JP2001242725A - 中間転写体及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写体及び画像形成装置

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JP2001242725A
JP2001242725A JP2000055606A JP2000055606A JP2001242725A JP 2001242725 A JP2001242725 A JP 2001242725A JP 2000055606 A JP2000055606 A JP 2000055606A JP 2000055606 A JP2000055606 A JP 2000055606A JP 2001242725 A JP2001242725 A JP 2001242725A
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JP2000055606A
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Yukio Hara
幸雄 原
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写電圧による抵抗の低下がなく、経時によ
る形状の変形等の問題がなく、かつ、電界依存性のな
い、環境による電気抵抗の変化の少ない中間転写体、及
びそれを備え、高品質の転写画質を安定して得られる画
像形成装置の提供。 【解決手段】 基材上に少なくとも表面層を有する中間
転写体であって、該表面層が、電子伝導性を付与する導
電剤とイオン伝導性を付与する導電剤とを含有すること
を特徴とする中間転写体である。また、画像情報に応じ
た静電潜像を形成する像担持体1と、前記像担持体1に
形成された静電潜像をトナーによりトナー像として可視
化する現像装置(5〜8)と、前記像担持体1に担持さ
れたトナー像を中間転写体2上に転写する一次転写手段
25と、該中間転写体2上のトナー像を記録媒体41に
転写する二次転写手段3とを有する画像形成装置におい
て、前記中間転写体が、上記に記載の中間転写体である
ことを特徴とする画像形成装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やプリンタ
等の電子写真方式を用いた画像形成装置及びそれに用い
られる中間転写体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を用いた画像形成装置は、
無機又は有機材料からなる光導電性感光体である像担持
体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ
ー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記
静電濳像を現像して可視化したトナー像とする。そし
て、上記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接
記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の
再生画像を得る。特に、上記像担持体に形成したトナー
像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナ
ー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装
置として、特開昭62−206567号公報等に開示さ
れたものが知られている。
【0003】前記中間転写体方式を採用した画像形成装
置に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂
(特開平6−095521号公報)、PVDF(ポリフ
ッ化ビニリデン)(特開平5−200904号公報、特
開平6−228335号公報)、ポリアルキレンフタレ
ート(特開平6−149081号公報)、PC(ポリカ
ーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレー
ト)のブレンド材料(特開平6−149083号公
報)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合
体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレン
ド材料(特開平6−149079号公報)等の熱可塑性
樹脂の導電性の無端ベルトを用いる提案がなされてい
る。
【0004】しかし、前記したカーボンブラック分散の
ポリカーボネート、カーボンブッラク分散のエチレンテ
トラフロロエチレン共重合体の場合には、葉書等の中間
転写体の幅より短い用紙を、連続して1000枚以上転
写した後で、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像を
転写すると用紙走行部が白抜けする問題が発生した。こ
の白抜けする画質欠陥は、10℃15%RHの低温低湿
環境下において特に顕著であった。用紙走行部が白抜け
するのは、二次転写部での用紙剥離時に中間転写体と用
紙間での剥離放電によって、中間転写体の用紙走行部の
表面抵抗率が、周辺部位より低下して、転写効率が周辺
部位より低下することが原因である。上記転写面の一部
が抵抗低下することによる、中間転写体の煩雑な交換は
メンテナンスの手間とランニングコストを押し上げる結
果につながるため、好ましいものではない。
【0005】また、中間転写体方式を採用した画像形成
装置に用いられるベルト材料としては、特開平9−30
5038号公報、特開平10−240020号公報にポ
リエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入
り弾性ベルトが提案されている。上記補強材入り弾性ベ
ルトは、ベルト自体が弾性を有することで、ロールの軸
方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や
蛇行が発生することが少なくなるが、ヤング率が3MP
a(3kg/mm2)と低いために、ベルト材料の伸び
やクリープ等に起因する色ずれの問題が発生する。
【0006】また、機械特性が優れた材料としては、ポ
リイミド樹脂を挙げることができ、例えば、特許番号2
560727号公報(特開昭63−311263号公
報)において、カーボンブラック分散のポリイミドシー
ムレスベルトが提案されている。ポリイミド樹脂材料
は、機械的特性に優れるために、バイアスローラを用い
て記録媒体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像
を静電的に転写する1次転写部でのバイアスローラによ
る押圧力による変形が少ないので、バイアスローラによ
る押圧力が集中する。このためトナーが凝集し、電荷密
度が高くなることによってトナー層内部放電を起こし、
トナー極性を変化させる等の原因によって、ライン画像
が中抜けする(ホロキャラクター)の画質欠陥を発生さ
せる問題がある。
【0007】特に、上記記録媒体がOHPシート等の平
滑性の高いものである場合、ホロキャラクターの発生は
顕著である。一方、前述のような画像部への荷重集中を
減少させる手段として、バイアスローラの押圧力によっ
て中間転写体を変形させる方法が考えられるが、中間転
写体の変形の特性値である硬度の計測方法と画質との関
係を解析すると以下の不具合があることも明らかになっ
た。即ち、特開平7−152262号公報で、中間転写
体方式を採用した画像形成装置に用いられるドラム材質
としては、像担持体や用紙等の転写材との接触を安定し
て確保し、転写率及び画質向上のために表面硬度をJI
SAで40以下にする方法が提案されている。しかしな
がら、上記転写ドラムの硬度計測方法では、計測面積が
トナーに比べて大変大きく、画質との相関が得られず正
確な画質評価ができないという欠点を持つことがわかっ
た。また、中間転写体の表面層材料として、表面エネル
ギーが大きく、トナー離型性が悪い場合には、2次転写
での記録媒体への転写性が劣るために2次転写性が悪く
なる等の問題が発生する。
【0008】上記中間転写体の電気抵抗値は、高品質の
転写画質を得るために、所定の範囲に制御され、かつ中
間転写体の面内バラツキ(抵抗値の最大値と最小値との
差)が少ないこと、かつ、使用環境条件が変化しても電
気抵抗値が、大きく変化せずに、安定して高品質を得ら
れることが求められる。例えば、実用的には、10℃1
5%RHの低温低湿環境(L/L環境)と28℃85%
RHの高温高湿環境(H/H環境)での電気抵抗値の変
化が1.5桁以内であること等が要求されている。
【0009】中間転写体を構成する材料に導電性を付与
するには、組成材料中に電子伝導性を付与する導電剤と
イオン伝導性を付与する導電剤とをそれぞれ付与する方
法がある。上記電子伝導性を付与する導電剤のカーボン
ブラックを単独で分散した樹脂材料の場合には、温度や
湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動は少ないが、
カーボンブラックを均一に分散させることが難しいため
に電気抵抗値の面内バラツキが大きくなりやすい。更
に、抵抗値の電圧依存性が大きいため、前記カーボンブ
ラック分散のポリカーボネート、カーボンブラック分散
のエチレンテトラフロロエチレン共重合体の場合には、
転写部において、電界集中が起き、転写電圧により、電
気抵抗値が低下する問題がある。
【0010】一方、イオン伝導性を付与する導電剤を付
与した場合には、中間転写体の面内の電気抵抗値の変化
が極めて小さく、0.5桁以下と望ましい。反面、温度
や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動が大きく、
例えば、28℃85%RHの高温高湿環境(H/H環
境)と10℃15%RHの低温低湿環境(L/L環境)
との電気抵抗値の差が、1.5〜4桁(logΩ)ある
という問題を有している。更に、一般に、低温低湿度に
おいて、所定の電気抵抗値を得るためには、イオン伝導
性タイプの導電剤の量を多くする必要があり、量を多く
するとイオン伝導性導電剤が、中間転写体の表面から滲
み出て、像担持体の表面に移行(ブリードアウト)し
て、画像劣化、汚染や感材侵食等を起こしやすいという
問題が新たに生じる。
【0011】上記対策として、特開平8−110711
号公報において、イオン伝導性タイプの導電剤を分散し
てなる材料からなる層と電子伝導性タイプの導電剤を分
散してなる材料からなる層とを積層して用いる提案がな
されている。しかし、両者で、より高抵抗の層が、ベル
トの抵抗を支配するため、2層以上の構成とした場合に
は、高抵抗層の材料の挙動を発現することになる。例え
ば、電子伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料の層
が、イオン伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料の
層より高抵抗である場合には、抵抗のバラツキが大き
い、電界依存性が大きい等の問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、転写電圧による抵抗の低下が
なく、経時による形状の変形等の問題がなく、かつ、電
界依存性のない、環境による電気抵抗の変化の少ない中
間転写体を提供することを目的とする。また、本発明
は、前記中間転写体を備え、高品質の転写画質を安定し
て得ることができる画像形成装置を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、 <1> 基材上に少なくとも表面層を有する中間転写体
であって、該表面層が、電子伝導性を付与する導電剤と
イオン伝導性を付与する導電剤とを含有することを特徴
とする中間転写体である。 <2> 中間転写体の転写面の硬度が、ダイナミックス
硬度で10以下である前記<1>に記載の中間転写体で
ある。 <3> 前記電子伝導性を付与する導電剤が、表面をフ
ッ化処理してなるカーボンブラックである前記<1>又
は<2>に記載の中間転写体である。 <4> 前記イオン伝導性を付与する導電剤が、陽イオ
ン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性
剤、及び非イオン界面活性剤から選択される少なくとも
1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の中
間転写体である。 <5> 前記表面層が、低表面エネルギーの材料を含有
する前記<1>から<4>のいずれかに記載の中間転写
体である。 <6> 前記表面層が、水との接触角が85°以上であ
る材料を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記
載の中間転写体である。 <7> 前記表面層が、フッ素樹脂粉末を分散してなる
弾性を有する材料を含有する前記<1>から<6>のい
ずれかに記載の中間転写体である。 <8> 前記基材が、ヤング率200MPa以上の材料
を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の中
間転写体である。 <9> 前記基材が、導電剤が分散されたポリイミド樹
脂を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の
中間転写体である。 <10> 中間転写体の転写面の表面抵抗率が、1×1
10〜1×1014Ω/□である前記<1>から<9>の
いずれかに記載の中間転写体である。 <11> 中間転写体の体積抵抗率が、1×108〜1
×1013Ωcmである前記<1>から<10>のいずれ
かに記載の中間転写体である。 <12> ベルト形状である前記<1>から<11>の
いずれかに記載の中間転写体である。 <13> ドラム形状である前記<1>から<7>、<
10>、及び<11>のいずれかに記載の中間転写体で
ある。 <14> 画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持
体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナーによ
りトナー像として可視化する現像装置と、前記像担持体
に担持されたトナー像を中間転写体上に転写する一次転
写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写
する二次転写手段とを有する画像形成装置において、前
記中間転写体が、前記<1>から<13>のいずれかに
記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置
である。
【0014】中間転写体の表面層中に、電子伝導性を付
与する導電剤とイオン伝導性を付与する導電剤とを混合
分散させて、電子伝導性とイオン伝導性とを併用するこ
とによって、電子伝導性の導電剤を単独で用いた場合に
発生する、電界依存性が大きいという問題を解消し、更
には、電界依存性に依存する電気抵抗値の面内バラツキ
を抑えることができ、かつ、イオン伝導性を付与する導
電剤を単独で用いた場合に発生する、電気抵抗値の低温
低湿と高湿高温の環境の違いによる電気抵抗値の変動を
1.5桁以内に抑えることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [中間転写体]本発明の中間転写体は、基材上に少なく
とも表面層を有し、更に必要に応じて、その他の層を有
してなる。
【0016】(表面層)前記表面層は、電子伝導性を付
与する導電剤(以下、「電子伝導性導電剤」と称するこ
とがある。)とイオン伝導性を付与する導電剤(以下、
「イオン伝導性導電剤」と称することがある。)とを含
有し、更に必要に応じて、結着樹脂等のその他の成分を
含有してなる。
【0017】−電子伝導性導電剤− 前記電子伝導性導電剤としては、例えば、カーボンブラ
ック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金
等の金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウ
ム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモ
ン複合酸化物等の金属酸化物等が挙げられ、一般に用い
られる導電性を付与するために用いられる導電剤とし
て、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャン
ネルブラック等のカーボンブラックが挙げられる。より
具体的には、電気化学(株)製粒状アセチレンブラッ
ク、旭カーボン(株)製HS−500、アサヒサーマル
FT、アサヒサーマルMT、ライオンアグゾ(株)製ケ
ッチェンブラック、キャボット(株)製バルカンXC−
72等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても
よく、2種以上併用してもよい。
【0018】これらのなかでも、表面をフッ化処理して
なるカーボンブラックを用いることが好ましい。前記電
子伝導性導電剤として、表面をフッ化処理してなるカー
ボンブラックを用いることにより、フッ素系表面層を被
覆してなる導電剤を結着樹脂に分散させるときに2次凝
集がおきずらくなり、表面処理をしていないカーボンブ
ラックに比べて、結着樹脂中に導電剤を均一に分散させ
ることができる。フッ化処理してなるカーボンブラック
としては、より具体的には、例えば、ALLIED社の
ACCUFLUOR2028等が挙げられる。前記電子
伝導性導電剤は、前記イオン伝導性導電剤と組み合わせ
て用いることにより、より安定した電気抵抗値を得るこ
とができる。
【0019】前記電子伝導性導電剤の含有量は、前記表
面層中の結着樹脂100重量部に対して、4〜20重量
部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。該含有
量が4重量部未満であると、電子伝導性を付与する効果
が小さくなることがあり、一方、該含有量が20重量部
を超えると、電子伝導性を付与する効果が大きくなるこ
とがある。
【0020】−イオン伝導性導電剤− 前記イオン伝導性導電剤としては、例えば、カルボキシ
ル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリ
レートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アン
モニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレート
との共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリ
マー、ポリスルホン酸ナトリウム等に見られるスルホン
酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分鎖中に少な
くともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポ
リマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン
グリコール系−ポリアミド共重合体、ポリエチレン−エ
ピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミ
ド、ポリエーテルをセグメントとするブロック型のポリ
マー等の各種の界面活性剤が挙げられる。これらは、1
種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0021】本発明においては、イオン伝導性導電剤と
して、前記したポリエーテルをセグメントとするブロッ
ク型のポリマー等の陽イオン性界面活性剤、陰イオン性
界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤
から選択される少なくとも1種を用いることが好まし
い。より具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル等のアルキルフェノール型の日本油脂化学のノニオ
ンNS−270、ノニオンHS−240等の非イオン界
面活性剤が挙げられる。前記イオン伝導性導電剤は、前
記電子伝導性導電剤と組み合わせることで安定した電気
抵抗値を得ることができる。
【0022】更には、結着樹脂に前記イオン伝導性導電
剤を添加した場合と同じ挙動を示す電子伝導性の導電剤
であるイオン導電性ポリマーをブレンドすることもでき
る。前記イオン導電性ポリマーとしては、例えば、ポリ
アニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロ
ール、ポリフェニレンビニレン等が挙げられ、これらの
イオン導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態
で用いることができる。これらは、1種単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。前記電子伝導性導
電剤と、前記イオン伝導性導電剤及び/又はイオン導電
性ポリマーとを用いることによって、安定した電気抵抗
値を得ることができる。
【0023】前記イオン伝導性導電剤の含有量は、前記
表面層中の結着樹脂100重量部に対して、0.5〜3
0重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましい。
該含有量が0.5重量部未満であると、イオン伝導性を
付与する効果が小さくなることがあり、一方、該含有量
が30重量部を超えると、イオン伝導性を付与する効果
が大きくなることがある。
【0024】−その他の成分− 前記表面層には、前記その他の成分として、結着樹脂が
好ましく用いられる。但し、前記結着樹脂の代わりにゴ
ム材料を用いてもよい。また、本発明の中間転写体の表
面層には、低表面エネルギーの材料を含有することが好
ましい。該低表面エネルギーの材料は、トナー離れに優
れるため、2次転写での記録媒体への転写性に優れ、高
転写画質を得ることができる。前記低表面エネルギーの
材料としては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材
料、あるいはこれらを主成分とする材料、フッ素樹脂粉
末、シリコン樹脂、シリコーンオイル成分を分散してな
る材料等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても
よく、2種以上を併用してもよい。
【0025】また、本発明の中間転写体の表面層には、
水の濡れ性で表示したときの水滴との接触角が85°以
上である材料を含有することが好ましい。前記水滴との
接触角が85°未満であると、トナー離型性が悪くな
り、クリーニング不良となることがある。前記水の濡れ
性とは、表面層を構成する材料を試験片として用い、こ
の試験片平面と水滴との接触角を尺度として表示され
る。ここで、試験片平面(表面)に水滴をおくと、試験
片の表面張力γs、液体/試験片間の界面張力γi、液
体の表面張力γlが釣り合って、図4に示すように、あ
る一定の形を形成する。この時、液滴が小さく重力の影
響を無視できれば、下記のヤング(Young)式
(1)が成り立つので、本発明においては、表面層平面
と水滴との接触角θで表面層の表面エネルギーを表示す
ることとした。
【0026】前記水との接触角が85°以上の材料とし
ては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材料、フッ素
樹脂粒子を添加してなる材料等が挙げられる。これら
は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0027】また、本発明の中間転写体の表面層には、
フッ素樹脂粉末を分散してなる材料を含有することが好
ましい。フッ素樹脂粉末を分散してなる材料を用いるこ
とによって、表面層が低表面エネルギーとなり、中間転
写体上のトナー汚れを防止することができ、中間転写体
上のトナーが、転写材を汚す問題をなくすことができ
る。フッ素樹脂粉末の添加量を、例えば樹脂成分100
重量部に対して3重量部以上とすることで、中間転写体
の転写面と水滴との接触角を85°以上とすることがで
きる。但し、転写面の平滑性が損なわれないように、樹
脂成分100重量部に対して50重量部以下分散させる
ことが好ましく、特に好ましい添加量は、樹脂成分10
0重量部に対してフッ素樹脂粉末5〜30重量部であ
る。
【0028】前記フッ素樹脂粉末としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニル、PV
DF、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂、クロロ
トリフルオロエチレン(CTFE)樹脂、ETFE、C
TFE−エチレン共重合体、PFA(TFE−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(TF
E−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体)、
EPE(TFE−HFP−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体)等の1種類又は2種類以上が用いら
れる。より具体的には、TFE樹脂粉末としては、平均
粒径0.3〜0.7μmの(株)喜多村製のKTL−5
00Fが挙げられる。
【0029】前記フッ素樹脂粉末を分散してなる樹脂材
料としては、例えば、東洋紡(株)製のバイロン30S
S、バイロン200、バイロン300等のポリマーセグ
メントが直鎖状に結合した脂肪族ポリエステル樹脂や、
分子内にソフトセグメントを有するポリウレタン樹脂、
ふっ素ゴム等が好ましく挙げられる。これらの樹脂は、
それ自体柔軟性を有するため、表面層に柔軟性を付与す
ることができる。
【0030】−表面層の形成方法− 本発明の中間転写体の表面層の形成方法としては、特に
制限されることはなく、上記電子伝導性導電剤及びイオ
ン伝導性導電剤を少なくとも含み、好ましくは結着樹脂
やその他の添加剤を含む塗料を用いて形成することがで
きる。例えば、前記した東洋紡(株)製のバイロン30
SS、バイロン200、バイロン300等の脂肪族ポリ
エステル樹脂に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)樹脂粒子、電子伝導性導電剤としてカーボンブラッ
ク、及びイオン伝導性導電剤として界面活性剤を適量分
散してなる導電性塗料を用いることができる。
【0031】前記塗料を用いた塗布方法としては、刷毛
塗り、ディピング法、スプレー法、ロールコーター法等
を採用することができ、例えば、スプレー法により、一
般に10〜60μm厚、好ましくは15〜50μm厚の
表面層を形成することができる。表面層の層厚が10μ
m未満であると、像担持体と圧接を繰り返すことから、
該表面層が磨耗して、前記基材あるいは前記基材と表面
層との間に有する層が露出する恐れがあり、また、表面
層を塗布法で形成する場合、均一な膜を形成することが
困難になる。一方、表面層の層厚が60μmを超える
と、表面に液ダレが生じ易く、平滑かつ均一な塗膜を安
定して形成することが困難になる。
【0032】(基材)本発明の中間転写体は、ベルト形
状のものでも、ドラム形状のものでもよいが、ベルト形
状のものがより好ましい。ベルト形状の中間転写体とす
る場合、用いられる基材としては、ヤング率が200M
Pa(200kg/mm2)以上の材料からなることが
好ましく、300MPa(300kg/mm2)以上の
材料からなることがより好ましい。ヤング率が200M
Pa未満の材料からなる場合には、クリーニングブレー
ドがあたる等の駆動時の外乱によってベルトが変形し、
転写部に悪い影響を与える等の問題が発生することがあ
る。
【0033】このような材料としては、例えば、ポリイ
ミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体
(ETFE)等の樹脂材料及びこれらを主原料としてな
る樹脂材料が挙げられる。更に、前記樹脂材料と弾性材
料とをブレンドして用いることができる。前記弾性材料
としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレ
ン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポ
リブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げら
れる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0034】本発明においては、前記樹脂材料及び弾性
材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤及
び/又はイオン伝導性を付与する導電剤を、1種類又は
2種類以上を組み合わせて添加することができる。これ
ら導電剤の具体例としては、前記表面層に添加されるも
のと同種のものを使用することができる。これらの導電
剤の総含有量は、基材を構成する樹脂材料100重量部
に対して、5〜40重量部が好ましく、10〜30重量
部がより好ましい。該含有量が5重量部未満であると、
所望の電気抵抗が得られず高抵抗となることがあり、一
方、該含有量が40重量部を超えると、低抵抗となっ
て、所望の電気抵抗が得られないことがある。
【0035】ベルト材料(ベルト状の基材に用いられる
材料)のヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)に
よるベルトの変位量との関係は、下記式(2)で表すこ
とができる。 式(2) Δl=P・l・α/(t・w・E) ここで、Δl:ベルトの変位量(μm) P:負荷 (N) l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm) α:係数 t:ベルト厚み(mm) w:ベルト幅(mm) E:ベルト材料のヤング率(N/mm2)を表す。
【0036】ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベ
ルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率
と厚みに逆比例する。高ヤング率のベルト材料を用いる
と、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変
位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が
小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。
例えば、ポリカーボネート、PVDF(ポリフッ化ビニ
リデン)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテル・エ−
テルケトン)等の樹脂材料は、ヤング率が200MPa
(200kg/mm2)であり、厚み100〜150μ
mで、ベルト基材としての機械特性を満足させることが
できる。
【0037】本発明の中間転写体の基材は、導電剤が分
散されたポリイミド樹脂を含有することが好ましい。該
ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリ
アミック酸を加熱することによって形成することができ
る。該ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物又
はその誘導体とジアミンとのほぼ等モル混合物を有機極
性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることによって
得ることができる。このポリアミック酸の調液におい
て、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメ
リット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボ
ン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン
酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、
3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボ
ン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテト
ラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテト
ラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)
メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタ
ン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0038】また、前記芳香族ジアミン成分としては、
m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4
−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,
4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタ
レン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ
ナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、
ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−
ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニル
エ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オ
キシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジ
アミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベン
ゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニ
ル)プロパン等が挙げられる。
【0039】また、前記有機極性溶媒としては、例え
ば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホス
ホルトリアミド等が挙げられる。これらの有機極性溶媒
には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレ
ノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン等の炭化水素類を混合することができる、これらの用
材も、1種単独で、又は2種類以上の混合物として用い
ることができる。
【0040】本発明においては、このようなポリアミッ
ク酸として、特に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と
芳香族ジアミンとの反応によって得られるポリアミック
酸が好ましく用いられる。より具体的には、ポリイミド
樹脂材料としては、DuPont(株)のカプトンHA
等のポリピロメリット酸イミド系のイミド樹脂材料、宇
部興産(株)のユーピレックスS等のポリビフェニルテ
トラカルボン酸イミド系樹脂材料、宇部興産(株)のユ
ーピレックスR、三井東圧化学工業(株)のLARC−
TPI(熱可塑性ポリイミド樹脂)等のポリベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸イミド酸系樹脂材料等が挙げら
れ、いずれも、ヤング率が300MPa(300kg/
mm2)以上であり、厚み70〜150μmで、ベルト
基材としての機械特性を満足させることができる。
【0041】また、本発明の中間転写体の基材として
は、例えば、宇部興産(株)のユーピレックスS等のポ
リビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカー
ボンブラックを分散した材料を用いると、該材料のヤン
グ率は、200MPa(200kg/mm2)以上であ
り、ベルトの厚み70〜100μmで、ベルト基材とし
ての機械特性を満足させることができる。
【0042】本発明の中間転写体が、ドラム形状である
場合には、前記基材としては、例えば、アルミニウム、
ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材
を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に
応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に前記表面層を形成
することができる。
【0043】<ダイナミックス硬度>本発明の中間転写
体は、転写面の硬度が、ダイナミックス硬度で10以下
であることが好ましく、5以下であることがより好まし
い。となることがある。前記ダイナミックス硬度とは、
金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース
硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法
はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する
方法によって求めることができる。試験荷重P(m
N)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μ
m)とした時、ダイナミックス硬度DHは下記式(3)
で定義される。 式(3) DH≡αP/D2 ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584
(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
【0044】このダイナミックス硬度は、圧子を押し込
んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さ
で、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状
態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、そ
の計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより
正確な硬度の測定が可能になる。本発明者らは、ここで
得られたダイナミックス硬度と、ホロキャラクターの発
生レベルには極めて正確な相関があることを発見した。
即ち、中間転写体の転写面のダイナミックス硬度が好ま
しくは10以下、より好ましくは5以下の場合には、上
述した二次転写部において、バイアスローラの押圧力に
よって中間転写体の転写面の変形が起こり、これにより
中間転写体上のトナーに集中していた押圧力は分散され
る。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けす
るホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。
【0045】尚、中間転写体の転写面におけるダイナミ
ックス硬度は、下記の方法によって求めた。転写面を構
成する材料(表面層)のシートを5mm角程度に切り、
その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の
表面のダイナミックス硬度を超微小硬度計DUH−20
1S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。測定
条件は、以下の通りである。 測定環境:23℃、55%RH 使用圧子:三角錐圧子 試験モード:3(軟質材料試験) 試験荷重:0.70gf 負荷速度:0.0145gf/sec 保持時間:5sec
【0046】<表面抵抗率>本発明の中間転写体は、転
写面の表面抵抗率が1×1010〜1×1014Ω/□であ
ることが好ましく、1×1011〜1×1013Ω/□であ
ることがより好ましい。この表面抵抗率が1×1014Ω
/□より高い場合には、一次転写部の像担持体と中間転
写体とが剥離するポストニップ部で剥離放電が発生し易
くなり、放電が発性した部分は、白抜けする画質欠陥が
発生することがある。一方、該表面抵抗率が1×1010
Ω/□未満の場合には、プレニップ部での電界強度が強
くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生し易くな
るために画質の粒状性が悪化することがある。従って、
前記表面抵抗率を、上記範囲とすることで、表面抵抗率
が高い場合に発生する放電による白抜け、表面抵抗率が
低い場合に発生する画質の悪化を防止することができ
る。
【0047】本発明の中間転写体において、転写面の表
面抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイ
レスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K
6991に従って測定することができる。前記表面抵抗
率の測定方法を図を用いて説明する。図7は、円形電極
の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)で
ある。図7に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板
状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状
電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径
を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状
のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aに
おける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁
体Bとの間に中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極
Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に
電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測
定し、下記式(4)により、中間転写体Tの転写面の表
面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここ
で、下記式(4)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外
径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示
す。 式(4) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0048】<体積抵抗率>本発明の中間転写体は、体
積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmであることが
好ましく、1×109〜1×1012Ωcmであることが
より好ましい。この体積抵抗率が1×108ΩCm未満
である場合には、像担持体から中間転写体に転写された
未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにく
くなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付
近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが
飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成
されることがある。一方、前記体積抵抗率が1×1013
Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいため
に、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電する
ために除電機構が必要となることがある。従って、前記
体積抵抗率を、上記範囲とすることで、トナーが飛散し
たり、除電機構を必要とする問題を解消することができ
る。
【0049】本発明の中間転写体において、体積抵抗率
は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスター
IPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従
って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法
を図を用いて説明する。図8は、円形電極の一例を示す
概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図8に
示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加
電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状
電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい
内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む
円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加
電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部
D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体Tを挟
持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’
と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可し
たときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(5)に
より、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出
することができる。ここで、下記式(5)中、tは中間
転写体Tの厚さを示す。 式(5) ρv=19.6×(V/I)×t
【0050】上記構成の本発明の中間転写体は、転写電
圧による抵抗の低下がなく、経時による形状の変形等の
問題がなく、かつ、電界依存性がなく、環境による電気
抵抗の変化が少ないという優れた性質を有する。上記本
発明の中間転写体は、電子写真複写機やレーザープリン
タ等の画像形成装置に用いることができる。
【0051】[画像形成装置]本発明の画像形成装置
は、画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナ
ー像として可視化する現像装置と、前記像担持体に担持
されたトナー像を中間転写体上に転写する一次転写手段
と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する二
次転写手段とを有する画像形成装置であって、前記中間
転写体が、上記本発明の中間転写体であることを特徴と
する。本発明の画像形成装置は、上記本発明の中間転写
体を備えているため、高品質の転写画質を安定して得る
ことができる。
【0052】本発明は、中間転写体方式の画像形成装置
であれば、特に限定されるものではない。例えば、現像
装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー
画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持さ
れたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカ
ラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担
持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー
画像形成装置等のいずれでもよい。
【0053】本発明のベルト状中間転写体を用いたカラ
ー画像形成装置の概略図を図1に示す。該画像形成装置
は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体とし
ての中間転写ベルト2、転写電極であるバイアスローラ
3(第二転写手段)、転写媒体である記録紙を供給する
用紙トレー4、Bk(ブラック)トナーによる現像器
5、Y(イエロー)トナーによる現像器6、M(マゼン
タ)トナーによる現像器7、C(シアン)トナーによる
現像器8、中間転写体クリーナー9、剥離爪13、ベル
トローラ21、23及び24、バックアップローラ2
2、導電性ローラ25(第一転写手段)、電極ローラ2
6、クリーニングブレード31、記録紙41、ピックア
ップローラ42、並びにフィードローラ43を有してな
る。
【0054】図1において、感光体ドラム1は矢印A方
向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯
電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書込み
装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、B
k)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック
現像器5によってトナー現像されて可視化されたトナー
像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム1の回
転で導電性ローラ25(第一転写手段)が配置された一
次転写部に到り、導電性ローラ25からトナー像Tに逆
極性の電界を作用させることにより、上記トナー像T
は、静電的に中間転写ベルト2に吸着されつつ中間転写
ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
【0055】以下、同様にして第2色のトナー像、第3
色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間
転写ベルト2において重ね合わされ、多重トナー像が形
成される。中間転写ベルト2に転写された多重トナー像
は、中間転写ベルト2の回転でバイアスローラ3(第二
転写手段)が設置された二次転写部に到る。二次転写部
は、中間転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に
設置されたバイアスローラ3と該中間転写ベルト2の裏
側からバイアスローラ3に対向するように配置されたバ
ックアップローラ22及びこのバックアップローラ22
に圧接して回転する電極ローラ26から構成される。
【0056】記録紙41は、用紙トレー4に収容された
記録紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出
され、フィードローラ43で二次転写部の中間転写ベル
ト2とバイアスローラ3との間に所定のタイミングで給
送される。給送された記録紙41は、バイアスローラ3
及びバックアップローラ22による圧接搬送と中間転写
ベルト2の回転により、該中間転写ベルト2に担持され
たトナー像が転写される。
【0057】トナー像が転写された記録紙41は、最終
トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13
を作動せることにより中間転写ベルト2から剥離され、
図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナ
ー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の
記録紙41への転写の終了した中間転写ベルト2は、二
次転写部の下流に設けた中間転写体クリーナ9で残留ト
ナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイア
スローラ3は、ポリウレタン等からなるクリーニングブ
レード31が常時当接するように取り付けられており、
転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去され
る。
【0058】単色画像の転写の場合、一次転写されたト
ナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、
複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色
のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転
写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色
のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部で
は、バイアスローラ3と中間転写ベルト2を介して対向
配置したバックアップローラ22に圧接した電極ローラ
26に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を
印加することで、該トナー像を記録紙41に静電反発で
転写する。
【0059】尚、上述のように、本発明は、中間転写体
がドラム形状の場合であっても、該ドラム状中間転写体
を中間転写ドラム方式の画像形成装置に転用することが
できる。中間転写ドラム方式の一例を図2に示す。図2
は、中間転写ドラムを備えたカラー画像形成装置の概要
図である。中間転写ドラム30が前記中間転写ベルト2
に対応する。また、ベルトローラ21、23及び24は
当然不要となり、バックアップローラ22に対応する電
極部材は必ずしも必要ではない。かかる構成からなるカ
ラー画像形成装置は、図1に示す画像形成装置とほぼ同
様に動作するので、その作用の説明を省略する。
【0060】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、以下の説明において、「部」は総て「重量部」を意
味する。 (実施例1) [基材の作製]宇部興産(株)製耐熱皮膜用ポリイミド
UワニスAに樹脂成分100部に対して、電子伝導性導
電剤であるカーボンブラック16部をミキサーにより混
合した。得られた基材形成溶液を円筒金型に注入して、
100℃から200℃に段階的に昇温して加熱しつつ、
500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転さ
せ、遠心成形法によりフィルム状に成膜した。次いで、
得られた半硬化した状態のフィルムを350℃の高温で
ポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行さ
せて本硬化を行い、表面抵抗率が1×1011.7Ω/□、
体積抵抗率が1×109.8Ωcmであり、厚さ90μ
m、幅350mm、外径168mmの基材であるポリイ
ミド無端ベルトを作製した。
【0061】[表面層の形成]以下に記載の表面層形成
成分1をサンドミルで混合した。この表面層形成成分1
00部をキシレン100部に希釈して、粘度調整を行
い、導電性塗料を調製した。この導電性塗料を上記で得
られたポリイミド無端ベルトの表面にコーティングし
て、160℃で30分間加熱し、基材上に50μm厚の
表面層を形成した中間転写ベルト(中間転写体)を作製
した。
【0062】 −表面層形成成分1− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・フッ素樹脂粉末(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製) ・・・ 10部 ・電子伝導性導電剤:カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・ 5部 (ACCUFLUOR2028、ALLIED社製) ・イオン伝導性導電剤:界面活性剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1部 (ノニオンHS−240、日本油脂化学(株)製) 得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵抗率は1×1
12.1Ω/□、体積抵抗率は1×1010.5Ωcmであっ
た。
【0063】(実施例2)実施例1において、表面層形
成成分1を以下に記載の表面層形成成分2に代え、20
μm厚の表面層を形成した以外は、実施例1と同様にし
て中間転写ベルト(中間転写体)を作製した。
【0064】 −表面層形成成分2− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・フッ素樹脂粉末(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製) ・・・ 25部 ・電子伝導性導電剤:カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・ 6部 (ACCUFLUOR2028、ALLIED社製) ・イオン伝導性導電剤:界面活性剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1部 (ノニオンHS−240、日本油脂化学(株)製) 得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵抗率は1×1
11.9Ω/□、体積抵抗率は1×1010Ωcmであっ
た。
【0065】(実施例3)実施例1において、表面層形
成成分1を以下に記載の表面層形成成分3に代え、20
μm厚の表面層を形成した以外は、実施例1と同様にし
て中間転写ベルト(中間転写体)を作製した。
【0066】 −表面層形成成分3− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・フッ素樹脂粉末(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製) ・・・ 10部 ・電子伝導性導電剤:カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・ 4部 (FW200、テグサ社製) ・イオン伝導性導電剤:界面活性剤 ・・・・・・・・・・・・・・ 1.5部 (ノニオンHS−240、日本油脂化学(株)製) 得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵抗率は1×1
11.8Ω/□、体積抵抗率は1×1010.2Ωcmであっ
た。
【0067】(比較例1)実施例1における[基材の作
製]と同様の方法により、ポリイミド無端ベルトを作製
し、表面層を形成せずに、これを中間転写ベルト(中間
転写体)とした。
【0068】(比較例2)実施例1において、表面層形
成成分1を以下に記載の表面層形成成分4に代え、30
μm厚の表面層を形成した以外は、実施例1と同様にし
て中間転写ベルト(中間転写体)を作製した。
【0069】 −表面層形成成分4− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・フッ素樹脂粉末(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製) ・・・ 30部 ・電子伝導性導電剤:カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・ 5部 (VolcanXC−72、キャボット社製) 得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵抗率は1×1
12.1Ω/□、体積抵抗率は1×109.8Ωcmであっ
た。
【0070】(比較例3)イオン導電性ポリマーとし
て、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型ポリ
マーである三洋化成工業(株)製のペレスタット632
1(商品名)20部を、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)樹脂100部に2軸押出機を用いて混練してペレッ
トを得た。次に、このペレットを用いて220℃の加熱
温度で、1軸押出機にて、チューブ形状に成型し、厚み
150μm、幅350mm、外径168mmの無端ベル
ト(基材)を作製し、表面層を形成せずに、これを中間
転写ベルト(中間転写体)とした。得られた中間転写ベ
ルトの転写面の表面抵抗率は1×1012.3Ω/□、体積
抵抗率は1×1012.5Ωcmであった。
【0071】(比較例4)2軸押出機を用いて、ポリカ
ーボネート樹脂100部に電子伝導性導電剤であるカー
ボンブラック12部を混練して、ポリカーボネート樹脂
ペレットを得た。次に、この樹脂ペレットを1軸押出機
を用いて、チューブ形状に押出成形して、厚み150μ
m、幅350mm、外径168mmの無端ベルト(基
材)を作製し、表面層を形成せずに、これを中間転写ベ
ルト(中間転写体)とした。得られた中間転写ベルトの
転写面の表面抵抗率は1×1011.8Ω/□、体積抵抗率
は1×1010.4Ωcmであった。
【0072】(比較例5)2軸押出機を用いて、ETF
E樹脂100部に電子伝導性導電剤であるカーボンブラ
ック14部を混練して、ETFE樹脂ペレットを得た。
次に、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、チュー
ブ形状に押出成形して、厚み150μm、幅350m
m、外径168mmの無端ベルト(基材)を作製し、表
面層を形成せずに、これを中間転写ベルト(中間転写
体)とした。得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵
抗率は1×1011.5Ω/□、体積抵抗率は1×109.3
Ωcmであった。
【0073】(比較例6)実施例1における[基材の作
製]と同様の方法により、基材を作製した。この基材上
に、以下に記載の中間層形成成分1及び表面層形成成分
5を用いて、実施例1における[表面層の形成]と同様
の方法により、電子伝導性導電剤を含有する30μm厚
の中間層とイオン伝導性導電剤を含有する20μm厚の
表面層とを順次積層し、中間転写ベルト(中間転写体)
を作製した。
【0074】 −中間層形成成分1− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・電子伝導性導電剤:カーボンブラック ・・・・・・・・・・・・・・13部 (VolcanXC−72、キャボット社製)
【0075】 −表面層形成成分5− ・結着樹脂:ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80部 (バイロン30SS、東洋紡(株)製) ・結着樹脂:メラミン樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 (スーパーベッカミンG−821−60、東洋紡(株)製) ・フッ素樹脂粉末(ルブロンL−5、ダイキン工業(株)製) ・・・ 30部 ・イオン伝導性導電剤:界面活性剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 1部 (ノニオンHS−240、日本油脂化学(株)製) 得られた中間転写ベルトの転写面の表面抵抗率は1×1
12.1Ω/□、体積抵抗率は1×109.8Ωcmであっ
た。
【0076】上記実施例1〜3及び比較例1〜6で得ら
れた中間転写体について、表面抵抗率、体積抵抗率、表
面抵抗率の面内バラツキ(最大値と最小値との差)、表
面抵抗率の28℃85%RHの高温高湿環境(H/H環
境)と10℃15%RHの低温低湿環境(L/L環境)
での抵抗変動幅、転写面における水の接触角、転写面に
おけるダイナミックス硬度、画質(ホロキャラクタ
ー)、葉書を1000枚連続コピー後、表面抵抗率の低
下量、及び葉書を1000枚連続コピー後、マゼンタ3
0%のハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況を
評価した。これらの結果を下記表1に示す。
【0077】<表面抵抗率>表面抵抗率の計測は、上述
したように、図7に示す円形電極(三菱油化(株)製ハ
イレスターIPのHRプローブ)を用い、第一電圧印加
電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの
間に電圧100(V)を印可し、10秒後の電流値より
求めた。
【0078】<体積抵抗率>体積抵抗率の計測は、上述
したように、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスター
IPのHRプローブ)を用い、第一電圧印加電極A’に
おける円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間
に電圧100(V)を印可し、30秒後の電流値より求
めた。
【0079】<表面抵抗率の面内バラツキ>表面抵抗率
の面内バラツキ(最大値と最小値との差)は、作製した
外径168mm、幅350mmの中間転写ベルトを長さ
方向に8分割、幅方向に3分割し、ベルト面内24点に
ついて表面抵抗率を計測し、表面抵抗率の対数をとり、
最大値と最小値との差をばらつき(ΔR)とした。
【0080】<水の接触角>水の接触角は、作製した中
間転写ベルト表面に水滴をおき、ベルトとの接触角を計
測した。 <基材のヤング率>JISK6251に準じて、中間転
写ベルトをJIS3号形状に打ち抜き、引張試験に供し
た。得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接
線を引き、その傾きによりヤング率を求めた。
【0081】<画質(ホロキャラクター)の評価>上記
で得られた各中間転写ベルトを、カラー画像形成装置
(富士ゼロックス製Color Laser Wind
改造機)に取り付け、画像形成を行い、画質(ホロキャ
ラクター)について、以下の基準により評価した。 ◎:ホロキャラクターの発生なし ○:ホロキャラクターの発生が僅かにあるが、画質上で
の問題なし ×:ホロキャラクターの発生があり、画質上での問題あ
【0082】<白抜けの評価>葉書を1000枚連続コ
ピー後、マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時
の白抜け発生状況について、以下の基準により評価し
た。 ○:白抜けの発生なし ×:白抜けの発生があり、画質上での問題あり
【0083】
【表1】
【0084】表1の結果から、本発明の実施例1〜3の
中間転写ベルトは、表面抵抗率のばらつきがなく、高温
高湿(H/H)環境と低温低湿(L/L)環境での表面
抵抗率の環境変動が少なく、優れた画質を長期にわたり
安定して得ることができた。一方、比較例1は、転写面
のダイナミックス硬度が28と硬いために、ホロキャラ
クターに問題があった。比較例2は、表面層に、電子伝
導性導電剤のみを分散しているため、ベルト面内の表面
抵抗率のばらつき(ΔR)が1.2桁(logΩ/□)
と大きい問題がある。比較例3のイオン導電性ポリマー
分散の中間転写ベルトは、高温高湿(H/H)環境と低
温低湿(L/L)環境での表面抵抗率の環境変動が1.
8桁と大きい問題がある。また、比較例4のカーボンブ
ラック分散のポリカーボネートからなる中間転写ベル
ト、及び比較例5のカーボンブラック分散のETFE樹
脂からなる中間転写ベルトは、葉書を1000枚連続コ
ピー後、マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時
の用紙走行部の表面抵抗率が2桁以上低下しており、用
紙走行部に白抜けが発生した。比較例6は、高温高湿
(H/H)環境と低温低湿(L/L)環境での表面抵抗
率の環境変動が1.7桁と大きい問題がある。
【0085】図3は、上記実施例1〜3及び比較例1〜
5の中間転写ベルトの転写面のダイナミックス硬度と画
質(ホロキャラクター)の評価結果との関係を示す図で
ある。中間転写ベルトの転写面のダイナミックス硬度が
10以下の場合には、ホロキャラクターの発生はなかっ
た。また、ダイナミックス硬度が20以下の場合には、
わずかにホロキャラクターの発生が認められたが、画質
上問題となるレベルではなかった。
【0086】図3におけるホロキャラクターグレイド
は、以下のレベルに区分した。 グレイド0:ホロキャラクターの発生なし グレイド1:ホロキャラクターの発生僅かにあり グレイド2:ホロキャラクターの発生あり
【0087】図5は、葉書を1000枚連続コピー後、
マゼンタ30%のハーフトーンをコピーした時の白抜け
発生状況を示す説明図である。10℃15%RHの低温
低湿環境下において、用紙(葉書)を連続走行して、表
面抵抗率が、周囲の表面抵抗率より、1.1桁(log
Ω/□)以上低くなると、前記したハーフトーン(マゼ
ンタ30%)において、白ぬけが発生した。
【0088】図6は、中間転写体の二次転写部の表面抵
抗率の低下を説明する図である。二次転写直後におい
て、中間転写ベルト2表面はプラス側に帯電し、記録紙
41のベルト側は、マイナス側に帯電しているため、中
間転写ベルト2と記録紙41との間で剥離放電が発生
し、中間転写ベルト2表面を劣化させ、表面抵抗が低下
する。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、転写電圧による抵抗の
低下がなく、経時による形状の変形等の問題がなく、か
つ、電界依存性のない、環境による電気抵抗の変化の少
ない中間転写体を提供することができる。また、本発明
によれば、前記中間転写体を備え、高品質の転写画質を
安定して得ることができる画像形成装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のベルト状中間転写体を用いたカラー
画像形成装置を示す概略図である。
【図2】 本発明のドラム状中間転写体を用いたカラー
画像形成装置を示す概略図である。
【図3】 転写面のダイナミックス硬度とホロキャラク
ターとの関係を示す図である。
【図4】 表面エネルギーの尺度となる接触角を示す試
験片平面と水滴との概略断面図である。
【図5】 1000枚連続コピー後の用紙走行部の白抜
け発生状況を示す説明図である。
【図6】 中間転写体の二次転写部の表面抵抗率の低下
を説明する図である。
【図7】 表面抵抗率の計測方法を示す図である。
【図8】 体積抵抗率の計測方法を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体) 2 中間転写ベルト(中間転写体) 3 バイアスローラ(第二転写手段) 4 用紙トレー 5 ブラック現像器 6 イエロー現像器 7 マゼンタ現像器 8 シアン現像器 9 中間転写体クリーナ 10 転写ローラ 13 剥離爪 14 搬送ベルト 16 感光体クリーナ 21 ベルトローラ 22 バックアップローラ 23 ベルトローラ 24 ベルトローラ 25 導電性ローラ(第一転写手段) 26 電極ローラ 30 中間転写ドラム 31 クリーニングブレード 41 記録紙 42 ピックアップローラ 43 フィードローラ T トナー像
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に少なくとも表面層を有する中間
    転写体であって、該表面層が、電子伝導性を付与する導
    電剤とイオン伝導性を付与する導電剤とを含有すること
    を特徴とする中間転写体。
  2. 【請求項2】 中間転写体の転写面の硬度が、ダイナミ
    ックス硬度で10以下である請求項1に記載の中間転写
    体。
  3. 【請求項3】 前記電子伝導性を付与する導電剤が、表
    面をフッ化処理してなるカーボンブラックである請求項
    1又は2に記載の中間転写体。
  4. 【請求項4】 前記イオン伝導性を付与する導電剤が、
    陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界
    面活性剤、及び非イオン界面活性剤から選択される少な
    くとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の中
    間転写体。
  5. 【請求項5】 前記表面層が、低表面エネルギーの材料
    を含有する請求項1から4のいずれかに記載の中間転写
    体。
  6. 【請求項6】 前記表面層が、水との接触角が85°以
    上である材料を含有する請求項1から5のいずれかに記
    載の中間転写体。
  7. 【請求項7】 前記表面層が、フッ素樹脂粉末を分散し
    てなる弾性を有する材料を含有する請求項1から6のい
    ずれかに記載の中間転写体。
  8. 【請求項8】 前記基材が、ヤング率200MPa以上
    の材料を含有する請求項1から7のいずれかに記載の中
    間転写体。
  9. 【請求項9】 前記基材が、導電剤が分散されたポリイ
    ミド樹脂を含有する請求項1から8のいずれかに記載の
    中間転写体。
  10. 【請求項10】 中間転写体の転写面の表面抵抗率が、
    1×1010〜1×1014Ω/□である請求項1から9の
    いずれかに記載の中間転写体。
  11. 【請求項11】 中間転写体の体積抵抗率が、1×10
    8〜1×1013Ωcmである請求項1から10のいずれ
    かに記載の中間転写体。
  12. 【請求項12】 ベルト形状である請求項1から11の
    いずれかに記載の中間転写体。
  13. 【請求項13】 ドラム形状である請求項1〜7、1
    0、及び11のいずれかに記載の中間転写体。
  14. 【請求項14】 画像情報に応じた静電潜像を形成する
    像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナ
    ーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記像
    担持体に担持されたトナー像を中間転写体上に転写する
    一次転写手段と、該中間転写体上のトナー像を記録媒体
    に転写する二次転写手段とを有する画像形成装置におい
    て、前記中間転写体が、請求項1から13のいずれかに
    記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装
    置。
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