JP2007322996A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】電子写真感光体100は、導電性支持体3と、導電性支持体3上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層4と、下引層4上に設けられた電荷発生層1と、電荷発生層1上に設けられた電荷輸送層2とを備える。下引層4の膜厚を20μmとしたときに、波長950nmの光に対する下引層4の透過率は85%以上である。下引層4の体積抵抗は1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である。
【選択図】図1
【解決手段】電子写真感光体100は、導電性支持体3と、導電性支持体3上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層4と、下引層4上に設けられた電荷発生層1と、電荷発生層1上に設けられた電荷輸送層2とを備える。下引層4の膜厚を20μmとしたときに、波長950nmの光に対する下引層4の透過率は85%以上である。下引層4の体積抵抗は1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真方式は、高速かつ高品質の印字が可能であることから、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター等の画像形成装置において利用されている。
これら画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以下、場合により「感光体」という。)としては、導電性支持体上に光導電材料からなる感光層を形成した感光体が知られている。この感光体において、帯電性の向上、導電性支持体と感光層との密着性の向上、導電性支持体の表面における欠陥の隠蔽、ピンホールリークによる画像欠陥の低減等のために、導電性支持体と感光層との間に下引層を設けることが行われている。
下引層を形成するための材料としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド、熱可塑性ポリエステル、フェノキシ樹脂、カゼイン、ゼラチン、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂や、ポリイミド、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等が知られている。
また、感光体特性をより向上させ、良好な画質を得るために、下引層の組成に関する様々な検討がなされており、例えば、下引層を構成する樹脂に導電性ポリマーをブレンドした感光体や(例えば、特許文献1参照)、下引層を構成する樹脂中に導電性粉末を分散させた感光体(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。また、レーザー光透過率が40%以下である下引層を備えた感光体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。かかる下引層を設けることによりレーザー光を下引層に吸収させ、画像形成時における干渉縞状の濃度ムラの発生を防止する試みがなされている。
特公平2−59458号公報
特公平2−59459号公報
特開平2−82263号公報
しかしながら、上記電子写真感光体では、画像形成を繰り返し行う過程で劣化が生じ易く、画質が悪化し易い。また、画像形成を繰り返し行うと、感度低下や残留電位の上昇等が生じ、前の画像形成時における露光履歴(露光像)が次の画像形成時に現れることにより生じる、いわゆるゴーストと呼ばれる画質欠陥が発生しやすいという問題がある。ゴーストは、ドラム状の電子写真感光体において、高速印字や感光層の厚膜化による長寿命化を実現しようとすると特に発生しやすい。
上述のようなゴーストを改善するために、本発明者らは種々の実験を行った。その結果、電子受容性物質を下引層に添加するとゴーストの問題が改善されることを見出した。しかしながら、ゴーストの問題は改善するものの、黒点や濃度ムラが生じ易くなってしまった。また、感光体を200,000サイクルの電子写真プロセスに供した後には、残留電位が上昇してしまった。これは、残留電位のサイクル特性が悪化したことを示している。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備え、前記下引層の膜厚を20μmとしたときに、前記下引層の波長950nmの光に対する透過率が85%以上であり、前記下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である。
ここで、体積抵抗は、例えば10℃、15%RH下で106V/mの電界を下引層に印加することにより測定することができる。透過率は、例えば分光光度計を用いて測定することができる。また、下引層の膜厚は20μmに限定されない。透過率は、例えば、結着樹脂及び硬化剤の合計体積に対する導電性金属酸化物粒子の体積の比率により制御することができる。当該比率は、例えば20〜60体積%であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体では、透過率及び体積抵抗が上記範囲内であることにより、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。このメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推察される。
透過率が85%以上であると、詳細は不明であるが、電荷発生層の膜厚均一性が向上する。一因として、下引層中の導電性金属酸化物粒子が均一に分散することによって、上層の電荷発生層の膜厚が均一化されることが考えられる。このため、電子写真感光体における濃度ムラの発生を抑制できる。また、透過率が85%以上であることは、下引層中において導電性金属酸化物粒子が十分に分散された状態となっていることを示す。これにより、下引層中には電子及び正孔の伝導パスが多数形成されることとなり、電荷移動が容易となるので、電子写真感光体における残留電位の上昇を抑制することができる。なお、透過率は、例えば、下引層中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させることによって制御することができる。
また、下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性を得ることが困難となり、電子写真感光体において黒点が発生する傾向にある。下引層の体積抵抗が1×1012Ω・cmを超えると、残留電位の上昇を引き起こし、ゴーストが発生すると共に残留電位のサイクル特性が低下する傾向にある。したがって、下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であると、電子写真感光体においてゴースト及び黒点の発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。なお、下引層の体積抵抗は、例えば、導電性金属酸化物粒子自体の電気抵抗値とその添加量を変化させることや、下引層を形成する際の乾燥硬化条件、下引層中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させることによって制御することができる。
また、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層とを備え、前記導電性金属酸化物粒子、前記電子受容性物質、前記結着樹脂及び前記硬化剤からなる膜の厚さを20μmとしたときに、前記膜の波長950nmの光に対する透過率が85%以上であり、前記下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である。
ここで、体積抵抗は、例えば10℃、15%RH下で106V/mの電界を下引層に印加することにより測定することができる。透過率は、例えば分光光度計を用いて測定することができる。透過率は、例えば、結着樹脂及び硬化剤の合計体積に対する導電性金属酸化物粒子の体積の比率により制御することができる。当該比率は、例えば20〜60体積%であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体では、導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤からなる膜(以下、「特定膜」という。)についての透過率及び下引層の体積抵抗が上記範囲内であることにより、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。このメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推察される。
透過率が85%以上であると、詳細は不明であるが、電荷発生層の膜厚均一性が向上する。一因として、下引層中の導電性金属酸化物粒子が均一に分散することによって、上層の電荷発生層の膜厚が均一化されることが考えられる。このため、電子写真感光体における濃度ムラの発生を抑制できる。また、透過率が85%以上であることは、特定膜中において導電性金属酸化物粒子が十分に分散された状態となっていることを示す。これにより、下引層中には電子及び正孔の伝導パスが多数形成されることとなり、電荷移動が容易となるので、電子写真感光体における残留電位の上昇を抑制することができる。なお、透過率は、例えば、特定膜中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させることによって制御することができる。
また、下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性を得ることが困難となり、電子写真感光体において黒点が発生する傾向にある。下引層の体積抵抗が1×1012Ω・cmを超えると、残留電位の上昇を引き起こし、ゴーストが発生すると共に残留電位のサイクル特性が低下する傾向にある。したがって、下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であると、電子写真感光体においてゴースト及び黒点の発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。なお、下引層の体積抵抗は、例えば、導電性金属酸化物粒子自体の電気抵抗値とその添加量を変化させることや、下引層を形成する際の乾燥硬化条件、下引層中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させることによって制御することができる。
また、前記電荷発生層の膜厚が0.3μm以下であることが好ましい。
この場合、ゴーストの発生を効果的に抑制することができる。電荷発生層の膜厚が0.3μmを超えると、ゴーストが発生する傾向にある。
また、前記導電性金属酸化物粒子が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化錫の少なくとも一つを含むことが好ましい。
この場合、下引層の体積抵抗を上記範囲内に制御することが容易になる。
また、前記電子受容性物質の質量は、前記導電性金属酸化物粒子の質量の0.1%以上2%以下であることが好ましい。
この場合、ゴーストの発生を効果的に抑制することができる。電子受容性物質の質量が0.1%未満であると、電子受容性物質の効果が低下し、ゴーストが発生し易くなる傾向にある。一方、電子受容性物質の質量が2%を超えると、電子受容性物質が導電性金属酸化物粒子の分散を阻害する要因となるので、導電性金属酸化物粒子が均一に分散されず、黒点等の問題が発生する傾向にある。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種とを備える。
本発明のプロセスカートリッジは、上述した本発明の電子写真感光体を備える。よって、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段とを備える。
本発明の画像形成装置は、上述した本発明の電子写真感光体を備える。よって、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
本発明によれば、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
(電子写真感光体)
図1は、好適な実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体100は、電荷発生層1と電荷輸送層2とが別個に設けられた機能分離型感光体である。電荷発生層1と電荷輸送層2は感光層7を構成する。電子写真感光体100は、導電性支持体3と、導電性支持体3上に設けられた下引層4と、下引層4上に設けられた電荷発生層1と、電荷発生層1上に設けられた電荷輸送層2とを備える。
図1は、好適な実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体100は、電荷発生層1と電荷輸送層2とが別個に設けられた機能分離型感光体である。電荷発生層1と電荷輸送層2は感光層7を構成する。電子写真感光体100は、導電性支持体3と、導電性支持体3上に設けられた下引層4と、下引層4上に設けられた電荷発生層1と、電荷発生層1上に設けられた電荷輸送層2とを備える。
以下、図1に示す電子写真感光体100の各要素について説明する。
[導電性支持体]
導電性支持体3としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体3としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、ガラス板、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
導電性支持体3としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体3としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、ガラス板、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
なお、電子写真感光体100がレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nm〜850nmのものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。導電性支持体3表面は、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmに粗面化することが好ましい。Raが0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなる傾向があり、他方、Raが0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が粗くなる傾向がある。また、非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体3表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング処理、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削処理、陽極酸化処理、又は有機若しくは無機の半導電性微粒子を含有する層を形成する方法等が挙げられる。
陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、処理後そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜は、加圧水蒸気又は沸騰水(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)による処理を行い、微細孔水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。また、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体3には、酸性処理液による処理、又はベーマイト処理を施してもよい。酸性処理液による処理は、リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液を用いて以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10〜11質量%の範囲、クロム酸が3〜5質量%の範囲、フッ酸が0.5〜2質量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5〜18質量%の範囲が好ましい。処理温度は、42〜48℃であると好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。また、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90〜100℃の純水中に導電性支持体3を5〜60分間浸漬するか、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
[下引層]
下引層4は、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する。下引層4は、必要に応じて、樹脂粒子、触媒、有機金属化合物等を更に含有してもよい。下引層4によって、導電性支持体3と電荷発生層1との密着性を向上させ、異物の突き刺さりによるリークの発生を低減することができる。
下引層4は、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する。下引層4は、必要に応じて、樹脂粒子、触媒、有機金属化合物等を更に含有してもよい。下引層4によって、導電性支持体3と電荷発生層1との密着性を向上させ、異物の突き刺さりによるリークの発生を低減することができる。
さらに、下引層4によって、帯電した電子写真感光体100の表面を除電し易くなる。例えば帯電により電子写真感光体100の表面に正電荷が蓄積する場合、露光により電荷発生層1中に電荷対を発生させると、電荷対のうちの負電荷が電子写真感光体100の表面に移動する。これにより、電子写真感光体100の表面は除電される。下引層4は、電荷発生層1中の負電荷を効率的に引き抜くことができるので、電子写真感光体100の表面を除電し易くなる。
下引層4の膜厚を20μmとしたときに、下引層4の波長950nmの光に対する透過率は85%以上である。この透過率は、例えば、任意の膜厚を有する下引層4の透過率を測定し、その測定値に所定の換算係数を乗ずることによって、下引層4の膜厚を20μmに換算して得られる。透過率は、例えば分光光度計を用いて測定することができる。透過率が85%以上であると、詳細は不明であるが、電荷発生層1の膜厚均一性が向上するため、濃度ムラの発生を抑制できる。特に、電荷発生層1を浸漬コーティング法を用いて形成する場合に、電荷発生層1の膜厚均一性が向上する。
また、透過率は、下引層4中における導電性金属酸化物粒子の分散性の指標となる。透過率が85%以上であることは、下引層4中において導電性金属酸化物粒子が十分に分散された状態となっていることを示す。これにより、下引層4中には電子及び正孔の伝導パスが多数形成されることとなり、電荷移動が容易となるので、残留電位の上昇を抑制することができる。なお、透過率は、例えば下引層4中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させることによって制御することができる。導電性金属酸化物粒子の分散性は、例えば導電性金属酸化物粒子を分散する時間を長くすると高まる。
また、導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤からなる膜(特定膜)の膜厚を20μmとしたときに、特定膜の透過率が85%以上であっても、同様に、電荷発生層の膜厚均一性が向上する。これにより、濃度ムラの発生を抑制できる。特定膜は、例えば、下引層4を溶剤に溶解させ、下引層4中の導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を抽出し、それらを塗膜にすることによって得られる。
また、下引層4の体積抵抗は、1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗は、例えば10℃、15%RH下で106V/mの電界を下引層4に印加することにより測定することができる。下引層4の体積抵抗が1×1010Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性を得ることが困難となり、黒点が発生する傾向にある。下引層4の体積抵抗が1×1012Ω・cmを超えると、残留電位の上昇を引き起こし、下引層4の電荷の引き抜き能力が不足することにより、ゴーストが発生すると共に残留電位のサイクル特性が低下する傾向にある。
したがって、下引層4の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であると、ゴースト及び黒点の発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。なお、下引層4の体積抵抗は、例えば、導電性金属酸化物粒子自体の電気抵抗値とその添加量を変化させること、下引層4を形成する際の乾燥硬化条件を変化させること、下引層4中における導電性金属酸化物粒子の分散状態を変化させること等によって制御することができる。
導電性金属酸化物粒子は、導電性金属酸化物からなる粒子である。導電性金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化錫等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも特に、酸化亜鉛及び酸化チタンは電子移動性が高く、良好な電子写真特性が得られ、ゴーストの発生が十分に抑制されるため好ましい。導電性金属酸化物粒子が酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化錫の少なくとも一つを含む場合、下引層4の体積抵抗を1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下の範囲内に制御することが容易になるため好ましい。
下引層4は、リーク耐性獲得のために適切な抵抗を有することが必要であり、そのため導電性金属酸化物粒子は、1×102〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有するものであることが好ましい。中でも上記抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等からなる導電性金属酸化物粒子を用いることが好ましい。特に酸化亜鉛は好ましく用いられる。なお、導電性金属酸化物粒子の抵抗値が1×102Ω・cm未満であると、十分なリーク耐性が得られにくくなる傾向にあり、抵抗値が1×1011Ω・cmを超えると、残留電位の上昇を引き起こしやすくなる傾向がある。
また、導電性金属酸化物粒子の比表面積は、10m2/g以上であることが好ましい。比表面積値が10m2/g未満であると、帯電性の低下が生じやすくなり、良好な電子写真特性を得にくくなる傾向がある。
また、導電性金属酸化物粒子は、シランカップリング剤で表面処理されている。アミノ基を有するシランカップリング剤は下引層4に良好なブロッキング性を与えるため好ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、所望の感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用いることができるが、具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なお、これらに限定されるものではない。また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用することもできる。
上記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いることができるシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
導電性金属酸化物粒子の表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であり、例えば、乾式法や湿式法等を用いることができる。乾式法により表面処理を施す場合には、導電性金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒に溶解させたシランカップリング剤を滴下し、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理することができる。シランカップリング剤の添加あるいは噴霧は、溶剤の沸点以下の温度で行うことが好ましい。溶剤の沸点を超える温度で噴霧すると、導電性金属酸化物粒子が均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的にかたまってしまい均一な表面処理ができにくい傾向がある。シランカップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法により表面処理を施す場合には、導電性金属酸化物粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加して攪拌あるいは分散した後、溶剤を除去することで均一に処理することができる。溶剤は、ろ過あるいは蒸留により除去することができる。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては表面処理剤を添加する前に導電性金属酸化物粒子に含有されている水分を除去することもでき、例えば、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等を用いることができる。
導電性金属酸化物粒子にシランカップリング剤で表面処理を施す場合、シランカップリング剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定できる。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
導電性金属酸化物としては、上述したものを単独で用いてもよく、表面処理の異なるものや粒子径の異なるもの等を2種以上組み合わせて用いてもよい。
電子受容性物質としては、例えば、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料及び多環キノン顔料が、電子移動性が高いため好ましく使用される。多環キノン顔料は、ゴーストを抑制する観点から特に好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的でカップリング剤や、バインダー等で表面処理してもよい。さらに、電子受容性物質として、金属酸化物と電荷移動錯体を形成しやすいアントラキノン骨格を有する分子を用いることが好ましい。アントラキノン骨格を有する分子としては、アントラキノン、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等があげられ、いずれも好ましく用いることができる。さらに具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が特に好ましく用いられる。
電子受容性物質の質量は、導電性金属酸化物粒子の質量の0.1〜2%であることが好ましい。この場合、ゴーストの発生を効果的に抑制することができる。電子受容性物質の質量が0.1%未満であると、電子受容性物質の効果が低下し、ゴーストが発生し易くなる傾向にある。一方、電子受容性物質の質量が2%を超えると、電子受容性物質が導電性金属酸化物粒子の分散を阻害する要因となるので、導電性金属酸化物粒子が均一に分散されず、黒点等の問題が発生する傾向にある。
結着樹脂としては、従来から下引層に用いられるものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることができる。
硬化剤としては、結着樹脂を硬化させることが可能なものであれば特に制限されないが、特にイソシアネートが好ましく用いられる。イソシアネートとしては、ポリイソシアネート化合物にブロック剤となる活性水素を有する化合物を反応させて得られるイソシアネートのうち、常温で安定であり、所定の条件(例えば、50〜200℃)の下で加熱するとブロック剤が解離して、イソシアネート基が再生されるイソシアネートが好ましい。
上述のポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイシアネート、ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェルポリイソシアネート等が挙げられる。
上述のブロック剤としては、例えば、カプロラクトム等のラクタム類、メチルエチルケトオキシムやアセトオキシム等のオキシム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸ジエチル等のβ−ジケトン類が挙げられる。
樹脂粒子は導電性支持体3の光の反射防止作用のために用いられ、平均粒径1.0μm以上の樹脂粒子が好ましい。また、樹脂粒子として具体的には、シリコーン樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子等が挙げられる。この樹脂粒子を含有する下引層を用いることにより、画像形成時の露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラを抑制することができる。また、かかる効果をより十分に得る観点から、樹脂粒子の平均粒径は0.05〜5.0μmであることが好ましい。
下引層4は、上記の構成材料を所定の溶剤に加えて分散処理することにより得られる塗布液を、導電性支持体3上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。下引層形成用塗布液の製造方法は、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する混合液を、該混合液を硬化させて膜厚20μmの塗膜を形成したときに該塗膜の波長950nmの光に対する透過率が85%以上となるように調製する工程を含むことが好ましい。
使用される溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の有機溶剤が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒としては、結着樹脂を溶解すると共に、導電性金属酸化物粒子及び電子受容性物質を混合/分散させたときにゲル化や凝集を生じないものが好ましい。混合/分散処理方法としては、ボールミル分散法、ロールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、超音波分散法等の通常の方法を用いることができる。
下引層4を形成する際に用いる塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
下引層4の膜厚は、0.1〜40μmであることが好ましいく、5〜40μmであることがより好ましい。下引層4の膜厚が5〜40μmであると、外来物の影響を受け難くなり、ゴーストの発生をより十分に抑制することが可能となる。
[電荷発生層]
電荷発生層1は、電荷キャリアを生成する機能を有している。電荷発生層1は、電荷発生材料と結着樹脂とを含んで構成される。
電荷発生層1は、電荷キャリアを生成する機能を有している。電荷発生層1は、電荷発生材料と結着樹脂とを含んで構成される。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や、三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等既知のもの全て使用することができる。電荷発生材料としては、380nm〜500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が好ましく、700nm〜800nmの露光波長の光源を用いる場合には、ゴーストの発生がより十分に抑制されることから、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、又は特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
また、電荷発生材料としては、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の27.2°に強い回折ピークを持つチタニルフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンも好ましい。
電荷発生層1の結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーを結着樹脂として用いてもよい。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷発生層1における電荷発生材料と結着樹脂との配合比は(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層1は、上記の構成材料を所定の溶剤に加えて分散処理することにより得られる塗布液を、下引層4上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。使用される溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の有機溶剤が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。分散処理方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件とすることが好ましい。また、分散処理の際、電荷発生材料からなる粒子の平均一次粒子径を、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下とすることが有効である。
電荷発生層1を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
+なお、電荷発生材料の分散安定性や、光感度を向上させる目的で、あるいは、電気特性を安定化させる目的で、電荷発生材料に表面処理を施しても良い。
[電荷輸送層]
電荷輸送層2は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送層2は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニルキノン、ブロマニルキノン、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷輸送層2に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等の高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、電荷輸送層2の構成材料として、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層2は、上記の構成材料を所定の溶剤に加えて分散処理することにより得られる塗布液を、電荷発生層1上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。使用される溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を用いることができる。
電荷輸送層2の膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、26〜40μmであることがより好ましい。電荷輸送層2の膜厚が26〜40μmであると、外来物の影響を受け難くなり、ゴーストの発生をより十分に抑制することが可能となる。また、ゴーストの発生を抑制する観点から、電荷輸送層2の膜厚を10〜30μmとしてもよいし、10〜20μmとしてもよい。
電荷輸送層2を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
上記電荷発生層1及び上記電荷輸送層2により構成される感光層7には、画像形成装置内で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感光層7には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させてもよい。
感光層7に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、電子写真感光体100において、下引層4、電荷発生層1及び電荷輸送層2の少なくとも1つの層には樹脂粒子を含有させることが好ましい。樹脂粒子は導電性支持体3の光の反射防止作用のために用いられ、その平均粒径は1.0μm以上であることが好ましい。樹脂粒子として具体的には、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子等が挙げられる。この樹脂粒子を下引層4、電荷発生層1及び電荷輸送層2の少なくとも1つの層に含有させることにより、画像形成時の露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラを抑制することができる。また、かかる効果をより十分に得る観点から、樹脂粒子の平均粒径は0.05〜5.0μmであることが好ましい。
下引層4、電荷発生層1及び電荷輸送層2の少なくとも1つの層における樹脂粒子の含有量は特に制限されないが、上述した効果をより十分に得る観点から、樹脂粒子を含有させる層全量を基準として0.005〜40質量%であることが好ましく、0.005〜20質量%であることがより好ましい。
以上説明した電子写真感光体100では、下引層4の膜厚を20μmとしたときに、下引層4の波長950nmの光に対する透過率が上述の範囲内であり、かつ、下引層4の体積抵抗が上述の範囲内であることにより、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
図2は、別の実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。図2に示した電子写真感光体110は、感光層7上(感光層7の導電性支持体3から遠い側の面上)に保護層(表面保護層)5を備えること以外は図1に示した電子写真感光体100と同様の構成を有する。
保護層5は、電子写真感光体110の帯電時における感光層7の化学的変化を防止したり、感光層7の機械的強度をさらに改善するために設けられる。
保護層5は、硬化性樹脂、電荷輸送性材料を含む樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜等から成る。硬化性樹脂としては公知の樹脂を特に制限なく使用でき、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等を使用することができる。
電子写真感光体110では、電子写真感光体100と同様に、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
次に、実施形態に係る電子写真感光体を搭載した画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
次に、実施形態に係る電子写真感光体を搭載した画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
図3は、好適な実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図3に示す画像形成装置200は、電子写真感光体100と、電子写真感光体100を帯電させるための帯電手段18と、帯電した電子写真感光体100に静電潜像を形成するための露光手段20と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段21と、トナー像を電子写真感光体100から被転写体30に転写するための転写手段22とを備える。なお、電子写真感光体100に代えて電子写真感光体110を用いてもよい。画像形成装置200は、必要に応じて、帯電手段18に接続された電源19と、クリーニング手段23と、除電器24と、定着手段25とを備える。本実施形態において、帯電手段18は非接触帯電方式の帯電手段である。
図4は、別の実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図4に示す画像形成装置210は、電子写真感光体100を接触帯電方式により帯電させる帯電手段18を備えていること以外は、図3に示した画像形成装置200と同様の構成を有する。このとき、帯電手段18としては、直流電圧に交流電圧を重畳した接触式の帯電手段を、優れた耐磨耗性を有するため好ましく使用できる。なお、除電器24が設けられていないものもある。
非接触帯電方式の帯電手段18としては、コロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロン等が挙げられる。また、接触帯電方式の帯電手段18としては、帯電ローラーや帯電ブラシ等の接触帯電用部材を用いた帯電器が挙げられる。
接触帯電部材としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料に、カーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化けい素、金属酸化物等の金属酸化物粒子を分散したもの等を用いることができる。この金属酸化物の例としては、ZnO、SnO2、TiO2、In2O3、MoO3等、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。また、接触帯電用部材にはエラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与したものを使用しても良い。
更に、接触帯電用部材の表面に被覆層を設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等が単独、あるいは併用して用いられる。また、エマルジョン樹脂系材料、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂を用いることもできる。これらの樹脂にはさらに抵抗率を調整するために、導電剤粒子を分散してもよいし、劣化を防止するために酸化防止剤を含有させることもできる。また、被覆層を形成する時の成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤又は界面活性剤を含有させることもできる。また、この接触帯電用部材の形状としては、ローラー型、ブレード型、ベルト型、ブラシ型等が挙げられる。
接触帯電用部材の電気抵抗は、体積抵抗で1×102〜1×1014Ω・cmであることが好ましく、1×102〜1×1012Ω・cmであることがより好ましい。また、この接触帯電用部材への印加電圧は、直流、交流いずれも用いることができる。また、直流+交流(直流電圧と交流電圧とを重畳したもの)の形で印加することもできる。
露光手段20としては、電子写真感光体100の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体100の導電性支持体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
また、露光光源としてレーザー光を用いる場合、その発振波長としては350〜850nmが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。
現像手段21としては、従来公知の現像装置等を用いることができる。また、使用される現像剤の種類及びその製造方法は特に制限されず、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用できる。また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナーは結着樹脂と着色剤と離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。トナーの体積平均粒径は、3〜9μmであることが好ましい。また、トナーの平均形状係数は、高い現像、転写性、及び高画質の画像が得られることから、100〜140であることが好ましく、115〜140であることがより好ましい。なお、トナーの形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 … (1)
上記式中、MLはトナー粒子の最大長を示し、Aはトナー粒子の投影面積を示す。平均形状係数を求めるための具体的な手法の一例を示す。まず、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込む。次に、任意の100個のトナー粒子について個々に円相当径を測定する。続いて、円相当径の最大長(ML)及び投影面積(A)から、上記式(1)を用いて形状係数SF1の値を求める。得られた形状係数SF1の値を個数平均することにより、平均形状係数を求める。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 … (1)
上記式中、MLはトナー粒子の最大長を示し、Aはトナー粒子の投影面積を示す。平均形状係数を求めるための具体的な手法の一例を示す。まず、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込む。次に、任意の100個のトナー粒子について個々に円相当径を測定する。続いて、円相当径の最大長(ML)及び投影面積(A)から、上記式(1)を用いて形状係数SF1の値を求める。得られた形状係数SF1の値を個数平均することにより、平均形状係数を求める。
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
トナーに使用される着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
トナーに使用される離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤を添加してもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤等を用いることができる。
トナーを湿式製法で製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で、水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
外添剤を添加する場合、トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
トナーに添加される滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。滑性粒子の体積平均粒径は0.1〜10μmが好ましく、必要に応じて粉砕して粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量はトナー100質量部に対して0.05〜2.0質量部であることが好ましく、0.1〜1.5質量部であることがより好ましい。
トナーには、感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子等を加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理することも好ましい。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
無機又は有機微粒子の粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体100表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5〜1000nmであることが好ましく、5〜800nmであることがより好ましく、5〜700nmであることが特に好ましい。また、無機及び有機微粒子のトナーへの添加量は、トナー100質量部に対し滑性粒子の添加量との和として0.6質量部以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、平均一次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれらの表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
転写手段22としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
転写後の電子写真感光体100の表面には未転写のトナーが残存し得るが、かかる残存トナーはクリーニング手段23により除去することができる。クリーニング手段23としては、ブレード、磁気ブラシ、導電性ファイバーブラシ等のクリーニング部材を備えるものが好ましく使用される。以下、クリーニング手段23の一例としてブレード部材を備えるクリーニング装置について詳述する。
ブレードの材料は特に限定されないが、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等のポリオールとジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー、並びに1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物等の架橋剤を原料とするものが、得られるブレード部材が耐磨耗性に優れ、機械的強度が大きいという点から好ましい。また、ブレード部材の構成材料であるウレタンプレポリマーとしては、例えばNCO基の含有量が4〜10質量%程度、70℃での粘度が1000〜3000cP程度のものが好ましく用いられる。
ブレード部材の厚さは、感光体の表面の残存トナーを除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常1〜3mm程度であることが好ましい。また、例えば紫外線等を照射することによって反応硬化する接着剤等を用いて、ブレード部材と後述する取付金具とを接着せしめてクリーニングブレードを得ようとする場合、ブレード部材は、透明で、紫外線等を透過し得る厚さを有することが好ましい。また、ブレード部材のゴム硬度は、電子写真感光体100の表面の残存トナーを除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常65〜80(JIS K6253 タイプAデュロメータ硬度計による測定値)程度であることが好ましい。
ブレード部材の製造の際には、例えば以下のような方法を採用することができる。まず、所望の配合量となるように調整したブレード材料の原料を、例えばアジター等の混合撹拌装置を用いて1〜3分間程度撹拌、混合して混合液とし、これを120〜160℃程度で100〜300rpm程度で回転している、例えば遠心成形機の成形ドラム型内へ注入した後、成形ドラム型の回転数を600〜1200rpm程度に上げ、注入された混合液が成形ドラム型の内面に均一に拡がって注入時に巻き込まれた気泡がその表面に浮かび上がった状態のブレード材料とする。なお、ここで成形ドラム型内に注入する混合液の量は、例えば上述したような所望の厚さのブレード部材が得られるように調整すればよい。次に、成形ドラム型の回転数を600〜1200rpm程度、温度を120〜160℃程度に維持しながら、上記ブレード材料が架橋硬化する前に、例えばスプレーガン等を用いて研磨材微粒子が均一に分散された懸濁液をブレード材料に噴霧したのち、成形ドラム型を回転させながら該ブレード材料を硬化させて研磨材微粒子を少なくともクリーニング面に存在させる。上記研磨材微粒子が均一に分散された懸濁液を得るための媒体は、研磨材微粒子及びブレード材料との相互作用を呈さないものであればよく、特に限定されないが、例えばブレード材料を得る際に通常用いられている、消泡を促進する作用を呈するジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル等を用いた場合には、研磨材微粒子を均一にブレード材料表面へ移行させることができるので好ましい。上記研磨材には研磨材微粒子が均一に分散されていればよいが、該懸濁液における研磨材微粒子の配合量によってクリーニング面に存在させる研磨材微粒子の量を調整することができるので、該研磨材微粒子は、媒体100質量部に対して1〜20質量部程度配合されていることが好ましい。また、ブレード材料の原料中に所望量の研磨材微粒子を直接混合、分散した後、成形することもできる。
懸濁液をブレード材料に噴霧するにはスプレーガン等が用いられる。かかる噴霧の際のエアー圧や噴霧量は、クリーニング面に存在させようとする研磨材微粒子の量等に応じて調整すればよいが、通常エアー圧は1〜10kg/cm2程度、噴霧量は0.5〜5mg/cm2程度であることが好ましい。懸濁液をブレード材料に噴霧する時期は、ブレード材料が成形ドラム型内で均一に拡がった後、ブレード材料の表面に気泡が浮かび上がった状態で、該ブレード材料が硬化する前であればよく、例えば研磨材微粒子をブレード部材の内部へ含浸させる場合の目的とする深さ等によって異なるので一概には決定することができないが、成形ドラム型内へブレード材料を入れた後、通常2〜10分間程度経過時とすることが好ましい。このようにして得られるブレード部材は、研磨材微粒子が少なくともクリーニング面に強固に付着したり、内部に浸漬しているため、引張強度、引裂強度等の物性や取付金具との接着性は低下せずに優れた耐久性を有するものである。また、遠心力によって研磨材微粒子を少なくともクリーニング面に存在せしめるので、該研磨材微粒子の懸濁液の噴霧量や噴霧する時期、成形ドラム型の回転数等を調整することによって研磨性能の程度や研磨性能の持続性をコントロールすることができる。
ブレード部材は、例えばホットメルト接着剤、両面テープ等を用いるなどして取付金具と一体化させてクリーニングブレードとし、例えばPPC用、PPP用、PPF用等の画像形成装置に装着して用いることができる。なお、取付金具には特に限定がなく、例えば通常クリーニングブレードに用いられている剛体の金属や弾性を有する金属、プラスチック、セラミック等からなる取付金具を用いることができるが、これらの中では、無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理等の表面処理を施した鋼板、そのほかメッキ処理を施した鋼板等からなる取付金具が、特に腐蝕等の経時変化を起こさないという点から好ましい。また、ブレード部材は単層でも良いし、複数の材質を貼り合わせた積層でも良い。
図5は、他の実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図5に示す画像形成装置220はタンデム方式によりカラー画像を形成する画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体100a〜100d(例えば、電子写真感光体100aがイエロー、電子写真感光体100bがマジェンタ、電子写真感光体100cがシアン、電子写真感光体100dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
ここで、画像形成装置220に搭載されている電子写真感光体100a〜100dは、それぞれ実施形態に係る電子写真感光体である。
電子写真感光体100a〜100dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マジェンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体100a〜100dに当接している。
更に、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光手段)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体100a〜100dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体100a〜100dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙等の被転写体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合、中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。更に、樹脂材料と弾性材料とをブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロプレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械的強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。中間転写体として中間転写ベルト409のようなベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmであることが好ましく、60〜150μmであることがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に、導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、更に適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化させた状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していてもよい。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に最表面層を形成することができる。
なお、被転写体とは、電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写するものであれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体から直接、紙等の被転写体に転写する場合は、紙等が被転写体である。また、中間転写体を用いる場合には、中間転写体が被転写体である。
以上説明した画像形成装置200,210,220は電子写真感光体100を備えているので、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
図6は、好適な実施形態に係るプロセスカートリッジの基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体100とともに、帯電手段18、現像手段21及びクリーニング手段23のうちいずれか一つを備えていればよい。本実施形態では、プロセスカートリッジ300は、帯電手段18、現像手段21、クリーニング手段23、露光のための開口部28、及び除電器24を、取り付けレール26を必要に応じて用いて組み合せて一体化したものである。なお、電子写真感光体100に代えて電子写真感光体110を用いてもよい。プロセスカートリッジ300は、転写手段22と、定着手段25と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。このようなプロセスカートリッジ300は、例えば図3〜図5に示した画像形成装置のいずれにも適用することができる。プロセスカートリッジ300は電子写真感光体100を備えているので、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
導電性金属酸化物粒子としての酸化亜鉛粒子(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)100質量部をトルエン500質量部に加えて撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化亜鉛顔料を得た。
導電性金属酸化物粒子としての酸化亜鉛粒子(平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g、テイカ社製試作品)100質量部をトルエン500質量部に加えて撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化亜鉛顔料を得た。
上記の表面処理された酸化亜鉛顔料60質量部、電子受容性物質としてのアリザリン(シグマアルドリッチジャパン社製)0.3質量部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部、及び結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて分散を行って、混合液を調製した。ここで、サンドミルによる分散は、サンドミル内のガラスビーズ充填率74体積%、分散時流速1100ml/分の条件で行った。混合液の調製過程において、混合液を適宜サンプリングし、得られたサンプリング液をガラスプレート上に乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、分光光度計を用いて波長950nmの光に対する塗膜の透過率を測定した。このようにして透過率をモニターしながら分散を行い、塗膜の膜厚を20μmに換算したときの透過率が85%となった時点で分散を終了して分散液を得た。このときの分散液がサンドミル内に滞留している平均時間は1時間であった。
この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、195℃、27分の乾燥硬化を行って、膜厚19μmの下引層を形成した。この下引層の膜厚を20μmに換算したときの透過率は85%となる。
次に、下引層上に感光層を形成した。まず、電荷発生物質としてのクロロガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーバイト社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温で乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)6質量部とをテトラフドロフラン80質量部に加えて溶解した電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布し、115℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚30μmの電荷輸送層を形成し、図1に示す構成を有する電子写真感光体を得た。
上記のように作製した電子写真感光体を、DocuCentre Color a450(富士ゼロックス社製)に搭載し、画像形成装置を得た。
(実施例2)
混合液の調製において、波長950nmの光に対する塗膜の透過率が90%となるまで分散を行って下引層を形成し、下記のように電荷発生層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。なお、混合液を調製する際の分散液がサンドミル内に滞留している平均時間は1.2時間であった。
混合液の調製において、波長950nmの光に対する塗膜の透過率が90%となるまで分散を行って下引層を形成し、下記のように電荷発生層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。なお、混合液を調製する際の分散液がサンドミル内に滞留している平均時間は1.2時間であった。
電荷発生層は以下のように形成された。まず、電荷発生物質としてのCuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角度(2θ±0.2°)7.3゜,28.2゜に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して、電荷発生層形成用塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、45秒後に下端拭き装置を用いてアルミニウム基材の下端に付着した塗膜を拭き取る、いわゆる下端拭きを行った。アルミニウム基材の下端に付着した塗膜を除去する部材、及びアルミニウム基材の下端における内側に付着した塗膜を除去する部材としては、ポリウレタンスポンジを使用した。また、塗膜を除去するための溶剤としては、THFを用いた。その後、常温で乾燥して、膜厚0.1μmの電荷発生層を形成した。
(実施例3)
導電性金属酸化物粒子としての酸化錫粒子(商品名:S1、三菱マテリアル社製)100質量部をトルエン500質量部に加えて攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化錫顔料を得た。この酸化錫顔料を酸化亜鉛顔料に代えて用いたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
導電性金属酸化物粒子としての酸化錫粒子(商品名:S1、三菱マテリアル社製)100質量部をトルエン500質量部に加えて攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603、信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理された酸化錫顔料を得た。この酸化錫顔料を酸化亜鉛顔料に代えて用いたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
(比較例1)
酸化亜鉛粒子をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
酸化亜鉛粒子をシランカップリング剤で表面処理しなかったこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
(比較例2)
混合液の調製において、波長950nmの光に対する塗膜の透過率が75%となるまで分散を行った以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。なお、混合液を調製する際の分散液がサンドミル内に滞留している平均時間は0.8時間であった。
混合液の調製において、波長950nmの光に対する塗膜の透過率が75%となるまで分散を行った以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。なお、混合液を調製する際の分散液がサンドミル内に滞留している平均時間は0.8時間であった。
(比較例3)
塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、15分の乾燥硬化を行って下引層を形成した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、15分の乾燥硬化を行って下引層を形成した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
(比較例4)
電荷発生層の膜厚を0.4μmとしたこと以外は比較例3と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
電荷発生層の膜厚を0.4μmとしたこと以外は比較例3と同様にして、電子写真感光体及び画像形成装置を得た。
(下引層の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4において、10℃、15RH%下で下引層の体積抵抗を測定した。対極電極としては、φ1mmの金電極を用いた。体積抵抗の測定は、実施例1〜3及び比較例1〜4においてアルミニウム基材上に下引層のみ形成し、当該下引層上に金電極を形成したものを用いて行った。アルミニウム基材と金電極との間に106V/mの電界となるように電圧(Vuc)を印加し、電圧印加から3秒後の電流(Iuc)を電流計で測定し、得られた電流値及び下引層の厚さから下記式(2)を用いて体積抵抗を求めた。
(体積抵抗)=R×(金電極の面積)/(下引層の厚さ) … (2)
上記式中、Rは抵抗値(Ω)=Vuc/Iucを示す。電流計としては、KEITHLEY社製 237型ソースメジャーユニットを用いた。下引層の膜厚測定には、うず電流膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いた。結果を表1に示す。また、下引層の膜厚を20μmに換算したときの下引層の透過率も表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4において、10℃、15RH%下で下引層の体積抵抗を測定した。対極電極としては、φ1mmの金電極を用いた。体積抵抗の測定は、実施例1〜3及び比較例1〜4においてアルミニウム基材上に下引層のみ形成し、当該下引層上に金電極を形成したものを用いて行った。アルミニウム基材と金電極との間に106V/mの電界となるように電圧(Vuc)を印加し、電圧印加から3秒後の電流(Iuc)を電流計で測定し、得られた電流値及び下引層の厚さから下記式(2)を用いて体積抵抗を求めた。
(体積抵抗)=R×(金電極の面積)/(下引層の厚さ) … (2)
上記式中、Rは抵抗値(Ω)=Vuc/Iucを示す。電流計としては、KEITHLEY社製 237型ソースメジャーユニットを用いた。下引層の膜厚測定には、うず電流膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いた。結果を表1に示す。また、下引層の膜厚を20μmに換算したときの下引層の透過率も表1に示す。
(電荷発生層の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4において、電荷発生層の膜厚のバラツキを測定した。アルミニウム基材の浸漬塗布上端側の電荷発生層の膜厚と、浸漬塗布下端側における電荷発生層の膜厚とを測定し、それらの膜厚差を電荷発生層の膜厚のバラツキとした。さらに、ムラの発生を目視によって観察した。結果を表1に示す。また、電荷発生層の狙い膜厚も表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4において、電荷発生層の膜厚のバラツキを測定した。アルミニウム基材の浸漬塗布上端側の電荷発生層の膜厚と、浸漬塗布下端側における電荷発生層の膜厚とを測定し、それらの膜厚差を電荷発生層の膜厚のバラツキとした。さらに、ムラの発生を目視によって観察した。結果を表1に示す。また、電荷発生層の狙い膜厚も表1に示す。
表1中、「○」は良好な電荷発生層であることを示し、「×」は良好でない電荷発生層であることを示している。表1に示した結果から明らかなように、比較例2では電荷発生層にムラが発生していたが、比較例2以外ではムラが発生していなかった。これは、比較例2では膜厚のバラツキが0.2μmと大きかったからであると考えられる。
(画質評価試験)
実施例1〜3及び比較例1〜4の画像形成装置を用いて画像形成を行った。その時のゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を目視によって観察した。また、200,000サイクルの画像形成プロセスを行った後の残留電位を測定し、初期の残留電位との差分を算出することによって残留電位の変位量(ΔRP)を測定した。これにより、残留電位のサイクル特性の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4の画像形成装置を用いて画像形成を行った。その時のゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を目視によって観察した。また、200,000サイクルの画像形成プロセスを行った後の残留電位を測定し、初期の残留電位との差分を算出することによって残留電位の変位量(ΔRP)を測定した。これにより、残留電位のサイクル特性の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
表2中、「○」は画質が良好であることを示し、「×」は画質が良好でないことを示している。表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜3の画像形成装置では、比較例1〜4の画像形成装置に比べて、ゴースト、黒点及び濃度ムラの発生を抑制できると共に、残留電位のサイクル特性を向上できることが確認された。
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体、4…下引層、5…保護層、7…感光層、18…帯電手段、19…電源、20…露光手段、21…現像手段、22…転写手段、23…クリーニング手段、24…除電器、25…定着手段、26…取り付けレール、28…露光のための開口部、30,500…被転写体、100,100a、100b,100c,100d,110…電子写真感光体、200,210,220…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ。
Claims (7)
- 導電性支持体と、
前記導電性支持体上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層と、
前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
を備え、
前記下引層の膜厚を20μmとしたときに、前記下引層の波長950nmの光に対する透過率が85%以上であり、
前記下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である、電子写真感光体。 - 導電性支持体と、
前記導電性支持体上に設けられ、シランカップリング剤で表面処理された導電性金属酸化物粒子、電子受容性物質、結着樹脂及び硬化剤を含有する下引層と、
前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
を備え、
前記導電性金属酸化物粒子、前記電子受容性物質、前記結着樹脂及び前記硬化剤からなる膜の厚さを20μmとしたときに、前記膜の波長950nmの光に対する透過率が85%以上であり、
前記下引層の体積抵抗が1×1010Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である、電子写真感光体。 - 前記電荷発生層の膜厚が0.3μm以下である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性金属酸化物粒子が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化錫の少なくとも一つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記電子受容性物質の質量は、前記導電性金属酸化物粒子の質量の0.1%以上2%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を備える、プロセスカートリッジ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段と、
を備える、画像形成装置。
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- 2006-06-05 JP JP2006156098A patent/JP2007322996A/ja active Pending
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