JP4134753B2 - 電子写真用感光体、電子写真用部材、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
電子写真用感光体、電子写真用部材、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置に利用し得る電子写真用感光体、電子写真用部材、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスにおいては、典型的には、光導電性物質を利用した電子写真用感光体(以下、単に「感光体」という場合がある)の表面を一様に帯電させた後、露光により潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー画像を形成し、感光体表面のトナー画像を、中間転写体を介して若しくは介さずに用紙等の転写材表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧、若しくは加熱加圧、あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面に残ったトナーは、必要に応じてクリーニング部材によりクリーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。
【0003】
前記電子写真用感光体の表面には、帯電時に発生するオゾンやNOxに対する化学的耐性、転写効率を高めるための離型性、機械的クリーニング時の表面滑性、耐摩耗性、硬度といった種々の特性が要求される。このため、感光体表面に表面保護層として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を初めとするフッ素樹脂粒子を分散させた樹脂層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような樹脂層は、表面の摩擦係数が低く、クリーニング性が向上し、摩耗に対する耐久性も良化する。また、オゾンによって劣化し易い電荷輸送層、電荷発生層を外気から遮断することができるため、化学的な耐久性が改善される。
【0004】
しかし、前記樹脂層中に用いられてきたフッ素樹脂粒子は、それ自体の撥水性が十分でなく、しかも樹脂層の表面には、結着樹脂がかなり露出しているため、十分な離型性を発現することができない。また、フッ素樹脂粒子を分散させた樹脂層を研磨し、フッ素樹脂粒子をより多く露出させる手法も提案されているが、コストアップの割には大きな効果は得られない。更に、実使用上可能なフッ素樹脂粒子の含有量範囲では、結着樹脂単独の場合と同等の接触角しか得られないことすらある。
【0005】
加えて、離型性を増大させるためにフッ素樹脂粒子を増量すると、感光体表面に曇りが生じ感度が低下するため、結果として画像品質の低下を招いてしまう。前記接触角が小さいことは、即ち、表面自由エネルギーが大きいことを指し、電子写真用感光体においては、離型性の低下による転写残トナーの増加(転写効率の低下)、NOxなどによる表面汚染の増加、表面滑性の低下によるクリーニング性の劣化、感光体表面へのトナー再付着といった問題が生じ易い。
【0006】
また、電子写真用部材としてのクリーニング部材は、感光体表面の残留トナーを除去するものである。感光体表面の残留トナーは、電荷を有し、強い静電的吸着力により感光体表面に付着していることから、その静電的吸着力に打ち勝ってトナーを感光体表面から除去するため、ブレード状クリーニング部材を、大きな圧力で感光体表面に押し付ける必要がある。
【0007】
このブレード状クリーニング部材(クリーニングブレード)は、優れた耐薬品性、耐摩耗性、成形性及び機械的強度が要求されるので、それらの諸性能を有するウレタンゴムが主に用いられてきている。しかし、このウレタンゴム製クリーニングブレードは、例えば、表面層がポリカーボネートのような高分子樹脂で構成される感光体との間の摩擦係数が非常に大きいので、感光体とクリーニングブレードとの間に大きな摩擦力が生じ、クリーニングブレードが感光体の回転方向に沿って反転してしまい(ブレードめくれ)、感光体が駆動しなくなったり、クリーニングが行なわれなくなるという不都合が避けられなかった。
【0008】
このため、クリーニングブレードのエッジ部に、潤滑性のあるフッ素樹脂微粉末等を塗布、ディッピングして潤滑層を形成し、摩擦係数を低下させる対応策が取られている。しかし、このフッ素樹脂微粉末を用いて潤滑層を形成する方法は、通常のクリーニングブレードの製造工程に加えて潤滑層形成工程を経由しなければならず、作業工程が煩雑となる問題を有していた。
【0009】
一方、クリーニングブレードのエッジ部にゴム、樹脂を主成分とする低摩擦層が形成されたクリーニングブレードが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。このクリーニングブレードは、ウレタンゴム、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、ナイロン等のバインダーに、シリコーンパウダー、フッ素樹脂パウダー、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)パウダー等を混合した低摩擦層形成材料を、クリーニングブレードの、感光体接触部(エッジ部)にディッピング法等により塗工して低摩擦層を形成したものである。このようにすれば、感光体とクリーニングブレードとの摩擦を軽減することができ、複写開始時のような感光体表面にトナーが存在しない状態であっても、クリーニングブレードの反転が防止されるようになる。しかしながら、上記低摩擦層が形成されたクリーニングブレードは、前記バインダーがゴムの場合は反転防止が不充分となる場合があり、バインダーが樹脂の場合は感光体表面を傷つけることがある。
【0010】
更に、クリーニングブレードを構成する材料であるウレタンゴムに、粉体又は液状の潤滑剤を添加し、潤滑性を高める方法も数多く提案されている(例えば、特許文献6〜8参照)。しかし、例えば、粉体の潤滑剤を添加して得られたウレタンゴム製のクリーニングブレードは、固くなり、感光体に傷を付けることがある。また、上記液状の潤滑剤を添加して得られたウレタンゴム製のクリーニングブレードを用いると、液状の潤滑剤がクリーニングブレード表面に滲出して感光体を汚染するという問題が生じる。このように、複写開始の初期時におけるクリーニングブレードの反転を、効果的に防止することのできる方法が未だ得られていないのが実状である。また、クリーニングブレードの耐久性を向上させる目的で、プラズマ重合膜を形成する方法も提案されているが、この方法により得られるクリーニングブレードは、プラズマ重合膜の形成がエッジ部を含む一面のみの形成処理のため、反転を防止することができない。
【0011】
更に、感光体に当接し、感光体表面のトナー画像が転写される中間転写体において、その表面の離型性が低い場合は、転写工程時に「中抜け現象」が発生する場合がある。この「中抜け現象」発生の原因として、以下の如き項目が挙げられる。
・フルカラー画像形成装置において、トナー層が厚くなること。
・ロール状の転写部材を用いることにより接触圧力が高くなり、これに伴い中間転写体表面とトナーとの間に、機械的な付着力が強力に発生すること。
・画像形成プロセスを繰り返し実行することで、中間転写体にトナーがフィルム状に付着する、所謂フィルミング現象を起こし、中間転写体表面とトナーとの間に強い付着力が発生すること。
【0012】
このような原因を抱える「中抜け現象」を回避する手段としては以下に示す様な手法が開示されている(例えば、特許文献9参照)。
▲1▼中間転写体の表面エネルギーよりも小さい表面エネルギーを有するシリコーン系の材料からなる部材で構成されているロール(conditioning mean)を、中間転写体表面に当接させ、中間転写体表面の表面エネルギーを減じるコンディショニングプロセスを加える手法。この手法は、中間転写体に表面エネルギーを小さくする物質を加えることで、中間転写体そのものの表面エネルギーを小さくさせるものである。
▲2▼中間転写体と、その中間転写体表面のトナーが転写される転写材と、の線速度を異ならせることで、転写時の「中抜け現象」を低減させる手法。
▲3▼中間転写体に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を塗布する手法。
【0013】
このように、中間転写体においても、その表面において、高い離型性や滑り性が求められており、それに対する解決法も種々考えられているが、所望の離型性や滑り性を得たり、その高い離型性及び滑り性を長期間維持させるには不充分であった。
【0014】
更に加えて、感光体表面に接触又は近接し該感光体表面を帯電させる帯電部材、感光体表面のトナー画像を転写材に転写する転写部材、中間転写体表面のトナー画像を転写材に転写する転写部材、転写材を搬送する搬送部材等においても、その表面の離型性が低い場合には下記の様な問題が存在する。
【0015】
・感光体表面に接触又は近接し該感光体表面を帯電させる帯電部材の表面の離型性が低い場合には、感光体表面に残存するトナーや外添剤、更には紙粉等が経時的に付着し易くかつ剥離し難いので、感光体表面の帯電状態を均一に保つことが困難となり、帯電不良に起因した画像欠陥を招いてしまう。
・感光体表面のトナー画像を転写材に転写する転写部材、及び中間転写体表面のトナー画像を転写材に転写する転写部材の表面離型性が低い場合には、トナーや外添剤、更には紙粉等が経時的に付着し易くかつ剥離し難いので、十分な転写電界を形成できず、転写不良に伴う画像欠陥を招いてしまう。なお、この現象は、特に中間転写体表面のトナー画像を転写材に転写する転写部材の場合に顕著である。
・転写材を搬送する搬送部材の表面の離型性が低い場合には、機内を浮遊するトナー粉や紙粉等が経時的に付着し易くかつ剥離し難いので、搬送部材表面の汚れが転写材に常に移行してしまう。
【0016】
このように、電子写真用の各部材としては、表面の離型性や滑り性が低いと、種々の問題を引き起こす場合が多いため、表面の離型性や滑り性が高く、更に、その離型性や滑り性が長期間維持できるような部材が望まれている。
【0017】
【特許文献1】
特開昭63−56658号公報
【特許文献2】
特開昭63−65450号公報
【特許文献3】
特開昭63−27928号公報
【特許文献4】
特開平2−101488号公報
【特許文献5】
特開平2−107983号公報
【特許文献6】
特開平1−279282号公報
【特許文献7】
特開平3−269564号公報
【特許文献8】
特開平4−93973号公報
【特許文献9】
特開2002−23514号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、優れた離型性及び滑り性を有すると共に、その優れた離型性及び滑り性を長期間維持することの可能な電子写真用感光体及び電子写真用部材を提供することである。また、他の目的として、前記電子写真用感光体及び電子写真用部材を備えることで、環境負荷の低減や大幅なコストダウンを図ることができるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述の電子写真用感光体や電子写真用部材の抱える問題を根本から解決することの可能な電子写真用感光体、電子写真用部材の構造を見出し、本発明に至った。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
【0020】
<1> 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、
前記第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであることを特徴とする電子写真用感光体である。
【0021】
<2> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、前記第1の層表面の空隙を充塞していることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0023】
<3> 前記第1の層が、電荷発生機能及び電荷輸送機能を有する層であることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0024】
<4> 前記第1の層が、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層と、の2層からなることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0025】
<5> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含むことを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0026】
<6> 前記第1の層が、熱可塑性樹脂を含む層を有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0027】
<7> 前記第1の層が、硬化性樹脂を含む層を有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0028】
<8> 前記第1の層が、ケイ素を含む層を有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0029】
<9> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を用いて含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0030】
<10> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に塗布し、所定時間放置する塗布含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0031】
<11> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に配置し、常温より高い温度にて、加温含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0032】
<12> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に配置し、常温以上の温度で減圧状態及び常圧状態を繰り返す真空含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<1>に記載の電子写真用感光体である。
【0034】
<13> 少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、
前記第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであることを特徴とする電子写真用部材である。
【0035】
<14> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層表面の空隙を充塞していることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0036】
<15> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含むことを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0037】
<16> 前記第3の層が、熱可塑性樹脂を含む層を有することを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0038】
<17> 前記第3の層が、硬化性樹脂を含む層を有することを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0039】
<18> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を用いて含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0040】
<19> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に塗布し、所定時間放置する塗布含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0041】
<20> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温より高い温度にて、加温含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0042】
<21> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温以上の温度で減圧状態及び常圧状態を繰り返す真空含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0043】
<22> 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温以上の温度で加圧状態及び常圧状態を繰り返す加圧含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0044】
<23> 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング部材であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0046】
<24> 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面を帯電する帯電部材であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0047】
<25> 電子写真用感光体に転写材を介して当接され、該電子写真用感光体表面のトナー画像を前記転写材に転写させる転写部材であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0048】
<26> 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面のトナー画像が転写される中間転写体であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0049】
<27> 中間転写体に当接され、電子写真用感光体表面のトナー画像を前記中間転写体に転写させる転写部材であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0050】
<28> 中間転写体に転写材を介して当接され、該中間転写体表面のトナー画像を前記転写材に転写させる転写部材であることを特徴とする<13>に記載の電子写真用部材である。
【0052】
<29> 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材及び帯電部材のうち少なくとも1つ、
を備えることを特徴とする画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジである。
【0053】
<30> 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材及び帯電部材のうち少なくとも1つ、
を備えるプロセスカートリッジを、着脱自在に具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0054】
<31> 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材、帯電部材、転写部材、中間転写体、及び搬送部材からなる群より選ばれる少なくとも1つ、
を具備することを特徴とする画像形成装置である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真用感光体、電子写真用部材、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置について説明する。ここで、本発明における電子写真用部材とは、例えば、帯電部材、転写部材、中間転写方式における1次転写部材、2次転写部材及び中間転写体、クリーニング部材、搬送部材を指し、電子写真プロセスにおいて用いられる部材であって、優れた離型性及び滑り性を備えることが望まれる部材であれば、特に限定されない。
【0056】
<電子写真用感光体>
本発明の電子写真感光体は、少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含むことを特徴とする。
【0057】
このように、感光体の最表層を1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層(以下、単に「第2の層」という場合がある)とすることにより、転写効率を高めるための離型性、機械的クリーニング時の表面滑性、耐摩耗性、硬度といった種々の特性に加え、帯電時に発生するオゾンやNOxに対する化学的耐性等を、長期にわたって維持させることができる。
【0058】
ここで、前記第1の層とは、前記最表面である第2の層を支持する層であり、その表面が第2の層と接している層であれば特に制限されない。また、この第1の層は、後述するように、単層であってもよく、複数の層が積層された層であってもよい。
【0059】
図1及び図2を参照して、以下、本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体について詳細に説明する。図1は、本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体の構造を説明するための概略断面図である。図2は、図1に示す本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体の層構成を説明するための要部概略断面図である。
【0060】
図1及び図2に示すように、本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体は、導電性支持体110の表面に、下引層120と、電荷発生層130と、電荷輸送層140と、フッ素樹脂層150(第2の層)と、を順次備えるが、本発明の電子写真用感光体はかかる構造に限定されるものではない。ここで、図1で示される電子写真用感光体は、電荷発生層130と、電荷輸送層140と、がそれぞれ別の層で形成されており、電荷発生機能と電荷輸送機能とが分離した、所謂機能分離型と呼ばれる2層構造の感光層を有している。しかし、本発明の電子写真用感光体の感光層は、例えば、電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分散あるいは溶解させた組成物中に、更に、電荷発生材料を分散させ、電荷発生機能と電荷輸送機能とを共に有する単一の層からなってもよい。
【0061】
本発明における第1の層は、前記機能分離型の感光層を有する感光体の場合には、電荷発生層と電荷輸送層との2層からなることが好ましく、この場合には、第2の層と接する層が電荷輸送層であってもよいし、電荷発生層であってもよい。また、本発明における第1の層は、感光層が前記電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分散あるいは溶解させた組成物中に、更に、電荷発生材料を分散させたような単層構造からなる場合には、前記電荷発生機能と電荷輸送機能とを共に有する単一の層であることが好ましい。
【0062】
以下、導電性支持体110と各層120〜150について説明する。
(1種以上フッ素樹脂を含有する第2の層)
本発明における第2の層は、第1の層に外接して最表層となり、1種以上のフッ素樹脂を含有することが必要である。つまり、本発明の電子写真用感光体では、最表層として、1種以上のフッ素樹脂を含有する層を有することを必須とされる。
【0063】
すなわち、図1における第2の層であるフッ素樹脂層150は、単独のフッ素樹脂で構成されていてもよく、2種以上のフッ素樹脂で構成されていてもよい。また、第2の層はフッ素樹脂を含有していればよく、フッ素樹脂以外に他の樹脂を含んでいてもよい。
【0064】
また、本発明においては、前記第2の層が前記第1の層表面の空隙を充塞していることが好ましい。ここで、「第1の層表面の空隙を充塞している」とは、図2に示すように、フッ素樹脂層150が、内接する電荷輸送層140の表面に存在する、分子レベルのミクロな空隙(凹部)にまで侵入しその空隙を充填し、かつ、最表面がフッ素樹脂層150で覆われている状態を指す。
ただし本発明においては、上記最表面がフッ素樹脂で完全に覆われていなくてもよく、例えば、図1におけるフッ素樹脂層150としては、完全なフッ素樹脂含有層だけでなく、ミクロな空隙を有する電荷輸送層140の凸部が、部分的に混在しているような層(擬似的な層)も含まれる。
【0065】
なお、フッ素樹脂層150に内接する層(本態様では、電荷輸送層140)の表面に存在する空隙とは、フッ素樹脂層150に内接する層が設けられる際に混入した空気等のガスが存在することで形成されるものを指し、このガスとフッ素樹脂とが置き換わることで、フッ素樹脂層150に内接する層の内部(空隙内部)までフッ素樹脂層が形成されることになる。
【0066】
このように、本発明の電子写真用感光体の最表層が1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層(以下、単に「フッ素樹脂含有層」という場合がある)からなるため、高い離型性及び滑り性を発現することができ、更に、フッ素樹脂含有層に内接する層内にまでフッ素樹脂含有層が存在していることから、最表層が磨耗により削られ、フッ素樹脂含有層に内接する層が露出したとしても、フッ素樹脂が存在することになるため、高い離型性及び滑り性を長期に渡り維持することが可能となる。また、フッ素樹脂含有層がフッ素樹脂含有層に内接する層にまで侵入していることから、フッ素樹脂含有層に内接する層(第1の層)とフッ素樹脂含有層(第2の層)との密着力を極めて高く保つことができる。
【0067】
図2に示すようなフッ素樹脂層150を形成する方法としては、以下に示す含浸処理により行われる。
本発明において、上記含浸処理は、特定の組成を有する処理液を用い、その処理液を、例えば、含浸法やコーティング法など用い、導電性支持体110表面に、下引層120と、電荷発生層130と、電荷輸送層140と、が形成されている積層体の表面に配置することで行われる。
【0068】
前記処理液は、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含むフッ素樹脂(以下、適宜、特定フッ素樹脂と称する。)の分散液であることが好ましく、特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーとコポリマーとを適当な比率、例えば、(ホモポリマー):(コポリマー)=95:5〜10:90の範囲で混合して用いられることが好ましく、90:10〜20:80の範囲で用いられることがより好ましい。
【0069】
また、処理液中のフッ素樹脂としては、上記特定フッ素樹脂と共に、他のフッ素樹脂を併用することができる。併用可能なフッ素樹脂としては、フッ化ビニリデンのホモポリマー及び/又はコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーなどが挙げられる。これらの併用可能なフッ素樹脂の配合量は、特定フッ素樹脂100質量部に対して、5〜100質量部の範囲であることが好ましい。
【0070】
また、前記特定フッ素樹脂及び併用可能なフッ素樹脂のコポリマー中のコモノマーとしては、オレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどが例示される。これらのコモノマーの共重合比としては、コポリマー中での繰り返し単位を1モルとした時、0.01〜1モル%の範囲であることが好ましく、0.02〜0.9モル%の範囲であることがより好ましい。
【0071】
さらに、フッ素樹脂含有層にフッ素樹脂以外の他の樹脂が含まれる場合の、該他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましく用いられる。また、これらの他の樹脂が含まれる場合の他の樹脂の含有量は、上記フッ素樹脂100質量部に対し、1〜100質量部の範囲であることが好ましい。
【0072】
上記特定フッ素樹脂を好ましい成分とする処理液は、水を主たる分散媒として用いた水性分散液の形態で、前述の導電性支持体と各層とにより形成されている積層体の表面に配置するために用いられる。
水性分散液としての処理液の調製にあたっては、各種のアニオン系、ノニオン系、カチオン系あるいは両性の界面活性剤を配合して、上記特定のフッ素樹脂等を均一に分散させることが望ましい。また、水性分散液であっても適当な量の有機溶剤を併用することが好ましい。界面活性剤及び溶媒を最適なものに設定することにより、水性分散液中におけるフッ素樹脂の均一かつ安定な分散が図られる上、前記積層体の表面へのフッ素樹脂含有樹脂の分散、浸透が円滑となる。
【0073】
上記特定フッ素樹脂を好ましい成分とする処理液には、そのほか、必要に応じて、ワックス、光沢剤、安定剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調節剤などを配合することができる。
処理液中の固形分の濃度は10〜70質量%程度の範囲に設定し、更に処理液中のフッ素樹脂の濃度は0.1〜30質量%の範囲に設定するのが好ましいが、必ずしもこの範囲に限られるものではない。
【0074】
フッ素樹脂含有層の形成方法としては、以下に示す、塗布含浸処理、加温含浸処理、真空含浸処理、又は加圧含浸処理を施すことで行われる。
上記塗布含浸処理は、前記の処理液を、前述の導電性支持体と各層とにより形成されている積層体の表面に塗布し、所定時間放置することで行われる。この際、前記積層体の表面への処理液の塗布量は、処理液の厚みが5〜20μmの範囲となるように調節されることが好ましい。このために、処理液の濃度の調節を行うことが望ましく、処理液中の固形分の濃度は、5〜50質量%の範囲にすることが好ましい。その後、前記積層体の表面の処理液は、所定時間放置されることにより積層体内部に含浸され、乾燥することで皮膜が形成される。
【0075】
従って、処理液の厚みが5μmより薄い場合には、形成された皮膜に極端に薄い部分を生じ、離型性に斑のある最表層が形成されてしまう場合がある。このような最表層を有する電子写真用感光体は、離型性の差に起因して局所的に転写効率が大きく異なる部位が存在するため、その部位に応じて画像欠陥を生じる可能性がある。一方、処理液の塗布厚みが20μmを超える場合には、処理液が流れ易くなり、形成される皮膜に厚みの斑が生じてしまう。その結果として、やはり画像欠陥を生じる可能性がある。
【0076】
また、放置する所定時間は15分以上が好ましく、より好ましくは30分以上である。放置時間が15分に満たない場合は、前記積層体内部に含浸されるフッ素樹脂量が少ないと共に、乾燥時間が不足のため、十分な強度を持った皮膜を形成することができない場合がある。
【0077】
前記加温含浸処理は、前記処理液を、前述の導電性支持体と各層とにより形成されている積層体の表面に配置し、常温より高い温度にすることで行われる。
また、前記真空含浸処理は、前記処理液を積層体の表面に配置し、常温以上の温度で減圧状態及び常圧状態を繰り返すことで行われる。
更に、前記加圧含浸処理は、前記処理液を積層体の表面に配置し、常温以上の温度で加圧状態及び常圧状態を繰り返すことで行われる。
【0078】
上記加温含浸処理、真空含浸処理、及び加圧含浸処理において、処理液を積層体の表面に配置する方法としては、処理液中に積層体を浸漬させる方法、予め容器の内部に積層体を固定し、その容器中に処理液を流し込む方法、処理液をブレードコーティング法、ワイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等により塗布する方法がある。
【0079】
加温含浸処理、真空含浸処理、及び加圧含浸処理において、前記「常温以上の温度で」とは、10〜100℃の範囲であることが好ましく、40〜80℃の範囲であることがより好ましい。この温度が100℃より高いと、フッ素樹脂含有層の熱膨張や熱収縮により、形成された皮膜に変形が生じる可能性がある。一方、この温度が10℃より低いと、乾燥に長時間を要するため、製造性が悪くなるの場合がある。
【0080】
また、真空含浸処理における真空度は、0.01MPa以上0.09MPa以下であることが好ましく、0.015〜0.09MPaの範囲であることがより好ましい。
更に、加圧含浸処理における加圧力は、0.1〜1MPaの範囲であることが好ましく、0.11〜0.9MPaの範囲であることがより好ましい。
【0081】
真空含浸処理における真空度が0.01MPaより小さいと、処理液中の低沸点溶剤の蒸発量が多くなり、処理液の寿命が短くなる。また、真空度が0.09MPaより大きいと、含浸する層中の残留ガス除去が不充分となり、十分にフッ素樹脂が浸透しない場合がある。
【0082】
同様に、加圧含浸処理における加圧力は、空隙の細部まで十分にフッ素樹脂を充填するために、0.1MPaより高い圧力であることが好ましい。加圧力が1MPaより大きいと、処理設備に高耐圧性が要求されるため、高コストとなる場合がある。
【0083】
ここで、処理液中のフッ素樹脂含有樹脂濃度、処理液の固形分調整(粘度調整)、処理液の温度、真空度、加圧力、減圧状態及び常圧状態、加圧状態及び常圧状態を繰り返す回数等の処理条件は目的とする電子写真用感光体に応じ任意に組み合わせることができる。
【0084】
このようにして、上述の導電性支持体と各層とにより形成されている積層体の表面に処理液を配置し、種々の含浸処理を終えた後、余分な処理液を除去し、40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃で、5〜30分程度で乾燥することで、目的とするフッ素樹脂含有層を形成することができ、更に、内接する層の凹部を充塞することも可能となる。
【0085】
形成されたフッ素樹脂含有層150(第2の層)は、優れた滑り性を発現させるという観点から、その表面の動摩擦係数が0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
【0086】
(導電性支持体)
導電性支持体110としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト;導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物;アルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト;等が挙げられる。さらに、必要に応じて導電性支持体110の表面には、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理や薬品処理、着色処理等、又は砂目立て等の乱反射処理等を施すことができる。
【0087】
(下引層)
下引層120は、図1における電子写真用感光体では、導電性支持体110と後述する電荷発生層130との間に必要に応じて設けられる。感光層の構成によっては、導電性支持体110と電荷輸送層、あるいは電荷発生機能及び電荷輸送機能を有する層との間に設けられてもよい。
【0088】
下引層120を設けると、主として、1)導電性支持体110からの不必要なキャリアの注入を阻止することができるため、画像品質が向上し、2)感光体の光減退曲線の環境変動を生じないため、安定した画像品質が得られる。また、下引層120を設けると、3)適度な電荷輸送能を有し、長期間の繰返し使用時にも電荷が蓄積されないので、感度変動を生じず、4)帯電電圧に対する適度な耐圧性を示すため、絶縁破壊による画像欠陥が発生しない。さらに、下引層120は、5)感光層を導電性支持体110に対して一体的に接着保持させる接着層としての作用、6)場合によっては導電性支持体110の反射光防止作用を示す。
【0089】
下引層120は、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコーンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物を用いることができる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
【0090】
また、これらの有機金属化合物に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を配合して下引層120を形成してもよい。
【0091】
さらに、従来より下引層120に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ニトロセルロース、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0092】
また、下引き層120中には、電子輸送性顔料を混合/分散させて使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。
電子輸送性顔料は、混合量が多すぎると下引層120の強度が低下して塗膜欠陥を生じるため、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
【0093】
前記電子輸送性顔料の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる方法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、該有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロールイド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0094】
また、下引層120用塗布液を導電性支持体110表面に塗布する塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材(導電性支持体)は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、中間層を形成することが好ましい。
下引層120の厚みは、好ましくは0.01〜30μmの範囲、より好ましくは0.2〜25μmの範囲である。
【0095】
(電荷発生層)
導電性支持体110の表面(下引層120が形成されている場合には、該下引層120の表面)には、通常、電荷発生層130が設けられる。電荷発生層130には、少なくとも電荷発生物質が含まれる。電荷発生層130に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ系顔料、キノン系顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、ピロロピロール顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料等の種々の有機顔料;アズレニウム系染料、スクウェアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の染料;アモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料;等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、金属及び/又は無金属フタロシアニン顔料、縮環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料が好ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。電荷発生物質としては、ここに挙げたものを単独で用いることもできるが、2種類以上の電荷発生物質を混合して用いてもよい。
【0097】
電荷発生層130に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂などの広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
【0098】
好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記電荷発生物質と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1〜1:10の範囲内であることが好ましく、10:2〜2:10の範囲であることがより好ましい。
【0099】
電荷発生層130は上述した電荷発生物質を真空蒸着により蒸着して形成するか、あるいは溶剤中に結着樹脂及び電荷発生物質を溶剤中に溶解、分散した塗布液を塗布することにより形成することができる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロールイド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0100】
また、電荷発生物質及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。これらの分散方法により、分散による電荷発生物質の結晶型の変化を防止することができる。さらにこの分散の際、電荷発生物質の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
【0101】
電荷発生層130を形成する際には、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。このようにして得られる電荷発生層130の厚みは、好ましくは0.01〜5μmの範囲、好ましくは0.2〜2.0μmの範囲である。
厚みが0.01μmよりも薄いと、電荷発生層130を均一に形成することが困難になり、5μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。
【0102】
また、電荷発生層130中には、酸化防止剤、失活剤等の安定剤を加えることもできる。防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。失活剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。酸化防止剤については後述する。
【0103】
(電荷輸送層)
電荷輸送層140は、下記電荷輸送物質、結着樹脂及び必要に応じて添加される種々の添加剤からなる。
電荷輸送物質としては、低分子化合物では、例えば、ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物やトリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物が挙げられる。
【0104】
特に電荷輸送物質としては、p−ベンゾキノン、クロールニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が好ましく用いられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。モビリティーの観点から、以下の式(1)〜(3)に示される構造のものが好ましい。
【0105】
【化1】
【0106】
上記式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar1及びAr2は置換又は未置換のアリール基を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。
【0107】
【化2】
【0108】
式(2)中、R2、R2'は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の範囲のアルキル基、炭素数1〜5の範囲のアルコキシ基、を表わす。R3、R3'、R4、R4'は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の範囲のアルキル基、炭素数1〜5の範囲のアルコキシ基、炭素数1〜2の範囲のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R5)=C(R6)(R7)を表わし、R5、R6、R7は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。mおよびnは0〜2の範囲の整数である。
【0109】
【化3】
【0110】
式(3)中、R8は水素原子、炭素数1〜5の範囲のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、または、−CH=CH−CH=(Ar)2を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R9、R10は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の範囲のアルキル基、炭素数1〜5の範囲のアルコキシ基、炭素数1〜2の範囲のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。
【0111】
また、電荷輸送物質として高分子電荷輸送材を用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラン等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ベンジジン化合物がモビリティー、安定性、光に対する透明性の面で好ましい。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜可能であるが、後述する結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0112】
電荷輸送層140に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン、ポリシラン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が、電荷輸送物質との相溶性、溶剤への溶解性、強度にすぐれているので好ましい。
【0113】
また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送物質と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1〜1:5の範囲が好ましい。
【0114】
また、前記結着樹脂とともに、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンオイル類が挙げられる。酸化防止剤、光劣化防止剤については後述する。
なお、本発明におけるケイ素含有コーティング剤を使用しない場合、上記各成分を適当な溶剤に溶解して塗布液を作製する。
【0115】
電荷輸送層140の形成は、電荷輸送物質及び結着樹脂を所定の溶剤に分散した塗布液を用いて行うことができる。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0116】
塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層140の厚みは、好ましくは5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜40μmの範囲である。厚みが5μmよりも薄いと帯電が困難になり、50μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。
【0117】
前記電荷発生層130、電荷輸送層140には、必要により、各種安定剤として酸化防止剤、光劣化防止剤を加えることができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物などが用いられる。これら安定剤の添加量としては、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0118】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0119】
一方、感光層が前記電荷発生機能及び電荷輸送機能を有する単層(以下、単に「電荷発生/電荷輸送層」という場合がある)からなる場合は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂を含有して形成される。これらの材料としては、前記電荷発生層130及び電荷輸送層140の説明で例示されたものと同様のものを用いることができる。電荷発生/電荷輸送層中の電荷発生物質の含有量は、10〜85質量%程度の範囲、好ましくは20〜50質量%の範囲である。また、電荷輸送物質の含有量は、5〜50質量%の範囲とすることが好ましい。また、後述する一般式(1)で表される化合物を加えてもよい。電荷発生/電荷輸送層の形成方法は、電荷発生層130や電荷輸送層140の形成方法と同様である。電荷発生/電荷輸送層の膜厚は、5〜50μm程度の範囲が好ましく、10〜40μmの範囲とするのがさらに好ましい。
【0120】
(表面保護層)
表面保護層は、必要に応じて、例えば電荷輸送層140の表面に設けられる。かかる表面保護層を設けることで耐久性を向上させることができる。そしてこの場合には、この表面保護層、あるいは表面保護層及び感光層を含めた複数の層が、本発明における第1の層となる。
【0121】
この表面保護層を構成する材料としては、耐熱性、酸化安定性、耐候性(光、オゾン、放射線)、電気特性(絶縁性、耐コロナ性)、界面特性(離型性、消泡性、撥水性)等、オゾンやNOx等に対する化学的な安定性のみならず、熱や機械力等の物理的なストレスに対して、安定な有機機能性材料が求められている。このような観点から、結着樹脂中に導電性微粒子を分散したもの、電荷輸送材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコーン系、アクリル系等のハードコート剤等を用いて形成することができる。
【0122】
特に、上記のような要求に応えるため、“Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congresson Advances in Non−Impact Printing Technologies,p.57〜59’’、特許第2575536号明細書や特開平9−190004号公報では、有機機能性材料として、ケイ素を含有するコーティング剤を使用することが開示されている。このケイ素を含有するコーティング剤は、ゾル−ゲル法により、シロキサン結合の強固な3次元ネットワークを形成させる、いわゆる有機−無機ハイブリッド化によって、機械的な強度を大きく改善させている。しかし、有機材料と無機材料とからなるコーティング剤等は、両者の性質が大きく異なるため相溶性が悪く、単に混合しただけでは均一な硬化膜を形成させにくい。そこで特開平9−190004号公報には、電荷輸送剤にケイ素を含有し加水分解性を有する基(ケイ素含有基)を直接導入した有機ケイ素変成正孔輸送性化合物を用い、無機材料と有機材料とを直接強固に化学結合させて、均一に相溶させる方法が開示されている。
【0123】
さらに、このようなシロキサン系樹脂としては、電荷輸送成分を含む架橋ポリシロキサン樹脂が好ましく、特に、下記一般式(1)で表される構造を有するケイ素含有化合物を単独で、又はその他の重合性化合物と組み合わせて重合させたものが強度、安定性の点で特に好ましい。
W(−D−SiR3-aQa)b (1)
【0124】
上記一般式(1)中、Wは光キャリア輸送特性を示す有機基を表し、Rは水素原子、アルキル基並びに置換又は未置換のアリール基から選ばれる1種を表し、Qは加水分解性基を表し、Dは2価の基を表し、aは1〜3の整数を表し、bは2〜4の整数を表す。
【0125】
一般式(1)中のWは、光キャリア輸送特性を示す有機基であり、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等から誘導されるものである。
【0126】
また、一般式(1)中のRは、前述の通り、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)又は置換若しくは無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜15の置換若しくは無置換のアリール基)を表す。
また、一般式(1)中、Qで表される加水分解性基とは、一般式(1)で表される化合物の硬化反応において、加水分解によりシロキサン結合(Si−O−Si)を形成し得る官能基のことをいう。かかる加水分解性基の好ましい例として、具体的には、水酸基、アルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、クロロ基が挙げられるが、これらの中でも、−OR”(R”は炭素数1〜15のアルキル基またはトリメチルシリル基)で表される基がより好ましい。
【0127】
また、一般式(1)中、Dで表される2価の基としては、好ましくは、−CnH2n−、−CnH2n-2−、−CnH2n-4−(nは1〜15の整数であり、好ましくは2〜10の整数である)、−CH2−C6H4−又は−C6H4−C6H4−で表される2価の炭化水素基、オキシカルボニル基(−COO−)、チオ基(−S−)、オキシ基(−O−)、イソシアノ基(−N=CH−)、あるいはこれら2種以上の組み合わせによる2価の基である。なお、これらの2価の基は、側鎖にアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、アミノ基などの置換基を有していてもよい。Dが上記の好ましい2価の基であると、有機シリケート骨格に適度な可とう性が付与されて層の強度が向上する傾向にある。
【0128】
また、一般式(1)で表される化合物と組み合わせて用いられる重合性化合物としては、一般式(1)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を有していれば特に制限されない。具体的には、−D−SiR3-aQaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲン等を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、−D−SiR3-aQaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基を有する化合物がより強い機械強度を有するため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2つ以上持つものが硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
さらに、膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
【0129】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して、質量で0.25倍以下とすることが望ましい。この使用量を超えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。また、膜の強度を向上させるために、−D−SiR3-aQaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
【0130】
これらの成分を含有する表面層用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行うことができる。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用可能であるが、好ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(1)で表される化合物が析出しやすくなるため、一般式(1)で示される化合物1質量部に対し0.5〜30質量部の範囲、好ましくは1〜20質量部の範囲で使用される。
【0131】
また、上記成分を反応させてシロキサン系樹脂を得るときの反応温度は原料の種類によっても異なるが、好ましくは−20〜100℃の範囲、より好ましくは−10〜70℃の範囲、さらに好ましくは0〜50℃の範囲の温度で行われる。また、反応時間については、長過ぎるとゲル化を生じ易くなるため、10分〜100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0132】
上記成分の反応によりシロキサン系樹脂を得るときの硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等のプロトン酸;アンモニア、トリエチルアミン等の塩基;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクトエ酸第一錫等の有機錫化合物;テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物;アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物;カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、カルボン酸金属塩等の金属化合物が保存安定性の点で好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。
硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度等の点で加水分解性ケイ素置換基(−D−SiR3-aQa)を含有する材料の合計量に対して0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.3〜10質量%の範囲がより好ましい。
【0133】
硬化温度は任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間も必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間の範囲が好ましい。また、硬化反応を行った後、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
【0134】
表面保護層には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0135】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。これらの側鎖に反応性基を結合させ、架橋可能な構造としてもよい。
【0136】
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で、アルコールに溶解する樹脂を表面保護層に加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(例えば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などがあげられる。特に、電気特性の点でポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
【0137】
上記樹脂の平均分子量は、2,000〜100,000の範囲が好ましく、5,000〜50,000の範囲がより好ましい。樹脂の 平均分子量が2,000未満であると、樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、100,000を超えると溶解度が低下して添加量が制限され、さらには塗布時に製膜不良を招く傾向にある。また、前記樹脂の添加量は、1〜40質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、5〜20質量%の範囲がさらに好ましい。前記樹脂の添加量が1質量%未満であると、樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40質量%を超えると、高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる。
【0138】
更に、電子写真用感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、表面保護層に各種微粒子を添加することもできる。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径が1〜100nmの範囲、好ましくは10〜30nmの範囲のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。表面保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、表面保護層の全固形分全量を基準として、0.1〜50質量%の範囲、好ましくは0.1〜30質量%の範囲で用いられる。
【0139】
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。これらのシリコーン微粒子は球状で、その平均粒径は、好ましくは1〜500nmの範囲、より好ましくは10〜100nmの範囲である。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真用感光体の表面性状を改善することができる。すなわち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真用感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。表面保護層中のシリコーン微粒子の含有量は、表面保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1〜30質量%の範囲、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
【0140】
また、その他の微粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化エチレン樹脂、六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等のフッ素樹脂系微粒子や、“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集,p.89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂とからなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。
【0141】
また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
【0142】
なお、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層140として用いることもできる。その場合、層形成には、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
【0143】
電子写真感光体の感光層を構成する前記各層には、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、前記電荷発生層130及び電荷輸送層140中にだけでなく、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
【0144】
本発明の感光体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロールニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等や、一般式(1)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系やCl−、CN−、NO2−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0145】
以上、本発明の電子写真用感光体の例示的1態様を示したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。本態様では、機能分離型感光層を備える感光体を示しているため、フッ素樹脂含有層が内接する層が電荷輸送層140となるが、単一の層からなる感光層を備える感光体の場合、電荷発生機能と電荷輸送機能とを共に有する単一感光層がフッ素樹脂含有層が内接する層となる。また、前述の表面保護層を設ける場合、フッ素樹脂含有層が内接する層は、該表面保護層となる。
【0146】
また、既述の如く、電荷発生層130、電荷輸送層140等が結着樹脂として熱可塑性樹脂を好ましく用いるため、前記表面保護層を形成しない場合には、本発明における第1の層は、熱可塑性樹脂を含む層を有する構成となる。一方、前記表面保護層を形成する場合には、該表面保護層には硬化性樹脂が好ましく用いられるため、上記第1の層は硬化性樹脂を含む層を有する構成となる。そしてこの場合には、前記のように表面保護層として架橋シリコーン樹脂が好ましく用いられるため、第1の層はケイ素を含む層を有することが好ましい。
【0147】
<電子写真用部材>
本発明における電子写真用部材は、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含むことを特徴とする。
【0148】
このように、電子写真用部材の最表層を1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層(以下、単に「第4の層」という場合がある)とすることにより、表面の離型性や滑り性を高くすることができ、ブレードめくれ、中間転写体での中抜け現象、帯電不良などの種々の問題に対し、長期間にわたって対処、維持することができる。
【0149】
なお、上記第3の層とは、前記最表面である第4の層を支持する層であり、その表面が第4の層と接している層であれば特に制限されない。また、この第3の層は、後述するように、単層であってもよく、複数の層が積層された層であってもよい。すなわち、構成される材料等は異なるが、上記第3の層は前記本発明の電子写真用感光体における第1の層に相当するものであり、上記第4の層は前記本発明の電子写真用感光体における第2の層に相当するものである。
【0150】
本発明の電子写真用部材としては、既述の電子写真用感光体以外の、例えば、帯電部材、転写部材、中間転写方式における1次転写部材、2次転写部材及び中間転写体、クリーニング部材、搬送部材などを好ましく挙げることができる。
以下、それぞれの電子写真用部材を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
【0151】
本発明の電子写真用部材としての帯電部材としては、感光体に接触して(当接され)、感光体表面を一様に帯電させることができるものであれば、その構成に特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型帯電部材などが挙げられる。
【0152】
本発明の電子写真用部材としての転写部材としては、感光体に転写材を介し当接され、感光体表面のトナー画像を転写材に転写させることができるものであれば、その構成に特に限定はなく、転写材が載る半導電性ベルトの裏面に圧接し、トナー画像を転写材に転写する転写ロール等の接触型転写部材などが挙げられる。
【0153】
本発明の電子写真用部材としての中間転写方式における中間転写体としては、感光体に当接され、感光体表面のトナー画像が転写されるものであれば、その構成に特に限定はなく、例えば、ベルト状、ドラム状等の形状を有する中間転写体などが挙げられる。
【0154】
本発明の電子写真用部材としての中間転写方式における1次転写部材としては、中間転写体に当接され、電子写真用感光体表面のトナー画像を該中間転写体に転写させることができるものであれば、その構成に特に限定はなく、例えば、ベルト、ロール、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写部材などが挙げられる。
【0155】
本発明の電子写真用部材としての中間転写方式における2次転写部材としては、中間転写体に転写材を介し当接され、該中間転写体表面のトナー画像を該転写材に転写させることができるものであれば、その構成は限定されるものではなく、前記転写部材として例示した転写ロール等の接触型転写部材などが挙げられる。
【0156】
本発明の電子写真用部材としての搬送部材としては、転写材を載せ搬送することができるものであれば、その構成は限定されるものではなく、例えば、導電性又は半導電性ベルトなどが挙げられる。
【0157】
本発明の電子写真用部材としてのクリーニング部材としては、感光体に当接され、感光体表面に残留するトナーを除去することができるものであれば、その構成は限定されるものではなく、例えば、ブレード、ロール、ブラシなどの接触型クリーニング部材などが挙げられる。特に、クリーニング部材において、その最表層となるフッ素樹脂含有層(第4の層)は、優れた滑り性を発現させるという観点から、その表面の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。
【0158】
ここで、上記本発明における帯電部材、クリーニング部材についてさらに説明する。
本発明において、電子写真用感光体に対する帯電方式としては公知の帯電方式が適応可能であり、例えばコロトロン帯電方式や接触帯電方式などが挙げられるが、環境負荷、コストダウン等の観点からは接触帯電方式が好ましい。接触帯電方式では、ロール状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などを用いた接触型帯電部材(帯電部材)が用いられる。特にロール状の帯電部材、ブレード状の帯電部材については、感光体に対し接触状態、またはある程度の空隙(100μm以下)を有した非接触状態として配置しても構わない。
【0159】
また、本発明の電子写真用部材の構成は、公知の帯電部材に対し用いることが可能である。例えば、前記ロール状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などが適応可能である。
【0160】
前記ロール状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材は、帯電部材として有効な電気抵抗(103〜108Ω)に調整された材料から構成されるものであり、単層又は複数の層から構成されていても構わない。材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムや、ポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、帯電部材として有効な電気抵抗を発現させ用いることができる。さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料を、デイッピング、スプレー、ロールコート等の任意の手法により、上記導電性の層表面に積層して用いることができる。
【0161】
こうして得られたロール状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材を、既述の方法によりフッ素樹脂を含む処理液で含浸処理し、本発明の目的とする帯電部材が作製される。
【0162】
また、前記ブラシ状の帯電部材については、従来用いられてきたアクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル等に導電性を付与させた繊維を予めフッ素樹脂を含む処理液で含浸処理した後、既存の手法を用いて植毛し、ブラシ状の帯電部材を作製することができる。また、前記各種繊維をブラシ状の帯電部材に形成した後に、フッ素樹脂を含む処理液で含浸処理を行っても構わない。
なお、ここでいうブラシ状の帯電部材とは、ロール状に形成されたもの、及び平板上に植毛されたもの等、その形状は特に限定されるものではない。
【0163】
さらに、前記磁気ブラシ状の帯電部材とは、磁力を有するフェライト及びマグタイト等を多極磁石を内包するシリンダー外周表面に放射状に配置したものであり、予め用いられるフェライト及びマグタイト等をフッ素含浸処理した後に磁気ブラシとすることが望ましい。
【0164】
一方、本発明において、電子写真用感光体には公知のクリーニング方式を用いることが可能であり、例えばブレードクリーニング方式、スクレーパー方式、ファーブラシ方式、静電ブラシ方式、磁気ブラシ方式などが適応可能である。またクリーニングブレードとブラシクリーナーとを併用した方式も可能である。その中で、クリーニングブレード方式が安価で且つ性能安定性が高いことより好ましい。
【0165】
本発明におけるクリーニング部材は、上記各方式に用いられるクリーニングブレード、ロール、ブラシなどのクリーニング部材である。該クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。その中では、耐摩耗性に優れていることからポリウレタン弾性体(ウレタンゴム)を用いることが好ましい。
【0166】
ポリウレタン弾性体としては、一般にポリイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロールクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。
そして得られたポリウレタン弾性体に、既述の方法によりフッ素樹脂を含む処理液で含浸処理し、本発明の目的とするクリーニング部材が作製される。
【0167】
なお、クリーニングブレードの物性としては、例えば硬度(JIS Aスケール)が50〜90°の範囲、ヤング率が3.9×106〜8.8×106Paの範囲、100%モジュラスが2.0×106〜6.4×106Paの範囲、300%モジュラスが6.9×106〜1.5×107Paの範囲、引っ張り強さが2.4×107〜4.9×107Paの範囲、伸びが290〜500%の範囲、反発弾性が30〜70%の範囲、引裂強さが2.5×106〜7.4×106Paの範囲、永久伸びが4.0%以下のものが使用可能である。またブレードの圧接力は10〜60N/mの範囲、当接セット角度は17〜30°の範囲が好ましい。
【0168】
これらの電子写真用部材において、第3の層とは、前述のロール、ブラシ、フィルム、ブレードなどの形状を構成する基材そのものでもよいし、基材の表面に形成される層であってもよい。また、第3の層は、電子写真用部材としての用途に応じて、適宜、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂を結着樹脂(バインダー)として含有する層を有することが好ましい。
【0169】
用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンエチルアクリレート、ポリエチレンメチルアクリレート、スチレンブタジエン樹脂、テフロン(R)、シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレンビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等の各樹脂、及びその変性体又は共重合体等が挙げられる。
【0170】
用いられる硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の樹脂類、及び天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPT)、クロロスルフォン化ポリメセン(CSM)、シリコーンゴム(Si)、フッソゴム(FPM)、多硫化ゴム(T)、ウレタンゴム(U)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)等のゴム材料が挙げられる。
【0171】
この第3の層に外接する第4の層がフッ素樹脂含有層であり、本発明においては、このフッ素樹脂含有層が前記第3の層表面の空隙(凹部)にまで侵入し、その空隙を充塞していることが好ましい。
【0172】
このように、本発明の電子写真用部材の最表面は、完全なフッ素樹脂含有層ではないものの、実質的にフッ素樹脂含有層と同様な特性を有する層(擬似的な層)からなるため、高い離型性及び滑り性が得られると共に、該フッ素樹脂含有層が内接する第3の層の空隙内にまでフッ素樹脂含有層が存在していることから、最表層(第4の層)が磨耗により削られたとしても、フッ素樹脂が存在することになるため、高い離型性及び滑り性を長期に渡り維持することが可能となる。また、フッ素樹脂含有層が第3の層にまで侵入していることから、第3の層とフッ素樹脂含有層(第4の層)との密着力を極めて高く保つことができる。
【0173】
また、このようなフッ素樹脂含有層を形成する方法としては、前記のように、本発明の電子写真用感光体におけるフッ素樹脂含有層の形成と同様の含浸処理により行われ、加温含浸処理、真空含浸処理、及び加圧含浸処理により行われる。この含浸処理に用いられる処理液や、その処理条件等は、本発明の電子写真用感光体におけるフッ素樹脂層の形成方法に準じることができるが、フッ素樹脂含有層が内接する層を構成する材料や層の厚さ、更に、目的とする電子写真用部材に応じ任意に組み合わせることができる。
【0174】
<プロセスカートリッジ>
プロセスカートリッジとは、画像形成装置の消耗部品を適時交換する目的で、画像形成装置の構成部品のいくつかをカートリッジに組み込み、容易に交換作業を行えるようにしたものである。プロセスカートリッジは、画像形成装置の中に装着された状態で取引される他、交換部品あるいは補修部品として、単体でも取引されている。
【0175】
本発明のプロセスカートリッジは、既述の本発明の電子写真用感光体、本発明の電子写真用部材である、帯電部材及びクリーニング部材のうち少なくとも1つを備え、画像形成装置に着脱自在な構成となっている。プロセスカートリッジに組み込まれ得る電子写真用感光体以外の構成部品については、特に制限はなく、従来公知のものが問題なく採用され得る。
【0176】
本発明の電子写真用感光体、本発明の電子写真用部材である、帯電部材及びクリーニング部材のうち少なくとも1つを備えたプロセスカートリッジは、それらを構成する部材が高い離型性及び滑り性を有し、かつ、その高い離型性及び滑り性を長期に渡り維持することが可能なため、プロセスカートリッジの寿命が延び、環境負荷の低減や大幅なコストダウンを図ることができる。
【0177】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、既述の本発明の電子写真用感光体、本発明の電子写真用部材である、帯電部材、転写部材、中間転写体、搬送部材、クリーニング部材、及び本発明のプロセスカートリッジからなる群より選ばれる少なくとも1つを具備する電子写真方式の画像形成装置である。
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真用感光体、本発明の電子写真用部材、及び本発明のプロセスカートリッジのうち、少なくとも1つを有していれば、他の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の電子写真用感光体、帯電部材、転写部材、中間転写体、搬送部材、クリーニング部材を具備していてもよい。更に、本発明の画像形成装置は、レーザー光学系やLEDアレイ等の露光手段、トナー等を用いて像を形成する現像手段、トナー画像を転写材に定着させる定着手段、感光体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、等も必要に応じて公知の構成で備えてもよい。
【0178】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
【0179】
トナー粒子は結着樹脂と着色剤、離型剤等とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。体積平均粒径は2〜12μmの範囲が好ましく3〜9μmの範囲がより好ましい。また、トナーの平均形状指数(ML2/A:MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す)が115〜140の範囲のものを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
【0180】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
【0181】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0182】
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
【0183】
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナー、および磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0184】
上記のようにして得られたトナー粒子には、滑性粒子、クリーニング助剤、研磨剤等の外添剤として、無機粒体及び有機粒体を添加することができる。
本発明に用いるトナーに添加される滑性粒子としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。但し、平均粒径としては0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は、好ましくは0.05〜2.0質量%の範囲、より好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲である。
【0185】
本発明に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく行うことができる。
【0186】
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。これらの粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5〜1000nmの範囲、好ましくは5〜800nmの範囲、より好ましくは5〜700nmの範囲のものが使用される。また、前記滑性粒子の添加量との和が、0.6質量%以上であることが好ましい。
【0187】
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等のため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を、更に付着力低減や帯電制御のため、それより大径の無機酸化物を挙げることができる。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用することができるが、精密な帯電制御を行うためには、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を向上させる効果が大きくなる。
【0188】
本発明におけるトナーは、前記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
【0189】
また、本発明におけるトナーをカラートナーとして用いる場合には、キャリアと混合して使用されることが好ましいが、該キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉、またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、適宜設定することができる。
【0190】
このような構成の本発明の画像形成装置によれば、それに具備される部材が、高い離型性及び滑り性を長期にわたり維持できるため、部材さらには装置の長寿命化が図れ、環境負荷の低減や大幅なコストダウンを図ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明は、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0191】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、下記実施例の電子写真用感光体、電子写真用部材等の実機評価で用いたトナー及び現像剤について説明する。
【0192】
以下の説明において、各物性値の測定は以下の方法にて行った。
(分散粒子、凝集粒子、トナー粒子の粒度分布)
分散粒子の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で樹脂微粒子の個数平均粒子径D50n を測定した。
凝集粒子、トナー粒子の粒度分布については、マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。
【0193】
(トナー粒子及び凝集粒子の平均形状係数ML2/A)
トナー粒子または凝集粒子を光学顕微鏡で観察し、その像を画像解析装置(LUZEXIII:ニレコ社製)に取り込んで円相当径を測定した。次いで、トナー粒子または凝集粒子の最大長及び面積から、個々の粒子について下記式に従って平均形状係数ML2/Lの値を求めた。
(ML2/A)=(最大長)2×π×100/[4×(面積)]
【0194】
<トナー粒子の製造>
(各分散液の調製)
−樹脂微粒子分散液の調製−
スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部及び四臭化炭素4質量部を混合して溶解させた溶液と、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解させた溶液と、を混合してフラスコ中で乳化重合を開始し、10分間ゆっくり撹拌しながら混合溶液に過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。フラスコ内の窒素置換を行った後、混合溶液を攪拌しながら混合液の温度が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
【0195】
その結果、平均粒径が150nm、ガラス転移温度(Tg)が58℃、重量平均分子量(Mw)が11,500の樹脂微粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
【0196】
−着色剤分散液1の調製−
カーボンブラック(モーガルL:キャボット製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散液1を調製した。
【0197】
−着色剤分散液2の調製−
シアン顔料(B15:大日精化社製)360質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理して、平均粒子径が250nmである着色剤(シアン顔料)粒子が分散された着色剤分散液2を調製した。
【0198】
−着色剤分散液3の調製−
マジェンタ顔料(R122:大日精化社製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(マジェンタ顔料)粒子が分散された着色剤分散液3を調製した。
【0199】
−着色剤分散液4の調製−
イエロー顔料(Y180:クラリアント社製)90質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(イエロー顔料)粒子が分散された着色剤分散液4を調製した。
【0200】
−離型剤分散液の調製−
パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点:85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した。その後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0201】
(トナー粒子の作製)
−トナー粒子K1の作製−
上記の樹脂微粒子分散液を234質量部、着色剤分散液1を30質量部、離型剤分散液を40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S:浅田化学社製)を0.5質量部、及びイオン交換水を600質量部を、それぞれ丸型ステンレス鋼鉄フラスコに投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合・分散した。その後、加熱用オイルバス中で混合液を攪拌しながら加熱し、40℃で30分保持した。このとき、混合液中に体積平均粒径D50vが4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
【0202】
さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50vは5.3μmとなった。この凝集粒子を含む分散液に、樹脂微粒子分散液26質量部を追加した後、加熱用オイルバスを用いて50℃で30分間保持した。この凝集粒子を含む分散液に、1N水酸化ナトリウムを追加して分散液のpHを7.0に調整した後、フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら加熱して80℃で4時間保持した。その後分散液を冷却し、分散液中に生成したトナー粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー粒子K1を得た。トナー粒子K1のD50vは5.9μm、平均形状係数ML2/Lは132であった。
【0203】
−トナー粒子C1の作製−
トナー粒子K1の作製において、着色剤分散液1の代わりに着色剤分散液2を用いた以外は同様にしてトナー粒子C1を作製した。得られたトナー粒子C1のD50vは5.8μm、平均形状係数ML2/Aは131であった。
【0204】
−トナー粒子M1の作製−
トナー粒子K1の作製において、着色剤分散液1の代わりに着色剤分散液3を用いたこと以外は同様にしてトナー粒子M1を作製した。得られたトナー粒子M1のD50vは5.5μm、平均形状係数ML2/Aは135であった。
【0205】
−トナー粒子Y1の作製−
トナー粒子K1の作製において、着色剤分散液1の代わりに着色剤分散液4を用いたこと以外は同様にしてトナー粒子Y1を作製した。得られたトナー粒子Y1のD50vは5.9μm、平均形状係数ML2/Aは130であった。
【0206】
<キャリアの製造>
トルエン14質量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比:90/10)2質量部、及びカーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2質量部を混合し、10分間スターラーで撹拌して分散処理し被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100質量部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分間撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
【0207】
<現像剤の調製>
前記トナー粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100質量部と、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理したもの)1質量部、シリカ(粒径:40nm、気相酸化法により調製しシリコーンオイル処理したもの)2.0質量部、酸化セリウム(平均粒径:0.7μm)1質量部、及び高級脂肪酸アルコール(分子量700の高級脂肪酸アルコールをジェットミルで粉砕し、平均粒径8.0μmとしたもの)0.3質量部を、5Lヘンシェルミキサーに投入し、周速30m/secで15分間ブレンドした。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー1(ブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を得た。
【0208】
次いで、前記キャリア100質量部とトナー1の5質量部とを、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤1(ブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を得た。
【0209】
<実施例1>
(電子写真用感光体Aの作製)
ホーニング処理を施した外径30mmφの円筒状のアルミニウム基材(導電性支持体)表面に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1質量部、イソプロパノール40質量部、及びブタノール20質量部からなる溶液を浸漬塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
【0210】
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部とともに酢酸ブチル100質量部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を前記下引層表面に浸漬塗布し、100℃にて、10分間加熱乾燥して、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0211】
更に、下記式(4)で示される構造のベンジジン化合物2質量部、及び下記式(5)で示される構造のビスフェノール(Z)ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4.4×104)3質量部を、モノクロロベンゼン15質量部とテトラヒドロフラン15質量部との混合溶剤に溶解して、得られた塗布液を前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、115℃にて1時間加熱乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0212】
【化4】
【0213】
【化5】
【0214】
このようにして得られた積層体の電荷輸送層の外周面に、以下に示す塗布含浸処理を施すことによりフッ素樹脂含有層を形成した。
まず、前記積層体の電荷輸送層の外周面に、下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Aをディップコーティングにて塗布した。なお、ここで用いた処理液Aの粘度は200mPa・sであった。
【0215】
−処理液A−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・12質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・8質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・20質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・15質量部
・水 ・・・45質量部
その後、処理液Aを塗布した積層体を、60℃の恒温槽内で15分間乾燥し、電子写真用感光体Aを得た。
【0216】
このようにして得られた電子写真用感光体Aの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた電子写真用感光体Aの、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、最表層から約5μmの厚さまで、フッ素樹脂含有層が確認されていた。
【0217】
(評価)
次いで、得られた電子写真用感光体Aの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):0.8μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:120°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.1(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
・動摩擦係数:0.1(Heidon 摩擦係数試験器にて測定)
【0218】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値が得られた。また、電子写真用感光体Aの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。更に、電子写真用感光体Aのフッ素樹脂含有層を形成する前の動摩擦係数は0.8であり、滑り性が著しく良好になっていることを確認した。
【0219】
また、得られた感光体を、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラープリンター(DocuPrintC2220:富士ゼロックス社製)に取り付け、ウレタン製ブレードを感光体表面より1.0mm食い込ませた時の回転トルクを測定した。その結果、回転トルクは0.078N・mであり、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体での回転トルク0.63N・mに比べ1/8に低下していた。
【0220】
更に、電子写真用感光体Aから中間転写ベルトへの1次転写効率を測定した。なお、ここでいう1次転写効率は、1次転写後に中間転写ベルト表面に存在するトナー質量を1次転写前に感光体表面に存在するトナー質量で割った数値で示している。
その結果、1次転写効率は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の全てのトナーにおいて99.9%であった。比較として、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体で同様に1次転写効率を測定したところ、Y、M、C、及びKの各トナーにおいて93.5〜96.2%であり、フッ素樹脂含有層を形成した感光体の転写効率が極めて良好であることを確認した。
【0221】
更に、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)の各環境において、50,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び本実施例の電子写真用感光体Aを用いた以外、DocuPrintC2220の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0222】
その結果、いずれの環境下においても初期と50,000枚目との画像には全く問題がなく、感光体表面に傷、ピンホール、トナー固着等の異常は全く観察されなかった。加えて、50,000枚の耐久テスト後の感光体の回転トルクは0.12N・m、感光体表面の水接触角は102°であり、良好な離型性を維持していた。
【0223】
<実施例2>
(電子写真用感光体Bの作製)
ホーニング処理を施した外径84mmφの円筒状のアルミニウム基材(導電性支持体)表面に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1質量部、イソプロパノール40質量部、及びブタノール20質量部からなる溶液を浸漬塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
【0224】
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部及び酢酸ブチル100質量部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を前記下引層表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0225】
更に、下記式(4)で示される構造のベンジジン化合物2質量部及び式(5)で示される構造のビスフェノール(Z)ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4.4×104)3部を、モノクロロベンゼン15質量部とテトラヒドロフラン15質量部との混合溶剤に溶解して得られた塗布液を、前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、115℃にて1時間加熱乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0226】
【化6】
【0227】
【化7】
【0228】
次に、下記式(6)で表される構造の化合物2質量部、メチルトリメトキシシラン2質量部、テトラメトキシシラン0.5質量部、及びコロイダルシリカ0.3質量部を、イソプロピルアルコール5質量部、テトラヒドロフラン3質量部、及び蒸留水0.3質量部の混合液に溶解させ、さらにイオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5質量部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。
【0229】
【化8】
【0230】
次に、加水分解後の反応混合物からイオン交換樹脂を濾過分離し、その濾液にに、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)0.1質量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部を加えて、表面保護層用塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の表面にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分間風乾した後、170℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの表面保護層を形成して表面保護層を有する積層体を得た。
【0231】
このようにして得られた積層体の表面保護層の外周面に、以下に示す真空含浸処理を施して前記実施例2で用いた処理液Bフッ素樹脂含有層を形成した。
まず、得られた積層体を真空釜の中に設置し、50℃に加温しつつ0.02MPaの真空度まで減圧した。次いで、真空釜に下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Bを流し込み、表面保護層の外周面に処理液Bを配置するのと同時に、真空釜を一気に常圧に戻した。真空状態と常圧状態との操作を3回繰り返した後、60℃の恒温槽内で10分間乾燥し、電子写真用感光体Bを得た。なお、ここで用いた処理液Bの粘度は8mPa・sであった。
【0232】
−処理液B−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・5質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・5質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・20質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・10質量部
・水 ・・・60質量部
【0233】
このようにして得られた電子写真用感光体Bの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた感光体の、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、3〜5μmの深さまで、フッ素樹脂含有層が侵入し、空隙を充塞していた。
【0234】
(評価)
次いで、得られた電子写真用感光体Bの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):0.8μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:110°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.1(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
・動摩擦係数:0.1(Heidon 摩擦係数試験器にて測定)
【0235】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値が得られた。また、電子写真用感光体Bの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。更に、電子写真用感光体Bのフッ素樹脂含有層を形成する前の動摩擦係数は1.2であり、滑り性が著しく良好になっていることを確認した。
【0236】
また、得られた感光体を、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラー複写機(DocuColor1255:富士ゼロックス社製)に取り付け、ウレタン製ブレードを感光体表面より1.1mm食い込ませた時の回転トルクを測定した。その結果、回転トルクは0.11N・mであり、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体での回転トルク0.88N・mに比べ1/8に低下していた。
【0237】
更に、実施例1と同様にして、電子写真用感光体Bから中間転写ベルトへの1次転写効率を測定した。
その結果、1次転写効率は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の全てのトナーにおいて99.9%であった。比較として、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体で同様に1次転写効率を測定したところ、Y、M、C、及びKの各トナーにおいて92.4〜95.8%であり、フッ素樹脂含有層を形成した感光体の転写効率が極めて良好であることを確認した。
【0238】
更に、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)の各環境において、100,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び本実施例の電子写真用感光体Bを用いた以外、DocuColor1255の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0239】
その結果、いずれの環境下においても初期と100,000枚目との画像には全く問題がなく、感光体表面に傷、ピンホール、トナー固着等の異常は全く観察されなかった。加えて、100,000枚の耐久テスト後の感光体の回転トルクは0.18N・m、感光体表面の水接触角は98°であり、良好な離型性を維持していた。
【0240】
<実施例3>
(クリーニングブレード(クリーニング部材)の作製)
鋳型にウレタン材料を注入して、加熱することにより、縦330mm、横20mm、厚さ2mmのブレード形状に成型した(JIS A硬度:75°)。このようにして得られたウレタンブレードの表面に、以下に示す真空含浸処理を用いてフッ素樹脂含有層を形成した。
【0241】
まず、得られたウレタンブレードを真空釜の中に設置し、50℃に加温しつつ0.02MPaの真空度まで減圧した。次いで、真空釜に下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Cを流し込み、ウレタンブレードの表面に処理液Cを配置するのと同時に真空釜を一気に常圧に戻した。真空状態と常圧状態との操作を3回繰り返した後、60℃の恒温槽内で10分間乾燥し、クリーニングブレードを得た。なお、ここで用いた処理液Cの粘度は30mPa・sであった。
【0242】
−処理液C−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・8質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・6質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・18質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・12質量部
・水 ・・・56質量部
【0243】
このようにして得られたクリーニングブレードの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られたクリーニングブレードの断面を観察したところ、ウレタン層内に10〜30μmの深さまでフッ素樹脂含有層が侵入し、空隙を充塞していた。
【0244】
(評価)
次いで、得られたクリーニングブレードの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):0.9μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:120°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.1(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
・動摩擦係数:0.5(Heidon 摩擦係数試験器にて測定)
【0245】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値が得られた。また、クリーニングブレードの柔軟性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。
【0246】
また、得られたクリーニングブレードを、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラー複写機(DocuColor1255:富士ゼロックス社製)に取り付け、クリーニングブレードを感光体表面より1.1mm食い込ませた時の回転トルクを測定した。その結果、回転トルクは0.15N・mであり、フッ素樹脂含有層を形成しないクリーニングブレードでの回転トルク0.88N・mに比べ1/6に低下していた。
【0247】
更に、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)において50,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び本実施例のクリーニングブレードを用いた以外、DocuColor1255の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0248】
その結果、いずれの環境下においても50,000枚の耐久テスト中にブレードめくれやクリーニング不良の発生は認められなかった。また、クリーニングブレードのエッジ欠けや感光体表面の傷、ピンホール、トナー固着等の異常も全く観察されなかった。加えて、50,000枚の耐久テスト後の感光体の回転トルクは0.19N・mと良好な数値を維持していた。
【0249】
<実施例4>
(中間転写体の作製)
ポリイミドワニスに導電性カーボンを分散し、遠心成形法によりシームレスベルトに成形した後、340℃で60分間焼成し、直径320mmφで厚さ80μmの導電性シームレスベルトを作製した。このようにして得られた導電性シームレスベルトの表面に、以下に示す真空含浸処理を用いてフッ素樹脂含有層を形成した。
【0250】
まず、得られた導電性シームレスベルトを真空釜の中に設置し、50℃に加温しつつ0.02MPaの真空度まで減圧した。次いで、真空釜に下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Dを流し込み、導電性シームレスベルトの表面に処理液Dを配置するのと同時に真空釜を一気に常圧に戻した。真空状態と常圧状態との操作を3回繰り返した後、60℃の恒温槽内で10分間乾燥し、中間転写ベルト(中間転写体)を得た。なお、ここで用いた処理液Dの粘度は8mPa・sであった。
【0251】
−処理液D−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・5質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・5質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・20質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・10質量部
・水 ・・・60質量部
【0252】
このようにして得られた中間転写ベルトの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた中間転写ベルトの断面の、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、ポリイミド層内に1〜3μmの深さまでフッ素樹脂含有層が局所的に形成されていた。
【0253】
(評価)
次いで、得られた中間転写ベルトの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):1.1μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:120°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.1(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
【0254】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値を得た。また、中間転写ベルトの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。
【0255】
また、得られた中間転写ベルトを、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラー複写機(DocuColor1255:富士ゼロックス社製)に取り付け、中間転写ベルトから転写材(用紙)への2次転写効率を測定した。なお、ここでいう転写効率は、2次転写後に転写材(用紙)上に存在するトナー質量を、2次転写前に中間転写ベルト上に存在するトナー質量で割った数値で示している。
その結果、2次転写効率は、Y、M、C、及びKの全てのトナーにおいて99.9%であった。比較として、フッ素樹脂含有層を形成しない中間転写ベルトで同様に2次転写効率を測定したところ、Y、M、C、及びKの各トナーにおいて84.2〜90.5%であり、フッ素樹脂含有層を形成した中間転写ベルトの転写効率が極めて良好であることを確認した。
【0256】
更に、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)において100,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のようにして作製したトナー1、現像剤1、及び中間転写ベルトを用いた以外、DocuColor1255の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0257】
その結果、いずれの環境下においても初期と100,000枚目の画像には全く問題がなく、中間転写ベルトに傷、ピンホール、トナー固着等の異常は全く観察されなかった。加えて、100,000枚の耐久テスト後の中間転写ベルトの水接触角は99°であり、良好な離型性を維持していた。
【0258】
<実施例5>
(帯電ロールの作製)
直径5mmφのシャフト外周面に、導電性弾性層、更に、その外周面に半導電性弾性層を形成し、その外径が14mmφである導電性ロールを作製した。この導電性ロールのシャフトと半導電性弾性層の間に500Vの電圧を印加した時の電気抵抗は5×105Ωであった。このようにして得られた導電性ロールの表面に、以下に示す含浸処理によりフッ素樹脂含有層を形成した。
【0259】
得られた導電性ロールを、下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Eに浸漬して、導電性ロールの表面に処理液Eを配置し、50℃に加温し30分放置した。なお、ここで用いた処理液Eの粘度は3mPa・sである。
【0260】
−処理液E−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・4質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・4質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・10質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・10質量部
・水 ・・・72質量部
その後、処理液Eを塗布した導電性ロールを取り出し60℃の恒温槽内で10分間乾燥し、帯電ロールを得た。
【0261】
このようにして得られた帯電ロールの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた帯電ロールの、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、半導電性弾性層に5〜20μmの深さまでフッ素樹脂含有層が侵入し、空隙を充塞していた。
【0262】
(評価)
次いで、得られた帯電ロールの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):1.6μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:110°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.2(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
【0263】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値を得た。また、帯電ロールの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。
【0264】
また、得られた帯電ロールを、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラープリンター(DocuPrintC2220:富士ゼロックス社製)に取り付け、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)において50,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び帯電ロールを入れ換えた以外、DocuPrintC2220の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0265】
その結果、いずれの環境下においても初期と50,000枚目との画像には全く問題がなく、帯電ロール表面の欠陥や汚れ等は殆ど観察されなかった。また、感光体表面に傷、ピンホール、トナー固着等の異常も全く観察されなかった。加えて、50,000枚の耐久テスト後の帯電ロール表面の水接触角は105°であり良好な離型性を維持していた。
【0266】
<実施例6>
(2次転写ロール(転写部材)の作製)
直径14mmφのシャフト外周面に、導電性発泡層、更に、その外周面に半導電性ソリッド層を形成し、その外径が28mmφである導電性ロールを作製した。この導電性ロールのシャフトと半導電性ソリッド層の間に1000Vの電圧を印加した時の電気抵抗は5×107Ωであった。このようにして得られた導電性ロールの表面に、以下に示す含浸処理を用いてフッ素樹脂含有層を形成した。
【0267】
得られた導電性ロールを、下記組成のフッ素樹脂を必須成分とする処理液Fに浸漬して、導電性ロールの表面に処理液Fを配置し、60℃に加温し30分間放置した。なお、ここで用いた処理液Fの粘度は200mPa・sである。
【0268】
−処理液F−
・テトラフルオロエチレンのホモポリマー ・・・12質量部
・テトラフルオロエチレンのコポリマー ・・・8質量部
・パラフィン系中沸点溶剤 ・・・20質量部
・界面活性剤、増粘剤、安定剤 ・・・15質量部
・水 ・・・45質量部
その後、処理液Fが塗布された導電性ロールを取り出し、65℃の恒温槽内で10分間乾燥し、2次転写ロールを得た。
【0269】
このようにして得られた2次転写ロールの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた2次転写ロールの、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、10〜30μmの深さまでフッ素樹脂含有層が侵入し、空隙を充塞していた。
【0270】
(評価)
次いで、得られた2次転写ロールの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):0.8μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:120°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.2(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
【0271】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値を得た。また、2次転写ロールの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。
【0272】
また、得られた2次転写ロールを、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラープリンター(DocuPrintC2220:富士ゼロックス社製)に取り付け、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)において100,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び2次転写ロールを入れ換えた以外、DocuPrintC2220の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0273】
その結果、いずれの環境下においても初期と100,000枚目との画像には全く問題がなく、2次転写ロール表面の欠陥や汚れ等は殆ど観察されなかった。また、100,000枚の耐久テスト後の2次転写ロール表面の水接触角は101°であり良好な離型性を維持していた。
【0274】
<実施例7>
実施例1で作製した電子写真用感光体Aと、実施例3で作製したクリーニングブレードと、実施例5で作製した帯電ロールと、をモノクロプリンター(DocuPrint280:富士ゼロックス社製)のプロセスカートリッジとして組み込み、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)において、50,000枚の耐久テストに供した。なお、感光体、クリーニングブレード、帯電ロールのプロセスカートリッジを入れ換えた以外、DocuPrint280の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0275】
その結果、いずれの環境下においても初期と50,000枚目との画像には全く問題がなく、感光体表面に傷、ピンホール、トナー固着等の異常は全く観察されなかった。また、クリーニングブレード及び帯電ロールにも異常は観察されなかった。加えて、50,000枚耐久テスト後の感光体の回転トルクは0.11N・mであり、また、感光体表面の水接触角は105°、クリーニングブレードの水接触角は102°、帯電ロールの水接触角は107°であり、それぞれ良好な離型性を維持していた。
【0276】
<実施例8>
(電子写真用感光体Cの作製)
実施例2の電子写真用感光体Bの作製において、式(4)で示される構造の化合物の代わりに下記式(7)で示される構造の化合物を用いて電荷輸送層まで形成し、次いで、式(6)で示される構造の化合物の代わりに下記式(8)で示される構造の化合物を用いて膜厚約2μm表面保護層を形成した以外は実施例2と同様にして、表面保護層を有する積層体を得た。
【0277】
【化9】
【0278】
【化10】
【0279】
このようにして得られた積層体の表面保護層の外周面に、以下に示す真空・加圧含浸処理を施してフッ素樹脂含有層を形成した。
まず、得られた積層体を真空釜の中に設置し、室温で0.02MPaの真空度まで30分間減圧した。次いで、真空釜に下記組成のフッ素樹脂を必須成分とするを流し込み、表面保護層の外周面に、前記実施例2で用いた処理液Bを配置するのと同時に真空釜を一気に常圧に戻し、続いて0.2MPaまで加圧し、この状態で30分間保持した。常圧に戻した後、十分に水洗し50℃で30分間乾燥して電子写真用感光体Cを得た。
【0280】
このようにして得られた電子写真用感光体Cの表面は、極めて平滑で光沢が高く、曇りやひび割れ等の異常は全く観察されなかった。また、得られた感光体の、表面からアルゴンガスでエッチングしながらXPS(X線光電子分光、JPS−80:日本電子社製)でフッ素元素の存在を確認したところ、表面保護層内に3〜5μmの深さまでフッ素樹脂含有層が侵入し、空隙を充塞していた。
【0281】
(評価)
次いで、得られた電子写真用感光体Cの表面特性を測定した結果を以下に示す。
・表面粗さ(Rmax):0.7μm(東京精密社製:サーフコムにて測定)
・水接触角:112°(協和界面科学社製:接触角計CA−Xにて測定)
・静止摩擦力:0.1(新東科学社製:Heidon トライボギヤType94Iにて測定)
・動摩擦係数:0.1(Heidon 摩擦係数試験器にて測定)
【0282】
上記のように、表面特性として極めて良好な数値が得られた。また、電子写真用感光体Cの電気特性は、フッ素樹脂含有層を形成する前と殆ど変化していないことを確認した。更に、電子写真用感光体Cのフッ素樹脂含有層を形成する前の動摩擦係数は1.1であり、滑り性が著しく良好になっていることを確認した。
【0283】
また、得られた感光体を、前記トナー1及び現像剤1を現像器に投入したフルカラー複写機(DocuColor1255:富士ゼロックス社製)に取り付け、ウレタン製ブレードを感光体表面より1.1mm食い込ませた時の回転トルクを測定した。その結果、回転トルクは0.11N・mであり、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体での回転トルク0.88N・mに比べ1/8に低下していた。
【0284】
更に、実施例1と同様にして、電子写真用感光体Cから中間転写ベルトへの1次転写効率を測定した。
その結果、1次転写効率は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の全てのトナーにおいて99.9%であった。比較として、フッ素樹脂含有層を形成しない感光体で同様に1次転写効率を測定したところ、Y、M、C、及びKの各トナーにおいて92.7〜96.1%であり、フッ素樹脂含有層を形成した感光体の転写効率が極めて良好であることを確認した。
【0285】
更に、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)の各環境において、100,000枚の耐久テストに供した。なお、前記のように作製したトナー1、現像剤1、及び本実施例の電子写真用感光体Cを用いた以外、DocuColor1255の他の部材や設定条件は市販品の状態のままである。
【0286】
その結果、いずれの環境下においても初期と100,000枚目との画像には全く問題がなく、感光体表面に傷、ピンホール、トナー固着等の異常は全く観察されなかった。加えて、100,000枚の耐久テスト後の感光体の回転トルクは0.13N・m、感光体表面の水接触角は98°であり、良好な離型性を維持していた。
【0287】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた離型性及び滑り性を有する共に、その優れた離型性及び滑り性を長期間維持することの可能な電子写真用感光体及び電子写真用部材を提供することができる。また、前記電子写真用感光体及び電子写真用部材を備えることで、環境負荷の低減や大幅なコストダウンを図ることができるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体の構造を説明するための概略断面図である。
【図2】 図2は図1に示す本発明の例示的一態様としての電子写真用感光体の層構成を説明するための要部概略断面図である。
【符号の説明】
110 導電性支持体
120 下引層
130 電荷発生層
140 電荷輸送層
150 フッ素樹脂含有層
Claims (31)
- 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、
前記第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであることを特徴とする電子写真用感光体。 - 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、前記第1の層表面の空隙を充塞していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記第1の層が、電荷発生機能及び電荷輸送機能を有する層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記第1の層が、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送機能を有する電荷輸送層と、の2層からなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記第1の層が、熱可塑性樹脂を含む層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記第1の層が、硬化性樹脂を含む層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記第1の層が、ケイ素を含む層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を用いて含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に塗布し、所定時間放置する塗布含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に配置し、常温より高い温度にて、加温含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第1の層の外周面に配置し、常温以上の温度で減圧状態及び常圧状態を繰り返す真空含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
- 少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、
前記第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであることを特徴とする電子写真用部材。 - 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層表面の空隙を充塞していることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含むことを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記第3の層が、熱可塑性樹脂を含む層を有することを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記第3の層が、硬化性樹脂を含む層を有することを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロ エチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を用いて含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に塗布し、所定時間放置する塗布含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温より高い温度にて、加温含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温以上の温度で減圧状態及び常圧状態を繰り返す真空含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 前記1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、テトラフルオロエチレンのホモポリマー及び/又はコポリマーを含む処理液を前記第3の層の外周面に配置し、常温以上の温度で加圧状態及び常圧状態を繰り返す加圧含浸処理を施すことで形成されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング部材であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面を帯電する帯電部材であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 電子写真用感光体に転写材を介して当接され、該電子写真用感光体表面のトナー画像を前記転写材に転写させる転写部材であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 電子写真用感光体に当接され、該電子写真用感光体表面のトナー画像が転写される中間転写体であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 中間転写体に当接され、電子写真用感光体表面のトナー画像を前記中間転写体に転写させる転写部材であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 中間転写体に転写材を介して当接され、該中間転写体表面のトナー画像を前記転写材に転写させる転写部材であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用部材。
- 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材及び帯電部材のうち少なくとも1つ、
を備えることを特徴とする画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。 - 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前 記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材及び帯電部材のうち少なくとも1つ、
を備えるプロセスカートリッジを、着脱自在に具備することを特徴とする画像形成装置。 - 少なくとも第1の層と、該第1の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第2の層と、を含み、該第2の層が、前記第1の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものである電子写真用感光体、
及び、少なくとも第3の層と、該第3の層に外接して最表層となる、1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層と、を含み、該1種以上のフッ素樹脂を含有する第4の層が、前記第3の層の表面に配置されたフッ素樹脂を成分とする水性分散液を含浸処理して設けたものであり前記第3の層表面の空隙を充塞している電子写真用部材である、クリーニング部材、帯電部材、転写部材、中間転写体、及び搬送部材からなる群より選ばれる少なくとも1つ、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
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