JP4096526B2 - 中間転写体、中間転写体の製造方法、画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、中間転写体の製造方法、画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置用の中間転写体、該中間転写体の製造方法、該中間転写体を備える画像形成装置関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を採用する画像形成装置は、無機材料または有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、前記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。
前記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置として、特開昭62−206567号公報等に開示されたものが知られている。
【0003】
上記中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(特開平6−095521号公報)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特開平5−200904号公報、特開平6−228335号公報)、ポリアルキレンフタレート(特開平6−149081号公報)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特開平6−149083号公報)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特開平6−149079号公報)等の熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加した半導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている。
【0004】
しかし、半導電性領域で樹脂材料の抵抗値を制御することは非常に難しく、通常の樹脂材料に通常の導電性カーボンブラックを添加して所望の抵抗値を安定して得ることはほとんど不可能である。従って、半導電性の無端ベルト全数の抵抗値を計測して、選別する必要があるために、コスト高となってしまう。
所望の抵抗値を安定して得ることが困難な理由として、住田等は、樹脂材料等の高分子の中にカーボンブラックを添加していくと、カーボンブラックの添加が少量であるうちは導電率が小さいが、あるしきい値からカーボンブラックが導体回路を形成し、導電性が急激に向上してしまい中抵抗値を得ることができないためであると報告している(高分子加工、43巻、4号、1977)。
【0005】
上記カーボンブラック分散のポリカーボネート、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体の場合には、葉書等の中間転写体の幅より短い用紙を連続して、1000枚以上転写した後で、ハーフートーン(マゼンタ30%)の画像を転写すると、用紙走行部がしろ抜けする問題が生じることがあった。この白抜けする画質欠陥は、10℃、15%RHの低温低湿環境下において特に顕著に生じる。用紙走行部がしろ抜けするのは、二次転写部での用紙剥離時に中間体と用紙間での剥離放電によって、中間転写体の用紙走行部の表面抵抗率が、周辺部位より低下して、転写効率が、周辺部位より低下することが原因である。
【0006】
カーボンブラック分散のポリカーボネート、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体の表面抵抗率の電界依存性は、0.8〜1.5(logΩ/□)のレベルであり、転写電圧による電界集中がおきることで、導電性の大きい部位の周辺の樹脂成分を劣化させ、表面抵抗率が低下したと考えられる。
表面抵抗率の電界依存性が大きいのは、中間転写体を構成する樹脂成分中にカーボンブラックを均一に分散させることが難しいために、カーボンブラックが不均一に樹脂中に分散しており、そのため局部的には、導電性の大きい部位があり、そこに電界が集中することが原因と考えられる。
【0007】
ここで、中間転写体の転写電圧による抵抗低下について、図5を参照して説明する。図5は、中間転写体の二次転写部の抵抗低下を説明する概要図である。二次転写の際には、ベルト状の中間転写体301と転写ローラ303との間に形成される転写部(ニップ部)に、図面上の左側から用紙(記録媒体)304を通過させると同時に転写電圧を印加し二次転写が行われる。二次転写直後においては、ベルト状の中間転写体301表面(用紙側)はプラス側に帯電し、用紙304表面(中間転写体側)はマイナス側に帯電しているため、中間転写体301と用紙304との間で剥離放電が発生する。この放電現象によって、中間転写体301表面が変質して、新しい導電経路ができて抵抗が下がる。
【0008】
中間転写体を構成する材料に導電性を付与するには、材料中にカーボンブラック等の電子伝導性を付与する導電剤を添加する方法、イオン伝導性を付与する導電剤を添加する方法、電子伝導性を付与する導電剤およびイオン伝導性を付与する導電剤を添加する方法、等がある。
【0009】
イオン伝導性を付与する導電剤を添加する場合には、中間転写体の表面の電気抵抗値の変化が極めて小さいことが好ましい。具体的には、導電性の大きい部位の電気抵抗値および導電性の小さい部位の電気抵抗値のそれぞれの常用対数値の差が絶対値で0.5以下とすることが好ましい。0.5以下とすることで、局部的に導電性の大きい部位があっても、そこに電界が集中することにより表面抵抗率が低下するといった問題がほとんど起こらない。
【0010】
しかし、イオン伝導性タイプの導電剤は、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動が大きく、例えば、30℃、85%RHの高温高湿環境(H/H環境)と10℃、15%RHの低温低湿環境(L/L環境)との常用対数値における電気抵抗値のそれぞれの常用対数値の差が絶対値で、1.5〜4(logΩ)となってしまう。
また、一般的なイオン伝導性タイプの導電剤は、低温低湿度の条件で、所定の抵抗値を得るためにイオン伝導性タイプの導電剤の量を多くする必要がある。導電剤の量を多くすると、該導電剤が中間転写体の表面から滲み出て、像担持体の表面に移行(ブリードアウト)し、画像劣化、汚染や感材浸食等を起こしやすいという問題が新たに生じる。
【0011】
上記問題を解決するため、特開平8−110711号公報では、イオン伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料からなる層と電子伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料からなる層とで積層することを提案している。しかし、2層以上の構成とすると高抵抗層の材料の挙動が支配的となるため、例えば、電子伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料の層が、イオン伝電性タイプの導電剤を分散してなる材料の層より高抵抗である場合には、抵抗のバラツキや、電界依存性が大きくなってしまう等の問題がある。
【0012】
中間転写体の電気抵抗値は、高品質の転写画質を得るために、所定の範囲に制御され、かつ中間転写体の面内バラツキ(表面抵抗値の常用対数値の最大値と最小値との差)が少なく、かつ、使用環境条件が変化しても電気抵抗値が大きく変化せずに、安定して高品質を得られることが求められる。
実用的には、中間転写体の電気抵抗値の面内バラツキは、1(logΩ/□)以内であり、10℃、15%RHの低温低湿環境(L/L環境)の表面抵抗値の常用対数値と30℃、85%RHの高温高湿環境(H/H環境)の表面抵抗値の常用対数値の差が絶対値で1.5(logΩ/□)以内であること等が要求されている。
【0013】
また、転写画質に悪い影響を与えないレベルで中間転写体表面を平滑にするためには、強いせん断力によって中間転写体を構成する樹脂組成物中に酸性カーボンブラックを均一に微分散させることが必要である。前記酸性カーボンブラックは樹脂組成物中への分散性がよいとされるが、当該酸性カーボンブラックを強いせん断力によって樹脂組成物中に均一に微分散させる場合、加えられた強いせん断力により樹脂成分の分子量低下を起こし、脆くなって対衝撃強度が低下し、中間転写体として用いた場合には、ロール当接部位での繰り返し変形によって微細なクラックが発生してしまう。従って、中間転写体として使用することが不可能となり、交換する必要が生じる場合がある。
【0014】
以上のような問題を解消し、種々の要求を満足するには、中間転写体中に前記導電剤を高分散な状態で混合する必要があるが、効率良く前記導電剤を中間転写体中に高分散に混合する方法は、種々提案されているが、未だ不充分であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上から本発明は、上記従来技術の問題点を解消することを目的とする。すなわち、本発明は、導電剤が高分散な状態で存在し、転写電圧によるベルト抵抗低下がなく、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性のない、環境による電気抵抗の変化の少ない、かつ、ベルト寿命の長い、外観に突起等の画質欠陥を生じさせる問題のない高画質を得ることができる中間転写体および該中間転写体の製造方法を提供し、高品質の転写画質を安定して得られる前記中間転写体を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくとも、樹脂組成物中にpH5.0以下の電子伝導性導電剤を含有し、粒径5μm以上の前記電子伝導性導電剤の凝集塊の数が断面積0.1mm2当たり5個以下である中間転写体の製造方法であって、少なくとも、粒径1μm以上5μm未満の前記電子伝導性導電剤の凝集塊の数が断面積0.1mm 2 当たり50個以下を達成するせん断力によって下記一般式(1)で表わされる非結晶性熱可塑性樹脂組成物中に電子伝導性導電剤を微分散して第一の導電剤分散樹脂組成物を調製する第一の導電剤分散工程と、せん断力によって結晶性熱可塑性樹脂組成物中に前記第一の導電剤分散樹脂組成物を分散混合して第二の導電剤分散樹脂組成物を調製する第二の導電剤分散工程と、を有することを特徴とする中間転写体の製造方法である。
【化3】
一般式(1):
(一般式(1)中のmおよびnは、m:nが1:0.5〜1:4の整数を表す。)
なお、以下において「第一の導電剤分散樹脂組成物」を「導電剤分散樹脂組成物(1)」と、「第一の導電剤分散工程」を「導電剤分散工程(1)」と、「第二の導電剤分散樹脂組成物」を「導電剤分散樹脂組成物(2)」と、「第二の導電剤分散工程」を「導電剤分散工程(2)」とそれぞれ称す。
【0022】
>前記電子伝導性導電剤が、酸性カーボンブラックであることを特徴とする<>に記載の中間転写体の製造方法である。
【0023】
前記中間転写体の、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|が、0.6以下であることを特徴とする<1>または<>に記載の中間転写体の製造方法である。
【0024】
前記中間転写体の、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることを特徴とする<1>〜<>のいずれかに記載の中間転写体の製造方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
(中間転写体)
本発明の中間転写体の製造方法により作製される中間転写体は、少なくとも、樹脂組成物中にpH5以下の電子伝導性導電剤を含有する。
前記樹脂組成物としては、150〜250℃の温度領域で前記導電剤を容易に微分散させることのできる下記一般式(1)で表わされる非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性熱可塑性樹脂を含むものを好ましく用いることができる。以下でいう「非結晶性熱可塑性樹脂」とは以下の一般式(1)で表されるものを指す。
【0030】
【化3】
一般式(1):
(一般式(1)中のmおよびnは、m:nが1:0.5〜1:4の整数を表す。)
【0031】
上記一般式(1)で表わされる非結晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、ビカット軟化点温度が85℃のイーストマンケミカル(株)製の非結晶性ポリエステル樹脂PETG6763等を挙げることができる。
【0032】
さらに、前記樹脂組成物は、前記非結晶性熱可塑性樹脂とともに、「その他の樹脂」から構成されていてもよい。
当該「その他の樹脂」としては、前記非結晶性熱可塑性樹脂と相溶性があり、中間転写体として要求される機械強度等を満足すれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリステレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポチエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料およびこれらを主原料としてなる樹脂材料を挙げることができる。
【0033】
前記樹脂組成物中に含有されるpH5以下の導電剤としては、電子伝導により導電性を発現する導電剤使用される
電子伝導により導電性を発現する導電剤としては、電子伝導性フィラーとしてのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物等の金属酸化物等を挙げることができ、さらには、電子伝導性系導電剤として、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン等の導電性ポリマーを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。等を使用することが可能であり、なかでも酸化処理してなる電子伝導性フィラーを使用することが好ましい。
【0034】
上記酸化処理してなる電子伝導性フィラーは、樹脂中への分散性がよいので、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中を抑制することができる。
当該電子伝導性フィラーは、電子伝導により導電性を発現し、pH5.0以下であり、pH4.5以下であることが好ましく、pH4.0以下であることがより好ましい。
【0035】
電子伝導性フィラーのpHが5.0以下であると、表面に付着する酸素含有官能基の効果で、結着樹脂中への分散性が向上し、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、表面抵抗率の電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる。その結果、転写電圧による抵抗変化を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、さらに環境による抵抗変化の少ない、用紙走行部が白く抜ける等の画質欠陥を発生を抑制することができる。
なお、表面抵抗率の電界依存性とは、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|を示す。
【0036】
上記電子伝導性フィラーとしては、pH5.0以下のカーボンブラック(以下、「酸性カーボンブラック」ということがある。)が挙げられる。
当該酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触させて反応させる空気酸化法;常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法;高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法;等を適用することができる。
酸性カーボンブラックの具体的な製造方法としては、コンタクト法を適用することが好ましい。当該コンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。
また、酸性カーボンブラックは、ガスまたはオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。
【0037】
必要に応じて、上記処理を施した後、硝酸等で液相酸化処理を行ってもよい。ファーネスブラック法では通常、高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネスブラック法で製造されたカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、酸性カーボンブラックとみなす。
【0038】
酸性カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調製(例えば、水100mlに酸性カーボンブラック1gを分散・懸濁する)し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
【0039】
また、酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは、3.5〜15質量%含まれていることが好ましい。
揮発分が1質量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、樹脂組成物への分散性が低下することがある。一方、25質量%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまったり、表面の酸素含有官能基に吸着された水等が多くなる等によって、得られる成形品の外観が悪くなる等の問題が生じることがある。
従って、揮発分を上記範囲とすることで、樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、例えば、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに発生する有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
【0040】
酸性カーボンブラックとして具体的には、キャボット社の「REGAL 400R」(pH4.0,揮発分3.5質量%)、「MONARCH 1300」(pH2.5,揮発分9.5質量%)、Degussa社の「Color Black FW200」(pH2.5、揮発分20質量%)、「SPECIAL BLACK 4」(pH3%、揮発分14質量%)、「PRINTEX150T」(pH4、揮発分10質量%)、「PRINTEX140T」(pH5、揮発分5質量%)、「PRINTEX U」(pH5、揮発分5質量%)等が挙げられる。
なお、酸性カーボンブラックは、主たる導電性を発現させる電子伝導性フィラーとして用いていれば、単独で用いても他のカーボンブラックと併用してもよい。
【0041】
さらに、本発明の中間転写体は、粒径5μm以上の前記導電剤の凝集塊の数が単位断面積(0.1mm2)当たり5個以下となっている。
単位断面積(0.1mm2)当たりの前記導電剤の凝集塊の数(以下、「分散度」ということがある)は、前記単位断面積(0.1mm2)当たりの導電剤(例えば、酸性カーボンブラック等)の二次凝集塊の大きさと単位断面積当たりの数によって表わすことができる。
本発明者らの実験によれば、単位断面積(0.1mm2)当たりに粒径5μm以上の導電剤の凝集塊が6個以上存在すると、中間転写体表面に高さ20μm以上の突起が発生し、転写画質が低下することがわかった。従って、粒径5μm以上の前記導電剤の分散度は、既述にように5個/0.1mm2以下とすることを必須とし、1個/0.1mm2以下とすることが好ましい。
なお、前記「凝集塊」とは、導電剤粒子および該導電剤粒子の凝集したものをいう。
【0042】
また、本発明の中間転写体は、該中間転写体面内の抵抗の均一性および該中間転写体表面の突起を少なくする観点から、粒径1μm以上5μm未満の前記導電剤の凝集塊の数が単位断面積(0.1mm2)当たり50個以下とすることが好ましく、5個以下とすることがより好ましい。
【0043】
前記導電剤の分散度は、以下に示すようにして求めることが好ましい。
まず、厚み130μmの熱可塑性樹脂ベルトを外科剪刃で約3×20mmの短冊状に切断し、あらかじめ硬化させたエポキシ樹脂板の上に両面テープで固定する。
なお、硬化させたエポキシ樹脂板は、エポキシ樹脂の主剤と硬化剤とを混合して、熱可塑性樹脂ベルトの上から流し込み樹脂でサンプルを挟み込むようにして60℃に設定した恒温器内で6時間以上かけて硬化させて作製される。
【0044】
エポキシ樹脂が硬化した後、サンプルを糸鋸で切り出し、電顕用ミクロトームのホルダーに固定してガラスナイフで成形する。切断面が鏡面に仕上がったらナイフをダイヤモンドナイフに付け替えて、樹脂ベルトの薄切片を作製する(薄切片の大きさおよび厚さは、それぞれ、500μm×2000μmおよび150〜250nmとすることが好ましい)。
作製した薄切片を8mmφのガラス板上に採取し、前記ガラス板をスライドガラスに乗せて光学顕微鏡の透過光(ハロゲンランプ)で熱可塑性樹脂ベルトの断面観察を行い写真を撮影する。観察した写真データを画像解析装置に取り込み、粒子解析ソフトで導電剤(例えば、酸性カーボンブラック)の凝集塊の粒径や中間転写体の断面積を測定し、分散度を求める。
上記分散度を測定する際には、下記の装置を使用することが好ましい。
・トリミング装置 REICHERT ULTRATRIM
・ミクロトーム LEICA ULTRACUT UCT
・ダイヤモンドナイフ(住友電工(株)製のスミナイフ、刃先角度:45°、刃幅:2.0mm)
・光学顕微鏡((株)Nikon製の万能写真顕微鏡 MICROPHOT−FX)
・画像解析装置(旭エンジニアリング(株)製の高詳細画像解析システムIP−1000(粒子解析、分散度測定、面積率測定))
【0045】
(中間転写体の製造方法)
本発明の中間転写体の製造方法は、少なくとも、強いせん断力によって第一の樹脂組成物中に導電剤を微分散して導電剤分散樹脂組成物(1)を調製する導電剤分散工程(1)と、せん断力によって第二の樹脂組成物中に前記導電剤分散樹脂組成物(1)を分散混合して導電剤分散樹脂組成物(2)を調製する導電剤分散工程(2)と、を有し、必要に応じてこれらの工程の前後に公知の処理工程が設けられる。本発明の中間転写体の製造方法によれば、樹脂成分の分子量低下を抑制しながら、強いせん断力によって酸性カーボンブラック等の導電剤を樹脂組成物に微分散させることができる。
以下、上記導電剤分散工程(1)および(2)を中心に本発明の中間転写体の製造方法について、導電材として既述の酸性カーボンブラック使用した場合を例に説明する。
【0046】
導電剤分散工程(1):
導電剤分散工程(1)は、強いせん断力によって第一の樹脂組成物中に導電剤を微分散して導電剤分散樹脂組成物(1)を調製する工程である。
【0047】
前記第一の樹脂組成物としては、既述の非結晶性熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。該非結晶性熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは60〜200質量部より好ましくは100〜150質量部の酸性カーボンブラックを添加し、強いせん断力によって微分散させる。非結晶性樹脂組成物を用いることで、せん断力を加える加工時の温度領域を広くすることでき、加工が容易となる。
すなわち、結晶性樹脂を使用する場合には、ある温度領域で結晶化することにより、物性変化が見られるので、加工時の温度領域において、結晶化することによって、樹脂の溶融に違いが生じ、酸性カーボンブラックの分散状態が不均一となる等の問題が生じる場合がある。
【0048】
酸性カーボンブラックを非結晶性熱可塑性樹脂に微分散させる方法としては、せん断力と位置交換の繰り返しによって、酸性カーボンブラック粒子を微分散させる3本ロールミルや2本ロールミル、および酸性カーボンブラック粒子同士または酸性カーボンブラック粒子と結着樹脂や分散機壁面の衝突力やせん断力によって微分散させる加圧ニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダーあげることができ、特に、強いせん断力を加える分散装置としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
また、酸性カーボンブラックを非結晶性熱可塑性樹脂成分に微分散する工程で、加工性、分散安定性等をさらに向上させるため、既知の滑剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤等を併用してもよい。
混合時、または分散後に他の成分を添加しても差し支えない。このような成分としては、滑剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤、有機顔料、無機顔料、発泡剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、消泡剤等公知のものを挙げることができる。
【0050】
導電剤分散工程(1)を経ることで、酸性カーボンブラックを高濃度に微分散してなる樹脂組成物(以下「第一の樹脂組成物」ということがある)が製造される。
なお、本明細書において、「微分散」とは、導電剤(例えば、酸性カーボンブラック)が、樹脂組成物中に単位断面積(0.1mm2)当たり、粒径1μm以上5μm未満の凝集塊の数が50個以下の状態であることを意味する。
また、「強いせん断力」とは、必ずしも定量的にはいえないが、森山製作所社製の加圧ニーダーD25−50型を使用する場合に、その電流値を20A以上で混練する状態をいう。
【0051】
導電剤分散工程(2):
導電剤分散工程(2)は、せん断力によって第二の樹脂組成物中に前記導電剤分散樹脂組成物(1)を分散混合して導電剤分散樹脂組成物(2)を調製する工程である。
【0052】
導電剤分散工程(1)を経て製造された導電剤分散樹脂組成物(1)に、第二の樹脂組成物である結晶性熱可塑性樹脂組成物を、樹脂成分の分子量低下の少ないせん断力により分散混合することによって、酸性カーボンブラックを微分散させながら、分子量低下を抑制し、所定の添加量となる導電剤分散樹脂組成物(2)を製造することができる。
【0053】
酸性カーボンブラックを非結晶性熱可塑性樹脂に微分散させてから、さらに、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の第二の樹脂組成物に分散混合することによって、酸性カーボンブラック表面に被覆した非結晶性樹脂成分が、第二の樹脂組成物との相溶性を増加させるため、非結晶性の樹脂組成物と第二の樹脂組成物とからなる樹脂成分中に酸性カーボンブラックを微分散させることが可能となり、結果として、高分散な導電剤分散樹脂組成物(2)を製造することができる。また、非結晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂とを組合せることにより、中間転写体の機械強度、耐熱性等が向上する。
【0054】
第二の樹脂組成物は、第一の樹脂組成物100質量部に対し、100〜500質量部とすることが好ましく、150〜300質量部とすることがより好ましい。100質量部未満であると、抵抗が低くなり所望の電気抵抗が得られないことがあり、500質量部を超えると抵抗が高くなり所望の電気抵抗が安定して得られないことがある。
【0055】
当該工程において用いる粉砕機または分散機としては、せん断応力によりカーボンブラック粒子を微分散させる3本ロールミルや2本ロールミル、分散機壁面の衝突力やせん断力によって微分散させるニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダー等をあげることができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
第二の樹脂組成物としては、上記、非結晶性熱可塑性樹脂と相溶性があり、中間転写体として要求される機械強度等を満足すれば、特に限定されず、既述の「その他の樹脂」等を使用することができる。
【0057】
導電剤分散樹脂組成物(2)を調製した後は、これをペレット形状等の所定の形状とし、1軸押出機等によりチューブ形状に押出成形して無端ベルトとする。当該無端ベルトは、必要に応じて公知の処理を施して、中間転写体とされる。
【0058】
当該中間転写体は、後述するような画像形成装置に備えられることが好ましい。かかる用途に供するため、本発明の中間転写体は、以下に説明するような特性を有することが好ましい。
【0059】
(吸水率)
本発明の中間転写体の吸水率は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。吸水率が2%以下であれば、ベルト表面への水の吸着による小突起の発生が抑制されるため、ベルト外観を良好に保つことができる。
当該吸水率は、JISK0068の「化学製品の水分試験方法」に準拠し、カールフィシャー法により求めることができる。
【0060】
(表面抵抗率の電界依存性)
本発明の中間転写体の印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値との差|logρs1−logρs2|(表面抵抗率の電界依存性)は、0.6以下であることが好ましく、0.5(logΩ/□)以下がより好ましい。表面抵抗率の電界依存性が、0.6(logΩ/□)以下であると、中間転写体として使用した場合に、転写電圧による電界集中がより起きずらくなるので、用紙走行部の表面抵抗率が低下して、ハーフトーンの画像において、用紙走行部が白く抜ける等画質欠陥の発生を防止することができる。
【0061】
(表面抵抗率の面内ばらつき)
表面抵抗率(電気抵抗値)の面内ばらつきは、0.5(logΩ/□)以下が好ましく、0.4(logΩ/□)以下がより好ましい。0.5以下とすると、局部的に導電性の大きい部位が少ないため、局部的に表面抵抗が低下する問題が少ない。
ここで、「表面抵抗値の面内ばらつき」とは、中間転写体面内の表面抵抗率の最大値と最小値との常用対数値の差をいう。
【0062】
(表面抵抗率の環境変動幅)
中間転写体は、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値との差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることが好ましく、0.6(logΩ/□)以下であることがより好ましい。電子伝導性フィラーを用いることで、前記環境変動幅を、1.0以下に抑えることができる。
なお、前記表面抵抗率は、印加電圧100Vの条件下での値であり、後述する測定方法に準じて測定することができる。
【0063】
(表面抵抗率)
中間転写体の転写面の表面抵抗率は、1×1010Ω/□〜1×1014Ω/□であることが好ましく、1×1011Ω/□〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。表面抵抗率が1×1014Ω/□より高いと、一次転写部の像担持体と中間転写体が剥離するポストニップ部で剥離放電が発生してしまい、放電が発生した部分で、白抜けする画質欠陥が発生することがある。また、1×109Ω/□より小さいと、プレニップ部での電界強度が強くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生しやすくなるために画質の粒状性が低下することがある。従って、前記範囲とすることによって、表面層の表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜けや、表面抵抗率が低い場合に発生する画質が低下する問題がなくなる。
【0064】
表面抵抗率は、円形電極(例えば、油化電子(株)製HRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。具体的には、図1に示すような円形電極を用いて測定することができる。図1は、表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)および概略断面図(b)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cおよびリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に測定対象となる中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧100(V)を印加して10秒後に流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、中間転写体Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。なお、本明細書において、表面抵抗率について温度・湿度条件を明示していない場合には、22℃、55%RHの環境で測定したものを意味する。
【0065】
式(1):
ρs=π×(D+d)/(D−d)×(100(V)/I)
【0066】
なお、電界依存性を求める際には、印加電圧100Vと1000Vとにおける表面抵抗率を測定するが、印加電圧1000Vの測定の場合には、印加電圧を100Vから1000Vに変えて同様の方法によって測定することができる。
【0067】
(体積抵抗率)
中間転写体の体積抵抗率は、1×108Ωcm〜1×1014Ωcmであることが好ましく、1×1010Ωcm〜1×1012Ωcmであることがより好ましい。
中間転写体の体積抵抗率が、1×108ΩCmより低いと、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。また、体積抵抗率が1014Ωcmより高いと、電荷の保持力が大きいために、一次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。
体積抵抗率を1×108Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲に設定することにより、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題がなくなる。
【0068】
体積抵抗率は、表面抵抗率と同様、図1に示す測定装置を用いて測定することができる。
第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cおよびリング状電極部Dと第二電圧印加電極Bとの間に測定対象となる中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧100(V)を印加して30秒後に流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは中間転写体Tの厚さ(cm)を示す。なお、本明細書において、体積抵抗率について温度・湿度条件を明示していない場合には、22℃、55%RH環境で測定したものを意味する。
【0069】
式(2) ρv=19.6×(100(V)/I)×t
【0070】
(対ロール屈折回数)
中間転写体の対ロール屈曲回数は、後述する図6に示す対ロール屈曲試験装置において、屈曲回数が150kcycle以上であることが好ましく、300kcycle以上であることがより好ましく、500kcycle以上であることがさらに好ましい。
屈曲回数が150kcycle以上であると、駆動ロール、テンションロール等のロールとの当接部において折り曲げられることによるクラック等の発生をなくすることができる。
【0071】
上記対ロール屈曲回数は、図6に示す測定装置を用いて測定することができる。
図6に示す測定装置は、少なくとも、3本の金属ロール71(φ28mm)と、金属ロール71をそれぞれ平行に保ち、それらの端面に設けられた正三角形(一辺の長さ:30mm)の固定板72と、からなる。
固定板72の頂点と金属ロール71の中心軸とは一致し、金属ロール71および固定板72は、それぞれ回転可能となっている。
【0072】
図6に示す測定装置を用いて測定するには、まず、図6(a)に示すように、例えば、長さ300mm、幅20mmの試験片(中間転写体)の一端を固定し、他端に400gの荷重を吊り下げて、7kgf/ベルト幅350mmに相当するベルトテンションを加える。
次に、図6(b)に示すように、金属ロール71を自由に回転する構成として、さらに、160rpmの速度で図面上時計周りに固定板72を回転させる。そして、3本の金属ロール71を1組として、1回転を1サイクルとし、試験片が破断するまでのサイクルを測定し、当該サイクル数を対ロール屈曲回数とする。
【0073】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、既述の中間転写体を備えていれば、特に限定されるものではない。
例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置;感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置;各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置;用紙搬送ベルトを用いるカラー画像形成装置;等に適用できる。
以下に、本発明の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
【0074】
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体2、転写電極であるバイアスローラ3、被転写体である用紙41を収容するトレー4、BK(ブラック)トナーによる現像装置5、Y(イエロー)トナーによる現像装置6、M(マゼンタ)トナーによる現像装置7、C(シアン)トナーによる現像装置8、ベルトクリーナー9、剥離爪13、ベルトローラ21、23および24、バックアップローラ22、導電性ローラ25、電極ローラ26、クリーニングブレード31、ピックアップローラ42、並びにフィードローラ43を有している。
【0075】
図2に示す画像形成装置において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書込み装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム1の回転で導電性ローラ25が対向配置された一次転写部に到り、導電性ローラ25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写体2に吸着するとともに中間転写体2の矢印B方向への回転で一次転写させる。
【0076】
以下、同様にして第2色のトナー像(イエロー)、第3色のトナー像(マゼンタ)、第4色のトナー像(シアン)が順次形成され中間転写体2において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。
【0077】
中間転写体2に転写された多重トナー像は、中間転写体2の矢印方向への回転でバイアスローラ3が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写体2のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ3と該中間転写体2の裏側からバイアスローラに対向配置されたバックアップローラ22と、このバックアップローラ22に圧接して回転する電極ローラ26と、から構成される。
【0078】
用紙41は、用紙トレー4に収容された用紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出され、フィードローラ43で二次転写部の中間転写体2とバイアスローラ3との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙41には、バイアスローラ3およびバックアップローラ22による圧接搬送、バイアス印加、並びに中間転写体2の回転により、中間転写体2に担持されたトナー像が転写される。
【0079】
トナー像が転写された用紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより中間転写体2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、該定着装置による加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像が形成される。なお、多重トナー像の用紙41への転写の終了した中間転写体2は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ3は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接するように取り付けられており、転写時に付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0080】
単色画像の転写の場合、中間転写体2に一次転写されたトナー像Tを直ちに用紙41に二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写体2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ3と中間転写体2を介して対向配置したバックアップローラ22に圧接した電極ローラ26にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することでトナー像を用紙41に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0081】
本発明の画像形成装置の他の一例として、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を示す。図3は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、複写機、レーザービームプリンター等として使用できるものである。図3に示す画像形成装置は、ユニット100Y、100M、100C、100Bkと、中間転写体106と、定着器109と、バックアップローラ110と、支持ローラ111、112、113と、ベルト用クリーニング装置114と、バイアスローラ115と、電極ローラ116とを備えている。また、ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、それぞれ、感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、コロトロン帯電器102Y、102M、102C、102Bkと、露光器103Y、103M、103C、103Bkと、現像器104Y、104M、104C、104Bkと、電子写真感光体クリーナ105Y、105M、105C、105Bkと、転写ローラ107Y、107M、107C、107Bkとを備えている。
【0082】
ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、矢印の時計回りに所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能に、それぞれ感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bk(図示ないが、感光体ドラムはフランジで回転可能に軸着されている。)が備えられる。感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkの周囲には、コロトロン帯電器102Y、102M、102C、102Bkと、露光器103Y、103M、103C、103Bkと、各色現像器(イエロー現像器104Y、マゼンタ現像器104M、シアン現像器104C、ブラック現像器104Bk)と、感光体クリーナー105Y、105M、105C、105Bkとがそれぞれ配置されている。
【0083】
ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、中間転写体106に対して4つ並列に、図面上左側からユニット100Y、100M、100C、100Bkの順に配置されているが、ユニット100Bk、100Y、100C、100Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0084】
中間転写体106は、バックアップローラ110、支持ローラ111、112、113によって張架され、矢印の反時計回りに感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと同じ周速度をもって回転可能になっており、支持ローラ112と支持ローラ113との間に位置するその一部が感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkとそれぞれ接するように配置されている。中間転写体106は、ベルト用クリーニング装置114が備えられている。
【0085】
転写ローラ107Y、107M、107C、107Bkは、中間転写体106の内側であって、中間転写体106を介して感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkに対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、中間転写体106にトナー画像を転写する一次転写部(ニップ部)を形成している。
【0086】
バイアスローラ115は、中間転写体106のトナー像が担持される表面側に、中間転写体106を介しバックアップローラ110と対向して配置されている。この中間転写体106を介したバイアスローラ115とバックアップローラ110とで二次転写部(ニップ部)を形成している。また、バックアップローラ110には、バックアップローラ110に圧接して回転する電極ローラ116が備えられている。
定着器109は、用紙117が上記二次転写部を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0087】
図3に示す画像形成装置において、ユニット100Bkにおいては、感光体ドラム101Bkを回転駆動させる。これと連動してコロトロン帯電器102Bkが駆動し、感光体ドラム101Bkの表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム101Bkは、次に、露光器103Bkによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0088】
続いて該静電潜像は、ブラック現像器104Bkによって現像される。すると、感光体ドラム101Bkの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0089】
このトナー画像は、感光体ドラム101Bkと中間転写体106との一次転写部(ニップ部)を通過すると同時に、転写ローラ107Bkから印加される転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体106の外周面に順次、一次転写される。
この後、感光体ドラム101Bk上に残存するトナーは、感光体クリーナ105Bkによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム101Bkは、次の転写サイクルに供される。
【0090】
以上の転写サイクルは、ユニット100C、100M、100Yでも同様に行われる。即ち、同様にして第2色のトナー像(シアン)、第3色のトナー像(マゼンタ)、第4色のトナー像(イエロー)が順次形成され、中間転写体106において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。
【0091】
中間転写体106に転写された多重トナー像は、転写ベルト106の回転でバイアスローラ115が設置された二次転写部(ニップ部)に到る。
【0092】
用紙117は、二次転写部の中間転写体106とバイアスローラ115との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙117には、バイアスローラ115およびバックアップローラ110による圧接搬送、バイアス印加、並びに中間転写体106の回転により、中間転写体106に担持されたトナー像が転写される。
【0093】
トナー像が転写された用紙117は、定着器109に搬送され、定着器109による加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像が形成される。なお、多重トナー像の用紙117への転写の終了した中間転写体106は、二次転写部の下流に設けたベルト用クリーニング装置114で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。
【0094】
単色画像の転写の場合、中間転写体106に一次転写されたトナー像を直ちに用紙117に二次転写して定着器109に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写体106と各感光体ドラム101Y,101M、101C、101Bkとの回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ115と中間転写体106を介して対向配置したバックアップローラ110に圧接した電極ローラ116にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することでトナー像を用紙117に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0095】
【実施例】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
(実施例1)
導電剤としての酸性カーボンブラック(独Degussa社のPrintex150T、pH4で有機揮発分10%、DBP吸油量150ml/100g)を、窒素雰囲気中、80℃で60分間加熱処理して、付着水分を除去した。
非結晶性ポリエステル樹脂(第一の樹脂組成物)としてのPETG6763(イーストマンケミカル(株)製)100質量部当たり、加熱処理後の酸性カーボンブラック100質量部と、滑剤(理研ビタミン(株)のリケスターEW−90)0.5質量部と、を加圧ニーダー(森山製作所製の加圧ニーダーD25−50型、電流値20A以上)より150℃の設定温度で、20分間混練・分散した。さらに、2本ロールを用いてシート形状にし、これを裁断し粉砕機で粉状として、酸性カーボンブラックを微分散させた非結晶性の熱可塑性樹脂(導電剤分散樹脂組成物(1))を製造した(導電剤分散工程(1))。
【0097】
導電剤分散樹脂組成物(1)100質量部当たり、第二の樹脂組成物としてのポリエステル樹脂:PCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)213質量部を加えて、240℃の加熱温度にて、2軸押出機を用いて混練・分散し、ペレット状の導電剤分散樹脂組成物(2)を製造した(導電剤分散工程(2))。混練・分散後の酸性カーボンブラックの添加量は16wt%であった。
ペレット状の導電剤分散樹脂組成物(2)を1軸押出機を用い、240℃の加熱温度にてチューブ形状に押出成形して、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□であり、体積抵抗率は1010.5logΩcmであった。
なお、前記表面抵抗率および体積抵抗率は以下に示すようにして行った。(他の実施例および比較例も同様)。
【0098】
−表面抵抗率−
本実施例における表面抵抗率の測定(後述の評価試験中の各項目における場合を含む。)は、図1に示す円形電極(油化電子(株)製HRプローブ:円柱状電極部Cの外径φ16mm、リング状電極部Dの内径φ30mm、外径φ40mm)を用い、電圧を100V(電界依存性については100Vおよび1000V)印加して10秒後の電流値を求め算出した。具体的には、前述した通りである。なお、22℃、55%RH環境で測定を行った。
【0099】
−体積抵抗率−
表面抵抗率の測定で用いた装置と同様の装置を用い、電圧を100V印加して30秒後の電流値を求め算出した。具体的には前述した通りである。なお、22℃、55%RH環境で測定を行った。
【0100】
(実施例2)
実施例1と同様の導電剤分散工程(1)を経て導電剤分散樹脂組成物(1)を製造した。
導電剤分散樹脂組成物(1)100質量部当たり、第二の樹脂組成物としてのポリカーボネート樹脂:レキサン131(日本ジーイープラスチックス(株)製)213質量部を加えて、280℃の加熱温度にて、2軸押出機を用いて混練・分散し、ペレット状の導電剤分散樹脂組成物(2)を製造した(導電剤分散工程(2))。混練・分散後のカーボンブラックの添加量は、16wt%であった。
ペレットの導電剤分散樹脂組成物(2)を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.8Ω/□であり、体積抵抗率は1010.8logΩcmであった。
【0101】
(比較例1)
樹脂材料としてポリエステル樹脂:PCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部に、実施例1で使用した酸性カーボンブラック15質量部(13wt%)を添加し、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練して、酸性カーボンブラック15質量部を含有するペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.7Ω/□、体積抵抗率は109.8logΩcmであった。
【0102】
(比較例2)
樹脂材料としてポリエステル樹脂:PCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部に、中性カーボンブラック(ライオンアグソ社製のケッチエンブラックEC、pH9.0で有機揮発分1.5%)12重量部(10.7wt%)を添加して、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練して、中性カーボンブラック12重量部を含有するペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1012.1Ω/□、体積抵抗率は108.3logΩcmであった。
【0103】
(比較例3)
樹脂材料としてポリエステル樹脂:PCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100重量部に、カーボンブラックである粒状アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、pH5.7で有機揮発分0.9%)12重量部(10.7wt%)を添加して、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練して、粒状アセチレンブラック12重量部を含有するペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.5Ω/□、体積抵抗率は109.8logΩcmであった。
【0104】
(比較例4)
樹脂材料としてポリカーボネート樹脂:レキサン131(日本ジーイープラスチックス(株)製)を用い、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に、カーボンブラック(米Cabot社製のVolcanXC72X、pH8.5で揮発分1.5%)14質量部(12.3wt%)を添加して、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練して、カーボンブラック14質量部を含有するペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□、体積抵抗率は109.2logΩcmであった。
【0105】
(比較例5)
樹脂材料としてポリカーボネートとポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)とのアロイであるユーピロンMB2112(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を用い、前記アロイ100重量部に、カーボンブラックとして、中性カーボンブラック(米Cabot社製のVolcanXC72、pH8.5)12質量部を添加して、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練して、中性カーボンブラック12質量部を含有するペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は1011.7Ω/□、体積抵抗率は109.8logΩcmであった。
【0106】
(比較例6)
樹脂組成物として比較例4と同様のポリカーボネート樹脂を用い、該ポリカーボネート樹脂100質量部に、イオン導電性ポリマーとしてポリエーテルを主セグメントとするブロック型ポリマー(三洋化成工業(株)製のペレスタット6321)25質量部(20wt%)を添加して、2軸押出機を用い、前記樹脂材料に混練してペレット状の樹脂組成物を製造した。
製造したペレット状の樹脂組成物を1軸押出機を用い、実施例1と同様にして無端ベルト(中間転写体)を作製した。作製した無端ベルトの表面抵抗率は、1012.3logΩ/□、体積抵抗率は1012.5logΩcmであった。
【0107】
(評価試験)
実施例1〜3および比較例1〜6で得られた無端ベルトを中間転写体として、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
【0108】
−表面抵抗率の面内ばらつき−
本実施例における表面抵抗率の面内ばらつき(ΔR)は、作製した外径168mm、幅350mmの無端ベルトを長さ方向(周方向)に8分割、幅方向に3分割し、ベルト面内24点について表面抵抗率を計測し、表面抵抗率の常用対数値をとり、その最大値と最小値の差として算出した。
【0109】
−表面抵抗率の環境変動幅−
本実施例における表面抵抗率の環境変動幅は、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|として算出した。
【0110】
−表面抵抗率の電界依存性−
本実施例における表面抵抗率の電界依存性は、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|として算出した。
【0111】
−1000枚連続コピー後の表面抵抗率の低下量−
1000枚連続コピー後の表面抵抗率の低下量は、コピー前(初期)における表面抵抗率の常用対数値と、用紙を1000枚連続コピーした後における用紙走行部の表面抵抗率の常用対数値と、の差として算出した。
【0112】
−1000枚連続コピー後の白抜け発生状況−
葉書の大きさの用紙を1000枚連続コピーした後に、A4サイズの用紙にマゼンタ30%のハーフトーン画像をコピーし、白抜け発生状況を目視にて判定した。評価基準としては、画質上問題にならないレベルを○とし、画質上問題のあるレベルを×とした。
【0113】
−水分量−
水分量(吸水率)は、JISK0068の「化学製品の水分試験方法」に準拠し、カールフィシャー法により求めた。
【0114】
−単位断面積当たりの粒径5μm以上のカーボンブラック凝集塊の数−
まず、厚み130μmの熱可塑性樹脂ベルト(サンプル)を外科剪刃で3×20mmの短冊状に切断し、あらかじめ硬化させたエポキシ樹脂板の上に両面テープで固定した。
なお、硬化させたエポキシ樹脂板は、エポキシ樹脂の主剤と硬化剤とを混合して、熱可塑性樹脂ベルトの上から流し込み樹脂でサンプルを挟み込むようにして60℃に設定した恒温器内で1時間かけて硬化させて作製した。
【0115】
エポキシ樹脂が硬化した後、サンプルを糸鋸で切り出し、電顕用ミクロトームのホルダーに固定してガラスナイフで成形する。切断面が鏡面に仕上がったらナイフをダイヤモンドナイフに付け替えて、樹脂ベルトの薄切片を作製した(薄切片の大きさおよび厚さは、それぞれ、500μm×2000μmおよび200nmとした)。
作製した薄切片を8mmφのガラス板上に採取し、前記ガラス板をスライドガラスに乗せて光学顕微鏡の透過光(ハロゲンランプ)で熱可塑性樹脂ベルトの断面観察を行い写真を撮影した。観察した写真データを画像解析装置に取り込み、粒子解析ソフトで導電剤(例えば、酸性カーボンブラック)の凝集塊の粒径や中間転写体の断面積を測定し、単位断面積当たりの粒径5μm以上のカーボンブラック凝集塊の数を求めた。
上記測定の際には、下記の装置を使用した。
・トリミング装置 REICHERT ULTRATRIM
・ミクロトーム LEICA ULTRACUT UCT
・ダイヤモンドナイフ(住友電工(株)製のスミナイフ、刃先角度:45°、刃幅:2.0mm)
・光学顕微鏡((株)Nikon製の万能写真顕微鏡 MICROPHOT−FX)
・画像解析装置(旭エンジニアリング(株)製の高詳細画像解析システムIP−1000(粒子解析、分散度測定、面積率測定))
上記と同様にして、単位断面積当たりの粒径1μm以上5μm未満のカーボンブラック凝集塊の数を求めた。
【0116】
−耐ロール屈曲回数−
耐ロール屈曲回数は、図6に示す装置を使用し、既述の方法により測定した。
【0117】
−ベルト外観−
無端ベルト外面を三次元粗さ計にて観察し、図4を参照して、高さまたは幅20μm以上の突起の数により以下の基準で評価した。
○:画質上問題がないレベル
△:10〜20μmの突起はあるが、画質上問題がないレベル
×:20μm以上の突起が多数あり、画質上問題があるレベル
なお、図4は、別途求めた無端ベルト(中間転写体)表面の突起の形状(高さ・幅)と画質欠陥との関係を示す図である。ベルト表面の突起の高さまたは幅が20μmを超えると転写画質に白点抜けの画質欠陥が発生する。
【0118】
【表1】
【0119】
実施例1および2では、分散度が低く、その他の評価も良好なものであった。一方、比較例1は、酸性カーボンブラックを用いており、表面抵抗率の電界依存性は、0.4桁と小さく、葉書を1000枚連続コピー後に用紙走行部が白くなる(転写不良)なる等の問題がない。しかし、カーボンブラックの分散状態が不十分であり、5μm以上のカーボンブラックの凝集塊が8個あり、上述した、画質欠陥を発生させる高さが20μm以上の突起の数が、中間転写体表面に多数発生したために,転写画質に白点抜けが発生した。
また、比較例2〜5は、電子伝導性の中性カーボンブラックを用いており、表面抵抗率の中間転写体面内のばらつき(ΔR)が大きく、電界依存性が大きく、葉書を1000枚連続コピー後、用紙走行部の表面抵抗率の低下量が大きく、ハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況を示す問題があり、さらに、カーボンブラックの分散状態が不十分であり、5μm以上のカーボンブラックの凝集塊が多く、上述した、画質欠陥を発生させる高さが20μm以上の突起の数が、中間転写体表面に多数発生したために,転写画質に白点抜けが発生した。
さらに、比較例6のイオン導電性ポリマー分散の材料は、表面抵抗率の中間転写体面内のばらつき(ΔR)は小さく、用紙走行部の表面抵抗率が低下する、転写画質に白点抜けが発生する等の問題はないが、高温高湿(H/H)環境と低温低湿(L/L)環境での表面抵抗率の変動が1.8桁と大きい問題がある。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、導電剤が高分散な状態で存在し、転写電圧によるベルト抵抗低下がなく、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性のない、環境による電気抵抗の変化の少ない、かつ、ベルト寿命の長い、外観に突起等の画質欠陥を生じされる問題のない高画質を得ることができる中間転写体および該中間転写体の製造方法を提供し、高品質の転写画質を安定して得られる前記中間転写体を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)および概略断面図(b)である。
【図2】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図4】 ベルト表面の突起の形状(高さ・幅)と画質欠陥との関係を示す図である。
【図5】 中間転写体の転写部の抵抗低下を説明する概要図である。
【図6】 対屈曲回数を測定する装置の概略を示す概略図(a)および概略図(b)である。
【符号の説明】
1…感光体ドラム(像担持体)
2…中間転写体
3…バイアスローラ
4…用紙トレー
5…ブラック現像器
6…イエロー現像器
7…マゼンタ現像器
8…シアン現像器
9…中間転写体クリーナ
10…転写ローラ
13…剥離爪
21…ベルトローラ
22…バックアップローラ
23…ベルトローラ
24…ベルトローラ
25…導電性ローラ
26…電極ローラ
31…クリーニングブレード
41…用紙
42…ピックアップローラ
43…フィードローラ
100Y、100M、100C、100Bk…ユニット
101Y、101M、101C、101Bk…感光体ドラム
102Y、102M、102C、102Bk…コロトロン帯電器
103Y、103M、103C、103Bk…露光器
104Y…イエロー現像器
104M…マゼンタ現像器
104C…シアン現像器
104Bk…ブラック現像器
105Y、105M、105C、105Bk…電子写真感光体クリーナ
106…中間転写体
107Y、107M、107C、107Bk…転写ローラ
109…定着器
110…バックアップローラ
111、112、113…支持ローラ
114…ベルト用クリーニング装置
115…バイアスローラ
116…電極ローラ
117…用紙

Claims (4)

  1. 少なくとも、樹脂組成物中にpH5.0以下の電子伝導性導電剤を含有し、粒径5μm以上の前記電子伝導性導電剤の凝集塊の数が断面積0.1mm 2 当たり5個以下である中間転写体の製造方法であって、少なくとも、粒径1μm以上5μm未満の前記電子伝導性導電剤の凝集塊の数が断面積0.1mm 2 当たり50個以下を達成するせん断力によって下記一般式(1)で表わされる非結晶性熱可塑性樹脂組成物中に電子伝導性導電剤を微分散して第一の導電剤分散樹脂組成物を調製する第一の導電剤分散工程と、せん断力によって結晶性熱可塑性樹脂組成物中に前記第一の導電剤分散樹脂組成物を分散混合して第二の導電剤分散樹脂組成物を調製する第二の導電剤分散工程と、を有することを特徴とする中間転写体の製造方法。
    【化2】
    一般式(1):
    (一般式(1)中のmおよびnは、m:nが1:0.5〜1:4の整数を表す。)
  2. 前記電子伝導性導電剤が、酸性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体の製造方法。
  3. 前記中間転写体の、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|が、0.6以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写体の製造方法
  4. 前記中間転写体の、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中間転写体の製造方法。
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