JP5916323B2 - 電子写真装置用多層弾性ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に使用される多層弾性ベルトに関する。具体的には、感光体上に形成された静電潜像上のトナー像を紙等の記録材へ転写するために使用する中間転写ベルト、転写搬送ベルト、紙搬送ベルト等の電子写真用ベルトに関するものである。
中間転写ベルトの高画質化に対応するために、特許文献1に記載されるように、弾性材料層を有する多層構成の中間転写ベルトが提案されている。これらのベルトは通常、基材層であるポリイミドなどの樹脂ベルト表面に弾性層及び表面層を順次コーティングする方法などで製造される。
このようなゴム弾性体層を設けた中間転写ベルトは柔軟性に優れるため、一次転写時に、中間転写ベルトと接する感光体等との転写領域を容易に安定して形成できると同時に、感光体等との間でトナーに加えられる応力が軽減されるため、画像の中抜け不具合がなく、細線印字の鮮明度が向上できる。
また、このような高画質対応の中間転写ベルトには、トナー離型性も重要な要素として同時に要求される。すなわち中間転写ベルト表面から紙等の媒体へトナーを移し替える上で、トナーに対する離型性が必要となる。そのため、表面層を構成する部材に、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素系樹脂材料などの表面エネルギーの小さい材料を用いることにより、中間転写ベルト表面からのトナーの離型が容易になり、転写効率が向上する。但し、一次転写時の画像中抜け対策との両立を図るには、ゴム弾性層の軟らかさの効果を損なわないことが肝要で、結果、硬さは軟らかく厚みの薄い表面層が要求される。
しかしながら、中間転写ベルト表面を比較的軟質の材料で形成する場合、ベルト表面の摩擦係数が高くなるためトナーの離型性は必ずしも充分でなく、二次転写の効率が低下したり、中間転写ベルト表面に残留したトナーを除去するクリーニング工程で、シリコーンゴムやウレタンゴム等で形成されたクリーニングブレードに対し、クリーニング性能不足やブレード鳴きの不具合が生じ、最悪の場合にはブレードが破損したりする問題が発生する。
この問題に対しては、特許文献2において、円筒金型内面にブラストを施し、その内面で表面層を成型して金型の微細凹凸をベルト表面に転写することで、摩擦係数を低減し、転写効率を向上させる技術が開示されている。
特開平11−024429号公報 特開2010−002629号公報
本発明は、上記従来技術を踏まえ、転写ベルトとして良好な膜厚精度を備え、画像中抜けがなく細線印字が鮮明な一次転写特性、離型性やクリーニング性などが良好な二次転写特性の最適なバランスを持つことに加え、フィルミングによるトナー画像の品質低下やベルト表面のクリーニング性能の低下を抑制できる多層弾性ベルトを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ベルト表面に周方向に平行な非常に細かな凹凸を持たせることで、フィルミングによるトナー画像の品質低下やベルト表面のクリーニング性能の低下を抑制できることを見出した。
かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の弾性ベルトを提供する。
項1.表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層から成る電子写真装置用多層弾性ベルトであって、該表面層が、周方向に平行に連なる微細溝を有し、該ベルト表面の軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さ(Rz)が0.7〜2.5μmである電子写真装置用多層弾性ベルト。
項2.前記軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さが、周方向走査におけるベルト表面十点平均粗さの1.2倍以上である項1に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項3.前記表面層の厚みが10μm以下である項1または2に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項4.前記表面層が、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムを含む、項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項5.前記ベルト表面の静摩擦係数が0.8以下である項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項6.前記弾性層がポリウレタンエラストマー材料を含む層である項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項7.前記基材層の材料がポリイミド又はポリアミドイミドである項1〜6のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項8.前記ベルトが無端ベルトである項1〜7のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
項9.電子写真装置用多層弾性ベルトの製造方法であって、
(1)番手#120よりも粗い研削材により、内面が回転方向に研削された表面を有する円筒形金型を用いて、回転成型により、周方向に平行に連なる微細溝を有する表面層を形成する工程、
(2)該表面層の内面に、回転成型により、さらに弾性層を形成し、表面層及び弾性層の少なくとも二層から成る第1ベルトを製造する工程、
(3)別の円筒形金型を用いて、回転成型により基材層から成る第2ベルトを製造する工程、
(4)該第1ベルトの弾性層側と第2ベルトとを貼り合わせて電子写真装置用多層弾性ベルトを製造する工程
を含むことを特徴とする製造方法。
項10.工程(1)において用いられる円筒形金型が、金型表面に硬質クロムメッキを施された後、成型に使用する金型内面を番手#120よりも粗い研削材により回転方向に研削されたものである、項9に記載の製造方法。
本発明の多層弾性ベルトは、良好な膜厚精度と弾性層を含むことにより、転写画像の優位性を有する。加えて、ベルト表面に、無数の微細溝が周方向に平行に存在することにより、トナーの添加剤や紙媒体から発生するタルクなどの微粉末が発生しても、当該溝の凹部に優先的に入り込むため、溝幅よりも大きな粒径を持つ個々のトナーのベルトへの接触に影響を与えることがなく、フィルミングによるトナー画像の品質低下や、ベルト表面のクリーニング性能の低下を抑制することが出来る。
本発明の3層の弾性ベルトの断面模式図である。 実施例における各層の製膜に用いた装置の模式図である。 周方向に粗面化された表面を持つ本発明のベルト表面概念図である。 本発明のベルトの微細溝を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.金型内面の加工
本発明の多層弾性ベルト(特に、中間転写ベルト)の表面に、周方向に平行な無数の微細溝を備えた表面層を成型するための円筒状金型は、該内面を円筒研削仕上げによって、周方向に平行に粗面化を施したものである。金型は通常鋼材S20CからS55C程度の硬さの材料で作られ、内外の表面には硬質クロムメッキ等のメッキ処理を行う。粗面化加工は、通常メッキ後に行うが、メッキ前に行なってもよい。
研削仕上げに用いる研削材の種類としては、砥石、バフなどの研磨布、サンドペーパーなどの研磨紙、ラッピングフィルムなどから成る研磨テープ等があるが、金型内面に対し均一な圧力で粗面化する観点から、バフが適している。また、これらの研磨布紙、研磨テープなどを、ゴムなどの弾性体に被覆して当接しても良い。
研削材の砥粒の粒度は、金型の粗さ狙い値によって選択される。ベルト表面に転写する粗さの大きさと、金型内面の粗さの大きさはほぼ同じ値と考えてよい。そのため、金型内面の粗さを軸方向に走査したときの十点平均粗さ(Rz)で0.7〜2.5μmの範囲にすることが好ましく、粒度の番手は、#120よりも粗いものが良い。例えば、#20から#100程度の砥粒を、単独で、あるいは2種以上を順番に使用する。当該#20から#100程度の砥粒を使用することにより、表面層の液状原料を均一に塗布することができ、かつ紙填料やトナー成分が充分に埋まるサイズの凹凸を形成することができる。
順番に2種以上の粒度の砥粒を使用する場合、最初に粗い番手で処理した後に細かい番手で仕上げると良い。こうすることで、金型内面粗さはより均一となり、鋭角の凸部が残らない。もし、鋭角の凸部が残ってしまうと該金型でベルトを製膜した場合ベルト表面のピンホールとなり、その部分の表面層が薄くなったり、最悪の場合、ゴム弾性層が露出したりすることでクリーニング不良等の原因になってしまう。
当該研削材の素材としては、酸化クロム、アルミナ、ダイヤモンド、炭化ケイ素が挙げられる。本願発明においては、選択する粒度が比較的粗く、被研削材が硬質であることから、酸化クロムが適している。なお、これらの研削材を、あらかじめ油脂と一緒にフェルトに含浸したタイプのバフが市販されており、一般的に使用できる。
なお(Rz)とは、JIS B 0601‐1994”表面粗さ‐定義及び表示“による、十点平均粗さRzを指す。また研削材の番手は、「JIS R 6010 研磨布紙用研磨材の粒度規定」によるものであり、#番手は粒度を示している。
II.表面層の形成
本発明の多層弾性ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた4色のトナーを紙へ転写、離型するための層である。
表面層の材料は、トナーを離型しやすくする観点から、フッ素樹脂やフッ素ゴムを含むフッ素系原料が好適である。かかるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの共重合体(THV)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフロライド(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体(VDF-HFP共重合体)、又はそれらの混合物が挙げられる。なお、VDFとHFPの共重合体は、HFPの割合が1〜15モル%程度が好ましい。
フッ素樹脂材料は、単独では弾性層を構成するゴムとの接着が困難なものが多いため、バインダーとしてウレタン樹脂やアクリル樹脂を用いてもよい。ただし、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの共重合体(THV)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフロライド(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体(VDF-HFP共重合体)、又はそれらの混合物を選択する場合、固有の表面エネルギーが大きいことから、プライマー等を用いることにより、ゴムとの接着は比較的容易となり、バインダーなしで使用可能である。
フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FEKM)等が上げられ、その中でも、フッ化ビニリデン系が種類も多く、入手のしやすさという観点からも好ましい。
更に、これらの材料に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微粒粉体を添加しても良い。この場合、粉体は、後述する原料溶液に直接分散しても良いし、あらかじめ溶剤等で希釈した分散液を使用しても良く、原料溶液中のフッ素樹脂原料重量に対し、ポリテトラフルオロエチレン微粒粉体を、20重量%以下、好ましくは10重量%以下程度添加することができる。
表面層の体積抵抗率は、通常1013Ω・cm以上であり、さらに1013〜1015Ω・cmが好ましい。また、カーボンブラック等の導電剤を添加することで半導電性の制御は可能であるが、その効果は限定的で、均一分散が難しい等の問題もあるため、表面層には導電剤を含まなくても良い。かかる表面層は、環境(温度、湿度等)の変化により導電性が左右されないため、安定したトナーの一次及び二次転写が可能となり、高画質化が実現できる。
表面層の厚みは、10μm以下が好ましく、1〜6μmがより好ましく、2〜4μmが特に好ましい。厚みが10μm以下であれば、弾性層のゴム弾性を損なうことなく、耐久性に優れた表面層とすることができる。
表面層の静摩擦係数は、二次転写性を考える上で、低いほうが良いが、クリーニング部材との接触時のトナーのすり抜けや、ブレード鳴きを防ぐ観点から、下限値も設けることが好ましい。このことから静摩擦係数は0.8以下、さらに0.1〜0.7、特に0.2〜0.5であることが好ましい。
また、表面層は、柔軟性を有していたほうがトナーを包み込む効果が期待できるため、中抜け防止など一次転写画像の転写効率を向上させる上で好ましい。具体的にはJIS K 7202準拠Rスケールにおけるロックウェル硬度で、100度以下、更に好ましくは80度以下、特に40〜80度が適当である。表面層が2〜4μm程度と薄い場合、通常は、静摩擦係数が、下地である弾性層の影響を受けて上昇してしまうが、本発明では、表面に金型から転写した凹凸があるため、静摩擦係数は前記数値範囲を確保できる。
表面層の面状態は金型から転写される。本発明の表面層は、周方向に平行な多数の微細溝を有するものであり、例えば、触針を用いて軸方向に走査したときの軸方向100μm当たり交差する溝(凹凸)の数は、5〜30個程度、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
表面層材料樹脂の種類、配合、硬度によって、前記静摩擦係数を得るための狙いの表面粗さは若干変わるが、研究の結果から、多層弾性ベルトの軸方向に走査したときの十点平均表面粗さ(Rz)は0.7〜2.5μm、好ましくは0.8〜2.4μm、より好ましくは1.0〜2.3μmである。軸方向に走査した十点平均表面粗さ(Rz)が2.5μmを越える場合は、粗さの谷の部分(凹部)の表面層厚みが、他の部分に比較し極端に薄くなっている可能性があり、ベルトのクリーニング性の初期性能や耐久性能の妨げとなるため好ましくない。軸方向に走査した十点平均表面粗さ(Rz)が0.7μm未満の場合、溝の大きさが小さくなりすぎるため、紙填料やトナー成分が付着する際ベルト表面溝に埋まることなく表面に一様に堆積するため、画像に悪影響を与える結果になってしまう。
軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さと、同じく周方向走査におけるベルト表面十点平均粗さの大きさの関係は、周方向の溝を構成するという観点から軸方向走査におけるほうが大きいことが望ましく、より望ましくは1.2倍以上、更に望ましくは1.3倍以上である。
なお、この場合の(Rz)も金型内面粗さの測定及び表記方法と同じく、JIS B 0601‐1994”表面粗さ‐定義及び表示“による、十点平均粗さRzを指す。
また、軸方向に走査とは、ベルトや円筒金型などの中心軸と平行に走査して測定することを意味している。同様に周方向に走査とは、円周方向に平行すなわち中心軸とは垂直に走査して測定することを意味している。
表面層の製膜方法としては、軸方向に走査したときの表面粗さ(Rz)0.7〜2.5μmを有する円筒状金型を用いて、フッ素樹脂表面層を回転成型する方法が典型例として挙げられる。当該方法について、以下に説明する。
まず、出来上がりの表面層の厚みが10μm以下で目的の厚みとなるように表面層を形成する材料の重量を調整する。秤量された表面層材料を溶媒に溶解して液状原料とし、円筒状金型の内面にキャストし回転成型して行う。用いる溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;或いはこれらの混合溶媒などが用いられる。該液状原料は、固形分濃度が2〜30重量%程度であればよい。このとき、重量計算の元となる表面層の狙い厚みは金型内面の粗さの最大(Rmax)よりも大きくなるようにすることが好ましい。但し、その厚みが金型内面最大粗さより小さくなる場合でも、溶液の表面張力によって全体に膜を形成することもできるため、その場合は逆転してもよい。
表面層の回転成型は、例えば、円筒状金型等を用い、次のようにして実施できる。停止している円筒状金型に、最終厚さを得るに相当する量の液状原料を注入した後、遠心力が働く速度にまで徐々に回転速度を上げて遠心力で内面全体に均一に流延する。
円筒状金型はその内面が所定の表面粗さに粗面化されており、この金型の内面状態が、無端多層弾性ベルトの表面層外面に転写される。従って、金型の内面の周方向の溝を円筒研削仕上げによって形成することにより、ベルト表面層に所望の溝と表面粗さを持たせるよう調節することができる。なお、使用する金型内面の粗度は、内面研削仕上げ加工時に使用するバフ等の研磨材番手により任意に制御できる。
更に、円筒状金型内面には離型剤を塗布してもよく、そうすることで、原料硬化後の膜がきれいに金型内面から離型できる。離型剤としては、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、セミパーマネント系離型剤が用いられる。
円筒状金型は回転ローラー上に載置し、該ローラーの回転により間接的に回転が行われる。また金型の大きさは、所望する表面層の大きさすなわち弾性ベルトの外径に応じて適宜選択できる。
加熱は、該金型の周囲に、例えば遠赤外線ヒータ等の熱源が配置され外側からの間接加熱により行われる。通常、室温から100〜200℃程度まで徐々に昇温し、昇温後の温度で15分〜2時間程度加熱保温すればよい。これにより、円筒状金型内面に注入された液状原料は硬化し、円筒状金型内面に継目のない(シームレス)管状の表面層が製膜できる。
III.弾性層の形成
本発明の多層弾性ベルトにおける弾性層は、弾性ゴム材料、具体的には液状ウレタンゴムの硬化物からなる。例えば、液状ウレタンゴム、及び必要に応じ、該液状ウレタンゴム中に、電子導電剤あるいはイオン導電剤等を含む弾性層材料を、上記IIで得られた表面層の内面に塗布、硬化させて製造される。
液状ウレタンゴムとしてはポリウレタンエラストマーが挙げられ、特にその硬化物のタイプ A硬さ(JIS K6253)が30〜80度、さらに40〜65度のものが好ましい。具体的には、DIC(株)製のパンデックスやウレハイパー、三井化学(株)製のタケネート等が例示される。
通常、これらのウレタンゴムの種類の中には、抵抗調整をせずとも、体積固有抵抗率が10Ω・cmから1011Ω・cm程度の極性を持ったものがあるが、ゴム本来のイオン導電性は、温湿度環境を振ったときの環境変動が大きい場合が多い。したがって、元来抵抗調整をしていない体積固有抵抗率が1013Ω・cm以上のウレタンゴムを選択することが望ましい。このウレタンゴムは、電気的特性の環境依存性が少ない導電剤、すなわちカーボンブラック、あるいはリチウムイオン塩にて抵抗調整される。
カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラックの如き導電性カーボンブラックであればよい。カーボンブラックの配合量は、液状ウレタンゴム100重量部に対し、5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは10〜25重量部である。
このように、カーボンブラックを絶縁性ウレタンゴムに添加することで、弾性層に体積抵抗率10〜1013Ω・cm程度(好ましくは、10〜1012Ω・cm程度)の半導電性が付与され、多種多様な抵抗値要求に対し、目的に合った的確な半導電性が得られる。また、得られるベルトは、カーボンブラックによる電子伝導性を有するため、温度、湿度等の外部環境にほとんど影響を受けない安定した半導電性を示すことになる。
また、リチウム塩を用いたイオン導電剤としては、例えば、リチウムビスイミド(CFSONLi、リチウムトリスメチド(CFSOCLiが挙げられる。具体例として、例えば、三光化学工業株式会社製サンコノール等が挙げられる。通常の四級アンモニウム塩などから成るイオン導電剤の種類では、その導電性は吸湿により発現すると考えられ、これがイオン導電の環境依存性の原因となる。しかし、リチウムイオンが酸素の分子運動によって移動することで、導電性を発現すると考えられているこのイオン導電剤は、環境依存性が小さくなり、転写ベルトの弾性層構成ゴムに対しても好適に用いられる。なお、転写ベルトが使用される転写プロセスの設計マージンが、環境依存性によるベルトの抵抗変動を吸収できる場合においては、四級アンモニウム塩などを含有する一般のイオン導電剤やイオン液体も使用できる。
イオン導電剤を添加する場合、その添加量は液状ウレタンゴム100重量部に対し、0.1〜3.0重量部程度である。
こうしていずれかの方法によって抵抗調整させた液状ウレタン材料は、金型の内側に製膜された表面層の内面に投入され、回転成型される。液状ウレタン材料の粘度が、回転成型をする際に高すぎた場合、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤やトルエン、キシレン等の溶剤で適宜希釈しても良い。回転成型の方法は、例えば前記IIの表面層の成型設備と同じものが用いられる。成型温度は室温から徐々に加熱し、ウレタンゴムの耐熱限界以下の温度である110〜150℃程度にまで上げられ、その状態で0.5〜3時間程度保持されて硬化を完了する。
表面層と弾性層の間に接着性を向上させる目的で、表面層側にプライマーをスプレー等で塗っておく方法や液状ウレタン材料中にシランカップリング剤を添加する方法、その両方を行う方法などを取っても良い。
弾性層の体積抵抗率は、ベルトとしてトナーを電気的な制御によって受け渡しを行なう点から、通常10〜1013Ω・cm程度、好ましくは10〜1012Ω・cm程度である。
弾性層の厚さは、ベルト表面の柔軟性と、使用時の画像ズレ防止を考慮して、通常、100〜400μm、好ましくは150〜300μmである。
IV.基材層の形成
本発明の多層弾性ベルトにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため機械物性が要求される。
基材層の樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド等の高強度樹脂材料が例示される。
ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。
ポリイミドのテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4′−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して、通常、30〜120μm、好ましくは50〜100μmである。
基材層には、必要に応じて導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、上記弾性層で挙げたカーボンブラック等を用いることができる。導電剤を含む場合、その使用量は通常、基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度であればよい。これにより基材層に、中間転写ベルトに適した抵抗率を持たせることができる。
基材層の樹脂としてポリイミドを用いる場合、例えば、次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、固形分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ。)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が使用される。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。特に、NMPが好ましい。
基材層に所望の半導電性を付与するために、前述のとおり、必要に応じ、基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度、カーボンブラック等の導電剤をポリアミック酸溶液に添加しても良い。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。これにより、ポリアミック酸、及び必要に応じ、導電剤を含む基材層用材料を得る。
得られた基材層用材料を、表面層・弾性層と同じように円筒状金型等を用いた回転成型を行う。但し、この場合の金型内面は、円筒研削による凹凸溝を必ずしも必要とせず、鏡面仕上げでも良い。加熱は、金型内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110℃〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/min程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のあるベルトを成型する。
次に第2段階加熱として、温度280〜400℃程度(好ましくは300〜380℃程度)で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにするのが良い。なお、第2段階加熱は、無端ベルトを円筒状金型の内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階を終わったら、金型から無端ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃に加熱してもよい。このイミド化の所要時間は、通常0.5〜3時間程度である。
基材層の樹脂としてポリアミドイミドを用いる場合も同様にして、ジアミン或いはジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを回転成型して、継目のない(シームレス)ポリアミドイミドの基材層を製膜できる。また、基材層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、基材層樹脂100重量部に対して5〜25重量部程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を添加しても良い。
これら回転成型を用いて製膜する基材層は、原料の縮み率や耐熱温度といった観点から、前述の表面層、弾性層の製膜に用いた円筒状金型とは内径寸法が異なる基材層製膜専用金型を用いることが好ましい。
回転成型によりこうして得られるポリイミドやポリアミドイミドのヤング率は、通常2500MPa以上である。
また、基材層の材料としてポリカーボネート、PVDF、ポリアミド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して押出成型することによりシームレスの基材層を製膜できる。基材層樹脂100重量部に対して、5〜25重量部程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を添加しても良い。
押出成型が可能な樹脂は上記のようなものがあるが、このとき、基材としての性能を保持するため、ヤング率1000MPa以上、好ましくは1500MPa以上の材料を選択することができる。
基材層の体積抵抗率は、ベルト基材として、トナーの受け渡しを電気的な制御によって行う点から、通常10〜1012.5Ω・cm程度、好ましくは10〜1012.5Ω・cm程度である。
上記のようにして、継目のない高い強度を有する基材層を得ることができる。
V.多層弾性ベルトの形成(3層化)
最後に、上記III及びIVにおいて回転成型にて別々に製膜した層同士、すなわち一体化されている表面層及び弾性層の二層から成る第1のベルトと、高強度樹脂材料から成る基材層である第2のベルトとを、該第1のベルトの内面(弾性層側の面)と該第2のベルトの外面とが接触するように重ね合わせる。両者の間には、必要に応じて接着剤やプライマーを塗布してもよい。両者の重ね合わせ後は、両者の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。その後、積層体を加熱処理することにより、弾性層の内面と基材層の外面とが接着された無端の3層の弾性ベルトを得る。
上記3層化工程の具体的例を挙げる。上記Iの粗面化加工処理された円筒金型内面で規制された状態で製膜された、表面層及び弾性層からなる2層膜の内面(弾性層側の面)に、プライマーを塗布して風乾する。上記IVにて別の専用円筒金型で製膜した基材層の外面にもラミネート接着剤を均一塗布して風乾した後、これを該弾性層内面に重ね合わせ、位置がずれないよう基材層内面に密着する内金型を挿入する。
その後100℃程度で20〜60分程度加熱処理し、接着剤の硬化と同時に層間接着が完了する。必要に応じ、脱型後の3層ベルトをさらに120℃程度で3〜5時間程度加熱処理することにより、アニール処理を施しても良い。こうして、本発明の多層弾性ベルトを得る。
ラミネート接着剤としては、三井化学(株)製タケラックA-969やDIC(株)製タイフォースNT-810が例示される。なお、上記のプライマーの使用は任意であるが、接着強度向上の点から使用するのが好ましい。プライマーとしては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製のDY39-067等が例示される。
以上のように製造された本発明の多層弾性ベルトは、例えば、画像形成装置に使用される中間転写ベルト、転写搬送ベルト、転写定着ベルト等の電子写真用ベルトとして好適に用いられる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本明細書に記載の下記の評価は、次のようにして行った。
<基材層固形分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAグラムとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をBグラムとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
基材層固形分濃度=B/A×100(%) (I)
<表面層及び弾性層固形分濃度>
原料を精秤し、この時の固形あるいは液状原料の重量をCグラムとする。電子天秤上で原料を溶剤に溶かすために、攪拌しながら溶剤を徐々に加え、最終的な溶液重量をDグラムとする。固形分濃度は、次式(II)となる。
弾性層固形分濃度=C/D×100(%) (II)
<厚み>
厚みは、接触式膜厚測定器のフラット型プローブを用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタUP・URブロ−ブ”を用いて23℃、55%RH環境下で測定した。幅方向に長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値の常用対数値で示した。なお該測定サンプルは23℃、55%RH環境下で12時間放置してから測定した。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面粗さ (Rz)>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601-1994に準拠して測定した。測定機は、東京精密(株)製のサーフコム480Aを用いた。測定条件は、CUTOFF 0.8、測定長2.5mm、T-SPEED 0.15mm/sで行った。同一ベルト内で異なる表面部位を6箇所測定し、その平均値を表面粗さとした。Rzは十点平均粗さを意味する。
<ゴム材料硬度>
JIS K6253に従い、デュロメーターAを用いて、弾性層を構成する材料で厚み6mmのバルク(塊)を作製して評価した。
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35ポイズ、固形分濃度は18.0重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)21gとN-メチル-2-ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、固形分濃度18.5重量%、該固形分中のCB濃度は20.6重量%であった。
そして該溶液から276gを採取し、基材成型用円筒状金型を用意し、次の条件で成形した。
基材成型用金型・・・内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの円筒状金型であり、該金型が2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。例えば、図2を参照。
加熱装置・・・該金型の外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該金型の内面温度が120℃に制御されるように設計した装置である。
まず、円筒状金型を回転した状態で276gの該溶液を金型内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/minで120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま金型を離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該金型内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ85μm、外周長944.7mm、表面抵抗率12.71(logΩ/□)、体積抵抗率10.49(LogΩ・cm)であった。
(2)金型の内面処理
本発明で表面層および弾性層の回転成型に使用する円筒状金型には、S45Cの円筒体から内径、外径を旋盤にて粗研削後、内径をホーニング及び仕上げ研削をして硬質クロムメッキを厚み20から25μmを施した。
その後、金型を30rpmの速度で回転させながら金型内面に純水を適量継続的に供給しつつ、#36番手の酸化クロム砥粒を含浸させた外径φ180のバフを回転数3000rpm、押し圧力0.6MPaの条件で一様に押し付けながら金型軸方向に3mm/secの速度で移動させて研削した。
こうして、最終内径301.0mm、幅540mmの内面に周方向粗し仕上げの円筒状金属金型が出来上がった。出来上がった金型内面を金型中心軸方向に走査して測定した表面粗さ(Rz)は、0.94μmであった。
(3)表面層の製膜
PVDF樹脂(KFポリマー#850、(株)クレハ製)30gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)270gとメチルエチルケトン(MEK)300gの混合溶媒に溶解させ固形分濃度5w%の溶液を作製した。
そして該溶液から58gを採取し、前記(2)の金型によって、次の条件で成形した。
成型装置・・・内径301.0mm、幅540mmの該金型が2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。例えば、図2を参照。
金型を回転した状態で金型内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/minで130℃まで昇温して、その温度で20分間その回転を維持しつつ加熱し、金型内面に表面層を形成した後金型を常温まで冷却した。金型内面に形成された表面層の厚みを測定したところ3μmであった。
(4)弾性層の製膜
トルエン1250gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP-1627、DIC(株)製)を1000g溶解させた溶液に酸性カーボン(pH3.5)250gを加え、ボールミルにて均一分散を行い、固形分濃度50重量%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度は20重量%のマスターバッチ溶液を作成した。このマスターバッチ200gに硬化剤CLH-1を2.4gとCLH-5を3.2g(硬化剤はいずれもDIC(株)製)添加し撹拌を行った。
この溶液を先に製膜した表面層内面に金型を回転した状態で均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は2℃/minで130℃まで昇温して、その温度で1時間その回転を維持しつつ加熱し、金型内面に弾性層を形成した。
予備試験としてこのウレタンゴムマスターバッチ溶液にて作成したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA(JIS K6253)にて60°であった。
(5)弾性層内面と基材層外面の貼り合わせ
上記(4)で製膜した弾性層内面にプライマーDY39−067(東レ・ダウコーニング(株)製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA-969)を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルト(基材層)を挿入し重ね合わせた。次に基材内面から圧着した状態で100℃雰囲気に保った熱風オーブンで30分間加熱を行い、貼り合わせを完了させた。貼り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトを採取した。
該多層ベルトは厚さ278μm、外周長945.0 mm、表面抵抗率12.55(logΩ/□)、体積抵抗率11.41(LogΩ・cm)であった。
実施例2
実施例1において(2)金型の内面粗しの砥粒番手のみ変更した。すなわち、バフに含浸させる酸化クロム砥粒番手を#36から#20へ変更した。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は、1.86μmであった。なお、上記以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
実施例3
実施例1において(2)金型の内面粗しの砥粒番手のみ変更した。すなわち、バフに含浸させる酸化クロム砥粒番手を#36から#100へ変更した。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は、0.53μmであった。なお、上記以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例1
実施例1(2)金型の内面粗しの砥粒番手と方法を変更した。すなわち、バフに含浸させる酸化クロム砥粒番手を#36から#180へ変更し粗仕上げし、次いで#600、#1000と順に細かい番手にて同様に精密仕上げを行い、鏡面性の高い金型内面に仕上げた。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は0.19μmであった。なお、該金型を使用した以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例2
実施例1において(2)金型の内面粗しの砥粒番手のみ変更した。すなわち、バフに含浸させる酸化クロム砥粒番手を#36から#120へ変更した。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は、0.44μmであった。なお、上記以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例3
実施例1において(2)金型の内面粗しの砥粒番手のみ変更した。すなわち、バフに含浸させる酸化クロム砥粒番手を#36から#150へ変更した。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は、0.32μmであった。なお、上記以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例4
実施例1において(2)金型の内面粗しをバフによる円筒研削からブラスト加工へ変更した。すなわち、金型を回転させながら金型内面に#220のシリコンカーバイドを一様に金型軸方向にガンノズルを移動させてショットブラストし、その後#1000のセラミックメディアを再度同様の方法でショットブラストした。出来上がった金型内面の表面粗さ(Rz)は、2.29μmであった。なお、上記以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
比較例5
比較例1で使用した鏡面仕上げの金型から、実施例1と同様に多層ベルトを作製したのち、該ベルトを二軸ローラで張ったまま10mm/secのスピードでゆっくり回転させながら、#320のラッピングフィルムシート(住友3M株式会社製A3-60 SHT)を手で押し付けてベルト表面を直接荒らして表面を仕上げて完成させた。
各試料多層ベルトの表面特性と転写ユニットに組み込んで画像及びクリーニング性を評価した結果を表1に示す。
<一次転写性>
一次転写性は、細線画像の中抜けを二次転写前の転写ベルト上にて観察し評価した。細線は約0.05mmの転写ベルト進行方向と平行なY、Mの二色によるベタ画像細線をレーザ顕微鏡にて300倍の倍率で観察し、細線長さ1mm内にいくつの中抜けが発生しているかを以下の基準で評価した。
○:中抜けが全くない。
△:中抜けが1〜4箇所。
×:中抜けが5箇所以上存在する。
<二次転写(紙の凹凸への追従)性>
凹凸の大きな紙として富士ゼロックスオフィスサプライ社の「レザック66」(表面凹凸差80μm、151g/m)を使用してY、M、C色のベタ画像を転写して二次転写効率を、転写前及び転写後の転写ベルト上のトナー重量を測定し下記式から求めた。
転写効率(%)=100×[(転写前トナー重量)−(転写後トナー重量)]/(転写前トナー重量)
○:二次転写効率95%以上
△:二次転写効率90%以上〜95%未満
×:二次転写効率90%未満
<クリーニング性>
クリーニング性では、クリーニング後にベルト上に残るトナー残量とクリーニングブレードの鳴きの有無、フィルミングの有無と発生場所及び画像への影響を評価した。
<残トナー量>
5000枚通紙を実施し、ベルト上に残るクリーニング残トナーの量を比較した。
○:クリーニング残トナー量が少ない
△:クリーニング残トナー量がやや多い
×:クリーニング残トナー量が多い
<ブレード鳴き>
3万枚の通紙を実施し、ブレード鳴きや破損(捲れ)を観察した。
○:3万枚の通紙までブレード鳴きなし
△:1万枚から3万枚未満の通紙でブレード鳴き発生
×:1万枚未満の通紙でブレード鳴き発生し、ブレード破損に至った
<フィルミング確認>
1万枚通紙を実施し、ベルト表面と画像への影響(画像汚れ)を観察した。
○:周方向に施した溝部にフィルミングが集中していて、それに起因する不具合と推測できる画像への影響がない。
△:周方向に施した溝部以外にもフィルミングが発生しているが、それに起因する不具合と推測できる画像への影響がない。
×:周方向に施した溝部以外にもフィルミングが発生し、明らかにそれに起因する不具合と推測できる画像汚れが生じている。
Figure 0005916323
実施例においては、画像中抜けがなく細線印字が鮮明な一次転写特性、トナーの離型性や紙媒体の凹凸への追従性などが良好な二次転写特性を持つことに加え、クリーニング後のベルト表面トナー残り、ブレードの鳴きや破損、フィルミングによる印刷画像の品質低下といった問題がなく、クリーニング性能は充分良好であった。
比較例1では、表面粗さが小さく、ベルトとクリーニングブレードの接触面積が大きいため、ブレード鳴きが耐久評価の早い段階で発生し、トナーや紙填成分のすり抜けもあり、フィルミングの発生が印刷画質低下を引き起こしたと推測できる。
比較例2、3では、表面粗さは比較例1よりは大きいが、周方向に構成される溝が浅く粗さが小さいため、フィルミングは成長しやすく、それにより印刷画質が低下したと推測できる。また、軸方向の粗さの大きさと周方向の粗さの大きさが極めて近いため、フィルミングは全方位に拡散しやすく、このことがフィルミング領域の成長を助長したと推測できる。
更に比較例4では、ベルト表面に構成された凹凸はランダムであり、周方向に平行に構成されていないために、フィルミングもランダムな場所に発生及び成長し、印刷画像低下に繋がったと推測できる。
比較例5では、ベルト表面を後加工で荒らしているが、研削材をトラバース(ベルト軸方向へ移動)しながら研削するために、微細溝が周方向に平行ではなく斜め方向に形成され、このことが一次転写性やクリーニング性に悪影響を及ぼしたと推測できる。
このように、本発明の多層弾性ベルトは、良好な膜厚精度と弾性層を含むことによる一次及び二次転写画像の優位性を有することに加え、ベルト表面に無数の微細溝が周方向に平行に存在するため、フィルミングの発生は溝の凹部に集中する。当該溝幅はトナー粒径よりも十分小さいため、個々のトナーがフィルミング部分に埋もれることがなく、フィルミングによるトナー印刷画像の品質低下やベルト表面のクリーニング性能の低下を抑制することができる。そのため中間転写ベルト等として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層から成る電子写真装置用多層弾性ベルトであって、該表面層が、周方向に平行に連なる微細溝を有し、該ベルト表面の軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さ(Rz)が1.09〜2.5μmであり、
    前記軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さが、周方向走査におけるベルト表面十点平均粗さの1.2倍以上である電子写真装置用多層弾性ベルト。
  2. 前記表面層の厚みが10μm以下である請求項に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  3. 前記表面層が、フッ素樹脂及び/又はフッ素ゴムを含む、請求項1又は2に記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  4. 前記ベルト表面の静摩擦係数が0.8以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  5. 前記弾性層がポリウレタンエラストマー材料を含む層である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  6. 前記基材層の材料がポリイミド又はポリアミドイミドである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  7. 前記ベルトが無端ベルトである請求項1〜のいずれかに記載の電子写真装置用多層弾性ベルト。
  8. 表面層、弾性層、及び基材層の少なくとも三層から成る電子写真装置用多層弾性ベルトの製造方法であって、
    電子写真装置用多層弾性ベルトは、表面層が、周方向に平行に連なる微細溝を有し、ベルト表面の軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さ(Rz)が1.09〜2.5μmであり、前記軸方向走査におけるベルト表面十点平均粗さが、周方向走査におけるベルト表面十点平均粗さの1.2倍以上であり、
    (1)番手#120よりも粗い研削材により、内面が回転方向に研削された表面を有する円筒形金型を用いて、回転成型により、周方向に平行に連なる微細溝を有する表面層を形成する工程、
    (2)該表面層の内面に、回転成型により、さらに弾性層を形成し、表面層及び弾性層の少なくとも二層から成る第1ベルトを製造する工程、
    (3)別の円筒形金型を用いて、回転成型により基材層から成る第2ベルトを製造する工程、
    (4)該第1ベルトの弾性層側と第2ベルトとを貼り合わせて電子写真装置用多層弾性ベルトを製造する工程
    を含むことを特徴とする製造方法。
  9. 工程(1)において用いられる円筒形金型が、金型表面に硬質クロムメッキを施された後、成型に使用する金型内面を番手#120よりも粗い研削材により回転方向に研削されたものである、請求項に記載の製造方法。
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