JP2000147918A - 中間転写体及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写体及び画像形成装置

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JP2000147918A
JP2000147918A JP10327158A JP32715898A JP2000147918A JP 2000147918 A JP2000147918 A JP 2000147918A JP 10327158 A JP10327158 A JP 10327158A JP 32715898 A JP32715898 A JP 32715898A JP 2000147918 A JP2000147918 A JP 2000147918A
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JP10327158A
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Yukio Hara
幸雄 原
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナーの積層量の多い画像を連続して転写し
た場合にも、局部的に表面抵抗率が低下することのない
中間転写体を提供する。機械強度に優れると同時に、転
写時にバイアスローラによる圧力に追随して変形できる
弾性を具備し、適度の導電性を有する中間転写体を提供
する。 【解決手段】 導電性を有する基材上に、導電性を有す
る表面層を設けてなる中間転写体において、表面層の転
写面での表面抵抗率の電界依存性を0.6桁(logΩ
/ □)以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式の複
写機やプリンタ等に用いられる中間転写体、及びこれを
用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を用いた画像形成装置は、
無機または有機材料からなる光導電性感光体からなる像
担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレ
ーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで
前記静電潜像を現像して可視化されたトナー像とする。
そして、上記トナー像を中間転写体を介して、あるいは
直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所
望の再生画像を得る。特に、上記像担持体に形成したト
ナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上
のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像
形成装置としては、特開昭62-206567 号公報等に開示さ
れたものが知られている。
【0003】従来、このような中間転写体の表面材料に
は、カーボンブラック分散のポリカーボネート、カーボ
ンブラック分散のエチレンテトラフルオロエチレン共重
合体、カーボンブラック分散のポリイミド樹脂などの導
電性材料が用いられている。しかしながら、これら材料
を表面に用いた中間転写体では、図2(A)に示すよう
なトナーの積層量の多い多色のベタ画像(ソリッドパッ
チ部)を連続して複写した後に、ハーフトーンの画像を
複写すると、図2(B)に示すように、複写画像のうち
ソリッドパッチ部に対応する部分が部分的に白く抜ける
という問題が発生した。転写時の応力集中を避けるため
には、中間転写体の表面に弾性材料を用いることが好ま
しいが、上記画像欠陥は弾性材料を用いた場合に特に顕
著であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図3は、多重色のパッ
チ部での表面抵抗率の低下を説明する図である。図3に
おいて、101 は記録紙等の被転写媒体、105 はバイアス
ローラ、107 は中間転写ベルトである。図3(A)は転
写するトナー量が少ない状態を示し、図3(B)は転写
するトナー量が多い状態を示す。また、図4はトナー粒
子間のエアギャップ(air gap) と放電電圧とのパッシェ
ン則に基づく関係を示している。図4に示すように、パ
ッシェン則によれば、トナー粒子間のエアギャップが大
きくなるほど放電開始電圧は低くなり少しの電圧でも放
電するようになる。多重色のトナー像を転写する場合に
は、図3(B)に示すようにトナー量が多くなり、トナ
ー粒子間のエアギャップが大きくなるため、バイアスロ
ーラ105 から電圧を印加して、中間転写ベルト107 から
被転写媒体101 にトナー像を転写する際に多量の放電が
発生し(パッシェン放電)、この放電現象によって中間
転写体表面が変質して表面抵抗率が低下するものと思わ
れる。すなわち、トナーの積層量の多い多色のベタ画像
を連続して転写した場合に、中間転写体表面の対応する
部分に電界集中が起きて劣化し導出経路が形成される。
その結果、その部分の表面抵抗率が周辺部位より低下
し、その後にハーフトーンの画像を転写すると、表面抵
抗の低下した部分の電荷が流れてトナーが付着せず、図
2に示すように画像が白く抜けるという現象を引き起こ
すと推察されるのである。
【0005】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解消し、トナー積層量の多い画像を連続して転
写した場合にも、局部的に表面抵抗率が低下することの
ない中間転写体を提供することにある。本発明の他の目
的は、機械強度に優れると同時に、転写時にバイアスロ
ーラによる圧力に追随して変形できる弾性を具備し、適
度の導電性を有する中間転写体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、この中間転写体を用い高画
質画像を安定して得ることができる画像形成装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、中間転写体の特性について鋭意検討を
行った結果、中間転写体表面の特定部分への電界集中を
避けるためには、表面抵抗率の電界依存性を小さくする
ことが有効であることを見出し、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明の請求項1に記載の中間転写体
は、導電性を有する基材上に、導電性を有する表面層を
設けてなる中間転写体において、該表面層の転写面での
表面抵抗率の電界依存性が 0.6桁(log Ω/ □)以下で
あることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項2に記載の中間転写体は、
請求項1に記載の中間転写体において、前記表面層を構
成する材料の体積抵抗率が1×1010Ωcm〜1×1014Ωcm
の範囲にあることを特徴とする。本発明の請求項3に記
載の中間転写体は、請求項1または2に記載の中間転写
体において、前記表面層を構成する材料のヤング率(E
1)と前記基材を構成する材料のヤング率(E2)との関係
が、E1<E2 であることを特徴とする。本発明の請求項4
に記載の中間転写体は、請求項1から3までのいずれか
一項に記載の中間転写体において、前記表面層を構成す
る材料のヤング率(E1)が20000kg/cm2 以下であり、か
つ、前記基材を構成する材料のヤング率(E2)が30000kg/
cm2 以上であることを特徴とする。本発明の請求項5に
記載の中間転写体は、請求項1から4までのいずれか一
項に記載の中間転写体において、前記表面層を構成する
材料が、イオン導電性を有する材料であることを特徴と
する。本発明の請求項6に記載の中間転写体は、請求項
5に記載の中間転写体において、前記イオン導電性を有
する材料が、少なくとも導電性ポリマーブレンドしてな
るポリイミド樹脂を含有することを特徴とする。
【0008】本発明の請求項7記載の中間転写体は、導
電性を有する基材上に、導電性を有する中間層と導電性
を有する表面層とを設けてなる中間転写体において、前
記中間層が、弾性材料で構成されてなり、前記表面層の
転写面での表面抵抗率の電界依存性が、0.6 桁(log Ω
/ □)以下であることを特徴とする。本発明の請求項8
に記載の中間転写体は、請求項7に記載の中間転写体に
おいて、前記表面層を構成する材料の体積抵抗率が1×
1010Ωcm〜1×1014Ωcmの範囲にあることを特徴とす
る。本発明の請求項9に記載の中間転写体は、請求項7
または8に記載の中間転写体において、前記表面層を構
成する材料が、イオン導電性を有する材料であることを
特徴とする。本発明の請求項10に記載の中間転写体
は、請求項9に記載の中間転写体において、前記表面層
を構成する材料が、イオン導電性ポリマー分散のフッ素
樹脂材料であることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項11に記載の中間転写体
は、請求項1から10までのいずれか一項に記載の中間
転写体において、前記基材が、カーボンブラック分散の
ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする。本発明の
請求項12に記載の中間転写体は、請求項1から10ま
でのいずれか一項に記載の中間転写体において、前記基
材が、金属酸化物分散のポリイミド樹脂材料であること
を特徴とする。
【0010】本発明の請求項13に記載の画像形成装置
は、画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像をトナーによりトナ
ー像として可視化する現像装置と、前記像担持体に担持
された未定着トナー像を一次転写して担持する中間転写
体と、該中間転写体上の未定着トナー像を記録媒体に二
次転写するバイアスロールとを備えてなる画像形成装置
において、前記中間転写体が、請求項1から12までの
いずれか一項に記載の中間転写体であることを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の中間転写体をベルト状に
構成した場合の概略断面図を図1に示す。本発明の中間
転写体は、図1(A)に示すように、基材樹脂層10と表
面層14とからなる2層構成とすることができる。また、
図1(B)に示すように、必要に応じて基材樹脂層10と
表面層14との間に弾性材料からなる中間層12を設け、3
層構成としてもよい。
【0012】〔基材樹脂層〕基材樹脂は一定の導電性を
有するものであれば特に制限はなく、従来公知の導電性
熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、導電剤含
有のポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテ
レフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチ
レン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、
PC/PATのブレンド材料等の導電性熱可塑性樹脂が
挙げられる。この中でも、機械強度に優れる点で、導電
剤を分散させたポリイミド樹脂を用いるのが好ましい。
ポリイミド樹脂としては、DuPont(株)の「カプトンH
A」などのポリピロメリット酸イミド系のイミド樹脂材
料、宇部興産(株)の「ユーピレックスS」などのポリ
ビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料、宇部興
産(株)の「ユーピレックスR」、三井東圧化学工業
(株)の「LARC-TPI(熱可塑性ポリイミド樹脂) 」など
のポリベンゾフェノンテトラカルボン酸イミド系樹脂材
料等を挙げることができ、これらのポリイミド樹脂材料
はいずれもヤング率が35000kg/cm2以上である。導電剤
としては、カーボンブラック、金属酸化物を用いること
ができる。
【0013】中間転写体をベルトとして構成する場合、
ベルト駆動時の外乱(負荷変動) によるベルトの変位量
を少なくし駆動時の応力に対するベルト変形を小さくす
るために、基材樹脂のヤング率を30000kg/cm2 以上とす
ることが好ましい。ベルト材料のヤング率とベルト駆動
時の外乱(負荷変動) によるベルトの変位量との関係
は、以下の式 (1)で表すことができる。 Δl=P・l ・α/(t ・w ・E) (1) ここで、 Δl:ベルトの変位量(μm) P: 負荷(N) l: 2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm) α: 係数 t: ベルト厚み(mm) w: ベルト幅(mm) E: ベルト材料のヤング率(N/mm2) である。ベルト駆動時の外乱(負荷変動) によるベルト
の伸び・縮み(変位量) は、ベルト材料のヤング率に逆
比例する。従って、基材樹脂のヤング率を大きくするこ
とで、ベルトの伸び・縮みを防止することができる。従
来のポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンなどの熱
可塑性樹脂材料のヤング率は24000kg/cm2 である。これ
に対して、例えば、ヤング率が 30000kg/cm2の材料を用
いると略同一のベルト駆動時の外乱(負荷変動) による
ベルトの伸び・縮み(変位量) が20%少なくなり、高品
質の転写画像が得られる。
【0014】基材樹脂層の厚みは、中間転写体をベルト
として構成する場合、一般には50〜500 μm が好まし
く、60〜150 μm がより好ましいが、材料の硬度に応じ
て適宜選択することができる。例えば、宇部興産(株)
の「ユーピレックスS」などのポリビフェニルテトラカ
ルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散し
た場合のヤング率は62000kg/cm2 であり、ベルト基材の
厚み70〜100 μm でベルト基材としての機械特性を満足
することができる。また、金属酸化物分散のポリビフェ
ニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料のヤング率も62
000kg/cm2 であり、ベルト基材の厚みは、70〜100 μm
の範囲でベルト基材としての機械特性を満足することが
できる。
【0015】導電剤を分散させたポリイミド樹脂ベルト
は、特開昭63-311263 号公報に記載されているように、
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤
として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分
散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから
剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィル
ムを形成し、更に適当な大きさに切り出してエンドレス
ベルトとすることにより製造される。上記フィルム成形
は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成
膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100 〜200 ℃
に加熱しつつ500 〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転
させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次
いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄
芯に被せ、300 ℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリ
アミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることに
より行う。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚み
に流延して、上記と同様に100 〜200 ℃に加熱して溶媒
の大半を除去し、その後 300℃以上の高温に段階的に昇
温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。
【0016】〔表面層〕表面層は、表面抵抗率の局部的
低下を避けるために、その転写面での表面抵抗率の電界
依存性が 0.6桁(log Ω/ □)以内であれば特に制限は
ない。転写面での表面抵抗率の電界依存性は、電圧100V
印加したときの表面抵抗率の対数値から電圧1kV印加し
たときの表面抵抗率の対数値を差し引いた値により表さ
れ、転写電圧に対する中間転写体表面の帯電安定性を示
す指標である。尚、表面抵抗率は、三菱油化製「ハイレ
スターIP」のHRプローブを用い、電圧100V(または
1kV) 印加し30秒後の電流値を計測して求めたものであ
る。
【0017】表面抵抗率の電界依存性は主に導電剤の動
き易さに左右され、一般にはキャリアが大きなものほど
電界の影響を受けにくい。従って、表面層を構成する材
料としてはイオン導電性を有する材料が好ましい。例え
ば、導電剤として4級アンモニウム塩などの有機質の電
解質を配合してなるウレタン樹脂、極性基を有するエピ
クロルヒドリンゴムなどを挙げることができる。また、
導電剤として少なくとも1種類以上の導電性ポリマーを
ブレンドしてなるポリイミド樹脂を用いることもでき
る。導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリチオ
フェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレ
ンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポ
リマーを脱ドープ状態またはドープ状態で用いることが
できる。ドーパントとしては、リン酸、硝酸、硫酸、塩
酸などのプロトン酸が挙げられる。
【0018】表面層を構成する材料の体積抵抗率は、好
ましくは1×1010Ωcm〜1×1014Ωcmの範囲であり、よ
り好ましくは1×1011Ωcm〜1×1012Ωcmの範囲であ
る。体積抵抗率が1×1010Ωcmより低いと、像担持体か
ら中間転写体への1次転写時にバイアスローラまたはコ
ロナ放電器等の一次転写装置によって与えられた電荷が
中間転写体自身の導電性により除去されてしまう。その
結果、像担持体から中間転写体に転写された未定着トナ
ー像の電荷を保持する静電的な力が働かなくなるため、
トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ
電界の力によって画像の周囲にトナーが飛散してしまい
(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されるという問
題がある。特に、多重転写画像のように単位面積あたり
のトナー量が多い画像周りではこの現象が顕著に現れ、
カラー画像形成装置にとって致命的な欠陥となってしま
う。一方、体積抵抗率が1×1014Ωcm以上と高いと、1
次転写での転写電界で中間体表面が帯電するために除電
機構が必要となる。体積抵抗率を1×1010Ωcm〜1×10
14Ωcmの範囲とすることによって、上述のような問題が
なくなる。なお、体積抵抗率は、三菱油化社製「ハイレ
スターIP」のHRプローブを用い、電圧100V印加し30
秒後の電流値を計測して求めたものである。
【0019】さらに、中間転写体の表面抵抗率は1×10
14Ω/ □以下が好ましい。中間転写体の表面抵抗率が1
×1014Ω/ □より高いと、一次転写部の像担持体と中間
転写体が剥離するポストニップ部で剥離放電が発生して
しまい、放電が発生した部分が白抜けするいわゆる放電
抜けとなってしまう場合がある。
【0020】図5は、カーボンブラック分散のポリイミ
ドフィルムの表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示すグラ
フである。また、図6は、金属酸化物分散のポリイミド
フィルムの表面抵抗率と体積抵抗率の関係を示すグラフ
である。図5から分かるように、ポリイミドフィルムの
表面抵抗率が1×1013Ω/ □の場合の体積抵抗率は1×
109.5 Ω/ □であり、体積抵抗率が1×1010Ωcmより低
いため、上述したような画像の周囲にトナーが飛散して
しまい、ノイズの大きい画像が形成されるという問題が
発生する。このように、カーボンブラック分散のポリイ
ミドフィルムを単層で用いた場合には、表面抵抗率が1
×1014Ω/ □以下であり、かつ、体積抵抗率が1×1010
Ωcm以下である領域は非常に狭く、両方が所定の範囲内
にある材料を得ることは非常に難しい。さらに、図6か
ら分かるように、金属酸化物分散のポリイミドフィルム
には、表面抵抗率が1×1014Ω/ □以下であり、同時に
体積抵抗率が1×1010Ωcm以下である領域は存在せず、
金属酸化物分散のポリイミドフィルムを単層で用いた場
合、表面抵抗率と体積抵抗率とを両立することは現状で
は不可能である。
【0021】表面層を構成する材料のヤング率(E1)を
基材樹脂材料のヤング率(E2)より小さくすることが好ま
しい。前記の通り、基材樹脂材料は機械強度に優れるも
のが好ましいが、1次転写部でのバイアスローラによる
押圧力の集中を避けるために、表面層にはより弾性の高
い、すなわちヤング率の低い材料を配するのが好まし
い。これにより、中間転写体の強度を維持しつつ、ライ
ン画像が中抜けするいわゆるホローキャラクターと呼ば
れる画質欠陥を防止することができる。具体的には、表
面層材料のヤング率(E1)を20000kg/cm2 以下とするこ
とが好ましい。表面層材料のヤング率(E1)が20000kg/
cm2 を上回ると、バイアスロールを用いて記録媒体に記
録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写
する1次転写部でのバイアスローラの押圧力による中間
転写体の変形が少ないのでバイアスローラによる押圧力
が集中する。このためトナーが凝集し、凝集部分で電荷
密度が高くなることによってトナー層内部で放電を起こ
しトナー極性を変化させるなどの原因によって画質欠陥
(ホローキャラクター)を発生させる場合がある。
【0022】表面層は、基材樹脂材料の上に表面層形成
材料を積層した後、加熱して本硬化させることにより形
成することができる。また、基材樹脂材料と表面層形成
材料とを別々に加熱して本硬化させてから、例えば、一
液性弾性接着剤(スーパーX8008:セメダイン(株)製)
などの弾性を有する接着剤を塗布して両者を積層するこ
とによっても得ることができる。表面層の厚みは、中間
転写体をベルトとして構成する場合、一般には、20〜50
0 μm が好ましく、20〜150 μm がより好ましい。
【0023】後述する中間層を設ける場合には、表面層
を構成する材料としては、イオン導電性ポリマー分散フ
ッ素樹脂材料が好ましい。フッ素樹脂系材料としては、
テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ
樹脂(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)な
どを挙げることができる。導電剤であるイオン導電性ポ
リマーとしては、例えば、カルボキシ基に4級アンモニ
ウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種共重
合体(例えば、スチレン)、4級アンモニウム塩基を結
合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の
4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホ
ン酸ナトリウムに見られるスルホン酸のアルカリ金属塩
を結合するポリマー、分岐鎖中に少なくともアルキルオ
キシド等の親水性ユニットを結合するポリマー、例えば
ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール−ポリ
アミド共重合体、ポリエチレン−エピクロルヒドリン共
重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルをセ
グメントとするブロック型のポリマーを挙げることがで
きる。また、中間層を設ける場合、表面層の厚みは、像
担持体、クリーニングブレードとの摩擦磨耗による膜減
り、及びコート時の膜厚のバラツキを考慮すると10μm
以上必要である。
【0024】〔中間層〕本発明の中間転写体には、更
に、弾性材料からなる中間層が設けられていることが好
ましい。中間層を弾性材料で構成することにより、転写
時の転写ロールによる応力集中を小さくでき、ライン画
像が中抜けするホローキャラクター等の画質欠陥を発生
させる問題がなくなる。中間層を構成する弾性材料とし
ては、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチ
レンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニト
リルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素
化ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴ
ムなどのゴム材料を1種類又は2種類以上をブレンドし
てなる材料を用いることができる。これらの材料は1×
1010Ωcm〜1×1014Ωcmの範囲に体積抵抗率が制御され
ていることが好ましく、必要に応じて、導電剤として、
カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅合
金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸
カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化
アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などの1種また
は2種以上の微粉末が用いられる。中でも、コストの点
でカーボンブラックが好適である。中間転写体の弾性的
性格を中間層によって付与する場合には、中間層の厚み
をトナー粒径の3倍以上、具体的には20μm以上とする
ことが好ましい。3倍未満では、転写部での画質欠陥
(ホローキャラクター) の発生を避けることができな
い。
【0025】また、中間転写体はベルト状に限らず、ド
ラム状であってもよい。ドラム状中間転写体とする場
合、基体となる金属ドラムの上に、基材樹脂層及び表面
層、必要に応じて中間層を設ける。
【0026】〔画像形成材料〕本発明の画像形成装置
は、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定
されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナ
ーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感
光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間
転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、
各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上
に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等に適
用される。例として一次転写を繰り返すカラー画像形成
装置の概要を図7に示す。
【0027】図7は本発明を適用する画像形成装置の要
部の構成を示す概略断面図である。1は像担持体として
の感光体ドラム、2は中間転写体としての転写ベルト、
3は転写電極であるバイアスロール、4は転写媒体であ
る記録紙を供給するトレー、5はB(ブラック)トナー
による現像装置、6はY(イエロー) トナーによる現像
装置、7はM(マゼンタ) トナーによる現像装置、8は
C(シアン)トナーによる現像装置、9はベルトクリー
ナー、13は剥離爪、21、23、24はベルトローラ、22はバ
ックアップロール、25は転写コロトロン、26は電極ロー
ル、31はクリーニングブレード、41は記録紙束、42はピ
ックアップローラ、43はフィードローラである。
【0028】図7において、感光体ドラム1は矢印A方
向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯
電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書き込
み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、
B)の静電潜像が形成される。この静電潜像はBトナー
による現像装置5によってトナー現像されて可視化され
たトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム
1の回転で転写コロトロン25が配置されている一次転写
部に到り、導電性ロール25からトナー像Tに逆極性の電
界を作用させることにより、上記トナー像Tが、静電的
に転写ベルト2に吸着させつつ矢印B方向に回転する転
写ベルト2上に一次転写される。
【0029】以下、同様にしてYトナー像、Mトナー
像、Cトナー像が順次形成され、転写ベルト2において
重ね合わされ、多重トナー像が形成される。この転写ベ
ルト2に転写された多重トナー像は転写ベルト2の回転
でバイアスロール3が設置された二次転写部に到る。単
色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直
ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね
合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が
一次転写部で正確に一致するように転写ベルト2と感光
体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれ
ないようにする。
【0030】二次転写部は転写ベルト2のトナー像が担
持された表面側に設置されたバイアスロール3と当該転
写ベルト2の裏側からバイアスロールに対向するごとく
配置されたバックアップロール22およびこのバックアッ
プロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成さ
れる。二次転写部では、バックアップロール22に圧接し
た電極ロール26にトナー像の極性と同極性の電圧(転写
電圧) を印加する。一方、記録紙41は記録紙トレー4に
収容された記録紙束からピックアップローラ42で一枚ず
つ取り出され、フィードロール43で二次転写部の転写ベ
ルト2とバイアスロール3との間に所定のタイミングで
給送される。給送された記録紙41はバイアスロール3及
びバックアップロール22による圧接搬送と転写ベルト2
の回転とにより前進させられ、電極ロール26からバイア
スロール3を介して印加された転写電圧により、当該転
写ベルト2に担持されたトナー像が記録紙41に静電反発
で転写する。
【0031】トナー像が転写された記録紙41は、最終ト
ナー像の一次転写終了までは、退避位置にあった剥離爪
13を作動させることにより転写ベルト2から剥離され、
図示しない定着装置に搬送され、加圧/ 加熱処理でトナ
ー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像
の記録紙41への転写の終了した転写ベルト2は二次転写
部の下流に設けたベルトクリーナ9で残留トナーの除去
が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール3
にはポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が
常時当接するごとくとりつけられており、転写で付着し
たトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0032】
【実施例】(実施例1)カーボンブラック13重量部を宇
部興産(株)製の耐熱皮膜用「ポリイミドUワニスS」
(N- メチルピロリドンを溶媒とする耐熱皮膜用ポリイミ
ドワニス) 100重量部に添加しミキサーにより混合し
た。得られた製膜用原液を金属シート上に均一に流延し
て120 ℃の雰囲気で120 分間乾燥させ、更に、150 ℃で
30分、200℃で30分、250 ℃で60分、350 ℃で30分、420
℃で30分と段階的に昇温することにより本硬化(イミ
ド化反応) して、厚み80μm のポリイミドフィルムを得
た。これを適当な大きさに裁断し、基材であるカーボン
ブラック分散ポリイミドベルトを得た。基材樹脂の表面
抵抗率は1×1012Ω/ □であり、ヤング率は62000kg/cm
2 であった。次に、ポリイミド樹脂100 重量部と脱ドー
プ状態のポリアニリン40重量部とドーパント剤40重量部
とからなるポリマーブレンド樹脂材料を用い、この製膜
用原液を金属シート上に均一に流延し、120 ℃の雰囲気
で120 分間乾燥させた後、更に150 ℃で30分、200 ℃で
30分、250 ℃で60分、420 ℃で30分と段階的に昇温し
て、厚み80μm の表面層材料である導電性ポリマーブレ
ンドポリイミドシートを得た。表面層材料のヤング率は
18000kg/cm2 であった。このポリイミドシートを、基材
ベルトの上に積層してから、加熱して本硬化させること
により、2層構成の中間転写ベルトを得た。中間転写体
の転写面での表面抵抗率は1×1012.1Ω/□であり、体
積抵抗率1×1012.5Ωcmであった。また、転写面での表
面抵抗率の電界依存性は0.3 桁(log Ω/ □)であっ
た。
【0033】(実施例2)金属酸化物として、粒子径が
0.4μm の硫酸バリウム表面に酸化錫系導電層を形成し
てなる三井金属(株)の「パストラン TYPE-IV」を更に
シラン系カプリング剤で表面処理して用いた。この金属
酸化物37重量部を宇部興産(株) 製の耐熱皮膜用「ポリ
イミドUワニスS」100 重量部に添加して、ミキサーで
十分混合した。得られた製膜用原液を金属シート上に均
一に流延して120 ℃の雰囲気で120分間乾燥させて、更
に、150 ℃で30分、200 ℃で30分、250 ℃で60分、350
℃で30分、420 ℃で30分と段階的に昇温して、厚み80μ
m のポリイミドフィルムを得た。これを適当な大きさに
裁断し、基材である金属酸化物分散ポリイミドベルトを
得た。基材樹脂の表面抵抗率は1×1012.5Ω/ □であ
り、ヤング率は62000kg/cm2 であった。次に、基材ベル
トの上に、実施例1と同じ方法にて表面層を形成し、2
層構成の中間転写ベルトを得た。中間転写体の転写面で
の表面抵抗率は1×1012.0Ω/□であり、体積抵抗率は
1×1012.3Ωcmであった。また、転写面での表面抵抗率
の電界依存性は 0.3桁(log Ω/ □)であった。
【0034】(実施例3)基材には、実施例1と同じカ
ーボンブラック分散ポリイミドベルトを用いた。次に、
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPD
M):アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の
重量比4:6 であるゴム材料( 日本合成ゴム社製「NE4
0」) 100 重量部に、電気化学工業(株)製「アセチレ
ンブラック」5重量部と旭カーボン(株) 製「FTカーボ
ン」20重量部を混練した後、シート形状に加工して、中
間層の材料であるカーボンブラック分散ゴムシートを得
た。得られたゴムシートを基材であるカーボンブラック
分散ポリイミドベルトに圧接して、加硫缶をもちいて5.
5KG/cm2 の蒸気圧で150 ℃の温度で60分間加熱加硫し
て、カーボンブラックを分散した非相溶ゴムを中間層と
して40μm の厚さで被覆したポリイミドシートを得た。
次に、PVDF粉末に、イオン導電性ポリマーとして、
三洋化成工業(株)製の「ペレスタット6321」チップを
20重量%混合し、これを2軸押出機でペレット化して、
このペレットを用い、1軸押出機で押出延伸して、厚み
80μm の表面層材料であるイオン導電剤分散ポリフッ化
ビニリデンシートを得た。表面層材料のヤング率は2000
0kg/cm2 であった。このポリフッ化ビニリデンシート
を、カーボンブラック分散非相溶ゴムで被覆したポリイ
ミドシートの上に積層してから、加熱して本硬化させる
ことにより、厚み10μm の表面層を形成し、3層構成の
中間転写ベルトを得た。中間転写体の転写面での表面抵
抗率は1×1011.5Ω/ □であり、体積抵抗率1×1011.3
Ωcmであった。また、転写面での表面抵抗率の電界依存
性は0.2 桁(log Ω/ □)であった。
【0035】(実施例4)基材には、実施例2と同じ金
属酸化物分散ポリイミドベルトを用い、実施例3と同じ
方法で、カーボンブラック分散非相溶ゴムからなる中間
層とイオン導電剤分散ポリフッ化ビニリデン樹脂からな
る表面層を積層して、3層構成の中間転写体を得た。中
間転写体の転写面での表面抵抗率は1×1011.9Ω/ □で
あり、体積抵抗率1×1010.9Ωcmであった。また、転写
面での表面抵抗率の電界依存性は0.2 桁(log Ω/ □)
であった。
【0036】(比較例1)実施例1と同じカーボンブラ
ック分散ポリイミドベルトを単独で、中間転写ベルトと
して用いた。中間転写体の転写面での表面抵抗率は1×
1011.8Ω/ □であり、体積抵抗率1×108.9 Ωcmであっ
た。また、転写面での表面抵抗率の電界依存性は 0.7桁
(log Ω/ □)であった。
【0037】(比較例2)実施例2と同じ金属酸化物分
散ポリイミドベルトを単独で、中間転写ベルトとして用
いた。中間転写体の転写面での表面抵抗率は1×1012.5
Ω/ □であり、体積抵抗率1×107.3 Ωcmであった。ま
た、転写面での表面抵抗率の電界依存性は0.9桁(log
Ω/ □)であった。
【0038】(比較例3)カーボンブラック17重量部を
ポリカーボネート樹脂 100重量部に添加し、これを2軸
押出機で混練しつつペレット化し、このペレットを用
い、1軸押出機でチューブ形状に延伸しながら、厚み15
0 μm のポリカーボネートフィルムを得た。これを適当
な大きさに裁断し、カーボンブラック分散ポリカーボネ
ートベルトを得た。基材樹脂のヤング率は24000kg/cm2
であった。このポリカーボネートベルトを単独で、中間
転写ベルトとして用いた。中間転写体の転写面での表面
抵抗率は1×1011.9Ω/ □であり、体積抵抗率1×10
12.5Ωcmであった。また、転写面での表面抵抗率の電界
依存性は 1.6桁(log Ω/ □)であった。
【0039】(比較例4)カーボンブラック18重量部を
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100重量部
に添加し、これを2軸押出機で混練しつつペレット化
し、このペレットを用い、1軸押出機でチューブ形状に
延伸して、厚み150 μm のエチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体フィルムを得た。これを適当な大きさに
裁断し、カーボンブラック分散エチレン−テトラフルオ
ロエチレン共重合体ベルトを得た。基材樹脂のヤング率
は11000kg/cm2 であった。このポリカーボネートベルト
を単独で、中間転写ベルトとして用いた。中間転写体の
転写面での表面抵抗率は1×10 11.5Ω/ □であり、体積
抵抗率1×109.0 Ωcmであった。また、転写面での表面
抵抗率の電界依存性は 1.8桁(log Ω/ □)であった。
【0040】表1に、実施例及び比較例で用いた材料、
各層の厚みとヤング率、中間転写体の転写面での表面抵
抗率および体積抵抗率、転写面での表面抵抗率の電界依
存性の値をまとめて示した。なお、ヤング率(引張り弾
性率)の計測条件は、JIS K 7127に準拠し、引張り強度
は、5×40mmの短冊試験片を用い、試験スピード200mm/
min で、ヤング率(引張り弾性率)は、25×250mm の短
冊試験片を用い、試験スピード20mm/minで計測した。
【0041】〔中間転写体の評価〕 (画質評価)図7に示す画像形成装置と同様の構成の画
像形成装置に、実施例及び比較例の中間転写体を装填し
て、プロセススピード160 mm/sec、一次転写電圧2kV、
二次転写電圧3.8kV の条件でプリントテストを行った。
得られた画像についてホローキャラクターとブラーの発
生の度合いを調べた。画質(ホローキャラクター)評価
は、以下のレベルに区分して分類した。 ◎: ホローキャラクタの発生なし ○: ホローキャラクタの発生僅かにあり ×: ホローキャラクタの発生あり また、画質(ブラー) 評価は、以下のレベルに区分して
分類した。 ○: ブラーの発生なし ×: ブラーの発生あり
【0042】(表面抵抗率低下量)図7に示す画像形成
装置と同様の構成の画像形成装置に、実施例及び比較例
の中間転写体を装填して、多重色の 6mm□のパッチ部を
1000枚転写(1次転写電圧2KV)後、中間転写体表面の対応
部分における表面抵抗率の低下量を測定した。測定方法
は前記の通りである。この表面抵抗率の低下量が 0.4桁
以上になると、その後ハーフトーン(マゼンタ30%)の画
像を転写したときにパッチ部が白く抜ける問題が発生し
た。
【0043】評価結果を表1に示す。表1に示す通り、
本発明の中間転写ベルトは、多重色のパッチ部を1000枚
転写した後も、中間転写体表面の対応部分における表面
抵抗率の低下は 0.4桁未満であり、ホローキャラクタ
ー、ブラーなどの画質欠陥も見られなかった。
【0044】
【表1】
【0045】一方、比較例の中間転写ベルトは、多重色
のパッチ部を1000枚転写後の対応部分の表面抵抗率の低
下量が 0.4桁以上となり、ハーフトーン(マゼンタ30%)
の画像を転写すると、 6mm□のパッチ部が白くなる画質
欠陥が発生した。これら実施例及び比較例の結果を基
に、転写面の表面抵抗率の電界依存性と表面抵抗率の低
下量との関係を調べた。結果を図8に示す。図8から、
表面抵抗率の低下量を画像欠陥が発生しない 0.4桁より
小さくするためには、表面抵抗率の電界依存性を 0.6桁
(log Ω/ □)以下にする必要があることが分かる。
【0046】さらに、カーボンブラック分散ポリイミド
ベルト、金属酸化物分散ポリイミドベルトを単独で中間
転写ベルトとして用いた場合(比較例1、比較例2)に
は、駆動時の応力に対するベルト変形は小さいものの、
ヤング率が62000kg/cm2 と大きいためにホロキャラクタ
ーが発生し、さらにベルトの体積抵抗率が1×109 Ωcm
以下と低過ぎるためブラーの発生があった。また、カー
ボンブラック分散ポリカーボネート(PC)を単独で中
間転写ベルトとして用いた場合(比較例3)には、ヤン
グ率が24000kg/cm2 と小さいため、駆動時の応力のため
ベルト端部からクラックが発生した。また、カーボンブ
ラック分散エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体
(ETFE)を単独で中間転写ベルトとして用いた場合(比
較例4)には、ヤング率が11000kg/cm2 と小さいので、
ホローキャラクターの発生はないが、駆動時の応力に対
するベルト変形が大きかった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、トナー積層量の多い画
像を連続して転写した場合にも、局部的に表面抵抗率が
低下することのない中間転写体が提供される。また、機
械強度に優れると同時に、転写時にバイアスローラによ
る圧力に追随して変形できる弾性を具備し、適度の導電
性を有する中間転写体が提供される。さらに、この中間
転写体を用いることにより、高画質画像を安定して得る
ことができる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中間転写体の構成を示す概略断面図で
ある。図1(A)は2層構成の中間転写体の概略断面図
であり、図1(B)は3層構成の中間転写体の概略断面
図である。
【図2】連続転写後のハーフトーン部の白抜け発生状況
を示す説明図である。
【図3】中間転写体の表面抵抗率の低下を説明する説明
図である。
【図4】トナー粒子間のエアギャップと放電電圧とのパ
ッシェン則に基づく関係を示すグラフである。
【図5】カーボンブラック分散ポリイミド材料の表面抵
抗率と体積抵抗率の関係を示すグラフである。
【図6】金属酸化物分散ポリイミド材料の表面抵抗率と
体積抵抗率の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図
である。
【図8】転写面の表面抵抗率の電界依存性と表面抵抗率
の低下量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 転写ベルト 3 バイアスロール 4 給紙トレー 5、6、7、8 現像装置 9 ベルトクリーナー 13 剥離爪 21、23、24 ベルトローラ 22 バックアップロール 25 導電性ロール 26 電極ロール 31 クリーニングブレード 41 記録紙 42 ピックアップローラ 43 フィードローラ T トナー像 101 被転写媒体 105 バイアスローラ 107 中間転写ベルト

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性を有する基材上に、導電性を有す
    る表面層を設けてなる中間転写体において、 該表面層の転写面での表面抵抗率の電界依存性が 0.6桁
    (log Ω/ □)以下であることを特徴とする中間転写
    体。
  2. 【請求項2】 前記表面層を構成する材料の体積抵抗率
    が1×1010Ωcm〜1×1014Ωcmの範囲にあることを特徴
    とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 【請求項3】 前記表面層を構成する材料のヤング率
    (E1)と前記基材を構成する材料のヤング率(E2)との関
    係が、E1<E2 であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の中間転写体。
  4. 【請求項4】 前記表面層を構成する材料のヤング率
    (E1)が20000kg/cm2以下であり、かつ、前記基材を構
    成する材料のヤング率(E2)が30000kg/cm2 以上であるこ
    とを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記
    載の中間転写体。
  5. 【請求項5】 前記表面層を構成する材料が、イオン導
    電性を有する材料であることを特徴とする請求項1から
    4までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 【請求項6】 前記イオン導電性を有する材料が、少な
    くとも導電性ポリマーブレンドしてなるポリイミド樹脂
    を含有することを特徴とする請求項5に記載の中間転写
    体。
  7. 【請求項7】 導電性を有する基材上に、導電性を有す
    る中間層と導電性を有する表面層とを設けてなる中間転
    写体において、 前記中間層が、弾性材料で構成されてなり、 前記表面層の転写面での表面抵抗率の電界依存性が 0.6
    桁(log Ω/ □)以下であることを特徴とする中間転写
    体。
  8. 【請求項8】 前記表面層を構成する材料の体積抵抗率
    が1×1010Ωcm〜1×1014Ωcmの範囲にあることを特徴
    とする請求項7に記載の中間転写体。
  9. 【請求項9】 前記表面層を構成する材料が、イオン導
    電性を有する材料であることを特徴とする請求項7また
    は8に記載の中間転写体。
  10. 【請求項10】 前記表面層を構成する材料が、イオン
    導電性ポリマー分散のフッ素樹脂材料であることを特徴
    とする請求項9に記載の中間転写体。
  11. 【請求項11】 前記基材が、カーボンブラック分散の
    ポリイミド樹脂材料であることを特徴とする請求項1か
    ら10までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  12. 【請求項12】 前記基材が、金属酸化物分散のポリイ
    ミド樹脂材料であることを特徴とする請求項1から10
    までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  13. 【請求項13】 画像情報に応じた静電潜像を形成する
    像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像をトナ
    ーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記像
    担持体に担持された未定着トナー像を一次転写して担持
    する中間転写体と、該中間転写体上の未定着トナー像を
    記録媒体に二次転写するバイアスロールとを備えてなる
    画像形成装置において、 前記中間転写体が、請求項1から12までのいずれか一
    項に記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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