JP5473844B2 - 画像形成装置用ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるベルト(特に、中間転写ベルト)に関するものである。
画像形成装置によって得られる画像の高画質化を目的として、ゴム弾性樹脂等によって形成されるゴム弾性層を有する2層又は3層構成の中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
このようなゴム弾性層を有する中間転写ベルトは柔軟性に優れることから、中間転写ベルトと接する感光体等との転写領域が安定的に形成できると共に、感光体等との間でトナーに加えられる応力が軽減される。従って、ゴム弾性層を有する中間転写ベルトを採用することによって、画像の中抜け防止、細線印字の鮮明度向上等を達成できる。 また、こういった高画質対応の中間転写ベルトは、ベルトの厚み方向にゴム弾性を付与する一方、転写ベルトに必要なトナー離型性も重要な要素として要求される。すなわち、中間転写ベルト表面から紙等の媒体へトナーを移し替えるうえで、トナーに対する離型性が必要となる。従って、トナーに対して粘着性をもつゴム弾性層が中間転写ベルトの表面に露出することは好ましくない。そのため、通常はゴム弾性層上に摩擦係数が低く、トナー離型性に優れた樹脂製の表面層を設ける(例えば、図1を参照)。このような表面層は、高画質の画像を得るためにできるだけ薄くすることが有効であることが知られており、表面層が薄い中間転写ベルトが種々検討されている。
しかしながら、画像形成装置用の中間転写ベルトは、紙やクリーニングブレード、ロール等のベルト表面に接触する摺動部材等から外力を受けるため、表面層が薄膜である場合、磨耗によるゴム弾性層の露出という問題点があった。また、このような問題点を解消するために、ゴム弾性層の硬度を上昇させた場合、画質低下を引き起こすだけでなく、表面層の磨耗が逆に増大してしまう問題があった。
このような問題点を解消するために、本発明者らは、基材層、ゴム弾性層及び表面層からなる画像形成装置用ベルトにおいて、ゴム弾性層に比表面積の大きなフィラーを適切な体積分率添加することで、表面層への応力集中を回避し、表面層のテーバー磨耗量が非常に少ないベルトを開発した。このような構成のベルトとすることで、表面層を薄くしても、クリーニングブレードや紙との磨耗により、ゴム弾性層が露出することがなく、高品質の画像を維持したまま、優れた耐久性を達成し得る。当該技術においては表面層への応力集中を回避するために、フィラーを添加するが、該フィラーの比表面積によっては、フィラーとゴム弾性層のマトリクス樹脂との界面に空隙が発生し、逆に表面層の磨耗量が増加してしまう場合があった。そのため、更に改善の余地があった。
特許第3248455号公報 特開2005−25052号公報
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、高品質の画像を維持したまま、外部摩擦等に対する優れた耐久性を有する画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)を提供することを主な目的とする。
上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明者は、樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、該ゴム弾性層中に比表面積10m2/g以上のフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.8mg以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が65〜82 IRHDである画像形成装置用ベルトが、上記の課題を解決できることを見出した。かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の画像形成装置用ベルトを提供する。
項1. 樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、該ゴム弾性層中に比表面積10m2/g以上のフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.8mg以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が65〜82 IRHDである画像形成装置用ベルト。
項2. 前記フィラーの比表面積が15〜150m2/gであり、前記表面層のテーバー磨耗量が0.5mg以下である項1に記載の画像形成装置用ベルト。
項3. 前記ゴム弾性層中のフィラーの含有量が体積分率で0.8〜5.0%である項1又は2記載の画像形成装置用ベルト。
項4. 前記ゴム弾性層の厚みが200〜450μmである項1、2又は3に記載の画像形成装置用ベルト。
項5. 前記フィラーの比重がゴム弾性層のマトリクス樹脂の比重の3倍以上である項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
項6. 前記表面層のヤング率が300〜2000MPaであり、その厚みが1〜5μmである項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
項7. 前記フィラーの体積平均粒子径(メジアン径 D50)が0.6〜10μmである項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
項8. 前記表面層が遠心成型によって製膜されてなる項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
項9. 遠心成型法における回転速度が、重力加速度の2倍以上の遠心加速度である項7記載の画像形成装置用ベルト。
本発明の画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)は、高品質の画像を維持したまま、外部摩擦等に対し優れた耐久性を有している。
中間転写ベルトの断面模式図である。 本発明において、製膜に用いた装置の模式図である。 本発明の画像形成装置用ベルトの断面模式図である。 実施例1で得られたベルト断面の電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例4で得られたベルト断面の電子顕微鏡(SEM)写真である。
A:表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域(図3)
B:表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域(図3)
C:表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域(図3)
以下、本発明について詳細に説明する。
1.画像形成装置用ベルト
本発明の画像形成装置用ベルトは、樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなり、該ゴム弾性層中に比表面積10m2/g以上のフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.8mg以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が65〜82 IRHDであることを特徴とする。
以下、各層毎に説明する。
(a)基材層
本発明の画像形成装置用ベルトにおける基材層は、駆動時にかかる応力でベルトの変形を回避するために、機械物性に優れた樹脂で構成される。基材層は、マトリックスの樹脂に導電剤が分散された層であり、樹脂及び導電剤を含む基材層形成用組成物によって形成される。 前記樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、これらの混合物等が例示される。
前記ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)等の溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とし、さらに、後述する導電剤をポリアミック酸溶液中に分散させて基材層形成用組成物とすることができる。
この際に用いる溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒を挙げることができ、これら1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でもNMPが好ましい。 テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
また、ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。また、縮重合の際に用いられる溶媒としては、ポリイミドの場合と同様のものを挙げることができる。 基材層中に分散される導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属又は合金;更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられ、これらの微粉末を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。基材層に配合される導電剤としては、導電性炭素系物質が好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。
導電剤の含有量は、通常、基材層中5〜30重量%程度(前記基材層形成用組成物の固形分のうち5〜30重量%程度)であればよい。これにより基材層に、画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)に適した導電性が付与される。
前記基材層形成用組成物の固形分濃度は、10〜40重量%であることが好ましい。
前記基材層形成用組成物の調製方法としては、特に限定されるものではないが、カーボンブラック等の導電剤が均一に分散された溶液組成物とすることができる点から、材料配合後ボールミル等を用いて混合することが好ましい。
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して、通常、30〜120μmであり、50〜100μmが好ましい。
(b)ゴム弾性層
本発明の画像形成装置用ベルトにおけるゴム弾性層は、主に、紙の凹凸への追従性向上と転写時のトナーへの応力集中によるライン中抜けを回避する目的で設けられる。ゴム弾性層は、ゴム又はエラストマー(以下、ゴム材料ということがある)を含むゴム弾性層形成用組成物によって形成される。ゴム弾性層は、マトリクスであるゴム材料中に比表面積10m2/g以上のフィラーを含有する層であり、該フィラーは該ゴム弾性層中の該表面層側(該表面層との界面付近に)に偏在している。ゴム弾性層は、単層又は2層以上を積層したものであってもよい。 ゴム弾性層を形成するゴム材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム等が例示される。これらの中でも好ましくは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、付加型液状シリコーンゴムが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製の、KE−106、KE1300等が例示される。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX−401161等が例示される。
ブチルゴムとしては、イソブチレン−イソプレン共重合体が挙げられる。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、又はそれを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体である。
ウレタンゴムは、ポリオールとジイソシアネートの重付加反応により得ることができる。原料であるポリオールとジイソシアネートの混合比は、ポリオールの活性水素1当量に対しジイソシアネートのNCO基が1〜1.2当量程度となるように混合すればよい。また、ポリオールとジイソシアネートの重合を進めたプレポリマーを用いることもでき、この場合、さらに硬化剤としてジイソシアネート又はポリオール、ジアミンをプレポリマーに添加しても良い。またポットライフを長くするためジイソシアネートプレポリマーのNCO末端をブロック剤でブロックしたブロック型のものを用いても良い。ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系ウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)などが挙げられ、具体的には、DIC(株)製のウレハイパーRUP1627(ブロック型ポリウレタン用プレポリマー)等を挙げることができる。 ゴム弾性層に用いるゴム材料のタイプA硬度(JIS K6253)は、70°以下であることが好ましく、30〜50°がより好ましい。ここで、タイプA硬度とはゴムの柔らかさを示す値である。タイプA硬度が70°を超える場合は、弾性層が硬すぎて凹凸のある紙を用いた場合に追従性が劣り、1次転写時にトナーが濃く乗っているところに応力が集中して中抜け現象を起こしやすくなる。一方、タイプA硬度が30°未満の場合は、柔らかすぎてベルト駆動時に発生する応力が表面層へ集中しやすくなり十分な耐久性が得られない傾向がある。
本発明の画像形成装置用ベルトのゴム弾性層には、比表面積10m2/g以上のフィラーを含有する。フィラーの比表面積が10m/g以上であることで、フィラーとゴム弾性層のマトリクス樹脂であるゴム材料とを完全接着又はそれと同程度に強固に接着させることができる。このマトリクス樹脂とフィラーの強固な接着により、クリーニングブレード等との摺擦で発生するせん断歪みをゴム弾性層内部まで分散させることができ、表面層への応力集中を抑制できる。そのため、ベルトの表面層の耐磨耗性も向上する。フィラーの比表面積が10m/g未満の場合は、該フィラーとマトリクス樹脂であるゴム材料との界面に空隙が発生しやすく、フィラーがゴム材料を十分に補強できず、耐磨耗性を逆に悪化させてしまう傾向がある。これは、空隙の発生によりクリーニングブレード等の摺擦で発生するせん断ひずみを、空隙により逆に増大させているためと考えられる。また、空隙が発生している場合、耐久テスト後、空隙が更に増大し、画像欠陥として現れる場合もある。
更に、フィラーをシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤で適宜処理することにより、フィラーとマトリクス樹脂との接着を強化することで、表面層の耐磨耗性を更に向上させることもできる。
ゴム弾性層におけるフィラーの含有量は、体積分率で0.8〜5.0%が好ましく、1.0〜4.5%がより好ましい。フィラーの添加量が少なすぎると補強の効果が小さく、多すぎるとゴム硬度が上昇しライン中抜け等の欠陥を抑制できなくなる。またゴム硬度上昇を抑制するため、より少ないフィラー含有量で表面層の補強を行うには、フィラーが表面層側に傾斜していることが好ましい。換言すれば、ゴム弾性層における表面層側のフィラー濃度が、ゴム弾性層の厚み方向中央部のフィラー濃度よりも高くなっている。具体的には表面との界面付近のフィラー濃度がゴム弾性層の厚み方向中央部の濃度の1.3倍以上であるのが良い。
該フィラーの偏在については、ゴム弾性層中の表面層側におけるフィラーの質量濃度とそれ以外の場所でのフィラーの質量濃度の比により表すことができる。具体的には以下の通りである。
表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域(図3中のA)に含まれるフィラーの質量濃度M、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域(図3中のB)に含まれるフィラーの質量濃度M、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域(図3中のC)に含まれるフィラーの質量濃度Mとする。
表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの質量濃度Mと、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度Mの濃度の比(M/M)が、1.3以上が好ましく、1.5〜30であることがより好ましい。
表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの質量濃度Mと、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度Mの比(M/M)が、1.2以上であることが好ましく、1.4〜25であることがより好ましい。
前記質量濃度比(M/M、M/M)が大きければ大きいほど、フィラーがゴム弾性層中の表面層側に偏在していることを示すものである。M/Mが1.3以上、M/Mが1.2以上であると、ゴム弾性層の表面層と接する領域だけのゴム硬度が高いため、表面層への応力集中を回避し、高品質の画像を維持したまま、優れた耐久性を有する中間転写ベルトとすることができるため好ましい。M>M>Mとなるのが好ましい。
フィラーの濃度の比が、前記範囲内にあることで、フィラーがゴム弾性層中の表面層側に偏在していることを示す。このようにフィラーを偏在させることで、ゴム層全体の硬度が高くならず、表面層との接触部位だけが硬度が上がり、表面層への応力集中が防止できるため好ましい。
ここで、フィラーの質量濃度は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)(加速電圧:20kV、照射時間:5分間)により、フィラーを構成する主要な元素の質量濃度を測定することにより行うものである。例えば、フィラーがホウ酸アルミニウムである場合はアルミニウム濃度を、フィラーが酸化ジルコニウムの場合はジルコニウム濃度を測定する。
また、EDXによる測定は、20μm×20μmの領域について測定をするため、各それぞれの領域について、任意の20μm×20μmの領域を3回測定(例えば、図3の太線で囲った部分を測定)し、平均値をその領域のフィラー濃度とした。
フィラーを偏在させる方法としては、特に限定はされないが、後述の遠心成型などにより強制的に表面層側に偏在させて製膜する方法等を挙げることができる。
フィラー粉体の体積平均粒子径(メジアン径 D50)は、通常0.6〜10μmであり、0.8〜8μmが好ましく、1.0〜5.0μmが特に好ましい。粒子径が大きすぎる場合は、ベルト表面に微小な硬度分布が生じ、画像にノイズが現れるため好ましくない。また粒子径が小さすぎる場合は、遠心力によりフィラーを表面層側に傾斜させる場合、傾斜が起こりにくく好ましくない。
フィラーの形状は特に限定はされない。例えば、針状、粒子状、球状、板状、繊維状等を挙げることができる。そのうち粒子状又は球状が好ましい。
フィラーをゴム弾性層の表面層側に集中的に傾斜させるためにはフィラーの比重がマトリクス樹脂の比重の3倍以上あることが好ましく、3〜8倍であることがより好ましい。フィラーの比重としては、通常2〜10g/cm、好ましくは3〜7g/cmである。
配合されるフィラーとしては、酸化ジルコニウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、ジルコニウム系複合酸化物(例えば、(CaO)X(ZrO2)1-X、(CeO2)X(ZrO2)1-X、(Y2O)X(ZrO2)1-X等が挙げられ、ここでxは0〜1の値、特に0を超えて1未満の値を示す。)などが挙げられる。これらの中でも、ストラクチャーが発達し比表面積が大きい酸化ジルコニウム、ジルコニウム系複合酸化物、硫酸バリウムが好ましい。フィラーは1種でも又は2種以上を組み合わせてもよい。また、粒子径、比重等の異なるフィラーを2種以上組み合わせてもよい。
また、前記弾性層形成用組成物には、必要に応じて硬化剤を添加することができる。例えば、シリコーンゴムの場合、硬化剤としてハイドロジェンオルガノポリシロキサン等が挙げられ、ウレタンゴムの場合、硬化剤としてジイソシアネート又はポリオール、ジアミンを用いることができる。これらの硬化剤は、ゴム弾性層材料中に配合して用いればよい。
硬化剤を添加する場合、その添加量はゴム主剤と硬化剤の反応性官能基数を1:1とするため、同一当量を混合すればよいが、ジイソシアネートなど反応性の高い物質の場合、環境中の水分等と反応して不活性になることなどを考慮し、1〜1.2倍当量とすることが好ましい。
前記弾性層形成用組成物の固形分濃度は、製造方法によって適宜設定することができるが、通常、フィラーを含めて35〜70重量%程度が好ましい。
前記弾性層形成用組成物の調製方法としては、特に限定されるものではないが、材料配合後ボールミル等を用いて混合することが好ましい。 ゴム弾性層の厚みは、200〜450μmであり、200〜400μmであることが好ましく、220〜320μmであることがより好ましい。ゴム弾性層の厚みが前記範囲内にあることで、感光体と転写ベルトとの接触圧を低く保つことができ、感光体上のトナーが凝集し、ライン状画像中央が転写しない「ライン中抜け」現象を防ぐことができると同時に、転写ベルトの膜厚が厚すぎる場合に発生しやすい、色ずれを防止できるため好ましい。
(c)表面層
本発明の画像形成装置用ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、トナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが求められる。表面層は、樹脂が有機溶媒又は水中に溶解又は分散された表面層材料によって形成される。
表面層に用いる樹脂としては、ポリビニリデンフロライド、ビニリデンフロライドとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。これらの中でも、摩擦係数、耐磨耗性の観点から特にフッ素系樹脂が好ましく、電気特性の観点から、ポリビニリデンフロライド、ビニリデンフロライドとヘキサフルオロプロピレンの共重合体が特に好ましい。
また、表面層には層状粘土鉱物を添加してもよく、層状粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
また、これら層状粘土鉱物は、天然物でも合成品でもよい。例えば、合成モンモリロナイトとして、クニミネ工業(株)製のクニピアF等;合成ヘクトライトとして、ラポート社のラポナイトXLG、ラポナイトRD、コープケミカル(株)製のルーセンタイトSTN等;合成サポナイトとして、クニミネ工業(株)製のスメクトンSA等が挙げられ、これらは商業的に入手することが可能である。
上記層状粘土鉱物を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
層状粘土鉱物の配合割合は、表面層の総重量に対して、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。このような割合で層状粘土鉱物を配合することによって、転写ベルトの表面層を薄膜化してもピンホールの発生が少なく優れた転写性能と耐久性を実現することができる。
ここで、優れたラフ紙転写性能とは、ボンド紙等の凹凸の激しい紙を用いてマゼンタ単色のベタ印刷を行って、最深部(凹部)のトナーの乗りを目視で判断した場合に、白抜け等がなく、ムラなく転写されていることを指す。
表面層の成形は、前記樹脂と任意で添加する層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られる表面層材料を、円筒状金型等の内面に塗布乾燥することによって行うことができる。
前記樹脂が溶解又は膨潤される有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒と他の有機溶媒との混合有機溶媒が使用される。
非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらの中から1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;或いはこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明においては、有機溶媒中に樹脂と層状粘土鉱物を溶解、膨潤させて得られた溶液を、48〜72時間程度静置した後、目視にて沈降が認められないものを表面層材料として用いることが望ましい。
表面層の表面粗さ(Rz)は、0.25〜1.5μmが好ましく、0.4〜1.3μmがより好ましく、0.5〜1.2μmがさらに好ましい。表面粗さが0.25μm未満の場合は、ロール等の摺動する部材と張り付いてしまいやすくなるため駆動時のトルクオーバーの原因となってしまい、1.5μmを超える場合は、トナーの固着(フィルミング)の原因や中抜け等の画像欠陥となるため好ましくない。なお、本発明において、表面層の表面粗さは、基材層、弾性層、表面層からなる本発明の画像形成装置用ベルトの表面層において測定した表面粗さを示すものである。
本発明において表面層の厚みは、0.5〜6μmであり、1〜4μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。表面層の厚みが前記範囲を超えると弾性層のゴム弾性を損なうことになるため好ましくない。また、表面層の厚みが前記範囲を下回ると、穴があきやすい等の耐久性に問題が生じる。
表面層のヤング率は300〜2,000MPaが好ましく、500〜1,200MPaがより好ましい。ヤング率が2,000MPa以下になることで、トナーへの応力集中によるライン中抜けを防止することができ、ヤング率が300MPa以上になることで、表面層の摩擦係数上昇を防ぎ、二次転写効率の悪化を防止できるため好ましい。
表面層の体積抵抗率は、通常1×1012Ω・cm以上が好ましく、1×1012〜1×1015Ω・cmがより好ましく、1×1012〜1×1014Ω・cmがさらに好ましい。なお、本発明において、表面層の体積抵抗率、ヤング率は、表面層形成用組成物を用いて、厚さ10μmの表面層単独膜を作製し、該膜について測定した体積抵抗率、ヤング率を示すものである。
画像形成装置用ベルトの諸物性値
本発明の画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)は、以下の諸物性値を有する。
画像形成装置用ベルトのIRHD硬度は、65〜82 IRHDであることが好ましく、70〜82 IRHDであることがより好ましい。前記範囲内にあることで、「ラフ紙転写性」に優れる画像形成装置用ベルトとすることができる。IRHD硬度の測定は、JIS K6253に準じて測定することができる。
本発明の画像形成装置用ベルトトは表面精度が高く、表面層における表面粗さは十点平均粗さ(Rz:JIS B0601−1994)にて0.25〜1.5μm程度が好ましく、0.4〜1.3μm程度がより好ましく、0.5〜1.2μm程度がさらに好ましい。
本発明の画像形成装置用ベルトの表面の静摩擦係数は、0.1〜0.8が好ましく、0.1〜0.6程度がより好ましく、0.1〜0.4がさらに好ましい。また、本発明の画像形成装置用ベルトの表面抵抗率は1×1010〜1×1015Ω/□程度、体積抵抗率は1×10〜1×1014Ω・cm程度であることが好ましく、弾性層及び/又は基材層に添加する導電剤の添加量に応じてこの範囲で可変である。
本発明の画像形成装置用ベルトの平均総厚みは、通常、300〜550μm程度、好ましくは300〜450μm程度である。各層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して適宜設定され得るが、各層の厚みの割合は、通常、基材層を1とした場合、弾性層2〜5程度、好ましくは2〜4程度;表面層0.005〜0.05程度である。後述するような3層化工程を採用することによって、ベルトの厚みのばらつきは小さくなり、均質なベルトが製造できる。
2.画像形成装置用ベルトの製造方法
以上のような構成を有する画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)の製造方法については、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
本発明の画像形成装置用ベルトは、以下の工程を含む製造方法によって得ることができる。
(1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)樹脂を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた溶液を、表面粗さ(Rz)0.25〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜6μmの表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、フィラーを含むゴム弾性層材料(弾性層形成用組成物)を、遠心成型によって厚みが200〜400μmのゴム弾性層を製膜して2層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜のゴム弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
あるいは、上記(1)及び(2)により表面層及び基材層をそれぞれ製膜した後、(3’)表面層の内面に基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することによっても製造することができる。
以下、各工程について説明する。なお、本発明の製造方法において使用する原料やその含有量等は、前述の通りである。
工程(1)(基材層の形成)
基材層は次のようにして製膜することができる。
まず、基材層の典型材料であるポリイミドを用いる場合について説明する。
前述のように、ポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとをNMP等の溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とし、基材層に所望の半導電性を付与するために、カーボンブラック等の導電剤を上記ポリアミック酸溶液に添加し、カーボンブラックが分散されたポリアミック酸(基材層形成用組成物)を調製する。
得られた基材層形成用組成物を用い、回転ドラム(円筒状金型)等による遠心成型を行う。加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のある管状ベルトを成形する。 また、第1加熱段階における回転ドラムの回転速度は重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度であることが好ましい。一般に、重力加速度(g)は9.8(m/s)である。
遠心加速度(G)は下記式(I)から導かれる。
G(m/s)=r・ω=r・(2・π・n) (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
次に、第2段階加熱として、温度280〜400℃程度、好ましくは300〜380℃程度で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにすることが望ましい。なお、第2段階加熱は、管状ベルトを回転ドラムの内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階終了後に、回転ドラムから管状ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃になるように加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常約20分〜3時間程度である。
基材層の材料としてポリアミドイミドを用いる場合も同様にして、ジアミン或いはジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを遠心成型して、継目のない(シームレス)ポリアミドイミドの基材層を製膜できる。
また、基材層の材料としてポリカーボネート、PVdF、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して押出成型することによりシームレスの基材層を製膜できる。
このようにして、継目のない基材層を製膜できる。
工程(2)(表面層の形成)
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。
前記表面層形成用組成物を表面粗さ(Rz)0.25〜1.5μmを有する円筒状金型を用いて遠心成型を行う。この場合、得られる表面層の厚みが0.5〜6μm程度となるように調製する。
表面層の遠心成型は、例えば、重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度に回転した回転ドラム(円筒状金型)内面に最終厚さを得るに相当する量の表面層形成用組成物を注入した後、徐々に回転速度をあげ重力加速度の2〜20倍の遠心加速度に回転を上げて遠心力で内面全体に均一に流延する。
回転ドラムは、その内面が所定の表面精度に研磨されており、この回転ドラムの表面状態が、本発明の画像形成装置用ベルトの表面層外面にほぼ転写される。従って、回転ドラムの内面の表面粗さを制御することにより、表面層の表面粗さを所望の範囲に調節することができる。回転ドラムの内面の平均表面粗さ(Rz)を、0.25〜1.5μmの範囲で設定すると、ほぼそれに対応した表面粗さ(Rz)0.25〜1.5μmを有する表面層を形成できる。但し、画像形成装置用ベルトの表面層の表面粗さは、ベルトの微妙なタワミやウネリを測定上拾ってしまうため、回転ドラムの内面の平均表面粗さ(Rz)に比してやや高めの値になる傾向がある。そのため、ベルト表面層の所望の表面粗さに対して、やや小さめの内面の平均表面粗さ(Rz)を有する回転ドラムを採用することもできる。なお、使用する金型内面の粗度は、内面仕上げ時に使用する研磨紙の番手等により任意に制御できる。
回転ドラムは回転ローラー上に載置し、該ローラーの回転により間接的に回転が行われる。また該ドラムの大きさは、所望する画像形成装置用ベルトの大きさに応じて適宜選択できる。
加熱は、該ドラムの周囲に、例えば遠赤外線ヒータ等の熱源が配置され外側からの間接加熱により行われる。加熱温度は樹脂の種類に応じて変化し得るが、通常、室温から樹脂の融点前後の温度、例えば、樹脂の融点Tmとした場合に、(Tm±40)℃程度、好ましくは(Tm−40)℃〜Tm℃程度まで徐々に昇温し、昇温後の温度で10〜60分程度加熱すればよい。これにより、ドラム内面に継目のない(シームレス)管状の表面層が製膜できる。
工程(3)(2層化)
上記工程(2)で得られた表面層の内面に、弾性層材料を遠心成型して得られる弾性層を製膜して2層膜とする。
前述の弾性層形成用組成物を、表面層が形成された回転ドラム(円筒状金型)の表面層の内面上に均一に塗布して遠心成型を行い、その後、回転ドラムを重力加速度の2倍以上(好ましくは2〜20倍)の遠心加速度で回転させながら加熱処理を行う。回転ドラムの回転速度を重力加速度の2倍以上の遠心加速度とすることで、原料溶液に対し常に重力加速度以上の遠心力がかかるため、樹脂より比重の重いフィラーが表面層側に偏析しやすくなるため好ましい。
加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し90〜180℃程度、好ましくは90〜150℃程度に到達せしめる。昇温速度は、例えば、1〜3℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、ドラム内に表面層、その上に弾性層を有する2層膜を成形する。
ゴム弾性層を2層以上にする場合は、先に製膜したゴム弾性層内面に、更に弾性層材料を遠心成型し、同様に加熱硬化させ、必要に応じこれを繰り返す。特に、強い遠心力がかけにくい径の大きなベルトの製膜や、遠心成型以外の方法を用いる成膜の場合は、表面層側にフィラー濃度の高いゴム弾性層を製膜し、その内面に更にフィラー濃度の低いゴム弾性層を製膜するのが好ましい。
工程(4)(3層化)
上記工程(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜(表面層と弾性層)の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する。
具体的には、回転ドラム内に製膜した2層膜の弾性層内面に公知の接着用プライマー等を塗布、風乾した後、外面にドライラミ接着剤等を塗布した基材層を挿入し、重ね合わせる。重ね合わせた両層をベルト内面から圧着した後、円筒状金型内面を徐々に昇温し40〜120℃程度、好ましくは50〜90℃程度に到達せしめる。
昇温速度は、例えば、1〜10℃/分程度であればよい。上記の温度で2〜30分維持し、円筒状金型内に表面層、弾性層及び基材層を有する3層ベルトを成形する。
張り合わせた3層ベルトを円筒状金型から剥離し、両端部を所望の幅にカットして3層の画像形成装置用ベルトを製造する。
また、上記製造方法において、上記工程(3)及び(4)に代えて、表面層の内面に基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することによって、弾性層の製膜と3層化を同時に行うことによっても製造することができる(工程(3’))。
工程(3’)(弾性層の製膜と3層化)
上記工程(1)及び(2)に従って別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入する。このとき、弾性層の均一化のため、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行うことが好ましい。得られた積層体を加熱処理することにより、画像形成装置用ベルトを得ることができる。なお、両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。
例えば、ゴム弾性樹脂としてシリコーンゴムを用いる場合、インジェクションにて得られた積層体を、110〜220℃程度に熱処理することにより、弾性層材料が加硫(架橋・硬化)するとともに、表面層と基材層が同時に強固に接着される。
また、ゴム弾性樹脂がウレタンゴムの場合、製膜直前に両液を混合して使用することが好ましい。
上記3層化工程の具体例を挙げる。
ドラム内面に製膜された表面層の内面に、公知の接着用プライマー等を均一塗布して風乾する。製膜した基材層外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせ、減圧状態でこの管状ベルト両端部に内側からOリングを押し当てて、重ね合わせた表面層及び基材層間を密閉状態とする。次に、この両層の隙間に、前述の弾性層形成用組成物をインジェクション法にて注入し、基材層内面側から金属ロールを用いて、弾性層形成用組成物を周方向に均一になるように流延する。
或いは、他の実施態様として以下のような方法も挙げられる。
ドラム内面に製膜された表面層の内面に、公知の接着用プライマーを均一塗布する。製膜した基材層外面にもプライマーを塗布した後、これを円柱状の芯体外面に被せる。この芯体を、内面に表面層が製膜されているドラム内面に挿入し、芯体とドラムを同心軸上に固定する。次に、ドラムの片側から、両層の隙間にペースト状の弾性層形成用組成物をインジェクション法にて注入する。なお、該ドラムは長手方向左右を一対の治具で挟まれて固定したものであり、一方の治具には弾性層材料の入口が設けられ、他方の治具にはその出口が設けられている。
3層化した後の加熱処理は、110〜220℃まで徐々に加熱して(例えば、昇温速度1〜3℃/分程度)、その温度で0.5〜4時間処理する。これにより、ベルトの架橋・硬化が完了する。加熱終了後、ドラムを冷却し、3層化された管状ベルトをドラム内面から剥離して、本発明の画像形成装置用ベルトを得ることができる。
なお、上記の接着用プライマーの使用は任意であるが、接着強度向上の点から使用するのが好ましい。接着用プライマーとしては、例えば、東レダウコーニング製プライマーDY39−067等が例示される。
以上のような方法により得られる本発明の画像形成装置用ベルトは、高品質の画像を維持したまま、耐久性にも優れることから、複写機(カラー複写機を含む)、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に使用され得る。また、本発明の画像形成装置用ベルトは、良好なハーフトーン画像を形成することができるものである。
以下、実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下の諸物性値についての測定方法を示す。
<表面粗さ(Rz)>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601−1994に準拠して測定した。測定機は、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9700を用い、観察条件は対物レンズ20倍×接眼レンズ50倍の1000倍で行った。観察で得られたベルト表面の画像を用い、線粗さを以下の測定条件で測定した。
傾き補正:面傾き補正(自動)
カットオフ:なし
測定長:0.25mm。
同一ベルト内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<ヤング率>
ヤング率はJIS K7127に準拠し、(株)島津製作所製 オートグラフAG−Xを用いて測定した。
サンプル片25×250mmの短冊状
引張速度20mm/分
<ライン中抜け>
ライン中抜け(一次転写効率)は、用紙走行方向に並行なライン画像のみの画像にて転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し下記の転写効率の式から求めた。
転写効率(%)=100×[(転写前トナー重量)−(転写後トナー重量)]/(転写前トナー重量)
ライン中抜けは次の基準で評価した。
ライン中抜け(一次転写効率):
「○」:90%より高い
「△」:85〜90%
「×」:85%未満
<テーバー磨耗量>
テーバー磨耗量は、JIS K-7204に従って評価した。テーバー磨耗試験機の磨耗輪はCS−17、荷重250gにて300回行った(サンプル数=各5)。テーバー磨耗量の値が小さいほど、中間転写ベルトの耐久性(耐摩耗性)が高いことが示される。
<ブレードクリーニング、通紙後の表層の剥離、磨耗によるゴム弾性層の露出>
クリーニングブレードを転写ベルトに当接し、複写機の二次転写ロール外面にコピー用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態とし、A4用紙100万枚相当の駆動試験を行った後、転写ベルト表面層の剥離の有無、磨耗によるゴム弾性層の露出を目視で確認した。
駆動速度:ベルト外周速度300mm/秒
通電:電源(Trek 610C)によりベルト厚み方向に50μAの定電流を供給
通紙:二次転写ロール外面にコピー用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態を作製
クリーニング機構:ウレタンゴム製クリーニングブレード(ゴム硬度 タイプA 80°)
ゴム弾性層の露出は次の基準で評価した。
「○」:ゴム弾性層の露出は全くない
「△」:ゴム弾性層の露出が少しある
「×」:ゴム弾性層の露出がかなりある
<ゴム硬度(タイプA硬度)>
JIS K6253に従い、デュロメーターAを用いて、弾性層を構成する材料で厚み10mmのバルク(塊)を作成して評価した。
<IRHDゴム硬度>
JIS K6253に従い、IRHDマイクロ硬度計(型番:H12型、ウォーレス社製)を用いて、ベルトの表面層側からゴム硬度を測定した。
<電子顕微鏡断面観察>
ベルト断面をミクロトームでスライスし、蒸着厚みが5nmになるよう金蒸着を施して、観察用サンプルを作製した。観察用サンプルについて、電子顕微鏡(日立製作所製SEM: S−4800)による断面観察を行った。
<フィラー偏在確認>
ベルト断面をミクロトームでスライスし、蒸着厚みが5nmになるよう金蒸着を施して、観察用サンプルを作製した。観察用サンプルについて、電子顕微鏡(日立製作所製SEM: S−4800)による断面観察を行った。
また、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの質量濃度M、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度M、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度Mを、EDX(堀場製作所製エネルギー分散型X線分析装置 EMAX モデル7593H、加速電圧:20kV、照射時間:5分間)により測定し、それぞれの濃度比(M/M、M/M)を求めた。
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は19,000、粘度は43ポイズ、固形分濃度は18.1重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボンブラック(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、固形分濃度18.5重量%、該固形分中のCB濃度は20.4重量%であった。
そして該溶液から273gを採取し、回転ドラム内に注入し、次の条件で成形した。
回転ドラム:内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
加熱温度:該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で273gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/分で120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ79.5μm、外周長944.2mm、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率1×10〜3×10Ω・cmであった。
(2)表面層の製膜
ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2801、アルケマ製:HFP11モル%)100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させ、固形分濃度10重量%の溶液Aを調製した。
有機変性モンモリロナイト(ルーセンタイトSEN、コープケミカル(株)製)100gを、ジメチルアセトアミド900gに加え、ボールミルにて均一分散を行って固形分濃度10重量%の溶液Bを調製した。
溶液Aと溶液BをA:B=99:1で調合しペイントシェイカーで混合し、固形分濃度10重量%、該固形分中の有機変性モンモリロナイト濃度1重量%の溶液を得た。これをDMAc:酢酸ブチル=1:2の混合溶媒で希釈し、固形分濃度1.6重量%、該固形分中有機変性モンモリロナイト濃度1重量%(表面層の総重量に対するモンモリロナイトの配合割合に相当する)の溶液(以下、表面層材料ということもある)を調製した。この溶液112gを次の条件で製膜した。
回転ドラム:内径301.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.5μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/分で130℃まで昇温して、その温度で20分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した後ドラムを常温まで冷却した。ドラム内面に形成された表面層の厚みを渦電流式厚み計(ケット化学研究所社製)にて測定したところ2μmであった。
なお、上述の表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cm、ヤング率は610MPa、表面層の表面粗さ(Rz)は、0.6μmであった。
(3)弾性層の製膜
キシレン165.6gに真比重1.1g/cmのブロック型ウレタン用プレポリマー(ウレハイパーRUP1627、DIC(株)製)169.6gを溶解させた溶液に、フィラーとして比表面積112m/g、無定形粒子状の酸化ジルコニウム(RC−100酸化ジルコニウム、真比重5.8g/cm、平均粒子径D50=3.6μm、第一稀元素化学工業(株)製)19.8gを加え、ボールミルにて均一分散を行った。更に、この分散液に脂肪族ジアミン系の硬化剤CLH−5を13.28g(大日本インキ(株)製)添加し撹拌を行った。
このようにして得られた溶液の固形分濃度は55重量%、該固形分中の酸化ジルコニウムは、9.7重量%、体積分率で2.0%であった。この分散液を、先に製膜した表面層内面に回転した状態で均一に塗布し加熱を開始した。加熱は1℃/分で150℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面にゴム弾性層を形成した。
この加熱段階における回転ドラムの回転速度は重力加速度の5.0倍の遠心加速度であった。一般に、重力加速度(g)は9.8(m/s)である。
遠心加速度(G)は下記式(I)から導かれる。
G(m/s)=r・ω=r・(2・π・n) (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
得られたゴム弾性層の厚みは301.3μmであった。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液に、フィラーを加えなかった以外は同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ40°であった。
(4)ゴム弾性層内面とポリイミド外面の張り合わせ
上記(3)で製膜したゴム弾性層内面にプライマーDY39−067(東レダウコーニング製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルトを挿入し重ね合わせた。基材層内面から圧着し、加熱(80〜100℃)を行い、張り合わせを完了させた。張り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトとテーバー磨耗試験用サンプル片、電子顕微鏡観察用サンプル片を採取した。
該多層ベルトは厚さ380.6μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度76.0 IRHD、テーバー磨耗量0.25mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた(図4)。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=2.1、M/M=3.5だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
また、100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
実施例2
ゴム層に配合する酸化ジルコニウムの量を5重量%、体積分率1.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ378.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.39、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度74.8 IRHD、テーバー磨耗量0.3mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=4.8、M/M=5.1だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例3
ゴム層に配合する酸化ジルコニウムの量を14重量%、体積分率3.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ385.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率2×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度79.1 IRHD、テーバー磨耗量0.19mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=1.7、M/M=2.2だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例4
ゴム層に配合する酸化ジルコニウムの量を19.9重量%、体積分率4.50%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ389.4μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.24、表面抵抗率2×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度81.5 IRHD、テーバー磨耗量0.22mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=1.2、M/M=1.3だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例5
ゴム層の厚みを400μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ476.0μm、外周長945.2mm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率9×1010〜2×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度67.4 IRHD、テーバー磨耗量0.33mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=1.4、M/M=1.7だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例6
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積26.3m/g、平均アスペクト比1.9、真比重5.8g/cm、無定形粒子状の酸化ジルコニウム(EP酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=1.1μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、その量を9.7重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ380.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.49、表面抵抗率1×1011〜2×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度75.3 IRHD、テーバー磨耗量0.28mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=3.8、M/M=5.1だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例7
ゴム層の厚みを220μmとし、ゴム層に配合するフィラーを、比表面積31.5m/g、平均アスペクト比2.0、真比重5.8g/cm、無定形粒子状のジルコニウム系複合酸化物(CSZ-15、平均粒子径D50=2.8μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、その量を5.0重量%、体積分率1.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ379.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.31、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度81.0 IRHD、テーバー磨耗量0.31mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=6.0、M/M=7.1だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
実施例8
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積19.6m/g、平均アスペクト比1.9、真比重5.8g/cm、無定形粒子状のジルコニウム系複合酸化物(CEZ-12、平均粒子径D50=1.0μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、その量を9.7重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ380.0μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.39、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率7×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度78.5 IRHD、テーバー磨耗量0.42mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=2.3、M/M=3.8だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例1
ゴム層にフィラーを配合しなかった以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ379.1μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.62、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.6μm、IRHD硬度73.5 IRHD、テーバー磨耗量0.52mgであった。
比較例2
硬化剤としてCLH−5を6.64g(DIC(株)製)、4,4−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)を4.91g(DIC(株)製)を用いた以外は、比較例1と同様に多層ベルトを作製した。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液を同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ55°であった。
得られた多層ベルトは厚さ379.5μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.52、表面抵抗率3×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度82.4 IRHD、テーバー磨耗量0.87mgであった。
比較例3
硬化剤としてCLH−5を2.66g(DIC(株)製)、4,4−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)を7.86g(DIC(株)製)を用いた以外は、比較例1と同様に多層ベルトを作製した。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液を同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ71°であった。
得られた多層ベルトは厚さ379.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.37、表面抵抗率4×1011〜7×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度88.0 IRHD、テーバー磨耗量1.43mgであった。
比較例4
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積4.5m/g、平均アスペクト比2.0、真比重5.8g/cm、無定形粒子状の酸化ジルコニウム(TMZ酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=1.3μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、その量を9.7重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ380.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.46、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度76.4 IRHD、テーバー磨耗量1.23mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された(図5)。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=4.7、M/M=5.5だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例5
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積6.3m/g、平均アスペクト比2.1、真比重5.8g/cm、無定形粒子状の酸化ジルコニウム(SPZ 酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=3.0μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、その量を9.7重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ380.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.31、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、IRHD硬度75.8 IRHD、テーバー磨耗量0.85mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=18.7、M/M=21.5だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例6
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積7.4m/g、平均アスペクト比1.1、真比重2.2g/cm、真球状のシリカ(SP30、平均粒子径D50=2.6μm、(株)マイクロン製)とし、その量を3.9重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ380.6μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.29、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率7×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、IRHD硬度76.3 IRHD、テーバー磨耗量1.14mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=3.9、M/M=4.3だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例7
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積2.7m/g、平均アスペクト比1.1、真比重2.2g/cm、真球状のシリカ(S−O、平均粒子径D50=3.7μm、(株)マイクロン製)とし、その量を3.9重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ381.1μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.29、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率7×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は1.2μm、IRHD硬度75.9 IRHD、テーバー磨耗量1.35mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=6.0、M/M=12.5だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例8
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積7.9m/g、平均アスペクト比21.6、真比重3.0g/cm、針状のホウ酸アルミニウム(アルボレックス、平均粒子径D50=20.0μm、四国化成(株)製)とし、その量を5.3重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ381.1μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は1.1μm、IRHD硬度78.7 IRHD、テーバー磨耗量1.26mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=30.2、M/M=41.7だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例9
ゴム層に配合するフィラーを、比表面積7.9m/g、平均アスペクト比10.0、真比重4.5g/cm、板状の硫酸バリウム(板状硫酸バリウムHF、平均粒子径D50=7.0μm、堺化学工業(株)製)とし、その量を7.7重量%、体積分率2.00%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ381.7μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.38、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.9μm、IRHD硬度80.1 IRHD、テーバー磨耗量1.47mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に多くの州が生じていることが確認された。
更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=33.3、M/M=40.6だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例10
ゴム層の厚みを180μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ262.7μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.30、表面抵抗率1×1011〜2×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度84.5 IRHD、テーバー磨耗量0.29mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=3.3、M/M=17.5だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例11
ゴム層の厚みを500μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ573.3μm、外周長945.4mm、静摩擦係数0.35、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率1×1011〜3×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度63.2 IRHD、テーバー磨耗量0.35mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=1.2、M/M=1.3だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
比較例12
ゴム層に配合する酸化ジルコニウムの量を30.0重量%、体積分率7.50%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは厚さ389.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.23、表面抵抗率2×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率9×1010〜2×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μm、IRHD硬度84.2 IRHD、テーバー磨耗量0.30mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察をしたところ、フィラーと樹脂界面に州は殆どなく、ほぼ完全接着であることが確認できた。更にEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M/M、M/M)を測定したところ、M/M=1.0、M/M=1.1だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部とほぼ同じ濃度になっていることが確認された。
Figure 0005473844

Claims (8)

  1. 樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、
    該ゴム弾性層中に比表面積10m2/g以上で体積平均粒子径(メジアン径 D50)が0.6〜10μmであるフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.8mg以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が65〜82 IRHDである画像形成装置用ベルト。
  2. 前記フィラーの比表面積が15〜150m2/gであり、前記表面層のテーバー磨耗量が0.5mg以下である請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
  3. 前記ゴム弾性層中のフィラーの含有量が体積分率で0.8〜5.0%である請求項1又は2記載の画像形成装置用ベルト。
  4. 前記ゴム弾性層の厚みが200〜450μmである請求項1、2又は3に記載の画像形成装置用ベルト。
  5. 前記フィラーの比重がゴム弾性層のマトリクス樹脂の比重の3倍以上である請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
  6. 前記表面層のヤング率が300〜2000MPaであり、その厚みが1〜5μmである請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
  7. 前記表面層が遠心成型によって製膜されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
  8. 遠心成型法における回転速度が、重力加速度の2倍以上の遠心加速度である請求項7記載の画像形成装置用ベルト。
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