JP3941287B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタなどに用いられる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置として、無機または有機材料からなる光導電性感光体の表面層を有する像担持体を一様に帯電させた後、画像信号を変調したレーザ光などにより像担持体上に静電潜像を形成し、その静電潜像を帯電したトナーで現像して可視化されたトナー像を形成し、次にそのトナー像を中間転写体を介して、あるいは直接に記録紙などの記録媒体に静電的に転写することにより所望の再生画像を得る方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
この方式の画像形成装置のうち中間転写体として中間転写ベルトを用いる方式の画像形成装置として、例えば、特開昭62−206567号公報などには、像担持体上に形成したトナー像を中間転写ベルトに1次転写し、次に中間転写ベルト上のトナー像を記録紙に2次転写する方式の画像形成装置が開示されている。この方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトの材料としては、例えば、特開平06−095521号公報ではポリカーボネイト樹脂、特開平5−200904号公報や特開平6−228335号公報ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、特開平6−149081号公報ではポリアルキレンフタレート、特開平6−149083号公報ではPC(ポリカーボネイト)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、特開平6−149079号公報ではETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC、ETFE/PAT、およびPC/PATのブレンド材料などの熱可塑性樹脂にカーボンブラックなどの導電剤を分散してなる導電性の樹脂材料を用いる提案がなされている。
【0004】
このような材料よりなる中間転写ベルトを使用したカラー画像形成装置では、その中間転写ベルトを張架支持する複数の支持ロールの回転軸の平行度やロール外径のばらつき、あるいは中間転写ベルト自体の周長変化により張力が不均一となることなどが原因となって、中間転写ベルトが直進走行せずに支持ロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行などの現象が発生することがある。このような現象が発生すると中間転写ベルトに順次転写される各色のトナー像の転写位置が相互にずれてしまうことがあり、最終的に用紙上に形成されるカラー画像に色ずれや色相変化などを起こす画像欠陥を発生することがある。
【0005】
そこで、このような中間転写ベルトの片寄り走行や蛇行を防止する対策として、例えば、特開昭58−100145号公報には、駆動ロールにフランジを設ける方法、特開平5−333707号公報には、中間転写ベルトの幅方向の端部にゴムのガイド部材を設ける方法、特開昭59−230950号公報および特開昭62−50873号公報には、中間転写ベルトの幅方向の両端にホットメルト型接着テープあるいは感圧性接着性シートのガイド部材を接着する方法、特開平4−333457号公報および特開平7−187435号公報には、エラストマを接着した補強テープをガイド部材として接着する方法などが開示されている。
【0006】
しかし、このようなガイド部材を中間転写ベルトの端部に設けて片寄り走行や蛇行を防止する方法では、中間転写ベルトの材料としてポリカーボネイト樹脂などの熱可塑性樹脂の導電性材料を用いた場合は、中間転写ベルト端部のガイド部材近傍に応力が集中するために駆動中に中間転写ベルト端部にクラックが発生して、ベルトの寿命が短くなるなどの問題がある。
【0007】
その対策として機械的特性が優れたポリイミド樹脂を用いることが考えられ、例えば、特許第2560727号公報(特開昭63−311263号公報)には、カーボンブラックを分散させたポリイミド樹脂製の無端ベルトを中間転写ベルトとして用いた画像形成装置が開示されている。
【0008】
このようなベルトを製造する一般的な方法としては、例えば、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜原溶液を円筒金型に注入して、100℃〜200℃に加熱しつつ500rpm〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら遠心成形法によりフィルム状に成膜する。次いで、得られたフィルムを、半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化を行わせる。本硬化の工程において、急激に温度を上げて反応を促進すると、ベルト表面に小突起などが発生するなどの問題があるため、ポリイミド化反応には4時間から6時間かける必要がある。そのため製造に長時間を要し、かつ、ポリイミド樹脂が高価な材料であるためにポリイミド樹脂製の中間転写ベルトは高価になることが避けられない。
【0009】
また、ポリイミド樹脂材料は機械的特性に優れているために、バイアスロールを用いて記録紙を像担持体に押圧し電界を印加してトナー像を静電的に転写する1次転写部でのバイアスロールによる押圧力による変形が少なく、バイアスロールによる押圧力が集中しやすい。そのためトナーが凝集し電荷密度が高くなることによってトナー層内部で放電が起こりトナー極性を変化させるなどの原因によりライン画像が中抜けする(ホローキャラクタ)などの画質欠陥を発生させるという問題がある。
【0010】
また、中間転写ベルト方式の画像形成装置に用いられるベルト材料として、特開平9−305038号公報および特開平10−240020号公報には、ポリエステルなどの織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが開示されている。
【0011】
この補強材入り弾性ベルトは、ベルト自体が弾性を有していることから、支持ロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行の発生は抑えられるが、ヤング率が300kg/cm2と低いためにベルト材料の伸びやクリープなどに起因する色ずれが発生するという問題がある。
【0012】
さらに、前述のカーボンブラック分散のポリカーボネイト、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体、補強材入り弾性ベルトなどの導電性の無端ベルトを用いた場合において、葉書などの中間転写ベルトの幅より短い用紙を連続して1000枚以上転写した後で、マゼンタ30%のハーフトーン画像を転写すると用紙走行部に白抜けが発生することがある。
【0013】
図4は、中間転写ベルトの幅より短い用紙を連続して1000枚転写した後の白抜け発生状況を示す図である。
【0014】
中間転写ベルト方式の画像形成装置において、用紙Pとして図4(a)に示すように中間転写ベルト10の幅W1よりも短い幅W2の葉書を中間転写ベルト10上に担持して連続1000枚コピーを行った後に、その中間転写ベルト10上にマゼンタ30%のハーフトーン画像を転写した。その結果、中間転写ベルトの特性によっては、図4(b)に示すように、マゼンタ30%のハーフトーン画像12の中に白抜け11が発生することが観察される。この白抜け11は、中間転写ベルト10上の葉書を担持していた用紙走行部11に生じており、この白抜けが生じた中間転写ベルトの表面抵抗率を測定すると、用紙走行部11の表面抵抗率がその周囲の非通紙部12の表面抵抗率よりも1.1桁(logΩ/□)以上低くなっていることがわかる。
【0015】
この白抜けによる画質欠陥は、特に、10℃、15%RHの低温低湿環境下において、葉書などの中間転写ベルトの幅よりも短い幅の用紙を連続して1000枚以上転写(2次転写電圧3kVを印加)した場合などに顕著に現れる。
【0016】
このように、用紙走行部に白抜けが発生するのは、2次転写装置での用紙剥離時に中間転写ベルトと用紙間での剥離放電によって、中間転写ベルトの用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して転写効率が低下することが原因であると考えられる。
【0017】
図5は、中間転写ベルトの表面抵抗率低下の説明図である。
【0018】
図5に示すように、バイアスロール3とバックアップロール22とからなる2次転写装置において、中間転写ベルト10の表面10cは、電極ロール26に印加された電源によりプラスに帯電され、用紙Pの中間転写ベルト10側の表面はマイナスに帯電されている。そのため、中間転写ベルト10と用紙Pとの間で剥離放電が発生し、その放電による電流が中間転写ベルト10を劣化させ表面抵抗率を低下させるものと考えられる。
【0019】
このように劣化した中間転写ベルトは画像形成装置から取り外して新しい中間転写ベルトに交換するほかはない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来技術における中間転写ベルトには、ベルト材料の伸びやクリープなどに起因する色ずれ、色相変化などの画像欠陥や、ベルト亀裂、破断などによるベルト寿命の短縮や、表面抵抗率低下によるベルト劣化など問題が多く、中間転写ベルトの頻繁な交換が必要であり、メンテナンスの手間の増加とランニングコストの上昇を招く結果となっている。
【0021】
従来は、高価格であったために一部の法人ユーザのみが対象であったフルカラーの複写機やプリンタは、価格の低減に伴いスモールオフィスや一般家庭をも含む、より広範なユーザが対象になりつつある。これらのユーザを対象にしたフルカラーの複写機やプリンタでは、従来以上に本体を小型化し、低価格化することが必要であるとともに、メンテナンスの手間の減少およびランニングコストの低減がより一層重要な課題であり、この観点から中間転写ベルトの寿命を大幅に延長する必要がある。
【0022】
本発明は、上記の事情に鑑み、中間転写ベルトの寿命が長く、色ずれや白抜けなどの画質欠陥の発生が防止された画像形成装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
表面に静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、上記像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、該現像装置により形成された上記像担持体上のトナー像の転写を受け転写されたトナー像を担持しながら所定の方向に循環移動する中間転写ベルトと、上記像担持体上のトナー像を上記中間転写ベルトに転写する1次転写装置と、上記中間転写ベルトに転写されたトナー像を所定のバイアス電圧が印加されたバイアスロールにより所定の記録媒体に転写する2次転写装置とを備えた画像形成装置において、
上記中間転写ベルトが、弾性材料よりなる基材と、該基材上に形成された、導電剤が分散された樹脂材料よりなる表面層とからなることを特徴とする。
【0024】
ここで、上記中間転写ベルトが、上記表面層のヤング率をE1、上記基材のヤング率をE2としたとき、
E1>E2
なる関係を満たすものであることが好ましい。
【0025】
また、上記表面層が、10000kg/cm2以上のヤング率を有するものであることが好ましい。
【0026】
また、上記表面層が、1×1010Ω/□以上1×1014Ω/□以下の表面抵抗率を有するものであることも好ましい。
【0027】
また、上記表面層が、1×109Ωcm以上1×1014Ωcm以下の体積抵抗率を有するものであることも好ましい態様である。
【0028】
また、上記表面層が、イオン導電性を有する樹脂材料よりなるものであることも好ましい態様の一つであり、さらに、上記表面層が、イオン導電性ポリマを分散させたフッ素樹脂系材料よりなるものであることもまた好ましい態様である。
【0029】
さらに、上記基材が、互いに異なる溶解度パラメータを持つ複数の弾性材料よりなる非相溶系の弾性材料に導電剤を分散させてなるものであることも好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0031】
本発明の画像形成装置は、中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置に適用することができる。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容するモノカラー画像形成装置や、感光体ドラムなどの像担持体上に形成された、互いに色の異なる複数のトナー像を中間転写ベルトに順次1次転写してカラートナー像を形成しそれを記録媒体に2次転写するカラー画像形成装置や、互いに異なる色のトナーを収容する現像器を備えた複数の像担持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置などに適用される。
【0032】
図1は、本発明の画像形成装置が適用されるフルカラー画像形成装置の概略構成図である。
【0033】
このカラー画像形成装置は、矢印A方向に回転する、像担持体としての感光体ドラム1、感光体ドラム1上に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置2、感光体ドラム1上に形成された静電潜像をB(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色のトナーで現像してそれぞれの色のトナー像tを形成する現像装置5,6,7,8、1次転写位置T1において感光体ドラム1に接触してトナー像tの転写を受ける、矢印B方向に循環移動する中間転写ベルト10、1次転写位置T1において中間転写ベルト10を介して感光体ドラム1に対向して配置された、感光体ドラム1上のトナー像を中間転写ベルト10に転写する1次転写装置を構成する導電性ロール25、2次転写位置T2において中間転写ベルト10上のトナー像を記録媒体である用紙Pに転写する2次転写装置を構成するバイアスロール3、およびバイアスロール3に対向して配置されたバックアップロール22を備えている。中間転写ベルト10の詳細については後述する。
【0034】
これらのほかに、中間転写ベルト10を支持するベルトローラ21,23,24、バイアスロール3に付着したトナー粒子や紙粉などの異物を除去する、ポリウレタンなどからなるクリーニングブレード15、バックアップロール22に電圧を印加する電極ロール26、2次転写位置T2の下流側に配置された、中間転写ベルト10から用紙Pを剥離する剥離爪13、中間転写ベルト10上の残留トナー像を除去するベルトクリーナ9、用紙Pを収容する記録紙トレー4、記録紙トレー4内の用紙Pを2次転写位置T2に供給する給紙装置14、さらに、バイアスロール3にバイアス電圧を供給する電源(図示せず)、導電性ロール25にバイアス電圧を供給する電源(図示せず)などが備えられている。
【0035】
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
【0036】
感光体ドラム1表面が、図示しない帯電装置により一様に帯電されたのち、レーザ書込装置などからなる静電潜像形成装置2により感光体ドラム1上に第1色、例えば、Bの静電潜像が形成される。このBの静電潜像は現像装置5によりBトナーで現像されて可視化されたトナー像tが形成される。トナー像tは感光体ドラム1のA方向への回転により1次転写位置T1に搬送され、導電性ロール25からトナー像tに逆極性の電界を作用させることにより静電的に中間転写ベルト10に吸着され、中間転写ベルト10の矢印B方向への移動に伴い中間転写ベルト10に1次転写される。
【0037】
以下、同様にして第2色のYのトナー像t、第3色のMのトナー像t、第4色のCのトナー像tが順次形成され、中間転写ベルト10上において重ね合わされるように1次転写されて多重トナー像が形成される。なお、中間転写ベルト10上への各色トナー像の1次転写が完了するまでの間は、バイアスロール3、剥離爪13、およびベルトクリーナ9などは中間転写ベルト10から離れた退避位置に引き込まれている。
【0038】
中間転写ベルト10に形成された多重トナー像は中間転写ベルト10のB方向への移動に伴い2次転写装置に搬送される。
【0039】
単色画像形成の場合は、1次転写されたトナー像tは直ちに2次転写されて定着装置に搬送されるが、複数色の重ね合わせ転写による多色画像形成の場合は、各色のトナー像が1次転写装置により中間転写ベルト10上の同一位置に正確に転写されるように中間転写ベルト10と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像が相互にずれないように構成されている。
【0040】
2次転写装置は、中間転写ベルト10のトナー像を担持する表面側に接して配置されたバイアスロール3と、中間転写ベルト10の裏面側に接してバイアスロール3に対向して配置されたバックアップロール22と、バックアップロール22に圧接しながら回転する電極ロール26とから構成される。電極ロール26には、トナー像の極性と同極性の転写バイアス電圧が印加されている。
【0041】
用紙Pは記録紙トレー4に収容された記録紙束から給紙装置14により一枚ずつ取り出され、2次転写位置T2における中間転写ベルト10とバイアスロール3との間に形成されるニップ部に所定のタイミングで供給される。用紙Pと重ね合わされてニップ部に供給された中間転写ベルト10上の多色トナー像は、バイアスロール3およびバックアップロール22による圧接搬送作用、転写バイアス電圧による静電反発作用、および中間転写ベルト10の回転作用により用紙Pに転写される。
【0042】
ここで、最終のトナー像の1次転写が終了するまで退避位置に引き込まれていた剥離爪13を作動位置に移動させることにより、トナー像が転写された用紙Pは中間転写ベルト10から剥離され、図示しない定着装置に搬送されて加圧/加熱処理を受けトナー像は定着されて永久画像とされる。
【0043】
なお、多重トナー像の用紙Pへの転写が終了した中間転写ベルト10は、2次転写位置T2の下流側に配置されたベルトクリーナ9により残留トナーの除去が行われ、次の画像形成サイクルに備えられる。
【0044】
【実施例】
次に、本発明の実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトの断面図である。
【0045】
この中間転写ベルト10は、弾性材料よりなる基材10aと、基材10a上に形成された、導電剤が分散された樹脂材料よりなる表面層10bとから構成されている。
【0046】
基材10aは、次のようにして作製した。弾性材料としてEPDM:NBRの重量比が6:4であるゴム材料(日本合成ゴム(株)製NE40)に電気化学工業(株)製アセチレンブラック10部と旭カーボン(株)製FTカーボン20部を混練した後、チューブクロスヘッド押出成形機によりチューブ形状に押し出し、加硫缶を用いて1.5kg/cm2の蒸気圧で120℃の温度に加熱加硫して導電性の弾性ベルトを得た。さらに、この弾性ベルトを直径166mmの金属基材の外側に被覆して表面を研磨加工し、周長直径166mm、厚み0.35mmの弾性ベルトを得た。
【0047】
上記の方法により得られた厚さ0.5mmの弾性ベルトの体積抵抗率は109.5Ωcmであり、100%モジュラスは120kg/cm2であった。
【0048】
表面層10bの樹脂材料として用いられる、イオン導電性ポリマ分散のポリフッ化ビニリデン樹脂層は、三洋化成工業(株)製のペレスタット6321(商品名)20重量部とポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂100重量部とを2軸押出機を用いて混練してペレットを作製し、次に、このペレットを1軸押出機により220℃の加熱温度でチューブ形状に成型して厚み0.15mmの無端ベルトを得た。
【0049】
この無端ベルトの表面層の表面抵抗率は12.3 logΩ/□、体積抵抗率は12.5 logΩcm、ヤング率は20000kg/cm2であった。
【0050】
こうして作製した無端ベルトを約1%延伸させた状態で張架し、その表面にPVDF樹脂層を積層して2層からなる無端ベルトを得た。この2層構成の無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率低下量は、0.1 logΩ/□であった。
【0051】
この実施例のように、弾性材料よりなる基材と、その基材上に形成された、導電剤が分散された樹脂材料よりなる表面層とからなる2層構造の中間転写ベルトを用いることにより、中間転写ベルトが支持ロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行の発生が防止される。また、樹脂材料よりなる表面層を設けたことによって、基材の経時的な伸びやクリープなど変形を抑制することができるので色ずれなどの発生が防止される。また、弾性材料よりなる基材によって、2次転写装置でのバイアスロール3による押圧力の応力を緩和することができ、2次転写装置においてバイアスロール3による押圧力が集中してトナーが凝集しライン画像白抜けなどの画質欠陥を発生するという問題も解決される。
【0052】
また、本実施形態の画像形成装置において、中間転写ベルトの表面層を構成する樹脂材料のヤング率E1を、基材を構成する弾性材料のヤング率E2よりも大きい構成とすることにより、中間転写ベルトに加えられる約5kgfに達するプロセス方向のテンションが表面層の樹脂材料で受け止められるので、基材を構成する弾性材料の経時的な伸びやクリープ変形などが抑制され、前述の色ずれなどの問題が解消される。
【0053】
また、基材を構成する弾性材料の100%モジュラスを200kg/mm2以下とすることにより、前述の、ベルトを張架支持する複数の支持ロールの回転軸の平行度や支持ロール外径のばらつきのためにベルト部材が直進走行せず支持ロールの軸方向に変位した状態で走行する、いわゆる片寄り走行や蛇行の発生が防止される。さらに、基材を構成する弾性材料によって、2次転写装置におけるバイアスロールによる押圧力の応力を緩和することができるので、バイアスロールによる押圧力が集中してトナーが凝集しライン画像白抜けなどの画質欠陥が発生するなどの問題も解決することができる。
【0054】
基材に用いる弾性材料としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM、NBR、CR、塩素化ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴムなどのゴム材料を1種類または2種類以上をブレンドしてなる弾性材料を用いることができる。必要に応じて、これに導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などの1種または2種以上の微粉末が用いられる。これらのうち、導電剤としてはコストの点でカーボンブラックが好適である。
【0055】
また、本発明の実施形態の画像形成装置に用いる中間転写ベルトの表面層材料のヤング率を10000kg/cm2以上とすることにより、中間転写ベルトが約5kgfに及ぶプロセス方向のテンションを受けてもベルトの経時的な伸びやクリープ変形などの発生を抑制することができる。
【0056】
表面層材料の厚みは、50μm以上であればベルトの経時的な伸びやクリープ変形などを抑制することができるが、好ましくは80μm以上の厚みが好適である。
【0057】
また、この実施例のように、中間転写ベルトの表面層の表面抵抗率を1×1010Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲、好ましくは1×1011Ω/□以上1×1013Ω/□以下の範囲とすることにより、表面層の表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜け、表面抵抗率が低い場合に発生する画質悪化の問題を解決することができる。すなわち、中間転写ベルトの表面層の表面抵抗率が1014Ω/□以上の場合は、1次転写装置における像担持体と中間転写ベルトが剥離するポストニップ部で剥離放電が発生してしまい、放電が発生した部分が白抜けする。また、中間転写ベルトの表面層が109Ω/□以下の場合には、プレニップ部での電界強度が強くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生しやすくなるために画質の粒状性が悪化するという問題が発生する。なお、表面抵抗率の計測には三菱油化製ハイレスターIPのHRプローブを用い、電圧100Vを印加し10秒後の電流値より求めた。
【0058】
また、この実施例のように、中間転写ベルトの表面層の体積抵抗率を×109Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲、好ましくは1×1011Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲とすることにより、次の問題が解決される。すなわち、中間転写ベルトの表面層の体積抵抗率が109Ωcm以下の場合は、像担持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるために、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって画像の周囲にトナーが飛散する、いわゆるブラー現象が発生してノイズの大きい画像が形成される。特に、多重転写画像のように単位面積あたりのトナー量の多い画像の周辺ではこの現象が顕著に現れるのでカラー画像形成装置にとって致命的な欠陥となってしまう。一方、中間転写ベルトの表面層の体積抵抗率が1×1014Ωcm以上の場合は、電荷を保持する静電的な力が大きいために中間転写ベルト上の多重転写画像を記録紙に転写した後でも電荷が残るので、1次転写装置の上流側に除電機構を設ける必要が生じる。なお、体積抵抗率の計測には三菱油化製ハイレスターIPのHRプローブを用い、電圧100Vを印加し30秒後の電流値より求めた。
【0059】
また、この実施例のように、中間転写ベルトの表面層を、イオン導電性を有する樹脂材料よりなるものとした場合は、葉書などの中間転写ベルトの幅よりも短い幅の用紙を連続して1000枚以上転写した後でも用紙走行部の白抜け現象の発生が防止される。それは、イオン導電性を有する樹脂材料、すなわち電圧依存性の小さい材料を転写面の材料として用いることにより2次転写装置での用紙剥離時に中間転写ベルトと用紙間での剥離放電による電界集中が少なくなるので、中間転写ベルトの用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して転写効率が周辺部位より低下する現象が防止されるからであると考えられる。
【0060】
なお、本発明者は、カーボンブラックなどの電子電導性の材料に導電剤を均一に分散することによって、表面抵抗率の低下が少なくなることを見出しているが、さらに詳細に検討した結果、電子的な伝導による材料よりも、イオン導電ポリマを分散させた樹脂材料よりなるイオン的に電気を伝達する材料の方が、より電圧依存性の少ないベルト材料を得ることが可能であり、これを中間転写ベルトの表面層の材料として用いることが有効であることを見出した。
【0061】
さらに、この実施例のように、中間転写ベルトの表面層をイオン導電性ポリマを分散させたフッ素樹脂系材料よりなるものとした場合は、葉書などの中間転写ベルトの幅よりも短い幅の用紙を連続して1000枚以上転写した後の用紙走行部の白抜け現象の発生が防止され、かつ、低表面エネルギー材料であるために転写面のトナーの付着力が少なくなり、中間転写ベルトから記録媒体への2次転写が容易になるので良質の画質を得たことができる。このような表面層を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型ポリマである三洋化成工業(株)製のペレスタット6321(商品名)を分散してなるポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂材料などを挙げることができる。
【0062】
なお、本実施形態の画像形成装置における中間転写ベルトの基材を、互いに異なる溶解度パラメータを持つ複数の弾性材料よりなる非相溶系の弾性材料に導電剤を分散させてなるものとした場合は、中間転写ベルトの表面抵抗率の低下を少なくすることができる。
【0063】
このような非相溶系の弾性材料は、例えば、溶解度パラメータ(SP値)の差が1.3J1/2cm2/3以上である非相溶系のゴム材料、または、樹脂材料とゴム材料とを組み合わせることによって得られる。これら溶解度パラメータが異なる互いに相溶性のない2種類の材料をブレンドして、導電剤としてカーボンブラックを分散させると、カーボンブラック分散の含有の少ないゴム相(島相)とカーボンブラックの分散の多いゴム相(海相)とに分かれ、2種類のゴムの界面にカーボンブラックが密に分散した導電性ゴム相が得られる。
【0064】
図3は、本実施形態の画像形成装置の中間転写ベルトにおける基材弾性層の断面図である。
【0065】
図3には、NBRとEPDMとで構成される非相溶系の材料を中間転写ベルトの基材として用いた結果、NBR(島相)31とEPDM(海相)32よりなる海島構造が形成される。NBRと親和性の大きいカーボンブラック33は、NBR(島相)31表面にリッチに分散して不均一分散状態となりこのカーボンリッチな部分が導電に寄与するのでカーボンブラックの配合量を少なくすることができる。このようにカーボンが島相31表面に固定されて中間転写ベルト内部に安定した導電路が形成され、かつ海相32中を自由に動き回るカーボンが少なくなるので基材の抵抗値は変化しにくくなり中間転写ベルトの表面抵抗率の低下が防止される。
【0066】
ここで、溶解度パラメータδ(SP値)は
δ=δd+δp′+δh (1)
で示される。
【0067】
ここで、δd、δp′、δhは、それぞれ分散力、極性効果、および水素結合によるSP値を表す。
【0068】
一般に、溶解度パラメータδは、凝集エネルギーをE(cal=4.1868J)、分子容をVmとすると、δ=(E/Vm)1/2で表され、δが大きいほど極性が大きいことを示す。
【0069】
SP値の大きいゴム材料としては、ポリウレタン(SP値=10)、塩素化ポリイソプレン(SP値=9.35)、NBR(SP値=9.3)、クロロピレンゴム(SP値=8.71)を挙げることができ、SP値の小さいゴム材料としては、EPDM(SP値=8.0)、水素添加ポリブタジエン(SP値=8.08)、ブチルゴム(SP値=7.85)、シリコーンゴム(SP値7.45)を挙げることができる。例えば、基材の弾性材料として、EPDMとNBRの非相溶系のゴム材料を組み合わせることによりEPDM(SP値=8.0)とNBR(SP値=9.3)の非相溶系の弾性材料を得ることができる。ここで、NBRのSP値は、NBR中のアクリロニトリル量により8.71から10.39まで変化させることができる。
【0070】
カーボンブラックと親和性のあるNBRと、NBRと相溶性の乏しいEPDMとをブレンドして非相溶系の弾性材料を構成することにより、上記のようにカーボンブラックが島相と海相との界面に分布した弾性材料が得られる。このNBRとEPDMのブレンド比率、NBR中のアクリロニトリル量、カーボンブラック量を調整することにより安定した所望の抵抗値を有する弾性材料を得ることができる。
【0071】
この弾性材料に分散する導電剤としては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラックなどを挙げることができる。例えば、電気化学(株)製粒状アセチレンブラック(吸油量288ml/100g)、旭カーボン(株)製HS−500(吸油量477ml/100g)、アサヒサーマルFT(吸油量28ml/100g)、アサヒサーマルMT(吸油量35ml/100g)、ライオンアグゾ(株)製ケッチェンブラック(吸油量360ml/100g)、キャボット(株)製バルカンXC−72(吸油量265ml/100g)、テグサ社のSpecial Black4などを挙げることができる。これらのカーボンブラックを1種類または2種類以上を組み合わせることにより安定した所望の抵抗値を有する弾性材料を得ることができる。
【0072】
なお、中間転写ベルトは、表面層の樹脂材料と基材の弾性材料をそれぞれベルト形状に成型した後で積層して用いてもよく、樹脂材料と弾性材料をそれぞれ成形してベルト形状とした後、接着剤などにより接着してもよい。積層したベルトを形成する方法としては、樹脂材料の表面層を形成した後、基材の弾性部材を加硫接着して形成してもよい。また、2色同軸押し出し成型により表面層の樹脂材料と基材の弾性材料とを一体成形してもよい。
[実施例2]
基材10a(図2参照)は、次のようにして作製した。弾性材料としてEPDM:NBRの重量比が7:3であるゴム材料(日本合成ゴム(株)製NE30)に電気化学工業(株)製アセチレンブラック10部と旭カーボン(株)製FTカーボン20部を混練した後、チューブクロスヘッド押出成形機によりチューブ形状に押し出し、加硫缶を用いて1.5kg・cm2の蒸気圧で120℃の温度に加熱加硫して導電性の弾性ベルトを得た。さらに、この弾性ベルトを直径166mmの金属基材の外側に被覆して表面を研磨加工し、周長直径166mm、厚み0.35mmの弾性ベルトを得た。
【0073】
上記の方法により得られた厚さ0.35mmの弾性ベルトの体積抵抗率は109.1Ωcmであり、100%モジュラスは150kg/cm2であった。
【0074】
さらに、この弾性ベルトの表面に、実施例1で得られたPVDF樹脂層を積層して2層の無端ベルトを得た。この2層構成のベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率低下量は、0.1 logΩ/□であった。
【0075】
表面層を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルテーテルケトン、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリフッ化ビニリデン、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)などの樹脂材料およびこれらを主原料としてなる樹脂材料を挙げることができる。
【0076】
これらの樹脂材料に、表面層の表面抵抗率を1×1010Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲に制御するために、電子電導性系導電剤またはイオン電導性導電剤の導電剤を添加する。電子電導性系導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができ、イオン電導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤を挙げることができる。
【0077】
さらに、導電性ポリマをブレンドする方法があり、導電性ポリマとしては、例えば、カルボキシル基に4級のアンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体などの4級アンモニウム塩基を結合するポリマ、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマ、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマ、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマ、さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマは脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。上記の導電剤、導電性ポリマ、または界面活性剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることによって安定した体積抵抗率を得ることができる。
[実施例3]
表面層の樹脂材料として、宇部興産(株)製耐熱皮膜用ポリイミドUワニスAにミキサなどにより脱ドープ状態としたポリアニンとドーパント剤を混合し、この成膜溶液を円筒金型に注入し100℃から200℃に段階的に昇温して加熱しつつ500rpm〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら遠心成形法によりフィルム状に成膜した。次いで、得られたフィルムを半硬化状態で脱型して鉄芯に被せ、350℃の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化を行い厚み80μmのポリイミドフィルムを得た。その表面抵抗率は1012.8Ω/□、体積抵抗率は1012.3Ωcm、ヤング率は18000kg/cm2であった。
【0078】
このイオン導電性ポリマ分散のポリイミドフィルムを実施例1の弾性材料基材上に積層して2層構成の無端ベルトを得た。この2層構成の無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて3000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は、0.1 logΩ/□であった。
【0079】
次に、上記各実施例に対する比較例として作製した中間転写ベルトについて説明する。
[比較例1]
比較例1として、宇部興産(株)製耐熱皮膜用ポリイミドUワニスAにミキサなどにより、導電剤としてカーボンブラックを適宜混合して得られた製膜原液を用い、金属シート上に均一に流延して120℃の雰囲気で120分乾燥させ、さらに、150℃で30分、200℃で30分、220℃で30分、330℃で20分と段階的に昇温して本硬化(イミド化反応)させて厚み80μm、表面抵抗率1011.8Ω/□、体積抵抗率108.9Ωcmの厚さ80μmのフィルムを得た。このポリイミド樹脂ベルトのヤング率は40000kg/cm2であった。
【0080】
このカーボンブラック分散ポリイミド樹脂フィルムの端部10mmを重ね合わせてセメダイン(株)製一液性弾性接着剤(スーパーX8008)を用いて接着して無端ベルトを得た。
【0081】
この無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は、0.6 logΩ/□であった。
[比較例2]
比較例2として、次の方法により金属酸化物分散のポリイミド樹脂ベルトを作製した。金属酸化物として、粒子径が0.4μmの硫酸バリウム表面に酸化錫系導電層を形成してなる三井金属(株)製のパストランTYPE−4をさらにシラン系カプリング剤で表面処理したものを用い、ポリイミド樹脂成分100重量部に対して、37重量部の金属酸化物をN−メチルピロリドンを溶媒とする宇部興産(株)製耐熱皮膜用ポリイミドU−ワニス−Sに添加してミキサで十分混合した。得られた製膜原液を金属シート上に均一に流延して120℃の雰囲気で120分乾燥させ、さらに、150℃で30分、200℃で30分、250℃で60分、350℃で30分、420℃で30分と段階的に昇温して、厚み80μmの金属酸化物分散のポリイミドフィルムを得た。表面抵抗率は1013.5Ω/□、体積抵抗率は108.5Ωcm、ヤング率は40000kg/cm2であった。
【0082】
このポリイミド樹脂フィルムの端部10mmを重ね合わせてセメダイン(株)製一液性弾性接着剤(スーパーX8008)を用いて接着して無端ベルトを得た。
【0083】
この無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は1.2
logΩ/□であった。
[比較例3]
比較例3として、次の方法によりカーボン分散カーボネイト樹脂ベルトを作製した。すなわち、2軸押出機を用いてポリカーボネイト樹脂にカーボンブラックを混練して、カーボンブラック12重量部としてなるポリカーボネイト樹脂ペレットを得た。さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いてチューブ形状に押出成形して、厚み150μm、表面抵抗率1011.9Ω/□、体積抵抗率1012.4Ωcmの無端ベルトを得た。この無端ベルトのヤング率は24000kg/cm2であった。
【0084】
この無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は1.8
logΩ/□であった。
[比較例4]
比較例4として、次の方法によりカーボン分散ETFE樹脂ベルトを作製した。すなわち、2軸押出機を用いてETFE樹脂にカーボンブラックを混練して、カーボンブラック14重量部としてなるETFE樹脂ペレットを得た。さらに、この樹脂ペレットを1軸押出機を用いてチューブ形状に押出成形して、厚み150μm、表面抵抗率1011.5Ω/□、体積抵抗率109.0Ωcmの無端ベルトを得た。この無端ベルトのヤング率は11000kg/cm2であった。
【0085】
この無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は2.3
logΩ/□であった。
[比較例5]
比較例4として、次の方法により弾性ベルトを作製した。すなわち、表面層用材料としてCR(クロロロピレンゴム)ゴム材料(日本合成ゴム製EP35)に電気化学工業(株)製アセチレンブラック10部と旭カーボン(株)製FTカーボン20部を混練したものを用い、この表面層用材料をチューブクロスヘッド押出成形機によりチューブ形状に押し出し、加硫缶を用いて1.5kg/cm2の蒸気圧で120の温度に加熱加硫して導電性のゴムベルトを得た。さらに、このゴムベルトを金属基材の外側に被覆し、表面を研磨加工して厚み0.5mmの無端ベルトを得た。この厚さ0.5mmの無端ベルトの体積抵抗率は109.5Ωcmであった。
【0086】
この無端ベルトの表面に、ウレタン変性フッ素系樹脂コーテング材料としてカーボンブラックを8部分散したウレタン変性4フッ化エチレン樹脂を含有した水−エマルジョン塗料である日本アチソン(株)のエムラロンJYL−601ESDを厚み20μmでスプレーコートし、100℃で35分加熱し、厚み20μmのコート層を形成した。
【0087】
こうして得られたウレタン変性フッ素系樹脂でコートされた弾性ベルトの表面抵抗率は1012.0Ω/□、体積抵抗率は109.5Ωcmであった。
【0088】
この無端ベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の用紙走行部の表面抵抗率の低下量は2.7 logΩ/□であった。
【0089】
表1は、本発明の各実施例および各比較例についての、層構成、表面層の表面抵抗率と体積抵抗率、基材の体積抵抗率、表面層のヤング率、画質(ホローキャラクタ)、用紙走行部の表面抵抗率低下量、片寄り発生状況を示す表である。用紙走行部の表面抵抗率低下量は、これらのベルトを図1に示した画像形成装置の中間転写ベルトとして用いて1000枚の連続プリントを行った時の測定値である。
【0090】
なお、画質(ホローキャラクタ)は、以下の3レベルに区分して評価した。
【0091】
◎:ホローキャラクタの発生なし
○:ホローキャラクタの発生僅かにあり
×:ホローキャラクタの発生あり
【0092】
【表1】
Figure 0003941287
【0093】
表1に示すように、本実施例1,2,3では、表面層にイオン導電性ポリマを分散した樹脂材料を用いることにより、用紙走行部の表面抵抗率低下量は比較例1〜5に比べて減少しており、表面抵抗率低下による白抜けおよび中間転写ベルトの劣化が効果的に防止されていることがわかる。
【0094】
また、本実施例1,2,3においては、弾性材料よりなる基材と樹脂材料よりなる表面層からなる2層構造の中間転写ベルトを用いることにより、支持ロールの軸方向に変位した状態でベルトが走行する、いわゆる片寄り走行が防止されているが、比較例1から4では片寄り走行が発生している。ただし、比較例5においては表面にフッ素樹脂系のコート層を設けた弾性材料を用いたことにより片寄り走行の発生はみられなかった。
【0095】
また、本実施例1,2,3において、弾性材料の基材層を設けることにより、2次転写装置における応力集中を低減させることができ、高ヤング率の樹脂材料を単層で用いた比較例に比べて画質(ホローキャラクタ)が改善されている。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、弾性材料よりなる基材と樹脂材料よりなる表面層からなる2層構造の中間転写ベルトを用いたことにより、中間転写ベルトの片寄り走行や蛇行が防止され、中間転写ベルトの寿命が長く、色ずれや白抜けなどの画質欠陥の発生が防止された画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置が適用されるフルカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトの断面図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置の中間転写ベルトにおける基材弾性層の断面図である。
【図4】中間転写ベルトの幅より短い用紙を連続して1000枚転写した後の白抜け発生状況を示す図である。
【図5】中間転写ベルトの表面抵抗率低下の説明図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 静電潜像形成装置
3 バイアスロール
4 記録紙トレー
5,6,7,8 現像装置
9 ベルトクリーナ
10 中間転写ベルト
10a 基材
10b 表面層
10c 表面
11 用紙走行部(白抜け)
12 非通紙部(ハーフトーン画像)
13 剥離爪
14 給紙装置
15 クリーニングブレード
21,23,24 ベルトローラ
22 バックアップロール
25 導電性ロール
26 電極ロール
31 NBR(島相)
32 EPDM(海相)
33 カーボンブラック
P 用紙
T1 1次転写位置
T2 2次転写位置
t トナー像

Claims (6)

  1. 表面に静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、該現像装置により形成された前記像担持体上のトナー像の転写を受け転写されたトナー像を担持しながら所定の方向に循環移動する中間転写ベルトと、前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルトに転写する1次転写装置と、前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を所定のバイアス電圧が印加されたバイアスロールにより所定の記録媒体に転写する2次転写装置とを備えた画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトが、弾性材料よりなる基材と、該基材上に形成された、イオン導電性ポリマが分散されたフッ素樹脂系材料よりなる表面層とからなることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写ベルトが、前記表面層のヤング率をE1、前記基材のヤング率をE2としたとき、
    E1>E2
    なる関係を満たすものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記表面層が、10000kg/cm2以上のヤング率を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記表面層が、1×1010Ω/□以上1×1014Ω/□以下の表面抵抗率を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記表面層が、1×109Ωcm以上1×1014Ωcm以下の体積抵抗率を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  6. 前記基材が、互いに異なる溶解度パラメータを持つ複数の弾性材料よりなる非相溶系の弾性材料に導電剤を分散させてなるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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