JP4903008B2 - 画像形成装置に用いられる半導電性管状フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
I.半導電性管状フィルム
本発明の半導電性管状フィルムは、液状シリコーンゴム100重量部及びポリエーテル変性シリコーンオイル0.5〜20重量部を配合して得られるシリコーンゴムからなり、該半導電性管状フィルムの体積抵抗率の平均値が106〜1014Ω・cmの範囲にあり、該半導電性管状フィルムの体積抵抗率のバラツキが一桁以内であることを特徴とする。
本発明の単層の半導電性管状フィルム、或いは本発明の多層の半導電性管状フィルムにおける弾性層は、液状シリコーンゴム100重量部に加えて、ポリエーテル変性シリコーンオイル0.5〜20重量部が配合されている。
本発明の多層の半導電性管状フィルムにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた4色のトナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが必要である。そのため、表面層の表面粗さ(Rz)は、通常0.1〜2.0μm程度、好ましくは0.1〜1.0μm程度であり、表面層の静摩擦係数が0.5以下、好ましくは0.35以下であればよい。
本発明の半導電性管状フィルムにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため、機械物性が要求される。
II.半導電性管状フィルムの製造
本発明の半導電性管状フィルムは、次のようにして製造することができる。
(1)単層の半導電性管状フィルム
半導電性管状フィルムが弾性層のみの単層である場合、例えば、弾性層材料がシリコーンゴムの場合、液状シリコーンゴムとポリエーテル変性シリコーンオイルが配合された弾性層材料を、円筒状金型にインジェクション法にて注入して加硫することで製造できる。
(2)3層の半導電性管状フィルム
また、3層の半導電性管状フィルムは、例えば、次のようにして製造できる。
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド等の表面層材料を溶媒に溶解又は微分散した液状原料を、回転ドラム(円筒状金型)の内面にキャストし遠心成型して行う。液状原料で用いる溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、或いはこれらの混合溶媒などが用いられる。該液状原料は、不揮発分濃度が5〜60重量%程度であればよい。また、表面層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、表面層に対して5〜25重量%程度となるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を該液状原料に添加しても良い。
基材層の材料としてポリイミドを用いる場合、例えば次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、不揮発分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
次に、遠心成型にて別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせる。両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。通常、表面層が内面に形成された円筒形の外型の内側に、基材層が外面に形成された内型を挿入して同心軸上に固定する。続いて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入して、得られた積層体を加熱処理することにより、表面層の内面と基材層の外面とが弾性層材料に同時に接着された3層の無端管状フィルムを得る。
(3)2層の半導電性管状フィルム
弾性層と基材層を有する2層の半導電性管状フィルムは、例えば、次のようにして製造できる。
<抵抗率の測定>
抵抗率の測定には、ハイレスタUP MCP−HT450型と、二重リング電極構造のURプローブMCP−HTPl2(いずれも株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。なお、URプローブMCP−HTP12の上部には19.6N±1Nのおもりを取り付け、サンプルに一様な荷重がかかるようにした。測定条件は、チャージタイムを10秒、印加電圧を100Vとした。
<不揮発分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(不揮発分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて不揮発分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、本発明における不揮発分濃度として採用した。
実施例1
内面に鏡面仕上げを施した内径175.0mm、幅540mmの円筒形の外型に対し、外径174.2mm、幅500mmの内型をその内側に挿入し、外型と内型を専用の一対の治具を使用して同心軸上に固定した。
弾性材料として導電性シリコーンゴム(東レダウコーニング株式会社製DY35-2035A&B)100重量部を、前述絶縁性ゴムDY35-736A&B 75重量部とブレンドして、ポリエーテル変性シリコーンオイル添加前のゴムの抵抗値を107Ω・cm程度の半導電域になるよう調整した以外は、実施例1と同様に処理して管状ベルトを得た。
(1)基材層の製膜
窒素流通下のN -メチル-2-ピロリドン488gに4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を 47.6gを加え、50℃に保温、撹拌し完全に溶解させた。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量;17000、粘度;35ポイズ、不揮発分濃度18.0重量%であった。
(2)表面層の製膜
ダイキン工業株式会社製フッ素ゴムコート材GLS-213FのA液27gとB液0.8gを混合した原料を次の条件で成型した。
(3)弾性層の製膜と3層化
ドラム内面に製膜した表面層内面に接着用プライマーを均一塗布、風乾した。先に作製した基材層としてのポリイミドベルト外面にもプライマーを塗布した後、外径174.0mm、幅500mmの芯体外面に被せた。この芯体を内面に表面層が製膜されている先述のドラム内面に挿入し、芯体とドラムを専用の治具を使用して同心軸上に固定した(図3)。
弾性材料として導電性シリコーンゴム(東レダウコーニング株式会社製DY35-2035A&B)100重量部を、前述絶縁性ゴムDY35-736A&B 75重量部にブレンドして、ポリエーテル変性シリコーンオイル添加前のゴムの抵抗値を107Ω・cm程度になるよう半導電域で調整した以外は、実施例3と同様に処理した。
シリコーンゴム(100重量部)に対するポリエーテル変性シリコーンオイルの添加量(重量部)を変化させたときの、管状フィルムの体積抵抗率の挙動を次のようにして測定した。
液状シリコーンゴムにポリエーテル変性シリコーンオイルを配合していない以外は、実施例1と同様に処理した。
液状シリコーンゴムにポリエーテル変性シリコーンオイルを配合していない以外は、実施例2と同様に処理した。
液状シリコーンゴムにポリエーテル変性シリコーンオイルを配合していない以外は、実施例3と同様に処理した。
液状シリコーンゴムにポリエーテル変性シリコーンオイルを配合していない以外は、実施例4と同様に処理した。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの代わりにジメチルシリコーンオイル(東レダウコーニング株式会社製SH200の粘度100センチストークス品)を1.0重量部配合した以外は、実施例4と同様に処理した。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの代わりにフッ素変性シリコーンオイル(東レダウコーニング株式会社製FS1265)を1.0重量部配合した以外は、実施例4と同様に処理した。
Claims (13)
- 液状シリコーンゴム100重量部にポリエーテル変性シリコーンオイル0.5〜20重量部を配合して得られるシリコーンゴムからなる半導電性管状フィルムであって、該半導電性管状フィルムの体積抵抗率の平均値が106〜1014Ω・cmの範囲にあり、該半導電性管状フィルムの体積抵抗率のバラツキが一桁以内であることを特徴とする半導電性管状フィルム。
- 印加電圧を100Vから1000Vの範囲で変化させたときの体積抵抗率の平均値の変化量が一桁以内である請求項1に記載の半導電性管状フィルム。
- 温度が5〜45℃の範囲及び相対湿度が10〜95% RHの範囲で測定したときの体積抵抗率の平均値の変化量が一桁以内である請求項1に記載の半導電性管状フィルム。
- 前記ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLB(親水親油平衡)値が10以下である請求項1に記載の半導電性管状フィルム。
- 前記管状フィルムの形状が無端である請求項1に記載の半導電性管状フィルム。
- 少なくとも弾性層と基材層とを有する多層の半導電性管状フィルムであって、弾性層が請求項1に記載の半導電性管状フィルムからなる多層の半導電性管状フィルム。
- 基材層の材料がポリイミド又はポリアミドイミドである請求項6に記載の多層の半導電性管状フィルム。
- 弾性層と基材層とが加硫接着されてなる請求項6又は7に記載の多層の半導電性管状フィルム。
- 表面層と弾性層と基材層とを有する多層の半導電性管状フィルムであって、弾性層が請求項1に記載の半導電性管状フィルムからなる多層の半導電性管状フィルム。
- 基材層の材料がポリイミド又はポリアミドイミドである請求項9に記載の多層の半導電性管状フィルム。
- 表面層の材料がフッ素ゴム、フッ素樹脂及びシロキサン変性ポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項9又は10に記載の多層の半導電性管状フィルム。
- 基材層、弾性層及び表面層の順で積層されて加硫接着されてなる請求項9、10又は11に記載の多層の半導電性管状フィルム。
- 表面層、弾性層及び基材層を有する多層の半導電性管状フィルムの製造方法であって、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に液状シリコーンゴム100重量部及びポリエーテル変性シリコーンオイル0.5〜20重量部を含む弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする多層の半導電性管状フィルムの製造方法。
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