以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態の画像形成装置は、潜像担持体ユニットを有する。
図1は、第1実施形態の画像形成装置に備えられた潜像担持体ユニットの概略構成を中心に示した図である。
この図1には、本発明の第1の画像形成装置の技術的思想の一例が示されている。図1に示す画像形成装置1が有する潜像担持体ユニット1aは、回転軸101を中心にして矢印R方向に回転する潜像担持体ドラム10を備え、この潜像担持体ドラム10の周囲には、潜像担持体ドラム10の表面を帯電させる帯電装置20が備えられているほか、露光装置31、現像装置40、転写ロール32、クリーニング装置60、および除電ランプ33も備えられている。さらに、この画像形成装置1には、潜像担持体ドラム10と転写ロール32との間を通過する中間転写ベルト50も備えられている。図1に示す画像形成装置1では、潜像担持体ドラム10と転写ロール32によって挟み込まれた領域が1次転写領域になり、帯電装置20、露光装置31、および現像装置40は、この1次転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向上流側に配備されている。一方、クリーニング装置60および除電ランプ33は、この1次転写領域よりも潜像担持体ドラム回転方向下流側に配備されている。
図1に示す画像形成装置1には、接触帯電方式が採用されており、図1に示す帯電装置20は、潜像担持体ドラム10の表面に接触した状態で回転する帯電ロール21と、その帯電ロール21に帯電バイアスを供給する電源22と、その電源22を制御するバイアス制御部23を有する。帯電ロール21は、電気抵抗が103Ω〜108Ωに調整された材料から構成された単層構造の物である。この帯電ロール21に用いる材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、帯電部材として有効な電気抵抗を発現させ用いることができる。さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の任意の手法により、積層構造にして用いることもできる。この帯電ロール21には、電源22から直流電圧に振動電圧が重畳された帯電バイアスが供給される。帯電バイアスが供給された帯電ロール21は、潜像担持体ドラム10との接触部近傍の微小空隙で放電を発生させることにより潜像担持体ドラム10を帯電させる。なお、帯電ロール21に代えてブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などが適応可能である。また、帯電ロール21やブレード状の帯電部材については潜像担持体ドラム10に対し、接触状態に限らずある程度の空隙(100μm以下)を有した近接状態として配置しても構わない。
図1に示す帯電ロール21には、電源22から直流電圧に振動電圧が重畳された帯電バイアスが供給される。帯電バイアスが供給された帯電ロール21は、潜像担持体ドラム10との接触部近傍の微小空隙で放電が発生することにより潜像担持体ドラム10を帯電させる。
図1に示す現像装置40は、トナー粒子およびトナー粒子よりも微粒子の外添剤を含む現像剤を収容した現像剤収容体41と、現像剤収容体41中のトナー粒子を担持して潜像担持体ドラム10の表面に接した状態で回転する現像ロール42を有する。潜像担持体ドラム10の表面には、この現像装置40によってトナー像が形成される。
以下、トナー像形成サイクルについて簡単に説明する。
トナー像形成サイクルが実行されると、まず、帯電ロール21に、直流電圧に振動電圧が重畳された像形成帯電バイアスが供給され、潜像担持体ドラム10の表面は、その帯電ロール21により所定の電位に帯電される。その後、露光装置31によって画像情報に対応したレーザー光が照射され、潜像担持体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置40によって現像され、潜像担持体ドラム10の表面にはトナー像からなる可視像が形成される。こうして形成されたトナー像は、1次転写領域において中間転写ベルト50の表面に転写される。潜像担持体ドラム10の、1次転写領域を通過した表面は、後述するクリーニング装置60が配備された領域を経由した後、除電ランプ33によって除電され、一連のトナー像形成サイクルが終了する。1次転写領域において中間転写ベルト50の表面に転写されたトナー像は、その表面に担持されて2次転写領域へと送られるが、ここでは、2次転写領域における説明を行う前に、1次転写領域を通過した潜像担持体ドラム10について説明する。
1次転写領域を通過した潜像担持体ドラム10の表面には、未転写のトナーや外添剤、あるいは帯電において生じた放電生成物などの異物が残留している。図1に示すクリーニング装置60は、これらの異物を除去するための装置である。このクリーニング装置60は、クリーニングブレード61と、スプリングバネ66と、廃トナー搬送オーガ67を備えている。クリーニングブレード61は、潜像担持体ドラム10の回転軸の延在方向に延びる板状のものであって、その先端エッジ部611は、スプリングバネ66の付勢力によって潜像担持体ドラム10の表面に所定の圧接力で所定の圧接角をもって圧接している。このクリーニングブレード61は、潜像担持体ドラム10が回転することで、潜像担持体ドラム表面に残留した異物を掻き取るものである。クリーニングブレード61によって掻き取られた異物は、廃トナー搬送オーガ67によってクリーニング装置60の外まで搬送される。ここで、図1とともに図2も用いて、図1に示すクリーニング装置について説明する。
図2は、クリーニングブレードの延在方向を図の左右にとって図1に示すクリーニング装置を示した図である。
図1及び図2に示すクリーニングブレード61は、ポリウレタン弾性体からなるものである。ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。また、クリーニングブレードとしては、例えば硬度(JISAスケール)50〜90,ヤング率(kg/cm2)40〜90,100%モジュラス(kg/cm2)20〜65,300%モジュラス(kg/cm2)70〜150,引っ張り強さ(kg/cm2)240〜500,伸(%)が290〜500,反発弾性(%)30〜70,引裂強さ(kg/cm2)25〜75,永久伸(%)が4.0以下の物性を有する物が使用可能である。
クリーニングブレード61は、図1及び図2に示すクリーニング装置60に備えられたブレードホルダ62によって保持されている。ブレードホルダ62の長手方向(図2の左右方向)両端部にはガイド621が設けられており、これらのガイド621には、ガイドピン63が挿通されている。ブレードホルダ62は、このガイドピン63を中心に回動自在なものである。また、ブレードホルダ62は、クリーニングブレード61を保持した状態でガイドピン63に案内されて、クリーニングブレード61の長手方向、すなわち図1に示す潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動自在なものである。ブレイドホルダの一端側(図2では右端側)には圧縮スプリングバネ64が配備されており、ブレードホルダ62は他端側(図2では左端)に向かって付勢されている。ブレードホルダ62のその他端側には、突き出しピン622が配備されている。
図1及び図2に示すクリーニング装置60には、このブレードホルダ62を往復動する往復動機構65が備えられている。往復動機構65は、傾斜カム651と、その傾斜カム651を回転駆動する駆動モータ652と、その駆動モータ652を制御する往復動動作制御部653を有する。ブレードホルダ62に設けられた突き出しピン622の突出端は、傾斜カム651のカム面の、その傾斜カム651の回転中心Lから偏心した位置に圧縮スプリングバネ64の付勢力によって当接している。そのため、駆動モータ652によって傾斜カム651が回転駆動されると、ブレードホルダ62は図2の左右方向に往復動する。図2には、傾斜カム651のカム面によって最も右側へ移動した状態のブレードホルダ62が示されており、この状態から傾斜カム651が回転すると、ブレードホルダ62は左側に移動し、その後再び図2に示す状態に戻る。潜像担持体ドラム10の表面に圧接しているクリーニングブレード61の先端エッジ部611は、ブレードホルダ62のこのような往復動作によって、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動する。このクリーニングブレード61の先端エッジ部611の往復動動作は、トナー像形成サイクルが実行されていない間に行われる。トナー像形成サイクルが実行されていない間とは、画像形成装置電源投入後の立ち上げ動作時、画像形成Jobの前サイクル動作時、作像間のインターイメージ、画像形成Jobの後サイクル動作時や潜像担持体ドラム1の回転停止時などが上げられるが、これらの中でも画像形成速度の影響の少ない、画像形成装置電源投入後の立ち上げ動作時、画像形成Jobの後サイクル動作時、後サイクル動作後の潜像担持体ドラム回転停止時にクリーニングブレード61の往復動動作を行うことが好ましい。
以下、クリーニングブレード61の往復動動作について詳述する。
図1に示す帯電装置20のバイアス制御部23は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、電源22に、トナー像形成サイクル実行時に供給する像形成帯電バイアスに含まれる振動電圧のピーク間電圧よりも大きなピーク間電圧の振動電圧を直流電流に重畳させたクリーニング帯電バイアスを帯電ロール21へ印加させる。ここで、大きなピーク間電圧の振動電圧を重畳させる直流電圧は0Vであることが好ましい。このクリーニング帯電バイアスが供給された帯電ロール21と潜像担持体ドラム10の表面との間ではギャップ放電が生じ、潜像担持体ドラム10は帯電される。
図3は、帯電バイアスに含まれる交流成分の電流値と潜像担持体ドラムの帯電電位との関係を表したグラフである。
図3に示すグラフの横軸は帯電バイアスに含まれる交流成分の電流値(mA)を表し、縦軸は潜像担持体ドラムの帯電電位(−V)を表す。潜像担持体ドラムの帯電電位は、帯電バイアスに含まれる交流成分の電流値を増加させていくと上昇するが、あるところで満電位に達する。ここでは、満電位に達した時の交流成分の電流値をIthと記している。像形成帯電バイアスでは安全を見てこのIthよりも高い電流値にし、クリーニング帯電バイアスではさらに高い電流値にする。
クリーニング帯電バイアスには大きなピーク間電圧の振動電圧が含まれていることから、潜像担持体ドラム表面がギャップ放電により受ける影響は、トナー像形成サイクル時に比べて大きく、その表面が変質したりその表面に付着する放電生成物の量が増加し、潜像担持体ドラム表面の摩擦抵抗が高められる。
図2に示す往復動動作制御部653には、バイアス制御部23から電源22にクリーニング帯電バイアスを印加させた旨の情報が送られ、この情報を受けて往復動動作制御部653は、駆動モータ652に回転駆動開始の指示を与える。こうすることにより、摩擦抵抗が高められた潜像担持体ドラム10の表面と、クリーニングブレード61の先端エッジ部611とが相対的に往復動し、先端エッジ部611の付着物が容易に除去される。この結果、図1に示す画像形成装置では、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に付着物が堆積することが長期にわたり抑制される。なお、クリーニングブレード61の往復動動作を行うと潜像担持体ドラム10に振動が伝わることは免れず、トナー像形成サイクルが実行されている間にも往復動動作を行うと、露光装置31によるレーザ光の照射の際に、往復動動作による振動によってレーザ光のスポットの位置がブレて静電潜像に乱れが生じる恐れがある。このため、往復動動作制御部653は、トナー像形成サイクルが実行されている間は、クリーニングブレード61の往復動動作を停止させておくものであることが好ましい。またここでは、図2に示す往復動機構65によってクリーニングブレード61を往復動させたが、潜像担持体ドラム10をその回転軸101の延在方向に往復動させてもよい。
続いて、図4を用いて、図1に示す画像形成装置の2次転写領域における説明を行う。
図4は、図1に示す画像形成装置の2次転写領域を示した図である。
図4にも、図1に示す中間転写ベルト50の一部が示されている。この中間転写ベルト50は、支持ロール51に支持されて不図示の回転軸を中心に反時計回りの方向に循環移動するシームレスベルトである。この図4には、本発明の第4及び第5の画像形成装置の技術的思想の一例が示されており、中間転写ベルト50が本発明にいうトナー像担持体の一例に相当する。
また、図4には、2次転写を行う一括転写装置70も示されている。この一括転写装置70は、中間転写ベルト50の、トナー像Tが担持された表面側に圧接配置された2次転写ロール71と、中間転写ベルト50の裏面側に配置されたバックアップロール72を備えており、これら2つのロール71,72で中間転写ベルト50を挟みこんでいる。これら2つのロール71,72によって挟み込まれた領域が2次転写領域になる。2次転写領域は、1次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側に設けられた領域である。この2次転写領域には記録用紙Pが搬送されてくる。2次転写領域では、中間転写ベルト50に担持されたトナー像Tが、搬送されてきた記録用紙P上に転写される。記録用紙P上に転写されたトナー像を構成するトナーは、不図示の定着ロールによって加熱され記録用紙Pに定着する。これで、一連の画像形成サイクルが終了する。
さらに、図4には、図1に示す画像形成装置1が備えるベルトクリーナ80も示されている。このベルトクリーナ80は、1次転写領域、さらには2次転写領域よりも中間転写ベルト循環方向下流側に設けられたものであって、その構成は、図1及び図2に示すクリーニング装置60の構成に部材を追加した構成になっている。すなわち、図4に示すベルトクリーナ80も、ポリウレタン弾性体からなるクリーニングブレード81、そのクリーニングブレードを保持するブレードホルダ82、ガイドピン83、圧縮スプリングバネ84、往復動機構、スプリングバネ86、および廃トナー搬送オーガ87を備えており、これらの構成部材に加えて、ソレノイド88とブレード当接状態制御部89も備えている。この図4では、往復動機構が図示省略されているが、この往復動機構の構成は、図2に示すクリーニング装置60に備えられた往復動機構65の構成と同様である。
図4に示すベルトクリーナ80は、クリーニングブレード81の先端エッジ部811によって、中間転写ベルト50の表面に残留した異物を掻き取るものである。すなわち、クリーニングブレード81の先端エッジ部811は、中間転写ベルト50の、支持ロール51に巻き掛けられた部分の表面に圧接しており、中間転写ベルト50が循環移動することで、中間転写ベルト50の、1次転写領域を通過した後の表面との間に摺擦が生じ、表面に存在する残留異物が掻き取られる。
図4に示すソレノイド88には、ブレードホルダ82に一端が接続されたスプリングバネ86の他端が接続されている。ブレード当接状態制御部89は、このソレノイド88を駆動するものである。ブレード当接状態制御部89によってソレノイド88が駆動されると、ソレノイド88によってスプリングバネ86が引っ張られ、ブレードホルダ82はガイドピン83を中心に図4では反時計回りに回動する。この反時計回りの回動によってクリーニングブレード81の、中間転写ベルト表面に対する圧接力が強まるとともに圧接角θも大きくなる。ここにいう圧接角θとは、クリーニングブレード81と、中間転写ベルト50の、クリーニングブレード81が圧接した部位からベルト循環方向下流側に広がる面とで挟まれた角度をいう。以下、ソレノイド88が駆動されたときの、クリーニングブレード81の圧接角をクリーニング圧接角と称し、その圧接力をクリーニング圧接力と称する。クリーニング圧接角は例えば、25°以上30°以下であり、クリーニング圧接力は例えば0.5N/cm以上0.588N/cmである。一方、ブレード当接状態制御部89によってソレノイド88の駆動が停止されると、スプリングバネ86は弾性によって元に戻り、ブレードホルダ82はガイドピン83を中心に、先とは逆方向(図4では時計回りの方向)に回動する。この時計回りの回動によってクリーニングブレード81の、中間転写ベルト表面に対する圧接力は弱まるとともに圧接角θも小さくなる。ソレノイド88の駆動が停止されたときの、クリーニングブレード81の圧接角や圧接力は、クリーニングブレード81の摩耗劣化を最小限に抑えつつ残留異物を効率的に掻き取れるように調整されたものであり、図4に示すベルトクリーナ80では、画像形成サイクルが実行されている間は、ソレノイド88の駆動を停止させている。画像形成サイクルが実行されている間の圧接角は例えば17°以上25°未満であり、圧接力は例えば0.098N/cm以上0.5N/cm未満である。
また、中間転写ベルト50の表面に圧接しているクリーニングブレード81の先端エッジ部811は、往復動機構によって、中間転写ベルト50の表面に対して、中間転写ベルト50の回転軸の延在方向(図4では紙面に対して垂直な方向)に往復動する。このクリーニングブレード81の先端エッジ部811の往復動動作は、画像形成サイクルが実行されていない間に行われる。ここにいう画像形成サイクルが実行されていない間とは、上述したトナー像形成サイクルが実行されていない間と同じように理解して構わない。
以下、図4に示すクリーニングブレード81の往復動動作について詳述する。
図4に示すベルトクリーナ80のブレード当接状態制御部89は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、ソレノイド88を駆動させ、クリーニングブレード81の圧接角をクリーニング圧接角に変更するとともに圧接力もクリーニング圧接力に変更する。圧接角がクリーニング圧接角に変更されるとともに圧接力もクリーニング圧接力に変更されると、クリーニングブレード81が中間転写ベルト50の循環移動に伴って受ける摩擦抵抗力が増大する。
また、往復動動作制御部には、ブレード当接状態制御部89からソレノイド88を駆動させた旨の情報が送られ、この情報を受けて往復動動作制御部は、往復動動作の動力源になる駆動モータに回転駆動開始の指示を与える。こうすることにより、中間転写ベルト50の表面と、クリーニングブレード81の、強い摩擦抵抗力が加えられた先端エッジ部811とが相対的に往復動し、先端エッジ部811の付着物が容易に除去される。この結果、図1に示す画像形成装置では、中間転写ベルト50に圧接するクリーニングブレード81の先端エッジ部811に付着物が堆積することも長期にわたり抑制される。なお、このクリーニングブレード81の往復動動作を行うと中間転写ベルト50に振動が伝わることは免れず、画像形成サイクルが実行されている間にも往復動動作を行うと、1次転写あるいは2次転写時に、往復動動作による振動によって中間転写ベルト50にブレが生じ、転写されたトナー像に乱れが生じる恐れがある。このため、往復動動作制御部は、画像形成サイクルが実行されている間は、クリーニングブレード81の往復動動作を停止させておくものであることが好ましい。またここでは、往復動機構によってクリーニングブレード81を往復動させたが、中間転写ベルト50をその回転軸の延在方向に往復動させてもよい。さらに、図4に示す中間転写ベルト50に代えてドラム状の中間転写ドラムを配備させ、同様に中間転写ドラムのクリーニングを行ってもよい。またさらに、ここではクリーニングブレード81の圧接力と圧接角の双方を変更させたが、圧接力と圧接角のうちのいずれか一方のみを変更させるだけであってもよい。
次に、図1に示す画像形成装置の変形例について説明する。この変形例は、本発明の第2の画像形成装置の技術的思想を適用した画像形成装置である。以下、図1に示す画像形成装置1の構成要素と同じ構成要素には今まで用いた符号を付し、重複する説明は省略して説明する。
図1に示す画像形成装置1とこの変形例との違いは、帯電装置20のバイアス制御部23が電源22に印加させるクリーニング帯電バイアスにある。すなわち、図1に示す画像形成装置1では、バイアス制御部23が、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、電源22に、像形成帯電バイアスに含まれる振動電圧のピーク間電圧よりも大きなピーク間電圧の振動電圧を直流電流に重畳させたクリーニング帯電バイアスを帯電ロール21へ印加させているが、この変形例では、バイアス制御部23は、振動電圧の、ピーク間電圧および周波数の双方を時間とともに変化させながら振動電圧を直流電流に重畳させたクリーニング帯電バイアスを印加させる。なお、この変形例でも、クリーニング帯電バイアスに含まれる直流電圧は0Vであることが好ましい。振動電圧を時間とともに変化させることで、潜像担持体ドラム表面がギャップ放電によって受ける影響も時間とともに変化し、その表面の摩擦抵抗の大きさが変化する。
また、この変形例でも、クリーニング装置60に備えられた往復動動作制御部(図2参照)に、バイアス制御部23から電源22にクリーニング帯電バイアスを印加させた旨の情報が送られ、この情報を受けて往復動動作制御部は、往復動動作の動力源になる駆動モータに回転駆動開始の指示を与える。こうすることで、潜像担持体ドラム10の表面とクリーニングブレード61の先端エッジ部611とが相対的に往復動し、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に強弱のある刺激が与えられ、先端エッジ部611の付着物が容易に除去される。したがって、この変形例においても、潜像担持体ドラム10に圧接するクリーニングブレード61の先端エッジ部611に付着物が堆積することが長期にわたり抑制される。なお、ここでは振動電圧の、ピーク間電圧と周波数の双方を時間とともに変化させたが、ピーク間電圧と周波数のうちのいずれか一方のみを変化させるだけであってもよい。
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像形成装置は、本発明の第4及び第5の画像形成装置における技術的思想を適用したものである。以下、図1に示す画像形成装置1の構成要素と同じ構成要素には今まで用いた符号を付し、重複する説明は省略して説明する。
図5は、第2実施形態の画像形成装置に備えられた潜像担持体ユニットの概略構成を中心に示した図である。
図5に示す画像形成装置1に備えられた潜像担持体ユニット1aには、非接触帯電方式が採用されており、コロトロン帯電器25が配備されている。また、図5には、転写ロール32に転写バイアスを印加する定電流制御の電源321と、環境検知部322も示されている。この図5に示す環境検知部322は、電源321からの出力電流と出力電圧を検出し、これらの検出値に基づいて演算を行うことで、画像形成装置内の温湿度を検知するものである。なお、画像形成装置内の温湿度を直接測定するセンサを設けてもよい。さらに、図5に示すクリーニング装置60の構成は、図1に示すクリーニング装置の構成に、ソレノイド68とブレード当接状態制御部69が加えられた構成であり、これは図4に示すベルトクリーナ80の構成と同じである。すなわち、図5に示すクリーニング装置60のブレード当接状態制御部69は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、ソレノイド68を駆動させ、クリーニングブレード61の圧接角θを、トナー像形成サイクル時の圧接角(例えば17°以上25°未満)よりも大きなクリーニング圧接角(例えば25°以上30°以下)に変更するとともに、圧接力も、トナー像形成サイクル時の圧接力(例えば0.098N/cm以上0.5N/cm未満)よりも強いクリーニング圧接力(例えば0.5N/cm以上0.588N/cm)に変更する。圧接角θがクリーニング圧接角に変更されるとともに圧接力もクリーニング圧接力に変更されると、クリーニングブレード61が潜像担持体ドラム10の回転に伴って受ける摩擦抵抗力が増大する。
また、図5では図示省略されているが、この第2実施形態の画像形成装置のクリーニング装置60にも、クリーニングブレード61の先端エッジ部611を、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動させる往復動機構65(図2参照)が配備されており、このクリーニングブレード61の往復動は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、複数回実行される。往復動動作制御部には、ブレード当接状態制御部からソレノイドを駆動させた旨の情報と、環境検知部322で検知された温湿度を表す情報とが送られる。ここで、低温低湿度の環境下の方が高温高湿度の環境下よりも、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に付着物が堆積しやすく、反対に、高温高湿度の環境下の方が低温低湿度度の環境下よりも、摩擦抵抗力が大きくなりクリーニングブレード61の先端エッジ部611の摩耗が進みやすい傾向にある。このため、往復動動作制御部は、温湿度を表す情報に基づいて、装置内の環境が、所定の環境条件よりも高温高湿である場合にはクリーニングブレード61の往復動の動作間隔を長くし、反対に所定の環境条件よりも低温低湿である場合にはその動作間隔を短くする。本実施形態によれば、潜像担持体ドラム10の表面と、クリーニングブレード61の、強い摩擦抵抗力が加えられた先端エッジ部611とが、過度の摩耗を抑えながら相対的に往復動し、先端エッジ部611の付着物が容易に除去される。この結果、本実施形態でも、潜像担持体ドラム10に圧接するクリーニングブレード61の先端エッジ部611に付着物が堆積することが長期にわたり抑制される。なお、ここではクリーニングブレード61の圧接力と圧接角の双方を変更させたが、圧接力と圧接角のうちのいずれか一方のみを変更させるだけであってもよい。また、温度又は湿度の少なくともいずれかに閾値を設け、温度又は湿度がその閾値以上になった場合は、クリーニングブレード61の往復動動作を禁止してもよい。
続いて、図6を用いて、図5に示す画像形成装置の2次転写領域における説明を行う。
図6は、図5に示す画像形成装置の2次転写領域を示した図である。
図6には、1次転写領域において中間転写ベルト50に転写されたトナー像Tが示されており、中間転写ベルト50はその表面でトナー像を担持している。また、図6には、2次転写ロール71とバックアップロール72を備えた一括転写装置70も示されている。2次転写ロール71は、中間転写ベルト50の、トナー像Tが担持された表面に接触した状態で、所定の回転軸711を中心に時計回りに回転するものである。本実施形態では、上述のごとく潜像担持体ドラム10のクリニング性能が良好であるため問題にならないが、さらに好ましくは、この2次転写ロール71の表面にも本発明の構成のクリーナーを配設することにより、多数枚に亘り良好な画像形成を行なうことができる。その一例として、2次転写ロール71をクリーニング対象物としたときの例を説明する。
図6には、図5に示す画像形成装置1が備えるロールクリーナ90も示されている。図6に示すロールクリーナ90は、2次転写領域よりも、回転部材である2次転写ロール71の回転方向下流側に配備されたものであって、その構成は、図4に示すベルトクリーナ80や図5に示すクリーニング装置60の構成と同じであるが、クリーニングブレード91の先端エッジ部911は、2次転写ロール71の表面に圧接している。このロールクリーナ90は、クリーニングブレード91の先端エッジ部911によって、2次転写ロール71の表面に残留した異物を掻き取るものである。すなわち、図6に示すロールクリーナ90では、2次転写ロール71が回転することで、2次転写ロール71の、中間転写ベルト50に接した後の表面と先端エッジ部911の間に摺擦が生じ、先端エッジ部911によって表面に存在する残留異物が掻き取られる。2次転写ロール71に圧接するクリーニングブレード91も、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、ブレード当接状態制御部99によってソレノイド98が駆動されることにより、2次転写ロール71の表面に、クリーニング圧接角でクリーニング圧接力をもって圧接する。
さらに、図6では図示省略されているが、このロールクリーナ90にも、クリーニングブレード91の先端エッジ部911を、2次転写ロール71の表面に対して、2次転写ロール71の回転軸711の延在方向に往復動させる往復動機構(図2参照)が配備されており、このクリーニングブレード91の往復動は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて実行される。往復動動作制御部には、ブレード当接状態制御部99からソレノイド98を駆動させた旨の情報と、図5に示す環境検知部322で検知された温湿度を表す情報とが送られ、この往復動動作制御部は、図5に示す潜像担持体ドラム10に圧接するクリーニングブレード61を往復動させる往復動動作制御部と同じように、これらの情報に基づいて往復動動作の動力源になる駆動モータに回転駆動開始の指示を与える。こうすることにより、2次転写ロール71の表面と、クリーニングブレード91の、強い摩擦抵抗力が加えられた先端エッジ部911とが過度の摩耗を抑えながら相対的に往復動し、先端エッジ部911の付着物が容易に除去される。この結果、第2実施形態の画像形成装置は、2次転写ロール71に圧接するクリーニングブレード91の先端エッジ部911に付着物が堆積することも長期にわたり抑制されるという副次的な効果も奏する。
なお、図6に示す2次転写ロール71に代えて無端状の2次転写ベルトを配備させ、同様に2次転写ベルトのクリーニングを行ってもよい。
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の画像形成装置は、本発明の第3の画像形成装置における技術的思想を適用したものである。以下、これまで説明した画像形成装置の構成要素と同じ構成要素には今まで用いた符号を付し、重複する説明は省略して説明する。
図7は、第3実施形態の画像形成装置に備えられた潜像担持体ユニットの概略構成を中心に示した図である。
図7に示す画像形成装置1に備えられた潜像担持体ユニット1aには、図5に示す画像形成装置と同じく非接触帯電方式が採用されており、コロトロン帯電器25が配備されている。また、図7には、潜像担持体ドラム10を回転軸101を中心に時計回りに回転駆動する潜像担持体回転モータ11と、その潜像担持体回転モータ11の回転速度を制御する潜像担持体回転速度制御部12も示されている。潜像担持体回転速度制御部12は、トナー像形成サイクルが実行されている間は、潜像担持体回転モータ11が所定の像形成回転速度で回転するように制御を行い、潜像担持体ドラム10は所定の像形成回転速度で回転する。所定の像形成回転速度とは、中速機であれば100mm/s〜200mm/s程度の面速度であり、高速機であればそれ以上、低速機であっても50mm/sを越える面速度である。一方、潜像担持体回転速度制御部12は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて、潜像担持体回転モータ11が像形成回転速度よりも遅いクリーニング回転速度で回転するように潜像担持体回転モータ11の回転速度の制御を行い、潜像担持体ドラム10はクリーニング回転速度で回転する。クリーニング回転速度は0mm/s以上50mm/s以下の面速度であればよい。すなわち、潜像担持体ドラム10の回転を停止させてもよい。
さらに、図7に示す画像形成装置1は、中間転写ベルトに代えて用紙搬送ベルト55を備えている。この用紙搬送ベルト55は、図1に示す中間転写ベルト50と同じく、潜像担持体ドラム10と転写ロール32の間を通過するものであり、この図7に示す画像形成装置1においても潜像担持体ドラム10と転写ロール32によって挟み込まれた領域が1次転写領域になる。用紙搬送ベルト55は、表面に記録用紙Pを担持してこの1次転写領域に記録用紙Pを搬送するものである。したがって、図7に示す画像形成装置1では、潜像担持体ドラム10の表面に形成されたトナー像が1次転写領域において記録用紙Pに直接転写される。
また、図7では図示省略されているが、この第3実施形態の画像形成装置のクリーニング装置60にも、クリーニングブレード61の先端エッジ部611を、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動させる往復動機構65(図2参照)が配備されており、このクリーニングブレード61の往復動は、トナー像形成サイクルが実行されている間を避けて実行される。往復動動作制御部には、潜像担持体回転速度制御部12から、潜像担持体回転モータ11の回転速度をクリーニング回転速度に落とした旨の情報が送られる。
ここで、潜像担持体ドラム10に圧接したクリーニングブレード61が潜像担持体ドラム10の回転に伴って受ける摩擦抵抗力は、潜像担持体ドラム10の回転速度が遅くなると増大する。
図8は、潜像担持体ドラムの面速度とクリーニングブレードの歪みとの関係の一例を示したグラフである。
図8に示すグラフの横軸は潜像担持体ドラムの面速度(mm/sec)を表し、縦軸はクリーニングブレードの歪みの大きさを表す。図8に示すグラフには、潜像担持体ドラムの面速度が70mm/secを下回ると、クリーニングブレードの歪みが二次曲線的に増大することが示されている。クリーニングブレードの歪みが増大するということは、クリーニングブレード61に大きな力がかかっていることになり、潜像担持体ドラム10の回転速度が遅くなると、クリーニングブレード61が受ける摩擦抵抗力が増大することがわかる。
往復動動作制御部は、潜像担持体回転速度制御部12から送られてきた情報を受けて、往復動動作の動力源になる駆動モータに回転駆動開始の指示を与える。こうすることにより、像形成回転速度よりも遅いクリーニング回転速度で回転している潜像担持体ドラム10の表面と、クリーニングブレード61の先端エッジ部611とが相対的に往復動することで、先端エッジ部611には強い摩擦抵抗力が与えられ、クリーニングブレード先端の付着物が容易に除去される。したがって、図7に示す画像形成装置1によっても、潜像担持体ドラム10に圧接するクリーニングブレード61の先端エッジ部611に付着物が堆積することが長期にわたり抑制される。
なお、図7に示す潜像担持体回転速度制御部12は、潜像担持体回転モータ11の回転速度をクリーニング回転速度に制御するにあたり、回転速度を時間とともに変化させながら制御するものであることが好ましい。こうすることで、クリーニングブレード61の先端エッジ部611に強弱のある刺激が与えられ、先端エッジ部611の付着物がより容易に除去される。
続いて、図9を用いて、用紙搬送ベルトのクリーニングについて説明を行う。
図9は、図7に示す画像形成装置に配備された用紙搬送ベルトの一部と、そのベルトをクリーニングするベルトクリーナを示す図である。
図7に示す画像形成装置に配備された用紙搬送ベルト55は、不図示の支持ロールに支持された状態で駆動ロール551からの回転駆動力を受けて、不図示の回転軸を中心に反対時計回りの方向に循環移動するシームレスベルトである。本実施形態では、上述のごとく潜像担持体ドラム10のクリニング性能が良好であるため問題にならないが、さらに、好ましい例としては、用紙搬送ベルト55にも本発明の構成のクリーニング装置を配設することが望ましい。
図9には、駆動ロール551を回転駆動するロール回転モータ552と、そのロール回転モータ551の回転速度を制御するロール回転速度制御部553も示されている。ロール回転速度制御部553は、画像形成サイクルが実行されている間は、ロール回転モータ552が所定の用紙搬送回転速度で回転するように制御を行い、用紙搬送ベルト55は用紙搬送回転速度で循環移動する。所定の用紙搬送回転速度とは、50mm/sを越える面速度である。一方、ロール回転速度制御部553は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて、ロール回転モータ552が用紙搬送回転速度よりも遅いクリーニング回転速度で回転するように制御を行い、用紙搬送ベルト55はクリーニング回転速度で循環移動する。クリーニング回転速度は0mm/s以上50mm/s以下の面速度であればよい。すなわち、用紙搬送ベルト55の循環移動を停止させてもよい。
また、図9に示すベルトクリーナ80は、1次転写領域よりも、回転部材である用紙搬送ベルト55の循環移動方向下流側に配備されたものである。このベルトクリーナ80の構成は、図4に示す中間転写ベルト50をクリーニングするベルトクリーナ80の構成からソレノイド88およびブレード当接状態制御部89を省略した構成と同じであるが、クリーニングブレード81の先端エッジ部811は、用紙搬送ベルト55の表面に圧接している。このベルトクリーナ80は、クリーニングブレード81の先端エッジ部811によって、用紙搬送ベルト55の表面に残留した異物を掻き取るものである。すなわち、図9に示すベルトクリーナ80では、用紙搬送ベルト55が循環移動することで、用紙搬送ベルト55の、潜像担持体ドラム10に接した後の表面との間に摺擦が生じ、表面に存在する残留異物が掻き取られる。
さらに、この図9では図示省略されているが、図9に示すベルトクリーナ80にも、クリーニングブレード81の先端エッジ部811を、潜像担持体ドラム10の表面に対して、潜像担持体ドラム10の回転軸101の延在方向に往復動させる往復動機構65(図2参照)が配備されており、このクリーニングブレード81の往復動は、画像形成サイクルが実行されている間を避けて実行される。往復動動作制御部には、ロール回転速度制御部553から、ロール回転モータ552の回転速度をクリーニング回転速度に落とした旨の情報が送られる。ここで、潜像担持体ドラム10に圧接したクリーニングブレード61と同じく、用紙搬送ベルト55に圧接したクリーニングブレード81でも、その用紙搬送ベルト55の循環移動に伴って受ける摩擦抵抗力は、用紙搬送ベルト55の循環移動速度が遅くなると増大する。往復動動作制御部は、ロール回転速度制御部553から送られてきた情報を受けて、往復動動作の動力源になる駆動モータに回転駆動開始の指示を与える。こうすることにより、用紙搬送回転速度よりも遅いクリーニング回転速度で循環移動する用紙搬送ベルト55の表面と、クリーニングブレード81の先端エッジ部811とが相対的に往復動することで、先端エッジ部811には強い摩擦抵抗力が与えられ、先端エッジ部811の付着物が容易に除去される。したがって、本実施形態の画像形成装置は、用紙搬送ベルト55に圧接するクリーニングブレード81の先端エッジ部811に付着物が堆積することが長期にわたり抑制されるという副次的な効果も奏する。
以上、複数の画像形成装置について説明したが、これまで説明した画像形成装置に用いることができる潜像担持体ドラムについて詳述する。
潜像担持体ドラムは、ドラム状の導電性基体と、その導電性基体の上に設けられた下引き層と、その下引き層の上に設けられた電荷発生層と、その電荷発生層の上に設けられた電荷輸送層とを有する積層構造物である。
導電性基材としては、アルミニウム・銅・鉄・ステンレス・亜鉛・ニッケルなどの金属ドラムとしてもよいし、シート・紙・プラスチック又はガラス上にアルミニウム・銅・金・銀・白金・パラジウム・チタン・ニッケル−クロム・ステンレス鋼・銅・インジウム等の金属を蒸着したり酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したものとしてもよいし、金属箔をラミネートしたり、或いは、カーボンブラック・酸化インジウム・酸化錫・酸化アンチモン粉・金属粉・沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理したもの等が用いられる。なお、導電性基材の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。ここで、導電性基材を金属パイプとした場合、表面は素管のままであってもよいし、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等の有機金属化合物等が挙げられ、これらの中でも有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すので好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。なお、下引き層を省略することもでる。
電荷発生層に含有される電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質なら何でも使用できる。赤外光用ではフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール、可視光用としては縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物微粒子等を用いる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる潜像担持体ドラムを得ることができる。また、フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生物質としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
フタロシアニン顔料結晶は公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系があげられる。使用される溶剤は、顔料結晶に対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100℃好ましくは−10〜60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる
また、電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ここで分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることは高感度・高安定性に対して有効である。
さらに、電荷発生材料は電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるがこれに限定されるものではない。表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
また、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
さらに、この電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
また、この電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であるが、下記に示すものを例示することができる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質。あるいは上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層の結着樹脂は公知のものであればいかなるものでも使用することが出来るが、電気絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂。シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリーN―カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れ好ましく用いられる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。電荷輸送層の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜40μmが適当である。さらにこの電荷輸送層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
さらに、潜像担持体ドラムには、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光熱による潜像担持体ドラムの劣化を防止する目的で、電荷輸送層等の中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加する事ができる。
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル フェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル フェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル 6−t−ブチル フェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチル フェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチル フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ 3’,5’−ジ−t−アミル フェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。潜像担持体ドラムに使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
また、電荷輸送層にはシリカやフッ素系樹脂のような微粒子を含有させることもできる。フッ素系樹脂の電荷輸送層中含量は、電荷輸送層全量に対し、0.1〜40wt%が適当であり、特に1〜30wt%が好ましい。含量が1wt%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40wt%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
また塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
また、電荷輸送層表面の磨耗、傷などに対する耐性を持たせるため、電荷輸送層表面に高強度表面層を設けることもできる。この高強度表面層としては、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができるが、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂からなるものが好ましく、このうち特に、一般式 (I)
で示される構造のものが強度、安定性に優れ好ましい。一般式 (I)におけるFは、光
キャリア輸送特性を有する構造として、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などが挙げられる。
GとDとFを含む樹脂層:一般式(I)
G:無機ガラス質ネットワークサブグループ
D:可とう性有機サブユニット
F:電荷輸送性サブユニット
一般式(I)におけるG、特に好ましくは反応性を有するSi基は、互いに架橋反応を起こして3次元的なSi−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成するためのものである。
一般式(I)におけるDとは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。
一般式(I)で表される化合物と結合可能な基とは、一般式(I)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−Si (R1)(3-a) Qaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどを意味する。これらのうち、−Si (R1)(3-a) Qaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基が有する化合物がより強い機械強度を有するため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2つ以上持つものが硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などを用いることができる。また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ −1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
また、膜の強度を向上させるために、−Si (R1)(3-a) Qaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)で示される化合物1部に対し0.5〜30部、好ましくは、1〜20部で使用される。反応温度および時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは、150〜50℃の温度で行うことが好ましい。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
さらに、硬化触媒としては、以下の様なものをあげることができる。
塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられるが、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
図5や図7に示す非接触帯電方式のコロトロン帯電器25が配備された潜像担持体ドラムの表面架橋硬化膜には、帯電器で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。潜像担持体ドラム表面の機械的強度を高め、潜像担持体ドラムが長寿命になると、潜像担持体ドラムが酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20重量%以下が望ましく、10重量%以下がさらに望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の分子量は2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。添加量は1〜40%が好ましく、さらに好ましくは1〜30%であり、5〜20%が最も好ましい。1%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる。
更に、潜像担持体ドラム表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径1〜100nm、好ましくは10〜30の酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から最表面層の全固形分中の0.1〜50重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、体積平均粒子径1〜500nm、好ましくは10〜100nmの、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、潜像担持体ドラムの表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、潜像担持体ドラム表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。潜像担持体ドラムにおける最表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1〜30重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物をあげることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等をあげることができる。
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型潜像担持体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
単層型潜像担持層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型潜像担持層中の電荷発生物質の含有量は、10から85重量%程度、好ましくは20から50重量%とする。単層型潜像担持層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(I)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
さらに、潜像担持体ドラムの最表面層をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理こともできる。この場合、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
潜像担持体ドラムの表面層を処理するフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について説明する。
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマーまたはクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマーなどが挙げられ、特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5〜10:90で混合して用いることも好ましい。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液にはさらにワックス及び/またはシリコーンを含有させることもできる。ワックス及び/またはシリコーンを含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペロトラタムなど、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、シリコーンワニスなどが挙げられる。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤などを混合することもできる。
浸透層の形成は、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うことができるが、フッ素系樹脂の浸透を促進するために、減圧下で行うこともできる。この際の圧力としては、0.9気圧以下、好ましくは、0.8気圧以下、より好ましくは0.7気圧以下にて処理する。また、水性分散液を40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱することが浸透の促進に効果的である。さらに、0.1気圧以上、好ましくは、0.2気圧以上、より好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。 また、スプレーや、塗布法により付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱し、浸透層を形成することもできる。フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行った後にふき取り、あるいは洗浄を行うこともできる。
続いて、これまで説明した画像形成装置に用いることができる現像剤について詳述する。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー粒子は結着樹脂と着色剤、離型剤等とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。体積平均粒径は2〜12μmの範囲が好ましく3〜9μmの範囲がより好ましい。また、トナーの平均形状指数SF1(SF1=〔(ML)2 ×π/A〕×100/4〕 :MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す)が115〜140の範囲のものである真球に近い形状のトナー(いわゆる球状トナー)用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。また、トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー、および磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
トナーに添加される潤滑剤としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。
特にトナーに添加する潤滑剤(外添剤)としては劈開性を有することから摩擦低減効果の高い脂肪酸金属塩、特にはステアリン酸亜鉛が良い。ステアリン酸亜鉛の添加量は0.01〜2.0%重量部が好ましく、更に0.05〜0.5%重量部がより好ましい。 トナーには、潜像担持体ドラム表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。特に、より高画質な画像を形成するため重合法等により製造された球状トナーを用いることでクリーニングブレードによるクリーニング性の低下が懸念される場合には、このような粒子を加えておくことが好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく行うことができる。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレン-アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。研磨粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると潜像担持体ドラム表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5〜1000nmの範囲、好ましくは5〜800nmの範囲、より好ましくは5〜700nmの範囲のものが使用される。また、前記滑性粒子の添加量との和が、0.6質量%以上であることが好ましい。
これまで説明した画像形成装置によれば、球状トナーを用いることにより外添剤としての微粒子の添加量が増大しても、クリーニングブレードの先端エッジ部の付着物が容易に除去されるため、長期にわたり良好なクリーニング性能が維持される。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等のため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を、更に付着力低減や帯電制御のため、それより大径の無機酸化物を挙げることができる。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用することができるが、精密な帯電制御を行うためには、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を向上させる効果が大きくなる。
トナーは、上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
また、トナーをカラートナーとして用いる場合には、キャリアと混合して使用されることが好ましいが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉、またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、適宜設定することができる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック各色の潜像担持体ユニットをそれぞれ有するFUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、各潜像担持体ユニットを図1に示す潜像担持体ユニット1aに変更した。すなわち、この実施例1は、本発明の第1の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(SF1が130、スチレン−N−ブチルアクリレート樹脂を結着樹脂として含有、体積平均粒径5.5μm、外添剤としてシリカとチタニア、ステアリン酸亜鉛を添加したもの)を用いた。
次いで、下記の表1に示す条件によって、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色5%の画像密度画像でフルカラーにて高温高湿(28℃、80%RH)及び低温低湿(10℃、20%RH)で各1万枚、計2万枚の走行試験を行った。
図10は、画像形成装置内での、実施例1の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図10は、横方向を時間軸としたタイミングチャートであり、1番上の「Drum Motor」のタイミングチャートは潜像担持体ドラムの回転(on)と停止(off)を表す。2番目の「BCR(AC)」のタイミングチャートは、帯電ロールに印加する帯電バイアスに含まれる振動電圧(AC)のオン/オフを表すもので、「出力1」と記されるオンより「出力2」と記されるオンの方が、ピーク間電圧が大きな振動電圧が印加されたことを表す。その下の「露光」、「現像」、「1次転写」それぞれタイミングチャートは、それぞれ露光装置の駆動(on)/停止(off),現像装置の駆動(on)/停止(off),転写ロールの回転(on)/停止(off)を表すものである。また、最後の「ブレード往復動動作」のタイミングチャートは、クリーニングブレードの往復動動作の動力源になる駆動モータの回転(on)/停止(off)を表す。
潜像担持体ドラムの帯電電位が満電位に達するのに必要な最低の交流電流値をIth(図3参照)とした場合に、この走行試験では、表1に示すように、帯電ロールに像形成帯電バイアスを印加するにあたりそのIthの1.35倍の電流値の交流電流を帯電ロールに供給し、帯電ロールにクリーニング帯電バイアスを印加するにあたりそのIthの1.5倍の電流値の交流電流を帯電ロールに供給した。また、潜像担持体ドラムの回転速度は、220mm/sの面速度に固定し、クリーニングブレードの圧接力は、0.25N/cmに固定した。また、この走行試験では、図10に示すように、画像形成サイクルを6回(計500枚)を行うごとに立ち下がりサイクルを用意しておき、この立ち下がりサイクルの間に、ピーク間電圧が大きな振動電圧(出力2)を重畳させたクリーニング帯電バイアスを用いて潜像担持体ドラムを帯電させながらクリーニングブレードの往復動動作を行った。クリーニングブレードの往復動動作は、先端エッジ部の移動距離を2mm、移動速度を1mm/sとし、1回の立ち下がりサイクルの間に先端エッジ部を8往復させた。
続いて、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施した。クリーニング性の評価は2万枚走行後、低温低湿下で未転写のA3サイズの画像密度100%画像をクリーニングすることで評価を行った。この2万枚走行後のクリーニングでは、先端エッジ部をアルコールで清掃し、清掃前と清掃後でそれぞれノーマルモード(圧接力:0.25N/cm)と、圧接力を下げクリーニング能力にストレスを与えたストレスモード(圧接力:0.175N/cm)の2種類の条件でクリーニングを1回ずつ実施した。クリーニングブレードの圧接力の設定は、図1に示すスプリングバネ66をバネ常数の異なる物に変更することで行った。
また、先端エッジ部の観察では、レーザー顕微鏡により(キーエンス(株)製)先端エッジ部のダメージ状態を観察し官能評価を行った。
クリーニング性の評価結果及び先端エッジ部の観察結果を表2に示す。
クリーニング性の評価における判断基準は以下の通りである。
◎:クリーニング性能問題なし
○:極軽微にクリーニング不良発生
×:クリーニング不良が発生
××:クリーニング不良が発生(レベル非常に悪い)
先端エッジ部の観察における判断基準は以下の通りである。
○:エッジ摩耗小
△:エッジ摩耗中
×:エッジ摩耗大
(実施例2および実施例3)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、各潜像担持体ユニットの構成を図1に示す潜像担持体ユニット1aの構成に変更するとともに、バイアス制御部を、振動電圧のピーク間電圧を時間とともに変化させながら振動電圧を直流電流に重畳させたクリーニング帯電バイアスを印加させるものに変更した。すなわち、これらの実施例は、本発明の第2の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。
次いで、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。
図11は、画像形成装置内での、実施例2の走行試験における制御を表すタイミングチャートであり、図12は、画像形成装置内での、実施例3の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図11及び図12は、図10と同じ要領で表したタイミングチャートである。2番目の「BCR(AC)」のタイミングチャート中の、立ち下がりサイクルにおけるオン/オフの繰り返しは、帯電ロールに、ピーク間電圧を時間とともに変化させながら振動電圧を重畳させたクリーニング帯電バイアスを印加したことを表すものである。
実施例2の走行試験では、表1に示すように、帯電ロールにクリーニング帯電バイアスを印加するにあたり上記Ithの1.35倍から1.5倍の電流値の交流電流を帯電ロールに供給した。一方、実施例3の走行試験では、表1に示すように、帯電ロールにクリーニング帯電バイアスを印加するにあたり上記Ithの1.1倍から1.35倍の電流値の交流電流を帯電ロールに供給した。すなわち、これらいずれの実施例の走行試験でも、立ち下がりサイクルの間に、ピーク間電圧を時間とともに変化させながら振動電圧を重畳させたクリーニング帯電バイアスを用いて潜像担持体ドラムを帯電させながらクリーニングブレードの往復動動作を行った。
各走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(実施例4,実施例5,および実施例6)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、各潜像担持体ユニットの構成を図7に示す潜像担持体ユニットの構成に変更した。すなわち、これらの実施例は、本発明の第3の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。なお、図7に示す潜像担持体ユニットの潜像担持体ドラムには用紙搬送ベルトが接しているが、ここでは、用紙搬送ベルトに代えて中間転写ベルトとし、2次転写を行うようにした。
次いで、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。
図13は、画像形成装置内での、実施例4の走行試験における制御を表すタイミングチャートであり、図14は、画像形成装置内での、実施例5の走行試験における制御を表すタイミングチャートであり、図15は、画像形成装置内での、実施例6の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図13〜図15は、図10と同じ要領で表したタイミングチャートである。一番上の「Drum Motor」のタイミングチャートは潜像担持体ドラムの回転(on)と停止(off)を表すが、図13および図15に示す立ち下がりサイクルにおいては、潜像担持体ドラムが、画像形成サイクルにおける回転速度よりも遅い回転速度で回転駆動していることが表されている。
これらいずれの実施例の走行試験でも、表1に示すように、潜像担持体ドラムの回転速度は、画像形成サイクルが実行されている間は、実施例1の走行試験と同じく220mm/sの面速度である。しかしながら、実施例4の走行試験においては、立ち下がりサイクルの間は潜像担持体ドラムの回転速度が40mm/sの面速度に落ちている(表1参照)。また、実施例5の走行試験においては、図14に示すように、立ち下がりサイクルが終了し潜像担持体ドラムの回転が停止(面速度0mm/s)してから、クリーニングブレードの往復動を開始させている。さらに、実施例6の走行試験においては、図15に示すように、潜像担持体ドラムが40mm/sの低速な面速度で回転する立ち下がりサイクルから、その立ち下がりサイクルが終了し潜像担持体ドラムの回転が停止した後所定時間経過するまでの間、クリーニングブレードを往復動させている。
各走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(実施例7)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、各潜像担持体ユニットの構成を図5に示す潜像担持体ユニットの構成に変更した。すなわち、この実施例7は、本発明の第4および第5の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。
次いで、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。
図16は、画像形成装置内での、実施例7の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図16は、図10と同じ要領で表したタイミングチャートに、「ブレード当接状態制御」のタイミングチャートが追加されたものである。この「ブレード当接状態制御」のタイミングチャートは、圧接力変更手段であるソレノイドの駆動(on)/停止(off)を表す。
この走行試験では、表1に示すように、クリーニングブレードの圧接力は、画像形成サイクルが実行されている間は、実施例1の走行試験と同じく0.25N/cmであるが、立ち下がりサイクルの間、すなわちクリーニングブレードが往復動している間は、0.34N/cmに強められている。また、クリーニングブレードの圧接角は、画像形成サイクルが実行されている間は22°であるが、立ち下がりサイクルの間、すなわちクリーニングブレードが往復動している間は27°に高められている。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(実施例8)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、各潜像担持体ユニットの構成を図1に示す潜像担持体ユニットの構成に変更するとともに装置内に温湿度を検出する環境検知センサを配備させた。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。
次いで、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。この実施例8では、装置内の環境が、所定の環境条件よりも高温高湿である場合にはクリーニングブレードの往復動動作を禁止し、それ以外は実施例1と同じようにして走行試験を行った。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及びクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(実施例9)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、中間転写ベルトの表面をクリーニングする装置として図9に示すベルトクリーナを配備させるとともに中間転写ベルトの循環速度を可変できるようにした。すなわち、この実施例9は、本発明の第3の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。
次いで、下記の表3に示す条件によって、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色5%の画像密度画像でフルカラーにて高温高湿(28℃、80%RH)及び低温低湿(10℃、20%RH)で各1万枚、計2万枚の走行試験を行った。
この実施例9における走行試験では、画像形成500枚ごとに立ち下がりサイクルを用意しておき、この立ち下がりサイクルの間に、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を行った。そのクリーニングブレードの往復動動作は、先端エッジ部の移動距離を2mm、移動速度を1mm/sとし、1回の立ち下がりサイクルの間に先端エッジ部を8往復させた。また、この走行試験では、中間転写ベルトの循環速度を、画像形成サイクルが実行されている間は220mm/sの面速度とし、立ち下がりサイクルの間、すなわちクリーニングブレードが往復動している間は20mm/sの面速度に落とした。また、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの圧接力は、0.21N/cmに固定した。
走行試験後、走行後の中間転写ベルトのクリーニング性の評価及び中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施した。クリーニング性の評価は2万枚走行後、A3サイズの画像密度100%の画像を3色重ねた画像を中間転写ベルトに転写させて行った以外は実施例1と同等に実施し、先端エッジ部の観察も実施例1と同様に実施した。得られた結果を表4に示す。
(実施例10)
上記FUJI XEROX製Docu Center Color 500を改造し、図4に示すベルトクリーナを配備させた。すなわち、この実施例10は、本発明の第4および第5の画像形成装置の一実施例に相当する。トナーには、重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いた。
次いで、上記の表3に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験では、表3に示すように、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの圧接力は、画像形成サイクルが実行されている間は、実施例9の走行試験と同じく0.21N/cmであるが、立ち下がりサイクルの間、すなわちクリーニングブレードが往復動している間は、0.34N/cmに強められている。また、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの圧接角は、画像形成サイクルが実行されている間は22°であるが、立ち下がりサイクルの間、すなわちクリーニングブレードが往復動している間は27°に高められている。
走行試験後、走行後の中間転写ベルトのクリーニング性の評価及び中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例9と同等に実施し、これらの結果を表4に示す。
(比較例1)
実施例1で用いた、帯電ロールを有する潜像担持体ユニットが備えられた画像形成装置に重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いて、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。
図17は、画像形成装置内での、比較例1の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図17は、図10と同じ要領で表したタイミングチャートである。この走行試験では、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を一切行わなかった。また、帯電バイアスの変更、潜像担持体ドラムの回転速度の変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更も一切行わなかった。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及び潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例4で用いた、コロトロン帯電器を有する潜像担持体ユニットが備えられた画像形成装置に重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いて、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験における画像形成装置内での制御を表すタイミングチャートは、図17に示すタイミングチャートと同じである。すなわち、この比較例2における走行試験でも、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を一切行わず、また、帯電バイアスの変更、潜像担持体ドラムの回転速度の変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更も一切行わなかった。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及び潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1で用いた画像形成装置と同じ画像形成装置に重合法により製造した球状トナー(実施例1と同じ物)を用いて、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験では、立ち下がりサイクルの間に、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を実施例1と同じように行ったが、帯電バイアスの変更は一切行わず、また、潜像担持体ドラムの回転速度の変更およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更も一切行わなかった。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及び潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例4で用いた画像形成装置と同じ画像形成装置に重合法により製造した球状トナーを用いて、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験でも、立ち下がりサイクルの間に、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を実施例4と同じように行ったが、潜像担持体ドラムの回転速度の変更は一切行わず、帯電バイアスの変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更も一切行わなかった。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及び潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1で用いた画像形成装置と同じ画像形成装置に重合法により製造した球状トナーを用いて、上記の表1に示す条件によって走行試験を行った。
図18は、画像形成装置内での、比較例5の走行試験における制御を表すタイミングチャートである。
図18は、図10と同じ要領で表したタイミングチャートである。この走行試験では、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を常時行った。すなわち、立ち上がりサイクルから立ち下がりサイクルが終了するまでクリーニングブレードの往復動動作を、先端エッジ部の移動距離2mm,移動速度1mm/sとして連続的に行った。しかし、帯電バイアスの変更、潜像担持体ドラムの回転速度の変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更は一切行わなかった。
走行試験後、走行後の潜像担持体ドラムのクリーニング性の評価及び潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例1と同等に実施し、これらの結果を表2に示す。
(比較例6)
実施例9で用いた画像形成装置に重合法により製造した球状トナーを用いて、上記の表3に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験では、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を一切行わなかった。また、中間転写ベルトの循環速度の変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更も一切行わなかった。
走行試験後、走行後の中間転写ベルトのクリーニング性の評価及び中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例9と同等に実施し、これらの結果を表4に示す。
(比較例7)
実施例9で用いた画像形成装置に重合法により製造した球状トナーを用いて、上記の表3に示す条件によって走行試験を行った。この走行試験では、画像形成1000枚ごとに立ち下がりサイクルを用意しておき、この立ち下がりサイクルの間に、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を行った。そのクリーニングブレードの往復動動作は、先端エッジ部の移動距離を2mm、移動速度を1mm/sとし、1回の立ち下がりサイクルの間に先端エッジ部を8往復させた。しかしながら、この走行試験では、中間転写ベルトの循環速度の変更、およびそのクリーニングブレードの圧接角および圧接力の変更は一切行わなかった。
走行試験後、走行後の中間転写ベルトのクリーニング性の評価及び中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードの先端エッジ部の観察を実施例9と同等に実施し、これらの結果を表4に示す。
表2に示すように、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードを対象にした実施例1から実施例8までの各結果は、いずれも良好な結果である。また、表4に示すように、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードを対象にした実施例9および実施例10の各結果も良好な結果である。いずれの実施例においても、エッジ清掃前のストレスモードにおけるクリーニング性が良好であることから、先端エッジ部に付着物が堆積していないことがわかる。また、清掃後のクリーニング性はクリーニングブレードの先端エッジ部の摩耗などに起因して悪化するものであり、また清掃前と清掃後の差分は先端エッジ部の付着物の堆積に起因するものと考えるが、いずれの実施例においても、これらのことが問題になることはない。ただし、実施例1〜実施例3のように帯電バイアスを変更させる方式を採用した画像形成装置よりも、実施例4〜実施例6のように潜像担持体ドラムの回転速度を変更させる方式を採用した画像形成装置や実施例7のように圧接力や圧接角を変更させる方式を採用した画像形成装置の方が優れた結果になっている。また、実施例8のように装置内の温湿度に応じてクリーニングブレードの往復動動作を制御する方式を採用した画像形成装置も優れた結果になっている。さらに、中間転写ベルトに圧接するクリーニングブレードを対象にした実施例9および実施例10の画像形成装置も優れた結果になっている。
一方、いずれの比較例においても、エッジ清掃前のストレスモードにおけるクリーニング性が不良であることから、先端エッジ部に付着物が堆積していることがわかる。特に、比較例3〜6の結果より、クリーニングブレードの往復動動作だけでは、先端エッジ部に堆積した付着物が除去しきれないことがわわかる。また、比較例5の結果より、潜像担持体ドラムに圧接するクリーニングブレードの往復動動作を常時行うと、先端エッジ部に著しい摩耗が生じることがわかる。