JP5622364B2 - 画像形成装置用中間転写ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置の中間転写ベルト及びその製造方法に関するものである。
画像形成装置によって得られる画像の高画質化を目的として、ゴム弾性樹脂等によって形成されるゴム弾性層を有する2層又は3層構成の中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなゴム弾性層を有する中間転写ベルトは柔軟性に優れることから、中間転写ベルトと接する感光体等との転写領域が安定的に形成できると共に、感光体等との間でトナーに加えられる応力が軽減される。従って、ゴム弾性層を有する中間転写ベルトを採用することによって、画像の中抜け防止、細線印字の鮮明度向上等を達成できる。また、表面が粗い用紙(ラフ紙)を使用した場合、紙の凹凸への追従性が向上することから、画像低下を防止できることが知られている。
また、こういった高画質対応の中間転写ベルトは、ベルトの厚み方向にゴム弾性を付与する一方、転写ベルトに必要なトナー離型性も重要な要素として要求される。すなわち、中間転写ベルト表面から紙等の媒体へトナーを移し替えるうえで、トナーに対する離型性が必要となる。従って、トナーに対して粘着性をもつゴム弾性層が中間転写ベルトの表面に露出することは好ましくない。そのため、通常はゴム弾性層上に摩擦係数が低く、トナー離型性に優れた樹脂製の表面層を設ける(例えば、図1参照)。
また、さらに高画質の画像を得るためには、樹脂製の表面層をできるだけ薄くすることが有効である。一方、表面層を薄くすると表面層の磨耗が激しく、耐久性の低下が著しい。すなわち、薄層化された表面層は、使用に伴って紙やトナーとの摩擦によってピンホール(中間転写ベルト表面にゴム弾性層がむき出しになっている部分)等を生じ、フィルミング現象(トナーが転写ベルトに固着する現象であり転写不良の原因となる)を引き起こす等の問題があった。
このように、ゴム弾性層を有する多層構造の中間転写ベルトにおいて、表面層を薄膜化し、優れたラフ紙転写性能と耐摩耗性(耐久性)の両方を実現することは非常に困難であった。従って、耐摩耗性に優れ、表面層を薄膜化しても長期に亘って高画質を維持できる中間転写ベルトが求められていた。
特許第3248455号公報
本発明は、優れたラフ紙転写性と耐摩耗性を有し、薄膜化してもピンホール等の欠陥を生じにくい表面層形成することによってフィルミング現象等の問題のない画像形成装置用中間転写ベルト、ならびに該中間転写ベルトの製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、画像形成装置の中間転写ベルトの表面層に層状粘土鉱物を所定量添加すると、耐磨耗性が向上し、薄膜化してもピンホール発生が抑制され、それに伴うフィルミング現象をも抑制し得ることを見出した。また、中間転写ベルトの表面層を薄膜化することによって、紙の凹凸への追従性が更に向上することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。
本発明は、以下の画像形成装置用中間転写ベルト及びその製造方法を提供する。
項1.以下の少なくとも3層を含む画像形成装置用中間転写ベルト:
(a)樹脂製の基材層;
(b)ゴム弾性樹脂を含む弾性層、及び
(c)フッ素樹脂及び層状粘土鉱物を含む表面層であって、層状粘土鉱物の配合割合が0.1〜5重量%であり、該表面層の厚みが0.5〜4μmである。
項2.前記表面層のフッ素樹脂が、ポリビニリデンフロライド(PVdF)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体樹脂、又はこれらの混合物である上記項1に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項3.前記層状粘土鉱物が有機変性された層状粘土鉱物である上記項1又は2に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項4.前記粘土鉱物が合成モンモリロナイトである上記項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項5.前記ゴム弾性層のタイプA硬度が30〜80°であり、その厚みが100〜300μmである上記項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項6.前記表面層が、フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られる混合溶液を、塗布乾燥して得られる、上記項1〜5いずれかに記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項7.前記有機溶媒が、非プロトン性極性溶媒、又は非プロトン性有機溶媒と他の有機溶媒との混合有機溶媒である、上記項6に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項8.前記非プロトン性極性溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項7に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項9.前記表面層が遠心成型法によって製膜されてなる上記項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
項10.以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
(1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、弾性層材料を、遠心成型によって厚みが50μm以上の弾性層を製膜して2層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
項11.以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
(1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
(3’)上記(1)で製膜した基材層と上記(2)で製膜した表面層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入して、加熱処理する工程。
項12.以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
(1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
(3’)上記(1)で製膜した基材層と上記(2)で製膜した表面層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入した後、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行い、加熱処理する工程。
本発明の画像形成装置用中間転写ベルトは、表面層を薄膜化することによって、弾性層のゴム弾性を効果的に発現させて紙への追従性を向上させ、それによって優れた画質を実現することができる。さらに、従来、表面層を薄膜化すると、耐久性(特に耐磨耗性)が低いためにピンホールが生じやすく、フィルミング等の画質低下を引き起こすことが問題となっていた。これに対して、本発明の画像形成装置用中間転写ベルトは、表面層に所定量の層状粘土鉱物を配合することによって、薄膜化しても優れた耐久性を達成し得るものである。
従って、本発明の画像形成装置用中間転写ベルトは、優れた画質を長期に亘って提供することができ、耐久性にも優れることから、複写機(カラー複写機を含む)、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に使用され得る。
本発明の中間転写ベルトの断面模式図である。 実施例1(1)及び(2)における基材層及び表面層の製膜に用いた装置の模式図である。 実施例1で得られた中間転写ベルトの表面層のAFM写真(代表例)である。 比較例1で得られた中間転写ベルトのAFM写真(代表例)である。 表面層単膜のXRD分析を表すグラフである。図中STNは層状粘土鉱物(有機変性モンモリロナイト)を示す。
1.画像形成装置用中間転写ベルト
本発明の画像形成装置用中間転写ベルト(以下、本発明の中間転写ベルトということもある)は、(a)樹脂製の基材層、(b)ゴム弾性樹脂を含む弾性層及び(c)フッ素樹脂と層状粘土鉱物を含む表面層を有する少なくとも3層からなり(例えば、図1を参照)、該表面層の厚みが0.5〜4μmであって、0.1〜5重量%の層状粘土鉱物を含有することを特徴とする。以下にそれぞれの層について、詳述する。
(a)基材層
本発明の中間転写ベルトにおける基材層は、駆動時にかかる応力でベルトの変形を回避するために、機械物性に優れた材料で構成される。基材層は、樹脂に導電剤が分散された基材層材料によって形成される。
基材層の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、これらの混合物等が例示される。
例えば、ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このとき、導電剤をポリアミック酸溶液中に分散させて基材層を形成することによって、ポリイミド樹脂中に導電剤が分散された基材層とすることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4′−ジアミノビフェニル、ベンジ
ジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
また、ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。
基材層中に分散される導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属または合金;更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられ、これらの微粉末を1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の基材層に配合される導電剤としては、導電性炭素系物質が好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。
導電剤の含有量は、通常、基材層中5〜30重量%程度であればよい。これにより基材層に、中間転写ベルトに適した導電性が付与される。
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して、通常、30〜120μmであり、50〜100μmが好ましい。
(b)弾性層
本発明の中間転写ベルトにおける弾性層は、主に、紙の凹凸への追従性向上と転写時のトナーへの応力集中によるライン中抜けを回避する目的で設けられる。弾性層は、下記のゴム弾性樹脂(液状)中に導電剤が分散された弾性層材料によって形成される。
ゴム弾性樹脂としては、ゴム弾性をもつ樹脂であれば特に限定はないが、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム等が例示される。これらの中でも好ましくは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、付加型液状シリコーンゴムが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製の、KE−106、KE1300等が例示される。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX−401161等が例示される。
ブチルゴムとしては、イソブチレン−イソプレン共重合体が挙げられる。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、またはそれを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体である。
ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系ウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)等が挙げられる。
弾性層にも、上記(a)基材層において例示される導電剤が配合される。導電剤の含有量は、通常、弾性層中5〜30重量%程度であればよい。これにより弾性層に、中間転写ベルトに適した導電性が付与される。
また、弾性層には、必要に応じて硬化剤を添加することができる。例えば、シリコーンゴムの場合、硬化剤としてハイドロジェンオルガノポリシロキサン等が挙げられ、ウレタンゴムの場合、硬化剤としてジイソシアネートまたはポリオールを用いることができる。これらの硬化剤は、弾性層材料中に配合して用いればよい。
弾性層の厚さは、ニップ圧の応力集中防止を考慮して、通常、50μm以上であり、50〜300μmが好ましく、100〜300μmがより好ましく、150〜300μmがさらに好ましい。
弾性層のタイプA硬度(JIS K6253)は、80°以下であることが好ましく、30〜80°がより好ましく、40〜70°がさらに好ましい。ここで、タイプA硬度とはゴムの柔らかさを示す値である。タイプA硬度が80°を超える場合は、弾性層が硬すぎて凹凸のある紙を用いた場合に追従性が劣り、1次転写時にトナーが濃く乗っているところに応力が集中して中抜け現象を起こしやすくなる。一方、タイプA硬度が30°未満の場合は、柔らかすぎてベルト駆動時に発生する応力が表面層へ集中しやすくなり十分な耐久性が得られない傾向がある。
本発明の弾性層の好ましい態様として、タイプA硬度が30〜80°であって、厚みが100〜300μmの弾性層;タイプA硬度が40〜70°であって、厚みが150〜300μmの弾性層が例示される。
(c)表面層
本発明の中間転写ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、トナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが求められる。表面層は、フッ素樹脂と層状粘土鉱物が有機溶媒中に溶解又は膨潤された表面層材料によって形成される。すなわち、本発明において表面層材料は、有機溶媒にフッ素樹脂が溶解され、有機溶媒によって層状粘土鉱物が溶解又は膨潤されている。
表面層に用いるフッ素樹脂としては、比誘電率が5〜15のフッ素樹脂が好ましく、比誘電率が7〜12のフッ素樹脂がより好ましく、比誘電率が8〜12のフッ素樹脂がさらに好ましい。かかるフッ素樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)(比誘電率:8)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体(VdF−HFP共重合体)(比誘電率:8〜12)、又はこれらの混合物が挙げられる。なお、VdF−HFP共重合体を用いる場合、HFPの割合が1〜15モル%程度が好ましく、3〜12モル%程度がより好ましい。
フッ素樹脂の配合割合は、下記層状粘土鉱物の配合割合に基づいて適宜設定することができ、例えば、表面層の総重量に対して95〜99.9重量%程度が好ましく、95〜99.5重量%程度がより好ましく、97〜99重量%程度がさらに好ましい。また、表面層耐磨耗性の点から、フッ素樹脂の配合割合は、表面層の総重量に対して95〜99.9重量%程度が好ましく、97〜99.9重量%程度がより好ましく、99〜99.9重量%程度がさらに好ましい。
表面層は、上記のようなフッ素樹脂薄膜が好適に採用される。かかる表面層は、環境(温度、湿度等)の変化により導電性が左右されにくいため、安定したトナーの一次転写及び二次転写が可能となり、高画質化が実現できる。
本発明の表面層に配合される層状粘土鉱物とは、溶液中で表面電荷を持つ層状化合物であり、Si四面体やAl八面体等の多面体が平面上に連なったシート構造を層状に重ねた結晶構造を有する、層間にイオン吸着サイトを有する化合物である。層状粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、ハイドロタルサイト等が挙げられ、本発明においてはスメクタイト(特に有機変性した合成スメクタイト)を使用することが好ましい。スメクタイトの層間にはイオン吸着サイトが存在し、溶液中で種々の化合物を吸着する特徴を持つ。また、層間に水または有機溶媒が入り込むことにより、体積が十数倍に膨れあがる特徴(膨潤性)を有している。
層状粘土鉱物に分類される化合物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、マイカ等が挙げられ、本発明の表面層に用いられる層状粘土鉱物として好ましくはモンモリロナイトである。
また、これら層状粘土鉱物は、天然物でも合成品でもよい。例えば、合成モンモリロナイトとして、クニミネ工業(株)製のクニピアF等;合成ヘクトライトとして、ラポート社のラポナイトXLG、ラポナイトRD、コープケミカル(株)製のルーセンタイトSWN等;合成サポナイトとして、クニミネ工業(株)製のスメクトンSA等が挙げられ、これらは商業的に入手することが可能である。
例えば、モンモリロナイトは、厚さが約1nm、一片の長さが約100nmのシート状シリケート層が重なって構成され、層間の距離は約10Åである。このシリケート層間に水や有機溶媒が入り込むと、層間距離が50Å程度に膨潤するとされている。
本発明においては、上記層状粘土鉱物を有機変性させて用いることもできる。有機変性処理を行うことによって、水中でのみ膨潤する層状粘土鉱物が有機溶媒中においても膨潤して層間距離が広がる、有機溶媒に溶解したポリマー鎖が層状粘土鉱物の層間に入りやすくなり分散性が向上する等の効果が知られている。有機変性の処理としては、ジメチルステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩やアニオン系ポリマーによる層表面修飾による変性処理や、アルキルトリアルコキシシランによる端面修飾処理や、カルボキシビニルポリマーや極性有機溶剤を複合処理したものが挙げられる。アンモニウム塩以外に、フォスフォニウム塩やイミダゾリウム塩を用いることもできる。
このような有機変性された層状粘土鉱物は、有機変性モンモリロナイトとして(株)ホージュン製エスベン及びオルガナイト、Nanocor社製Nanomer、SouthernClay Product社製Cloisite等;有機変性ヘクトライトとして、コープケミカル(株)製ルーセンタイトSPN、ルーセンタイトSEN及びルーセンタイトSTN等;有機変性合成雲母として、コープケミカル(株)製ソマシフMPE等が挙げられ、これらは商業的に入手することが可能である。
上記層状粘土鉱物を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
層状粘土鉱物の配合割合は、表面層の総重量に対して、0.1〜5重量%であり、0.5〜5重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。このような割合で層状粘土鉱物を配合することによって、転写ベルトの表面層を薄膜化してもピンホールの発生が少なく優れたラフ紙転写性能と耐久性を実現することができる。また、表面層の耐磨耗性の点から、層状粘土鉱物の配合割合は、表面層の総重量に対して0.1〜5重量%であり、0.1〜3重量%が好ましく、0.1〜1重量%がより好ましい。
ここで、優れたラフ紙転写性能とは、ボンド紙等の凹凸の激しい紙を用いてマゼンタ単色のベタ印刷を行って、最深部(凹部)のトナーの乗りを目視で判断した場合に、白抜け等がなく、ムラなく転写されていることを指す。
表面層の成形は、前記フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られる表面層材料を、円筒状金型等の内面に塗布乾燥することによって行われる。
フッ素樹脂と層状粘土鉱物が溶解又は膨潤される有機溶媒としては、フッ素系樹脂を溶解することができ、且つ層状粘土鉱物を溶解、膨潤させることができるものであれば特に限定されないが、例えば、非プロトン性極性溶媒と他の有機溶媒との混合有機溶媒が使用される。
非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらの中から1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;或いはこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明においては、有機溶媒中にフッ素樹脂と層状粘土鉱物を溶解、膨潤させて得られた溶液を、48〜72時間程度静置した後、目視にて沈降が認められないものを表面層材料として用いることが望ましい。
表面層の表面粗さ(Rz)は、0.1〜1.5μmが好ましく、0.25〜1.2μmがより好ましく、0.4〜1μmがさらに好ましい。表面粗さが0.1μm未満の場合は、ロール等の摺動する部材と張り付いてしまいやすくなるため駆動時のトルクオーバーの原因となってしまい、1.5μmを超える場合は、トナーの固着(フィルミング)の原因や中抜け等の画像欠陥となるため好ましくない。なお、本発明において、表面層の表面粗さは、基材層、弾性層、表面層からなる本発明の中間転写ベルトの表面層において測定した表面粗さを示すものである。
本発明において表面層の厚みは、0.5〜4μmであり、0.5〜3μmが好ましく、1〜3μmがより好ましい。表面層の厚みが前記範囲を超えると弾性層のゴム弾性を損なうことになるため好ましくない。また、表面層の厚みが前記範囲を下回ると、表面層の静電容量は高くなるが穴があきやすい等の耐久性に問題が生じる。
表面層の静摩擦係数は、ブレード鳴きを防ぐ観点から0.1〜1が好ましく、0.2〜0.8がより好ましく、0.2〜0.6がさらに好ましい。なお、本発明において、表面層の静摩擦係数は、基材層、弾性層、表面層からなる本発明の中間転写ベルトの表面層において測定した静摩擦係数を示すものである。
表面層の体積抵抗率は、通常1×1012Ω・cm以上が好ましく、1×1012〜1×1015Ω・cmがより好ましく、1×1012〜1×1014Ω・cmがさらに好ましい。なお、本発明において、表面層の体積抵抗率は、フッ素樹脂と層状粘土鉱物を、有機溶媒中に溶解又は膨潤して得られた混合溶液(表面層材料)を用いて、厚さ10μmの表面層単独膜を作製し、該膜について測定した体積抵抗率を示すものである。
2.画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法
以上のような構成を有する画像形成装置用中間転写ベルトの各層の製造方法を、以下に詳述する。
本発明の画像形成装置用中間転写ベルトは、以下の工程を含む製造方法によって得ることができる。
(1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)フッ素樹脂と層状粘土鉱物を有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、弾性層材料を、遠心成型によって厚みが50μm以上の弾性層を製膜して2層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
或いは、上記(1)及び(2)により表面層及び基材層をそれぞれ製膜した後、(3’)表面層の内面に基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することによっても製造することができる。
以下、各工程について説明する。
工程(1)(基材層の形成)
基材層は次のようにして製膜することができる。
まず、基材層の典型材料であるポリイミドを用いる場合について説明する。
上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ。)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が使用される。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。これらの中でもNMPが好ましい。
基材層に所望の半導電性を付与するために、基材層中5〜30重量%程度(前記ポリアミック酸溶液の固形分濃度10〜40重量%のうち5〜30重量%)になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を上記ポリアミック酸溶液に添加する。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。
得られたカーボンブラックが分散されたポリアミック酸を用い、回転ドラム(円筒状金型)等による遠心成型を行う。加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のある管状ベルトを成形する。
また、第1加熱段階における回転ドラムの回転速度は重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度であることが好ましい。一般に、重力加速度(g)は9.8(m/s)である。
遠心加速度(G)は下記式(I)から導かれる。
G(m/s)=r・ω=r・(2・π・n) (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
次に、第2段階加熱として、温度280〜400℃程度、好ましくは300〜380℃程度で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにすることが望ましい。なお、第2段階加熱は、管状ベルトを回転ドラムの内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階終了後に、回転ドラムから管状ベルトを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃になるように加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常約20分〜3時間程度である。
基材層の材料としてポリアミドイミドを用いる場合も同様にして、ジアミン或いはジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを遠心成型して、継目のない(シームレス)ポリアミドイミドの基材層を製膜できる。
また、基材層の材料としてポリカーボネート、PVdF、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等を用いる場合は、これらの樹脂を溶融して押出成型することによりシームレスの基材層を製膜できる。
このようにして、継目のない基材層を製膜できる。
工程(2)(表面層の形成)
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。
フッ素樹脂と層状粘土鉱物を、有機溶媒中に溶解又は膨潤して得られた混合溶液(表面層材料)を表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmを有する円筒状金型を用いて遠心成型を行う。この場合、得られる表面層の厚みが0.5〜4μm程度となるように調整する。表面層材料に用いられるフッ素樹脂の固形分濃度が0.5〜10重量%程度であればよい。
表面層の遠心成型は、例えば、重力加速度の0.5〜10倍の遠心加速度に回転した回転ドラム(円筒状金型)内面に最終厚さを得るに相当する量の表面層材料を注入した後、徐々に回転速度あげ重力加速度の2〜20倍の遠心加速度に回転を上げて遠心力で内面全体に均一に流延する。
回転ドラムは、その内面が所定の表面精度に研磨されており、この回転ドラムの表面状態が、本発明の中間転写ベルトの表面層外面にほぼ転写される。従って、回転ドラムの内面の表面粗さを制御することにより、表面層の表面粗さを所望の範囲に調節することができる。回転ドラムの内面の平均表面粗さ(Rz)を、0.1〜1.5μmの範囲で設定すると、ほぼそれに対応した表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmを有する表面層を形成できる。但し、中間転写ベルトの表面層の表面粗さは、ベルトの微妙なタワミやウネリを測定上拾ってしまうため、回転ドラムの内面の平均表面粗さ(Rz)に比してやや高めの値になる傾向がある。そのため、ベルト表面層の所望の表面粗さに対して、やや小さめの内面の平均表面粗さ(Rz)を有する回転ドラムを採用することもできる。なお、使用する金型内面の粗度は、内面仕上げ時に使用する研磨紙の番手等により任意に制御できる。
回転ドラムは回転ローラー上に載置し、該ローラーの回転により間接的に回転が行われる。また該ドラムの大きさは、所望する中間転写ベルトの大きさに応じて適宜選択できる。
加熱は、該ドラムの周囲に、例えば遠赤外線ヒータ等の熱源が配置され外側からの間接加熱により行われる。加熱温度は樹脂の種類に応じて変化し得るが、通常、室温から樹脂の融点前後の温度、例えば、樹脂の融点Tmとした場合に、(Tm±40)℃程度、好ましくは(Tm−40)℃〜Tm℃程度まで徐々に昇温し、昇温後の温度で10〜60分程度加熱すればよい。これにより、ドラム内面に継目のない(シームレス)管状の表面層が製膜できる。
工程(3)(2層化)
上記工程(2)で得られた表面層の内面に、弾性層材料を遠心成型して得られる弾性層を製膜して2層膜とする。
ゴム弾性をもつゴム弾性樹脂(例えば、ウレタンエラストマー等)を溶媒に溶解させて液状とする。液状のゴム弾性樹脂には、導電性を付与するための導電剤と、必要に応じて硬化剤を添加する。この液状のゴム弾性樹脂の固形分濃度は、通常、導電剤や硬化剤を含めて20〜70重量%程度である。
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が用いられる。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。中でも、トルエン、キシレン、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが好ましい。
弾性層に所望の半導電性を付与するために、弾性層中5〜30重量%程度(前記液状の弾性樹脂中の固形分濃度20〜70重量%のうち、5〜30重量%)になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を液状の弾性樹脂に添加する。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。
カーボンブラックが分散された液状のゴム弾性樹脂(弾性層材料)を、表面層が形成された回転ドラム(円筒状金型)の表面層の内面上に均一に塗布して遠心成型を行い、その後、回転ドラムを回転させながら加熱処理を行う。加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し100〜180℃程度、好ましくは110〜160℃程度に到達せしめる。昇温速度は、例えば、1〜3℃/分程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、ドラム内に表面層、その上に弾性層を有する2層膜を成形する。
工程(4)(3層化)
上記工程(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜(表面層と弾性層)の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する。
具体的には、回転ドラム内に製膜した2層膜の弾性層内面に公知の接着用プライマー等を塗布、風乾した後、外面にドライラミ接着剤等を塗布した基材層を挿入し、重ね合わせる。重ね合わせた両層をベルト内面から圧着した後、円筒状金型内面を徐々に昇温し40〜120℃程度、好ましくは50〜90℃程度に到達せしめる。昇温速度は、例えば、1〜10℃/分程度であればよい。上記の温度で2〜30分維持し、円筒状金型内に表面層、弾性層及び基材層を有する3層ベルトを成形する。
張り合わせた3層ベルトを円筒状金型から剥離し、両端部を所望の幅にカットして3層の中間転写ベルトを製造する。
工程(3’)(弾性層の製膜と3層化)
表面層の内面と基材層の外面とが、弾性層を介して同時に接着された中間転写ベルトを得ることもできる。具体的な製造方法は以下のとおりである。
上記工程(3)及び(4)に代えて、上記工程(1)及び(2)に従って別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入する。このとき、弾性層の均一化のため、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行うことが好ましい。得られた積層体を加熱処理することにより、中間転写ベルトを得ることができる。なお、両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。
例えば、弾性樹脂がシリコーンゴムの場合、ビニル基含有オルガノポリシロキサンを主剤とし、架橋剤(硬化剤)としてハイドロジェンオルガノポリシロキサンを用いて得られる。これら主剤と架橋剤を、白金触媒下でヒドロシリル化反応により架橋(硬化)を起こさせることによってシリコーンゴムを得ることができる。架橋反応は通常2液型で行われ、一方に主剤と架橋剤、もう一方に主剤と触媒が配合されており、製膜直前に両液を混合して使用する。シリコーンゴムの架橋剤の量は、主剤に対して5〜20重量%程度であればよい。
シリコーンゴムの場合、インジェクションにて得られた積層体を、110〜220℃程度に熱処理することにより、弾性層材料が加硫(架橋・硬化)するとともに、表面層と基材層が同時に強固に接着される。
また、弾性樹脂がウレタンゴムの場合、ポリオールとジイソシアネートの重付加反応により作製される。上記(3’)工程のようにインジェクションで製膜する場合は、製膜直前に両液を混合して使用する。原料であるポリオールとジイソシアネートの混合比は、ポリオールの活性水素1当量に対しジイソシアネートのNCO基が1〜1.2当量程度となるように混合すればよい。或いは、ポリオールとジイソシアネートの重合を進めたプレポリマーを用いることもでき、この場合、さらに硬化剤としてジイソシアネートまたはポリオールをプレポリマーに添加しても良い。またポットライフを長くするためジイソシアネートプレポリマーのNCO末端をブロック剤でブロックしたものを用いても良い。
また、弾性層に所望の半導電性を付与するために、弾性層中5〜30重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を液状の弾性樹脂に添加することができる。
上記3層化工程の具体例を挙げる。
ドラム内面に製膜された表面層の内面に、公知の接着用プライマー等を均一塗布して風乾する。製膜した基材層外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせ、減圧状態でこの管状ベルト両端部に内側からOリングを押し当てて、重ね合わせた表面層及び基材層間を密閉状態とする。次に、この両層の隙間に、弾性層材料をインジェクション法にて注入し、基材層内面側から金属ロールを用いて、弾性層材料を周方向に均一になるように流延する。
或いは、他の実施態様として以下のような方法も挙げられる。
ドラム内面に製膜された表面層の内面に、公知の接着用プライマーを均一塗布する。製膜した基材層外面にもプライマーを塗布した後、これを円柱状の芯体外面に被せる。この芯体を、内面に表面層が製膜されているドラム内面に挿入し、芯体とドラムを同心軸上に固定する。次に、ドラムの片側から、両層の隙間にペースト状の弾性層材料をインジェクション法にて注入する。なお、該ドラムは長手方向左右を一対の治具で挟まれて固定したものであり、一方の治具には弾性層材料の入口が設けられ、他方の治具にはその出口が設けられている。
3層化した後の加熱処理は、110〜220℃まで徐々に加熱して(例えば、昇温速度1〜3℃/分程度)、その温度で0.5〜4時間処理する。これにより、ベルトの架橋・硬化が完了する。加熱終了後、ドラムを冷却し、3層化された管状ベルトをドラム内面から剥離して、本発明の中間転写ベルトを得る。
なお、上記の接着用プライマーの使用は任意であるが、接着強度向上の点から使用するのが好ましい。接着用プライマーとしては、例えば、東レダウコーニング製プライマーDY39−067等が例示される。
かくして得られる中間転写ベルトは表面精度が高く、表面層における表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて0.1〜1.5μm程度が好ましく、0.25〜1.2μm程度がより好ましく、0.4〜1μm程度がさらに好ましい。
中間転写ベルトの平均総厚みは、通常、150〜420μm程度、好ましくは200〜400μm程度である。各層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して上記1.欄の(a)〜(c)に記載される各層の厚みの範囲内から適宜設定され得るが、各層の厚みの割合は、通常、基材層を1とした場合、弾性層1.5〜5.0程度、好ましくは2〜4程度;表面層0.005〜0.05程度である。上記したような3層化工程を採用することによって、ベルトの厚みのばらつきは小さくなり、均質なベルトが製造できる。
本発明の中間転写ベルトの表面摩擦係数は、0.1〜1が好ましく、0.2〜0.8程度がより好ましい。また、本発明の中間転写ベルトの表面抵抗率は1×1010〜1×1015Ω/□程度、体積抵抗率は1×10〜1×1014Ω・cm程度であることが好ましく、弾性層及び/又は基材層に添加する導電剤の添加量に応じてこの範囲で可変である。
以上のような構成を有する中間転写ベルトは、優れた画質を長期に亘って提供することができ、耐久性にも優れることから、複写機(カラー複写機を含む)、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を採用する画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に使用され得る。
以下、試験例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施例に記載の評価は、次のようにして行った。
<基材層固形分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(II)にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
基材層固形分濃度(%)=B/A×100 (II)
<弾性層固形分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をA’gとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、60℃×12分、90℃×12分、120℃×30分、及び150℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(固形分重量)をB’gとする。同一試料について5個のサンプルのA’及びB’の値を測定し(n=5)、次式(III)にあてはめて固形分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、固形分濃度として採用した。
弾性層固形分濃度(%)=B’/A’×100 (III)
<厚み>
各層の厚みおよび総厚みは、(株)ミツヨト製デジマチックインジケータの平面型測定子を用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
また多層ベルトとした後の各層の厚みは、製品部幅にカットした後の両端部切れ端を周方向に等ピッチで8点、計16点採取し、これらをエポキシ樹脂にて包埋した後、ミクロトームを用いて作製した断面を電子顕微鏡にて観察し各層の厚みを測定した。各層界面の判別はフーリエ変換赤外分光分析法のATRイメージによるトータル吸光度イメージにより行った。
<表面粗さ>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601−1982に準拠して測定した。測定機は、東京精密(株)製のサーフコム575Aを用いた。測定条件は、CUT OFF:0.25、測定長:2.5mm、T−SPEED:0.06mm/sで行った。同一ベルト内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<一次及び二次転写効率>
一次転写効率は、転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し下記式から求めた。また、二次転写効率は、転写前及び転写後の転写ベルト上のトナー重量を測定し下記式から求めた。
Figure 0005622364
各転写効率は次の基準で評価した。
(一次転写効率)
○:97%より高い
△:95〜97%
×:95%未満
(二次転写効率)
○:97%より高い
△:95〜97%
×:95%未満
<ライン中抜け>
ライン中抜け(一次転写効率)は、ライン画像のみの画像にて転写前及び転写後の感光体上のトナー重量を測定し上記の転写効率の式から求めた。ライン中抜けは次の基準で評価した。
○:90%より高い
△:85〜90%
×:85%未満
<ラフ紙転写性>
凹凸が50μm程度のストラスモア社製 ストラスモアライティングレイドを用い、マゼンタでベタ印刷を行って、最深部(凹部)のトナーの乗りを目視で判断した。評価基準は以下の通りである。
◎:完全にムラなく転写できている
○:やや色が薄い
△:僅かに白抜けしている
×:トナーの乗りがなく白抜けしている
<フィルミング>
フィルミングは、1000枚プリント後の中間転写ベルトへのトナーの固着の程度を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
○:固着なし
△:僅かに固着が認められる
×:明らかに固着がある
<テーバー磨耗量>
テーバー磨耗量は、JIS K−7204に従って評価した。テーバー磨耗試験機の磨耗輪はCS−17、荷重250gにて100回行った(サンプル数=各5)。テーバー磨耗量の値が小さいほど、中間転写ベルトの耐久性(耐摩耗性)が高いことが示される。
<通紙耐久後の表面層の剥離>
複写機の二次転写ロール外面にコピー用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態とし、A4用紙10万枚相当の駆動試験を行った後、転写ベルト表面層の剥離の有無を目視で確認した。
<ゴム硬度>
JIS K6253に従い、デュロメーターAを用いて、弾性層を構成する材料で厚み10mmのバルク(塊)を作製して評価した。
<XRD分析>
装置:Rigaku製RINT2500VHF(Cu、200mA、45KV)を用いて、下記条件で測定した。
サンプリングステップ:0.02°
スキャン速度:1°/4.0s
<AFM観察>
装置は、(株)島津製作所製 SPM−9600を用い、測定モードはダイナミックモードAFMで観察を行った。
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は18,000、粘度は37ポイズ、固形分濃度は18.2重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボンブラック(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、固形分濃度18.7重量%、該固形分中のCB濃度は20.4重量%であった。
そして該溶液から273gを採取し、回転ドラム内に注入し、次の条件で成形した。
回転ドラム:内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
加熱温度:該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で273gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/分で120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ80μm外周長944.3mm、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率2×10〜4×10Ω・cmであった。
(2)表面層の製膜
PVdF樹脂(カイナー301F、体積抵抗率:2×1014Ω・cm、アルケマ製)100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させ、固形分濃度10重量%の溶液Aを調製した。
有機変性モンモリロナイト(ルーセンタイトSTN、コープケミカル(株)製:表1、2中STNと表記する)100gを、ジメチルアセトアミド900gに加え、ボールミルにて均一分散を行って固形分濃度10重量%の溶液Bを調製した。
溶液Aと溶液BをA:B=97:3で調合しペイントシェイカーで混合し、固形分濃度10重量%、該固形分中の有機変性モンモリロナイト濃度3重量%の溶液を得た。これをDMAc:酢酸ブチル=1:2の混合溶媒で希釈し、固形分濃度1重量%、該固形分中有機変性モンモリロナイト濃度3重量%(表面層の総重量に対するモンモリロナイトの配合割合に相当する)の溶液(以下、表面層材料ということもある)を調製した。この溶液87gを次の条件で製膜した。
回転ドラム:内径301.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.3μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/分で130℃まで昇温して、その温度で20分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した後ドラムを常温まで冷却した。ドラム内面に形成された表面層の厚みを渦電流式厚み計(ケット化学研究所社製)にて測定したところ1μmであった。
なお、上述の表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cmであった。
(3)弾性層の製膜
トルエン1300gにポリウレタンエラストマー(ウレハイパーRUP1627、大日本インキ(株)製)1000gを溶解させた溶液に、酸性カーボンブラック(pH3.5)300gを加え、ボールミルにて均一分散を行った。このようにして得られたマスターバッチ溶液の固形分濃度は50重量%、該固形分中のカーボンブラック(CB)濃度は23重量%であった。このマスターバッチ204gに硬化剤CLH−1を2.41gとCLH−5を3.26g(大日本インキ(株)製)添加し撹拌を行った。
硬化剤が添加されたマスターバッチ溶液を、先に製膜した表面層内面に回転した状態で均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/分で150℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面にゴム弾性層を形成した。ゴム弾性層の厚みは201μmであった。
予備試験としてこのマスターバッチ溶液にて作製したウレタンゴム単膜のゴム硬度を測定したところタイプA硬度(JIS K6253)は55°であった。
(4)ゴム弾性層内面とポリイミド外面の張り合わせ
上記(3)で製膜したゴム弾性層内面にプライマーDY39−067(東レダウコーニング製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルトを挿入し重ね合わせた。基材層内面から圧着し、加熱(80〜100℃)を行い、張り合わせを完了させた。張り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトを採取した。
該多層ベルトは厚さ282μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
実施例2
層状粘土鉱物の配合割合を1重量%とし、表面層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ284μm、静摩擦係数0.29、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例2で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は1×1013Ω・cmであった。
実施例3
層状粘土鉱物の配合割合を5重量%とし、表面層の厚みを0.5μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ281μm、静摩擦係数0.35、表面抵抗率1×1011〜2×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜5×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例3で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は1×1012Ω・cmであった。
実施例4
層状粘土鉱物の配合割合を3重量%とし、表面層の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ282μm、静摩擦係数0.28、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例4で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cmであった。
実施例5
表面層としてビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2851、アルケマ製:HFP 5モル%)100gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させた固形分濃度10重量%の溶液Cを作製した。この溶液Cと溶液BをC:B=99:1で調合し有機変性モンモリロナイト濃度1重量%の溶液を得た以外は実施例1の記載に従って表面層を形成した。ただし、本実施例において、表面層の厚さは、2μmとした。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.30、表面抵抗率3×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例5で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は1×1013Ω・cmであった。
実施例6
層状粘土鉱物の配合割合を3重量%とし、表面層の厚みを4μmとした以外は、実施例5と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ285μm、静摩擦係数0.28、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例6で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cmであった。
実施例7
有機変性モンモリロナイト(ルーセンタイトSEN、コープケミカル(株)製:表1、2中SENと表記する)100gを、ジメチルアセトアミド900gに加え、ボールミルにて均一分散を行って固形分濃度10重量%の溶液Dを調製した。この溶液Dと実施例5の溶液CをC:D=98:2で調合し有機変性モンモリロナイト濃度2重量%の溶液を得た以外は実施例1の記載に従って表面層を形成した。ただし、本実施例において、表面層の厚さは、2μmとした。
該多層ベルトは厚さ282μm、静摩擦係数0.32、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例7で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は7×1012Ω・cmであった。
実施例8
層状粘土鉱物の配合割合を0.2重量%とし、表面層の厚みを1μmとした以外は、実施例7と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.33、表面抵抗率4×1011〜8×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例8で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は7×1013Ω・cmであった。
実施例9
表面層としてビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2801、アルケマ製:HFP 11モル%)100gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させた固形分濃度10重量%の溶液Eを作製した。この溶液Eと実施例7の溶液DをE:D=99.9:0.1で調合し有機変性モンモリロナイト濃度0.1重量%の溶液を得た以外は実施例1の記載に従って表面層を形成した。ただし、本実施例において、表面層の厚さは、2μmとした。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.51、表面抵抗率6×1011〜1×1012Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例9で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は8×1013Ω・cmであった。
実施例10
層状粘土鉱物の配合割合を1重量%とし、表面層の厚みを4μmとした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ284μm、静摩擦係数0.40、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例10で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は8×1013Ω・cmであった。
実施例11
表面層としてビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2750、アルケマ製:HFP 15モル%)100gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させた固形分濃度10重量%の溶液Fを作製した。この溶液Fと実施例7の溶液DをF:D=99.5:0.5で調合し有機変性モンモリロナイト濃度0.5重量%の溶液を得た以外は実施例1の記載に従って表面層を形成した。ただし、本実施例において、表面層の厚さは、4μmとした。
該多層ベルトは厚さ285μm、静摩擦係数0.45、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例11で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
実施例12
層状粘土鉱物の配合割合を0.5重量%とした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ281μm、静摩擦係数0.48、表面抵抗率4×1011〜9×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例12で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
実施例13
層状粘土鉱物の配合割合を1重量%とした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.49、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例13で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は1×1013Ω・cmであった。
実施例14
層状粘土鉱物の配合割合を3重量%とした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ281μm、静摩擦係数0.49、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜5×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例14で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cmであった。
実施例15
層状粘土鉱物の配合割合を5重量%とした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ282μm、静摩擦係数0.50、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率1×1010〜2×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例15で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は1×1012Ω・cmであった。
実施例16
層状粘土鉱物の配合割合を0.5重量%とし、表面層の厚みを0.5μmとした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ280μm、静摩擦係数0.77、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜4×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例16で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
実施例17
表面層の厚みを1μmとした以外は、実施例16と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ280μm、静摩擦係数0.64、表面抵抗率4×1011〜8×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例17で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
実施例18
表面層の厚みを4μmとした以外は、実施例16と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ284μm、静摩擦係数0.44、表面抵抗率3×1011〜9×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、実施例18で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
比較例1
表面層に層状粘土鉱物を配合せずに、実施例1と同様の方法に従って多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ280μm、静摩擦係数0.31、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例1で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は2×1014Ω・cmであった。
比較例2
層状粘土鉱物の配合割合を10重量%とし、表面層の厚みを4μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ285μm、静摩擦係数0.27、表面抵抗率3×1011〜7×1011Ω/□、体積抵抗率6×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例2で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1011Ω・cmであった。
比較例3
表面層に層状粘土鉱物を配合せず、表面層の厚みを4μmとした以外は、実施例5と同様の方法に従って多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ286μm、静摩擦係数0.28、表面抵抗率6×1011〜1×1012Ω/□、体積抵抗率8×1010〜2×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例3で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は2×1014Ω・cmであった。
比較例4
層状粘土鉱物の配合割合を10重量%とし、表面層の厚みを2μmとした以外は、実施例5と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.29、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率1×1010〜4×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例4で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1011Ω・cmであった。
比較例5
表面層に層状粘土鉱物を配合せず、表面層の厚みを0.5μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ280μm、静摩擦係数0.48、表面抵抗率5×1011〜1×1012Ω/□、体積抵抗率7×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例5で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は2×1014Ω・cmであった。
比較例6
層状粘土鉱物の配合割合を3重量%とし、表面層の厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ286μm、静摩擦係数0.26、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例6で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1012Ω・cmであった。
比較例7
表面層に層状粘土鉱物を配合しなかった以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ281μm、静摩擦係数0.48、表面抵抗率4×1011〜9×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例7で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は2×1014Ω・cmであった。
比較例8
層状粘土鉱物の配合割合を10重量%とした以外は、実施例10と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ284μm、静摩擦係数0.43、表面抵抗率9×1010〜2×1011Ω/□、体積抵抗率1×1010〜2×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例8で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1011Ω・cmであった。
比較例9
層状粘土鉱物の配合割合を10重量%とした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ283μm、静摩擦係数0.47、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜4×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例9で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は4×1011Ω・cmであった。
比較例10
層状粘土鉱物の配合割合を0.5重量%とし、表面層の厚みを0.3μmとした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ279μm、静摩擦係数1.3以上、表面抵抗率2×1011〜7×1011Ω/□、体積抵抗率5×1010〜1×1011Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例10で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
比較例11
層状粘土鉱物の配合割合を0.5重量%とし、表面層の厚みを5μmとした以外は、実施例9と同様に多層ベルトを作製した。
該多層ベルトは厚さ287μm、静摩擦係数0.41、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率4×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.5μmであった。
なお、比較例11で作製した表面層材料を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗値は5×1013Ω・cmであった。
上記実施例及び比較例で得られた中間転写ベルトの評価結果を表1〜3に示す。
Figure 0005622364
Figure 0005622364
Figure 0005622364
表1〜3に表される結果より、層状粘土鉱物を含有しない比較例1は、層状粘土鉱物を含有する実施例1に比べてラフ紙転写性が低下することが示された。また、比較例1では、テーバー磨耗量が増加し、フィルミングや表面層の剥離が認められた。さらに、実施例3と比較例5、実施例6と比較例3、ならびに、実施例9と比較例7を比べても、それぞれラフ紙転写性の低下、テーバー磨耗量の増加、表面層の剥離が認められた。
比較例2、4、8、9のように、層状粘土鉱物を10重量%も含有する場合では、表面層が硬くなりすぎて、ラフ紙転写性能が低下する傾向があり、また、比較例2、4、8、9では、表面層の剥離も認められた。これは、層状粘土鉱物自体が離型性を持っているため、層状粘土鉱物を10重量%も含有する場合では後から製膜するゴム弾性層との接着力が低下するためと考えられる。
また、層状粘土鉱物の配合量が0.1〜5重量%の範囲内であっても、表面層の厚さが5μmである比較例6、11では、フィルミングや表面層の剥離は認められなかったものの、二次転写及びラフ紙転写性が低下していた。
実施例1で得られた中間転写ベルトの表面層のAFM写真(図3)と、比較例1で得られた中間転写ベルトの表面層のAFM写真(図4)からも、明らかなように、層状粘土鉱物の添加によって、表面層が微結晶化されたことが示されている。
また、層状粘土鉱物を0重量%、3重量%、5重量%、10重量%を含有する表面層単膜のXRD分析の結果より、層状粘土鉱物の添加に伴い2θ(degree)17°付近のピークが減少していることから(図5)、結晶型が一般的に用いられるPVdF樹脂がとるα型結晶からβ型結晶に変化したことが示されている。β型結晶は高圧力をかけながら延伸する等の厳しい条件下でしか得られない構造と一般的に言われている。本発明の限定的な解釈を望むものではないが、このような表面層の構造の変化により、本発明の中間転写ベルトの耐久性が向上したものと考えられる。
以上の結果は、層状粘土鉱物を表面層に所定量添加することによって、表面層の強伸度が向上し、耐磨耗性が向上したことを表す。一方、層状粘土鉱物が5重量%を超えて添加した場合には、表面層が脆くなる傾向にあり、耐磨耗性が低下することが示された。

Claims (9)

  1. 以下の少なくとも3層を含む画像形成装置用中間転写ベルト:
    (a)樹脂製の基材層;
    (b)ゴム弾性樹脂を含む弾性層;及び
    (c)フッ素樹脂及び有機変性モンモリロナイトからなる表面層であって、
    有機変性モンモリロナイトの配合割合が0.1〜重量%であり、該表面層の厚みが0.5〜4μmであり、該フッ素樹脂がポリビニリデンフロライド(PVdF)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体樹脂、又はこれらの混合物である。
  2. 前記ゴム弾性層のタイプA硬度が30〜80°であり、その厚みが100〜300μmである請求項1に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
  3. 前記表面層が、フッ素樹脂と有機変性モンモリロナイトを有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られる混合溶液を、塗布乾燥して得られる、請求項1又は2に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
  4. 前記有機溶媒が、非プロトン性極性溶媒、又は非プロトン性有機溶媒と他の有機溶媒との混合有機溶媒である、請求項に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
  5. 前記非プロトン性極性溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド及びN−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項に記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
  6. 前記表面層が遠心成型法によって製膜されてなる請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置用中間転写ベルト。
  7. 以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
    (1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
    (2)ポリビニリデンフロライド(PVdF)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体樹脂、又はこれらの混合物からなるフッ素樹脂と表面層の総重量に対して0.1〜重量%の有機変性モンモリロナイトとを有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
    (3)上記(2)で得られた表面層の内面に、ゴム弾性樹脂を含む弾性層材料を、遠心成型によって厚みが50μm以上の弾性層を製膜して2層膜とする工程、及び
    (4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
  8. 以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
    (1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
    (2)ポリビニリデンフロライド(PVdF)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体樹脂、又はこれらの混合物からなるフッ素樹脂と表面層の総重量に対して0.1〜重量%の有機変性モンモリロナイトとを有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
    (3’)上記(1)で製膜した基材層と上記(2)で製膜した表面層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間にゴム弾性樹脂を含む弾性層材料を注入して、加熱処理する工程。
  9. 以下の工程を含む画像形成装置用中間転写ベルトの製造方法:
    (1)樹脂を遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
    (2)ポリビニリデンフロライド(PVdF)、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体樹脂、又はこれらの混合物からなるフッ素樹脂と表面層の総重量に対して0.1〜重量%の有機変性モンモリロナイトとを有機溶媒中に溶解又は膨潤させて得られた混合溶液を、表面粗さ(Rz)0.1〜1.5μmの円筒状金型を用いて遠心成型を行い、厚みが0.5〜4μmの表面層を製膜する工程、
    (3’)上記(1)で製膜した基材層と上記(2)で製膜した表面層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間にゴム弾性樹脂を含む弾性層材料を注入した後、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行い、加熱処理する工程。
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