、フッ素系樹脂の浸透を促進するために、減圧下で行うこともできる。この際の圧力としては、0.9気圧以下、好ましくは、0.8気圧以下、より好ましくは0.7気圧以下にて処理する。また、水性分散液を40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱することが浸透の促進に効果的である。さらに、0.1気圧以上、好ましくは、0.2気圧以上、より好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。 また、スプレーや、塗布法により付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱し、浸透層を形成することもできる。フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行なった後にふき取り、あるいは洗浄を行うこともできる。
続いて、これまで説明した画像形成装置に用いることができる現像剤について詳述する。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー粒子は結着樹脂と着色剤、離型剤等とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。体積平均粒径は2〜12μmの範囲が好ましく3〜9μmの範囲がより好ましい。また、トナー粒子の最大直径をL、トナー粒子の投影面積をAとし、トナー粒子の形状係数を
SF1=(πL2/4A)×100
で表したとき、そのSF1の値が115以上140以下であることが好ましく、125以上135以下であることがより好ましい。形状係数SF1が115以上140以下であるトナー粒子は、真球に近い形状のトナー粒子であり、このようなトナー粒子を用いて静電潜像を現像することで、高い現像性,転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。また、トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー、および磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
トナーに添加される潤滑剤としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。
特にトナーに添加する潤滑剤(外添剤)としては劈開性を有することから摩擦低減効果の高い脂肪酸金属塩、特にはステアリン酸亜鉛が良い。ステアリン酸亜鉛の添加量は0.01〜2.0%重量部が好ましく、更に0.05〜0.5%重量部がより好ましい。0.01%より少ない場合は十分な潤滑効果を発揮できず、2.0%よりも多い場合は潜像担持体ドラムへの付着量が過剰となり、高温高湿下で像流れが発生し易くなる上、トナーその物の帯電特性に悪影響を与えてしまう。
トナーには、潜像担持体ドラム表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などの研磨剤を加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。特に、より高画質な画像を形成するため重合法等により製造された球状トナーを用いることでクリーニングブレードによるクリーニング性の低下が懸念される場合には、このような研磨剤を加えておくことが好ましい。研磨剤に適した無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく行うことができる。
これらの粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると潜像担持体ドラム表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5〜1000nmの範囲、好ましくは5〜800nmの範囲、より好ましくは5〜700nmの範囲のものが使用される。また、前記滑性粒子の添加量との和が、0.6質量%以上であることが好ましい。
これまで説明した画像形成装置によれば、球状トナーを用いることによりクリーニング助剤としての微粒子の添加量が増大しても、クリーニングブレードの先端エッジ部の付着物が容易に除去されるため、長期にわたり良好なクリーニング性能が維持される。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等のため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を、更に付着力低減や帯電制御のため、それより大径の無機酸化物を挙げることができる。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用することができるが、精密な帯電制御を行うためには、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を向上させる効果が大きくなる。また、潤滑性を向上させるために、球状の有機微粒子もしくは無機微粒子を添加することが出来る。そのような粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、シリカ微粒子等を挙げることができる。
トナーは、上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
また、トナーをカラートナーとして用いる場合には、キャリアと混合して使用されることが好ましいが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉、またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、適宜設定することができる。
また、これまで説明した画像形成装置に用いることができるクリーニングブレードについて詳述する。
クリーニングブレードの材質としては公知の材質を用いることが可能であり、例えばウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。その中で耐摩耗性に優れていることからポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。また、クリーニングブレードとしては、例えば硬度(JISAスケール)50〜90,ヤング率(kg/cm2)40〜90,100%モジュラス(kg/cm2)20〜65,300%モジュラス(kg/cm2)70〜150,引っ張り強さ(kg/cm2)240〜500,伸(%)が290〜500,反発弾性(%)30〜70,引裂強さ(kg/cm2)25〜75,永久伸(%)が4.0以下の物性を有する物が使用可能である。また、クリーニングブレードの圧接力は0.098N/cm以上0.588N/cm以下、圧接角は17°以上30°以下であることが好ましい。なお、ここにいう圧接角とは、潜像担持体ドラムに対する圧接角を例にあげていえば、クリーニングブレードと、潜像担持体ドラムの、クリーニングブレードが圧接した部位からドラム循環方向下流側に広がる面とで挟まれた角度をいう。
また、これまで説明した画像形成装置に用いることができる固形潤滑剤について詳述する。
固形潤滑剤としては脂肪酸金属塩、特にはステアリン酸亜鉛が、劈開性を有し離型性向上効果が高いため、より効果的な高離型層の形成が可能である。潜像担持体ドラム、中間転写ベルト、2次転写ロール、用紙搬送ベルト等のクリーニング対象物表面の、ステアリン酸亜鉛の量を定量化するには、低塗布領域における少量の亜鉛量を検出することができるXPS分析(X線高電子分光分析)が適している。XPS分析法は、極表面の元素分析定量法として一般的に使われている分析法であり、感度および再現性に優れる分析法である。ここでは、Znの被覆率を、JPS−9010(日本電子(株)製)により測定したZnの全元素に対する比の値に基づいて決定した。すなわち、XPS分析は像担持体の極表面の分析であるため、ステアリン酸亜鉛の塗布量の増加に対してZnの全元素に対する比の値が飽和する。飽和したZn比の値を被覆率100%としてクリーニング対象物表面の亜鉛の被覆率を決定した。クリーニング対象物表面の亜鉛の被覆率を規定することにより、クリーニング対象物表面への潤滑剤の実効塗布量が決定される。
ここで、上記被覆率は、0.05%以上50%以下の範囲であることが好ましい。0.05%よりも少ない場合は効果が十分で無い場合が生じやすくなり、また50%よりも多い場合は、逆にクリーニングブレードのストレス増加によるブレードのダメージ劣化増加や、残留異物の掻き取り性まで低下させ、クリーニング対象物が潜像担持体ドラムである場合には高温高湿下で像流れを引き起こしやすいという問題や、クリーニング対象物が中間転写ベルト、2次転写ロール、用紙搬送ベルトである場合には抵抗が高くなりすぎ転写性能が悪化するといった問題が生じやすくなる。ステアリン酸亜鉛の過剰な塗布によるクリーニングブレードのストレス増加の理由としては以下の事が考えられる。本来、弾性を有するクリーニングブレードとクリーニング対象物の2体間の摩擦抵抗は大きく、それだけではブレードを滑らせることは出来ないが、トナーに添加してある微粒子等がトナーから離脱しブレードとクリーニング対象物の間に介在し潤滑を担っていると考えられる。しかし微粒子の介在は採取される画像によって変動し、画像非形成サイクルでは供給されない。クリーニング対象物表面に形成されたステアリン酸亜鉛の高離型層によりそれら微粒子介在の不均一性を抑制可能であるが過剰な塗布を行った場合、ブレードの潤滑剤となる微粒子がブレードとクリーニング対象物間に入り込みにくくなり、逆に潤滑効果が低下する傾向にある。
なお、その他の脂肪酸金属塩としてはステアリン酸のカドミウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミニウム、マグネシウム等の金属塩;二塩基性ステアリン酸鉛;オレイン酸の亜鉛、マグネシウム、鉄、コバルト、銅、鉛、カルシウム等の金属塩;パルミチン酸とアルミニウム、カルシウム等の金属塩;カプリル酸鉛;カプロン酸鉛;リノール酸亜鉛;リノール酸コバルト;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と亜鉛、カドミウム等の金属塩;及びこれらの混合物等が挙げられる。
さらに、これまで説明した画像形成装置に用いることができるロールブラシについて詳述する。
ロールブラシの材質としては、公知の材質を用いることが可能であるが、その中でも、ナイロン、アクリル又はポリプロピレンが好ましく、この中でも特にナイロンが長期安定性に優れるため好ましい。ブラシ表面の繊維太さは2〜10デニールが好ましく、さらに好ましくは3〜10デニールである。繊維太さを上記範囲にすることにより固形潤滑剤の掻き取りおよびクリーニング対象物への塗布が適切に行われれる。ブラシ表面の繊維長さ(※起毛の接着層厚は含まない)は2.5mm〜7mmが好ましく、さらに好ましくは3mm〜6.5mmである。繊維長さを上記範囲にすることにより、固形潤滑剤の掻き取りおよびクリーニング対象物への塗布が適切に行われれる。ブラシ表面の繊維密度は、15×103〜120×103本/inch2(23.4〜186本/mm2)が好ましく、さらに好ましくは20×103〜〜60×103本/inch2(31.0〜93.0本/mm2)である。繊維密度を上記範囲にすることにより、長期間にわたって均一な潤滑剤の塗布が可能となるため好ましい。ロールブラシの回転速度は、回転するクリーニング対象物に対する速度比が0.5から1.5の範囲で制御することが望ましい。周速度比が0.5より低いとブラシとクリーニング対象物の間にトナーがパッキングし、クリーニング不良やクリーニング対象物へのトナー固着の原因となる。周速度比が1.5より大きいとブラシ摺擦によりクリーニング対象物に傷等が発生する。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック各色の潜像担持体ユニットをそれぞれ有するFUJI XEROX製Docu Center Color 707を改造し、各潜像担持体ユニットの構成を図1に示す潜像担持体ユニット1aの構成と同じものに変更した。ただし、クリーニングブレードの往復動動作タイミングおよび潤滑剤供給タイミングは、後述するように図1を用いて説明したタイムングとは異なるタイミングで行うものとした。また、トナーには、重合法により製造した球状トナー(SF1が125、スチレン−アクリル樹脂を結着樹脂としたもの)を用いた。クリーニングブレードには、FUJI XEROX製Docu Center Color 400CP材質のものを用い、潜像担持体ドラムへの圧接力は0.25N/cmとした。さらに、固形潤滑剤にはステアリン酸亜鉛を用い、ロールブラシには、FUJI XEROX製Docu Center 707製品ブラシを用いた。この実施例1は、本発明の第1の画像形成装置の一実施例に相当する。
次いで、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色5%の画像密度画像でフルカラーにて高温高湿(28℃、80%RH)及び低温低湿(10℃、20%RH)で各40万枚、計80万枚の走行試験を行った。この走行試験では、画像形成装置電源投入後の立ち上げ動作から始まり、画像形成Jobの前サイクル動作、作像間のインターイメージをはさんだ画像形成サイクル動作、画像形成Jobの後サイクル動作を経て潜像担持体ドラムの回転停止が繰り返し行われた。この実施例1では、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を常時行った。すなわち、立ち上がりサイクルから潜像担持体ドラムの回転が停止するまでクリーニングブレードの往復動動作を、先端エッジ部の移動距離2mm,移動速度1mm/sとして連続的に行った。また、潤滑剤供給装置による潜像担持体ドラムへの潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)の供給も、クリーニングブレードの往復動動作と同じく常時行った。
続いて、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施した。クリーニング性の評価は80万枚走行後、低温低湿下で未転写のA3サイズの画像密度100%画像をクリーニングすることで評価を行った。この80万枚走行後のクリーニングでは、先端エッジ部をアルコールで清掃し、清掃前と清掃後でそれぞれノーマルモード(圧接力:0.25N/cm)と、圧接力を下げクリーニング能力にストレスを与えたストレスモード(圧接力:0.175N/cm)の2種類の条件でクリーニングを1回ずつ実施した。クリーニングブレードの圧接力の設定は、図1に示すスプリングバネ66をバネ常数の異なる物に変更することで行った。
また、先端エッジ部の観察では、レーザー顕微鏡により(キーエンス(株)製)先端エッジ部のダメージ状態を観察し官能評価を行った。
クリーニング性の評価結果及び先端エッジ部の観察結果を表1示す。
クリーニング性の評価における判断基準は以下の通りである。
◎:クリーニング性能問題なし
○:極軽微にクリーニング不良発生
×:クリーニング不良が発生
××:クリーニング不良が発生(レベル非常に悪い)
先端エッジ部の観察における判断基準は以下の通りである。
○:エッジ摩耗小
△:エッジ摩耗中
×:エッジ摩耗大
(実施例2)
クリーニングブレードの往復動動作を、常時動作から500枚毎の後サイクルに限って動作させる(1回の往復動作における往復回数は8回)ように変更した以外は実施例1と同様のテストを行った。すなわち、潤滑剤供給装置による潜像担持体ドラムへのステアリン酸亜鉛の供給は常時行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
クリーニングブレードの往復動動作を実施している間は、ロールブラシの回転を停止させステアリン酸亜鉛の供給を禁止にした以外は実施例2と同様のテストを実施した。すなわち、クリーニングブレードの往復動動作は500枚毎の後サイクルでのみ行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
クリーニングブレードの往復動動作を、500枚毎の後サイクル終了後に潜像担持体ドラムの回転が停止してから実施(1回の往復動作における往復回数は8回)した以外は実施例3と同様のテストを行った。すなわち、潤滑剤供給装置による潜像担持体ドラムへのステアリン酸亜鉛の供給はクリーニングブレードの往復動が行われている間を避けて行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 707を改造し、中間転写ベルトの表面をクリーニングする装置として図3に示すベルトクリーナを配備させた。ただし、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作は実施例1と同じ条件で常時行い、用紙搬送ベルトへの潤滑剤の供給も常時行った。また、トナー、クリーニングブレード、固形潤滑剤、およびロールブラシは、実施例1のものと同じものを用いた。この実施例5は、本発明の第2の画像形成装置の一実施例に相当する。
走行試験は実施例1と同様な走行試験を行い、走行試験後、走行後の中間転写ベルトのクリーニング性の評価及び中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施した。クリーニング性の評価は80万枚走行後、A3サイズの画像密度100%の画像を中間転写ベルトに直接転写させてクリーニングを行った以外は実施例1と同様に実施し、先端エッジ部の観察も実施例1と同様に実施した。得られた結果を表2に示す。
表2に示すクリーニング性の評価結果及び先端エッジ部の観察結果を得るにあたって使用した判断基準は、表1に示すこれらの結果を得るにあたって使用した判断基準と同じである。
(実施例6)
中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を、常時動作から500枚毎の後サイクルに限って動作させる(1回の往復動作における往復回数は8回)ように変更するとともに、潤滑剤供給装置による中間転写ベルトへのステアリン酸亜鉛の供給を、常時供給からクリーニングブレードの往復動が行なわれていない間に限って供給させるように変更した以外は実施例5と同様のテストを行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作及び潜像担持体ドラムへの潤滑剤の供給の双方を行わないこと以外は実施例1と同様のテストを行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を行わないこと以外は実施例1と同様のテストを行った。すなわち、潜像担持体ドラムへの潤滑剤の供給は常時行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
潜像担持体ドラムへの潤滑剤の供給を行わないこと以外は実施例1と同様のテストを行った。すなわち、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作は常時行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作及び潤滑剤の供給の双方を行わないこと以外は実施例5と同様のテストを行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレード往復動動作を行わないこと以外は実施例5と同様のテストを行った。すなわち、用紙搬送ベルトへの潤滑剤の供給は常時行った。結果を表2に示す。
表1に示すように、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードを対象にした実施例1から4までの各結果は、いずれも良好な結果である。また、表2に示すように、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードを対象にした実施例5および6の各結果も良好な結果である。いずれの実施例においても、エッジ清掃前のストレスモードにおけるクリーニング性が良好であることから、先端エッジ部に付着物が堆積していないことがわかる。また、清掃後のクリーニング性はクリーニングブレードの先端エッジ部の摩耗などに起因して悪化するものであり、また清掃前と清掃後の差分は先端エッジ部の付着物の堆積に起因するものと考えるが、いずれの実施例においても、これらのことが問題になることはない。一方、いずれの比較例においても、エッジ清掃前のストレスモードにおけるクリーニング性が不良であることから、先端エッジ部に付着物が堆積していることがわかる。
各実施例および各比較例を詳細に検討してみると、ステアリン酸亜鉛の供給を行わずにクリーニングブレードを常時動作させた比較例3では、クリーニングブレードに大きなブレードダメージが生じている。また、実施例の中においても、クリーニングブレードの往復動動作を、常時行った実施例1や5に比べ、所定タイミングに限って行った実施例2〜4や6の方が、ブレードダメージが少ないことがわかる。これらのことから、ステアリン酸亜鉛の供給はブレードダメージを抑えることができるが、往復動の動作時間の長短によりブレードダメージの大きさに差がでることがわかる。これに対して、ステアリン酸亜鉛の供給を常時行ったにもかかわらずクリーニングブレードの往復動動作を行わなかった比較例2や5では、ブレードダメージは抑えられているものの、先端エッジ部からの付着物の除去が不十分であることがわかる。また、ステアリン酸亜鉛の供給を、実施例1,2および実施例5のように常時行うよりも、実施例3,4および6のようにクリーニングブレードの往復動が行われている間を避けて行う方が、先端エッジ部からの付着物の除去能力は高いことがわかる。この除去能力の差は、ステアリン酸亜鉛の供給を常時行った場合には、クリーニングブレードの往復動動作を実施している間もステアリン酸亜鉛が供給され、先端エッジ部に与える摩擦抵抗力が低下したことによるものと考えられる。
以上のことから、本発明の画像形成装置は、クリーニングブレードの先端エッジ部に付着物が堆積することを長期にわたり抑制することと、ブレードダメージを抑えることとをバランス良く両立したものであることがわかる。