JP2005099181A - 中間転写体、及び該中間転写体を備えた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
経時による形状の変形等の問題がなく、かつ、転写部でのニップ形状の形成に優れ、さらに転写画質のライン画像が中抜け(ホロキャラクター)、トナーの飛び散り(ブラー)の画質欠陥が著しく少なく、経時での電気抵抗の変化の少ない中間転写体を提供すること。
【解決手段】
像担持体上に形成されたトナー画像が転写され、少なくとも表面層と基材とを含んで構成された中間転写体において、表面層は体積抵抗率を108Ωcm〜1013Ωcm、23℃1kHzにおける比誘電率を8以上、表面微小硬度を25以下とし、基材はヤング率が2000MPa以上とする。また、表面層と基材との間には中間層を含んでもよく、この構成の場合、表面層は体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcm、23℃1kHzにおける比誘電率が8以上とし、中間層はJISA硬度を40〜70°とし、基材は導電剤を含有させると共に、ヤング率を2000MPa以上とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真複写機,レーザープリンター,ファクシミリ,これらの複合OA機器等の電子写真方式を利用した画像形成装置に関する。より具体的には、像担持体に形成されたトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを用紙等の記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置及び同装置に用いられる中間転写体に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、無機又は有機材料からなる光導電性感光体である像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像とする。そして、上記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。特に、上記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置が開示され、一般的に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(例えば、特許文献2参照。)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(例えば、特許文献3及び4参照。)、ポリアルキレンフタレート(例えば、特許文献5参照。)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(例えば、特許文献6参照。)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(例えば、特許文献7参照。)等の熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている。
しかし、前記ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の熱可塑性樹脂の導電性材料は機械特性が劣るために、駆動時の応力に対するベルト変形が大きく、高品質の転写画質が安定して得られない。また、駆動時にベルト端部よりクラックが発生するためにベルトライフが短いなどの問題がある。
また、中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられるベルト材料としては、ポリエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが提案されている(例えば特許文献8及び9参照。)。しかし、上記、補強材入り弾性ベルトは、経時でベルト材料のクリープ変形等に起因する色ずれの問題が発生する場合がある。
この様な中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に用い得る半導電性ベルトとして、例えば機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば特許文献10及び11参照。)。
しかしながら、これまでに提案されているポリイミド樹脂からなる半導電性ベルトは、可とう性と剛性のバランスが悪く、中間転写ベルトや転写搬送ベルトとしては、特性を満足しているとは言えなかった。例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリアミド(Uワニス−S)をポリイミド樹脂の原料とし、これに導電性フィラーを分散したベルトが開示されている(例えば特許文献12参照。)。このタイプの中間転写ベルトでは、表面微小硬度が40以上であり、機械特性に優れており、駆動時の応力に対するベルト変形がなく、色ずれのない高品質の転写画質が安定して得られる。しかし、転写部において、ポリイミド樹脂材料は、機械的特性に優れるために、バイアスローラを用いて記録媒体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写する1次転写部でのバイアスローラによる押圧力による変形が少ないため、バイアスローラによる押圧力が集中する。これによりトナーが凝集し、電荷密度が高くなることによってトナー層内部放電を起こし、トナー極性を変化させる等の原因によって、ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)を発生させる問題を生じることがあった。
また、ポリイミド系樹脂を主体となする2層構成のポリイミド系樹脂ベルトとして、外層が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンと重合物であるポリイミド系の2層構成ベルトが提案されているが(例えば特許文献13参照。)、外層のポリイミド系樹脂材料は、前記したように、表面微小硬度が40以上であり、ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)を発生させる問題を生じることがあった。
このような中間転写体に生じる、上記ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)の改善として、転写面を構成する材料として、トナー離型性のある低表面エネルギーの材料を用いる方法があり、トナー離型性に優れる材料を転写面とした2層以上の積層構造で、シリコーン樹脂を主体とする材料で構成されるベルト材料が提案されている(例えば特許文献14参照。)。しかし、シリコーン系材料を転写層材料として用いた場合には、表面の粘着感があり、対抗する感光体に対する摩擦係数が大きいために、ステックスリップによる微小な変形が転写面に生じる問題がある。感光体との間に形成されるニップ領域での応力分布が局所的に不均等となり文字画像等の細部画像において、中抜け現象(ホローキャラクラー)が多く発生していた。また、シロキサン等の低分子成分により感光体が汚染される等の問題があった。
また、転写面を構成する材料として、フッ素樹脂微粒子を含んだフッ素系ラテックスを用いる提案がされている(例えば特許文献15参照。)。しかし、上記フッ素ラテックスを加硫する230〜300℃の温度では、分散させているフッ素樹脂微粒子が、転写面に析出して層形成して、離型性を発揮するが、この層形成が、均一ではないために、転写面の表面粗さが大きくなり、転写の均一性を損なう等の問題が生じることがある。
転写を効率的に行ない、転写されたトナーを確実に保持するために高誘電性であることが求められている。たとえば、用紙の搬送性、分離性がよく、安定して良好な画像をうることができる転写ベルトを提供するために、中抵抗のゴム材を基層とし、誘電層を中間層とし、カーボンが分散されている抵抗層を表層とした3層構造の転写ベルトが開示されている(例えば、特許文献16参照。)。しかし、この構成の場合には、基層にゴム材を用いているためにカラーレジが悪い問題がある。
特開昭62−206567号公報 特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平9−305038号公報 特開平10−240020号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開平10−63115号公報 特開2002−156835号公報 特開平9−269676号公報 特開平11−15294号公報 特開平7−295391号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。本発明は、経時による形状の変形等の問題がなく、かつ、転写部でのニップ形状の形成に優れ、さらに転写画質のライン画像が中抜け(ホロキャラクター)、トナーの飛び散り(ブラー)の画質欠陥が著しく少なく、経時での電気抵抗の変化の少ない中間転写体を提供することを目的とする。また、本発明は、前記中間転写体を備え、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
(1)像担持体上に形成されたトナー画像が転写される中間転写体であって、
少なくとも表面層と基材とを含んで構成され、
前記表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmで、23℃1kHzにおける比誘電率が8以上で、表面微小硬度が25以下であり
前記基材は、ヤング率が2000MPa以上である中間転写体。
(2)像担持体上に形成されたトナー画像が転写される中間転写体であって、
少なくとも表面層と中間層と基材とを含んで構成され、
前記表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmで、23℃1kHzにおける比誘電率が8以上であり、
前記中間層は、そのJISA硬度が40〜70°であり、
前記基材は、導電剤を含有すると共に、ヤング率が、2000MPa以上である中間転写体。
(3)前記表面層における転写面の表面微小硬度が、20以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の中間転写体。
(4)前記表面層は、フッ化ビニリデン系樹脂を含んで構成されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(5)前記表面層は、フッ化カーボンを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含んで構成されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(6)前記表面層は、(A)炭素原子に対するフッ素原子のモル比(F/C)が0.1未満であるフッ化カーボンと(B)炭素原子に対するフッ素原子のモル比(F/C)が0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボンとを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含んで構成されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(7)前記中間層は、体積抵抗率が1×108Ωcm〜1×1013Ωcmの加硫ゴムを含有することを特徴とする前記(2)〜(6)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(8)前記基材が、ポリイミド系樹脂を含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(9)前記基材の体積抵抗率が、1×108Ωcm〜1×1013Ωcmであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(10)前記基材に含有される導電剤が、pH5以下の酸性カーボンブラックであることを特徴とする前記(2)〜(9)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(11)画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体と、該像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像手段と、前記像担持体に担持されたトナー像を中間転写体上に転写する中間転写手段と、前記中間転写体上のトナー像を被記録体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記中間転写体が、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
(12)前記トナーが、下記式を満たすことを特徴とする前記(11)に記載の画像形成装置。
式:[(トナー粒子の絶対最大長)2]/[(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100]≦140
(13)前記トナーが、体積平均粒径が2〜12μmの球形トナーであることを特徴とする前記(11)又は(12)に記載の画像形成装置。
本発明によれば、ホロキャラクター、ブラー、レジずれのない高画質を得られる中間転写体を提供することができる。また、本発明によれば、前記中間転写体を備え、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<中間転写体>
本発明に係る中間転写体は、その層構造が、少なくとも表面層と基材とを有する2層以上の複数層のからなる。好ましくは、表面層と基材との間に、中間層(弾性層)を設け、3層以上の複数層からなる場合である。基材、中間層及び表面層に加えて、本発明の趣旨を損なわない範囲でさらに多層化することもできる。
本発明に係る中間転写体において、表面層は、体積抵抗率が、108Ωcm〜1013Ωcmで、かつ比誘電率が25℃、1kHzにおいて8以上であり、表面微小硬度が25以下である。中間層は、JISA硬度が40〜70°である。基材は導電剤が分散され、ヤング率が2000MPa以上である(但し、中間層を設けない場合は導電剤は含んでいてもよいし、含まなくてもよい。)。
図3及び図4に、本発明のベルト状中間転写体の好適な構成の断面略図を示した。
本発明に係る中間転写体は、上記構成とすることで、単一の材料構成では得られない、可とう性と剛性のバランスを満足することができる。かつ、転写面の表面硬度が低く、かつ高体積抵抗で、比誘電率が25℃、1kHzにおいて8以上であることによって、ライン画像が中抜けする(ホロキャラクター)、トナーが飛び散る(ブラー)などの画質欠陥を発生することがなく、高画質の転写画質を安定して得ることができる。
すなわち、表面層に特定の比誘電率及び体積抵抗率を有する部材を用いることで、トナー内部層の放電を抑制し、ブラーやホロキャラクターの発生を防止することに成功した。また、基材よりも硬度が低い(柔らかい)部材を表面層又は中間層に用いることで、転写部でのニップ形状の形成に優れ、よりホロキャラクターの発生頻度が少なくなることを見出した。特に、表面層が、フッ化ビニリデン系樹脂を含有する場合に、課題解決に有効であることを導き出した。
<表面層材料>
表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmで、かつ比誘電率が25℃、1kHzにおいて8以上である。中間層を設けない場合の表面層は、表面微小硬度が25以下であることが必要である。
表面層の構成材料としては、このような物性値を有すれば、特に材料としては制限されない。当該範囲の値とするには、導電剤を添加したり、主成分である樹脂の種類を変更したり、ゴム成分をブレンドしたり、することが挙げられる。
表面層の構成材料として、フッ化ブニリデン系樹脂を用いることが特に好ましい。このフッ化ブニリデン系樹脂は、所望の比誘電率を得ることができると共に所望の表面微小硬度を得ることが可能で、また、導電剤を分散させることで、所望の体積抵抗率を得ることが可能である。
フッ化ブニリデン系樹脂とは、フッ化ブニリデンホモポリマーの他、フッ化ブニリデンを主構成単位とする共重合体あるいはこれらの組成物を包含される。共重合体としては、フッ化ブニリデンを70モル%以上とし、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル、六フッ化プロピレンなどの単量体の一種又は二種以上とのコポリマーが好適なものとして挙げられる。
本発明において、フッ化ブニリデン系樹脂は、表面層材料中80質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上含まれる場合である。フッ化ブニリデン系樹脂が80質量%未満の場合には、誘電率の低下が顕著となる場合がある。
表面層材料に添加する導電剤としては、電子伝導性系導電剤とイオン伝導性系導電剤が用いられ、電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などをあげることができ、イオン伝電性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤がある。さらには、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニユム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、さらには、電子伝導性系導電剤として、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどの導電性ポリマーをあげることができ、これらの導電性ポリーマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤又は、導電性ポリマー又は、界面活性剤を1種又は2種以上を組み合わせ用いるによって、前記した抵抗値を安定して得ることができる。
導電剤の添加量は、導電剤の種類及び、主成分樹脂の種類等により異なるが、好ましくは、表面層の5質量%以上30質量%以下である。より好ましくは、10質量%以上25質量%以下である。30質量%以上であると、表面の硬度が硬くなり、前記した、表面微小硬度が20以下を達成できない場合があるとなり、5質量%以下であると、高抵抗となり所望の体積抵抗が得られない場合があるとなるため好ましくない。
また、表面層の構成材料として、導電剤としてフッ化カーボンを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を用いることも特に好ましい。この熱可塑性樹脂組成物は、フッ化カーボンを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分であるため、所望の比誘電率及び表面微小硬度を得ることが可能と共に、所望の体積抵抗率をも得ることが可能である。
ここで、この熱可塑性樹脂はフッ素系樹脂材料を主成分とするが、具体的には、フッ素系樹脂材料が80質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれ、最も好ましくは100質量%で構成される熱可塑性樹脂組成物を示す。
フッ素系樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン及びこれと共重合可能な少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体(たとえばエチレン、プロピレンなどのオレフィン類、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、ビニルフルオライドなどのハロゲン化オレフィン類、パーフルオロアルキルビニルエーテル類など)との共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどがあげられる。とくに好ましいフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル及びパーフルオロプロピルビニルエーテルの少なくとも1種(通常テトラフルオロエチレンに対し40モル%以下含まれる)との共重合体などが挙げられ、特にポリテトラフルオロエチレンがフッ素含有量を多く含むため好ましい。
フッ素系樹脂材料にはフッ化カーボンを分散してなるが、特に効果的に所望の比誘電率及び体積抵抗率(導電性)を得る観点から、フッ化カーボンとして、炭素原子に対するフッ素原子のモル比(以下、単に「F/C」ともいう)が0.1未満のフッ化カーボンと、このF/Cが0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボンと、を用いることが好ましい。この2種のフッ化カーボンの微粒子は、微粒子単体でフッ素系樹脂材料に分散されていてもよいし、これらの集合体(凝集体)として分散されていてもよい。
特に、フッ化カーボンとして、F/Cが、0.1未満のものを用いることで所望の高誘電性を得ることができると共に、このF/Cが0.5を超え0.1未満であるものを用いることで所望の体積抵抗率(導電性)を得ることができる。
このような2種のフッ化カーボンの混合物を得るには、例えば、別々の反応操作で2種のフッ化カーボンを得た後、両者を混合する方法が好ましく用いられる。
具体的には、フッ素化処理の際に、フッ素ガスの供給量と反応時間との調整によって、F/Cが0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボンを調整する。これとは別に、フッ素ガスの供給量を少なくするか、又は反応時間を短くすることにより、わずかにフッ素化されたフッ化カーボン(F/Cが0.1未満のフッ化カーボン)を調整して、これとF/Cが0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボンとを混合する。
ここで、カーボンのフッ素化処理は、例えば、カーボンを200〜600℃の範囲の反応温度(より好ましくは300〜500℃の範囲の温度)で、フッ素ガスとカーボンを接触させる方法で施される。
このフッ素化処理における反応温度が200℃未満では、フッ素化反応の進行が遅い、共有結合性のC−F結合を有するフッ化カーボンが得られ難くイオン結合性又は半イオン性C−F結合を有する層間化合物が生成されてしまいフッ素化度が上がり難い、熱安定性が充分ではない、フッ化カーボン特有の非粘着性及び潤滑性などの特性が発揮されない、といった問題が起こることがある。逆に、この反応温度が600℃を超えると、熱分解反応が起こり易くガス状のフルオロカーボン化合物の生成が優先的に起こり、反応の制御が困難となり、得られるフッ化カーボンの収率が低くなることがある。なお、フッ化処理の際には、ときとして急激な熱分解反応が生じ爆発にいたることがあるので充分注意する必要がある。
フッ素化処理に使用するフッ素ガスは、チッ素、アルゴン、ヘリウム、四フッ化炭素などの不活性ガスで希釈されていてもよく、フッ化水素を含んでいてもよい。また、フッ素化処理は常圧で行なうことができるが、減圧下あるいは加圧下であっても何らさしつかえない。
フッ素化処理において、反応温度の他に、反応時間、フッ素ガス流量などは原料の炭素材料のフッ素との反応性や希望するF/C(後述するフッ素含有量から算出する)に応じて適宜調節すればよい。また、反応器としては、ニッケル又はモネル合金製の箱形反応器などを用い、カーボン粉体層を静置し、粉体層の上方を適宜希釈されたフッ素ガスを通過する形態のものが好ましく、流動床型、振動式などの粉体層が移動するものも使用可能である。
2種のフッ化カーボンの混合物の組成としては、F/Cが0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボン(A)とF/Cが0.1未満であるフッ化カーボン(B)の質量比(A/B)で、50/50〜99/1であり、70/30〜95/5であることが好ましい。
なお、F/Cが0.1未満であるフッ化カーボンは、表面がごくわずかにフッ素化されているため、原料のカーボンブラックよりも粒子間相互作用が弱められており、F/Cが0.1未満であるフッ化カーボンのみでも分散性がよく、塗料の粘度上昇や表面仕上がり性が改良されており、単なるカーボンブラックとは決定的に異なる物質である。
ここで、フッ化カーボンのF/Cは、フッ素含有量に基づき算出される。このフッ化カーボンのフッ素含有量は、次のようにして測定される。フッ化カーボンを助燃剤(Na22)及びポリエチレンフィルムと共に濾紙に包みこみ、酸素を充填した密閉フラスコ内で燃焼し、発生したフッ化水素をフッ化物イオンメータ(オリオン社製:イオンアナライザ901)を用い、常法により測定する。この値からフッ素含有量を算出する。そして、得られたフッ素含有量に基づいて、F/Cを算出する。
フッ化カーボンは、例えばポリ(カーボンモノフルオライド)が主成分をなすものが好適であり、平均粒径1μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭素材料をフッ素ガスによりフッ素化したものが好ましい。
原料としての平均粒径が1μmを超える炭素材料は、例えば、石油コークス、黒鉛粉末、炭素繊維などが挙げられる。
フッ化カーボンの原料としての炭素材料として特に適するものは、平均粒径1μm以下、好ましくは0.1μm以下の平均粒径を有するカーボンブラックである。カーボンブラックとしては、たとえばゴム用ファーネスブラック(たとえば旭カーボン(株)製の旭#55など)、カラー用チャネルブラック(たとえばコロンビアカーボン社製のレーベン7000)、サーマルブラック(コロンビアカーボン社製のセバカーボMT−C1)などが使用できる。
このような、カーボンブラックのうち、とくに一般に導電性カーボンブラックと称されているものが好ましい。導電性カーボンブラックは、平均粒径が小さい(例えば平均粒径0.1μm以下)、表面積が大きい(例えばN2表面積50m2 /g以上)、ストラクチャーが発達している(例えば吸油量100cc/g以上)、不純物が少ない(例えば灰分0.1%未満)、グラファイト化が進んでいる、というファクターで定義されるものであり、比較的少ない配合量で材料に導電性を付与できるため、広く使用されているものである。
具体例としては、たとえばケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC−600JD(以上、ケッチェンブラックインターナショナル(株))、ブラックパールズ2000、バルカンXC−72、CSX−99(以上、キャブラック(株))、デンカブラック(電気化学工業(株))、コンダクテックス950 (コロンビアカーボン(株))などが挙げられる。
フッ化カーボンとしてのフッ化カーボンブラックは、フッ素樹脂との密着性に優れており、均一に分散させることができ、抵抗バラツキの少ない、経時での安定性に優れる表面層を得ることができる。
フッ化カーボンを添加してなるフッ素系樹脂材料を主成分となる樹脂組成物は、また、適宜水又は有機溶剤に分散ないし溶解した形態で液状組成物としても使用することができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸アミルエステル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
フッ化カーボンのフッ素系樹脂材料への添加量は、フッ化カーボンの種類とフッ素化度により変えうるが、中間転写体の表面層としての所望の体積抵抗率が1×108〜1×1014Ωcmとなるように添加すればよい。
さらに、フッ素系樹脂材料には、必用に応じて配合される添加剤を加えてもよい。そうした添加剤としては、たとえば顔料、密着性向上剤(有機樹脂粉末など)、潤滑性付与剤(フッ素系オイルなど)、耐摩耗性向上剤(無機セラミックス粉体など)、増粘剤、造膜剤、界面活性剤などがあげられる。配合量は塗料の用途、塗装方法などによって適宜選定すればよいが、
<表面層材料の作製方法>
表面層材料を作成する方法として、例えば、上述した樹脂材料に導電剤を3本ロール、ミキサー、2軸押出機などの混練装置を用いて均一に導電剤を分散させて、次にペレット形状にして、例えば一軸押出機によって、シート形状に成形することで得ることができる。
<表面層の比誘電率>
本発明においては、表面層の比誘電率は、23℃、1kHzにおいて、8以上である。好ましくは9以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。この比誘電率が低いと、中間転写体の表面層での電荷保持力が小さくなり、中間転写体表面の一次転写後のトナーが、次工程の2次転写までに飛散する(ブラー)などの画質欠陥が発生することとなる。
比誘電率の測定方法は、JISC2317に準じて行ない、測定器として、日本ヒューレット・パッカード社製HP4194A、HP4274Aを用い、φ50mmのシート形状の表面層材料の両面に銀ペーストを塗布して、日本ヒューレット・パッカード社製の電極(HP16451B、電極サイズ:φ5mm(電極B))を用いて、周波数1kHzの交流電圧5Vを印加して、1分後の計測値を試料の比誘電率として求めた。
<表面微小硬度>
本発明の中間転写体は、表面層の硬度(転写面の硬度)が、表面微小硬度で25以下であり、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、8以下であることが特に好ましい。
前記表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)とした時、表面微小硬度DHは下記式で定義される。
式: DH=αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。本発明者らは、ここで得られた表面微小硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには極めて正確な相関があることを発見した。
即ち、中間転写体の転写面の表面微小硬度が特に上記範囲であると、上述した二次転写部において、バイアスローラの押圧力によって中間転写体の転写面の変形が起こり、これにより中間転写体上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。
尚、中間転写体の転写面における表面微小硬度は、下記の方法によって求めた。転写面を構成する材料のシートを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の表面の表面微小硬度を超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。測定条件は、以下の通りである。
・測定環境:23℃、55%RH
・使用圧子:三角錐圧子
・試験モード:3(軟質材料試験)
・試験荷重:0.70gf
・負荷速度:0.0145gf/sec
・保持時間:5sec
<表面層材料の摩擦係数>
本発明における中間転写体は、表面層の摩擦係数が0.5以下であることが好ましく、0.2〜0.4であることがより好ましい。該摩擦係数が0.5を超えると、特に、中間層として弾性層を設けている場合、感光体との間に応力が発生すると感光体とのステックスリップによる転写面に微小な変形が生じることで、細部の転写画質が悪くなることがある。
前記摩擦係数は、図7に示すような静動摩擦係数計(HEIDON−14:HEIDON社製)を用いて測定することができる。図7に示す静動摩擦係数計は、鋼球(直径3mm)303、零点調整用天秤304、ロードセル305、荷重(100g)306を備えている。具体的には、中間転写体の表面層を構成する材料301を用いて、厚み20μmの膜を作製し、これを固定台302の上にセットし、移動速度0.1cm/秒、荷重100gの条件下で摩擦係数を測定する。
<中間層材料>
本発明にかかる中間層は、JISA硬度40°〜70°であれば特に制限されない。好ましいJISA硬度は、45°〜65°であり、より好ましくは、50°〜60°である。JISA硬度の測定方法は、JISK6253に記載されている方法に準拠して行い、中間層に用いる材料を厚さ6mmの厚みに積み重ねて、高分子計器(株)製A型硬度計を用いて計測した。
また、好ましくは、中間層の体積抵抗率が、108Ωcm〜1013Ωcmの範囲となる材料(好ましくは加硫ゴム)である。
例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの基材に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。
中間層として用いる弾性材料として用いるゴム生地は、液状や糊状のものではなく、未加硫ゴムの固形シ−トが好ましく用いられる。未加硫ゴムはキャレンダーロール等で精度良くシート状に分出し、その生地を使用する。固形ゴムをシート状に形成し、この固形ゴムを基材及び/又は表面層材料と貼合わせてシームレスに一体成形するようにすることで、基材及び/又は表面層材料との密着性に優れる2層又は3層構成の貼り合わせベルトを得ることができる。
中間層を設けない層構成の場合には、表面層と、基材との間に接着剤を用いたり、接着層を設けることが好ましい。接着剤及び接着層としては、特に制限がないが、日本ポリウレタン工業(株)製のニッポラン2301、ニッポラン3116などのウレタン系接着剤、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネート3015Eなどのゴム系接着剤などを用いることができる。
<基材に用いる樹脂材料>
本発明における基材に用いる樹脂材料は、ヤング率が2000MPa以上であれば、特に限定させるものではなく、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアイミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエス樹脂などを挙げることができる。
<基材のヤング率>
中間転写体(ベルト状の基材に用いられる材料)のヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量との関係は、下記式で表すことができる。
式:Δl=P・l・α/(t・w・E)
ここで、
・Δl:ベルトの変位量(μm)
・P:負荷 (N)
・l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
・α:係数
・t:ベルト厚み(mm)
・w:ベルト幅(mm)
・E:ベルト材料のヤング率(N/mm2)を表す。
中間転写体がベルト形状である場合には、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率と厚みに逆比例する。高ヤング率のベルト材料を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。但し、ベルトの厚みは、厚くなると、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られ難い、また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
基材のヤング率は、2000MPa以上、好ましくは、3000MPa以上、より好ましくは4000MPa以上であれば、ベルト基材としての機械特性を満足させることができる。
<各層の厚み>
本発明の中間転写体の表面層及び中間層の厚みの割合は、好ましくは総厚みの10%〜80%である。より好ましくは、10%〜50%である。表面層及び中間層の厚みが、上記範囲であれば、基材の樹脂材料に影響させずに、半導電性ベルト上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。しかし、ベルト形状である場合、また、前記中間転写体がベルトの場合は、ベルトの総厚みで、0.05〜0.5mmの厚みであり、好ましくは、0.06mm以上0.30mm以下、より好ましくは、0.06mm以上0.15mm以下である。ベルトの総厚みが、0.05mm未満の場合には、中間転写体(ベルト)として、必要な機械特性を満足させることが難しくなり、0.5mmを超える場合には、ロール屈曲部での変形によって、ベルト表面の応力が集中して、表面層にクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。
<基材のポリイミド樹脂>
本発明における基材としては、機械特性に優れることよりポリイミド樹脂を提案する。ポリイミド樹脂は、主鎖に環状イミド構造を持ったポリマーであれば、芳香族ポリイミドでも、脂環式ポリイミドでもよいが、芳香族ポリイミドであることが剛直性の観点からより好ましい。本発明で使用できるポリイミド樹脂としては、例えば芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させて得られるものである。
芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。
また、前記の芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等をあげることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノ−ル等のフェノ−ル類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いられる。
これらのうち、特に芳香族テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用い、芳香族ジアミン成分として、p−フェニレンを用いてなる重合体を主成分とするポリイミド樹脂は、剛直となり、ヤング率6000MPa以上の機械特性を満足することができる。
本発明の基材は、導電剤が分散されたポリイミド樹脂を含有することが好ましい。導電剤としては、電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、半導電性ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる電気抵抗の経時での安定性より、pH5以下の酸性カーボンブラックを好ましくは添加することを提案する。
(酸性カーボンブラック)
酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
本発明の酸性カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸性カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、半導電性ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる
カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは、3.5〜15質量%含まれていることが好適である。揮発分が1質量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25質量%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
本発明の中間転写体において、カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸性カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0質量%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2質量%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2質量%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0質量%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0質量%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0質量%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0質量%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5質量%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0質量%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0質量%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5質量%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0質量%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0質量%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5質量%)等が挙げられる。
(酸性カーボンブラックの添加量)
上記のような酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、半導電性ベルト中のカーボンブラックの量が多くなるため、上記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸性カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
本発明では、前記酸性カーボンブラックを10〜30質量%含有することにより、半導電性ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果を発揮させている。この含有量が10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる。一方、30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる。さらに、酸性カーボンブラックを18〜30質量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
<体積抵抗率>
本発明の中間転写体は、表面層の体積抵抗率が、1×108〜1×1013Ωcmであり、1×109〜1×1012Ωcmであることが好ましい。より好ましくは、表面層/中間層/基材とも体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの場合である。体積抵抗率が1×108ΩCm未満である場合には、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。一方、前記体積抵抗率が1×1013Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。従って、前記体積抵抗率を、上記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。
本発明の中間転写体において、体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。図5は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図5に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式中、tは、半導電性ベルトTの厚さを示す。
式:ρv=19.6×(V/I)×t
<中間転写体の作製方法>
基材のシームレスベルトを形成する場合、例えばポリアミド溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミドをイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
更に、中間層の形成は、キャレンダーロール等で精度良くシート状に分出し、その生地を使用する。オープンロールなどの混練装置で混練りした固形ゴムをキャレンダーロール等で、シート状に形成して得ることができる。
表面層の形成は、例えば、フッ化ブニリデン系樹脂材料に前記したカーボンブラックなどの導電剤を3本ロール、ミキサー、2軸押出機などの混練装置を用いて均一に導電剤を分散させて、次にペレット形状にして、例えば一軸押出機によって、シート形状に成形することで得ることができる。
また、シームレスベルトを形成する場合、例えば未加硫ゴムの中間層3と基材4のポリイミド樹脂フィルムとを積層して、空気圧をかけながら加熱して、未加硫ゴムシートの中間層3と基材4とを加硫及び一体成形とした後で、表面層2のポリイミド樹脂フィルムと中間層とを接着する。あるいは、表面層2ポリイミド樹脂フィルムと中間層3の未加硫ゴムのシートと基材4のポリイミド樹脂フィルムとを積層して、空気圧をかけながら加熱して、表面層2と中間層3と基材4とを加硫及び一体成形とする方法を用いることができる。
<中間転写体の特性及び用途>
上記構成の本発明の中間転写体は、転写電圧による抵抗の低下がなく、経時による形状の変形等の問題がなく、かつ、電界依存性が少ないという優れた性質を有する。上記本発明の中間転写体は、ベルト形状の場合には、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置に用いる用紙搬送ベルトとして用いることができる。
<中間転写体を用いた画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記像担持体に担持されたトナー像を中間転写体上に転写する一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二次転写手段とを有する画像形成装置であって、前記中間転写体が、上記本発明の中間転写体であることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記本発明の中間転写体を備えているため、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
本発明は、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等のいずれでもよい。
本発明のベルト状中間転写体を用いたカラー画像形成装置の概略図を図1に示す。該画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体としての中間転写ベルト2、転写電極であるバイアスローラ3(第二転写手段)、転写媒体である記録紙を供給する用紙トレー4、Bk(ブラック)トナーによる現像器5、Y(イエロー)トナーによる現像器6、M(マゼンタ)トナーによる現像器7、C(シアン)トナーによる現像器8、中間転写体クリーナー9、剥離爪13、ベルトローラ21、23及び24、バックアップローラ22、導電性ローラ25(第一転写手段)、電極ローラ26、クリーニングブレード31、記録紙41、ピックアップローラ42、並びにフィードローラ43を有してなる。
図1において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書込み装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック現像器5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム1の回転で導電性ローラ25(第一転写手段)が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、上記トナー像Tは、静電的に中間転写ベルト2に吸着されつつ中間転写ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間転写ベルト2において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。中間転写ベルト2に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の回転でバイアスローラ3(第二転写手段)が設置された二次転写部に到る。図1に例示する二次転写部は、中間転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ3と該中間転写ベルト2の裏側からバイアスローラ3に対向するように配置されたバックアップローラ22及びこのバックアップローラ22に圧接して回転する電極ローラ26から構成される。
記録紙41は、用紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出され、フィードローラ43で二次転写部の中間転写ベルト2とバイアスローラ3との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙41は、バイアスローラ3及びバックアップローラ22による圧接搬送と中間転写ベルト2の回転により、該中間転写ベルト2に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより中間転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の記録紙41への転写の終了した中間転写ベルト2は、二次転写部の下流に設けた中間転写体クリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ3は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ3と中間転写ベルト2を介して対向配置したバックアップローラ22に圧接した電極ローラ26に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、該トナー像を記録紙41に静電反発で転写する。
図2は、タンデム式の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。本発明の中間転写ベルトを備えることで、高画質の転写画像を得ることができる。具体的には、図2において感光体79表面を均一に帯電する帯電ローラ83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリ−ナー84 (クリーニング装置)、被転写材上のトナー像を定着する定着する定着ローラ72等必要に応じて公知の方法で任意に備えることができる。上述の構成のタンデム式の画像形成装置においても、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
<トナー>
本発明の画像形成装置に使用され得るトナーとしては、特に制限されないが、球形トナーが好ましい。球形トナーとは、高転写効率を達成するために、平均形状係数(ML2/A)100〜140、好ましくは100〜130、更に好ましくは、100〜120の範囲で表される球形状を有するトナーである。この平均形状係数(ML2/A)が140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。ここで、平均形状係数(ML2/A)とは、下記式により算出した値をいう。
式:(ML2/A)=[(トナー粒子の絶対最大長)2]/[(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100]
球形トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球形トナーの体積平均粒径は、2μm以上12μm以下の粒子、好ましくは3μm以上9μm以下の粒子、より好ましくは3μm以上7μm以下の粒子を用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
球形トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球形トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球形トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球形トナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球形トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
−実施例1−
(表面層)
表面層材料として、ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製:商品名「#850」23℃、1kHzにおいて比誘電率10)100質量部に導電剤として、無機金属塩として、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム塩0.2質量部を添加してなる厚さ0.1mmの樹脂シートを作製した。シートの体積抵抗率は、2×1010Ωcmであった。
(中間層:弾性層)
NBRとEPDMを質量比で4:6にブレンドしたゴム材料(NE40;日本合成ゴム(株)製)100質量部に対してアセチレンブラック(電気化学(株)製:粒状アセチレンブラック)を7質量部及びサーマルブラック(旭カーボン(株)製:アサヒサーマルFT)を20質量部の割合で配合して、3本ロールで混練した。上記混練物をキャレンダーロールにてシーティングシート状に加工して、厚さ0.2mmのシート形状に形成する。
この中間層の硬度は、JISA硬度で、70度、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであった。
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミドのN−メチル−2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18wt%)に、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0質量%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.3mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.05mmであり、体積抵抗率は、3×1010Ωcmであり、ヤング率は、6000Mpaであった。
ポリイミドフィルム基材上に中間層及び表面層を圧接して、温度150℃,圧力5.5kg/cm2の加圧下に60分間加熱して、弾性材料を加硫して、3層構成のベルトを得た。
−実施例2−
(表面層)
表面層材料として、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(呉羽化学工業(株)製:商品名「#2300」23℃、1kHzにおいて比誘電率9.8)100質量部に導電剤として、無機金属塩として、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム塩を0.2質量部添加してなる厚さ0.1mmの樹脂シートを作製した。シートの体積抵抗率は、2×1010Ωcmであった。
(中間層:弾性層)
実施例2と同じ材料構成で、中間層のゴム硬度を40として、厚みを0.3mmとした。
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミドのN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスA(固形分18質量%)に、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0質量%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に350℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであり、ヤング率は、3500Mpaであった。
ポリイミドフィルム基材上に中間層及び表面層を圧接して、温度150℃,圧力5.5kg/cm2の加圧下に60分間加熱して、弾性材料を加硫して、3層構成のベルトを得る。
−実施例3−
表面層材料と基材を、以下の表面層と基材に変更した以外は、実施例1と同様な方法にて、3層構成ベルトを作製した。
(表面層)
表面層材料として、フッ化ビニリデンホモポリマー(呉羽化学工業(株)製:商品名「KF#1100」とメタクリル酸メチル樹脂(クレハ(株)製:商品名「パラペットHR」を90:10の比率でブレンドして、なる樹脂組成物)を用いた。23℃、1kHzにおいて比誘電率8.0、体積抵抗率1×1013Ωcmであった。
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)をピロメリット酸2無水物(PMDA)とを1:1の比率で組み合わせたテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミドのN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(固形分20質量%)に、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0質量%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に350℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであり、ヤング率は、2200Mpaであった。
−実施例4−
表面層材料として、実施例1と同じ表面層材料を用い、基材として、実施例3で用いた材料を用い、円筒形状の金型に表面層材料/接着剤層/基材とを圧接して、圧力5.5kg/cm2の加圧下に温度150℃,60分間加熱して、2層構成のベルトを成形した。接着剤層として、ウレタン系の接着剤(日本ポリウレタン(株)製ニッポラン2301を厚さ0.005mmで用いた。この半導電性ベルトの各層の厚みは、表面層0.1mm、基材0.08mmであった。
−比較例1−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミドのN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%)に、アセチレンブラック(電気化学工業社製pH5.7、揮発分0.89質量%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトを得た。この半導電性ベルトの厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、2×1010Ωcmであり、ヤング率は、6000Mpaであった。
−比較例2−
比較例1のポリイミドベルト表面にカーボンブラックを6質量%分散させたFEP樹脂含有のフッ素ゴム系塗料(ダイエルラテックスNF−915:ダイキン工業(株)製)をスプレーコーティング法で塗布した後、200℃で30分間加熱して、50μm厚のカーボンブラック分散のフッ素ゴム系コート層を形成した。このフッ素ゴム系表面層の体積抵抗率は、2×1011Ωcmであった。
−比較例3−
比較例1のポリイミドベルト表面に次に、カーボンブラックを固形分換算で6質量%分散させたウレタンゴム及びTFE樹脂を含有する水エマルジョン塗料(エムラロンJYL−601ESD:日本アチソン(株)製)を上記ベルト基材(7a)表面にスプレーコーティング法で塗布した後、150℃で10分間加熱して5μm厚の表面層(7b)を形成した。
<評価>
上記実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3で得られた半導電性ベルトについて、表面層特性(誘電率、表面微小硬度、摩擦係数、体積抵抗率)、中間層特性(JISA硬度、体積抵抗率)、基材特性(ヤング率、体積抵抗率)、転写画質(ブラー、ホロキャラクター、カラーレジ、白抜け)を評価した。これらの結果を下記表1に示す。
<誘電率>
測定は、JISC2317に準じて行なった。
・測定器:HP4194A、HP4274A(日本ヒューレット・パッカード社製)
・電極:HP16451B(日本ヒューレット・パッカード社製)
・電極サイズ:φ5mm(電極B)
・周波数:1kHz
<表面微小硬度>
図6は、表面層の表面微小硬度の測定原理を示す模式断面図であり、図6中、60は表面層を、61は針状圧子を表し、矢印Lは、針状圧子61に加わる荷重を意味する。
表面微小硬度の測定に際しては、表面層61の最表面部分に所定形状の針状圧子61の先端を、荷重L(mN)を荷重0から所定荷重Pとなるまで押圧した。この時の針状圧子51の表面層50中への垂直方向の食い込み深さをD(μm)とした場合、表面微小硬度DHは下式で表される。
式:DH=α・P/D
但し、式中、αは、針状圧子61の形状や測定条件などによって予め決められる係数を意味し、Pは所定荷重(mN)を意味し、Dは針状圧子61の表面層60中への垂直方向の食い込み深さ(μm)を意味する。
<摩擦係数>
図7は、表面層の摩擦係数を計測装置の概略図である。図7に示すような静動摩擦係数計(HEIDON−14:HEIDON社製)を用いて測定することができる。図7に示す静動摩擦係数計は、鋼球(直径3mm)303、零点調整用天秤304、ロードセル305、荷重(100g)306を備えている。具体的には、中間転写体の表面層を構成する材料301を用いて、厚み20μmの膜を作製し、これを固定台302の上にセットし、移動速度0.1cm/秒、荷重100gの条件下で摩擦係数を測定した。
<体積抵抗率>
体積抵抗率の計測は、上述したように、図5に示した円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧100(V)を印可し、30秒後の電流値より求めた。
<ヤング率>
JISK6251に準じて、半導電性ベルトをJIS3号形状に打ち抜き、引張試験に供した。得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きによりヤング率を求めた。
<JISA硬度>
JISK6253に記載されている方法に準拠して行い、中間層に用いる材料を厚さ6mmの厚みに積み重ねて、高分子計器(株)製A型硬度計を用いて計測した。
ここで、表面層及び基材のみから構成されている試料については、表面層は表面微小硬度を、表面層、中間層、及び基材から構成されている試料は、表面層は表面微小硬度を、中間層は、JISA硬度を測定した。
<転写画質の評価>
実施例1〜4、及び比較例1〜3の半導電性ベルトを富士ゼロックス(株)Docu Color1255CPを用いて、転写画質を評価した。
<ブラー評価>
ブラーの発生状況について、以下の基準により評価した。
○:ブラーの発生なし
△:ブラーの発生は、わずかであり、画質上での問題なし
×:ブラーの発生があり、画質上での問題あり
<ホロキャラクター評価>
ホロキャラクターの発生状況について、以下の基準により評価した。
○:ホロキャラクターの発生なし
△:ホロキャラクターの発生は、わずかであり、画質上での問題なし
×:ホロキャラクターの発生があり、画質上での問題あり
<カラーレジ評価>
カラーレジ(レジずれ:色ずれ)の発生状況について、以下の基準により評価した。
○:レジずれの発生なし
△:レジずれの発生は、わずかであり、画質上での問題なし
×:レジずれの発生があり、画質上での問題あり
<白抜け評価>
葉書を3000枚連続コピー後、マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況について、以下の基準により評価した。
○:白抜けの発生なし
×:白抜けの発生があり、画質上での問題あり
なお、図8は、葉書を3000枚連続コピー後、マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況を示す説明図である。10℃15%RHの低温低湿環境下において、用紙(葉書)を連続走行して、表面抵抗率が、周囲の表面抵抗率より、1.1桁(logΩ/□)以上低くなると、前記したハーフトーン(マゼンタ30%)において、白ぬけが発生する。
また、図9は、中間転写体の二次転写部の表面抵抗率の低下を説明する模式図であり(具体的には、図1において、中間転写ベルト2を介して圧接するバイアスローラー3及びバックアップローラ22近傍を拡大した図に相当する)。二次転写直後の、中間転写ベルト2外周面、及び、記録紙41の中間転写ベルト2外周面に接触した側の面の帯電の状態について示したものである。
図9からわかるように、二次転写直後において、中間転写ベルト2外周面はプラス側に帯電し、記録紙41の中間転写ベルト2側の面は、マイナス側に帯電しているため、中間転写ベルト2と記録紙41との間で剥離放電が発生し、中間転写ベルト2表面を劣化させることにより、中間転写ベルト2外周面の表面抵抗が低下する。
Figure 2005099181
表1の結果から、本発明の実施例1〜4の半導電性ベルトは、画質欠陥がなく、優れた画質を長期にわたり安定して得ることができた。これのより、これにより、転写電圧による抵抗の低下、経時による形状の変形、環境による電気抵抗の変化が少ないこともわかる。
一方、比較例1は、転写面の表面硬度が硬く、体積抵抗が低いためにホロキャラクター、ブラーの画質欠陥が発生した。比較例2は、転写面の表面硬度が軟かいのでホロキャラクターの画質欠陥の発生は少なく、画質上許容できるレベルであったが、ブラー、カラーレジの画質欠陥が発生した。比較例3は、体積抵抗が低いためにブラーの画質欠陥が発生した。
−実施例5−
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18wt%)に、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.3mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.05mmであり、体積抵抗率は、3×1010Ωcmであり、ヤング率は、6000Mpaであった。
(中間層:弾性層)
NBRとEPDMを質量比で4:6にブレンドしたゴム材料(NE40;日本合成ゴム(株)製)100質量部に対してアセチレンブラック(前記粒状アセチレンブラック)を7質量部及びサーマルブラック(前記アサヒサーマルFT)を20質量部の割合で配合して、3本ロールで混練した。上記混練物をキャレンダーロールにてシーティングシート状に加工して、厚さ0.2mmのシート形状に形成する。このシート状物を前記ポリイミドフィルム基材上に圧接して、温度150℃,圧力5.5kg/cm2の加圧下に60分間加熱して、弾性材料を加硫して、2層構成のベルトを得る。
この中間層の硬度は、JIS硬度で、70度、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであった。
(表面層)
前記2層構成のベルトの外側に2種類のフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料(配合例1)を厚さ20μmで塗布して、150℃で10分加熱して、3層構成ベルトを形成した。表面層の体積抵抗率は、5×1011Ωcmであり、比誘電率が25℃、1kHzにおいて10である。
−配合例1−
・フッ素樹脂塗料 100質量部
(ゼッフルGK:ダイキン工業(株)製、ポリテトラフルオロエチレン型塗料固形分)
・フッ化カーボンA:F/C:0.95 15質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
・フッ化カーボンB:F/C:0.08 3質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
−実施例6−
実施例5と同じ基材と中間層からなる2層構成のベルトの外側に2種類のフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料(配合例2)を厚さ20μmで塗布して、150℃で10分加熱して、3層構成ベルトを形成した。表面層の体積抵抗率は、1×1012Ωcmであり、比誘電率が25℃、1kHzにおいて8である。
−配合例2−
・フッ素樹脂塗料 100質量部
(ゼッフルGK:ダイキン工業(株)製、ポリテトラフルオロエチレン型塗料固形分)
・フッ化カーボンA:F/C:0.95 12質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
・フッ化カーボンB:F/C:0.08 2質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
−実施例7−
(基材)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスA(固形分18wt%)に、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に350℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、5×1010Ωcmであり、ヤング率は、3500Mpaであった。
(中間層:弾性層)
NBRとEPDMを質量比で4:6にブレンドしたゴム材料(NE40;日本合成ゴム(株)製)100質量部に対してアセチレンブラック(前記粒状アセチレンブラック)を7質量部及びサーマルブラック(前記アサヒサーマルFT)を20質量部の割合で配合して、3本ロールで混練した。上記混練物をキャレンダーロールにてシーティングシート状に加工して、厚さ0.3mmのシート形状に形成する。このシート状物を前記ポリイミドフィルム基材上に圧接して、温度150℃,圧力5.5kg/cm2の加圧下に60分間加熱して、弾性材料を加硫して、2層構成のベルトを得る。
この中間層の硬度は、JISA硬度で、70度。体積抵抗率は、5×1010Ωcmであった。
前記2層構成のベルトの外側に2種類のフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料(配合例3)を厚さ20μmで塗布して、150℃で10分加熱して、3層構成ベルトを形成した。表面層の体積抵抗率は、2×1010Ωcmであり、比誘電率が25℃、1kHzにおいて20である。
−配合例3−
・フッ素樹脂塗料 100質量部
(ゼッフルGK:ダイキン工業(株)製、ポリテトラフルオロエチレン型塗料固形分)
・フッ化カーボンA:F/C:0.75 15質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
・フッ化カーボンB:F/C:0.08 3質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
−実施例8−
実施例7と同じ材料構成で、中間層のゴム硬度を40として、厚みを0.3mmとした2層構成ベルトを用い、前記2層構成のベルトの外側に2種類のフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料(配合例4)を厚さ20μmで塗布して、150℃で10分加熱して、3層構成ベルトを形成した。表面層の体積抵抗率は、5×1010Ωcmであり、比誘電率が25℃、1kHzにおいて42である。
−配合例4−
・フッ素樹脂塗料 100質量部
(ゼッフルGK:ダイキン工業(株)製、ポリテトラフルオロエチレン型塗料固形分)
・フッ化カーボンA:F/C:0.75 10質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
・フッ化カーボンB:F/C:0.08 2質量部
(原料:ケッチェン・ブラックEC(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)、
−実施例9−
実施例7で用いた3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸2無水物(PMDA)とを1:1の比率で組み合わせたテトラカルボン酸二無水物を用い、乾燥した酸性カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)の添加量を23質量部(ポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して)に変更した以外は、実施例7と同じ方法にて、カーボンブラック分散のポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液を調製した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に350℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトの基材を得た。この半導電性ベルトの基材の厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、7×1010Ωcmであり、ヤング率は、2500Mpaであった。
上記基材に実施例8と同じ中間層(ゴム硬度を40、厚みを0.3mm)を用いた2層構成ベルトを用い、前記2層構成のベルトの外側に2種類のフッ化カーボンを添加してなるフッ素樹脂系導電性塗料(配合例1)を厚さ20μmで塗布して、150℃で10分加熱して、3層構成ベルトを形成した。表面層の体積抵抗率は、1×1012Ωcmであり、比誘電率が25℃、1kHzにおいて8である。
−比較例4−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18wt%)に、アセチレンブラック(電気化学工業社製pH5.7、揮発分0.89%)をポリイミド樹脂固形分100質量部に対して、15質量部添加して、ボールミルで6時間室温で混合した。次いで、このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、次いで常温に冷却して、金型より剥離して、鉄芯の外側に被覆して、更に400℃で1時間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトを得た。この半導電性ベルトの厚さは0.08mmであり、体積抵抗率は、2×1010Ωcmであり、ヤング率は、6000Mpaであった。
−比較例5−
比較例4のポリイミドベルト表面にカーボンブラックを6質量%分散させたFEP樹脂含有のフッ素ゴム系塗料(ダイエルラテックスNF−915:ダイキン工業(株)製)をスプレーコーティング法で塗布した後、240℃で30分間加熱して、50μm厚のカーボンブラック分散のフッ素ゴム系コート層を形成した。このフッ素ゴム系表面層の体積抵抗率は、2×1011Ωcmであった。
−比較例6−
比較例4のポリイミドベルト表面に次に、カーボンブラックを固形分換算で6質量%分散させたウレタンゴム及びTFE樹脂を含有する水エマルジョン塗料(エムラロンJYL−601ESD:日本アチソン(株)製)を上記ベルト基材(7a)表面にスプレーコーティング法で塗布した後、150℃で10分間加熱して5μm厚の表面層(7b)を形成した。
<評価>
上記実施例5,6,7、8、9及び比較例4,5,6で得られた半導電性ベルトについて、実施例1と同様に評価したこれらの結果を下記表2に示す。
Figure 2005099181
表2の結果から、本発明の実施例5〜9の半導電性ベルトは、優れた画質を長期にわたり安定して得ることができた。これにより、転写電圧による抵抗の低下、経時による形状の変形、環境による電気抵抗の変化が少ないこともわかる。
一方、比較例4は、転写面の表面微小硬度が40と硬いために、ホロキャラクターに問題があった。また、比較例5、6は、表面層の塗膜の誘電率が低いために画質欠陥(ブラー)が発生した。また。比較例1〜3は、連続しては葉書を3000枚連続コピー後、葉書層後部の表面抵抗が低下して、白抜けが発生した。
本発明のベルト状中間転写体を用いたカラー画像形成装置を示す概略図である。 本発明のベルト状中間転写体を用いたカラー画像形成装置を示す概略図である。 本発明のベルト状中間転写体構成を示す断面図である(実施例1〜3)。 本発明のベルト状中間転写体構成を示す断面図である(実施例4)。 体積抵抗率の計測方法を示す図である。 表面層の表面微小硬度の測定原理を示す模式図である。 表面層の摩擦係数を計測装置の概略図である。 葉書を3000枚連続コピー後、マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況を示す説明図である。 本発明のベルト状中間転写体の二次転写部の表面抵抗率の低下を説明する模式図である。
符号の説明
1 感光体ドラム(像担持体)
2 中間転写ベルト(中間転写体)
3 バイアスローラ(第二転写手段)
4 用紙トレー
5 ブラック現像器
6 イエロー現像器
7 マゼンタ現像器
8 シアン現像器
9 中間転写体クリーナ
10 転写ローラ
13 剥離爪
14 搬送ベルト
16 感光体クリーナ
21 ベルトローラ
22 バックアップローラ
23 ベルトローラ
24 ベルトローラ
25 導電性ローラ(第一転写手段)
26 電極ローラ
30 中間転写ドラム
31 クリーニングブレード
41 記録紙
42 ピックアップローラ
43 フィードローラ
60 表面層
61 針状圧子
71 トナーカートリッジ
72 定着ローラ
73 バックアップローラ
74 テンションローラ
75 2次転写ローラ
76 用紙経路
77 用紙トレイ
78 レーザー発生装置
79 感光体
80 1次転写ローラ
81 駆動ローラ
82 転写クリナー
83 帯電ローラ
84 感光体クリ−ナー
85 現像器
86 中間転写体

Claims (13)

  1. 像担持体上に形成されたトナー画像が転写される中間転写体であって、
    少なくとも表面層と基材とを含んで構成され、
    前記表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmで、23℃1kHzにおける比誘電率が8以上で、表面微小硬度が25以下であり
    前記基材は、ヤング率が2000MPa以上である中間転写体。
  2. 像担持体上に形成されたトナー画像が転写される中間転写体であって、
    少なくとも表面層と中間層と基材とを含んで構成され、
    前記表面層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmで、23℃1kHzにおける比誘電率が8以上であり、
    前記中間層は、そのJISA硬度が40〜70°であり、
    前記基材は、導電剤を含有すると共に、ヤング率が、2000MPa以上である中間転写体。
  3. 前記表面層における転写面の表面微小硬度が、20以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記表面層は、フッ化ビニリデン系樹脂を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記表面層は、フッ化カーボンを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 前記表面層は、(A)炭素原子に対するフッ素原子のモル比(F/C)が0.1未満であるフッ化カーボンと(B)炭素原子に対するフッ素原子のモル比(F/C)が0.5を超え1.0未満であるフッ化カーボンとを分散してなるフッ素系樹脂材料を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を含んで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  7. 前記中間層は、体積抵抗率が108Ωcm〜1013Ωcmの加硫ゴムを含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の中間転写体。
  8. 前記基材が、ポリイミド系樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の中間転写体。
  9. 前記基材の体積抵抗率が、1×108Ωcm〜1×1013Ωcmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の中間転写体。
  10. 前記基材に含有される導電剤が、pH5以下の酸性カーボンブラックであることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の中間転写体。
  11. 画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体と、該像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像手段と、前記像担持体に担持されたトナー像を中間転写体上に転写する中間転写手段と、前記中間転写体上のトナー像を被記録体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記中間転写体が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記トナーが、下記式を満たすことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
    式:[(トナー粒子の絶対最大長)2]/[(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100]≦140
  13. 前記トナーが、体積平均粒径が2〜12μmの球形トナーであることを特徴とする請求項11又は12に記載の画像形成装置。
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