JP2006053257A - 中間転写体および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有する中間転写体であって、
無機系充填材および/または無機系導電剤を含み、
前記表面層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率A(体積%)と、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率B(体積%)とが、0≦A<B、の関係を有することを特徴とする中間転写体である。
また、当該中間転写体を具備する画像形成装置である。
【選択図】 なし
Description
また、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドを用いたシームレスベルトも提案されている(例えば、特許文献12参照)。
さらに、ポリイミドを主な構成材料とする層を有し、該ポリイミド層にはポリアニリンと該ポリアニリンを導電化することができるドーパンとを含み、さらに補強材として充填材が添加されてなる中間転写体が提案されている(例えば、特許文献13参照)。
これらのタイプの中間転写体では、表面のダイナミック微小硬度が30以上であり、機械特性に優れており、駆動時の応力に対するベルト変形がなく、色ずれのない高品質の転写画質が安定して得られる。しかし、転写部において、導電性フィラーを分散したポリイミド樹脂製のベルトは、機械特性に優れるために、バイアスローラを用いて記録媒体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写する2次転写部でのバイアスローラによる押圧力による変形が少ないので、バイアスローラによる押圧力が集中する。このためトナーが凝集し、電荷密度が高くなることによってトナー層内部放電を起こし、トナー極性を変化させる等の原因によって、ライン画像が中抜けする(ホロキャラクター)画質欠陥を発生させる問題があった。
このタイプの中間転写体では、表面のダイナミック微小硬度は測定点を平均すると22乃至28である。フィラーが表面近傍の直下にない場合のダイナミック微小硬度は20乃至25であるが、フィラーが表面近傍の直下にある場合のダイナミック微小硬度は30もしくは30に近い値となる。このため、全体としてはライン画像が中抜けする(ホロキャラクター)の画質欠陥は改善されるが、部分的には軽微ながら発生する場合があった。
このタイプの中間転写体では、特許文献14のベルトに比べて機械特性は多少劣るが、装置設計で対応する事により、実用的には駆動時の応力に対するベルト変形を少なくする事が可能であり、色ずれのない高品質の転写画質が安定して得られる。しかし、表面のダイナミック微小硬度に関しては、特許文献16の転写ベルトと同様な問題を抱える。
すなわち、本発明は、ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有する中間転写体であって、
さらに、無機系充填材および/または無機系導電剤を含み、
前記表面層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率A(質量%)と、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率B(質量%)とが、0≦A<B、の関係を有することを特徴とする中間転写体である。
(1)第1の態様は、少なくとも、前記表面層に高分子導電材が含有されてなり、前記高分子導電材がポリアニリン及び該ポリアニリンを導電化することができるドーパントを含む態様である。
(2)第2の態様は、少なくとも、一方の面側のダイナミック微小硬度が22以下である態様である。
(3)第3の態様は、前記ポリアニリンの数平均分子量が4000〜400000である態様である。
(4)第4の態様は、前記ポリアニリンの添加量が、前記ポリイミド樹脂の3〜30質量%である態様である。
(5)第5の態様は、表面抵抗率が1×1010〜1×1014Ω/□、体積抵抗率が1×108〜1×1014Ωcmである態様である。
(6)第6の態様は、前記基層の引張り弾性率が2.5GPa以上である態様である。
(7)第7の態様は、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率が、0.1〜25体積%である態様である。
(8)第8の態様は、湿度膨張係数が60ppm/RH%以下である態様である。
前記中間転写体が、ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有し、さらに、無機系充填材および/または無機系導電剤を含み、
前記表面層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率A(体積%)と、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率B(体積%)とが、0≦A<B、の関係を有することを特徴とする画像形成装置である。
具体的には、ホローキャラクタ状の画質欠陥や、吸湿により中間転写体(ベルト)に発生した「しわ」に起因するような白抜け状の画質欠陥の発生を押さえた中間転写体を提供することができる。また、経時変化も含めて、安定した電気的特性を持ち、機械的特性に優れ、使用中のストレスによる性能変化が少なく、工業的に安定して製造できる中間転写体を提供することができる。
そして、かかる中間転写体を使用することで、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の中間転写体は、ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有する中間転写体であって、さらに、無機系充填材および/または無機系導電剤を含む。
すなわち、表面側領域よりも中央部領域の無機添加剤の含有率を大きくすることで、中間転写体全体の機械的強度を確保した上で、表面側領域のダイナミック微小硬度を小さくすることができる。
表面層用塗工液、基層用塗工液、必要に応じて裏面用塗工液を公知の方法によりTダイを用いて、剥離可能な基材、例えばステンレス製のエンドレスベルト上へ2層または3層同時押出し成形により長尺のフィルム状に成形した後、公知の方法によりイミド化してポリイミドフィルムとし、適当な長さに切断し、対向する辺同士を接合手段により接合して無端ベルトを得る。このとき、転写面となる表面層をステンレス面上となるように塗工すると、グロスのある良好な面とする事ができる。また、2層または3層同時に押出し成型せず1層ずつ押出し成型し、半乾燥後巻取り、さらにその上に次の塗工液を押出し成型し、半乾燥させ、必要回数繰返し、必要とする長尺用フィルムに成型した後、公知の方法によりイミド化してポリイミドフィルムとしてもよい。
なお、裏面用塗工液は、表面層が形成される側とは反対側の基層上に裏面層を形成するために使用される。
表面用塗工液を公知の方法により円筒形金型の内部に塗布した後、金型を回転することにより膜厚を平準化し、半乾燥させた後、次に同様の方法で基層用塗工液、必要に応じて裏面用塗工液を順次塗布、乾燥させて、円筒状フィルムを得た後、公知の方法によりイミド化して無端ベルト状ポリイミドフィルムを得る。
,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等を挙げることができる。これらも、単独で用いられてもよく、また、複数が併用されてもよい。
また、無機系導電剤としては、カーボンブラック等が挙げられる。
ポリアニリンの数平均分子量が4,000乃至400,000の範囲では、得られたフィルムの力学特性を損なうことなく適切に導電化することができる。数平均分子量が4,000未満では得られたフィルムの力学特性が低下することがある。また、数平均分子量が400,000を超えると、ポリアニリンの溶解性が低下するため、得られたフィルムの表面性が悪化し、電子写真用中間転写体として必要な表面性を確保できなくなる懸念が生じることがある。
湿度膨張率が60ppm/RH%以下であれば、中間転写体の使用中に湿度が上昇した場合にも良好な性能を発揮することができる。湿度膨張率が60ppm/RH%を超えると、中間転写体が装置内に実装されており、かつ中間転写体が停止している状態で湿度が上昇した場合、例えばロールによって保持されている部分では膨張が規制されるのに対し、保持部と保持部の間では湿度膨張率に従って自由に膨張することができる。従ってこの場合、膨張差を吸収するために中間転写体にしわが発生しやすくなる。この状態では中間転写体として必要な表面平坦性が確保されていないため、画質上の問題が発生する。
本発明の画像形成装置は、画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記像担持体上に担持されたトナー像が一次転写される中間転写体とを備える。そして、当該中間転写体として、既述の本発明の中間転写体を使用している。
本発明の中間転写体を画像形成装置に適用することで、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
この静電潜像は現像装置10Yによってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム5Yの回転により一次転写部に到り、一次転写ロール7Yからトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に転写ベルト2に吸着されつつ反時計方向に回転する転写ベルト1に一次転写される。
以下、同様にして第二色のトナー像(M)、第3色のトナー像(C)、第4色のトナー像(K)が順次形成され転写ベルト1において重ね合わせられ、多重トナー像が形成される。
二次転写部は転写ベルト1のトナー像が担持された表面側に設置された二次転写ロール7と当該転写ベルト1の裏側から二次転写ロール7に対向するごとく配置されたバックアップロール8およびこのバックアップロール8に圧接して回転するコンタクトロール9から構成される。
記録紙12は記録紙トレー(図示せず)に収容された記録紙束からピックアップローラ(図示せず)で一枚ずつ取り出され、フィードロール(図示せず)で二次転写部の転写ベルト1と二次転写ロール7との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録紙12は二次転写ロール7とバックアップロール8による圧接搬送と転写ベルト1の回転で当該転写ベルト1に担持されたトナー像が転写される。
なお、多重トナー像の記録紙12への転写の終了した転写ベルト1は二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ11で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、二次転写ロール7はブラシクリーニング(図示せず)により、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように転写ベルト1と感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kとの回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
上記二次転写部では、二次転写ロール7と転写ベルト1を介して対向配置したバックアップロール8に圧接したコンタクトロール9にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することで当該トナー像を記録紙12に静電反発で転写する。
同図において、感光体ドラム5は時計方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム5にレーザー書き込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えばY)の静電潜像が形成される。
この静電潜像は現像装置10Yによってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム5の回転により一次転写部に到り、一次転写ロール6からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に転写ベルト1に吸着されつつ反時計方向に回転する転写ベルト1に一次転写される。
以下、同様にして第二色のトナー像(M)、第三色のトナー像(C)、第四色のトナー像(K)が順次形成され転写ベルト1において重ね合わせられ、多重トナー像が形成される。
転写ベルト1に転写された多重トナー像は転写ベルト1の回転で二次転写ロール7が設置された二次転写部に到る。
二次転写部は転写ベルト1のトナー像が担持された表面側に設置された二次転写ロール7と当該転写ベルト1の裏側から二次転写ロール7に対向するごとく配置されたバックアップロール8およびこのバックアップロール8に圧接して回転するコンタクトロール9から構成される。
記録紙12は記録紙トレー(図示せず)に収容された記録紙束からピックアップローラ(図示せず)で一枚ずつ取り出され、フィードロール(図示せず)で二次転写部の転写ベルト1と二次転写ロール7との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録紙12は二次転写ロール7とバックアップロール8による圧接搬送と転写ベルト1の回転で当該転写ベルト1に担持されたトナー像が転写される。
なお、多重トナー像の記録紙12への転写の終了した転写ベルト1は二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ11で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、二次転写ロール7はブラシクリーニング(図示せず)により、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように転写ベルト1と感光体ドラム5との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
上記二次転写部では、二次転写ロール7と転写ベルト1を介して対向配置したバックアップロール8に圧接したコンタクトロール9にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することで当該トナー像を記録紙12に静電反発で転写する。
<ポリアニリン溶液(A)の作製>
DMAcに、所定の分子量を持つポリアニリン粉末(比較例3の場合、分子量が約200,000、比較例3以外の場合は、分子量が約20,000)、ドーパント(パラフェノールスルホン酸)を加え、均一な溶液になるまで攪拌し、ポリアニリン溶液(A)を得た。
なお、ポリアニリン溶液(A)中のポリアニリンの濃度は5質量%であり、ドーパントの濃度は5質量%であった。
DMAc溶媒中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を溶解し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)を加え、窒素雰囲気下で、充分攪拌した。ODA:BPDA:PMDAの関係は1.00:0.55:0.45のモル比となるように調合し、ポリアミック酸溶液(B)を得た。
下記表1及び表2に記載の層を形成するように、ポリアミック酸溶液(B)にポリアニリン溶液(A)、無機系導電剤としてのカーボンブラック、無機系充填材としてのフィラーを、単独もしくは混合して加え、混合し充分攪拌した後、脱気して表面層用、基層用、裏面用または単層用の種々の塗工液(C)を作製した。
なお、フィラーには金属酸化物の1種として、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「酸化スズ」ということがある。比重7.0g/ml)またはアンチモンドープ酸化チタン(以下、「酸化チタン」ということがある。比重5.0g/ml)を用いた。また、ここでは、カーボンブラックはポリアニリン溶液に代わる導電材(無機系導電剤)として用いている。
得られた各層用の塗工液(C)を、Tダイを用いてステンレス製のエンドレスベルト上へ1層、必要に応じて2層または3層同時押出し成形により長尺のフィルム状に成形し、120℃で30分間乾燥した後、300℃で15分間加熱してフィルム(D)を得た。塗工時の膜厚は、各層の膜厚が下記表1または表2に示す膜厚になるように適宜調整し、得られたフィルム(D)の総膜厚が80μmになるようにした。なお、フィルム(D)とは、実施例1〜5および比較例1〜8のそれぞれに係る中間転写体となる前の状態のものをいう。
フィルム(D)をベルト加工寸法に切り出し、図1〜図3に示した様に、基材の両端をパズルカットし、両端のパズルカットパターンを相互に噛合わせ、継目部を形成し、その上からフィルム状熱硬化性接着剤を用いて覆い、継目部を熱圧接着し、無端ベルト状の中間転写体とした。
なお、パズルカットパターンの凸部及び凹部の径は約1mmで「凸部の径<凹部の径」の関係にある。フィルム状熱硬化性接着剤は(株)スリーボンド社製のTB1650を5mm幅に切り出して使用した。
<表面層のダイナミック微小硬度>
フィルム(D)を6m角に切り、2層構成、3層構成の場合は表面層(転写面側)を上にして、その小片を瞬間接着剤でガラス板に固定した。この試料の表面層のダイナミック微小硬度を微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
ここで、「ダイナミック微小硬度」とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)とした時、ダイナミック微小硬度DH(mN/μm2)は下記式(1)で定義される。
式(1):DH=αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.014500gf/sec
保持時間:5sec
GPC(ゲルろ過クロマトグラフィ法)により、LiCl(塩化リチウム)を0.5質量%含有するDMAc溶液を溶媒として、ポリスチレン換算分子量として公知の方法により測定した。
中間転写体(ベルト)において表面抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社 アドバンテスト社製)と、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12およびレジテーブUFL MCP−ST03(何れも、株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。
この時、フィルム(D)の表面抵抗率をρs、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)=10.00なので、下記式(2)のようになる。
すなわち、式(2):ρs[Ω/□]=R×RCF(S)=R×10となる。
中間転写体(ベルト)において体積抵抗率の測定には、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社 アドバンテスト社製)と、接続部をR8340A用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTP12およびレジテーブUFL MCP−ST03(何れも、株式会社 ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。
この時、フィルム(D)の体積抵抗率をρv、中間転写体の厚さt(μm)、R8340A デジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の体積抵抗率補正係数をRCF(V)とすると、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによれば、RCF(V)=2.011なので、下記式(3)のようになる。
すなわち、式(3):ρv[Ω・cm]=R×RCF(V)×(10000/t)=R×2.111×(10000/t)となる。
図4に示した高速/多数枚出力型の画像形成装置に、無端ベルト状中間転写体(E−1)を装着し、500,000枚の電子写真像を転写した。転写終了後、ベルトを装置から取り外し、適当な間隔をあけて、周方向100mm長で切断し、測定用試料を得た。このシートを幅方向に略6等分する補助線を引き、それぞれの矩形の、略中央部分を測定した。なお、体積抵抗率の測定用試料は、表面抵抗率の測定用試料と共用しても良い。測定用試料は4枚用意し、合計24測定の結果を平均したものを、その試料の表面抵抗率、体積抵抗率とした。
試験前の表面抵抗率をRS0、試験後の表面抵抗率をRS1とすると、表面抵抗率の常用対数値の変化量ΔRSは次の式(4)で与えられる。
式(4):ΔRS=log(RS0)−log(RS1)
試験前の体積抵抗率をRV0、試験後の体積抵抗率をRV1とすると、表面抵抗率の常用対数値の変化量ΔRVは次の式(5)で与えられる。
式(5):ΔRV=log(RV0)−log(RV1)
単層フィルムまたは、別途、基層のみをフィルム状に成型し、10mm幅×200mm長に切断して試料とした。この時、200mm長を無端ベルトに加工した時の周方向にあわせた。標線間距離100mm、引張速度10mm/分として、JIS K7127に準じて測定を行い、引張弾性率を算出した。
フィルム(D)を、25.4mm幅×210mm長に切断して試料とした。この時、210mm長を無端ベルトに加工した時の周方向にあわせた。チャック間距離150mmとなるように保持した。フィルムに70g/cmのテンションを印加したまま、恒温高湿槽を用いて(a)35℃35RH%、(b)35℃85RH%、の環境に24時間放置放置した際のチャック間距離の差を0.001mmの単位まで測定する。ここでチャック間距離の差をDとすると、湿度膨張係数Hは次の式(6)で与えられる。
式(6):H(ppm/RH%)=D(mm)/145(mm)/(85−35)(RH%)
なお、測定を(a)→(b)3回、(b)→(a)3回の合計6回を交互に行い、平均値を測定値とした。
<抵抗率の均一性>
1本の中間転写体(ベルト)における、表面抵抗率および体積抵抗率ばらつきを調査した。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・表面抵抗率および体積抵抗率ばらつき≦0.1桁(好適)
「○」・・・表面抵抗率および体積抵抗率ばらつき≦0.2桁(使用上問題ない)
「△」・・・表面抵抗率および体積抵抗率ばらつき≦0.4桁(システムで対応が必要)
「×」・・・表面抵抗率および体積抵抗率ばらつき>0.4桁(不適)
画像形成装置で500,000枚出力後の、中間転写体(ベルト)の表面抵抗率と体積抵抗率の変化の割合を調査した。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・抵抗率の変化≦0.1桁(好適)
「○」・・・抵抗率の変化≦0.3桁(使用上問題ない)
「△」・・・抵抗率の変化≦1.0桁(システムで対応が必要)
「×」・・・抵抗率の変化>1.0桁(不適)
画像形成装置でY,M,C,Kの4版からなる画像を出力した時に4版で画像がずれを起こさないために必要な中間転写体(ベルト)の機械的強度としての引張弾性率を調査した。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・引張弾性率≧3.5GPa(好適)
「○」・・・引張弾性率≧2.5GPa(使用上問題ない)
「△」・・・引張弾性率≧2.3GPa(システムで対応が必要)
「×」・・・引張弾性率<2.3GPa(不適)
図4に示した高速/多数枚出力型の画像形成装置に、無端ベルト状中間転写体(E−1)を装着し、画質(ホローキャラクタおよび白抜け)を評価した。
太さの異なる線状画像を含む原稿を、画像形成装置で出力した時の、線状画像におけるホローキャラクタの発生レベルを調査した。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・ほとんど認められない。
「○」・・・軽微だが、部分的に発生。画質的にはほとんど気にならない。
「△」・・・断続的に発生し、原稿の種類によってはかなり目立つ。
「×」・・・多発し、現行の種類によらず目立つ。
画像形成装置の設置環境を22℃55RH%から28℃85RH%へ移動させた場合の、駆動ロール等の近傍部で発生する中間転写体(ベルト)の「しわ」による白抜けの発生レベルを調査した。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・「しわ」が発生せず、白抜けも発生しない。
「○」・・・若干の「しわ」が発生するが、白抜けには至らず、画質上問題ない。
「△」・・・「しわ」が発生し、軽微ながら白抜けが発生する。
「×」・・・中間転写体(ベルト)の全面に「しわ」が発生し、白抜けが多発する。
上記中間転写体としての評価を総合して、総合評価を行った。結果を下記表3に示す。
なお、表3中の評価指標は下記の通りである。
「◎」・・・好適
「○」・・・使用上問題ない
「△」・・・システムで対応が必要
「×」・・・不適
なお、図5に示す中低速/少数枚出力型の画像形成装置を用いても、表1〜表3と同様な結果が得られた。
2・・・帯状部材
2a・・・突出部
2b・・・基部
3・・・継目部
4・・・フィルム状熱硬化性接着剤
5・・・感光体ドラム
5Y・・・イエロー用感光体ドラム
5M・・・マゼンタ用感光体ドラム
5C・・・シアン用感光体ドラム
5K・・・ブラック用感光体ドラム
6・・・一次転写ロール
7・・・二次転写ロール
8・・・バックアップロール
9・・・コンタクトロール
10・・・現像部
10Y・・現像部(イエロー)
10M・・現像部(マゼンタ)
10C・・現像部(シアン)
10K・・現像部(ブラック)
11・・・ベルトクリーナ
12・・・記録紙
Claims (7)
- ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有する中間転写体であって、
無機系充填材および/または無機系導電剤を含み、
前記表面層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率A(体積%)と、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率B(体積%)とが、0≦A<B、の関係を有することを特徴とする中間転写体。 - 少なくとも、前記表面層に高分子導電材が含有されてなり、前記高分子導電材がポリアニリン及び該ポリアニリンを導電化することができるドーパントを含むことを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 少なくとも、一方の面側のダイナミック微小硬度が22以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記基層の引張り弾性率が2.5GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率が、0.1〜25体積%であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 湿度膨張係数が60ppm/RH%以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 画像情報に応じた静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記像担持体上に担持されたトナー像が一次転写される中間転写体とを備えた画像形成装置であって、
前記中間転写体が、ポリイミド樹脂を主材料とし、少なくとも表面層と基層とを有し、さらに、無機系充填材および/または無機系導電剤を含み、
前記表面層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率A(体積%)と、前記基層における前記無機系充填材および前記無機系導電剤の合計含有率B(体積%)とが、0≦A<B、の関係を有することを特徴とする画像形成装置。
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