JP4815750B2 - 中間転写ベルトおよび中間転写ベルトの製造方法 - Google Patents

中間転写ベルトおよび中間転写ベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、および該ポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなるポリイミドフィルム、そのポリイミドフィルムで構成された中間転写ベルトを備えた画像形成装置、そのポリイミドフィルム製造方法、およびその中間転写ベルト製造方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置の中には、無端状の中間転写ベルトが配備されたものがある(例えば、特許文献1等参照)。この中間転写ベルトが配備された画像形成装置では、像担持体の表面に静電潜像を形成した後、その静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像とし、次いで、像担持体と接して循環移動している中間転写ベルトにバイアス電圧を印加し、像担持体上のトナー像を中間転写ベルトに静電的に一旦転写(1次転写)させ、最終的に中間転写ベルト上のトナー像を記録紙上に転写(2次転写)および定着することで定着トナー像からなる画像を形成する。
中間転写ベルトは、フィルム状の基材を長尺なベルト体に裁断し、裁断したベルト体の両端をつなぎ合わせて無端状の部材されたものである。この中間転写ベルトに用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(特許文献2参照)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特許文献3および4参照)、ポリアルキレンフタレート(特許文献5参照)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特許文献6参照)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特許文献7参照)等の熱可塑性樹脂からなる導電性ベルトを用いる提案がなされている。
しかし、前記ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の熱可塑性樹脂の導電性材料は機械特性が劣るために、駆動時の応力に対するベルト変形が大きく、高品質の転写画質が安定して得られない。また、駆動時にベルト端部よりクラックが発生しベルトライフが短くなってしまう。
これに対し、機械的特性や耐熱性に優れた熱硬化性ポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散させてなる中間転写ベルトが提案されている(特許文献8及び9参照)。また、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドを用いた中間転写ベルトも提案されている(特許文献10参照)。
ところが、中間転写ベルトには1次転写の度にバイアス電圧が印加され、導電材として導電性フィラーやカーボンブラックを分散させた熱硬化性ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトでは、繰り返し行われるバイアス電圧の印加によって体積抵抗率あるいは表面抵抗率が低下し、高品質の転写画質が安定して得られないという欠点がある。また、導電性フィラーやカーボンブラックをポリイミド樹脂に分散させた場合、ベルト自体が脆くなり、クラックが発生しやすくなるなどの欠点もある。
そこで、これらの欠点を改善する新たな手段として、ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、およびポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなる中間転写ベルトが提案されている(特許文献11参照)。
特開昭62−206567号公報 特開平6−95521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開昭63−311263号公報 特開2001−109277号公報
しかしながら、特許文献11に記載されたポリアニリンを導電化するドーパントを含んだ中間転写ベルトは、ポリアニリンを安定領域に至るまで充分に導電化させておけば、特許文献8〜10に記載された導電性フィラーやカーボンブラックを分散させた中間転写ベルトに比べ、バイアス電圧の繰り返し印加によっても体積抵抗率や表面抵抗率は低下せず極めて安定しているが、導電化が不十分であると体積抵抗率や表面抵抗率はバイアス電圧の繰返し印加の有無にかかわらず時間と共に低下してしまうという問題がある。また、ポリアニリンを充分に導電化させるには長い時間が必要であるという問題もある。さらに、中間転写ベルトの製造時に、裁断したベルト体の両端をつなぎ合わせて無端状にするために熱圧着を行うと、加えた熱によってベルト体が収縮変形してしまい寸法精度が悪化し、高品質の転写画像が得られないという問題もある。
本発明は上記問題点を解決し、ポリアニリンが充分に導電化され抵抗率が安定したポリイミドフィルム、そのポリイミドフィルムで構成された中間転写ベルトを備えた画像形成装置、そのポリイミドフィルムを可能な限り短時間で製造する方法、および高品質の転写画像を得ることができる中間転写ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明のうちのポリイミドフィルムは、ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、およびそのポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなるポリイミドフィルムであって、
このポリイミドフィルムを30℃から徐々に加熱したときの、温度上昇に対する重量減少曲線において、30℃から最初の重量減少率変化の減少する変化点におえる重量減少率が−1.9%以上−1.4%以下の範囲内にあるものであることを特徴とする。
ポリイミドフィルムは通常オーブン等でベークされて完成されるものである。オーブンから出された直後のポリイミドフィルムには水分が含まれていないが、ポリイミドフィルムは吸湿性を有するものであるため、時間経過とともに水分を含んだものになる。一方、ポリイミドフィルムは、水分を含んだ状態で低温低湿下の環境におかれると、水分を放出する性質も有する。長時間、一般的な環境下(例えば温度22℃、湿度55%)におかれたポリイミドフィルムでは水分の含有量は安定しているが、そのポリイミドフィルムを徐々に加熱していくと、水分が放出されその分、重量が軽くなる。
また、ポリアニリンを含んでなるポリイミドフィルムでは、酸化されることによりポリアニリンが導電化される。ポリアニリンは吸湿特性を持っているため酸化にはある程度の水分が必要であるが、水分が過剰であると今度はポリアニリンやドーパントの残留イオン成分によりイオン伝導を引き起こし抵抗率が低下してしまう。
本発明においては、ポリイミドフィルムが使用される一般的な環境(温度22℃前後、湿度55%前後)を考慮し、30℃から最初の重量減少率変化の減少する変化点における重量減少率の許容範囲を規定している。すなわち、上記重量減少率が、−1.9%を下回るものであっても−1.4%を上回るものであっても、ポリイミドフィルムが使用される一般的な環境下では、ポリイミドフィルムの水分含有量が変動し、ポリイミドフィルムの抵抗率は不安定になる。言い換えれば、本発明のポリイミドフィルムによれば、一般的に使用される環境下では、ポリイミドフィルムの水分含有量は安定し、その結果、ポリイミドフィルムの抵抗率も安定する。
上記目的を解決する本発明のうちの画像形成装置は、像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより画像を形成する画像形成装置において、
トナー像が形成された上記像担持体に接触し、バイアス電圧が印加されてその像担持体から一旦トナー像の転写を受け、そのトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトを備え、
上記中間転写ベルトが、ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、およびそのポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなるポリイミドフィルムによって構成されたものであり、この中間転写ベルトを30℃から徐々に加熱したときの、温度上昇に対する重量減少曲線において、30℃から最初の重量減少率変化の減少する変化点における重量減少率が−1.9%以上−1.4%以下の範囲内にあるものであることを特徴とする。
本発明の画像形成装置によれば、バイアス電圧の印加を繰り返しても、上記中間転写ベルトの表面抵抗率および体積抵抗率は安定しており、高品質の転写画質が安定して得られる。
ここで、上記中間転写ベルトが、1010Ω/□以上1014Ω/□以下の表面抵抗率を有するとともに108Ω・cm以上1014Ω・cm以下の体積抵抗率を有するものであることや、
上記中間転写ベルトが、粒径0.1μm以上の充填材粒子が添加されてなるものであることが好ましい。
前者のものでは、より高品質の転写画質を得ることができ、後者のものでは、中間転写ベルトの伸縮が抑えられるとともに中間転写ベルトに十分な機械的強度が与えられ、安定したベルト走行が保証される。なお、前者では、100Vを印加した際の抵抗率で規定を行っている。
上記目的を解決する本発明のうちのポリイミドフィルムの製造方法は、ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、およびそのポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなるポリイミド化合物をフィルム状に成形する成形工程と、
上記成形工程によって成形されたフィルム状のポリイミド化合物を、温度が27℃以上であって湿度が70%以上の環境下に滞留させる高温高湿滞留工程とを有することを特徴とする。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法によれば、上記高温高湿滞留工程を実施することで、ポリイミドフィルムに含まれる水分量は短時間で安定したものになり、本発明のポリイミドフィルムを効率よく製造することができる。
上記目的を解決する本発明のうちの中間転写ベルトの製造方法は、像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより画像を形成する画像形成装置に配備され、トナー像が形成されたその像担持体に接触し、バイアス電圧が印加されてその像担持体から一旦トナー像の転写を受け、そのトナー像を記録媒体に転写する、無端状の中間転写ベルトの製造方法において、
ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、およびそのポリアニリンを導電化するドーパントを含んでなり、150℃以上の温度で複数の変化点を持つ示差熱曲線を描く示差熱特性を有するフィルム状のポリイミド化合物を、温度が27℃以上であって湿度が70%以上の環境下に滞留させる高温高湿滞留工程と、
上記高温高湿滞留工程を経たフィルム状のポリイミド化合物を長尺なベルト体に裁断する裁断工程と、
上記裁断工程において裁断されたベルト体の両端を接着剤によってつなぎ合わせ、つなぎ合わせた両端部を加熱する温度として、150℃以上、かつ、150℃に最も近い前記示差熱曲線の傾きが小さくなる変化点以下の温度範囲内の温度で加熱しながら圧着する熱圧着工程とを有することを特徴とする。
本発明の中間転写ベルトの製造方法によれば、高温高湿滞留工程を実施することで中間転写ベルトの抵抗率が短時間で安定したものになり、さらに、上記熱圧着工程を実施することで寸法精度のよい中間転写ベルトが得られる。すなわち、水分を含んだベルト体に熱圧着を行うと、ベルト体中の水分が放出されベルト体は幅方向に縮んでしまい表面にうねりが生じてしまう。ここで、熱圧着の温度が、150℃以上、かつ、150℃に最も近い前記示差熱曲線の傾きが小さくなる変化点以下の温度範囲内の温度であれば、幅方向に縮む収縮量と表面のうねりが抑えられ熱圧着されたベルト体が冷めると、ベルト体は置かれた環境中の水分を吸収し収縮した部分はもとの形状とほとんど同じ形状に戻り、良好な寸法精度に回復するが、熱圧着の温度がその温度を越えると、ベルト体は絶乾状態またはそれに近い状態になり、収縮した部分がもとの形状に戻りにくく、寸法精度が悪化したままになる。
本発明によれば、ポリアニリンが充分に導電化され抵抗率が安定したポリイミドフィルム、そのポリイミドフィルムで構成された中間転写ベルトを備えた画像形成装置、そのポリイミドフィルムを可能な限り短時間で製造する方法、および高品質の転写画像を得ることができる中間転写ベルトの製造方法を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のポリイミドフィルムの一実施形態である半導電性ポリイミドフィルムを示す図である。
図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1は、ポリイミドを主な構成材料とし、ポリアニリン、およびそのポリアニリンを導電化することができるドーパントを含んでなるものである。
ここで、図1に示す半導電性ポリイミドフィルムについて熱重量分析を行った結果について説明する。
図2は、図1に示す半導電性ポリイミドフィルムについて熱重量分析を行った結果を示
すグラフである。
この熱重量分析には、島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−50を用いた。ここでは、熱速度を毎分10度とし、室温から昇温させていき、30℃で20分間ホールドし、その後300℃まで昇温させた。また、窒素ガスは流さず空気中で測定した。温度と重量減少率データは1秒毎に取り込んだ。
図2に示すグラフの横軸は温度を示し、縦軸は重量減少率(%)を示す。この図2に示すグラフには、曲線の傾きが最初に極大となる点(a)を通る前記曲線の接線(c)と、この点(a)の次に曲線の傾きが極小となる点(b)を通る前記曲線への接線(d)との交点に相当する変化点wpを有する熱重量減少曲線が描かれている。この変化点wpは、30℃から最初の重量減少率変化の減少する変化点であり、この変化点wpの温度は140℃程度である。ここでは、この変化点wpに着目し、この変化点wpの温度(約140℃)における重量減少率を見てみると、およそ−1.65%である。30℃から最初の重量減少率変化の減少する変化点における重量減少率が−1.9%以上−1.4%以下の範囲内に入る半導電性ポリイミドフィルムであれば、このフィルムが使用される一般的な環境(温度22℃前後、湿度55%前後)下では、このフィルムの水分含有量は安定し、その結果、ポリイミドフィルムの抵抗率も安定する。
続いて、図1に示す半導電性ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
図3は、図1に示す半導電性ポリイミドフィルムの製造方法を示すフローチャートである。
図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1を製造するには、まず、成型工程(ステップS11)によってフィルム状のポリイミド化合物を得る。この成形工程では、ポリアミック酸、ポリアニリン、ドーパント及び溶媒が混合された塗工液を、例えば、剥離性の良好な基材(ステンレス製のエンドレスベルト等)上へTダイを用いて押出し成形することにより長尺のフィルム状に成形した後、公知の方法によりイミド化してフィルム状のポリイミド化合物を得る方法や、あるいは、塗工液を公知の方法により円筒形金型の内部に塗布した後、金型を回転することにより膜厚を平準化し、半乾燥させた後、完全に乾燥させ、フィルム状のポリイミド化合物を得る方法等が実施される。
塗工液はポリアミック酸を主原料とし、ポリアニリンとそのポリアニリンを導電化することができるドーパントを含んでいる。
上記のポリアミック酸は、特開2001−109277号公報に記載されるように、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミンとのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることによって、溶液として得ることができる。テトラカルボン酸二無水物としては芳香族テトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミンとしては芳香族ジアミンを用いることが好ましいが、これら以外も必要に応じて選択可能である。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンニ無水物等をあげることができる。これらは単独で用いられてもよく、また、複数が併用されてもよい。
上記芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4Lジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンチジン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等をあげることができる。これらも、単独で用いられてもよく、また、複数が併用されてもよい。
上記のポリアニリンとしては、m及びnはそれぞれ繰り返し単位中のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であるとして、
Figure 0004815750
上記一般式(1)で表されるキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位を主たる繰り返し単位として有するポリアニリンを用いることが好ましい。
上記のドーパントとしては、通常、プロトン酸を用いることが好ましく。ドーパントとして好ましいプロトン酸は、酸溶解定数pKa値が4.8以下であるプロトン酸である。そのようなプロトン酸として、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸のほか、酸溶解定数pKa値が4.8以下である有機酸をあげることができる。
上記有機酸は、例えば、有機カルボン酸又はフェノール類であって、好ましくは、酸解離定数pKa値が4.8以下であるものである。このような有機酸としては、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の一又は多塩基酸を含むものがあげられる。このような有機酸は、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等を有していてもよい。従って、かかる有機酸の具体例として、例えば、酢酸、n−酪酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、アセチル酢酸、ニトロ酢酸、トリフエニル酢酸、ギ酸、シュウ酸、安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ピクリン酸、o−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、トリメチル安息香酸、p−シアノ安息香酸、m−シアノ安息香酸、チモールブルー、サリチル酸、5−アミノサリチル酸、o−メトキシ安息香酸、1,6−ジニトロ−4−クロロフェノール、2,6−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、p−オキシ安息香酸、ブロモフェノールブルー、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、α−アラニン、β−アラニン、グリシン、グリコール酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸等をあげることができる。
また、有機酸は、スルホン酸又は硫酸基を有するものであってもよい。このような有機酸としては、例えば、アミノナフトールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫酸、キシレンスルホン酸、クロロペンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ペンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナフタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリメチルナフタレンスルホン酸、トリエチルナフタレンスルホン酸、トリプロピルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等をあげることができる。
また、分子内に2つ以上のスルホン酸基を有する多官能有機スルホン酸も用いることができる。このような多官能有機スルホン酸としては、例えば、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、ヘキサンジスルホン酸、ヘプタンジスルホン酸、オクタンジスルホン酸、ノナンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、エチルベンゼンジスルホン酸、プロピルベンゼンジスルホン酸、ブチルベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、ジプロピルベンゼンジスルホン酸、ジブチルベンゼンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、プロピルナフタレンジスルホン酸、ブチルナフタレンジスルホン酸、ペンチルナフタレンジスルホン酸、ヘキシルナフタレンジスルホン酸、ヘプチルナフタレンジスルホン酸、オクチルナフタレンジスルホン酸、ノニルナフタレンジスルホン酸、ジメチルナフタレンジスルホン酸、ジエチルナフタレンジスルホン酸、ジプロピルナフタレンジスルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ナフタレンテトラスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、フェナントレンジスルホン酸、フルオレノンジスルホン酸、カルパゾールジスルホン酸、ジフエニルメタンジスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、ターフェニルトリスルホン酸、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フェナントレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フルオレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、カルバゾールスルホン酸−ホルマリン縮合物等をあげることができる。芳香環におけるスルホン酸基の位置は任意である。
さらに、有機酸はポリマー酸であってもよい。このようなポリマー酸としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリハロゲン化アクリル酸、ポリイソプレンスルホン酸、N−スルホアルキル化ポリアニリン、核スルホン化ポリアニリン等をあげることができる。ナフイオン(米国デユポン社登録商標)として知られている含フッ素重合体も、ポリマー酸として好適に用いられる。
またさらに、有機酸は上にあげた有機酸とポリヒドロキシ化合物とのエステルのうち、酸末端を有するものも好ましい。このようなポリヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートもしくはペンタエリストリールなどの多価アルコール類や、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラメチレングリコールもしくはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリエーテルグリコール類、上記の多価アルコール類とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルなどとの開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類などをあげることができる。
ここでの溶媒としては、DMAc(ジメチルアセトアミド)、NMP(N−メチルピロリドン)などをあげることができる。
図3に示すステップS11の成形工程に続いて、高温高湿滞留工程(ステップS12)が実施される。この高温高湿滞留工程では、成形工程で成形されたフィルム状のポリイミド化合物を、温度45℃、湿度85%の環境下に20時間滞留させる。この高温高湿滞留工程を実施することでポリイミド化合物は水分を吸収する。ポリイミド化合物は水分を吸収することで酸化が進み、ポリアニリンが十分に導電化される。ここでは、ポリイミド化合物を均一に導電化するために20時間の時間を要したが、常温常湿の環境下(温度22℃前後、湿度55%前後)では、ポリアニリンを十分に導電化するには少なくとも半年程度の時間が必要であり、十分な時間短縮が行われている。
以上説明した2つのステップを実施することで、図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1が完成する。
続いて、図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1からなる部材を備えた画像形成装置について説明する。
図4は、本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す図である。
図4に示す画像形成装置100は、フルカラータンデム方式を採用した画像形成装置であって、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの4色のトナーそれぞれに対応した、4つのトナー像形成ユニットを用いて、中間転写ベルトの送りに同期させて各トナー像形成ユニットでそれぞれの色のトナー像を形成し、それらトナー像を中間媒体としての中間転写ベルト上に重ね合わせ(1次転写)、中間転写ベルト上に重ね合わせたトナー像を記録媒体である用紙に転写(2次転写)し、定着するものである。
この図4に示す画像形成装置100は、4つのトナー像形成ユニット110Y、110M、110C、110K、4つの1次転写ロール120、複数の支持ロール131に支持されて反時計回りの方向に循環移動する半導電性の中間転写ベルト130、2次転写を行う2次転写装置140、および未定着トナー像を用紙に定着させる定着器150を備えている。これらの構成部材のうち、中間転写ベルト130が、図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1によって構成されたものである。
4つのトナー像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kは、中間転写ベルト130の循環方向に並んで配置されており、各トナー像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kには、時計回りに回転する感光体ドラム111が配備さている。各感光体ドラム111の表面は、中間転写ベルト130の表面に接している。1次転写ロール120は、中間転写ベルト130を挟んで感光体ドラム111と対向する位置に配備されており、感光体ドラム111と1次転写ロールの間が1次転写領域になる。
また、各トナー像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kは、帯電器112、現像器113、およびクリーニング装置114も備えている。現像器113は、感光体ドラム111の周囲の、1次転写領域の上流側に配備されている。帯電器112は、その現像器113よりもさらに上流側に配備されている。さらに、クリーニング装置114は、感光体ドラム111の周囲の、1次転写領域の下流側に配備されている。
感光体ドラム111の表面は、帯電器112によって一様に帯電される。帯電器112により一様に帯電された感光体ドラム111の表面には、不図示の露光器から画像情報に応じたレーザ光が照射され感光体ドラム111表面に静電潜像が形成される。現像器113にはトナーが収容されており、この現像器内でトナーは所定極性に帯電される。この現像器113は、感光体ドラム111の表面に形成された静電潜像を所定極性に帯電させたトナーによって現像し、感光体ドラム111の表面にはトナー像が形成される。中間転写ベルト130の、1次転写領域を通過する部分には、1次転写ロール120によってトナーの極性とは逆極性の1次転写バアイスが印加されている。感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は、この1次転写バアイスの作用によって、感光体ドラム表面から中間転写ベルト130表面に移行する。各トナー像形成ユニット110Y、110M、110C、110Kで形成されたトナー像は、中間転写ベルト130上で1つに重なり合ったトナー像となる。
なお、1次転写領域において中間転写ベルト130に転写されず、感光体ドラム111に残留したトナーは、クリーニング装置114によって感光体ドラム111上から除去される。
2次転写装置140は、中間転写ベルト130の表面(トナー像担持面)側に圧接配置された2次転写ロール141と、中間転写ベルト130の裏面側に配置されたバックアップロール142とを備えており、これら2つのロール141,142で中間転写ベルト130を挟みこんでいる。これら2つのロール141,142によって挟み込まれた領域が2次転写領域になる。2次転写領域には、中間転写ベルト130上で1つに重なり合ったトナー像がこの2次転写領域に到達するタイミングに合わせて、用紙Pが送り込まれる。バックアップロール142には、トナーの極性と同極性の2次転写バアイスが印加されている。中間転写ベルト30上で1つに重なり合ったトナー像は、この2次転写バイアスの作用によって、中間転写ベルト30から静電的に反発し、用紙P上に転写される。2次転写装置140を通過した用紙Pは搬送ベルト160により定着装置150まで搬送される。定着装置150は、加熱機構を内部に有する加熱ロール151と、その加熱ロール151に押し付けられた定着ベルト152を備えている。加熱ロール151と定着ベルト152の間には、2次転写領域を通過した用紙Pが送り込まれる。用紙P上のトナー像を構成するトナーは、加熱ロール151によって溶融され、定着ベルト152からの圧力を受けて用紙Pに定着し、定着トナー像からなる画像が形成される。
なお、2次転写装置140の下流側には、中間転写ベルト130上の残留トナーを除去するベルトクリーナ170が設けられている。
続いて、図1に示す半導電性ポリイミドフィルム1によって構成された中間転写ベルト130について詳述する。
まず、図5を用いて、図4に示す中間転写ベルトの製造方法について説明する。
図5は、図4に示す中間転写ベルトの製造方法を示すフローチャートである。
図4に示す中間転写ベルト130を製造するには、まず、図3に示すステップS11によって成形されたフィルム状のポリイミド化合物を用意し、そのフィルム状のポリイミド化合物から、中間転写ベルト130として必要な長さ分を大まかに切り出す(ステップS21)。用意するフィルム状のポリイミド化合物は、厚さが0.050〜0.500mmのものであり、0.060〜0.300mmのものが好ましく、0.060〜0.150mmのものがより好ましい。厚さが、0.050mm未満の場合には、中間転写ベルトとして必要な機械的特性を満足させることが難しくなり、0.500mmを超える場合には図4に示す支持ロール131に巻き掛けられた部分での変形によって、ベルト表面に応力が集中してクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。また、用意するポリイミド化合物は、粒径0.1μm以上のフィラー(充填材粒子)が添加されたものであることが好ましい。フィラーの粒径が、0.1μm未満であると機械的特性をさらに向上させる効果は期待できないが、0.1μm以上であれば、さらに高度な機械的特性を実現することができる。
次に、ステップS21で切り出したポリイミド化合物を巻き取り、高温高湿滞留工程(ステップS22)を実施する。ここでも、図3に示すステップS12と同じく、ポリイミド化合物を、温度45℃、湿度85%の環境下に20時間滞留させる。こうすることで、ポリイミド化合物は水分を吸収し、ポリアニリンの酸化が促進され、ポリアニリンが十分に導電化される。
続いて、高温高湿下に滞留させていたポリイミド化合物を、今度は、温度22℃、湿度55%の常温常湿環境下に24時間滞留させる(ステップS23)。図4に示す中間転写ベルト130の表面抵抗率や体積抵抗率の調整は、図3に示すステップS11によってポリイミド化合物を成形する段階で、ポリアニリンの分子量やその添加量を調整することにより行なうことができるが、実際の表面抵抗率や体積抵抗率の確認は、温度22℃、湿度55%の常温常湿環境下に24時間滞留させた後で行う事になる。すなわち、高温高湿下に滞留させていたポリイミド化合物を、基準となる環境である常温常湿環境下に24時間滞留させておくことで、ポリイミド化合物からポリアニリンの酸化時に使用した過剰な水分を放出させ、表面抵抗率、体積抵抗率を安定した領域に追い込む。また、ポリイミド化合物から過剰な水分が放出させる事で、ポリイミド化合物の伸びが是正され、基準となる環境である常温常湿環境下でのポリイミド化合物の寸法(形状)の安定化を図る。
次いで、常温常湿環境下において寸法(形状)が安定した所で、裁断工程(スッテプS24)を実施する。この裁断工程では、ポリイミド化合物を所望の形状のベルト体に裁断する。この際、ステップS22、ステップS23を経たポリイミド化合物は、常温常湿環境下では寸法変化がないため、正確な形状に裁断することができる。ここでは、継目部を含んだベルト体の出来上がり寸法である幅362.0mm、周長2110.0mmが得られる長尺なベルト体の展開図に裁断する。
図6は、裁断工程において裁断したベルト体の継目部に当たる長手方向両端部分を示す図である。
図6に示すように、図5に示すステップS24では、ベルト体1300の長手方向両端部1301を、凸部1302と凹部1303とからなるパズルカットパターン(複数の相互噛合い要素を有し、相互に噛合い可能であると共に、噛合い状態において、水平方向に脱離不能である噛合い要素のカットパターン)に打ち抜き加工する。このパズルカットパターンの凸部1302及び凹部1303の径は約1mmで「凸部1302の径<凹部1303の径」の関係にある。
こうして裁断されたベルト体の両端部1301どうしをつなぎ合わせる。
図7は、図6に示すベルト体の両端部どうしをつなぎ合わせる様子を示した図である。
図7に示すように、ベルト体の両端部1301に設けられたパズルカットパターンを相互に噛合わせ、継目部1304を形成する。次いで、熱硬化性接着剤が離型紙の裏面に塗布された接着テープ1305によってその継目部1304を覆い、接着テープ1305によって覆われた継目部1304を仮圧着し(ステップS25)、その後、接着テープ1305の離型紙を剥し、本圧着する(ステップS26)。
図5における仮圧着ステップS25、本圧着ステップS26の圧着温度を決めるに当たり、図9に示すベルト体(図1の半導電性ポリイミドフィルム1)から小片を採取し、示唆走査熱量分析(DSC)を行った。
ここで、図9に示すベルト体に用いられる図1の半導電性ポリイミドフィルム1について示差走査熱量分析(DSC)を行った結果について説明する。
図8は、図9に示すベルト体(図1の半導電性ポリイミドフィルム1)について示差走査熱量分析を行った結果を示すグラフである。
この示差走査熱量分析には、島津製作所製の熱流速示差熱走査熱量計DSC−50を用いた。ここでは、熱速度を毎分10度とし、室温から昇温させていき、30℃で20分間ホールドし、その後330℃まで昇温させた。また、窒素ガスは流さず空気中で測定した。温度とDSCデータは1秒毎に取り込んだ。
図8に示すグラフの横軸は温度を示し、縦軸はDSC(mW)を示す。この図8に示すグラフには、曲線の傾きが増加から減少する点を通る接線、および、減少から増加する点を通る接線の交点に相当する変化点、あるいは、曲線の傾きが減少から増加する点を通る接線、および、増加から減少する点を通る接線の交点に相当する変化点を有する示差熱曲線が描かれている。図8の示差熱曲線では、150℃以上の測定温度範囲において4つの変化点を持ち、これら4つの変化点それぞれの温度のうち150℃に最も近い変化点(図8中の変化点dpの温度)は約175℃である。図9に示すベルト体は、この175℃を越える温度が加えられると絶乾状態に近くなり、再度、図5のステップS22の工程が必要となる。
図5に示すステップS25における仮圧着でも、ステップS26における本圧着でも、この様な減少を避けるため、175℃以下の温度で熱圧着を行う。すなわち、熱圧着を、ステップS25における仮圧着では140℃の温度で1分間行い、ステップS26における本圧着では160℃の温度で8分間行い、ベルト体の寸法安定性を損なうことなくベルト体に無端状の加工を施す。なお、いずれの熱圧着も常温常湿環境下において行われる。
図9は、図5に示す各工程が実施されることで製造された中間転写ベルト130を示す斜視図である。なお、実際の継目部1304は、図9に示すように中間転写ベルト130の幅方向に対して4°の角度を持つ様に形成している。
両端部が熱硬化性接着剤により熱圧着されて無端状になった直後のベルト体は、熱圧着で加熱されたことにより熱圧着された継目部1304およびその近傍の水分が放出され、一旦、継目部1304およびその近傍が幅方向に収縮し表面にうねりを生じた形状になる。この継目部1304およびその近傍が収縮し表面にうねりを生じた無端状のベルト体を常温常湿環境下に12時間放置する(ステップS27)。こうすることで、継目部1304およびその近傍が環境中の水分を吸い、収縮した継目部1304およびその近傍がもとの形状に戻り、良好な寸法精度に回復する。
以上説明した、ステップS21〜ステップS27の各工程が実施されることで、図4に示す無端状の中間転写ベルト130が製造される。
なお、こうして製造された中間転写ベルトは、その表面および裏面を適宜必要に応じて機械的、化学的に加工することが可能である。例えば、機械的手段としてのサンドブラスト法や、化学的手段としての化学エッチング法により凹凸を形成しても構わない。また反対に、適宜必要に応じて研磨などの手段を用いて平滑化することも可能である。
図9に示す中間転写ベルト130は、継目部(シーム部)1304に収縮によって生じるシワ等もなく、良好な寸法精度を有するものである。
また、図9に示す中間転写ベルト130の表面抵抗率は、1010以上1014Ω/□以下であり、1011Ω/□以上1013Ω/□以下であることが好ましい。この表面抵抗率が1014Ω/□より高い場合には、図4に示す感光体ドラム111と中間転写ベルト130とが剥離するポストニップ部で剥離放電が発生し易くなり、放電が発性した部分は画像に白抜けを生じさせる。一方、その表面抵抗率が1010Ω/□未満の場合には、プレニップ部での電界強度が強くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生し易くなるために画質の粒状性が悪化することがある。従って、中間転写ベルトの表面抵抗率を、上記範囲とすることで、表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜けや、表面抵抗率が低い場合に発生する画質の悪化を防止することができる。
また、図9に示す中間転写ベルト130の体積抵抗率は、108Ω・cm以上1014Ω・cm以下であり、109Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることが好ましい。この体積抵抗率が108Ω・cm未満である場合には、感光体ドラム111から中間転写ベルト130に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。一方、上記体積抵抗率が1014Ω・cmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。従って、上記体積抵抗率を、上記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。
続いて、図9に示す中間転写ベルトを用いた、図4に示す画像形成装置の構成とは異なる構成の画像形成装置について、図4に示す画像形成装置の構成要素と同じ機能を有する構成要素には今まで用いた符号を付して説明する。
図10は、ロータリ式の現像器を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
図10に示す画像形成装置100には、図9に示す中間転写ベルト130が配備されている他、感光体ドラム111も配備されている。この画像形成装置100には、感光体ドラム111が1つしか配備されていない。図9に示す中間転写ベルト130は、複数の支持ロール131に支持されて感光体ドラム111の表面に接するように配置されている。また、この画像形成装置100でも、中間転写ベルト130を挟んで感光体ドラム111と対向する位置に、1次転写ロール120が配設されており、感光体ドラム111と中間転写ベルト130が接する部分が1次転写領域である。
感光体ドラム111の周囲には、1次転写領域の上流側にロータリ式の現像器113が配設されている。このロータリ式の現像器113には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色トナーを収容した現像器113K、113Y、113M、113Cが配設されている。また、感光体ドラム111の周囲には、いずれも図示省略したが帯電器、露光器、およびクリーニング装置が配設されている。
中間転写ベルト130の周囲には、1次転写領域の下流側に、2次転写装置140が配備されている。図10に示す2次転写装置140は、図4に示す2次転写装置と同じ構成のものである。
図10に示す画像形成装置100に、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色の各画像信号が入力されると、この画像形成装置100では、感光体ドラム111の表面を、帯電器により一様に帯電した後、入力された画像情報のうち、シアンの画像信号に応じたレーザ光を露光器から感光体ドラム111に向けて照射することで感光体ドラム111の表面に静電潜像を形成する。続いて、感光体ドラム111の表面に形成された静電潜像を、ロータリ式の現像器113に備えられたシアントナーを収納した現像器113Cにより現像し、感光体ドラム111の表面にシアントナー像を形成する。次いで、1次転写領域において感光体ドラム111上のシアントナー像を中間転写ベルト130に1次転写する。シアントナー像が中間転写ベルト130に1次転写された後の感光体ドラム111の表面からは、クリーニング装置によって残存トナーが除去される。
続いて今度は、感光体ドラム111の表面に、同様にしてマゼンタトナー像を形成し、1次転写領域において、このマゼンタトナー像を、中間転写ベルト130に先に1次転写されたシアントナー像と重なるように中間転写ベルト130に1次転写する。
以降、イエロートナー像およびブラックトナー像を順次形成し、1次転写位置において、中間転写ベルト130に先に1次転写されたトナー像と重なるように順次1次転写する。こうすることにより、中間転写ベルト130には、ベルト表面側からシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの順で1つに重なり合ったトナー像が形成される。
続いて、この1つに重なり合ったトナー像を、2次転写装置140によって用紙Pに転写する。こうして、未定着トナー像が用紙Pに担持され、未定着トナー像を担持した用紙Pは定着装置150に送られる。図10に示す定着装置150は、加熱ロール151と、その加熱ロール151に押し付けられた圧力ロール153とを備えている。互いに対向する加熱ロール151と圧力ロール153の間には、未定着トナー像を担持した用紙Pが送り込まれる。用紙P上のトナー像を構成するトナーは、加熱ロール151によって溶融され、圧力ロール153からの圧力を受けて用紙Pに定着し、定着トナー像からなる画像が形成される。
このようなロータリ式の現像器113を備えた画像形成装置100にも、図9に示す中間転写ベルト130は適用される。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[半導電性ポリイミドフィルムの作製]
<ポリアニリン溶液(A)の作製>
DMAcに所定の分子量(10,000〜50,000)を持つポリアニリン粉末、ドーパント(有機酸とポリヒドロキシ化合物とのエステルのうち、酸末端を有する)を加え、窒素雰囲気下で、均一な溶液になるまで撹拝し、しかる後に脱気して、ポリアニリン溶液(A)を得た。
<ポリアミック酸溶液(B)の作製>
DMAc溶媒中に、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を溶解し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とピロメリット酸二無水物(PMDA)を加え、窒素雰囲気下で、充分撹絆した。ODA:BPDA:PMDAの関係は1.00:0.55:0.45のモル比となるように調合し、ポリアミック酸溶液(B)を得た。
<塗工液(C)の作製>
ポリアミック酸溶液(B)に、ポリアニリン溶液(A)およびフィラーを共に加え混合し充分撹拝した後、脱気して塗工液(C1)〜(C3)を得た。なお、フィラーには米国DuPont社製の、商品名ZELEC ECP−3005−XC相当品(平均粒径1.0〜3.0μmのアンチモンドープ酸化スズ)を用いた。
塗工液の組成比は、以下の様に調合した。製膜後のポリイミドフィルムの表面抵抗率,体積抵抗率が所望の値を持つように、ポリアニリン溶液(A)の添加量を調整し、塗工液の各固形分の重量比換算でポリイミド:ポリアニリン:ZELECが100:28:14になるように調合し塗工液(C1)を得た。
同様にポリイミド:ポリアニリン:ZELECの比率を100:21:14としたものを塗工液(C2)、100:35:14としたものを塗工液(C3)とした。
いずれの塗工液も製膜したポリイミドフィルムに含まれるZELECの添加量は導電性が発現しない量に留めた。
<ポリイミドフィルム(D)の作製>
作製した塗工液(C1)〜(C3)を、ステンレス製のエンドレスベルト上へ、Tダイを用いて押出し成形することにより長尺のフィルム状に成形し、120℃で30分乾燥した後、300℃で15分加熱してポリイミドフィルム(D1)〜(D3)を得た。塗工液(C1)〜(C3)の塗工量は、得られたポリイミドフィルム(D1)〜(D3)の膜厚が0.080mmになるように適宜調整した。
<ポリイミドフィルムの重量減少率と調湿条件>
ここではまず、作製したポリイミドフィルム(D1)〜(D3)の調湿条件と重量減少率に関する実施例について説明する。
(実施例1−1)
上記方法により得られたポリイミドフィルム(D1)を適当な大きさに必要枚数切り出しサンプルとし、これらのサンプルを28℃/85%RHの恒温恒湿槽に入れ調湿した。この28℃/85%RHで調湿したサンプルを4週間に渡り1週間毎1枚づつ取り出し、それぞれを22℃/55%RHの環境下でさらに24時間調湿した後、同じく22℃/55%RHの環境下で表面抵抗率と体積抵抗率を測定した。
ここでの抵抗率の測定には、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト社製)と、接続部をそのR8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計用に改造した二重リング電極構造のURプローブMCP−HTPl2およびレジテープUFL MCP−STO3(いずれも、株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。レジテーブUFL MCP−STO3(フッ素樹脂面を使用)上に、測定面を上にしてサンプルを置き、測定面に接するようにURプローブMCP−HTPl2の二重電極を当てた。なお、URプローブMCP−HTP12の上部には19.6N±1Nのおもりを取り付け、サンプルに一様な荷重がかかるようにした。R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の測定条件は、チャージタイムを30sec、ディスチャージタイムをlsec、印加電圧を100Vとした。
表面抵抗率を求めるにあたっては、表面抵抗率をρs、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とし、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)は‘10.00’であることから、表面抵抗率は以下のようになる(以下、同じようにして表面抵抗率を求めた)。
ρs[Ω/□]=R×RCF(S)
=R×10
また、体積抵抗率を求めるにあたっては、体積抵抗率をρv、サンプルの厚さをt(μm)、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の体積抵抗率補正係数をRCF(V)とし、三菱化学「抵抗率計シリーズ」カタログによれば、RCF(V)は‘2.011’であることから、体積抵抗率は以下のようになる(以下、同じようにして体積抵抗率を求めた)。
ρv[Ω・cm]=R×RCF(V)×(10000/t)
=R×2.011×(10000/t)
なお、リファレンスとして、製造直後(28℃/85%RH環境下0時間)のポリイミドフィルム(D1)を用いた。
図11は、実施例1−1における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。
図11に示すグラフの横軸は、28℃/85%RHで調湿した期間(週)を示し、縦軸は、表面抵抗率(常用対数値)(log[Ω/□])と体積抵抗率(常用対数値)(log[Ω・cm])を示す。このグラフには、1点鎖線で表面抵抗率の変化が表されており、実線で体積抵抗率の変化が表されている。この図11に示すように、28℃/85%RHの環境下では、表面抵抗率および体積抵抗率はともに1週間で急激に低下した。
その後、28℃/85%RHで1週間調湿したサンプルを22℃/55%RHの環境下に保管しながら、表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を追った。
図12は、28℃/85%RHで1週間調湿したサンプルの表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を示すグラフである。
この図12に示すグラフは、横軸が22℃/55%RHの環境下に保管されていた期間(月)を示す以外は、図11に示すグラフと同じ要領で記されたものである。図12に示すグラフには、表面抵抗率および体積抵抗率それぞれの値が、6ヶ月経過してもほぼ変わらず安定していることが示されている。したがって、22℃/55%RHの環境下で24時間の調湿を終えた時点で、表面抵抗率および体積抵抗率はともに安定した値になることがわかる。十分に安定領域に達した表面抵抗率(常用対数値)は12.0 log(Ω/□),体積抵抗率(常用対数値)はll.3 log(Ω・cm)であった。
また、抵抗率が十分に安定領域に達したサンプルの重量減少率を測定した。
重量減少率は、島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−50を用いて熱重量分析を行うことで求めた。熱速度は毎分10度で、室温から昇温させ、30℃で20分間ホールド、その後300℃まで昇温させた。窒素ガスは流さず、空気中で測定した。温度と重量減少率データは1秒毎に取り込んだ(以下、同じようにして重量減少率を求めた)。
抵抗率が十分に安定領域に達したサンプルの重量減少率は−1.68%であった。
(実施例1−2)
実施例1−1においてポリイミドフィルム(D1)を用いる代わりに、ポリイミドフィルム(D2)を用いたこと以外実施例1−1と同様にして重量減少率を測定した。
その結果抵抗率が十分に安定領域に達したサンプルの重量減少率は−1.4%であった。
(実施例1−3)
実施例1−1においてポリイミドフィルム(D1)を用いる代わりに、ポリイミドフィルム(D3)を用いたこと以外実施例1−1と同様にして重量減少率を測定した。
その結果抵抗率が十分に安定領域に達したサンプルの重量減少率は−1.9%であった。
(実施例2)
実施例1−1と同様に、得られたポリイミドフィルム(D1)を適当な大きさに必要枚数切り出しサンプルとし、これらのサンプルを45℃/85%RHの恒温恒湿槽に入れ調湿した。この45℃/85%RHで調湿したサンプルを24時間が経過するまで3時間毎に、その後24時間毎にトータル168時間(1週間)に至るまで、1枚づつ取り出し、それぞれを22℃/55%RHの環境下でさらに24時間調湿した後、同じく22℃/55%RHの環境下で表面抵抗率と体積抵抗率を測定した。
なお、リファレンスとして、製造直後(45℃/85%RH環境下0時間)のポリイミドフィルム(D1)を用いた。
図13は、実施例2における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。
この図13に示すグラフは、横軸が45℃/85%RHの環境下で調湿した期間(日)を示す以外は、図11に示すグラフと同じ要領で記されたものである。この図13のグラフに示すように、表面抵抗率および体積抵抗率は、45℃/85%RHの環境下では28℃/85%RHの環境下よりも短時間で急激に低下し、ほぼ安定領域内の値となった。
その後、45℃/85%RHで18時間調湿したサンプルを22℃/55%RHの環境下に保管しながら、表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を追った。
図14は、45℃/85%RHで18時間調湿したサンプルの表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を示すグラフである。
この図14に示すグラフは、図12に示すグラフと同じ要領で記されたものである。図14のグラフに示すように、最初、表面抵抗率(常用対数値)は11.8 log(Ω/□),体積抵抗率(常用対数値)はll.l log(Ω・cm)であったが、3ヶ月経過した時点で、表面抵抗率(常用対数値)は約0.2 log(Ω/□)上昇し、12、0 log(Ω/□)となった。また、体積抵抗率(常用対数値)も約0.2 log(Ωcm)上昇し、11.3 log(Ωcm)となった。その後の3ヶ月では、両者ともほぼ一定で変化がなかった。
また、6ヶ月経過後のサンプルを熱重量分析し重量減少率を求めたところ、その値は−1.65%であった。
(実施例2−1)
実施例2において、22℃/55%RHの環境下で表面抵抗率,体積抵抗率の経時変化を6ヶ月に渡って追ったサンプル(6ヶ月経過後のサンプル)を、さらに28℃/85%RHの環境下で24時間調湿し、28℃/85%RHの環境下で表面抵抗率,体積抵抗率を測定した。
上述の如く、6ヶ月経過後の安定領域に達した表面抵抗率(常用対数値),体積抵抗率(常用対数値)は、それぞれ12.0 log(Ω/□),11.3 log(Ω・cm)であったが、28℃/85%RHの環境下で24時間調湿した後は、それぞれll.4 log(Ω/□),10.7 log(Ω・cm)と低下した。なお、この抵抗率が低下したサンプルを、22℃/55%RHの環境下に戻し12時間調湿後、表面抵抗率(常用対数値),体積抵抗率(常用対数値)を再び測定したところ、それぞれ11.9 log(Ω/□),ll.2 log(Ω・cm)となり、28℃/85%RHの環境下で24時間調湿する前より若干低めではあるが、ほぼ安定領域の表面抵抗率,体積抵抗率に復帰した。
(実施例2−2)
実施例2において、22℃/55%RHの環境下で表面抵抗率,体積抵抗率の経時変化を6ヶ月に渡って追ったサンプル(6ヶ月経過後のサンプル)を、今度は、10℃/15%RHの環境下で24時間調湿し、10℃/15%RHの環境下で表面抵抗率,体積抵抗率を測定した。
その結果、10℃/15%RHでの調湿後の表面抵抗率(常用対数値)は12.6 log(Ω/□)に上昇し、その体積抵抗率(常用対数値)はll.9 log(Ω・cm)に上昇した。なお、この抵抗率が上昇したサンプルを、22℃/55%RHの環境下に戻し12時間調湿後、表面抵抗率(常用対数値),体積抵抗率(常用対数値)を測定したところ、それぞれ12.0 log(Ω/□),11.3 log(Ω・cm)となり、10℃/15%RHの環境下で24時間調湿する前と同様の、安定領域の表面抵抗率,体積抵抗率に復帰した。
(実施例3)
実施例1−1と同様に、得られたフィルム(D1)を適当な大きさに切り出し、必要枚数のサンプルを60℃/85%RHの恒温恒湿槽に入れ調湿した。この60℃/85%RHで調湿したサンプルを3時間毎に24時間に渡り、1枚づつ取り出し、それぞれを22℃/55%RHの環境下で、さらに24時間調湿した後、同じく22℃/55%RHの環境下で表面抵抗率と体積抵抗率を測定した。リファレンスとして、製造直後(60℃/85%RH環境下0時間)のフィルム(D1)を用いた。図16に示すように、図13に比べて、表面抵抗率,体積抵抗率ともさらに、短時間で急激に低下ていたため、60℃/85%RHで3時間調湿したサンプルを22℃/55%RHの環境下で、さらに24時間調湿し、安定領域に達した時の表面抵抗率(常用対数値)が11.9 log(Ω/□)、体積抵抗率(常用対数値)は11.2 log(Ωcm)となった。また、この安定領域に達したときの熱重量分析による重量減少率は−1.66%であった。
(比較例1)
ポリイミドフィルム(D)を適当な大きさに切り出し、22℃/55%RHの環境下で保管・調湿しながら、表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を追った。
図15は、比較例1における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。
この図15に示すグラフは、横軸が22℃/55%RHの環境下に保管されていた期間(月)を示す以外は、図11に示すグラフと同じ要領で記されたものである。
図15に示すグラフから、22℃/55%RHの環境下では、表面抵抗率および体積抵抗率はともに徐々に低下していくことがわかる。具体的には、製造直後(22℃/55%RHの環境下で48時間以内の調湿)のポリイミドフィルムの表面抵抗率(常用対数値)は13.4 log(Ω/□)、体積抵抗率(常用対数値)は12.7 log(Ω・cm)であった。この製造直後のポリイミドフィルムを熱重量分析し重量減少率を求めたところ、その値は−0.0l〜−0.05%であった。また、22℃/55%RHの環境下で1ヶ月間、保管・調湿したサンプルの表面抵抗率(常用対数値)は12.8 log(Ω/□)であり、体積抵抗率(常用対数値)は12.l log(Ωcm)であり、さらに5月経過後(合計6月経過後)のサンプルの表面抵抗率(常用対数値)は12.0 log(Ω/□)であり、体積抵抗率(常用対数値)は11.3 log(Ω・cm)であった。実施例1および2の結果より、ポリイミドフィルムのサンプルが安定領域に達した表面抵抗率(常用対数値)は12.0 log(Ω/□)であり、体積抵抗率(常用対数値)は11.3 log(Ω・cm)であることからすると、22℃/55%RHの環境下では、表面抵抗率および体積抵抗率がともにほぼ一定の値の安定領域に至るまでには約6ヶ月間必要であることがわかる。
また、22℃/55%RHの環境下で6ヶ月間、保管・調湿したサンプルを熱重量分析し重量減少率を求めたところ、その値は−1.66%であった。
以上のことから、ポリイミドフィルムの成形後(イミド閉環後)に、高温高湿の環境下(例えば、28℃/85%RHや45℃/85%RH)にポリイミドフィルムを滞留させることで、常温常湿の環境(例えば比較例1における22℃/55%RH)に滞留させておくよりも、短期間の間に表面抵抗率,体積抵抗率を安定領域に持ちこむことが可能であることがわかる。これは、ポリイミドフィルム(D)製造直後(22℃/55%RHの環境下で48時間以内の調湿)のものでは、導電性が十分に発現されていないが、これを高温高湿の環境下におくことで、高温高湿の環境がポリアニリンの酸化を促進し、導電性を発現させ、表面抵抗率,体積抵抗率を早期に安定領域に至らせるものと考えられる。湿度を与えず、高温の環境(例えば45℃)のみにポリイミドフィルムを滞留させても、十分な酸化は得られず、その後22℃/55%RHの環境下に12時間以上滞留させても、表面抵抗率,体積抵抗率は安定領域の値を示さない。ここで、ポリイミド自体、吸湿性を伴い、ポリアニリンはそれ以上に吸湿性を伴うため、表面抵抗率,体積抵抗率ともポリイミドフィルム内の水分の影響を受ける。このため、安定領域に達したポリイミドフィルムの表面抵抗率,体積抵抗率の確認は、基準となる環境(例えば22℃/55%RH)で行なう必要がある。
なお、45℃/85%RHに設定した30m3程度の恒温恒湿槽に、総面積約200m2のポリイミドフィルム(D)を、フィルム面が互いに接しないように空気層を設けて18時間調湿したところ、調湿後の酸素濃度は約0.5%低下した。
また、実施例2−1および実施例2−2の結果から、表面抵抗率および体積抵抗率が安定領域に至ったサンプルであっても、異なる環境下に保管し(例えば28℃/85%RHや10℃/15%RH)、その保管環境で測定すれば、表面抵抗率,体積抵抗率は変動し、環境依存性を持つことがわかる。しかし、一度、安定領域に達した表面抵抗率,体積抵抗率は、基準となる環境(例えば22℃/55%RHの環境)下で12時間以上調湿させることにより、元の安定領域の表面抵抗率,体積抵抗率に可逆的に復帰する。
次に、作製したポリイミドフィルム(D)を無端状の中間転写ベルトに加工する際の条件に関する実施例について説明する。
(実施例4)
一般にポリイミドフィルムは温度膨張係数と湿度膨張係数を持つため、環境の変化により、ベルト体に加工した場合、その寸法が変化する。従って、ベルト加工の前に調湿しておく事が望ましい。調湿は実施例1〜実施例2に示した何れの条件でもよいが、表面抵抗率,体積抵抗率の安定化に用いた調湿条件、特に「45℃/85%RHの環境下で18時間調湿し、その後22℃/55%RHの環境下で24時間調湿する」という条件(以下、標準調湿条件という)を用いれば、余分な調湿を追加する必要がなく、寸法安定の効果も得られることが確認されたことから、ここでは、ポリイミドフィルム(D1)を標準調湿条件で調湿した。その後、調湿を終えたポリイミドフィルム(D1)から、22℃/55%RHの環境下においてベルト体を加工寸法に切り出した。この切り出しで生じたポリイミドフィルム(D1)の小片の示差走査熱量の測定を行い、示差熱曲線の、150℃以上であって150℃に一番近い変化点温度から転移温度を求めた。
示差走査熱量の測定には、上述の熱重量分析に用いた装置と同じ、島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−50を用いた。ここでは、熱速度を毎分10度とし、室温から昇温させていき、30℃で20分間ホールドし、その後330℃まで昇温させた。また、窒素ガスは流さず空気中で測定した。温度とDSCデータは1秒毎に取り込んだ(以下同じ)。
ポリイミドフィルム(D1)の転移温度は175.2〜177.8℃(測定サンプル数n=5)であった。
続いて、図6に示すようにベルト体の両端をパズルカットし、両端のパズルカットパターンを、図7に示すように、相互に噛合わせ、継目部を形成した。次いで、裏面に熱硬化性接着剤が塗布された接着テープ((株)スリーボンド社製 TB1650を5mm幅に切り出したもの)によってその継目部を覆い、接着テープによって覆われた継目部を熱圧着した。この熱圧着は、シールバーによって継目部を加圧しながら加熱することで行った。ここで用いたシールバーのベルト幅方向の温度バラツキは設定温度に対して±10℃あった。シールバー全幅において転移温度の175.2〜177.8℃以下とする為に、シルバーの設定温度を160℃(実質的に150〜170℃)とした。なお、熱圧着時間は480秒、圧力は0.3〜0.4MPa(シールバーの有効面積は10mm×380mm)である。以上の条件で熱圧着を行ない、幅362.0mm、内側の周長が2111.0mmの中間転写ベルトを5本作製した。
熱圧着直後における、5本の中間転写ベルトそれぞれの継目部(シーム部)における収縮量を求めた。
ここでは、熱圧着前に予め測定しておいたベルト幅と、熱圧着後におけるシーム部のベルト幅との差分から収縮量を求めた。ベルト幅の測定には、付属のルーペにより0.lmm直読可能なガラススケールを用いた(以下、同じようにして収縮量を求めた)。
収縮量は、362.0mmのベルト幅に対して1.0mm〜1.1mmであった。
また、熱圧着後における継目部におけるうねり量も測定した。
ここでは、中間転写ベルトをφ28mmの2本の軸に、50Nの張力で張架し、継目部の片側(軸に近い側)が一方の軸の中心(φ28mmの中心)から31mmの位置にあるとき、同じ側の軸の中心から22mmの位置における、ベルト幅方向のうねり量を測定した。うねり量はうねりのpeak to peakの値とした。なお、ベルトの幅方向両端はベルト内側にカールするため、両端20mmはうねり量の測定結果から除外した。うねり量の測定は、(株)キーエンス社製のCCDレーザ変位センサLK030とアンプユニットLK−2000を用い、CCDレーザ変位センサLK030をベルト表面から30mm±5mmの位置に入るようにセットし、平行移動させ測定した(以下、同じようにしてうねり量を求めた)。
うねり量は0.50〜0.70mmであった。
その後、これら5本の中間転写ベルトを22℃/55%RHの環境下で24時間放置したところ、収縮量は0.2〜0.3mmに低下した。また、うねり量も0.30〜0.50mmに低下した。このベルトを図4に示した画像形成装置に装着し、マゼンタ20%のハーフトーン画像と、マゼンタ30%のハーフトーン画像とをそれぞれ出力させたところ、中間転写ベルトのシーム部近傍のうねりによる濃度ムラは発生しなかった。なお、画像形成装置にここで作製した中間転写ベルトを装着し、135kサイクル駆動させたところ、シーム部には剥がれや破断等の故障は発生していなかった。さらに、中間転写ベルトのシーム部を含む領域を切り出し、破断強度(引張り強度)を測定したところ、その値は約3.8KN/mであり、シーム部の要求破断強度の1.0KN/mを上回っていることが確認できた。
(比較例2)
シールバーの設定温度を、転移温度を上回る200℃として熱圧着を行った。シールパーの温度バラツキを考慮すると、実質190℃〜210℃の加熱が行われていたことになる。ここでも実施例3と同じサイズの中間転写ベルトを5本作成し、熱圧着直後における、それぞれのベルトのシーム部の収縮量を測定したところ、収縮量は362.0mmのベルト幅に対して1.5mm〜1.6mmもあった。また、うねり量は0.85mm〜1.15mmもあった。
これら5本の中間転写ベルトを22℃/55%RHの環境下で24時間放置したところ、収縮量は0.3mm〜0.4mmにまで一応は低下した。また、うねり量も0.75mm〜0.95mmにまで一応は低下した。これら5本の中間転写ベルトを図4に示した画像形成装置に順次装着し、マゼンタ20%のハーフトーン画像と、マゼンタ30%のハーフトーン画像とをそれぞれ出力させたところ、5本のうち1本にシーム部近傍のうねりによる軽微な濃度ムラが、残りの4本には白抜けが発生した。さらに、詳細な検討を加えた結果、うねり量が0.7mmを超えると濃度ムラや白抜けが発生することが分った。
(比較例3)
シールバーの設定温度を140℃とした。シールバーの温度バラツキを考慮すると、実質130〜150℃で、150℃を下回る条件としたこと以外は実施例4と同様にして中間転写ベルトを5本作成し、熱圧接着直後における、それぞれのベルトのシーム部の収縮量を測定したところ、362.0mmのベルト幅に対して0.5〜0.6mm収縮していた。このとき、うねり量は0.40〜0.50mmであった。このベルトを22℃/55%RHの環境下で24時間放置したところ、収縮量は0.1〜0.2mmに低下した。また、うねり量も0.2〜0.3mmに低下した。このベルトを図4に示した画像形成装置に装着し、マゼンタ20%,30%のハーフトーンをそれぞれ出力させたところ、中間転写ベルトのシーム部近傍のうねりによる濃度ムラは発生しなかった。 しかしながら、実施例4と同様に、画像形成装置にベルトを装着し、135Kサイクル駆動させたところ、シールバーの設定温度が140℃と低いため、シーム部の接着剤の接着性は弱く、ロールによる屈曲やクリーナーブレードのトナーのクリーニングにより一部接着剤が剥がれる故障が発生した。
ベルト体の継目部を熱圧着する場合、熱圧着の温度により、ポリイミドフィルム内の水分を追い出し、ポリイミドフィルムに部分的な収縮変形を与えてしまう場合がある。このポリイミドフィルムの部分的な収縮変形は、表面抵抗率や体積抵抗率に見られた吸湿性に起因する可逆的な要素と、22℃/55%RHに24時間滞留させても復帰しない非可逆的な要素をもっていると考えられる。実施例4の結果から、熱圧着における温度を、示差熱分析した際に得られる示差熱曲線で、150℃以上であって150℃に一番近い変化点温度以下にすることにより、熱によるポリイミドフィルムの収縮変形を低減でき、且つ、良好なシーム特性を得ることが可能なことを見出した。
本発明のポリイミドフィルムの一実施形態である半導電性ポリイミドフィルムを示す図である。 図1に示す半導電性ポリイミドフィルムについて熱重量分析を行った結果を示すグラフである。 図1に示す半導電性ポリイミドフィルムの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す図である。 図4に示す中間転写ベルトの製造方法を示すフローチャートである。 裁断工程において裁断したベルト体の長手方向両端部分を示す図である。 図6に示すベルト体の両端部どうしをつなぎ合わせる様子を示した図である。 図6に示すベルト体について示差走査熱量分析を行った結果を示すグラフである。 図5に示す各工程が実施されることで製造された中間転写ベルトを示す斜視図である。 ロータリ式の現像器を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。 実施例1−1における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。 28℃/85%RHで1週間調湿したサンプルの表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を示すグラフである。 実施例2における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。 45℃/85%RHで18時間調湿したサンプルの表面抵抗率と体積抵抗率の経時変化を示すグラフである。 比較例1における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。 実施例3における表面抵抗率と体積抵抗率それぞれの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1…半導電性ポリイミドフィルム、100…画像形成装置、110Y、110M、110C、110K…トナー像形成ユニット、111…感光体ドラム、112、帯電器、113…現像器、120…1次転写ロール、130…中間転写ベルト、140…2次転写装置、141…2次転写ロール、142…バックアップロール、150…定着器、1300…ベルト体、1301…ベルト体端部、1302…凸部、1303…凹部、1304…継目部(シーム部)

Claims (2)

  1. 像担持体上にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより画像を形成する画像形成装置に配備され、トナー像が形成された該像担持体に接触し、バイアス電圧が印加されて該像担持体から一旦トナー像の転写を受け、そのトナー像を記録媒体に転写する、無端状の中間転写ベルトにおいて、
    ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、および該ポリアニリンを導電化するドーパントを含み、ポリイミドとポニアリニンとフィラーとが100:28:14の重量比で混合された、150℃以上の温度で複数の変曲点を持つ示差熱曲線を描く示差熱特性を有するフィルム状のポリイミド化合物が、温度が45℃であって湿度が85%の環境下と、その後の、温度が22℃であって湿度が55%の環境下で滞留され、滞留されたフィルム状のポリイミド化合物が長尺なベルト体に裁断され、裁断されたベルト体の両端が接着剤によってつなぎ合わされ、つなぎ合わされた両端部が、150℃以上、かつ、150℃に最も近い前記示差熱曲線の傾きが小さくなる変化点以下の温度範囲内の温度で加熱され圧着されていることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 像担持体上にトナー像を形成し、該トナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより画像を形成する画像形成装置に配備され、トナー像が形成された該像担持体に接触し、バイアス電圧が印加されて該像担持体から一旦トナー像の転写を受け、そのトナー像を記録媒体に転写する、無端状の中間転写ベルトの製造方法において、
    ポリイミドを主な構成材料とし、少なくともポリアニリン、および該ポリアニリンを導電化するドーパントを含み、ポリイミドとポニアリニンとフィラーとが100:28:14の重量比で混合された、150℃以上の温度で複数の変曲点を持つ示差熱曲線を描く示差熱特性を有するフィルム状のポリイミド化合物を、温度が45℃であって湿度が85%の環境下と、その後の、温度が22℃であって湿度が55%の環境下で滞留させる高温高湿滞留工程と、
    前記高温高湿滞留工程を経たフィルム状のポリイミド化合物を長尺なベルト体に裁断する裁断工程と、
    前記裁断工程において裁断されたベルト体の両端を接着剤によってつなぎ合わせ、つなぎ合わせた両端部を加熱する温度として、150℃以上、かつ、150℃に最も近い前記示差熱曲線の傾きが小さくなる変化点以下の温度範囲内の温度で加熱しながら圧着する熱圧着工程とを有することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
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