JP2004279452A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】電子写真感光体を用いて帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスを行う画像形成装置であって、感光体表面に安定剤を供給する安定剤供給装置を備え、且つ感光体表面の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように電子写真プロセスを行う画像形成装置。
【選択図】 図1
【解決手段】電子写真感光体を用いて帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスを行う画像形成装置であって、感光体表面に安定剤を供給する安定剤供給装置を備え、且つ感光体表面の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように電子写真プロセスを行う画像形成装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電、露光、現像、転写等の電子写真プロセスを行う画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体は、感度、安定性の面から、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造が考案され実用化されている。機能分離型の電子写真感光体は、基本的には、結着樹脂中に電荷発生物質が分散された層(電荷発生層)と電荷輸送物質を含む層(電荷輸送層)とを含んで構成される。
【0003】
上記感光体を用いて電子写真プロセスを行う場合、電荷輸送層表面を帯電させる必要があるが、その際に発生するオゾンなどの放電生成物は樹脂が劣化する原因となる。また、放電により感光体表面が電気的な衝撃を受けるため、感光体表面の磨耗、感度の低下、帯電特性の低下も起こりやすい。さらには、その後のトナー現像、紙への転写、クリーニングなどの際の摩擦等により、感光体表面が機械的に破壊されて感光体特性が低下することもある。
【0004】
そこで、感光体表面の劣化を抑制するための様々な試みがなされている。例えば、感光体の表面に感光体との接触部材から酸化防止剤を供給する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、感光体自体の強度を高めるべく、感光体表面にポリシロキサン樹脂を用いた保護層を設ける方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−170941号公報
【0006】
【特許文献2】
特開昭62−108260号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように、感光体表面に酸化防止剤を供給したり、保護層を設けたりした場合であっても、電子写真感光体を長期間使用すると、感光体の特性が低下して画像品質が損なわれることがある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、先ず、従来の画像形成装置において、酸化防止剤等の安定剤を使用する方法を適用した場合に、放電生成物(酸化性ガス等)と安定剤との反応生成物が感光体表面に付着することに起因していることを見出した。
【0010】
また、シロキサン樹脂等を用いて保護層を形成した場合には、磨耗の抑制効果はある程度得られるが、放電生成物と感光体表面との反応の進行に伴い、シロキサン樹脂の分子運動が阻害されて分子間の空間が粗になりやすくなる。その結果、保護層は放電生成ガスの透過しやすい膜として感光体表面に存在することとなるため、感光層内部にまで劣化が進みやすくなる。トリアリールアミン構造などの有機電荷輸送性構造を含む場合には、導電性微粒子を分散した保護層の場合と異なり、内部にまで侵入した放電生成ガスが有機電荷輸送性構造との間で電荷移動錯体を形成すること等により低抵抗性成分となり、形成された静電潜像の横方向への流れが生じて画像が乱れやすくなる。
【0011】
さらに、安定剤を使用する方法と感光体に保護層を設ける方法とを組み合わせた場合、放電生成物と安定剤との反応生成物の感光体への付着と、感光体表面自体の変質とが相まって、感光体特性の低下の度合いがむしろ顕著となることがある。
【0012】
なお、機械的強度が低い感光体の場合には、感光体が磨耗することにより感光体表面にリフレッシュ面(新生面)が現れるため、そのリフレッシュ面において安定化剤を作用させることで化学的安定性をある程度確保することは可能である。しかし、この場合は、帯電、現像、転写、クリーニング等において感光体表面が機械的破壊を受けやすく、感光体の本来的な寿命の点で問題がある。
【0013】
そこで、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体を用いて帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスを行う画像形成装置であって、感光体表面に安定剤を供給する安定剤供給装置を備え、且つ感光体表面の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように電子写真プロセスを行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置においては、安定剤供給装置から感光体表面に安定剤を供給し、感光体表面を上記磨耗率で磨耗させながら電子写真プロセスを行うことで、感光体が本来的に有する特性(電気特性、電子写真特性等)を十分に維持しつつ、感光体表面に形成するリフレッシュ面において安定剤を作用させることができる。従って、本発明の画像形成装置により、感光体の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。
【0015】
本発明においては、電子写真感光体が導電性基体及び基体上に形成された感光層を備えるものであり、感光層が架橋構造を有する樹脂を含有することが好ましい。また、特に、トリアリールアミン構造などの有機電荷輸送性構造を含むものは、優れた電気特性及び画質が安定的に得られる点で好ましい。さらに、表面の磨耗率が上記範囲内であり、架橋構造を有する樹脂を含有する感光層を設けることで、感光体の寿命、あるいはさらに画像形成装置の寿命をさらに長くすることができる。
【0016】
また、本発明においては、安定剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系酸化防止剤であることが好ましい。これらの酸化防止剤を用いることで感光体の放電生成物に対する耐性をより高水準で達成することができる。
【0017】
また、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、感光体表面に接触配置されており安定剤を含有又は付着させた帯電部材を有する接触帯電装置であり、感光体を帯電させる際に帯電部材から感光体表面に安定剤を供給する。かかる接触帯電装置により、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0018】
また、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、安定剤を含有又は付着させた現像剤を感光体表面に供給する現像装置であり、感光体に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成させる際に現像剤から感光体表面に安定剤を供給する。かかる現像装置によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0019】
さらに、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、感光体表面に接触配置されており安定剤を含有又は付着させた中間転写体であり、感光体表面に形成したトナー像を中間転写体に転写する際に中間転写体から感光体に安定剤を供給する。かかる中間転写体によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0020】
またさらに、本発明においては、安定剤供給装置が、感光体表面に当接配置されており安定剤を含有又は付着させたクリーニング部材を有するクリーニング装置であり、転写後の感光体をクリーニングする際にクリーニング部材から感光体表面に安定剤を供給する。かかるクリーニング装置によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0021】
またさらに、本発明においては、安定剤供給装置が、感光体表面に配置されており安定剤を含有又は付着させた摺擦毛を有するブラシ部材、あるいは発泡ポリウレタンなどのロール部材であり、所定方向に移動する前記感光体の表面を摺擦毛により摺擦する際に摺擦毛又はロールから感光体に安定剤を供給する。かかるブラシ部材又はロール部材によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0022】
なお、本発明の画像形成装置においては、帯電装置、現像装置、中間転写体、クリーニング装置、ブラシ部材、ロール部材のうちの1つのみに安定剤供給装置としての機能を付与してもよく、また、これらのうちの2種以上に安定剤供給装置としての機能を付与してもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図1に示した画像形成装置は、回動可能に設けられたドラム状(円筒状)の電子写真感光体11を備えている。この感光体11の周囲には、感光体11の外周面の移動方向に沿って、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16及びブラシ部材17がこの順で配置されている。また、図1に示した画像形成装置は、転写工程後の被転写媒体にトナー像を定着させる像定着装置18を備えている。
【0025】
上記構成を有する画像形成装置においては、感光体11の外周面の移動方向に沿って、帯電、露光、現像、転写及びクリーニング、並びに像定着を含む電子写真プロセスが行われ、被転写媒体500に目的の画像が形成される。かかる電子写真プロセスは、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように行われるもので、このとき、感光体11の表面には安定剤が供給される。感光体11の磨耗率は、感光体11の材料の選定や、帯電装置12、クリーニング装置16、ブラシ部材17等との接触状態の調整により制御される。また、後述するように、安定剤は、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16及びブラシ部材17により供給可能である。
【0026】
本発明にかかる安定剤は、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を包含する。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤など、あるいはさらに、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体が挙げられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0027】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
【0028】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。また、分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造との双方を有していてもよい。
【0029】
図1に示した画像形成装置の場合、安定剤供給装置は、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置、ブラシ部材のうちの1つのみを安定剤供給装置としてもよく、また、これらのうちの2種以上と安定剤供給装置としてもよい。以下、上記要素のそれぞれに安定剤供給装置としての機能を付与した場合の好ましい態様について説明する。なお、感光体11の好ましい態様については後述する。
【0030】
帯電装置12に安定剤供給装置としての機能を付与する場合、図示の通り、帯電装置12には接触帯電方式が適用される。図1中の接触帯電装置12は、感光体11の表面に接触配置された帯電部材を備えるもので、この帯電部材は安定剤を含有又は付着させたものである。
【0031】
帯電部材の形状は、図示したローラー状のものの他、ブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよい。これらの中でも、特にローラー状の帯電部材が好ましい。
【0032】
ローラー状帯電部材は、内側から順に芯材、弾性層、抵抗層を設けたものであり、最外層である抵抗層に安定剤を含有又は付着させて使用する。なお、必要に応じて抵抗層の外側に保護層をさらに設けることができるが、この場合は保護層に安定剤を含有又は付着させる。
【0033】
芯材の材質としては、導電性を有するもの、一般的には、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散処理した樹脂成形品等を用いてもよい。
【0034】
また、弾性層の材質としては、導電性又は半導電性を有するもの、一般的には、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散処理したものが用いられる。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボルネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物を用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
抵抗層および保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散処理し、その抵抗を制御したものである。そして、これらの層に安定剤を含有又は付着させることで、電子写真プロセスの際に感光体11の表面に安定剤を供給することができる。すなわち、予め帯電部材の抵抗層又は保護層に含有させた接触帯電装置の使用、あるいは電子写真プロセスの際に帯電部材の抵抗層又は保護層に安定剤を供給してその表面に付着させることが可能な接触帯電装置の使用により、感光体11の表面に安定剤を供給することができる。なお、後者の場合は、例えば安定剤を含有するブレード部材を帯電部材に接触配置し、ブレード部材から安定剤が供給された帯電部材の所定位置を感光体11との接触位置に移動させることで、感光体11表面への安定剤の供給を行うことができる。
【0036】
抵抗層及び保護層の抵抗率としては、103〜1014Ωcm、好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmがよい。また、膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmが好ましい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じて、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0037】
接触帯電装置により感光体を帯電させる場合、帯電部材に電圧を印加する。印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20000Hz、好ましくは100〜5000Hzである。
【0038】
帯電の際には、ローラー状帯電部材を感光体11に接触させることにより、特に駆動手段を有しなくとも帯電部材を感光体11と同じ周速度で回転させることができる。また、帯電部材に駆動装置を取り付け、感光体11とは異なる周速度で回転させてもよい。
【0039】
このとき、感光体11の材料や、クリーニング装置16、ブラシ部材17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように、ローラー状帯電部材の印加電圧や感光体に対する接触圧力などを選定することが必要である。
【0040】
なお、後述するように、現像装置、クリーニング装置、ブラシ部材等による安定剤の供給が可能である場合には、コロトロン、スコロトロン等の非接触方式を用いてもよい。
【0041】
本実施形態では、現像装置14から感光体11に供給する現像剤に安定剤を含有又は付着させることによって、現像装置に安定剤供給装置としての機能を付与することができる。この場合、より具体的には、現像剤を構成するトナーに安定剤を含有又は付着させるか、あるいは安定剤を外添剤として用いる。
【0042】
トナー中に安定剤を粉体として添加する場合、安定剤の平均粒子径は0.01〜1μmが好ましく、0.1〜0.8μmがより好ましい。また、帯電の安定性の点から、安定剤の添加量は0.01〜3重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましい。
【0043】
また、安定剤は、トナーを形成する樹脂中に直接混合してもよい。帯電の安定性の点から、安定剤の使用量は、トナー重量に対して、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜3重量%である。
【0044】
安定剤を含有又は付着させたトナーは、例えば結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得ることができる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。トナー母材は結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。
【0045】
トナー母剤の平均粒子径は好ましくは2〜12μm、より好ましくは3〜9μmである。また、トナーの平均形状指数(ML2/A)は115〜140が好ましい。このような形状のトナーを用いると、現像性、転写性、及び画像品質を高めることができる。
【0046】
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体等が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を用いることもできる。
【0047】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
【0048】
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。
【0049】
トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。
【0050】
なお、湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0051】
また、本発明にかかる現像剤は、一成分系、二成分系のいずれであってもよく、安定剤は、外添剤の表面や二成分系現像剤におけるキャリアに付着させてもよい。安定剤を外添剤表面に付着させる方法としては、例えば、安定剤を、無機粉体1重量部に対して、好ましくは0.01〜0.2重量部、より好ましくは0.02〜0.18重量部加え、ボールミル、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー等で機械的に混合する方法が挙げられる。あるいは、安定剤を必要によっては樹脂と共に適当な溶剤に溶解させ、これに無機粉体を混合し、乾燥させるなどのウェット法を用いてもよい。
【0052】
本発明に用いるトナーに添加される外添剤のうち、潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用してもよい。滑性粒子を用いる場合、その平均粒子径としては0.1〜10μmが好ましく、粉砕により粒径をそろえてもよい。潤滑剤のトナーへの添加量は、好ましくは0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲である。
【0053】
安定剤を潤滑剤に混合する場合には、潤滑剤1重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.02〜0.8重量部を加熱融解して混合し、所望の形に成型する。必要に応じて、安定剤を0.05〜1μmに微粒子化し、トナーに添加してもよい。この際、安定剤の使用量は、トナー1重量部に対して、好ましくは0.0001〜0.005重量部、より好ましくは0.005〜0.03重量部である。感光体表面への安定剤の供給量としては、画像の安定性が得られる範囲であればいかなる量でも構わないが、多すぎると表面層への堆積物が多く、少なすぎると効果が充分に得られないため、実際にマシン内にて画像安定性をテストして決定される。
【0054】
本発明に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。
【0055】
また、有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
【0056】
微粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径が好ましくは5〜1000nm、より好ましくは5〜800nm、さらに好ましくは5〜700nmのものが使用される。微粒子と滑性粒子の添加量との和は0.6重量%以上であることが好ましい。
【0057】
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、平均1次粒径が40nm以下の無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。
【0058】
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
【0059】
なお、帯電装置12、クリーニング装置16、ブラシ部材17等により感光体11に安定剤を供給可能な場合には、安定剤を含まずに構成された現像剤を使用してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、クリーニング装置16のクリーニング部材に安定剤を含有又は付着させることで、感光体11の表面をクリーニングする際にクリーニング部材から感光体11の表面に安定剤を供給することができる。
【0061】
クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としては安定剤を含有又は付着させることが可能であれば特に制限されないが、例えばウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴムが挙げられる。安定剤は、これらの材質からなるクリーニングブレードの成形時又は成形後に、クリーニング部材に含有又は付着させることができる。
【0062】
クリーニングブレードの配置及び感光体11に対する押し付け圧力は、感光体11の材料や、帯電装置12、ブラシ部材17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように選定することが必要である。
【0063】
なお、クリーニング装置16においては安定剤を含まずに構成されたクリーニングブレードを用い、クリーニング装置16の前段又は後段に安定剤を含有又は付着させたブレード部材を別個に設けてもよい。
【0064】
また、帯電装置12、現像装置14、ブラシ部材17等による感光体11表面への安定剤の供給が可能な場合には、安定剤を含まずに構成されたクリーニング部材を用いてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、ブラシ部材18の摺擦毛に安定剤を含有又は付着させることで、感光体11の表面に安定剤を供給することができる。
【0066】
図1に示したロール状ブラシ部材18は、シャフトを中心としてその外周面方向に複数の摺擦毛を配してロール状としたものである。摺擦毛の繊維としては、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維が挙げられ、ベルトロン(カネボウ社製)、SA−7(東レ社製)、UUナイロン(ユニチカ社製)等の市販品を使用することができる。摺擦毛の繊維太さは、3デニール以下であることが必要であり、2デニール以下であることが好ましい。また、摺擦毛の植毛密度は、30,000〜500,000本/cm2であることが好ましく、50,000〜300,000本/cm2であることがより好ましい。
【0067】
ブラシ部材18の配置及び感光体11に対する押し付け圧力は、感光体11の材料や、帯電装置12、クリーニング装置16、クリーニング装置17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように選定することが必要である。
【0068】
なお、クリーニング装置16及びブラシ部材17の配置は特に制限されず、例えば感光体11表面の移動方向に対して図1と逆であってもよい。これらの配置は、クリーニング性能、感光体に発生する傷、磨耗率などに応じて適宜選定される。
【0069】
また、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16等による感光体11表面への安定剤の供給が可能な場合には、安定剤を含まずに構成されるブラシブラシ部材を用いてもよく、あるいはブラシ部材を設けなくてもよい。
【0070】
次に、本発明にかかる電子写真感光体11について説明する。感光体11は、電子写真プロセスに繰り返し使用されたときの磨耗率を0.2〜5nm/kcycleとすることが可能なものであれば、その構成は特に制限されないが、図2〜図6に示した構成を有するものが好ましく使用される。
【0071】
図2〜図6はそれぞれ感光体11の好ましい一例を示す模式断面図であり、感光体11を基体2及び感光層3の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。
【0072】
図2〜4に示した感光体11はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層3には電荷発生層5と電荷輸送層6とが別個に設けられている。 より詳しくは、図2に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光層3が構成されており、図3に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光体3が構成されており、図4に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7がこの順で積層されて感光層3が構成されている。
【0073】
一方、図5及び図6に示した感光体11はいずれも単層型感光体であり、各感光体が備える単層型感光層8には電荷発生物質と電荷輸送物質との双方が含まれる。
【0074】
以下、電子写真感光体1の各構成要素について詳述する。
【0075】
導電性基体2としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基体に蒸着したもの;金属箔を上記基体にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散処理し、上記基体に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
【0076】
また、導電性基体2として金属製パイプ基材を用いる場合、当該パイプ基材の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基材表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。表面処理としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。支持体表面の表面粗さは、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmとすることが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化などが好ましい。Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Raが0.5μmより大きいと、本発明による被膜を形成しても画質が粗くなって不適である。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
【0077】
陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
【0078】
陽極酸化膜の膜厚については0.3〜15μmが好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
【0079】
リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理を行う場合、酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が、10〜11重量%の範囲、クロム酸が3〜5重量%の範囲、フッ酸が0.5〜2重量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5〜18重量%の範囲が好ましい。処理温度は、42〜48℃であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3〜15μmが好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
【0080】
ベーマイト処理を行う場合は、基体2を90〜100℃の純水中に5〜60分間浸漬する方法、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させる方法などが適用できる。被膜の膜厚については0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
【0081】
下引き層4の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物及び有機アルミニウム化合物を用いると、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましい。
【0082】
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0083】
また、下引き層4中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中でも、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが電子移動性が高いので、好ましく使用される。これらの顔料はシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などにより表面処理してもよい。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下で使用される。混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0084】
下引き層4は、上記の構成材料を含む塗布液を基体2上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。下引き層4形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。塗布液を乾燥させて下引き層とする場合、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。下引き層4の厚みは、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.2〜10μmである。
【0085】
なお、感光体11は下引き層4を備えていなくてもよいが、特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基体2を用いる場合は、基体2の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引き層4を形成することが好ましい。
【0086】
次に電荷発生層5について説明する。
【0087】
電荷発生層5に用いられる電荷発生物質としては、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等が挙げられる。これらの中でも、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43813号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0088】
電荷発生層5の結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂の配合比(重量比)は10:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
【0089】
電荷発生層5は、上記構成材料を含む塗布液を基体2又は下引き層4に塗布し、乾燥させることにより形成される。電荷発生層形成用塗布液に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの有機溶剤に上記構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、電荷発生物質の結晶型が変化しないように分散させることが好ましい。また、かかる分散の際、電荷発生物質の平均粒子径を、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
【0090】
また、電荷発生層5形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmである。
【0091】
次に、電荷輸送層6について説明する。
【0092】
電荷輸送層6は、電荷輸送物質と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
【0093】
電荷輸送物質としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0094】
上記電荷輸送物質の中でも、モビリティーの観点から、下記一般式(1)〜(3)のうちのいずれかで表される構造を有するのものが好ましい。
【0095】
【化1】
[式中、Ar1及びAr2はそれぞれアリール基を表し、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表す。Ar1及びAr2で表されるアリール基は未置換であってもよく、また、炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などの置換基を有していてもよい。]
【0096】
【化2】
[式中、2個のR2は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、2m個のR3及び2n個のR4は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R5)=C(R6)(R7)(R5、R6、R7は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す)で表される基を表し、m及びnはそれぞれ0〜2の整数を表す。]
【0097】
【化3】
[式中、R8は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、または−CH=CH−CH=C(Ar)2(Arは置換又は未置換のアリール基を表す)で表される基を表し、R9及びR10は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。]
また、電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送物質と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
【0098】
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0099】
電荷輸送層6は、上記構成材料を含む塗布液を用いて得ることができる。さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0100】
なお、電荷輸送層6が感光体11の表面層となる場合、電子写真プロセスにおいて電荷輸送層6には安定剤が供給されるが、予め同様の安定剤を電荷輸送層6中に含有させておくとさらに高い効果を得ることができる。
【0101】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、電子受容性物質を含有させることができる。かかる電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系化合物、キノン系化合物や−Cl、−CN、−NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0102】
次に、表面層7について説明する。
【0103】
表面層7は、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散処理したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコーン、アクリルなどのハードコート剤を用いたもの等で構成することができる。中でも、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂からなるものが好ましく、このうち特に、一般式 (4) で示される構造のものが強度、安定性に優れ好ましい。
F−D−G (4)
一般式(4)中、Fは、電荷輸送性サブユニットを表す。Fで表される構造は、電荷輸送性を有する化合物から誘導される。例えば、光キャリア輸送特性を有する構造は、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などから誘導される。
【0104】
また、一般式(4)中、Gは無機ガラス質ネットワークサブグループを表す。より具体的には、Gにおいては、3次元的なSi−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークが形成されている。
【0105】
一般式(4)中のDは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。
【0106】
一般式(4)で表される構造を有するシロキサン樹脂は、下記一般式(5)で表される化合物を用いて好適に得ることができる。
【0107】
F[−D−SiR3−aQa]n (5)
[式中、F及びDは一般式(4)中のF及びDと同一の定義内容を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表し、nは整数を表す。]
一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0108】
【化4】
[式中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、D、R、Q及びaは一般式(4)中のD、R、Q及びaと同一の定義内容を表し、bは1〜4の整数を表し、Ar1〜Ar5のうちのb個は−D−SiR3−aQaで表される基と結合可能な結合手を有する。]
また、シロキサン樹脂を形成させる際には、一般式(5)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物を用いてもよい。ここでいう結合可能な基とは、一般式(4)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−SiR3−aQaで表される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどである。これらのうち、−SiR3−aQaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基を有する化合物を用いると、より高い機械的強度を付与できるため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2個以上有する化合物を用いると、得られるシロキサン樹脂の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
【0109】
また、保護層7の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
【0110】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。
【0111】
ハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などの市販品を用いることができる。
【0112】
また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えてもよい。
【0113】
シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。 また、膜の強度を向上させるために、−SiR3−aQaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
【0114】
上記の構成材料を含む保護層形成用塗布液の調整は、無溶媒で行ってもよい。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(4)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(4)で示される化合物1重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部で使用される。反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは50〜150℃である。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分〜100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0115】
さらに、シロキサン樹脂を硬化させる際に用いられる硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜10重量%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行った後、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
【0116】
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行っても良いし、複数回重ね塗布した後でもよい。
【0117】
保護層7が形成された感光体11の表面、すなわち保護層7の表面には、電子写真プロセスにおいて安定剤が供給されるが、予め保護層7に安定剤を含有させておくと、さらに高い効果を得ることができる。安定剤の添加量としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
【0118】
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で、アルコールに溶解する樹脂を保護層7に含有せしめることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(例えば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の平均分子量は2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。平均分子量が2000より小さい樹脂を用いると当該樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、平均分子量が100000より大きい樹脂を用いると、溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。樹脂の添加量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20%である。樹脂の添加量が1重量%よりも少ない場合には当該樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40重量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる傾向にある。
【0119】
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、表面層(電荷輸送層6又は保護層7)に各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径が好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜30nmの酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から表面層の全固形分を基準として、0.1〜50重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
【0120】
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状のシリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。シリコーン微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nmである。表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、表面層の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0121】
また、その他の微粒子としては、四弗化エチレン、三弗化エチレン、六弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO 2 、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物等が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等が挙げられる。
単層型感光層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、10から85重量%程度、好ましくは20から50重量%とする。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(4)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
【0122】
さらに、ブレード部材表面や、電子写真感光体の表面層、及び各種部材をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理こともできる。この場合、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
【0123】
上記各種部材を処理するフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について説明する。フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマーまたはクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマーなどが挙げられる。特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5〜10:90で混合して用いることも好ましい。
【0124】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液にはさらにワックス及び/又はシリコーンを含有させることもできる。ワックス及び/又はシリコーンを含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペロトラタムなど、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0125】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤などを混合することもできる。
【0126】
浸透層の形成は、ブレード部材をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うことができるが、フッ素系樹脂のブレード部材内部への浸透を促進するために、減圧下で行うこともできる。この際の圧力としては、好ましくは0.9気圧以下、より好ましくは0.8気圧以下、さらに好ましくは0.7気圧以下にて処理する。また、水性分散液を、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上に加熱することが浸透の促進に効果的である。さらに、好ましくは0.1気圧以上、より好ましくは0.2気圧以上、さらに好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。
【0127】
また、スプレーや、塗布法によりブレード部材に付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱し、浸透層を形成することもできる。
【0128】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行った後にふき取り、あるいは洗浄を行うこともできる。
【0129】
このように、本実施形態では、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16、ブラシ部材18等により感光体11の表面に安定剤を供給し、感光体11表面を上記磨耗率で磨耗させながら電子写真プロセスを行うことで、感光体11が本来的に有する特性(電気特性、電子写真特性等)を十分に維持しつつ、感光体11の表面に形成するリフレッシュ面において安定剤を作用させることができる。従って、感光体11の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。上述の効果は、感光体11を交換せずに、電子写真プロセスを200000サイクル以上(特に250000サイクル以上、さらには300000サイクル以上)繰り返す画像形成装置において特に顕著である。また、カラー画像形成装置などの特に画質要求が厳しい画像形成装置、特にタンデム方式の高速機で使用することが効果的である。
【0130】
図7は本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマジェンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
【0131】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マジェンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
【0132】
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0133】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0134】
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0135】
ここで、各色トナー像を形成する4個の画像形成ユニットにおいては、電子写真プロセスの際に感光体401a〜401dそれぞれの表面に安定剤が供給される。安定剤の供給は、帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、中間転写ベルト409、クリーニングブレード415a〜415dなどにより行われる。また、図示していないが、図1と同様にブラシ部材を用いて安定剤を供給してもよい。
【0136】
帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、クリーニングブレード415a〜415d、あるいはさらにブラシ部材が安定剤を供給可能である場合、それぞれの態様は図1に示した装置の場合と同様である。従って、これらの説明はここでは省略し、以下では、中間転写ベルト409により安定剤を供給する場合について説明する。
【0137】
中間転写ベルト409の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
【0138】
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0139】
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
【0140】
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
【0141】
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
【0142】
このような中間転写ベルト409に安定剤を含有又は付着させることにより、感光体401a〜401dそれぞれの表面に安定剤を供給することができる。
【0143】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。
【0144】
中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
【0145】
なお、本発明にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
【0146】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0147】
[感光体−1の作製]
先ず、導電性基体としてJIS A3003合金よりなる引き抜き管(直径84mm、長さ347mm)を用意した。
【0148】
次に、酸化亜鉛(SMZ−017、テイカ社製)100重量部をトルエン500重量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(A1100、日本ユニカー社製)2重量部を添加してさらに5時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留により留去し、120℃で2時間焼付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度の亜鉛元素強度に対する比は1.8×10−4であった。
【0149】
このようにして表面処理を施した酸化亜鉛35重量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール 3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6重量部及びメチルエチルケトン44重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行った。得られた分散液に、触媒としてのジオクチルスズジラウレート0.005重量部、及びシリコーン微粒子(トスパール130、GE東芝シリコーン社製)17重量部を添加して、下引き層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて上記基体上に塗布し、160℃、100分で乾燥硬化させて、厚さ20μmの下引き層を形成した。
【0150】
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン1重量部を、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学製)1重量部及び酢酸n−ブチル100重量部と混合した。この混合液を、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0151】
次に、下記式(6)で表されるベンジジン化合物2重量部と、下記式(7)で表される構成単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3重量部と、をクロロベンゼン20重量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃で40分加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、感光体−1を得た。なお、式中、Meはメチル基を表し、nは整数を表す。
【0152】
【化5】
【0153】
【化6】
[感光体−2の作製]
先ず、感光体−1と同様にして電荷輸送層までを作製した。
【0154】
次に、下記式(8)で表される化合物2重量部、メチルトリメトキシシラン2重量部、テトラメトキシシラン1重量部及びコロイダルシリカ0.3重量部を、イソプロピルアルコール5重量部、テトラヒドロフラン3重量部、蒸留水0.3重量部に溶解させた。この混合溶液にイオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5重量部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。なお、式中、Meはメチル基を表し、i−Prはイソプロピル基を表す。
【0155】
【化7】
加水分解後の反応液からイオン交換樹脂を濾過分離し、濾液に対してアルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)を0.1重量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4重量部を加え、保護層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約3μmの保護層を形成し、感光体−2を得た。
【0156】
[感光体−3の作製]
先ず、感光体−1と同様にして電荷輸送層までを作製した。
【0157】
次に、式(8)で表される化合物の代わりに下記式(9)で表される化合物を用いたこと以外は、感光体−2と同様にして保護層を形成し、感光体−3を作製した。
【0158】
【化8】
[安定剤含有微粒子−1の作製]
2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)1重量部とステアリン酸亜鉛10重量部とを混合し、ボールミルにて平均粒子径0.2μmに粉砕して安定剤含有微粒子−1を得た。
【0159】
[安定剤含有微粒子−2の作製]
シリカ(粒径40nm、シリコーンオイル処理、気相酸化法)50重量部に、2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)10重量部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドを行い、安定剤含有微粒子−2を得た。
【0160】
[現像剤−1の作製]
現像剤に関する以下の説明において、各物性値の測定は以下の方法にて行った。
【0161】
(トナー、複合粒子の粒度分布)
マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。
【0162】
(トナー、複合粒子の平均形状係数ML2/A)
平均形状係数ML2/Aは下記式で計算された値を意味し、真球の場合、ML2/A=100となる。
【0163】
ML2/A=(最大長)2×π×100/(面積×4)
平均形状係数を求める際には、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長及び面積から、個々の粒子について上記式のML2/Aの値を求めた。
【0164】
[トナー母粒子の製造]
(樹脂微粒子分散液の調製)
スチレン370重量部、n−ブチルアクリレート30重量部,アクリル酸8重量部、ドデカンチオール24重量部及び四臭化炭素4重量部を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6重量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製)10重量部をイオン交換水550重量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が150nm、ガラス転移温度が58℃、重量平均分子量が11500の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40重量%であった。
【0165】
(着色剤分散液(1)の調製)
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)60重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製した。
【0166】
(着色剤分散液(2)の調製)
シアン顔料(B15)360重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(シアン顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を調製した。
【0167】
(着色剤分散液(3)の調製)
マジェンタ顔料(R122)60重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(マジェンタ顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を調製した。
【0168】
(着色分散液(4)の調製)
イエロー顔料(Y180)90重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水 240gを混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(イエロー顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を調製した。
【0169】
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点85℃)100重量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5重量部及びイオン交換水240gを混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散処理した。さらに、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒子径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0170】
(トナー母粒子K1の作製)
樹脂微粒子分散液(複合微粒子の調製時に得られたもの)234重量部、着色剤分散液(1)30重量部、離型剤分散液40重量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5重量部及びイオン交換水600重量部を混合し、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて分散処理した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に樹脂微粒子分散液26重量部を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃として30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱して4時間保持した。冷却後、トナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1のD50は5.9μm、平均形状係数ML2/Aは132であった。
【0171】
(トナー母粒子C1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(2)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子C1を作製した。トナー母粒子C1のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは131であった。
【0172】
(トナー母粒子M1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(3)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子M1を作製した。トナー母粒子M1のD50は5.5μm、平均形状係数ML2/Aは135であった。
【0173】
(トナー母粒子Y1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(4)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子Y1を作製した。トナー母粒子Y1のD50は5.9μm、平均形状係数ML2/Aは130であった。
【0174】
(キャリアの製造)
先ず、トルエン14重量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90/10)2重量部及びカーボンブラック(R330、キャボット社製)0.2重量部を10分間スターラーで撹拌させて、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒子径50μm)100重量部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
【0175】
(トナー−1及び現像剤−1の作製)
上記トナー母粒子K1、C1、M1,Y1のそれぞれ100重量部にルチル型酸化チタン(粒径20nm、n−デシルトリメトキシシランで処理したもの)を1重量部、安定剤含有微粒子−1を0.3重量部、安定剤含有微粒子−2を2.0重量部、酸化セリウム(平均粒子径0.7μm)を0.1部添加し、5Lヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去してトナー−1を得た。また、トナー−1の5重量部にキャリア100重量部を加え、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌した。その後、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−1を得た。
【0176】
[現像剤−2の作製]
(トナー母粒子K2の作製)
樹脂微粒子分散液(複合微粒子調整の時に作成したもの)234重量部、着色剤分散液(1)30重量部、離型剤分散液40重量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5重量部及びイオン交換水600重量部を混合し、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて分散処理した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26重量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃として30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを5.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱して4時間保持した。冷却後、トナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K2を得た。トナー母粒子K2のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは109であった。
【0177】
(トナー母粒子C2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(2)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子C2を作製した。トナー母粒子C2のD50は5.7μm、平均形状係数ML2/Aは110であった。
【0178】
(トナー母粒子M2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(3)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子M2を作製した。トナー母粒子M2のD50は5.6μm、平均形状係数ML2/Aは114であった。
【0179】
(トナー母粒子Y2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(4)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子Y2を作製した。トナー母粒子Y2のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは108であった。
【0180】
(トナー−2及び現像剤−2の作製)
上記トナー母粒子K2、C2、M2、Y2のそれぞれ100重量部に、ルチル型酸化チタン(粒径20nm、n−デシルトリメトキシシランで処理したもの)1重量部、シリカ(粒径40nm、気相酸化法で作製し、シリコーンオイルで処理したもの)2.0重量部、酸化セリウム(平均粒子径0.7μm)1重量部、脂肪族アルコールとステアリン酸亜鉛との粉砕混合物(分子量700の高級脂肪酸アルコールとステアリン酸亜鉛を重量比5:1で混合し、ジェットミルで粉砕して平均粒子径8.0μmとしたもの)0.3重量部を加えた。これらの混合物を、5Lヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドし、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去してトナー−2を得た。また、このトナー−2の5重量部に現像剤−1と同様のキャリア100重量部を加え、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−2を得た。
【0181】
[現像剤−3の作製]
(トナー母粒子K3の作製)
ポリエステル樹脂(テレフタル酸−ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル、Tg:62℃、Mn:12,000、Mw:32,000)100重量部、カーボンブラック4重量部、カルナウバワックス5重量部及びBHT3重量部の混合物をエクストルーダで混練し、ジェットミルで粉砕した。粉砕物を風力式分級機で分級し、平均粒子径が5.9μm、形状係数ML2/Aが145のトナー母粒子K3を得た。
【0182】
(トナー母粒子C3の作製)
カーボンブラックの代わりにシアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.6μm、形状係数ML2/Aが141のトナー母粒子C3を作製した。
【0183】
(トナー母粒子M3の作製)
カーボンブラックの代わりにマジェンタ着色剤(R122)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.9μm、形状係数ML2/Aが149のトナー母粒子M3を作製した。
【0184】
(トナー母粒子Y3の作製)
カーボンブラックの代わりにイエロー着色剤(Y180)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.8μm、形状係数ML2/Aが144のトナー母粒子Y3を作製した。
【0185】
(トナー−3及び現像剤−3の作製)
トナー母粒子K2、C2、M2、Y2の代わりにトナー母粒子K3、C3、M3、Y3を用いたこと以外はトナー−2と同様にしてトナー−3を作製し、さらに、現像材−2と同様にして現像剤−3を作製した。
【0186】
[クリーニングブレード−1の作製]
ポリエステル(ODX−106、大日本インキ製)100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート20重量部、ジブチルスズジラウレート1重量部、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤(トミノックス917、吉富製薬製)1重量部、を混合し、厚さ2mmのブレード状に成形して、クリーニングブレード−1を得た。
【0187】
[クリーニングブレード−2の作製]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いなかったこと以外はクリーニングブレード−1と同様にして、クリーニングブレード−2を作製した。
【0188】
[潤滑剤供給部材−1の作製]
2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)1重量部とステアリン酸亜鉛10重量部とを加熱溶融して混合し、5mm×5mm×313mmの形状に成形し、潤滑剤供給部材(安定剤含有)−1を得た。
【0189】
[潤滑剤供給部材−2の作製]
BHTの代わりにヒンダードアミン系光安定剤(LA−77、旭電化製)1重量部を用いたこと以外は、潤滑剤供給部材−1と同様にして、5mm×5mm×313mmの形状を有する潤滑剤供給部材(安定剤含有)−2を作製した。
【0190】
[潤滑剤供給部材−3の作製]
ステアリン酸亜鉛のみを加熱溶融して、5mm×5mm×313mmの形状を有する潤滑剤供給部材(安定剤不含)−3を作製した。
【0191】
[実施例1〜11、比較例1〜7:画像形成装置の作製]
実施例1〜11及び比較例1〜7においては、それぞれ感光体、帯電装置、現像剤、クリーニングブレード及び潤滑剤供給部材を表1に示す組み合わせで用い、図7に示した構成を有する画像形成装置を作製した。この際、28℃、85%RHの環境下での感光体の磨耗率(電子写真プロセスを10kcycle(=1万回)繰り返したときの1kcycle当たりの平均磨耗率)をそれぞれ表1に示す通りに設定した。
【0192】
なお、表1の「装置」の欄中、「1」は、ロール状帯電部材を有する接触帯電装置を用い、潤滑剤供給部材をロール状帯電部材に接触配置して、帯電部材を介して潤滑剤供給部材から感光体表面に安定剤を供給する装置であることを意味する。また、同欄中、「2」は、潤滑剤供給部材を感光体表面に当接配置し、潤滑剤供給部材から感光体表面に直接安定剤を供給する装置であることを意味する。また、同欄中、「3」は、潤滑剤供給部材を中間転写ベルトに当接配置し、中間転写ベルトを介して安定剤含有部材から感光体表面に安定剤を供給する装置であることを意味する。装置「2」、「3」の帯電装置はスコロトロンである。
【0193】
【表1】
[プリント試験−1]
実施例1〜11及び比較例1〜7の各画像形成装置について、10℃、20%RHの環境下で3万枚の連続プリント試験を行い、画質を目視にて判定した。用紙としては、富士ゼロックス製PPC用紙(J紙、A4)を用いた。得られた結果を表2に示す。表2の欄中、画質が良好な場合には○、欠陥のある場合はその現象を示した。
【0194】
[プリント試験−2]
実施例1〜11及び比較例1〜7の各画像形成装置について、28℃、85%RHの環境下で1万枚の連続プリント試験を行い、試験後の感光体への付着物の有無、トナーのクリーニング性(クリーニング不良による帯電器の汚れや画質劣化)、転写性、画質を評価した。
【0195】
付着物の有無は目視にて判定した。表2の「付着物」の欄中、○は付着物なし、△は部分的(全体の30%程度以下)に付着物あり、×は付着物あり、をそれぞれ意味する。
【0196】
また、クリーニング性は目視にて判定した。表2の「クリーニング性」の欄中、○は良好、△は部分的(全体の10%程度以下)にスジ等の画質欠陥あり、×は広範に画質欠陥あり、をそれぞれ意味する。
【0197】
転写性は、感光体表面の転写残トナーを粘着テープにて剥離し、重量を測定することにより判定した。表2の「転写性」の欄中、○は転写効率90%以上、△は転写効率85〜90%、×は転写効率85%未満、をそれぞれ意味する。
【0198】
画質は目視にて判定した。表2の欄中、画質が良好な場合には○、欠陥のある場合はその現象を示した。
【0199】
【表2】
【0200】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の画像形成装置によれば、感光体の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図4】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図5】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図6】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11…電子写真感光体、2…導電性基体、3…感光層、4…下引き層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、12…帯電装置、13…露光装置、14…現像装置、15…転写装置、16…クリーニング装置、17…ブラシ部材、18…像定着装置、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d・・・現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、500…被転写媒体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電、露光、現像、転写等の電子写真プロセスを行う画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体は、感度、安定性の面から、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造が考案され実用化されている。機能分離型の電子写真感光体は、基本的には、結着樹脂中に電荷発生物質が分散された層(電荷発生層)と電荷輸送物質を含む層(電荷輸送層)とを含んで構成される。
【0003】
上記感光体を用いて電子写真プロセスを行う場合、電荷輸送層表面を帯電させる必要があるが、その際に発生するオゾンなどの放電生成物は樹脂が劣化する原因となる。また、放電により感光体表面が電気的な衝撃を受けるため、感光体表面の磨耗、感度の低下、帯電特性の低下も起こりやすい。さらには、その後のトナー現像、紙への転写、クリーニングなどの際の摩擦等により、感光体表面が機械的に破壊されて感光体特性が低下することもある。
【0004】
そこで、感光体表面の劣化を抑制するための様々な試みがなされている。例えば、感光体の表面に感光体との接触部材から酸化防止剤を供給する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、感光体自体の強度を高めるべく、感光体表面にポリシロキサン樹脂を用いた保護層を設ける方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−170941号公報
【0006】
【特許文献2】
特開昭62−108260号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように、感光体表面に酸化防止剤を供給したり、保護層を設けたりした場合であっても、電子写真感光体を長期間使用すると、感光体の特性が低下して画像品質が損なわれることがある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、先ず、従来の画像形成装置において、酸化防止剤等の安定剤を使用する方法を適用した場合に、放電生成物(酸化性ガス等)と安定剤との反応生成物が感光体表面に付着することに起因していることを見出した。
【0010】
また、シロキサン樹脂等を用いて保護層を形成した場合には、磨耗の抑制効果はある程度得られるが、放電生成物と感光体表面との反応の進行に伴い、シロキサン樹脂の分子運動が阻害されて分子間の空間が粗になりやすくなる。その結果、保護層は放電生成ガスの透過しやすい膜として感光体表面に存在することとなるため、感光層内部にまで劣化が進みやすくなる。トリアリールアミン構造などの有機電荷輸送性構造を含む場合には、導電性微粒子を分散した保護層の場合と異なり、内部にまで侵入した放電生成ガスが有機電荷輸送性構造との間で電荷移動錯体を形成すること等により低抵抗性成分となり、形成された静電潜像の横方向への流れが生じて画像が乱れやすくなる。
【0011】
さらに、安定剤を使用する方法と感光体に保護層を設ける方法とを組み合わせた場合、放電生成物と安定剤との反応生成物の感光体への付着と、感光体表面自体の変質とが相まって、感光体特性の低下の度合いがむしろ顕著となることがある。
【0012】
なお、機械的強度が低い感光体の場合には、感光体が磨耗することにより感光体表面にリフレッシュ面(新生面)が現れるため、そのリフレッシュ面において安定化剤を作用させることで化学的安定性をある程度確保することは可能である。しかし、この場合は、帯電、現像、転写、クリーニング等において感光体表面が機械的破壊を受けやすく、感光体の本来的な寿命の点で問題がある。
【0013】
そこで、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体を用いて帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスを行う画像形成装置であって、感光体表面に安定剤を供給する安定剤供給装置を備え、且つ感光体表面の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように電子写真プロセスを行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置においては、安定剤供給装置から感光体表面に安定剤を供給し、感光体表面を上記磨耗率で磨耗させながら電子写真プロセスを行うことで、感光体が本来的に有する特性(電気特性、電子写真特性等)を十分に維持しつつ、感光体表面に形成するリフレッシュ面において安定剤を作用させることができる。従って、本発明の画像形成装置により、感光体の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。
【0015】
本発明においては、電子写真感光体が導電性基体及び基体上に形成された感光層を備えるものであり、感光層が架橋構造を有する樹脂を含有することが好ましい。また、特に、トリアリールアミン構造などの有機電荷輸送性構造を含むものは、優れた電気特性及び画質が安定的に得られる点で好ましい。さらに、表面の磨耗率が上記範囲内であり、架橋構造を有する樹脂を含有する感光層を設けることで、感光体の寿命、あるいはさらに画像形成装置の寿命をさらに長くすることができる。
【0016】
また、本発明においては、安定剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系酸化防止剤であることが好ましい。これらの酸化防止剤を用いることで感光体の放電生成物に対する耐性をより高水準で達成することができる。
【0017】
また、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、感光体表面に接触配置されており安定剤を含有又は付着させた帯電部材を有する接触帯電装置であり、感光体を帯電させる際に帯電部材から感光体表面に安定剤を供給する。かかる接触帯電装置により、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0018】
また、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、安定剤を含有又は付着させた現像剤を感光体表面に供給する現像装置であり、感光体に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成させる際に現像剤から感光体表面に安定剤を供給する。かかる現像装置によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0019】
さらに、本発明においては、好ましくは、安定剤供給装置が、感光体表面に接触配置されており安定剤を含有又は付着させた中間転写体であり、感光体表面に形成したトナー像を中間転写体に転写する際に中間転写体から感光体に安定剤を供給する。かかる中間転写体によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0020】
またさらに、本発明においては、安定剤供給装置が、感光体表面に当接配置されており安定剤を含有又は付着させたクリーニング部材を有するクリーニング装置であり、転写後の感光体をクリーニングする際にクリーニング部材から感光体表面に安定剤を供給する。かかるクリーニング装置によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0021】
またさらに、本発明においては、安定剤供給装置が、感光体表面に配置されており安定剤を含有又は付着させた摺擦毛を有するブラシ部材、あるいは発泡ポリウレタンなどのロール部材であり、所定方向に移動する前記感光体の表面を摺擦毛により摺擦する際に摺擦毛又はロールから感光体に安定剤を供給する。かかるブラシ部材又はロール部材によっても、感光体表面への安定剤の供給が有効に実施可能となる。
【0022】
なお、本発明の画像形成装置においては、帯電装置、現像装置、中間転写体、クリーニング装置、ブラシ部材、ロール部材のうちの1つのみに安定剤供給装置としての機能を付与してもよく、また、これらのうちの2種以上に安定剤供給装置としての機能を付与してもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図1に示した画像形成装置は、回動可能に設けられたドラム状(円筒状)の電子写真感光体11を備えている。この感光体11の周囲には、感光体11の外周面の移動方向に沿って、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16及びブラシ部材17がこの順で配置されている。また、図1に示した画像形成装置は、転写工程後の被転写媒体にトナー像を定着させる像定着装置18を備えている。
【0025】
上記構成を有する画像形成装置においては、感光体11の外周面の移動方向に沿って、帯電、露光、現像、転写及びクリーニング、並びに像定着を含む電子写真プロセスが行われ、被転写媒体500に目的の画像が形成される。かかる電子写真プロセスは、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように行われるもので、このとき、感光体11の表面には安定剤が供給される。感光体11の磨耗率は、感光体11の材料の選定や、帯電装置12、クリーニング装置16、ブラシ部材17等との接触状態の調整により制御される。また、後述するように、安定剤は、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16及びブラシ部材17により供給可能である。
【0026】
本発明にかかる安定剤は、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を包含する。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤など、あるいはさらに、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体が挙げられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0027】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
【0028】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。また、分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造との双方を有していてもよい。
【0029】
図1に示した画像形成装置の場合、安定剤供給装置は、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置、ブラシ部材のうちの1つのみを安定剤供給装置としてもよく、また、これらのうちの2種以上と安定剤供給装置としてもよい。以下、上記要素のそれぞれに安定剤供給装置としての機能を付与した場合の好ましい態様について説明する。なお、感光体11の好ましい態様については後述する。
【0030】
帯電装置12に安定剤供給装置としての機能を付与する場合、図示の通り、帯電装置12には接触帯電方式が適用される。図1中の接触帯電装置12は、感光体11の表面に接触配置された帯電部材を備えるもので、この帯電部材は安定剤を含有又は付着させたものである。
【0031】
帯電部材の形状は、図示したローラー状のものの他、ブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラー状等何れでもよい。これらの中でも、特にローラー状の帯電部材が好ましい。
【0032】
ローラー状帯電部材は、内側から順に芯材、弾性層、抵抗層を設けたものであり、最外層である抵抗層に安定剤を含有又は付着させて使用する。なお、必要に応じて抵抗層の外側に保護層をさらに設けることができるが、この場合は保護層に安定剤を含有又は付着させる。
【0033】
芯材の材質としては、導電性を有するもの、一般的には、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散処理した樹脂成形品等を用いてもよい。
【0034】
また、弾性層の材質としては、導電性又は半導電性を有するもの、一般的には、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散処理したものが用いられる。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボルネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物を用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
抵抗層および保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散処理し、その抵抗を制御したものである。そして、これらの層に安定剤を含有又は付着させることで、電子写真プロセスの際に感光体11の表面に安定剤を供給することができる。すなわち、予め帯電部材の抵抗層又は保護層に含有させた接触帯電装置の使用、あるいは電子写真プロセスの際に帯電部材の抵抗層又は保護層に安定剤を供給してその表面に付着させることが可能な接触帯電装置の使用により、感光体11の表面に安定剤を供給することができる。なお、後者の場合は、例えば安定剤を含有するブレード部材を帯電部材に接触配置し、ブレード部材から安定剤が供給された帯電部材の所定位置を感光体11との接触位置に移動させることで、感光体11表面への安定剤の供給を行うことができる。
【0036】
抵抗層及び保護層の抵抗率としては、103〜1014Ωcm、好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmがよい。また、膜厚としては0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmが好ましい。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じて、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0037】
接触帯電装置により感光体を帯電させる場合、帯電部材に電圧を印加する。印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20000Hz、好ましくは100〜5000Hzである。
【0038】
帯電の際には、ローラー状帯電部材を感光体11に接触させることにより、特に駆動手段を有しなくとも帯電部材を感光体11と同じ周速度で回転させることができる。また、帯電部材に駆動装置を取り付け、感光体11とは異なる周速度で回転させてもよい。
【0039】
このとき、感光体11の材料や、クリーニング装置16、ブラシ部材17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように、ローラー状帯電部材の印加電圧や感光体に対する接触圧力などを選定することが必要である。
【0040】
なお、後述するように、現像装置、クリーニング装置、ブラシ部材等による安定剤の供給が可能である場合には、コロトロン、スコロトロン等の非接触方式を用いてもよい。
【0041】
本実施形態では、現像装置14から感光体11に供給する現像剤に安定剤を含有又は付着させることによって、現像装置に安定剤供給装置としての機能を付与することができる。この場合、より具体的には、現像剤を構成するトナーに安定剤を含有又は付着させるか、あるいは安定剤を外添剤として用いる。
【0042】
トナー中に安定剤を粉体として添加する場合、安定剤の平均粒子径は0.01〜1μmが好ましく、0.1〜0.8μmがより好ましい。また、帯電の安定性の点から、安定剤の添加量は0.01〜3重量%が好ましく、0.02〜2重量%がより好ましい。
【0043】
また、安定剤は、トナーを形成する樹脂中に直接混合してもよい。帯電の安定性の点から、安定剤の使用量は、トナー重量に対して、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜3重量%である。
【0044】
安定剤を含有又は付着させたトナーは、例えば結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得ることができる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。トナー母材は結着樹脂と安定剤、着色剤、離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。
【0045】
トナー母剤の平均粒子径は好ましくは2〜12μm、より好ましくは3〜9μmである。また、トナーの平均形状指数(ML2/A)は115〜140が好ましい。このような形状のトナーを用いると、現像性、転写性、及び画像品質を高めることができる。
【0046】
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体等が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等がある。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を用いることもできる。
【0047】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
【0048】
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。
【0049】
トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。
【0050】
なお、湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0051】
また、本発明にかかる現像剤は、一成分系、二成分系のいずれであってもよく、安定剤は、外添剤の表面や二成分系現像剤におけるキャリアに付着させてもよい。安定剤を外添剤表面に付着させる方法としては、例えば、安定剤を、無機粉体1重量部に対して、好ましくは0.01〜0.2重量部、より好ましくは0.02〜0.18重量部加え、ボールミル、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー等で機械的に混合する方法が挙げられる。あるいは、安定剤を必要によっては樹脂と共に適当な溶剤に溶解させ、これに無機粉体を混合し、乾燥させるなどのウェット法を用いてもよい。
【0052】
本発明に用いるトナーに添加される外添剤のうち、潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用してもよい。滑性粒子を用いる場合、その平均粒子径としては0.1〜10μmが好ましく、粉砕により粒径をそろえてもよい。潤滑剤のトナーへの添加量は、好ましくは0.05〜2.0重量%、より好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲である。
【0053】
安定剤を潤滑剤に混合する場合には、潤滑剤1重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.02〜0.8重量部を加熱融解して混合し、所望の形に成型する。必要に応じて、安定剤を0.05〜1μmに微粒子化し、トナーに添加してもよい。この際、安定剤の使用量は、トナー1重量部に対して、好ましくは0.0001〜0.005重量部、より好ましくは0.005〜0.03重量部である。感光体表面への安定剤の供給量としては、画像の安定性が得られる範囲であればいかなる量でも構わないが、多すぎると表面層への堆積物が多く、少なすぎると効果が充分に得られないため、実際にマシン内にて画像安定性をテストして決定される。
【0054】
本発明に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましく使用される。
【0055】
また、有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
【0056】
微粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径が好ましくは5〜1000nm、より好ましくは5〜800nm、さらに好ましくは5〜700nmのものが使用される。微粒子と滑性粒子の添加量との和は0.6重量%以上であることが好ましい。
【0057】
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、平均1次粒径が40nm以下の無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。
【0058】
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
【0059】
なお、帯電装置12、クリーニング装置16、ブラシ部材17等により感光体11に安定剤を供給可能な場合には、安定剤を含まずに構成された現像剤を使用してもよい。
【0060】
また、本実施形態では、クリーニング装置16のクリーニング部材に安定剤を含有又は付着させることで、感光体11の表面をクリーニングする際にクリーニング部材から感光体11の表面に安定剤を供給することができる。
【0061】
クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としては安定剤を含有又は付着させることが可能であれば特に制限されないが、例えばウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴムが挙げられる。安定剤は、これらの材質からなるクリーニングブレードの成形時又は成形後に、クリーニング部材に含有又は付着させることができる。
【0062】
クリーニングブレードの配置及び感光体11に対する押し付け圧力は、感光体11の材料や、帯電装置12、ブラシ部材17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように選定することが必要である。
【0063】
なお、クリーニング装置16においては安定剤を含まずに構成されたクリーニングブレードを用い、クリーニング装置16の前段又は後段に安定剤を含有又は付着させたブレード部材を別個に設けてもよい。
【0064】
また、帯電装置12、現像装置14、ブラシ部材17等による感光体11表面への安定剤の供給が可能な場合には、安定剤を含まずに構成されたクリーニング部材を用いてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、ブラシ部材18の摺擦毛に安定剤を含有又は付着させることで、感光体11の表面に安定剤を供給することができる。
【0066】
図1に示したロール状ブラシ部材18は、シャフトを中心としてその外周面方向に複数の摺擦毛を配してロール状としたものである。摺擦毛の繊維としては、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維が挙げられ、ベルトロン(カネボウ社製)、SA−7(東レ社製)、UUナイロン(ユニチカ社製)等の市販品を使用することができる。摺擦毛の繊維太さは、3デニール以下であることが必要であり、2デニール以下であることが好ましい。また、摺擦毛の植毛密度は、30,000〜500,000本/cm2であることが好ましく、50,000〜300,000本/cm2であることがより好ましい。
【0067】
ブラシ部材18の配置及び感光体11に対する押し付け圧力は、感光体11の材料や、帯電装置12、クリーニング装置16、クリーニング装置17等と感光体11との接触状態に応じて、感光体11の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように選定することが必要である。
【0068】
なお、クリーニング装置16及びブラシ部材17の配置は特に制限されず、例えば感光体11表面の移動方向に対して図1と逆であってもよい。これらの配置は、クリーニング性能、感光体に発生する傷、磨耗率などに応じて適宜選定される。
【0069】
また、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16等による感光体11表面への安定剤の供給が可能な場合には、安定剤を含まずに構成されるブラシブラシ部材を用いてもよく、あるいはブラシ部材を設けなくてもよい。
【0070】
次に、本発明にかかる電子写真感光体11について説明する。感光体11は、電子写真プロセスに繰り返し使用されたときの磨耗率を0.2〜5nm/kcycleとすることが可能なものであれば、その構成は特に制限されないが、図2〜図6に示した構成を有するものが好ましく使用される。
【0071】
図2〜図6はそれぞれ感光体11の好ましい一例を示す模式断面図であり、感光体11を基体2及び感光層3の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。
【0072】
図2〜4に示した感光体11はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層3には電荷発生層5と電荷輸送層6とが別個に設けられている。 より詳しくは、図2に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光層3が構成されており、図3に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光体3が構成されており、図4に示した電子写真感光体1においては、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7がこの順で積層されて感光層3が構成されている。
【0073】
一方、図5及び図6に示した感光体11はいずれも単層型感光体であり、各感光体が備える単層型感光層8には電荷発生物質と電荷輸送物質との双方が含まれる。
【0074】
以下、電子写真感光体1の各構成要素について詳述する。
【0075】
導電性基体2としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基体に蒸着したもの;金属箔を上記基体にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散処理し、上記基体に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
【0076】
また、導電性基体2として金属製パイプ基材を用いる場合、当該パイプ基材の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基材表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。表面処理としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。支持体表面の表面粗さは、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmとすることが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化などが好ましい。Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Raが0.5μmより大きいと、本発明による被膜を形成しても画質が粗くなって不適である。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
【0077】
陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
【0078】
陽極酸化膜の膜厚については0.3〜15μmが好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
【0079】
リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理を行う場合、酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が、10〜11重量%の範囲、クロム酸が3〜5重量%の範囲、フッ酸が0.5〜2重量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5〜18重量%の範囲が好ましい。処理温度は、42〜48℃であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3〜15μmが好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
【0080】
ベーマイト処理を行う場合は、基体2を90〜100℃の純水中に5〜60分間浸漬する方法、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させる方法などが適用できる。被膜の膜厚については0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
【0081】
下引き層4の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物及び有機アルミニウム化合物を用いると、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましい。
【0082】
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0083】
また、下引き層4中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中でも、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが電子移動性が高いので、好ましく使用される。これらの顔料はシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などにより表面処理してもよい。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下で使用される。混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0084】
下引き層4は、上記の構成材料を含む塗布液を基体2上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。下引き層4形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。塗布液を乾燥させて下引き層とする場合、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。下引き層4の厚みは、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.2〜10μmである。
【0085】
なお、感光体11は下引き層4を備えていなくてもよいが、特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基体2を用いる場合は、基体2の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引き層4を形成することが好ましい。
【0086】
次に電荷発生層5について説明する。
【0087】
電荷発生層5に用いられる電荷発生物質としては、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等が挙げられる。これらの中でも、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43813号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0088】
電荷発生層5の結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂の配合比(重量比)は10:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
【0089】
電荷発生層5は、上記構成材料を含む塗布液を基体2又は下引き層4に塗布し、乾燥させることにより形成される。電荷発生層形成用塗布液に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの有機溶剤に上記構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、電荷発生物質の結晶型が変化しないように分散させることが好ましい。また、かかる分散の際、電荷発生物質の平均粒子径を、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
【0090】
また、電荷発生層5形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmである。
【0091】
次に、電荷輸送層6について説明する。
【0092】
電荷輸送層6は、電荷輸送物質と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
【0093】
電荷輸送物質としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0094】
上記電荷輸送物質の中でも、モビリティーの観点から、下記一般式(1)〜(3)のうちのいずれかで表される構造を有するのものが好ましい。
【0095】
【化1】
[式中、Ar1及びAr2はそれぞれアリール基を表し、R1は水素原子又はメチル基を表し、nは1又は2を表す。Ar1及びAr2で表されるアリール基は未置換であってもよく、また、炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などの置換基を有していてもよい。]
【0096】
【化2】
[式中、2個のR2は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、2m個のR3及び2n個のR4は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R5)=C(R6)(R7)(R5、R6、R7は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す)で表される基を表し、m及びnはそれぞれ0〜2の整数を表す。]
【0097】
【化3】
[式中、R8は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、または−CH=CH−CH=C(Ar)2(Arは置換又は未置換のアリール基を表す)で表される基を表し、R9及びR10は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。]
また、電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材などの高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送物質と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。
【0098】
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0099】
電荷輸送層6は、上記構成材料を含む塗布液を用いて得ることができる。さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0100】
なお、電荷輸送層6が感光体11の表面層となる場合、電子写真プロセスにおいて電荷輸送層6には安定剤が供給されるが、予め同様の安定剤を電荷輸送層6中に含有させておくとさらに高い効果を得ることができる。
【0101】
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、電子受容性物質を含有させることができる。かかる電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系化合物、キノン系化合物や−Cl、−CN、−NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0102】
次に、表面層7について説明する。
【0103】
表面層7は、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散処理したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコーン、アクリルなどのハードコート剤を用いたもの等で構成することができる。中でも、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂からなるものが好ましく、このうち特に、一般式 (4) で示される構造のものが強度、安定性に優れ好ましい。
F−D−G (4)
一般式(4)中、Fは、電荷輸送性サブユニットを表す。Fで表される構造は、電荷輸送性を有する化合物から誘導される。例えば、光キャリア輸送特性を有する構造は、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などから誘導される。
【0104】
また、一般式(4)中、Gは無機ガラス質ネットワークサブグループを表す。より具体的には、Gにおいては、3次元的なSi−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークが形成されている。
【0105】
一般式(4)中のDは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。
【0106】
一般式(4)で表される構造を有するシロキサン樹脂は、下記一般式(5)で表される化合物を用いて好適に得ることができる。
【0107】
F[−D−SiR3−aQa]n (5)
[式中、F及びDは一般式(4)中のF及びDと同一の定義内容を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1〜3の整数を表し、nは整数を表す。]
一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(5−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0108】
【化4】
[式中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5は置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を表し、D、R、Q及びaは一般式(4)中のD、R、Q及びaと同一の定義内容を表し、bは1〜4の整数を表し、Ar1〜Ar5のうちのb個は−D−SiR3−aQaで表される基と結合可能な結合手を有する。]
また、シロキサン樹脂を形成させる際には、一般式(5)で表される化合物と結合可能な基を有する化合物を用いてもよい。ここでいう結合可能な基とは、一般式(4)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−SiR3−aQaで表される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどである。これらのうち、−SiR3−aQaで示される基、エポキシ基、イソシアネート基を有する化合物を用いると、より高い機械的強度を付与できるため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2個以上有する化合物を用いると、得られるシロキサン樹脂の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
【0109】
また、保護層7の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
【0110】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。
【0111】
ハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などの市販品を用いることができる。
【0112】
また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えてもよい。
【0113】
シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。 また、膜の強度を向上させるために、−SiR3−aQaで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
【0114】
上記の構成材料を含む保護層形成用塗布液の調整は、無溶媒で行ってもよい。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(4)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(4)で示される化合物1重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部で使用される。反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜70℃、さらに好ましくは50〜150℃である。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分〜100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0115】
さらに、シロキサン樹脂を硬化させる際に用いられる硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜10重量%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行った後、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
【0116】
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行う場合、加熱処理は塗布の度に行っても良いし、複数回重ね塗布した後でもよい。
【0117】
保護層7が形成された感光体11の表面、すなわち保護層7の表面には、電子写真プロセスにおいて安定剤が供給されるが、予め保護層7に安定剤を含有させておくと、さらに高い効果を得ることができる。安定剤の添加量としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
【0118】
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的で、アルコールに溶解する樹脂を保護層7に含有せしめることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(例えば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の平均分子量は2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。平均分子量が2000より小さい樹脂を用いると当該樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、平均分子量が100000より大きい樹脂を用いると、溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。樹脂の添加量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜20%である。樹脂の添加量が1重量%よりも少ない場合には当該樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40重量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる傾向にある。
【0119】
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、表面層(電荷輸送層6又は保護層7)に各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径が好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜30nmの酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から表面層の全固形分を基準として、0.1〜50重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
【0120】
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状のシリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。シリコーン微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nmである。表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、表面層の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0121】
また、その他の微粒子としては、四弗化エチレン、三弗化エチレン、六弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO 2 、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物等が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等が挙げられる。
単層型感光層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、10から85重量%程度、好ましくは20から50重量%とする。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(4)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
【0122】
さらに、ブレード部材表面や、電子写真感光体の表面層、及び各種部材をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理こともできる。この場合、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
【0123】
上記各種部材を処理するフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について説明する。フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマーまたはクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマーなどが挙げられる。特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5〜10:90で混合して用いることも好ましい。
【0124】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液にはさらにワックス及び/又はシリコーンを含有させることもできる。ワックス及び/又はシリコーンを含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペロトラタムなど、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0125】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤などを混合することもできる。
【0126】
浸透層の形成は、ブレード部材をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うことができるが、フッ素系樹脂のブレード部材内部への浸透を促進するために、減圧下で行うこともできる。この際の圧力としては、好ましくは0.9気圧以下、より好ましくは0.8気圧以下、さらに好ましくは0.7気圧以下にて処理する。また、水性分散液を、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上に加熱することが浸透の促進に効果的である。さらに、好ましくは0.1気圧以上、より好ましくは0.2気圧以上、さらに好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。
【0127】
また、スプレーや、塗布法によりブレード部材に付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱し、浸透層を形成することもできる。
【0128】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行った後にふき取り、あるいは洗浄を行うこともできる。
【0129】
このように、本実施形態では、帯電装置12、現像装置14、クリーニング装置16、ブラシ部材18等により感光体11の表面に安定剤を供給し、感光体11表面を上記磨耗率で磨耗させながら電子写真プロセスを行うことで、感光体11が本来的に有する特性(電気特性、電子写真特性等)を十分に維持しつつ、感光体11の表面に形成するリフレッシュ面において安定剤を作用させることができる。従って、感光体11の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。上述の効果は、感光体11を交換せずに、電子写真プロセスを200000サイクル以上(特に250000サイクル以上、さらには300000サイクル以上)繰り返す画像形成装置において特に顕著である。また、カラー画像形成装置などの特に画質要求が厳しい画像形成装置、特にタンデム方式の高速機で使用することが効果的である。
【0130】
図7は本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマジェンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
【0131】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マジェンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
【0132】
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0133】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0134】
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0135】
ここで、各色トナー像を形成する4個の画像形成ユニットにおいては、電子写真プロセスの際に感光体401a〜401dそれぞれの表面に安定剤が供給される。安定剤の供給は、帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、中間転写ベルト409、クリーニングブレード415a〜415dなどにより行われる。また、図示していないが、図1と同様にブラシ部材を用いて安定剤を供給してもよい。
【0136】
帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、クリーニングブレード415a〜415d、あるいはさらにブラシ部材が安定剤を供給可能である場合、それぞれの態様は図1に示した装置の場合と同様である。従って、これらの説明はここでは省略し、以下では、中間転写ベルト409により安定剤を供給する場合について説明する。
【0137】
中間転写ベルト409の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
【0138】
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0139】
中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
【0140】
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
【0141】
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
【0142】
このような中間転写ベルト409に安定剤を含有又は付着させることにより、感光体401a〜401dそれぞれの表面に安定剤を供給することができる。
【0143】
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。
【0144】
中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
【0145】
なお、本発明にかかる被転写媒体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写媒体に転写する場合は、紙等が被転写媒体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写媒体である。
【0146】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0147】
[感光体−1の作製]
先ず、導電性基体としてJIS A3003合金よりなる引き抜き管(直径84mm、長さ347mm)を用意した。
【0148】
次に、酸化亜鉛(SMZ−017、テイカ社製)100重量部をトルエン500重量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(A1100、日本ユニカー社製)2重量部を添加してさらに5時間撹拌した。その後、トルエンを減圧蒸留により留去し、120℃で2時間焼付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度の亜鉛元素強度に対する比は1.8×10−4であった。
【0149】
このようにして表面処理を施した酸化亜鉛35重量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール 3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6重量部及びメチルエチルケトン44重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行った。得られた分散液に、触媒としてのジオクチルスズジラウレート0.005重量部、及びシリコーン微粒子(トスパール130、GE東芝シリコーン社製)17重量部を添加して、下引き層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて上記基体上に塗布し、160℃、100分で乾燥硬化させて、厚さ20μmの下引き層を形成した。
【0150】
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン1重量部を、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学製)1重量部及び酢酸n−ブチル100重量部と混合した。この混合液を、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0151】
次に、下記式(6)で表されるベンジジン化合物2重量部と、下記式(7)で表される構成単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3重量部と、をクロロベンゼン20重量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃で40分加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、感光体−1を得た。なお、式中、Meはメチル基を表し、nは整数を表す。
【0152】
【化5】
【0153】
【化6】
[感光体−2の作製]
先ず、感光体−1と同様にして電荷輸送層までを作製した。
【0154】
次に、下記式(8)で表される化合物2重量部、メチルトリメトキシシラン2重量部、テトラメトキシシラン1重量部及びコロイダルシリカ0.3重量部を、イソプロピルアルコール5重量部、テトラヒドロフラン3重量部、蒸留水0.3重量部に溶解させた。この混合溶液にイオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5重量部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。なお、式中、Meはメチル基を表し、i−Prはイソプロピル基を表す。
【0155】
【化7】
加水分解後の反応液からイオン交換樹脂を濾過分離し、濾液に対してアルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)を0.1重量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4重量部を加え、保護層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約3μmの保護層を形成し、感光体−2を得た。
【0156】
[感光体−3の作製]
先ず、感光体−1と同様にして電荷輸送層までを作製した。
【0157】
次に、式(8)で表される化合物の代わりに下記式(9)で表される化合物を用いたこと以外は、感光体−2と同様にして保護層を形成し、感光体−3を作製した。
【0158】
【化8】
[安定剤含有微粒子−1の作製]
2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)1重量部とステアリン酸亜鉛10重量部とを混合し、ボールミルにて平均粒子径0.2μmに粉砕して安定剤含有微粒子−1を得た。
【0159】
[安定剤含有微粒子−2の作製]
シリカ(粒径40nm、シリコーンオイル処理、気相酸化法)50重量部に、2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)10重量部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドを行い、安定剤含有微粒子−2を得た。
【0160】
[現像剤−1の作製]
現像剤に関する以下の説明において、各物性値の測定は以下の方法にて行った。
【0161】
(トナー、複合粒子の粒度分布)
マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。
【0162】
(トナー、複合粒子の平均形状係数ML2/A)
平均形状係数ML2/Aは下記式で計算された値を意味し、真球の場合、ML2/A=100となる。
【0163】
ML2/A=(最大長)2×π×100/(面積×4)
平均形状係数を求める際には、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長及び面積から、個々の粒子について上記式のML2/Aの値を求めた。
【0164】
[トナー母粒子の製造]
(樹脂微粒子分散液の調製)
スチレン370重量部、n−ブチルアクリレート30重量部,アクリル酸8重量部、ドデカンチオール24重量部及び四臭化炭素4重量部を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6重量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製)10重量部をイオン交換水550重量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が150nm、ガラス転移温度が58℃、重量平均分子量が11500の樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40重量%であった。
【0165】
(着色剤分散液(1)の調製)
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)60重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製した。
【0166】
(着色剤分散液(2)の調製)
シアン顔料(B15)360重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(シアン顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を調製した。
【0167】
(着色剤分散液(3)の調製)
マジェンタ顔料(R122)60重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水240重量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(マジェンタ顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を調製した。
【0168】
(着色分散液(4)の調製)
イエロー顔料(Y180)90重量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5重量部及びイオン交換水 240gを混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(イエロー顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を調製した。
【0169】
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点85℃)100重量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5重量部及びイオン交換水240gを混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散処理した。さらに、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒子径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
【0170】
(トナー母粒子K1の作製)
樹脂微粒子分散液(複合微粒子の調製時に得られたもの)234重量部、着色剤分散液(1)30重量部、離型剤分散液40重量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5重量部及びイオン交換水600重量部を混合し、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて分散処理した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に樹脂微粒子分散液26重量部を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃として30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱して4時間保持した。冷却後、トナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1のD50は5.9μm、平均形状係数ML2/Aは132であった。
【0171】
(トナー母粒子C1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(2)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子C1を作製した。トナー母粒子C1のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは131であった。
【0172】
(トナー母粒子M1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(3)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子M1を作製した。トナー母粒子M1のD50は5.5μm、平均形状係数ML2/Aは135であった。
【0173】
(トナー母粒子Y1の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(4)を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子Y1を作製した。トナー母粒子Y1のD50は5.9μm、平均形状係数ML2/Aは130であった。
【0174】
(キャリアの製造)
先ず、トルエン14重量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比90/10)2重量部及びカーボンブラック(R330、キャボット社製)0.2重量部を10分間スターラーで撹拌させて、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒子径50μm)100重量部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
【0175】
(トナー−1及び現像剤−1の作製)
上記トナー母粒子K1、C1、M1,Y1のそれぞれ100重量部にルチル型酸化チタン(粒径20nm、n−デシルトリメトキシシランで処理したもの)を1重量部、安定剤含有微粒子−1を0.3重量部、安定剤含有微粒子−2を2.0重量部、酸化セリウム(平均粒子径0.7μm)を0.1部添加し、5Lヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去してトナー−1を得た。また、トナー−1の5重量部にキャリア100重量部を加え、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌した。その後、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−1を得た。
【0176】
[現像剤−2の作製]
(トナー母粒子K2の作製)
樹脂微粒子分散液(複合微粒子調整の時に作成したもの)234重量部、着色剤分散液(1)30重量部、離型剤分散液40重量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5重量部及びイオン交換水600重量部を混合し、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて分散処理した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26重量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃として30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを5.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱して4時間保持した。冷却後、トナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K2を得た。トナー母粒子K2のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは109であった。
【0177】
(トナー母粒子C2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(2)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子C2を作製した。トナー母粒子C2のD50は5.7μm、平均形状係数ML2/Aは110であった。
【0178】
(トナー母粒子M2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(3)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子M2を作製した。トナー母粒子M2のD50は5.6μm、平均形状係数ML2/Aは114であった。
【0179】
(トナー母粒子Y2の作製)
着色粒子分散液(1)の代わりに着色粒子分散液(4)を用いたこと以外はトナー母粒子K2と同様にしてトナー母粒子Y2を作製した。トナー母粒子Y2のD50は5.8μm、平均形状係数ML2/Aは108であった。
【0180】
(トナー−2及び現像剤−2の作製)
上記トナー母粒子K2、C2、M2、Y2のそれぞれ100重量部に、ルチル型酸化チタン(粒径20nm、n−デシルトリメトキシシランで処理したもの)1重量部、シリカ(粒径40nm、気相酸化法で作製し、シリコーンオイルで処理したもの)2.0重量部、酸化セリウム(平均粒子径0.7μm)1重量部、脂肪族アルコールとステアリン酸亜鉛との粉砕混合物(分子量700の高級脂肪酸アルコールとステアリン酸亜鉛を重量比5:1で混合し、ジェットミルで粉砕して平均粒子径8.0μmとしたもの)0.3重量部を加えた。これらの混合物を、5Lヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドし、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去してトナー−2を得た。また、このトナー−2の5重量部に現像剤−1と同様のキャリア100重量部を加え、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−2を得た。
【0181】
[現像剤−3の作製]
(トナー母粒子K3の作製)
ポリエステル樹脂(テレフタル酸−ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル、Tg:62℃、Mn:12,000、Mw:32,000)100重量部、カーボンブラック4重量部、カルナウバワックス5重量部及びBHT3重量部の混合物をエクストルーダで混練し、ジェットミルで粉砕した。粉砕物を風力式分級機で分級し、平均粒子径が5.9μm、形状係数ML2/Aが145のトナー母粒子K3を得た。
【0182】
(トナー母粒子C3の作製)
カーボンブラックの代わりにシアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.6μm、形状係数ML2/Aが141のトナー母粒子C3を作製した。
【0183】
(トナー母粒子M3の作製)
カーボンブラックの代わりにマジェンタ着色剤(R122)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.9μm、形状係数ML2/Aが149のトナー母粒子M3を作製した。
【0184】
(トナー母粒子Y3の作製)
カーボンブラックの代わりにイエロー着色剤(Y180)を用いたこと以外はトナー母粒子K3と同様にして、平均粒子径が5.8μm、形状係数ML2/Aが144のトナー母粒子Y3を作製した。
【0185】
(トナー−3及び現像剤−3の作製)
トナー母粒子K2、C2、M2、Y2の代わりにトナー母粒子K3、C3、M3、Y3を用いたこと以外はトナー−2と同様にしてトナー−3を作製し、さらに、現像材−2と同様にして現像剤−3を作製した。
【0186】
[クリーニングブレード−1の作製]
ポリエステル(ODX−106、大日本インキ製)100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート20重量部、ジブチルスズジラウレート1重量部、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤(トミノックス917、吉富製薬製)1重量部、を混合し、厚さ2mmのブレード状に成形して、クリーニングブレード−1を得た。
【0187】
[クリーニングブレード−2の作製]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いなかったこと以外はクリーニングブレード−1と同様にして、クリーニングブレード−2を作製した。
【0188】
[潤滑剤供給部材−1の作製]
2,6−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT)1重量部とステアリン酸亜鉛10重量部とを加熱溶融して混合し、5mm×5mm×313mmの形状に成形し、潤滑剤供給部材(安定剤含有)−1を得た。
【0189】
[潤滑剤供給部材−2の作製]
BHTの代わりにヒンダードアミン系光安定剤(LA−77、旭電化製)1重量部を用いたこと以外は、潤滑剤供給部材−1と同様にして、5mm×5mm×313mmの形状を有する潤滑剤供給部材(安定剤含有)−2を作製した。
【0190】
[潤滑剤供給部材−3の作製]
ステアリン酸亜鉛のみを加熱溶融して、5mm×5mm×313mmの形状を有する潤滑剤供給部材(安定剤不含)−3を作製した。
【0191】
[実施例1〜11、比較例1〜7:画像形成装置の作製]
実施例1〜11及び比較例1〜7においては、それぞれ感光体、帯電装置、現像剤、クリーニングブレード及び潤滑剤供給部材を表1に示す組み合わせで用い、図7に示した構成を有する画像形成装置を作製した。この際、28℃、85%RHの環境下での感光体の磨耗率(電子写真プロセスを10kcycle(=1万回)繰り返したときの1kcycle当たりの平均磨耗率)をそれぞれ表1に示す通りに設定した。
【0192】
なお、表1の「装置」の欄中、「1」は、ロール状帯電部材を有する接触帯電装置を用い、潤滑剤供給部材をロール状帯電部材に接触配置して、帯電部材を介して潤滑剤供給部材から感光体表面に安定剤を供給する装置であることを意味する。また、同欄中、「2」は、潤滑剤供給部材を感光体表面に当接配置し、潤滑剤供給部材から感光体表面に直接安定剤を供給する装置であることを意味する。また、同欄中、「3」は、潤滑剤供給部材を中間転写ベルトに当接配置し、中間転写ベルトを介して安定剤含有部材から感光体表面に安定剤を供給する装置であることを意味する。装置「2」、「3」の帯電装置はスコロトロンである。
【0193】
【表1】
[プリント試験−1]
実施例1〜11及び比較例1〜7の各画像形成装置について、10℃、20%RHの環境下で3万枚の連続プリント試験を行い、画質を目視にて判定した。用紙としては、富士ゼロックス製PPC用紙(J紙、A4)を用いた。得られた結果を表2に示す。表2の欄中、画質が良好な場合には○、欠陥のある場合はその現象を示した。
【0194】
[プリント試験−2]
実施例1〜11及び比較例1〜7の各画像形成装置について、28℃、85%RHの環境下で1万枚の連続プリント試験を行い、試験後の感光体への付着物の有無、トナーのクリーニング性(クリーニング不良による帯電器の汚れや画質劣化)、転写性、画質を評価した。
【0195】
付着物の有無は目視にて判定した。表2の「付着物」の欄中、○は付着物なし、△は部分的(全体の30%程度以下)に付着物あり、×は付着物あり、をそれぞれ意味する。
【0196】
また、クリーニング性は目視にて判定した。表2の「クリーニング性」の欄中、○は良好、△は部分的(全体の10%程度以下)にスジ等の画質欠陥あり、×は広範に画質欠陥あり、をそれぞれ意味する。
【0197】
転写性は、感光体表面の転写残トナーを粘着テープにて剥離し、重量を測定することにより判定した。表2の「転写性」の欄中、○は転写効率90%以上、△は転写効率85〜90%、×は転写効率85%未満、をそれぞれ意味する。
【0198】
画質は目視にて判定した。表2の欄中、画質が良好な場合には○、欠陥のある場合はその現象を示した。
【0199】
【表2】
【0200】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の画像形成装置によれば、感光体の放電生成物に対する耐性と機械的破壊に対する耐性との双方を十分に高め、長期にわたって良好な画像品質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図4】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図5】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図6】本発明にかかる電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11…電子写真感光体、2…導電性基体、3…感光層、4…下引き層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、12…帯電装置、13…露光装置、14…現像装置、15…転写装置、16…クリーニング装置、17…ブラシ部材、18…像定着装置、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザー光源(露光装置)、404a〜404d・・・現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、500…被転写媒体。
Claims (8)
- 電子写真感光体を用いて帯電、露光、現像、転写を含む電子写真プロセスを行う画像形成装置であって、前記感光体表面に安定剤を供給する安定剤供給装置を備え、且つ前記感光体表面の磨耗率が0.2〜5nm/kcycleとなるように前記電子写真プロセスを行うことを特徴とする画像形成装置。
- 前記電子写真感光体が導電性基体及び前記基体上に形成された感光層を備えるものであり、前記感光層が架橋構造を有する樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤又はヒンダードアミン系酸化防止剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤供給装置が、前記感光体表面に接触配置されており前記安定剤を含有又は付着させた帯電部材を有する接触帯電装置であり、前記感光体を帯電させる際に前記帯電部材から前記感光体表面に前記安定剤を供給することを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤供給装置が、前記安定剤を含有又は付着させた現像剤を前記感光体表面に供給する現像装置であり、前記感光体に形成した静電潜像を現像してトナー像を形成させる際に前記現像剤から前記感光体表面に前記安定剤を供給することを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤供給装置が、前記感光体表面に接触配置されており前記安定剤を含有又は付着させた中間転写体であり、前記感光体表面に形成したトナー像を前記中間転写体に転写する際に前記中間転写体から前記感光体に前記安定剤を供給することを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤供給装置が、前記感光体表面に当接配置されており前記安定剤を含有又は付着させたクリーニング部材を有するクリーニング装置であり、転写後の前記感光体をクリーニングする際に前記クリーニング部材から前記感光体表面に安定剤を供給することを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記安定剤供給装置が、前記感光体表面に配置されており前記安定剤を含有又は付着させた摺擦毛を有するブラシ部材であり、所定方向に移動する前記感光体の表面を前記摺擦毛により摺擦する際に前記摺擦毛から前記感光体に前記安定剤を供給することを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
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