JP5701114B2 - 多層弾性ベルト - Google Patents
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Description
項1.表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層からなる電子写真装置用多層弾性ベルトであって、
該弾性層が、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とから得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む、電子写真装置用多層弾性ベルト。
項2.前記イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)が、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、およびブロック化剤(C)を原料として得られることを特徴とする項1に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項3.前記アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)が、ポリエーテル系トリアミンを含有することを特徴とする項1又は2に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項4.前記弾性層の硬度が、タイプA硬度で60°以下である項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項5.前記表面層が、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムを含む、項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項6.前記基材層が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、PVdF、ポリアミド及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項7.前記表面層及び弾性層が、円筒状金型の内側に表面層形成用組成物を塗布し、回転成型した後、形成された表面層の内面に弾性層形成用組成物を塗布し、回転成型することによって順次製膜された層である、項1〜6のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項8.電子写真装置用多層弾性ベルトの製造方法であって、
(1)基材層形成用組成物を、回転成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)円筒状金型の内面に表面層形成用組成物を注入し、回転成型して表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とを含む弾性層形成用組成物を注入し、回転成型して弾性層を製膜して二層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた二層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて加熱処理する工程、
を含む製造方法。
I.電子写真装置用多層弾性ベルト
本発明の電子写真装置用多層弾性ベルトは、表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層からなり、該弾性層が、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とから得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の多層弾性ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた多色のトナーを紙へ転写、離型するための層である。
本発明の多層弾性ベルトにおける弾性層は、一次転写時における感光体との転写領域を容易に確保したり、感光体との間でトナーに加えられる圧縮応力を軽減したり、二次転写時におけるバイアスロールによるニップ圧応力の集中を回避したり、記録媒体の凹凸への追従性を向上させたりするための層である。そのため、ゴム弾性が要求される。
前記ポリアルキレンエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合せしめた生成物が挙げられる。
本発明の多層弾性ベルトにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力でベルトが変形しないようにするための層である。そのため基材層には機械物性強度が要求される。
本発明の多層弾性ベルトの体積抵抗率は、電子写真装置用転写ベルトとして用いられる場合、電気的な制御によってトナーの受け渡しを行うという点から、通常、1×104〜1×1012.5Ω・cm程度が好ましく、1×107〜1×1012Ω・cm程度がより好ましい。
多層弾性ベルトの平均総厚みは、通常、150〜500μm程度が好ましく、200〜350μm程度がより好ましい。
本発明の電子写真用多層弾性ベルトは、(1)基材層形成用組成物を、回転成型又は溶融押出成形して基材層を製膜し、(2)円筒状金型の内面に表面層形成用組成物を注入し、回転成型により表面層を製膜し、(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とから得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む弾性層形成用組成物を注入し、回転成型して弾性層を製膜して二層膜とし、(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた二層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて加熱処理することにより、製造することができる。
本発明の多層弾性ベルトにおける基材層は、例えば、次のようにして製膜することができる。基材層を形成する樹脂として、ポリイミドを用いる場合を例として、以下に説明する。
本発明の多層弾性ベルトにおける表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。表面層を形成する樹脂として、フッ素樹脂を用いる場合を例として、以下に説明する。
上記工程(2)で得られた表面層の内面に、弾性層形成用組成物を回転成型して製膜し、2層膜とする。
上記工程(3)で得られた表面層及び弾性層の二層からなる第1ベルトと、上記工程(1)で得られた基材層からなる第2ベルトとを、該第1ベルトの内面(弾性層側の面)と該第2ベルトの外面とが接触するように重ね合わせる。両者の間には、必要に応じて、接着剤やプライマーを塗布してもよい。
また、本発明では、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
基材層固形分濃度=B/A×100(%) (I)
原料を精秤し、この時の固形あるいは液状原料の重量をCgとする。原料を各種溶剤に溶かすために、電子天秤上で攪拌しながら該溶剤を徐々に加え、最終的な溶液重量をDgとする。固形分濃度は次式でとなる。
各層固形分濃度=C/D×100(%) (II)
基材層または弾性層原料固形分中のCB濃度は、基材層または弾性層原料固形分重量をEとし、添加したCB重量をFとした時の次式で計算される値である。
固形分中のCB濃度=F/(E+F)×100(%) (III)
厚みは、接触式膜厚測定器のフラット型プローブを用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
ヤング率はJIS K7127に準拠し、(株)島津製作所製 オートグラフAG−Xを用いて測定した。
サンプル片:25×250mmの短冊状
引張速度:20mm/分
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタUP・URブロ−ブ”を用いて23℃、55%RH環境下で測定した。幅方向に長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値の常用対数値で示した。なお該測定サンプルは23℃、55%RH環境下で12時間放置してから測定した。
JIS K6253に従い、デュロメーターAを用いて、弾性層を構成する材料で厚み6mmのバルク(塊)を作製して評価した。
イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)の合成
ポリテトラメチレンエーテルグリコール500部に、2,4−ジイソシアナトトルエン74部(NCO/OH=1.7)を激しく撹絆しながら投入し、100℃で4時間反応させてウレタンプレポリマーを得た。
該ウレタンプレポリマーを60℃まで冷却し、これにブロック化剤としてメチルエチルケトンオキシムを31部(NCO/OH=0.98)投入し、70℃にて2時間攪拌、反応させ、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)を得た。得られたイソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)の80℃における粘度は3,800mPa・sであった。
イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−2)の合成
液状のポリエステルジオール(3−メチルペンタンジオールとアジピン酸から得られたポリエステルジオール、分子量2000)500部に2,4−ジイソシアナトトルエン74部(NCO/OH=1.7)を激しく攪拌しながら投入し、100℃で4時間反応させてウレタンプレポリマーを得た。
該ウレタンプレポリマーを60℃まで冷却し、これにブロック化剤としてメチルエチルケトンオキシムを31部(NCO/OH=0.98)投入し、70℃にて2時間攪拌、反応させ、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−2)を得た。得られたイソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−2)の80℃における粘度は4,200mPa・sであった。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−3)の合成
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量2000) 500部に、2,4−ジイソシアナトトルエン87部(NCO/OH=2.0)を激しく攪拌しながら投入し、100℃で4時間反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た。
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17,000、粘度は3,500mPa・s、固形分濃度は18.0%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液(基材層形成用組成物)は、固形分濃度18.5%、該固形分中のCB濃度は20.6%であった。
そして該溶液から276gを採取し、基材層成型用円筒状金型を用意し、次の条件で成形した。
基材層成型用金型:内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの円筒状金型であり、該金型が2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2を参照)。
加熱装置:該金型の外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該金型の内面温度が120℃に制御されるように設計した装置である。
まず、円筒状金型を回転した状態で276gの該溶液を金型内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/分で120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま金型を離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該金型内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ80μm、外周長944.3mm、表面抵抗率1×1011.5Ω/□、体積抵抗率1×109.2Ω・cm、ヤング率は4,180MPaであった。
ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2821、アルケマ製:HFP11モル%)100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させ、固形分濃度10%の溶液Aを調製した。
有機変性モンモリロナイト(ルーセンタイトSTN、コープケミカル(株)製)100gを、ジメチルアセトアミド900gに加え、ボールミルにて均一分散を行って固形分濃度10%の溶液Bを調製した。
溶液Aと溶液BをA:B=99:1で調合し撹拌機で混合し、固形分濃度10%、該固形分中の有機変性モンモリロナイト濃度1%の溶液を得た。これをDMAc:酢酸ブチル=1:2の混合溶媒で希釈し、固形分濃度1.6%、該固形分中有機変性モンモリロナイト濃度1%(表面層の総重量に対するモンモリロナイトの配合割合に相当する)の表面層形成用組成物を調製した。この溶液168gを次の条件で製膜した。
回転ドラム:内径301.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.5μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/分で130℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した後ドラムを常温まで冷却した。ドラム内面に形成された表面層の厚みを渦電流式厚み計(ケット化学研究所社製)にて測定したところ3μmであった。
なお、上述の表面層形成用組成物を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗率は1×1012.6Ω・cm、ヤング率は610MPaであった。
合成例1で得られた、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液にポリオキシプロピレントリアミン(数平均分子量440)8.1部を加えて混合し、弾性層形成用組成物を得た。
この弾性層形成用組成物270gを計量し、先に製膜した表面層内面に金型を回転した状態で均一に塗布した後、加熱を開始した。加熱は、2℃/分で130℃まで昇温して、その温度で120分間その回転を維持しつつ加熱し、金型内面に弾性層(厚さ:250μm)を形成した。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて40°であった。また、体積抵抗率は、1×1010.5Ω・cmであった。
上記(3)で製膜した弾性層内面にプライマーDY39−067(東レ・ダウコーニング(株)製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−969)を薄く外面に塗布した上記(1)の基材層を挿入し、重ね合わせた。次に基材内面から圧着した状態で加熱(80〜100℃)を行い、貼り合わせを完了させた。貼り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトを採取した。
該多層ベルトは厚さ335μm、外周長945.0mm、表面抵抗率1×1011.3Ω/□、体積抵抗率1×1010.4Ω・cmであった。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、合成例2で得られた、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−2)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液にポリオキシプロピレントリアミン(数平均分子量440)8.1部と混合し、弾性層形成用組成物を得た。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて43°であった。また、体積抵抗率は、1×1010.7Ω・cmであった。
この弾性層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、合成例1で得られた、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液にポリオキシプロピレントリアミン(数平均分子量440)4.1部と4,4'−メチレン−ビス−2−メチルシクロヘキシルアミン3.1部との混合物と混合し、弾性層形成用組成物を得た。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて45°であった。また、体積抵抗率は、1×1010.1Ω・cmであった。
この弾性層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、合成例1で得られた、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)100部にキシレンを100部加え希釈し、イオン導電剤としてサンコノールBUAC−30R(商品名、三光化学工業(株)製)を0.8部加え、撹拌機にて均一分散を行い、固形分濃度50%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液にポリオキシプロビレントリアミン(数平均分子量440)8.1部と混合し、弾性層形成用組成物を得た。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて40°であった。また、体積抵抗率は、1×1010.8Ω・cmであった。
この弾性層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
なお、実施例1から4におけるウレタン硬化物硬度は配合設計で狙った範囲になっていることから、二次加硫は不要と判断した。予備試験にて作製した各実施例のウレタン硬化物を100℃雰囲気下で12時間放置し、常温に戻して硬度を再測定してみたが、二次加硫前と比較し、タイプA硬度(JIS K6253)に2ポイント以上の差は生じていなかった。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、比較合成例1で得られた、イソシアネート基末端プレポリマー(D−3)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液に、芳香族アミンであるMBOCA(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン)を8.6部と混合し、弾性層形成用組成物を得た。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて57°であった。また、体積抵抗率は、1×109.4Ω・cmであった。その後、前記ウレタン硬化物を100℃雰囲気下で12時間放置し、常温に戻して硬度を再測定したところ、タイプA(JIS K6253)63°であった。
この弾性層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、比較合成例1で得られた、イソシアネート基末端プレポリマー(D−3)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液に、4,4’−メチレン−ビス−2−メチルシクロヘキシルアミンを7.6部混合したところ、すぐにゲル化したため、多層ベルトを作製できなかった。
実施例1(3)において得られる弾性層形成用組成物に代えて、合成例1で得られた、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D−1)100部にキシレンを125部加え希釈し、酸性カーボン(pH3.5)25部を加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度が20%のマスターバッチ溶液を作製した。このマスターバッチ溶液に、120℃で加熱溶解した、芳香族アミンであるMBOCA(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン)を8.5部混合し、弾性層形成用組成物を得た。
予備試験として、この弾性層形成用組成物にて作製したウレタン硬化物の硬度を測定したところ、タイプA(JIS K6253)にて58°であった。また、体積抵抗率は、1×109.3Ω・cmであった。その後、前記ウレタン硬化物を100℃雰囲気下で12時間放置し、常温に戻して硬度を再測定したところ、タイプA(JIS K6253)64°であった。
この弾性層形成用組成物を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
上記実施例1〜4、比較例1〜3で得られた多層ベルトを、下記MIT試験および磨耗試験にかけた値と、転写ユニットに組み込んで以下の画像評価を行った結果および耐久結果を表1に示す。
MIT試験法による耐折回数測定は、JIS P8115(1994)に準拠(JIS P8115(1994)における「紙及び板紙」を、「実施例1〜4、比較例1〜3で得られたベルト」に読みかえる)する方法であり、MIT試験機として(株)東洋精機製MIT−DAを用いて測定した。試験条件は以下のとおりである。
試験片を挟み折曲げるためのチャックの先端半径:0.38mm
荷重:2.45N(0.25kgf)
折り曲げ角度:45±2°
繰返し速度:90±10回/毎分
該条件にて繰り返し折り曲げ、表面層にストレスを与える。表面層に現れた亀裂の大きさを目視にて5段階の基準サンプルと比較し数値化した(5回測定の平均値)。
基準サンプル水準5を最良、1を最悪とし、4以上を使用可と判断し合格とした。
JIS K7204に従い、磨耗輪による磨耗試験により、磨耗輪によって研削された材料の重量(mg)にて比較した(8回測定の平均値)。 試験条件は以下の通りである。
磨耗量が少ないほど、表面層変形に対する弾性層の強度による防御効果は高いと判断した。
磨耗輪種類:CS−17
荷重:250g
回転回数:300回
上記実施例および比較例で得られた多層ベルトを、フルカラー転写ユニットに組み込んで、以下の画像評価を行った。
・一次及び二次転写効率
一次転写効率は、転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し下記式から求めた。また、二次転写効率は、転写前及び転写後の転写ベルト上のトナー重量を測定し下記式から求めた。
細線画像の中抜けを二次転写前の転写ベルト上にて観察し評価した。細線は約0.05mmの転写ベルト進行方向と平行なY、Mの二色によるベタ画像細線をレーザ顕微鏡にて300倍の倍率で観察し、細線長さ1mm内にいくつの中抜けが発生しているかを次の基準で評価した。
○:中抜けが全くない
△:中抜けが1〜4箇所
×:中抜けが5箇所以上存在する
凹凸の大きな紙として富士ゼロックスオフィスサプライ社の「レザック66」(表面凹凸差80μm、151g/m2)を用い、シアンでベタ印刷を行って、最深部(凹部)のトナーの乗りを目視で、次の基準で評価した。
○:ムラなく転写できている
△:僅かに白抜けしている
×:トナーの乗りがなく白抜けしている
下記の条件で通紙、通電、駆動テストを同時に実施し、10万枚相当の駆動テスト後に表面層の剥離、割れの有無を顕微鏡で観察し、次の基準で評価した。
○:表面層の剥離又は割れの発生なし
×:微小割れあり
駆動速度:ベルト外周速度300mm/秒
通電:電源(Trek 610C)によりベルト厚み方向に50μAの定電流を供給
通紙:二次転写ロール外面にコピー用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態を作製
クリーニング機構:ウレタンゴム製クリーニングブレード(ゴム硬度 タイプA 80°)
Claims (7)
- 表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層からなる電子写真装置用多層弾性ベルトであって、
該弾性層が、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とから得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂を含み、
前記アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)が、ポリエーテル系トリアミンを含有する、電子写真装置用多層弾性ベルト。 - 前記イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)が、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、およびブロック化剤(C)を原料として得られることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
- 前記弾性層の硬度が、タイプA硬度で60°以下である請求項1又は2に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
- 前記表面層が、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
- 前記基材層が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、PVdF、ポリアミド及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
- 前記表面層及び弾性層が、円筒状金型の内側に表面層形成用組成物を塗布し、回転成型した後、形成された表面層の内面に弾性層形成用組成物を塗布し、回転成型することによって順次製膜された層である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
- 電子写真装置用多層弾性ベルトの製造方法であって、
(1)基材層形成用組成物を、回転成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)円筒状金型の内面に表面層形成用組成物を注入し、回転成型して表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、イソシアネート基がブロックされたウレタンプレポリマー(D)と、アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)とを含む弾性層形成用組成物を注入し、回転成型して弾性層を製膜して二層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた二層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて加熱処理する工程、
を含み、
前記アミノ基を2個以上有する脂肪族化合物(E)が、ポリエーテル系トリアミンを含有する、製造方法。
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