JP4103339B2 - 半導電性ベルト、中間転写体、画像形成装置 - Google Patents

半導電性ベルト、中間転写体、画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に使用される半導電性ベルト、中間転写体、画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を採用する画像形成装置は、無機材料または有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。そして、前記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。
前記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置として、特開昭62−206567号公報等に開示されたものが知られている。
【0003】
上記中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(特開平6−095521号公報)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特開平5−200904号公報、特開平6−228335号公報)、ポリアルキレンフタレート(特開平6−149081号公報)、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特開平6−149083号公報)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特開平6−149079号公報)等の熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加した半導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている。
【0004】
しかし、半導電性領域で樹脂材料の抵抗値を制御することは非常に難しく、通常の樹脂材料に通常の導電性カーボンブラックを添加して所望の抵抗値を安定して得ることはほとんど不可能である。従って、半導電性の無端ベルト全数の抵抗値を計測して、選別する必要があるために、コスト高となってしまう。
所望の抵抗値を安定して得ることが困難な理由として、住田等は、樹脂材料等の高分子の中にカーボンブラックを添加していくと、カーボンブラックの添加が少量であるうちは導電率が小さいが、あるしきい値からカーボンブラックが導体回路を形成し、導電性が急激に向上してしまい中抵抗値を得ることができないためであると報告している(高分子加工、43巻、4号、1977)。
【0005】
上記カーボンブラック分散のポリカーボネート、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体の場合には、葉書等の中間転写体の幅より短い用紙を連続して、1000枚以上転写した後で、ハーフートーン(マゼンタ30%)の画像を転写すると、用紙走行部がしろ抜けする問題が生じることがあった。この白抜けする画質欠陥は、10℃、15%RHの低温低湿環境下において特に顕著に生じる。用紙走行部がしろ抜けするのは、二次転写部での用紙剥離時に中間体と用紙間での剥離放電によって、中間転写体の用紙走行部の表面抵抗率が、周辺部位より低下して、転写効率が、周辺部位より低下することが原因である。
【0006】
カーボンブラック分散のポリカーボネート、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体の表面抵抗率の電界依存性は、0.8〜1.5(logΩ/□)のレベルであり、転写電圧による電界集中がおきることで、導電性の大きい部位の周辺の樹脂成分を劣化させ、表面抵抗率が低下したと考えられる。
表面抵抗率の電界依存性が大きいのは、中間転写体を構成する樹脂成分中にカーボンブラックを均一に分散させることが難しいために、カーボンブラックが不均一に樹脂中に分散しており、そのため局部的には、導電性の大きい部位があり、そこに電界が集中することが原因と考えられる。
【0007】
ここで、中間転写体の転写電圧による抵抗低下について、図5を参照して説明する。図5は、中間転写体の二次転写部の抵抗低下を説明する概要図である。二次転写の際には、ベルト状の中間転写体301と転写ローラ303との間に形成される転写部(ニップ部)に、図面上の左側から用紙(記録媒体)304を通過させると同時に転写電圧を印加し二次転写が行われる。二次転写直後においては、ベルト状の中間転写体301表面(用紙側)はプラス側に帯電し、用紙304表面(中間転写体側)はマイナス側に帯電しているため、中間転写体301と用紙304との間で剥離放電が発生する。この放電現象によって、中間転写体301表面が変質して、新しい導電経路ができて抵抗が下がる。
【0008】
中間転写体を構成する材料に導電性を付与するには、材料中にカーボンブラック等の電子伝導性を付与する導電剤を添加する方法、イオン伝導性を付与する導電剤を添加する方法、電子伝導性を付与する導電剤およびイオン伝導性を付与する導電剤を添加する方法、等がある。
【0009】
イオン伝導性を付与する導電剤を添加する場合には、中間転写体の表面の電気抵抗値の変化が極めて小さいことが好ましい。具体的には、導電性の大きい部位の電気抵抗値および導電性の小さい部位の電気抵抗値のそれぞれの常用対数値の差が絶対値で0.5以下とすることが好ましい。0.5以下とすることで、局部的に導電性の大きい部位があっても、そこに電界が集中することにより表面抵抗率が低下するといった問題がほとんど起こらない。
【0010】
しかし、イオン伝導性タイプの導電剤は、温度や湿度の環境変化に対する電気抵抗値の変動が大きく、例えば、30℃、85%RHの高温高湿環境(H/H環境)と10℃、15%RHの低温低湿環境(L/L環境)との常用対数値における電気抵抗値のそれぞれの常用対数値の差が絶対値で、1.5〜4(logΩ)となってしまう。
また、一般的なイオン伝導性タイプの導電剤は、低温低湿度の条件で、所定の抵抗値を得るためにイオン伝導性タイプの導電剤の量を多くする必要がある。導電剤の量を多くすると、該導電剤が中間転写体の表面から滲み出て、像担持体の表面に移行(ブリードアウト)し、画像劣化、汚染や感材浸食等を起こしやすいという問題が新たに生じる。
【0011】
上記問題を解決するため、特開平8−110711号公報では、イオン伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料からなる層と電子伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料からなる層とで積層することを提案している。しかし、2層以上の構成とすると高抵抗層の材料の挙動が支配的となるため、例えば、電子伝導性タイプの導電剤を分散してなる材料の層が、イオン伝電性タイプの導電剤を分散してなる材料の層より高抵抗である場合には、抵抗のバラツキや、電界依存性が大きくなってしまう等の問題がある。
【0012】
中間転写体の電気抵抗値は、高品質の転写画質を得るために、所定の範囲に制御され、かつ中間転写体の面内バラツキ(表面抵抗値の常用対数値の最大値と最小値との差)が少なく、かつ、使用環境条件が変化しても電気抵抗値が大きく変化せずに、安定して高品質を得られることが求められる。
実用的には、中間転写体の電気抵抗値の面内バラツキは、1(logΩ/□)以内であり、10℃、15%RHの低温低湿環境(L/L環境)の表面抵抗値の常用対数値と30℃、85%RHの高温高湿環境(H/H環境)の表面抵抗値の常用対数値の差が絶対値で1.5(logΩ/□)以内であること等が要求されている。
【0013】
しかし、これらの要求を全て満足するような中間転写体は、未だ見出されていない。これは、ポリエステル樹脂等の従来の樹脂材料では、カーボンブラック等の導電剤に吸着した水分による加水分解が進行したり、導電剤を添加して混練する際に樹脂間の結合が切断されたりして、脆化等の材質の低下が起こるためと考えられる。
かかる問題は、中間転写体だけでなく、その素材となる半導電性部ベルトが利用されるその他の材料に対しても生じていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を解消することを目的とする。
すなわち、本発明は、転写電圧によるベルト抵抗低下がなく、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性および環境による電気抵抗の変化が少なく、かつ、ベルト寿命が長く、ベルト外観に突起等の画質欠陥を生じない高画質を安定して得ることができる半導電性ベルト、中間転写体、画像形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下に示す本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 下記一般式1に示す構造式で表わされる樹脂材料を含有するマトリックス樹脂中に、導電剤としてpH5.0以下の電子伝導性フィラーと、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物と、を含有することを特徴とする半導電性ベルトである。
【化2】
一般式1:
(一般式1中のmおよびnは、m:nが1:0.5〜1:4の整数を表わす。)
【0016】
<2> 前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物中のエポキシ基の量(個数)が、ジエン成分の総数の2〜90%であることを特徴とする<1>に記載の半導電性ベルトである。
【0022】
記マトリックス樹脂が、さらにポリカーボネート樹脂を含有していることを特徴とする<1>または>に記載の半導電性ベルトである。
【0023】
> 印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|が、0.6以下であることを特徴とする<1>〜<>のいずれかに記載の半導電性ベルトである。
【0024】
> 30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることを特徴とする<1>〜<>のいずれかに記載の半導電性ベルトである。
【0026】
> <1>〜<>のいずれかに記載の半導電性ベルトからなることを特徴とする中間転写体である。
> <1>〜<>のいずれかに記載の半導電性ベルトを備えていることを特徴とする画像形成装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
<<半導電性ベルト>>
本発明の半導電性ベルトは、前記一般式1に示す構造式で表わされる樹脂材料を含有するマトリックス樹脂中に、導電剤としてpH5.0以下の電子伝導性フィラーと、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物と、を含有している。
以下、本発明の半導電性ベルトについて、説明する。
【0028】
<マトリックス樹脂>
本発明に用いるマトリックス樹脂としては、前記一般式1で表されるポリエステルが用いられ、また、少なくともポリエステルおよびポリカーボネートからなる樹脂材料を使用することが好ましい。
さらに、前記樹脂材料に弾性材料を混合してもよい。該弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等のいずれか1以上を用いることができる。
【0029】
上記の中でも、後述するスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物との相溶化剤として効果的に働き、エポキシ基と反応性、親和性のある樹脂材料をマトリックス樹脂の一種として使用してもよい。
ここで、「エポキシ基と反応性、親和性のある」とは、樹脂材料中にエポキシ基と反応する、カルボン酸基、水酸基、アミノ基等の残基;エステル結合、アミド結合等の結合;を有することを意味する。
【0030】
上記エポキシ基と反応性、親和性のある樹脂材料としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド;ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、カルボン酸含有ポリオレフィン(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリオレフィン等)、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体;およびこれら2種以上の混合物をあげることができる。
【0031】
さらに、前記一般式1で表されるポリエステル樹脂を使用することで、後述するスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物との相溶性をより向上させることができる。
【0032】
前記一般式1で表されるポリエステル樹脂は、マトリックス樹脂中に5〜95質量%含有することが好ましく、10〜90質量%含有することがより好ましい。5質量%を未満だと、後述するスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物との相溶性が低くなることがあり、95質量%を超えると後述するエポキシ基を有する熱可塑性エラストマーの効果が少なくなることがある。
【0033】
前記一般式1で示されるポリエステル樹脂は、テレフタール酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールと、から調製される。
より具体的には、イーストマンケミカル(株)製のPCTG5445、PETG6763等を挙げることができる。
【0036】
上記一般式1に示すポリエステル樹脂は、入手が容易で取り扱い性がよく、これを使用することにより、加工性に優れるといった特性が得られる。
【0037】
<導電剤>
上記マトリックス樹脂中には、導電剤が含有されている。導電剤としては、pH5.0以下の、電子伝導により導電性を発現する導電剤が使用される
【0038】
電子伝導により導電性を発現する導電剤としては、電子伝導性フィラー、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物等を挙げることができ、さらには、電子伝導性系導電剤として、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン等の導電性ポリマーを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。なかでも酸化処理してなる電子伝導性フィラーを使用することが好ましい。
【0039】
上記酸化処理してなる電子伝導性フィラーは、樹脂中への分散性がよいので、半導電性ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中を抑制することができる。
当該電子伝導性フィラーは、電子伝導により導電性を発現し、pH5.0以下であることが好ましく、pH4.5以下であることがより好ましく、pH4.0以下であることがさらに好ましい。
【0040】
電子伝導性フィラーのpHが5.0以下であると、表面に付着する酸素含有官能基の効果で、結着樹脂中への分散性が向上し、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、表面抵抗率の電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる。その結果、転写電圧による抵抗変化を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、さらに環境による抵抗変化の少ない、用紙走行部が白く抜ける等の画質欠陥の発生を抑制することができる。
なお、表面抵抗率の電界依存性とは、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|を示す。
【0041】
電子伝導性フィラーの添加量は、マトリックス樹脂100質量部に対して、2〜40質量部、好ましくは10〜25質量部、より好ましくは15〜20質量部である。
2質量部未満では、所定での電気抵抗を安定して得ることができない場合があり、40質量部を超えると、半導電性ベルトの外観が低下する等の問題が発生する場合がある。
【0042】
上記電子伝導性フィラーとしては、pH5.0以下のカーボンブラック(以下、「酸性カーボンブラック」ということがある。)があげられる。
当該酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触させて反応させる空気酸化法;常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法;高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法;等を適用することができる。
酸性カーボンブラックの具体的な製造方法としては、コンタクト法を適用することが好ましい。当該コンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。
また、酸性カーボンブラックは、ガスまたはオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。
【0043】
必要に応じて、上記処理を施した後、硝酸等で液相酸化処理を行ってもよい。ファーネスブラック法では通常、高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネスブラック法で製造されたカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明にいう酸性カーボンブラックとみなす。
【0044】
酸性カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調製(例えば、水100mlに酸性カーボンブラック1gを分散・懸濁する)し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
【0045】
また、酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは、3.5〜15質量%含まれていることが好ましい。
揮発分が1質量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、樹脂組成物への分散性が低下することがある。一方、25質量%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまったり、表面の酸素含有官能基に吸着された水等が多くなる等によって、得られる成形品の外観が悪くなる等の問題が生じることがある。
従って、揮発分を上記範囲とすることで、樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、例えば、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに発生する有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
【0046】
酸性カーボンブラックとして具体的には、キャボット社の「REGAL 400R」(pH4.0,揮発分3.5質量%)、「MONARCH 1300」(pH2.5,揮発分9.5質量%)、Degussa社の「Color Black FW200」(pH2.5、揮発分20質量%)、「SPECIAL BLACK 4」(pH3%、揮発分14質量%)、「PRINTEX150T」(pH4、揮発分10質量%)、「PRINTEX140T」(pH5、揮発分5質量%)、「PRINTEX U」(pH5、揮発分5質量%)等が挙げられる。
なお、酸性カーボンブラックは、主たる導電性を発現させる電子伝導性フィラーとして用いていれば、単独で用いても他のカーボンブラックと併用してもよい。
【0047】
また、樹脂中への分散性が高いpH5.0以下の酸性カーボンブラックを用いる場合は、該酸性カーボンブラックを強いせん断力によって樹脂組成物(マトリックス樹脂)中に均一に微分散させる必要がある。このようにして作製した半導電性ベルトを中間転写体として使用すると、転写画質に悪い影響を与えないレベルで、その表面を平滑にすることができる。
【0048】
しかし、酸性カーボンブラックをマトリックス樹脂中に均一にかつ強いせん断力によって微分散させる場合、加えられた強いせん断力による樹脂成分の分子量低下を起こし、脆くなって、対衝撃強度が低下することがある。特に、ベルト(中間転写体)として用いた場合には、ロール当接部位での繰り返し変形によって、ベルトに微細なクラックが発生し、ベルトとして使用できなくなり、交換する必要になる等の問題が生じる場合がある。
【0049】
また、酸性カーボンブラックの表面には、カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等の酸素含有官能基が付与されているが、これら酸素含有官能基は、水分を吸着し易い特性があり、例えば、中間転写体に成形加工する180〜400℃において、上記、酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基等に吸着された水分がある場合に、樹脂成分が加水分解して、分子量低下を起こすことがある。特に、マトリックス樹脂がエステル基を有する場合には、加水分解によって、分子量低下を起こし易いために、脆くなって、対衝撃強度が低下してしまうことがある。特に、搬送ベルトとして用いた場合には、ロール当接部位での繰り返し変形によって、微細なクラックが発生し、搬送ベルトとして使用できなくなり、交換する必要になる等の問題が生じる場合がある。
【0050】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物
上記マトリックス樹脂は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物(以下、単に「熱可塑性エラストマー」ということがある)を含有する。酸性カーボンブラック表面のカルボキシル基等に吸着された水分による樹脂成分の加水分解、あるいは、酸性カーボンブラックをマトリックス樹脂中に微分散させるために加えたせん断力による樹脂成分の分解等によって、分子量が低下し脆くなって、対衝撃強度が低下する問題の解決策として、熱可塑性エラストマーを添加することによって、分子量低下による脆化等の問題を改善することができる。これは、熱可塑性エラストマーがソフトセグメントとしてジエン結合を有しており、上記分子量の低下にともなう対衝撃強度の低下を改善することができるためである。また、熱可塑性エラストマー添加することによるエポキシ基とマトリックス樹脂のエステル基との化学的な結合によっても、分子量低下を抑制することができる。
さらに、熱可塑性エラストマー中に存在するブタジエンのソフトセグメント成分によって、ロール当接部での応力集中を緩和することで、半導電性ベルトにクラックが発生する等の問題を解消することができる。
【0051】
熱可塑性エラストマーは、マトリックス樹脂100質量部あたり、5〜20質量部とすることが好ましく、10〜15質量部とすることがより好ましい。
5質量部を未満だと、分子量低下による脆化等を改善する効果が少なくなることがあり、20質量部を超えると半導電性ベルトとして必要なヤング率等の強度が得られなくなることがある。
【0052】
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物は、具体的には、特開平6−220124号公報(段落番号0009)に記載されているスチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物;特開2000−186197号公報(段落番号0005〜0008)に記載されている(a)エポキシ化ジエン系ブロック共重合体と(b)ポリウレタンエラストマーを配合してなる熱可塑性エラストマー組成物;等が好ましい。
【0053】
このエポキシ変性ブロック重合体(熱可塑性エラストマー)中のエポキシ基の量(個数)は、ジエン成分の総数の2〜90%であることが好ましく、5〜70%であることがより好ましい。
2%未満では、相溶性が改善されず相分離が起こることがあり、90%を超えても、相溶性等に及ぼすより大きな効果は期待し難く、特にゲル化等の副反応を重合体の単離中に起こしやすくなることがある。
【0054】
熱可塑性エラストマーの具体例としては、エポキシ基の数がブロック重合体を構成するジエン成分の総数の20%であるエポフレンドA1020(ダイセル化学(株))、10%であるエポフレンドA1010(ダイセル化学(株))、5%であるエポフレンドA1005(ダイセル化学(株))等を挙げることができる。
【0055】
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物は、ブタジエンのジエン分子の一部にエポキシ基を有することから、官能基間の化学反応、親和性を通じて、通常、非相溶であったりする重合体のとの相溶化剤として働く。
【0056】
<<半導電性ベルトの製造方法>>
本発明の半導電性ベルトは、マトリックス樹脂と、導電剤と、熱可塑性エラストマーと、を所定量溶融混練し、押出し成形等を行ってチューブ形状として製造することが好ましい。
【0057】
溶融混練は、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、導電剤を微分散させる3本ロールミルや2本ロールミル等のロールミル;導電剤粒子同士または導電剤粒子とマトリックス樹脂や分散機壁面の衝突力やせん断力によって微分散させるニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダー;等によって行われることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0058】
また、溶融混練する際に、加工性、分散安定性等をより向上させるため、既知の滑剤、可塑剤、分散剤、界面活性剤等を併用してもよい。
さらに、溶融混練時、またはその後に他の成分を添加しても差し支えない。他の成分としては、有機顔料、無機顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、消泡剤等が挙げられる。
【0059】
また、溶融混練は、複数回に分けて行ってもよい。
すなわち、マトリックス樹脂と導電剤とを溶融混練し、得られた溶融混練物に熱可塑性エラストマーおよびマトリックス樹脂を添加し、再び溶融混練してもよい。このときのマトリックス樹脂は、同種であっても異種であってもよい。
このように、導電剤および熱可塑性エラストマーを添加して行う溶融混練の順序を適宜変えることにより、溶融混練による分散性や相溶性を向上させることができる。
【0060】
上記のようにして製造された半導電性ベルトは、必要に応じて公知の処理を施して、画像形成装置に使用される中間転写体や用紙搬送ベルトとすることができる。
また、かかる用途に供するため、本発明の半導電性ベルトは、以下に説明するような特性を有することが好ましい。
【0061】
(表面抵抗率の電解依存性)
本発明の半導電性ベルトの印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値との差|logρs1−logρs2|(表面抵抗率の電界依存性)は、0.6以下であることが好ましく、0.5(logΩ/□)以下がより好ましい。表面抵抗率の電界依存性が、0.6(logΩ/□)以下であると、中間転写体として使用した場合に、転写電圧による電界集中がより起きずらくなるので、用紙走行部の表面抵抗率が低下して、ハーフトーンの画像において、用紙走行部が白く抜ける等画質欠陥の発生を防止することができる。
【0062】
(表面抵抗率の面内ばらつき)
表面抵抗率(電気抵抗値)の面内ばらつきは、0.5(logΩ/□)以下が好ましく、0.4(logΩ/□)以下がより好ましい。0.5以下とすると、局部的に導電性の大きい部位が少ないため、局部的に表面抵抗が低下する問題が少ない。
ここで、「表面抵抗値の面内ばらつき」とは、半導電性ベルト面内の表面抵抗率の最大値と最小値との常用対数値の差をいう。
【0063】
(表面抵抗率の環境変動幅)
半導電性ベルトは、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値との差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることが好ましく、0.6桁(logΩ/□)以下であることがより好ましい。電子伝導性フィラーを用いることで、前記環境変動幅を、1.0以下に抑えることができる。
なお、前記表面抵抗率は、印加電圧100Vの条件下での値であり、後述する測定方法に準じて測定することができる。
【0064】
(表面抵抗率)
半導電性ベルトを中間転写体として使用した場合、該中間転写体の転写面の表面抵抗率は、1×1010Ω/□〜1×1014Ω/□であることが好ましく、1×1011Ω/□〜1×1013Ω/□であることがより好ましい。表面抵抗率が1×1014Ω/□より高いと、一次転写部の像担持体と中間転写体が剥離するポストニップ部で剥離放電が発生してしまい、放電が発生した部分で、白抜けする画質欠陥が発生することがある。また、1×109Ω/□より小さいと、プレニップ部での電界強度が強くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生しやすくなるために画質の粒状性が低下することがある。従って、前記範囲とすることによって、表面層の表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜けや、表面抵抗率が低い場合に発生する画質が低下する問題がなくなる。
【0065】
表面抵抗率は、円形電極(例えば、油化電子(株)製HRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。具体的には、図1に示すような円形電極を用いて測定することができる。図1は、表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)および概略断面図(b)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cおよびリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に測定対象となる中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧100(V)を印加して10秒後に流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、中間転写体Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。なお、本明細書において、表面抵抗率について温度・湿度条件を明示していない場合には、22℃、55%RHの環境で測定したものを意味する。
【0066】
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(100(V)/I)
【0067】
なお、電界依存性を求める際には、印加電圧100Vと1000Vとにおける表面抵抗率を測定するが、印加電圧1000Vの測定の場合には、印加電圧を100Vから1000Vに変えて同様の方法によって測定することができる。
【0068】
(体積抵抗率)
半導電性ベルトを中間転写体として使用した場合、該中間転写体の体積抵抗率は、1×108Ωcm〜1×1014Ωcmであることが好ましく、1×1010Ωcm〜1×1012Ωcmであることがより好ましい。
中間転写体の体積抵抗率が、1×108ΩCmより低いと、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。また、体積抵抗率が1014Ωcmより高いと、電荷の保持力が大きいために、一次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。
体積抵抗率を1×108Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲に設定することにより、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題がなくなる。
【0069】
体積抵抗率は、表面抵抗率と同様、図1に示す測定装置を用いて測定することができる。
第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cおよびリング状電極部Dと第二電圧印加電極Bとの間に測定対象となる中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧100(V)を印加して30秒後に流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは中間転写体Tの厚さ(cm)を示す。なお、本明細書において、体積抵抗率について温度・湿度条件を明示していない場合には、22℃、55%RH環境で測定したものを意味する。
【0070】
式(2) ρv=19.6×(100(V)/I)×t
【0071】
(対ロール屈折回数)
半導電性ベルトを中間転写体として使用する場合の該中間転写体の対ロール屈曲回数は、後述する図6に示す対ロール屈曲試験装置において、屈曲回数が150kcycle以上であることが好ましく、300kcycle以上であることがより好ましく、500kcycle以上であることがさらに好ましい。
屈曲回数が150kcycle以上であると、駆動ロール、テンションロール等のロールとの当接部において折り曲げられることによるクラック等の発生をなくすることができる。
【0072】
上記対ロール屈曲回数は、図6に示す測定装置を用いて測定することができる。
図6に示す測定装置は、少なくとも、3本の金属ロール71(φ28mm)と、金属ロール71をそれぞれ平行に保ち、それらの端面に設けられた正三角形(一辺の長さ:30mm)の固定板72と、からなる。
固定板72の頂点と金属ロール71の中心軸とは一致し、金属ロール71および固定板72は、それぞれ回転可能となっている。
【0073】
図6に示す測定装置を用いて測定するには、まず、図6(a)に示すように、例えば、長さ300mm、幅20mmの試験片(半導電性ベルト)の一端を固定し、他端に400gの荷重を吊り下げて、ベルトテンションを加える。
次に、図6(b)に示すように、金属ロール71を自由に回転する構成として、さらに、160rpmの速度で図面上時計周りに固定板72を回転させる。そして、3本の金属ロール71を1組として、1回転を1サイクルとし、試験片が破断するまでのサイクルを測定し、対ロール屈曲回数とする。
【0074】
<<画像形成装置>>
本発明の画像形成装置は、既述の半導電性ベルトを中間転写体または搬送ベルトとして備えていれば、特に限定されるものではない。
例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置;感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置;各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置;用紙搬送ベルトを用いるカラー画像形成装置;等に適用できる。
以下に、本発明の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
【0075】
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体としての中間転写ベルト2、転写電極であるバイアスローラ3、被転写体である用紙41を収容するトレー4、BK(ブラック)トナーによる現像装置5、Y(イエロー)トナーによる現像装置6、M(マゼンタ)トナーによる現像装置7、C(シアン)トナーによる現像装置8、ベルトクリーナー9、剥離爪13、ベルトローラ21、23および24、バックアップローラ22、導電性ローラ25、電極ローラ26、クリーニングブレード31、ピックアップローラ42、並びにフィードローラ43を有している。
【0076】
図2に示す画像形成装置において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム1の回転で導電性ローラ25が対向配置された一次転写部に到り、導電性ローラ25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト2に吸着するとともに中間転写ベルト2の矢印B方向への回転で一次転写させる。
【0077】
以下、同様にして第2色のトナー像(イエロー)、第3色のトナー像(マゼンタ)、第4色のトナー像(シアン)が順次形成され中間転写ベルト2において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。
【0078】
中間転写ベルト2に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の矢印方向への回転でバイアスローラ3が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ3と該中間転写ベルト2の裏側からバイアスローラに対向配置されたバックアップローラ22と、このバックアップローラ22に圧接して回転する電極ローラ26と、から構成される。
【0079】
用紙41は、用紙トレー4に収容された用紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出され、フィードローラ43で二次転写部の中間転写ベルト2とバイアスローラ3との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙41には、バイアスローラ3およびバックアップローラ22による圧接搬送、バイアス印加、並びに中間転写ベルト2の回転により、中間転写ベルト2に担持されたトナー像が転写される。
【0080】
トナー像が転写された用紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより中間転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、該定着装置による加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像が形成される。なお、多重トナー像の用紙41への転写の終了した中間転写ベルト2は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ3は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接するように取り付けられており、転写時に付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0081】
単色画像の転写の場合、中間転写体2に一次転写されたトナー像Tを直ちに用紙41に二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ3と中間転写ベルト2を介して対向配置したバックアップローラ22に圧接した電極ローラ26にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することでトナー像を用紙41に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0082】
本発明の画像形成装置の他の一例として、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置を示す。図3は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、複写機、レーザービームプリンター等として使用できるものである。図3に示す画像形成装置は、ユニット100Y、100M、100C、100Bkと、中間転写体としての中間転写ベルト106と、定着器109と、バックアップローラ110と、支持ローラ111、112、113と、ベルト用クリーニング装置114と、バイアスローラ115と、電極ローラ116とを備えている。また、ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、それぞれ、感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、コロトロン帯電器102Y、102M、102C、102Bkと、露光器103Y、103M、103C、103Bkと、現像器104Y、104M、104C、104Bkと、電子写真感光体クリーナ105Y、105M、105C、105Bkと、転写ローラ107Y、107M、107C、107Bkとを備えている。
【0083】
ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、矢印の時計回りに所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能に、それぞれ感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bk(図示ないが、感光体ドラムはフランジで回転可能に軸着されている。)が備えられる。感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkの周囲には、コロトロン帯電器102Y、102M、102C、102Bkと、露光器103Y、103M、103C、103Bkと、各色現像器(イエロー現像器104Y、マゼンタ現像器104M、シアン現像器104C、ブラック現像器104Bk)と、感光体クリーナー105Y、105M、105C、105Bkとがそれぞれ配置されている。
【0084】
ユニット100Y、100M、100C、100Bkは、中間転写ベルト106に対して4つ並列に、図面上左側からユニット100Y、100M、100C、100Bkの順に配置されているが、ユニット100Bk、100Y、100C、100Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0085】
中間転写ベルト106は、バックアップローラ110、支持ローラ111、112、113によって張架され、矢印の反時計回りに感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと同じ周速度をもって回転可能になっており、支持ローラ112と支持ローラ113との間に位置するその一部が感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkとそれぞれ接するように配置されている。中間転写ベルト106は、ベルト用クリーニング装置114が備えられている。
【0086】
転写ローラ107Y、107M、107C、107Bkは、中間転写ベルト106の内側であって、中間転写ベルト106を介して感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkに対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム101Y、101M、101C、101Bkと、中間転写ベルト106にトナー画像を転写する一次転写部(ニップ部)を形成している。
【0087】
バイアスローラ115は、中間転写ベルト106のトナー像が担持される表面側に、中間転写ベルト106を介しバックアップローラ110と対向して配置されている。この中間転写ベルト106を介したバイアスローラ115とバックアップローラ110とで二次転写部(ニップ部)を形成している。また、バックアップローラ110には、バックアップローラ110に圧接して回転する電極ローラ116が備えられている。
定着器109は、用紙117が上記二次転写部を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0088】
図3に示す画像形成装置において、ユニット100Bkにおいては、感光体ドラム101Bkを回転駆動させる。これと連動してコロトロン帯電器102Bkが駆動し、感光体ドラム101Bkの表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム101Bkは、次に、露光器103Bkによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0089】
続いて該静電潜像は、ブラック現像器104Bkによって現像される。すると、感光体ドラム101Bkの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0090】
このトナー画像は、感光体ドラム101Bkと中間転写ベルト106との一次転写部(ニップ部)を通過すると同時に、転写ローラ107Bkから印加される転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト106の外周面に順次、一次転写される。
この後、感光体ドラム101Bk上に残存するトナーは、感光体クリーナ105Bkによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム101Bkは、次の転写サイクルに供される。
【0091】
以上の転写サイクルは、ユニット100C、100M、100Yでも同様に行われる。即ち、同様にして第2色のトナー像(シアン)、第3色のトナー像(マゼンタ)、第4色のトナー像(イエロー)が順次形成され、中間転写ベルト106において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。
【0092】
中間転写ベルト106に転写された多重トナー像は、転写ベルト106の回転でバイアスローラ115が設置された二次転写部(ニップ部)に到る。
【0093】
用紙117は、二次転写部の中間転写ベルト106とバイアスローラ115との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙117には、バイアスローラ115およびバックアップローラ110による圧接搬送、バイアス印加、並びに中間転写ベルト106の回転により、中間転写ベルト106に担持されたトナー像が転写される。
【0094】
トナー像が転写された用紙117は、定着器109に搬送され、定着器109による加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像が形成される。なお、多重トナー像の用紙117への転写の終了した中間転写ベルト106は、二次転写部の下流に設けたベルト用クリーニング装置114で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。
【0095】
単色画像の転写の場合、中間転写ベルト106に一次転写されたトナー像を直ちに用紙117に二次転写して定着器109に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト106と各感光体ドラム101Y,101M、101C、101Bkとの回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ115と中間転写ベルト106を介して対向配置したバックアップローラ110に圧接した電極ローラ116にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することでトナー像を用紙117に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0096】
【実施例】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0097】
(実施例1)
酸性カーボンブラックとして、Printex150T(pH4で有機揮発分10%、DBP吸油量150ml/100g、Degussa社製)を用い、マトリックス樹脂としてのポリエステル樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂であるPETG6763(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記カーボンブラックを窒素雰囲気中で、80℃で60分間加熱して付着水分を除去した後で、前記ポリエステル樹脂100質量部あたり、酸性カーボンブラック100質量部、滑剤として、リケスターEW−90(理研ビタミン(株))を0.5質量部、添加して、加圧ニーダーを用いて、150℃の設定温度で、20分間混練・分散した。
【0098】
さらに、2本ロールを用いて、シート形状にし、裁断して、粉砕機で粉状として、酸性カーボンブラックを微分散させた非結晶性ポリエステル樹脂組成物を製造した。
【0099】
上記非結晶性のポリエステル樹脂100重量部あたり、第二のマトリックス樹脂として、ポリエステル樹脂であるPCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)190質量部と、エポキシ基を有する熱可塑性エラストマーとして、エポフレンドA1005(ダイセル化学工業(株)製)24質量部と、を加えて、240℃の加熱温度にて、2軸押出機を用いて混練分散し樹脂ペレットを作製した。
【0100】
混練後の酸性カーボンブラックの含有量は、15.9質量%であった。この樹脂ペレットを1軸押出機を用い240℃の加熱温度で、チューブ形状に押出成形し、厚み0.13mmで、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
【0101】
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1012.0Ω/□であり、体積抵抗率は1010.7Ωcmであった。
なお、前記表面抵抗率および体積抵抗率は以下に示すようにして行った。(他の実施例および比較例も同様)。
【0102】
−表面抵抗率−
本実施例における表面抵抗率の測定(後述の評価試験中の各項目における場合を含む。)は、図1に示す円形電極(油化電子(株)製HRプローブ:円柱状電極部Cの外径φ16mm、リング状電極部Dの内径φ30mm、外径φ40mm)を用い、電圧を100V(電界依存性については100Vおよび1000V)印加して10秒後の電流値を求め算出した。具体的には、前述した通りである。なお、22℃、55%RH環境で測定を行った。
【0103】
−体積抵抗率−
表面抵抗率の測定で用いた装置と同様の装置を用い、電圧を100V印加して30秒後の電流値を求め算出した。具体的には前述した通りである。なお、22℃、55%RH環境で測定を行った。
【0104】
(実施例2)
実施例1と同じ酸性カーボンブラックを微分散させた非結晶性のポリエステル樹脂組成物を用い、第二のマトリックス樹脂として、ポリカーボ−ボネ−ト樹脂であるレキサン131(日本ジーイープラスチックス(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂組成物100質量部にポリカーボ−ボネート樹脂180質量部と、エポフレンドA1005(ダイセル化学工業(株)製)35質量部と、を加えて、240℃の加熱温度で、2軸押出機を用いて混練分散し樹脂ペレットを作製した。
【0105】
混練後の酸性カーボンブラックの含有量は、15.8質量%であった。この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、260℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.13mmで、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□であり、体積抵抗率1010.5Ωcmであった。
【0106】
(実施例3)
マトリックス樹脂としてのポリエステル樹脂としてPCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部あたり、エポフレンドA1005(ダイセル化学工業(株)製)15質量部と、実施例1で使用した酸性カーボンブラック22重量部と、を添加して、2軸押出機を用いて、酸性カーボンブラックを15質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
【0107】
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、240℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形し、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1011.5Ω/□であり、体積抵抗率は109.6Ωcmであった。
【0108】
(比較例1)
マトリックス樹脂としてのポリエステル樹脂としてPCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部あたり、実施例1で使用した酸性カーボンブラック15質量部を添加し、2軸押出機を用いて、酸性カーボンブラックを15質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、240℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形し、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は、1011.7Ω/□、体積抵抗率は109.8Ωcmであった。
【0109】
(比較例2)
マトリックス樹脂としてのポリエステル樹脂としてPCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部あたり、カーボンブラックとして、ケッチエンブラックEC(pH9.0で有機揮発分1.5%の中性カーボンブラック、ライオンアグソ社製)12質量部を添加し、2軸押出機を用いて、カーボンブラックを12質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、240℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1012.1Ω/□であり、体積抵抗率は108.3Ωcmであった。
【0110】
(比較例3)
マトリックス樹脂としてのポリエステル樹脂としてPCTG5445(イーストマンケミカル(株)製)を用い、前記ポリエステル樹脂100質量部あたり、カーボンブラックとして、粒状アセチレンブラック(pH5.7で有機揮発分0.9%、電気化学工業(株)製)12質量部を添加して、2軸押出機を用いて、カーボンブラック12質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、240℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1011.5Ω/□であり、体積抵抗率は109.8Ωcmであった。
【0111】
(比較例4)
マトリックス樹脂としてのポリカーボ−ボネート樹脂としてレキサン131(日本ジーイープラスチックス(株)製)を用い、前記ポリカーボ−ボネート樹脂100質量部あたり、カーボンブラックとして、VolcanXC72X(pH8.5で揮発分1.5%、米Cabot社製)14質量部を添加し、2軸押出機を用いて、カーボンブラックを14質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、260℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.13mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1011.9Ω/□であり、体積抵抗率は109.2Ωcmであった。
【0112】
(比較例5)
マトリックス樹脂として、ポリカーボ−ボネートとポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)とのポリマーアロイである三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のユーピロンMB2112を用い、前記ポリマーアロイ100質量部あたり、カーボンブラックとして、VolcanXC72(pH8.5の中性カーボンブラック、米Cabot社製)12質量部を添加し、2軸押出機を用いて、ポリカーボネート系アロイ樹脂にカーボンブラックを混練して、カーボンブラックを12質量%含有する樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、260℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.15mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1011.7Ω/□であり、体積抵抗率は109.8Ωcmであった。
【0113】
(比較例6)
マトリックス樹脂としてのポリカーボ−ボネート樹脂としてレキサン131(日本ジーイープラスチックス(株)製)を用い、前記ポリカーボ−ボネート樹脂100質量部あたり、イオン導電性ポリマーとして、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型ポリマーである三洋化成工業(株)製のペレスタット6321の25質量部を添加し、2軸押出機を用いて混練し樹脂ペレットを作製した。
さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、250℃の加熱温度にて、チューブ形状に押出成形して、厚み0.15mm、幅350mm、外径168mmの無端状の半導電性ベルトを作製した。
この半導電性ベルトの表面抵抗率は1012.3logΩ/□であり、体積抵抗率は1012.5logΩcmであった。
【0114】
(評価試験)
実施例1〜3および比較例1〜6で得られた半導電性ベルトを中間転写体として、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
【0115】
−表面抵抗率の面内ばらつき−
本実施例における表面抵抗率の面内ばらつき(ΔR)は、作製した外径168mm、幅350mmの半導電性ベルトを長さ方向(周方向)に8分割、幅方向に3分割し、ベルト面内24点について表面抵抗率を計測し、表面抵抗率の常用対数値をとり、その最大値と最小値の差として算出した。
【0116】
−表面抵抗率の環境変動幅−
本実施例における表面抵抗率の環境変動幅は、30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|として算出した。
【0117】
−表面抵抗率の電界依存性−
本実施例における表面抵抗率の電界依存性は、印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|として算出した。
【0118】
−3000枚連続コピー後の表面抵抗率の低下量−
3000枚連続コピー後の表面抵抗率の低下量は、コピー前(初期)における表面抵抗率の常用対数値と、用紙を3000枚連続コピーした後における用紙走行部の表面抵抗率の常用対数値と、の差として算出した。
【0119】
−3000枚連続コピー後の白抜け発生状況−
葉書の大きさの用紙を3000枚連続コピーした後に、A4サイズの用紙にマゼンタ30%のハーフトーン画像をコピーし、白抜け発生状況を目視にて判定した。評価基準としては、画質上問題にならないレベルを○とし、画質上問題のあるレベルを×とした。
【0120】
−ベルト外観−
無端ベルト外面を三次元粗さ計にて観察し、図4を参照して、高さまたは幅20μm以上の突起の数により以下の基準で評価した。
○:画質上問題がないレベル
△:10〜20μmの突起はあるが、画質上問題がないレベル
×:20μm以上の突起が多数あり、画質上問題があるレベル
なお、図4は、別途求めた無端ベルト(中間転写体)表面の突起の形状(高さ・幅)と画質欠陥との関係を示す図である。ベルト表面の突起の高さまたは幅が20μmを超えると転写画質に白点抜けの画質欠陥が発生する。
【0121】
−耐ロール屈曲回数−
耐ロール屈曲回数は、図6に示す装置を使用し、既述の方法により測定した。
【0122】
【表1】
【0123】
実施例1〜3は、いずれも、全ての特性について実際の使用上問題のないレベルであった。
比較例1は、酸性カーボンを用いており、表面抵抗率の電界依存性は、0.3と小さく、葉書を1000枚連続コピー後に用紙走行部が白くなる(転写不良)なる等の問題がなかった。しかし、カーボンブラックの分散状態が不十分であり0.5μm以上のカーボンブラックの凝集塊があり、上述した、画質欠陥を発生させる高さが20μm以上の突起の数が、ベルト表面に多数発生したために,転写画質に白点抜けが発生した。また、屈曲回数も低いものであった。
【0124】
比較例2〜5は、電子伝導性の中性カーボンブラックを用いており、表面抵抗率のベルト面内のばらつき(ΔR)および電界依存性が大きく、葉書を1000枚連続コピー後、用紙走行部の表面抵抗率の低下量が大きく、ハーフトーンをコピーした時の白抜け発生状況を示す問題があり、さらに、カーボンブラックの分散状態が不十分で、5μm以上のカーボンブラックの凝集塊が多く、上述した、画質欠陥を発生させる高さが20μm以上の突起の数が、ベルト表面に多数発生したために、転写画質に白点抜けが発生した。また、屈曲回数も低いものであった。
【0125】
また、比較例6のイオン導電性ポリマー分散のベルト材料は、表面抵抗率のベルト面内のばらつき(ΔR)は小さく、用紙走行部の表面抵抗率が低下する、転写画質に白点抜けが発生する、等の問題はないが、高温高湿(H/H)環境と低温低湿(L/L)環境での表面抵抗率の変動が1.8と大きい点に問題があった。
【0126】
【発明の効果】
本発明の半導電性ベルトを画像形成装置に使用すれば、転写電圧によるベルト抵抗低下がなく、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性および環境による電気抵抗の変化が少なく、かつ、ベルト寿命が長く、ベルト外観に突起等の画質欠陥を生じない高画質を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)および概略断面図(b)である。
【図2】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【図4】 ベルト表面の突起の形状(高さ・幅)と画質欠陥との関係を示す図である。
【図5】 中間転写体の転写部の抵抗低下を説明する概要図である。
【図6】 対屈曲回数を測定する装置の概略を示す概略図(a)および概略図(b)である。
【符号の説明】
1…感光体ドラム(像担持体)
2…中間転写ベルト(中間転写体)
3…バイアスローラ
4…用紙トレー
5…ブラック現像器
6…イエロー現像器
7…マゼンタ現像器
8…シアン現像器
9…中間転写体クリーナ
10…転写ローラ
13…剥離爪
21…ベルトローラ
22…バックアップローラ
23…ベルトローラ
24…ベルトローラ
25…導電性ローラ
26…電極ローラ
31…クリーニングブレード
41…用紙
42…ピックアップローラ
43…フィードローラ
100Y、100M、100C、100Bk…ユニット
101Y、101M、101C、101Bk…感光体ドラム
102Y、102M、102C、102Bk…コロトロン帯電器
103Y、103M、103C、103Bk…露光器
104Y…イエロー現像器
104M…マゼンタ現像器
104C…シアン現像器
104Bk…ブラック現像器
105Y、105M、105C、105Bk…電子写真感光体クリーナ
106…中間転写ベルト(中間転写体)
107Y、107M、107C、107Bk…転写ローラ
109…定着器
110…バックアップローラ
111、112、113…支持ローラ
114…ベルト用クリーニング装置
115…バイアスローラ
116…電極ローラ
117…用紙

Claims (7)

  1. 下記一般式1に示す構造式で表わされる樹脂材料を含有するマトリックス樹脂中に、導電剤としてpH5.0以下の電子伝導性フィラーと、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物と、を含有することを特徴とする半導電性ベルト。
    【化1】
    一般式1:
    (一般式1中のmおよびnは、m:nが1:0.5〜1:4の整数を表わす。)
  2. 前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物中のエポキシ基の量(個数)が、ジエン成分の総数の2〜90%であることを特徴とする請求項1に記載の半導電性ベルト。
  3. 前記マトリックス樹脂が、さらにポリカーボネート樹脂を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の半導電性ベルト。
  4. 印加電圧100Vにおける表面抵抗率ρs1(Ω/□)の常用対数値と、印加電圧1000Vにおける表面抵抗率ρs2(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs1−logρs2|が、0.6以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導電性ベルト。
  5. 30℃、85%RHにおける表面抵抗率ρs3(Ω/□)の常用対数値と、10℃、15%RHにおける表面抵抗率ρs4(Ω/□)の常用対数値と、の差|logρs3−logρs4|が、1.0以下であることを特徴とする前記導電剤が、pH5.0以下の電子伝導性フィラーであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の半導電性ベルト。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の半導電性ベルトからなることを特徴とする中間転写体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の半導電性ベルトを備えていることを特徴とする画像形成装置。
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