JP2009025421A - 画像形成装置に用いられる多層弾性ベルト - Google Patents

画像形成装置に用いられる多層弾性ベルト Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、良好な弾性、離型性、光沢度、膜厚の精度、表面精度等を備えた表面層を有し、転写効率の優れた多層弾性ベルトを提供する。
【解決手段】表面層、弾性ゴム層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトであって、該表面層がフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含み、該フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む有機溶剤系ブレンド材料を遠心成型して得られる層である多層弾性ベルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に使用される多層弾性ベルトに関する。具体的には、感光体上に形成された静電潜像上のトナー像を紙等の記録材へ転写するために使用する中間転写ベルト、転写搬送ベルト等の電子写真用ベルトに関するものである。
中間転写ベルトの高画質化へ対応するために、特許文献1に記載されるように、弾性材料層を有する2層あるいは3層構成の中間転写ベルトが提案されている。
また、特許文献2などには弾性層にウレタンゴムを使用したものが、また、特許文献3などには弾性層にシリコーンゴムを使用したものが考案されている。これらのベルトは通常、基材層であるポリイミドなどの樹脂ベルト表面に弾性層及び表面層を順次コーティングする方法、金型内面に弾性層及び基材層を順次成型する方法、キャレンダーロールなどでシーティングしたシートをラミネートする方法などで製造される。
このようなゴム弾性体により構成された又はゴム弾性体層を設けた中間転写ベルトは、柔軟性に優れるため中間転写ベルトと接する感光体等との転写領域を容易に安定して形成できると同時に、感光体等との間でトナーに加えられる応力が軽減され、画像の中抜け不具合の対策や細線印字の鮮明度向上に役立っている。
また、こういった高画質対応の中間転写ベルトはベルトの厚み方向に弾性を付与する目的を達成させる一方で、従来転写ベルトに必要なトナー離型性も重要な要素として同時に要求される。すなわち中間転写ベルト表面から紙等の媒体へトナーを移し替えるうえで、トナー離型が必要となるため、表面層を構成する部材には、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素系樹脂材料などの表面エネルギーの小さい材料で形成することにより、中間転写ベルト表面からのトナーの離型が容易となり転写効率の向上にうまく利用されてきた。
しかしながら、中間転写ベルト表面をフッ素ゴムあるいはシリコーンゴムから形成されるゴム弾性体で形成する場合、ゴムが有する粘着性によりトナーの離型性は必ずしも充分でなく、中間転写ベルト表面に形成されたトナー画像の最下層部のトナーが紙等の媒体へ転写せず中間転写ベルト表面に残留するという不具合を生じる。すなわち、二次転写の効率が低下してしまう。加えて、中間転写ベルト表面に残留したトナーを除去するクリーニング工程で、シリコーンゴムやウレタンゴム等で形成されたクリーニングブレードを使用した場合、中間転写ベルト表面に粘着性があることで、ブレード鳴きの不具合が生じ最悪の場合にはブレードが破損してしまう。
更に、画像形成装置においては、光反射センサーを用いて中間転写ベルト上の画像濃度や位置を検知するのが一般的であるが、ゴム弾性体で表面層を形成すると光沢度が低いため光吸収がおこりセンサーでの検知精度が低下する。
また、特許文献4には、弾性体層上にFEPなどのフッ素樹脂からなる表面層を有する構成が記載されている。
しかし、該表面層は、離型性、クリーニング性、及び光沢度が良好であり、表面層の材質としてはこういったフッ素樹脂が非常に好ましいことがわかっているが、反面、中間のゴム弾性体層より剛直であるため、せっかくの弾性付与中間転写ベルトの柔軟性が低下し、転写領域の安定形成を阻害することとなる。結果、従来の樹脂ベルトと同じく中抜け等の画像欠陥が発生する。この問題を解決するにはフッ素樹脂表面層の厚みを極薄くすれば良いが、薄く硬質な表面層は中間転写ベルトに湾曲を加えたとき弾性層の伸びに追従できず、表面に細かい多数のクラックが発生し、画像欠陥の原因となる。
一方、中間転写ベルトの機能において寸法精度が非常に重要であり、周長や厚みにバラツキがあると、画像ズレなどの不具合が発生する。中間転写ベルトの最も一般的な製造方法は、遠心成型で得られたポリイミドなどの高強度基材層の表面に、弾性層、表面層を順にスプレーコートして行くものである。しかしこの方法では塗布量ばらつきやスプレーノズルの目詰まり、エアーの混合具合等により、各層の膜厚は必ずしも均一にならない。結果、厚み精度が悪くなってしまう。
これを避けるため、回転成型あるいは遠心成型と呼ばれる方法により、各層を金型規制で製膜することにより転写ベルトを製造する方法がある。すなわち、金型内面に表面層を製膜し、その内側に弾性層を製膜するという製法をとる。これにより、周長や厚み精度の高い中間転写ベルトが得られる。
ところで、特許文献5には水系のフッ素ゴム塗料を使用する例があり、他にも一般的にフッ素樹脂を分散させたウレタン樹脂、フッ素樹脂を分散させたアクリル樹脂等において水系の表層膜形成用塗料があるが、これらは水系であるが故に表面層製膜時に金型内面において材料の液がはじかれてしまい、10μm以下の薄さを作ろうとするとはじかれた部分に大小多数の穴が開くため膜にならない。金型内面の濡れ性を向上するために金型内面の離型剤を除去するなどの方法も対策として考えられるが製膜後に金型からはがせなくなる不具合が生じる。
更に特許文献5の実施例にあるようなスプレーコートによる表面層の塗布では、スプレー時の液状滴の跡が表面に残ってしまい、それが凹凸となり表面粗さに代表される表面精度は満足できるものではない。
特許第3248455号明細書 特開2001-282009号公報 特開2002-292655号公報 特許第3019781号明細書 特開平11-212374号公報
このように従来技術においては、表面層の柔軟性すなわち、弾性層のやわらかさを阻害しない性質とクラックの発生しない追従性を有し、さらに光沢度や離型性のすべての性質要求を満たすのは難しい。さらに、表面層の製造上において、水系塗料を使用した場合やスプレーコートを使用した場合には、膜厚の精度や表面精度を得ることが難しい。
本発明は、良好な弾性、離型性、光沢度、膜厚の精度、表面精度等を備えた表面層を有し、転写効率の優れた多層弾性ベルトを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、表面層、弾性層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトであって、該表面層が遠心成型により形成されたものであり、かつ該表面層がフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む多層弾性ベルトがが、中間転写ベルトとして要求される、厚み方向の弾性、トナー離型性、光沢性、寸法精度等をバランス良く合わせ持つことを見出した。
また、一般に中間転写ベルトは、電気的にトナーの受け渡しをするため、基材層、弾性層、表面層がそれぞれ半導電性を有することが良いと考えられていたが、本発明者らにより、表面層は必ずしも半導電性を必要としないことがわかった。すなわち表面層の抵抗値が低くなると、画像を転写するためのバイアス電流が表層上に走ってしまい、厚み方向に垂直にバイアス電流が流れなくなる。
その結果、中間転写ベルト上に載せたい色とは別の色のトナーが転写してしまうなどの画像不良となる。そのため表面層は必ずしも半導電性を必要としない。
かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の弾性ベルトを提供する。
項1. 表面層、弾性層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトであって、該表面層がフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含み、該フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む有機溶剤系ブレンド材料を遠心成型して得られる層である多層弾性ベルト。
項2. 前記表面層に含まれるフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の重量比が40:60〜5:95の範囲である項1に記載の多層弾性ベルト。
項3. 前記表面層の体積抵抗率が1012Ω・cm以上である項1又は2に記載の多層弾性ベルト。
項4. 前記多層弾性ベルトの形状が無端である項1〜3のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
項5. 前記多層弾性ベルトの体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下の半導電性である項1〜4のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
項6. 前記基材層のヤング率が1000MPa以上である項1〜5のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
項7. 前記弾性層が液状ウレタンゴムの硬化物からなる項1〜6のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の多層弾性ベルトからなる電子写真用ベルト。
項9. 表面層、弾性層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトの製造方法であって、
(1)基材層用材料を遠心成型して基材層を製膜する工程、
(2)フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む有機溶剤系ブレンド材料を遠心成型して表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で製膜した表面層の内面に、弾性層用材料を遠心成形して弾性層を製膜する工程、及び
(4)上記(1)で製膜した基材層の外面と、上記(3)で製膜した表面層及び弾性層からなる2層膜の内面とが接触するように重ね合わせて両者を接着する工程、
を含むことを特徴とする製造方法。
本発明の多層弾性ベルトは、表面層にフッ素樹脂だけでなくフッ素ゴム成分を有しているため表面層の柔軟性すなわち、弾性層のやわらかさを阻害しない性質とクラックの発生しない追従性をもつ。更にフッ素ゴムのみの表層では得ることのできなかった光沢度や離型性の性質要求も満たすことができる。製造上も溶剤系塗料を使用しているため、金型に表面層を製膜することができ、膜厚の精度や表面精度を得ることが可能になる。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.表面層の形成
本発明の表面層は、フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂のブレンド材料からなる。この表面層は、トナーの離型が容易な離型層として有効に機能する。
フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等が上げられ、その中でも、フッ化ビニリデン系が種類も多く入手性の面からも好ましい。
フッ化ビニリデン樹脂としては単独重合体(PVdF樹脂)でも良いし、あるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(VDF-HFP樹脂)としても良い。
フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂は有機溶剤に溶解してブレンド材料を得る。このブレンド材料は、後述の金型を用いた遠心成型により表面層に製膜される。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などが挙げられる。
具体的には、FKM等のフッ素ゴムに硬化剤を入れた後、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤に溶解し、固形分5〜20重量%(好ましくは5〜10重量%)の溶液を調製する。またPVdF等のフッ化ビニリデン樹脂をメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤に溶解して、これも固形分5〜20重量%(好ましくは5〜10重量%)に揃え、最後に2液を混合して表面層用の材料溶液を調製する。
この表面層用溶液を円筒金型内面に塗布し、回転成型機によって金型を回転させながら遠心成型により加熱することで溶剤を揮発させて硬化した表面層を得る。
表面層の厚みはあらかじめ材料溶液の投入量から計算することができ、15μm以下が好適であり、より好ましくは1〜10μm、特に好ましくは1〜7μm以下である。
こうすることで弾性層の弾性を損なわない程度の薄膜が得られる。通常、水系の塗料では金型内面に塗布したシリコーン系あるいはフッ素系の離型剤によって、15μm以下の薄膜を形成しようとすると塗料をはじいてしまうが、本発明の溶剤希釈による表面層用溶液は金型内面ではじくことがないため、1〜2μmの薄膜まで形成できる。
フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の混合比は任意であるが、フッ素ゴムが少なすぎると表面層が硬くなってしまい弾性層の軟らかさを相殺してしまい、逆にフッ化ビニリデン樹脂が少なすぎると、表面の光沢性や摩擦係数が低下してしまう。よって、これらのバランスが取れるよう、表面離型層を形成する材料成分におけるフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の混合比を選択することが好ましい。具体的には、フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の重量比は、40/60〜5/95の範囲、好ましくは30/70〜10/90の範囲、より好ましくは25/75〜15/85の範囲である。
また、表面層は必ずしも半導電性を必要としないが、良好な画像形成する上で体積抵抗率は1012Ω・cm以上、好ましくは1012〜1014Ω・cmである。1012Ω・cm未満の体積抵抗率であるとバイアス電荷は表面層を伝わって表面方向へ逃げてしまい、画像形成に必要な厚み方向へ与えるべき電荷が失われるため画像欠陥を生じる結果となる。
上記の体積抵抗率とするために、必要に応じて導電剤を用いて調整することができる。導電剤としては、例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラックが例示される。導電剤の配合量は、フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の合計100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは5〜20重量部であればよい。
表面層の遠心成型は、例えば、円筒状金型と回転成型機等を用いて、次のようにして実施できる。停止している円筒状金型に、最終厚さを得るに相当する量の液状原料を注入した後、遠心力が働く速度にまで徐々に回転速度を上げて、遠心力で内面全体に均一に流延する。
円筒状金型は、その内面が所定の表面精度に研磨された後メッキされており、この金型の表面状態が、無端多層弾性ベルトの表面層外面に転写される。従って、金型の内面の表面粗さを制御することにより、表面層の表面粗さを所望の範囲に調節することができる。なお、使用する金型内面の粗度は、内面仕上げ時に使用する研磨紙の番手等により任意に制御できる。また金型内面にブラストすることによってメッキ前の表面粗度を制御しても良い。
更に円筒状金型内面には離型剤を塗布し、原料硬化後の膜がきれいに金型内面から離型できるようにされている。離型剤はフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤が用いられる。
円筒状金型は回転ローラー上に載置し、該ローラーの回転により間接的に回転が行われる。また金型の大きさは、所望する表面層の大きさすなわち弾性ベルトの外径に応じて適宜選択できる。
加熱は、該金型の周囲に、例えば遠赤外線ヒータ等の熱源が配置され外側からの間接加熱が行われる。通常、室温から150〜200℃程度まで徐々に昇温し、昇温後の温度で0.5〜2時間程度加熱すればよい。これにより、円筒状金型内面に注入された液状原料は硬化し、円筒状金型内面に継目のない(シームレス)管状の表面層が製膜できる。
この表面層を構成するフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂のブレンド材料のゴム硬度は、タイプA硬さ(JIS K6253)にて、通常70〜95度程度であればよい。
II 弾性層の形成
本発明の多層弾性ベルトにおける弾性層は、液状ウレタンゴムの硬化物からなる。例えば、液状ウレタンゴム、及び必要に応じ該液状ウレタンゴム100重量部に対しカーボンブラック5〜40重量部を含む弾性層材料を、上記Iで得られた表面層の内面に塗布、硬化させて製造される。
液状ウレタンゴムとしてはポリウレタンエラストマーが挙げられ、特にその硬化物のタイプ A硬さ(JIS K6253)が30〜80度、さらに40〜65度のものが好ましい。具体的には、大日本インキ化学工業(株)製のパンデックスやウレハイパー、三井化学ポリウレタン(株)製のタケネート等が例示される。
カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラックの如き導電性カーボンブラックであればよい。カーボンブラックの配合量は、液状ウレタンゴム100重量部に対し、5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは10〜25重量部である。
この様にカーボンブラックを絶縁性ウレタンゴムに添加することで、弾性層に体積抵抗率10〜1013Ω・cm程度(好ましくは10〜1012Ω・cm程度)の半導電性が付与され、多種多様な抵抗値要求に対し目的に合った的確な半導電性が得られる。また、得られるベルトはカーボンブラックによる電子伝導性であるため、温度、湿度等の外部環境にほとんど影響を受けない安定した半導電性を示すことになる。
また、求めるベルトの体積抵抗率によっては、充填剤として各種のイオン導電剤(例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の過塩素酸塩、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のアルカリ金属系塩素酸塩等)を使用して、カーボンブラック添加前の液状ウレタンゴムの体積抵抗率を、10Ω・cm以下の低抵抗材料にすることも可能である。イオン導電剤の具体例としては、例えば日本カーリット株式会社製PEL-100等が挙げられる。イオン導電剤を添加する場合、その添加量は液状ウレタンゴム100重量部に対し、0.1〜3.0重量部程度である。
抵抗調整させた液状ウレタン材料の硬化物及び必要に応じカーボンブラックを含む弾性層材料は、金型の内側に製膜された表面層の内面に投入され、遠心成型される。遠心成型の方法は、例えば前記Iの表面層の成型設備と同じものが用いられる。成型温度は室温から徐々に加熱し、ウレタンゴムの耐熱限界以下の温度である120〜150℃程度にまで上げられ、その状態で0.5〜1時間程度保持されて硬化を完了する。
弾性層の体積抵抗率は、ベルトとしてトナーを電気的な制御によって受け渡しを行なう点から、通常10〜1013Ω・cm程度、好ましくは10〜1012Ω・cm程度である。
弾性層の厚さは、ベルト表面の柔軟性と、使用時の画像ズレ防止を考慮して、通常、50〜400μm、好ましくは120〜300μmである。
III 基材層の形成
本発明の多層弾性ベルトにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため機械物性が要求される。
基材層の樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド等が例示される。
ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。
ポリイミドのテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4′−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して、通常、30〜120μm、好ましくは50〜100μmである。
基材層には、必要に応じて導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、上記弾性層で挙げたカーボンブラック等を用いることができる。導電剤を含む場合、その使用量は、通常、基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度であればよい。これにより基材層に、中間転写ベルトに適した抵抗率を持たせることができる。
基材層の樹脂としてポリイミドを用いる場合、例えば、次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、固形分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ。)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が使用される。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。特に、NMPが好ましい。
基材層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤をポリアミック酸溶液に添加しても良い。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。これにより、ポリアミック酸及び必要に応じ導電剤を含む基材層用材料を得る。
得られた基材層用材料を、表面層・弾性層と同じように円筒状金型等を用いた遠心成型を行う。加熱は、金型内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110℃〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/min程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のあるベルトを成形する。
次に第2段階加熱として、温度280〜400℃程度(好ましくは300〜380℃程度)で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにするのが良い。なお、第2段階加熱は、無端ベルトを円筒状金型の内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階を終わったら、金型から無端ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃に加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常約20分〜3時間程度である。
基材層の樹脂としてポリアミドイミドを用いる場合も同様にして、ジアミン或いはジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを遠心成型して、継目のない(シームレス)ポリアミドイミドの基材層を製膜できる。また、基材層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を添加しても良い。
これら遠心成型を用いて製膜する基材層は、原料の縮み率や耐熱温度といった観点から前述の表面層、フッ素ゴム層、ゴム弾性層の製膜に用いた円筒状金型とは違う基材層製膜専用金型を用いることが好ましい。
遠心成型によりこうして得られるポリイミドやポリアミドイミドのヤング率は、通常2500MPa以上である。
また、基材層の材料としてポリカーボネート、PVDF、ポリアミド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して押出成型することによりシームレスの基材層を製膜できる。基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を添加しても良い。
基材層の体積抵抗率は、ベルトとしてトナーを電気的な制御によって受け渡しを行なう点から、通常10〜1013Ω・cm程度、好ましくは10〜1012Ω・cm程度である。
押出成型が可能な樹脂は上記のようなものがあるが、このとき基材としての性能を保持するため、ヤング率1000MPa以上、好ましくは1500MPa以上の材料を選択することができる。
上記のようにして、継目のない高い強度を有する基材層を得ることができる。
IV 多層弾性ベルトの形成(3層化)
最後に、上記I及びIIIにおいて遠心成型にて別々に製膜した層同士、すなわち一体化されている表面層及び弾性層と、基材層とを、該弾性層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせる。両層の間には、必要に応じて接着剤やプライマーを塗布してもよい。両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。その後、積層体を加熱処理することにより、弾性層の内面と基材層の外面とが接着された無端の3層の弾性ベルトを得る。
上記3層化工程の具体的例を挙げる。円筒金型内面に製膜された基材層及び弾性ゴム層からなる2層膜の内面(弾性層の内面)に、ラミネート接着剤を均一塗布して風乾する。別に製膜した基材層の外面にもプライマーを塗布して風乾した後、これを該弾性層内面に重ね合わせ、位置がずれないよう基材層内面に密着する内金型を挿入する。
その後130℃程度で40〜60分程度加熱処理し、接着剤の硬化と同時に層間接着が完了する。必要に応じ、脱型後の3層ベルトをさらに120℃程度で3〜5時間程度加熱処理することにより、アニール処理を施しても良い。こうして、本発明の多層弾性ベルトを得る。
ラミネート接着剤としては、三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA-969や大日本インキ化学工業(株)製タイフォースNT-810が例示される。なお、上記のプライマーの使用は任意であるが、接着強度向上の点から使用するのが好ましい。プライマーとしては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製のDY39-067等が例示される。
本発明の多層弾性ベルトの体積抵抗率は10Ω・cm以上1013Ω・cm以下の半導電性とすることができる。
以上のように、本発明の多層弾性ベルトは、例えば、画像形成装置に使用される現像スリーブ、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、定着ベルト、転写定着ベルト等の電子写真用ベルトとして好適に用いられる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本明細書に記載の下記の評価は、次のようにして行った。
<基材層固形分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
基材層固形分濃度=B/A×100(%) (I)
<表面層及び弾性層固形分濃度>
原料を精秤し、この時の固体原料の重量をBgとする。電子天秤上で原料を溶剤に溶かすために、攪拌しながら溶剤を徐々に加え、最終的な溶液重量をAgとする。固形分濃度は、次式(II)となる。
弾性層固形分濃度=B/A×100(%) (II)
<厚み>
厚みは、接触式膜厚測定器のフラット型プローブを用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。幅方向に長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<一次及び二次転写効率>
一次転写効率は、転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し下記式から求めた。また、二次転写効率は、転写前及び転写後の転写ベルト上のトナー重量を測定し下記式から求めた。
転写効率(%)=100×[(転写前トナー重量)−(転写後トナー重量)]/(転写前トナー重量)
各転写効率は次の基準で評価した。
一次転写効率:98%以上「○」、95〜98%「△」、95%以下「×」
二次転写効率:95%以上「○」、90〜95%「△」、90%以下「×」
○は優れる、△は使用可能、×は劣る、使用不可を意味する。
<ライン中抜け>
ライン中抜け(一次転写効率)は、ライン画像のみの画像にて転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し上記の転写効率の式から求めた。
ライン中抜けは次の基準で評価した。
ライン中抜け:90%以上「○」、85〜90%「△」、85%以下「×」
○は優れる、△は使用可能、×は劣る、使用不可を意味する。
<光沢度の測定>
日本電色工業(株)製光沢計PG-1Mを使用し、入射角20°に設定したときの測定値。円周方向3点の平均値を使用した。
<ヤング率の測定>
基材層のヤング率は25x250mmの短冊試験片を用い、試験スピード20mm/minでJIS K7127に準拠し計測した。
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35ポイズ、固形分濃度は18.0重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)21gとN-メチル-2-ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、固形分濃度18.5重量%、該固形分中のCB濃度は20.6重量%であった。
そして該溶液から276gを採取し、回転ドラム内に注入し、次の条件で成形した。
回転ドラム・・・内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。例えば、図2を参照。
加熱温度・・・該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で276gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/minで120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ80μm、外周長944.3mm、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率1×109〜3×109Ω・cmであった。
(2)表面層の製膜
溶剤系フッ素ゴム塗料(ダイキン工業(株)製 DPS-231RD)100g(内ゴム固形分は33g)をメチルエチルケトン(MEK)560gで希釈し固形分濃度5重量%の溶液を作製した。PVDF樹脂(KFポリマー#850、(株)クレハ製)30gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)270gとメチルエチルケトン(MEK)300gの混合溶媒に溶解させ固形分濃度5w%の溶液を作製した。
これらの原料をフッ素ゴム溶液20g、PVDF樹脂溶液80gで混合し100gのブレンド原料を得て次の条件で製膜した。
回転ドラム・・・内径301.0mm、幅540mmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。例えば、図2を参照。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/minで130℃まで昇温して、その温度で20分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した後ドラムを常温まで冷却した。ドラム内面に形成された表面層の厚みを渦電流式厚み計にて測定したところ6μmであった。
予備試験として同様の方法で作成したフッ素ゴムとPVDF混合材料層単膜の電気抵抗値を測定したところ表面抵抗値で5×1014Ω/□、体積抵抗率2×1013Ω・cmであった。
(3)弾性層の製膜
トルエン1300gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP1627、大日本インキ化学工業(株)製)を1000g溶解させた溶液に酸性カーボン(pH3.5)300gを加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50重量%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度は23重量%のマスターバッチ溶液を作成した。このマスターバッチ204gに硬化剤CLH-1を2.41gとCLH-5を3.26g(大日本インキ化学工業(株)製)添加し撹拌を行った。
この溶液を先に製膜した表面層内面に回転した状態で、最終的に200μmの厚みを有する弾性層になる量で均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/minで150℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に弾性層を形成した。
予備試験としてこのウレタンゴムマスターバッチ溶液にて作成したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA(JIS K6253)にて63°であった。
(4)弾性層内面と基材層外面の張り合わせ
上記(3)で製膜した弾性層内面にプライマーDY39−067(東レ・ダウコーニング(株)製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルト(基材層)を挿入し重ね合わせた。次に基材内面から圧着した状態で加熱(80〜100℃)を行い、張り合わせを完了させた。張り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトを採取した。
該多層ベルトは厚さ284μm、外周長945.0 mm、表面抵抗率7×1011〜9×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜9×1010Ω・cm、表面静摩擦係数0.37、光沢度は51であった。
実施例2
実施例1(2)の表面層としてフッ素ゴム溶液40g、PVDF樹脂溶液60gを混合して作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例3
実施例1(2)の表面層としてフッ素ゴム溶液5g、PVDF樹脂溶液95gを混合して作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例4
実施例1(2)の表面層としてフッ素ゴム溶液30g、PVDF樹脂溶液70gを混合して作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例1
実施例1(2)の表面層としてフッ素ゴム溶液100gにて作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例2
実施例1(2)の表面層としてPVDF樹脂溶液100gにて作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例3
実施例1(2)の表面層としてフッ素ゴム溶液50g、PVDF樹脂溶液50gを混合して作製した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
各試料多層ベルトの実機評価結果を表1に示す。
Figure 2009025421
また、実施例及び比較例における、静摩擦係数と表面層材料固形分中のPVdF含有率との相関、および光沢度と表面層材料固形分中のPVdF含有率をそれぞれ図3及び図4に示す。
表1、図3および図4から、摩擦係数はトナー離型を損なわない点から0.5以下が望ましい。それ以上では、ベルト表面の粘着性によって二次転写時にトナーが紙等の媒体へ転写せずに一部がベルト表面に残ってしまう。また、光沢度は40を越えることが望ましい。位置検知センサーの種類にもよるが、40以下では位置のセンシングは不能となる場合が多い。
表1より、本実施例のベルトでは、位置検知センサーが作動できる程度の光沢度を有し、一次、二次の転写効率が極めて高く、ライン中抜けもほとんどないことがわかる。そのため、中間転写ベルト等として好適に用いることができる。
本発明の3層の弾性ベルトの断面模式図である。 実施例における各層の製膜に用いた装置の模式図である。 実施例及び比較例のベルトにおける、表面層材料固形分中のPVdF含有比率と得られたベルト表面の静摩擦係数の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例における、表面層材料固形分中のPVdF含有比率と得られたベルト表面の光沢度の関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 表面層、弾性層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトであって、該表面層がフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含み、該フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む有機溶剤系ブレンド材料を遠心成型して得られる層である多層弾性ベルト。
  2. 前記表面層に含まれるフッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂の重量比が40/60〜5/95の範囲である請求項1に記載の多層弾性ベルト。
  3. 前記表面層の体積抵抗率が1012Ω・cm以上である請求項1又は2に記載の多層弾性ベルト。
  4. 前記多層弾性ベルトの形状が無端である請求項1〜3のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
  5. 前記多層弾性ベルトの体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下の半導電性である請求項1〜4のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
  6. 前記基材層のヤング率が1000MPa以上である請求項1〜5のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
  7. 前記弾性層が液状ウレタンゴムの硬化物からなる請求項1〜6のいずれかに記載の多層弾性ベルト。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の多層弾性ベルトからなる電子写真用ベルト。
  9. 表面層、弾性層及び基材層の少なくとも3層からなる多層弾性ベルトの製造方法であって、
    (1)基材層用材料を遠心成型して基材層を製膜する工程、
    (2)フッ素ゴムとフッ化ビニリデン樹脂を含む有機溶剤系ブレンド材料を遠心成型して表面層を製膜する工程、
    (3)上記(2)で製膜した表面層の内面に、弾性層用材料を遠心成形して弾性層を製膜する工程、及び
    (4)上記(1)で製膜した基材層の外面と、上記(3)で製膜した表面層及び弾性層からなる2層膜の内面とが接触するように重ね合わせて両者を接着する工程、
    を含むことを特徴とする製造方法。
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