JP4277520B2 - 無端ベルト、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともポリイミド樹脂を含む無端ベルト、及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置における転写体や定着体、帯電体として好適に利用される無端ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置における転写体や定着体、帯電体には、金属やプラスチック、またはゴム等からなる各種の回転体が使用されている。前記回転体は、電子写真装置の小型化や高性能化のために、変形可能であることが好ましい場合があり、このような変形可能な回転体としては肉厚が薄い樹脂製の無端ベルトが用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
この場合、無端ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じるため、継ぎ目がない無端ベルトであることが好ましい。また、無端ベルトを構成する材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂が好ましい(以下、ポリイミドを「PI」と略す場合がある)。
以下に、無端ベルトに関する従来技術のより詳しい内容、すなわち、無端ベルトの層構成、無端ベルトの製造方法、(無端ベルトの製造に用いる)PI前駆体溶液、芯体の表面処理の概要について説明し、これらを踏まえた上で、従来技術における問題点について説明する。
【0004】
−無端ベルトの層構成−
上記したようなPI樹脂を用いて作製された無端ベルトを定着体として使用する場合、無端ベルトの外周面に接触するトナーの剥離性向上のため、前記無端ベルトの外周面には非粘着性の樹脂被膜が形成される。すなわち、定着体として利用される無端ベルトは、外周面が非粘着性の樹脂被膜層からなり、この内周面側にPI樹脂層が設けられた構成のものが一般的に用いられる。
【0005】
この樹脂被膜を構成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、前記樹脂被膜には、耐久性や静電オフセット向上、オイルとの親和性向上等のために、カーボン粉末や無機粉体等、フッ素樹脂以外の材料が含有されていてもよい。
なお、一般的に、ポリイミド樹脂層、あるいは、ポリイミド樹脂層と非粘着性の樹脂被膜(フッ素樹脂被膜)層とからなる無端ベルトにおいて、前記ポリイミド樹脂層の厚さは25〜200μmの範囲であり、前記フッ素樹脂被膜層の厚さは2〜40μmの範囲であるものが好適に用いられている。
【0006】
−無端ベルトの製造方法−
少なくともPI樹脂層からなる無端ベルトを作製するには、円筒体の内面にPI前駆体溶液を塗布し、回転しながら乾燥させる遠心成形法(例えば、特許文献3参照)や、円筒体内面にPI前駆体溶液を展開する内面塗布法(例えば、特許文献4参照)があった。但し、これら円筒体の内面にPI前駆体塗膜を形成する方法では、円筒体の内面に形成されたPI前駆体塗膜に含まれる溶剤を乾燥させる必要があるため、乾燥に時間がかかるという問題がある。
【0007】
他の無端ベルトの製造方法として、例えば、芯体の表面に、浸漬塗布法によってPI前駆体溶液を塗布することによりPI前駆体塗膜を形成後、これを乾燥し、加熱することにより形成されたPI樹脂皮膜を芯体から剥離する方法(例えば、特許文献5参照)もある。この方法では、芯体の外面に形成されたPI前駆体塗膜に含まれる溶剤を乾燥させるので、乾燥時間が短縮できるという利点がある。
【0008】
−PI前駆体溶液−
一方、上記したような無端ベルトの製造に用いられるPI前駆体溶液は、非プロトン系極性溶剤中に少なくともPI前駆体を溶解したものが用いられ、具体的には、非プロトン系極性溶剤中に、酸無水物とジアミンとを溶解し反応させることにより作製される。
このようなPI前駆体溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、一般的にPI前駆体溶液中に含まれるPI前駆体の濃度は、10〜25重量%であり、PI前駆体の粘度は10〜1000Pa・s程度である。
前記非プロトン系極性溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの非プロトン性極性溶剤は、いずれも沸点が高く、これが上記したようなPI前駆体塗膜の乾燥に時間を要するという原因となっている。また、表面張力が他の有機溶剤に比べて大きく、濡れ性が良くない、という性質がある。
【0009】
−芯体の表面処理−
一方、PI前駆体塗膜は、これを加熱して縮合反応する際の収縮が非常に大きく、また金属との密着性も強力なため、芯体の表面にPI樹脂皮膜を形成する方法では、PI樹脂皮膜が芯体の表面に張り付きやすい。これを防止するために、通常、芯体の表面に離型性の層を形成する。この離型性の層としては、シリコーン系の離型剤を塗布した層や、フッ素樹脂やシリコーン樹脂の如き低表面エネルギーの樹脂層が挙げられる。
【0010】
−従来技術における問題点−
ところが、芯体の表面に離型剤の層を形成すると、その低表面エネルギー性のため、前記芯体の表面にPI前駆体溶液を塗布しPI前駆体塗膜を形成した場合、へこみやはじきといった塗膜欠陥を生じやすく、これが前記PI前駆体塗膜から最終的に形成される無端ベルトのへこみやはじき欠陥となる問題がある。
【0011】
このような塗膜欠陥は、前記芯体表面にPI前駆体溶液を塗布中および塗布直後には生じにくいものの、前記芯体表面に形成されたPI前駆体塗膜を乾燥させた際に、前記PI前駆体塗膜にこれらの欠陥が生じやすなる。乾燥時にこれらの欠陥が発生しやすくなる理由は、PI前駆体溶液は常温では粘度が高いものの、乾燥のために温度を上げると粘度が急激に低下するためであると推定される。
【0012】
また、PI樹脂層からなる無端ベルトの外周面にフッ素樹脂被膜を形成した無端ベルトにおいても、前記フッ素樹脂被膜はフッ素樹脂粉体の水分散液を前記外周面に塗布する塗布工程を経て形成されるので、へこみやはじきといった欠陥を生じる場合がある。特に、前記外周面の表面エネルギーが低い場合には、これらの欠陥が顕著になる傾向がある。
【0013】
さらに、このようにして得られたへこみやはじき欠陥を有する無端ベルトを定着体や転写体等として利用した場合には、へこみやはじき欠陥に起因する画像欠陥が発生する場合がある。さらに、へこみやはじき欠陥が発生しやすい無端ベルトは、その表面エネルギーが高い傾向にあるため、前記無端ベルトが磨耗により劣化しやすかったり、表面が汚染されやすかったりする等の問題が生じる場合もある。
【0014】
【特許文献1】
特開平8−262903号公報
【特許文献2】
特開平11−133776号公報
【特許文献3】
特開昭57−74131号公報
【特許文献4】
特開昭62−19437号公報
【特許文献5】
特開昭61−273919号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。本発明は、1)へこみやはじき欠陥の無い無端ベルトと、2)へこみやはじき欠陥の無い無端ベルトを作製することが可能な無端ベルトの製造方法と、を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくともポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する無端ベルトにおいて、
前記ポリイミド前駆体溶液がアルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする無端ベルトである。
【0018】
<2> 前記ポリイミド前駆体溶液に含まれる、前記シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする<1>に記載の無端ベルトである。
【0019】
<3> ポリイミド樹脂層の外周面に、フッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を有する無端ベルトにおいて、
前記フッ素樹脂塗布液が、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする無端ベルトである。
【0020】
<4> 前記フッ素樹脂塗布液に含まれる、前記シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする<3>に記載の無端ベルトである。
【0022】
<5> 少なくとも表面にシリコーン系レベリング剤を含むOPC感光体と、前記感光体と接触して用いられる無端ベルトとを備えた画像形成装置であって、前記無端ベルトは、(1)グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトか、(2)ポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層の外周面に、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトか、又は(3)グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層の外周面に、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトであり、かつ、前記無端ベルト表面に残留するシリコーン系レベリング剤と、前記OPC感光体表面に含まれるシリコーン系レベリング剤とが、実質的に同一であることを特徴とする画像形成装置である。
【0023】
<6> アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液の液面に浮設させた環状体の孔を通して、離型剤層を設けた芯体を前記溶液に浸漬し、その後引き上げることにより前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有する無端ベルトの製造方法である。
【0024】
<7> 前記乾燥工程を経たポリイミド前駆体塗膜の表面に、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を塗布することによりフッ素樹脂塗膜を形成するフッ素樹脂塗布工程を、少なくとも有する<6>に記載の無端ベルトの製造方法である。
【0025】
<8> 離型剤層を設けた芯体をその軸方向が水平となるように置いた状態で周方向に回転させ、前記回転する芯体の上方からアルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を流下させることにより、前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有する無端ベルトの製造方法である。
【0027】
<9> 前記芯体の表面に、前記離型剤層として、外周面がフッ素樹脂層からなる無端ベルトを嵌めることを特徴とする<6>〜<8>のいずれか1つに記載の無端ベルトの製造方法である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、無端ベルトの製造方法と、無端ベルトと、に分けて順に説明する。
(無端ベルトの製造方法)
本発明による第一の無端ベルトの製造方法は、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液の液面に浮設させた環状体の孔を通して、離型剤層を設けた芯体を前記溶液に浸漬し、その後引き上げることにより前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
また、本発明による第二の無端ベルトの製造方法は、離型剤層を設けた芯体をその軸方向が水平となるように置いた状態で周方向に回転させ、前記回転する芯体の上方からアルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を流下させることにより、前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
【0029】
本発明による無端ベルトの製造方法は、前記乾燥工程を経たPI前駆体塗膜を加熱する加熱工程と、前記加熱工程を経て形成されたPI樹脂皮膜(PI樹脂層)を芯体表面から剥離する剥離工程と、を有することが好ましく、また、これらの工程に加え、必要に応じて他の工程を有していてもよい。
あるいは、前記乾燥工程を経た後に、他の塗布溶液を塗布し、この後に、乾燥、加熱、および、剥離する工程等を有するものであってもよい。
【0030】
−PI前駆体溶液およびシリコーン系レベリング剤−
本発明の無端ベルトの製造方法に用いられるPI前駆体溶液は、記述したような非プロトン系極性溶媒にPI前駆体を溶解させたものであるが、本発明においては、このPI前駆体溶液が、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする。
【0032】
本発明に用いられるPI前駆体溶液は、上記したようなシリコーン系レベリング剤を含むため、PI前駆体溶液の表面張力が低下する。このため、表面に離型剤層が設けられた低表面エネルギーの芯体表面に、PI前駆体溶液を塗布しても、はじきやへこみ等の欠陥を防止することができる。
なお、添加されるシリコーン系レベリング剤と、PI前駆体溶液と、の相溶性が不適切であると、逆にはじきの原因となる場合もあるため、用いられるシリコーン系レベリング剤はPI前駆体溶液との相溶性を考慮の上、選択される。
【0033】
なお、本発明の無端ベルトの製造方法により作製される無端ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に好適に用いられるものであり、この場合、この無端ベルトがOPC感光体と接触して用いられるような転写ベルトや帯電体として利用することも勿論可能である。
しかしながら、このような無端ベルトを転写ベルトや帯電体として用いた場合、無端ベルトの少なくとも表面(OPC感光体と接する側の表面)にシリコーン系レベリング剤が含まれていると、このシリコーン系レベリング剤がOPC感光体表面へと移着し、OPC感光体の感度や帯電性等の特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0034】
このような問題を解決するためには、以下のような方法が挙げられる。まず、無端ベルトの作製に際して、無端ベルトにシリコーン系レベリング剤が残留する場合には、無端ベルトの作製に際して用いるシリコーン系レベリング剤は、OPC感光体表面へと移着しても、OPC感光体の諸特性に影響を及ぼさない不活性なシリコーン系レベリング剤(以下、「不活性シリコーン系レベリング剤」と略す)であることが好ましい。
なお、不活性シリコーン系レベリング剤としては、グリコール変性シリコーンが挙げられる。
【0035】
また、画像形成装置において、無端ベルトと接触して用いられるOPC感光体が、少なくともその表面にシリコーン系レベリング剤(以下、「OPC感光体用シリコーン系レベリング剤」と略す)を含む場合には、無端ベルトの作製に際して用いる前記シリコーン系レベリング剤と、OPC感光体用シリコーン系レベリング剤とが実質的に同一であることが好ましい。
なお、当該「実質的に同一」とは、シリコーン系レベリング剤の分子構造が全く同一でなくとも、主たる構造が同じであり、主な物性値も殆ど同じである場合も意味する。
【0036】
一方、上記したような方法は、無端ベルトの少なくとも表面にシリコーン系レベリング剤が残留していることを前提としたものであるが、無端ベルトの作製に際して、無端ベルト中に残留しないようなシリコーン系レベリング剤を用いる方法も好適に利用できる。
【0037】
このようなシリコーン系レベリング剤としては、加熱された際に、容易に揮発するシリコーン系レベリング剤(以下、「易揮発性シリコーン系レベリング剤」と略す)や、容易に熱分解するシリコーン系レベリング剤(以下、「易熱分解性シリコーン系レベリング剤」と略す)を用いることができ、具体的には、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーンを挙げることができる。
【0038】
なお、揮発や熱分解が容易に起こる加熱温度としては、無端ベルトの作製に際して、シリコーン系レベリング剤を含む塗膜が加熱処理される最高温度以下であることが好ましい。
【0039】
以上に説明したような方法は、後述するシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて、ポリイミド樹脂層の外周面にフッ素樹脂層を設ける場合にも同様に適用することができる。
【0040】
PI前駆体溶液中に含まれるシリコーン系レベリング剤の含有量は、極微量でも上記したようなはじきやへこみ欠陥の防止には十分に効果がある。前記含有量としては、PI前駆体溶液に対して0.001〜1.0重量%の範囲が好適であり、より好ましくは0.002〜0.5重量%の範囲である。
含有量が、0.001重量%未満の場合には、はじきやへこみ等の欠陥防止効果が不十分となる場合があり、また、1.0重量%を超えるとこれらの欠陥防止効果はあるものの、含有量の増加に伴い、PI前駆体塗膜の表面に油膜が形成される等の悪影響が認められる場合がある。さらに、このようなPI前駆体溶液を用いて形成された層と、この層の表面に形成される上塗り層と、の密着強度も低下する場合がある。
【0041】
−芯体および離型剤層−
芯体は、PI前駆体塗膜が形成できるものであれば、その材質や形状は特に限定されないが、一般的にはアルミニウム等の金属を円筒状あるいは円柱状に加工したものが用いられる。前記芯体の表面は、クロムやニッケル等でメッキ処理されたものであってもよい。
また、本発明の無端ベルトの製造方法に用いられる芯体の表面には、この表面に形成されるPI樹脂皮膜が接着しないように離型剤層が設けらる。前記離型剤層は、芯体表面にフッ素樹脂やシリコーン樹脂からなる皮膜を形成したり、離型剤を塗布することによりに形成されるが、後述するように無端ベルトを離型剤層の代りに用いることもできる。なお、芯体を繰り返して使用する場合には、芯体表面に形成された離型剤層による離型性の効果が繰り返し使用によっても劣化しないことが好ましく、このような離型剤層の形成に用いられる離型剤は、熱硬化型の離型剤であることが好ましい。
【0042】
なお、芯体の材質と、この芯体上に少なくともPI前駆体溶液を塗布して形成しようとする無端ベルトとの組合せによっては、形成された無端ベルトが芯体から抜けない場合がある。このような問題を解決するためには、芯体の表面に、離型剤層として、上記したような塗布により形成された離型剤層の代りに、無端ベルトを嵌めておくことが好ましい(このような離型剤層として機能し、芯体表面に嵌められる無端ベルトを、以下、「離型用無端ベルト」と称す)。
特に、離形用無端ベルトの外周面に形成される無端ベルトに対してより優れた離形性を確保するために、離型用無端ベルトは、その外周面がフッ素樹脂層から構成されていることが好ましい。なお、離形用無端ベルトの具体例としては、一例を挙げれば、内周面がPI樹脂層からなり、外周面がフッ素樹脂層からなるものを用いることができる。
【0043】
このような離型用無端ベルトを用いた場合の本発明の無端ベルトの製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
図5は、芯体表面に、離型用無端ベルトを嵌めた場合の一例について示す模式図であり、図5中、1が芯体、19が離形用無端ベルトを表す。本発明の無端ベルトの製造方法において、図5に示すように芯体の表面に離型用無端ベルトを嵌めた場合には、離型用無端ベルト19の端部と芯体1表面との隙間に、後述するPI前駆体塗布工程で用いるPI前駆体溶液が浸入しないようにテープで塞いでおくことが好ましい。その後に、後述するような各種の工程を得て離形用無端ベルトの外周面に無端ベルトを形成することができる。
【0044】
次に、形成された無端ベルトは、その内周面に設けれた離型用無端ベルトと共に、芯体表面から剥離され、さらに、離型用無端ベルトの外周面と、新たに形成された無端ベルトの内周面とを剥離し、無端ベルトを得ることができる。この再、離型用無端ベルトの外周面と、新たに形成された無端ベルトの内周面との剥離は、離型用無端ベルトを適当にたわませることによって行う。
図6は、離型用無端ベルトと新たに形成された無端ベルトを剥離する方法の一例について示した模式図である。図6中、19は離型用無端ベルト、20は形成された無端ベルトを表す。図6に示す例では、形成された無端ベルト20の内周面側に密着している離型用無端ベルト19を内周側(図6中の矢印方向)にたわませることにより、離型用無端ベルト19と形成された無端ベルト20とを剥離することができる。
【0045】
−PI前駆体塗布工程−
芯体表面にPI前駆体溶液を塗布することによりPI前駆体塗膜を形成する方法は特に限定されないが、芯体をPI前駆体溶液中に浸漬して引き上げる浸漬塗布法を用いることが好ましい。以下に、浸漬塗布法等を用いたPI前駆体塗膜の形成について具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。浸漬塗布法により芯体表面にPI前駆体溶液を塗布する場合、PI前駆体溶液の粘度が非常に高いため、芯体表面に形成されるPI前駆体塗膜の膜厚が必要以上に厚くなり過ぎる傾向にある。
したがって、浸漬塗布に際しては、塗膜の膜厚を所望の厚さに調整できるように、芯体の外径よりも若干大きな円形の孔を設けた環状体を、PI前駆体溶液の液面上に自由に移動可能な状態で浮設させ、前記環状体の液面からの高さが一定範囲内に収まるよう、環状体の孔を通じて浸漬/引き上げされる芯体の引き上げ速度を調節しながら、芯体を液面から相対的に上昇させる方法をとることが好ましい。
【0046】
上記した塗布方法について、図面を用いて説明する。図1は、環状体を用いた浸漬塗布方法の一例について示した模式断面図であり、一旦、PI前駆体溶液中に浸漬した芯体を上昇させることにより、前記芯体表面に、塗膜が形成されている状態を示したものである。なお、図1は、環状体を用いた浸漬塗布に関する主要部のみを示したものであり、浸漬/引き上げ装置等の周辺部については省略している。図1中、1は芯体を、2はPI前駆体溶液を、3は塗布槽を、4は塗膜(PI前駆体塗膜)を、5は環状体を、6は環状体の孔を表す。
【0047】
なお、本発明において、「芯体上に塗布する」とは、芯体の表面上、及び該表面に層を有する場合はその層上に塗布することを意味する。また、「芯体を上昇」とは、PI前駆体溶液の液面に対する相対的な上昇を意味し、「芯体を停止し、PI前駆体溶液の液面を下降」させる場合を含む。
図1に示す環状体を用いた浸漬塗布方法では、塗布槽3中のPI前駆体溶液2の液面に環状体5を自由に移動できるように浮設する。次に、芯体1を、環状体の孔6を通して、PI前駆体溶液2中へ浸漬し、次いで、矢印U方向へ上昇させることにより芯体1表面に塗膜4が形成される。また、塗膜4の膜厚は、芯体1の外径と、環状体の孔6の孔径との差に応じて調整される。
【0048】
環状体5は、PI前駆体溶液に用いられる溶剤により侵食されない種々の金属、プラスチック等から作られ、軽量化のために中空構造であってもよい。また、環状体5が、PI前駆体溶液2中に沈没するのを防止するために、環状体の外周面および/または塗布槽に、環状体5を支える足や腕を設けてもよい。
【0049】
芯体1の外径と、環状体の孔6の最小孔径と、の差を2で割った値(以下、「間隙幅」と略す)は、所望する塗膜4の塗布直後の厚み(以下、「濡れ膜厚」と略す)が得られるように調整される。乾燥後の塗膜4の膜厚(以下、「乾燥膜厚」と略す)は、濡れ膜厚およびPI前駆体溶液2の不揮発分濃度の積で表され、この関係から所望の濡れ膜厚が求められる。
但し、使用するPI前駆体溶液2の粘度及び/又は表面張力などにより、間隙幅が、そのまま濡れ膜厚として反映されるとは限らない。このため、使用するPI前駆体溶液2に応じて、間隙幅を、所望する濡れ膜厚の1倍〜2倍の範囲内にすることが好ましい。
【0050】
環状体5の孔6の形状は、図1に示すように、PI前駆体溶液2の液面に対して下部が広く、上部が狭い形状であれば特に限定されないが、下部から上部へと、直線的に徐々に狭くなる形状のほか、階段状や曲線状に徐々に狭くなる形状でもよい。
【0051】
次に、環状体を用いた塗布方法の他の例について説明する。図2は、環状体を用いた塗布方法の他の例を示した模式断面図であり、浸漬塗布槽に入れたPI前駆体溶液の中央部から芯体を上昇させることにより、前記芯体表面に、塗膜が形成されている状態を示したものである。図2中、符号1、2、4、5および6は図1中に符号で示したものと実質的に同等のものであり、7は環状塗布槽を、8は環状シール材を、9および9’は中間体をあらわす。
なお、図2に示す環状塗布方法は、図1に示す浸漬塗布方法と比較すると、必要とされるPI前駆体溶液2の液量が少なくてすむという利点がある。
【0052】
図2に示す環状体を用いた環状塗布方法では、環状塗布槽7の底部には、芯体1が通過する孔が設けられており、この孔からPI前駆体溶液が漏れないように、ポリエチレンやシリコーンゴム、フッ素樹脂等の柔軟性板材から成る環状のシール材8が取り付けられる。また、軸方向が垂直方向となるように配置された芯体1は、上側の端面が中間体9に固定され、また、下側の端面が中間体9’により固定され、不図示の昇降装置に設置された中間体9および9’を介して垂直方向に移動される。
【0053】
また、PI前駆体溶液2の液面に環状体5を浮設する。但し、図2においても、環状体5は、芯体の引き上げ時に際しては、図1に示すようにPI前駆体溶液2の液面に完全に自由に浮遊させてもよい。また、環状体5の外周面を、ロールやベアリングで支えたり、押圧体を介して空気圧をかけることにより支えたりしてもよいが、均一な膜厚の塗膜4が形成できるように、環状体5の液面垂直および水平方向に対して自由に移動することができるように支えることが好ましい。環状体の孔6を通して、中間体9を介して芯体1をPI前駆体溶液2から矢印U’方向に上昇させると、PI前駆体溶液2の介在により、芯体1と環状体5との間に摩擦抵抗が生じ、環状体5には上昇力が作用し、環状体5は矢印U‘方向に少し持ち上げられる。
【0054】
このように環状体5が少し持ち上げられた際、環状体5は芯体1との摩擦抵抗が円周方向で一定になるように水平方向に移動し、間隙幅が一定になる。環状体5と芯体1との間隙幅が変化した場合、狭まろうとした部分では摩擦抵抗が大きくなり、その反対側では間隙幅が広がって摩擦抵抗が小さくなる不均衡状態が生じるが、摩擦抵抗が大きな部分は小さくなるよう、すなわち間隙幅が広くなるように環状体5が水平方向に移動するので、環状体5が芯体1と接触することはなく、常に一定の間隙幅が保たれる。
【0055】
芯体1を上昇させる際、芯体1が多少傾いていても、あるいは、芯体1の上昇手段にフレを有する場合でも、環状体5は芯体に追随して水平方向に動きうるので、濡れ膜厚が一定保たれるという利点もある。
【0056】
上記したように環状体5が機能するには、環状体5は、液面からある程度、持ち上げられなくてはならず、停止状態位置から2mm以上持ち上げられること好ましい。液面から持ち上げられる高さは、芯体1の上昇速度が速いほど大きくなる。但し、環状体5が持ち上げられて、その下端面が液面から離れてしまうと、芯体1の最下部が、環状体の孔6を通過し終えた時点で、環状体5が液面に落下することになる。この場合、PI前駆体溶液2中に泡が巻き込まれてしまうため、塗布作業を繰り返す際には非常に不都合である。
【0057】
以上のような理由により、芯体1を上昇させる際には、環状体5の液面に対する持ち上げ高さは、高すぎず低すぎず、一定の範囲内に保たれることが必要である。そのためには、環状体5の液面からの高さを検出して、芯体1の上昇速度を調節することが好ましい。すなわち、環状体5が高く持ち上げらて、液面から離れようとした場合には、上昇速度を遅くし、逆に環状体の持ち上げ高さが小さい場合には、上昇速度を速くする。環状体の液面からの高さを検出するには、機械式や光学式の各種検出装置を用いて行うことができ、簡便には、目視で環状体5の液面からの高さを判断し、手動で速度を調整することもできる。
【0058】
次に、上記した浸漬塗布法以外の塗布方法である回転塗布法について説明する。回転塗布法とは、軸方向が水平面にほぼ水平となるように設置され、周方向に回転している円筒状芯体の表面に、前記円筒状芯体のほぼ真上に設置されたノズル等からPI前駆体溶液を流下させて塗膜を形成する方法であり、この際、前記円筒状芯体表面にPI前駆体溶液が流下する流下点近傍に形成された塗膜をへらで平坦化させつつ、前記円筒状芯体または前記ノズルを軸方向に平行移動させることにより円筒状芯体の表面にPI前駆体溶液を塗布することが好ましい。
【0059】
この回転塗布方法について、図面を用いて具体的に説明する。図3は、回転塗布方法の一例を示す模式図であり、1は(円筒状)芯体を、4は塗膜を、10はPI前駆体溶液供給用の容器を、11はノズルを、12はノズル11から流下しているPI前駆体溶液(流下液)を、13はへらを表す。
図3中、芯体1は、軸方向を水平にして設置され、周方向(矢印R方向)に回転可能である。また、PI前駆体溶液を満たした容器10は、ノズル11が接続されておりノズル11の先端より、PI前駆体溶液を流下することができる。ノズル11およびへら13は、芯体1の軸方向(矢印Aおよび矢印Aの反対方向)に平行移動でき、且つ、芯体1表面にPI前駆体溶液を流下できるように、ノズル11は芯体1の上部に設置されている。また、へら13は、流下液12の芯体1表面への流下点よりも下流側に、芯体1表面に軽く接触するように配置されており、ノズル11と連動して矢印A方向に移動することができる。
なお、容器10は、図3に示したようにノズル11を取り付けたものであってもよいが、容器10を固定し、これに、チューブを介してノズル11を接続したものであってもよい。
【0060】
回転塗布は、矢印R方向に回転している芯体1表面に、ノズル11からPI前駆体溶液を流下させつつ、ノズル11およびへら13を、芯体1の一端から他の一端へ矢印A方向に移動させることにより行われる。この際、前記流下点近傍に形成された塗膜が、矢印R方向へ移動し、へら13により平坦化される。なお、へら13を通過した直後の塗膜4には筋が残る場合もあるが、時間とともに塗膜4の粘性により筋は消滅する。このようにして回転塗布により芯体1の表面全面にわたって塗膜4を形成することができる。
【0061】
なお、ノズル11およびへら13の矢印R方向への移動速度を塗布速度といい、該塗布速度は下式(1)で表される。
・式(1) V=f/(t・k・π)
〔但し、式(1)において、Vは塗布速度を意味し、tは濡れ膜厚(へら13により平坦化された後の塗膜4の厚み)を意味し、fはPI前駆体溶液の単位時間当りの流下量を意味し、kは芯体1の外径を意味し、πは円周率を意味する。〕但し、芯体1の回転速度は20〜200rpmの範囲内に調整されることが好ましい。図3に説明したような回転塗布を行う際の塗布条件は、上記した式(1)の関係を利用して決定される。
【0062】
なお、PI前駆体溶液をノズル11の先端から流下させる際に、PI前駆体溶液が高粘度であるために重力だけでは流下しにくい場合には、エア圧やポンプ等を利用して圧力をかけてノズル11から押し出すことが有効である。ノズル11の先端から芯体1表面の流下点までの距離は特に限定されないが、流下液12が途切れることがないよう、10〜100mm程度の範囲であることが好ましい。液下液12に途切れが生じると、塗膜4が泡を巻き込むことがある。
【0063】
へら13は、溶剤に侵されないポリエチレンやフッ素樹脂等のプラスチック、または、真鍮やステンレス等の金属の、幅10〜50mmの薄い板から成り、弾力性を有するものである。へら13は芯体1表面に軽く押し当てられた状態で用いられるが、流下点で形成された塗膜4がへら13と芯体1表面との間を通過した際に、へら13は芯体1からある隙間をもって離れ、その際に流下点で形成された塗膜4が押し広げられ平坦化される。
【0064】
−乾燥工程−
乾燥工程は、上記に説明したように芯体表面に形成された塗膜を乾燥させることにより塗膜中に含まれる溶剤を除去する。乾燥温度は50〜250℃の範囲内が好ましく、乾燥時間は30〜200分程度が好ましい。乾燥中に重力の影響により、芯体表面に形成された塗膜が垂れる場合には、芯体を、軸方向を水平にして、10〜60rpm程度で回転させながら乾燥させることも好ましい。
【0065】
−加熱工程−
上記した乾燥工程を経て乾燥された塗膜の加熱によるPI樹脂皮膜の形成は、350〜450℃の温度範囲で、20〜60分間程度で実施される。その際、形成される皮膜に膨れが生じにくいよう、前記温度に達するまでに、温度をすぐに上昇させるのではなく、段階的に上昇させたり、ゆっくりと一定速度で上昇させることが好ましい。
【0066】
なお、乾燥時に塗膜中の残留溶剤を完全に除去できない場合、あるいは、塗膜の加熱時に塗膜中の反応により発生する水が除去しきれない場合には、PI樹脂皮膜に膨れが生じる場合があり、特にPI樹脂皮膜の膜厚が50μmを越えるような場合に顕著である。
膨れ欠陥を防止するには、予めその表面を、表面粗さRaで0.2〜2μm程度に粗面化した芯体を用いることが有効である。これにより、加熱処理時に生じる残留溶剤または水の蒸気は、芯体表面とPI樹脂皮膜との間にできるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れ欠陥を防止することができる。なお、芯体表面を粗面化するには、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。
【0067】
次に、上記した加熱処理を経て芯体表面に形成されたPI樹脂皮膜を、前記芯体から剥離し、所望の幅に切断する等の加工を施すことによりポリイミド樹脂層からなる無端ベルトを得ることができる。
なお、本発明の無端ベルトの製造方法により無端ベルトを得る場合、前記無端ベルトの内周面とは、芯体表面に接していた面を意味する。また、本発明において「芯体表面」とは、特に説明が無い場合には、芯体が、筒状あるいは柱状である場合のいずれにおいても芯体の外周面を意味する。
【0068】
−無端ベルトへの導電性付与−
無端ベルトを転写体や帯電体(接触帯電器の導電体)として使用する場合には、無端ベルトに導電性を付与する必要がある。このような場合にはPI前駆体溶液に予め導電性物質を混合しておくことが好ましい。
前記導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In2O3複合酸化物、導電性酸化チタン等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
なお、ロール状の転写体や帯電体の作製に無端ベルトを用いる場合には、導電性のゴムロールに、このゴムロール表面を補強するために本発明の無端ベルト製造方法により得られた無端ベルトを被せることができる。
【0069】
−定着体用の無端ベルトの製造方法−
無端ベルトを定着体(定着ベルト)として使用する場合には、PI樹脂層の外周面にフッ素樹脂層を有する無端ベルトを用いることが好ましい。
このような定着体用の無端ベルトの製造方法としては、乾燥工程を経たポリイミド前駆体塗膜の表面に、フッ素樹脂塗布液(フッ素樹脂分散液)を塗布することによりフッ素樹脂塗膜を形成するフッ素樹脂塗布工程、を少なくとも有することが好ましく、このフッ素樹脂塗布工程を経た後に、加熱してPI前駆体塗膜の加熱およびフッ素樹脂塗膜の焼成を行う加熱工程と、前記加熱工程を経て形成されたPI樹脂皮膜(PI樹脂層)およびPI樹脂皮膜の外周面に形成されたフッ素樹脂被膜(フッ素樹脂層)を芯体表面から剥離する剥離工程と、を有することが好ましく、また、これらの工程に加え、必要に応じて他の工程を有していてもよい。
【0070】
−フッ素樹脂塗布液−
前記フッ素樹脂塗布液としては、従来と同様、PFA等のフッ素樹脂や、該フッ素樹脂にカーボン粉末等の添加剤を含有するものが用いられるが、上記したような定着体用の無端ベルトの製造方法においては、前記フッ素樹脂塗布液が、さらにシリコーン系レベリング剤を含んでいることが好ましい。
シリコーン系レベリング剤がフッ素樹脂塗布液に含まれていない場合には、シリコーン系レベリング剤を含むPI前駆体塗膜の表面エネルギーが小さいために、作製されるフッ素樹脂被膜にはじきやへこみといった欠陥が生じる場合がある。
【0071】
なお、フッ素樹脂塗膜を形成しようとするPI前駆体塗膜がシリコーン系レベリング剤を含まない場合でも、PI前駆体塗膜の表面エネルギーが低い場合には、シリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて前記PI前駆体塗膜表面にシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗膜を形成することも勿論可能である。
フッ素樹脂塗布液中に含まれるシリコーン系レベリング剤としては、既述したようなPI前駆体溶液に含まれるシリコーン系レベリング剤と同様のものを用いることができるが、水溶性であることが好ましい。また、フッ素樹脂塗布液に含まれる、シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜0.5重量%の範囲内であることが好ましい。
【0072】
−フッ素樹脂塗布工程−
上記したフッ素樹脂塗布工程における、フッ素樹脂塗膜の形成方法は特に限定されないが、乾燥工程を経たPI前駆体塗膜がその表面に形成された芯体を、該芯体の軸方向を垂直にして、フッ素樹脂塗布液が入れられた塗布槽に浸漬して引き上げる浸漬塗布法を用いることが好ましい。
【0073】
なお、フッ素樹脂塗布液の浸漬塗布時に、芯体の端面部やその近辺等、下端となる側の芯体表面がPI前駆体塗膜に覆われていない露出部分がある場合には、これら露出部分の芯体表面(端面および外周面)にもフッ素樹脂塗布液が塗布される。また、PI前駆体塗膜で覆われている部分と露出部分との境界部分でPI前駆体塗膜と芯体表面との間に隙間があれば、その隙間にフッ素樹脂塗布液が浸透する。
この場合、前者および後者のいずれにおいても、加熱後に形成されたフッ素樹脂が芯体表面(端面および外周面)に固着するために、PI樹脂皮膜が取り外せなくなったり、芯体の再利用ができない問題が生じる場合がある。そこで、芯体表面(端面および外周面)の露出部分や、PI前駆体塗膜で覆われている部分と露出部分との境界部分近傍には被覆処理を施すことが好ましい。
【0074】
被覆処理の方法としては、粘着テープを巻いて張り付ける方法、幅広のゴムバンドを被せる方法、露出部分に相当する芯体の一方の端面およびその近傍をすっぽりと覆うキャップを取り付ける方法等が挙げられる。粘着テープやゴムバンドを取り付ける際、芯体と同じ外径の短い円筒体または蓋を、露出部分に相当する芯体の一方の端面に取り付けてもよい。ゴムバンドやキャップ等は、使用後に洗浄すれば、繰り返し使うこともできる。
露出部分に相当する芯体のもう一方端面およびその近傍は、フッ素樹脂塗布液への浸漬時、その部分まで浸漬しなければ、芯体表面にはフッ素樹脂塗布液が付着しないので、被覆しなくてもかまわない。もちろんその部分も被覆すれば、より確実である。
【0075】
このような芯体の一方の端を被覆処理した状態で、フッ素樹脂塗膜を浸漬塗布により形成する場合について図面を用いて説明する。
図4は、一方の端が予め被覆処理された芯体にフッ素樹脂塗布液を塗布する浸漬塗布方法の一例について示した模式図であり、図4(a)は、一旦、フッ素樹脂塗布液に浸漬した芯体を上昇させることにより前記芯体表面にフッ素樹脂塗膜が形成されていく状態を示した模式断面図であり、図4(b)は、図4(a)中に示される芯体外周面の模式図を示したものである。なお、図4は、浸漬塗布に関する主要部のみを示したものであり、浸漬/引き上げ装置等の周辺部については省略している。
【0076】
図4中、1は芯体を、21は何らの塗膜が形成されていない芯体1の表面部分(露出部)を、22は乾燥工程を得た後の芯体1表面に形成されたPI前駆体塗膜(乾燥後PI前駆体塗膜)を、23は被覆処理により覆われた被覆部を、24はフッ素樹脂塗膜を、25はフッ素樹脂塗布液を、26は塗布槽を表す。記号UおよびDは、浸漬塗布の際に軸が垂直方向となるように配置された芯体1の上下方向を示すものであり、Uが上端(上側)を示し、Dが下端(下側)を示す。また、一点鎖線Lは、芯体1が、フッ素樹脂塗布液25中に浸漬する限度ラインを示したものであり、浸漬塗布に際しては一点鎖線Lに対して下端D側の領域がフッ素樹脂塗布液25中に浸漬することを示している。
図4(a)中、芯体1の外周面は、両端近傍および両端面を除き乾燥後PI前駆体塗膜22が形成されており、さらに、芯体1の下端D側の端面部から下端D側近傍の外周部の不図示の露出部を、下端D側近傍の乾燥後PI前駆体塗膜14の端部を完全に覆うように芯体1の下端D近傍には、上記したような被覆処理により被覆部23が設けられている。また、浸漬に際しては、一点鎖線Lで示される限度ラインが、露出部21と乾燥後PI前駆体塗膜22との境界部分よりもやや下側となるように浸漬される。
【0077】
また、図4(a)に示されるように、浸漬塗布によるフッ素樹脂塗膜24の形成は、図4(a)に示す芯体1を下端Dを下側にし、芯体1の軸を垂直にして、フッ素樹脂塗布液25が入れられた塗布槽26に、一点鎖線Lまで浸漬し、引き上げることにより、フッ素樹脂塗布液が塗布される。フッ素樹脂塗布液25は、塗布槽26に溜め置いてもよいが、塗布槽26の下部から供給し、上部から溢流させて回収し、ポンプで循環させてもよい。その場合、循環経路にはフィルター、粘度計、希釈液追加装置等を付加することもできる。また、芯体1の引き上げ速度は、所望するフッ素樹脂塗膜の膜厚にもよるが、50〜500mm/分が好ましい。
【0078】
−フッ素樹脂塗布工程以降の工程(乾燥、加熱等)−
フッ素樹脂塗膜を形成した芯体は乾燥処理される。乾燥は常温から100℃の温度範囲で、5〜20分間放置することにより、フッ素樹脂塗膜中に含まれる水分を乾燥させる。なお、芯体に上記したような被覆部を設けた場合には、乾燥処理の後に、被覆部を取り外す。
【0079】
次いで、350〜450℃の温度範囲で20〜60分間、芯体表面に形成されたPI前駆体塗膜とフッ素樹脂塗膜とを加熱処理すると、PI前駆体の縮合反応によるPI樹脂皮膜の形成と同時に、フッ素樹脂塗膜が溶融・焼成されフッ素樹脂被膜が形成される。
加熱処理を経た芯体を常温に冷やしたのち、芯体表面に形成された皮膜を剥離することにより、定着体として利用することができる無端ベルト(定着ベルト)を得ることができる。定着ベルトには、必要に応じて、端部の長さを揃えるための切断加工、表面の粗さを調整するための研磨加工、表面検査等が施される。
【0080】
(無端ベルト)
本発明の無端ベルトは、少なくともポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する無端ベルトにおいて、前記ポリイミド前駆体溶液がアルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする。
したがって、本発明の無端ベルトはへこみやはじき欠陥を有さないために、この無端ベルトを、転写体等として用いた場合には、これらの欠陥に起因する画像欠陥の発生を確実に防止することができる。
【0081】
本発明の無端ベルトは、上記した特徴を満たすものであればその製造方法は特に限定されないが、上記した本発明の無端ベルトの製造方法を用いて作製されることが好ましい。
また、本発明の無端ベルトは、ポリイミド樹脂層を有するものであれば特に限定されない。さらに、「ポリイミド樹脂層を有する」とは、ポリイミド樹脂層のみからなる単層の無端ベルト(以下、「単層無端ベルト」と略す場合がある)のみに限定されるものではなく、単層無端ベルトの内周面および/または外周面に他の層を積層した2層以上の構成を有する無端ベルトも意味する。
【0082】
ポリイミド前駆体溶液に含まれるシリコーン系レベリング剤としては、本発明の無端ベルトの製造方法に用いられるものと同様のものを、目的に応じて用いることができる。
【0083】
また、ポリイミド前駆体溶液に含まれる、前記シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜1.0重量%の範囲内であることが好ましく、0.002〜0.2重量%の範囲内であることがより好ましい。
含有量が、0.001重量%未満の場合には、はじきやへこみ等が発生する場合がある。また、0.5重量%を超えるとこれらの欠陥防止効果はあるものの、含有量の増加に伴い、PI前駆体塗膜の表面に油膜が形成される等の悪影響が認められる場合がある。さらに、ポリイミド樹脂層と、該ポリイミド樹脂層の内周面および/または外周面に、第2の層を形成する場合において、前記ポリイミド樹脂層と、前記第2の層と、の密着強度が低下する場合もある。
【0084】
また、本発明の無端ベルトが、定着体(定着ベルト)のようなポリイミド樹脂層の外周面にフッ素樹脂層を設けた2層構成からなる無端ベルトである場合には、以下のような構成を有する。
すなわち、本発明の無端ベルトは、ポリイミド樹脂層の外周面に、フッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を有する無端ベルトにおいて、前記フッ素樹脂塗布液が、少なくともシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする。
【0085】
シリコーン系レベリング剤がフッ素樹脂塗布液に含まれていない場合には、作製される無端ベルト(定着ベルト)にはじきやへこみといった欠陥が生じる場合がある。
【0086】
このような2層構成からなる本発明の無端ベルトは、上記した特徴を満たすものであればその製造方法は特に限定されないが、上記した本発明の無端ベルトの製造方法を用いて作製されることが好ましい。但し、この場合、シリコーン系レベリング剤を含まないPI前駆体溶液を用いて無端ベルトを作製してもよい。
【0087】
フッ素樹脂塗布液中に含まれるシリコーン系レベリング剤としては、既述したようなPI前駆体溶液に含まれるシリコーン系レベリング剤と同様のものを用いることができるが、水溶性であることが好ましく、水溶性のシリコーン系レベリング剤としては、グリコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等を挙げることができる。
【0088】
また、前記フッ素樹脂塗布液に含まれる、シリコーン系レベリング剤の含有量は、0.001〜0.5重量%の範囲内であることが好ましい。
含有量が、0.001重量%未満の場合には、はじきやへこみ等が発生する場合がある。また、0.5重量%を超えるとこれらの欠陥防止効果はあるものの、含有量の増加に伴い、フッ素塗膜の表面に油膜が形成される等の悪影響が認められる場合がある。さらに、フッ素樹脂層と、ポリイミド樹脂層と、の密着強度も低下する場合がある。
【0089】
【実施例】
以下に本発明を、無端ベルトの製造方法と、無端ベルトと、に分け、実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<無端ベルトの製造方法>
(実施例1)
−芯体の作製−
外径32mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒を300℃で10分間加熱焼鈍後、表面を切削して外径を30mmに加工した。更に球形アルミナ粒子により円筒の外周面をブラスト処理し、前記外周面を表面粗さRaが0.9μmとなるように粗面化した。さらに、粗面化した外周面にシリコーン離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、300℃で1時間の焼き付け処理することにより、離型剤層を設けた芯体Aを得た。
【0090】
−PI前駆体溶液の調整−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とをN−メチルピロリドン中で合成し、固形分濃度を18重量%、粘度を約20Pa・sに調整した溶液を用意した。
次に、この溶液に、アルキル変性シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を固形分濃度が200ppmになるよう添加してよく混合することによりPI前駆体溶液Aを得た。
【0091】
−PI前駆体塗布工程−
PI前駆体溶液Aの芯体A表面への塗布は、図1に示すような浸漬塗布方法を利用して実施した。
まず、PI前駆体溶液Aを塗布槽(内径80mm、高さ500mm)に入れた。一方、環状体として、外径65mm、内径40mm、高さ30mmのステンレス製の中空体を作製し、この内側に、外径40mm、断面が三角形で、最も狭い部分の孔径が31.2mmのテフロン(R)製リングを嵌合させたものを用意し、PI前駆体溶液Aに浮設した。
【0092】
次に、環状体を動かないよう固定し、芯体Aの長手方向を垂直にして、前記環状体の孔を通して1m/分の速度でPI前駆体溶液A中へ浸漬した。なお浸漬に際しては、芯体Aの上端面近傍は、液面に没しないようにした。次いで環状体の固定を解除し、0.4m/分の速度で芯体Aを引き上げた。引き上げ途中では環状体が停止位置から約20mm持ち上げられ、芯体Aに接触することはなく、芯体Aには濡れ膜厚が約600μmのPI前駆体塗膜が形成された。この塗膜にはへこみ等の欠陥は見られなかった。
【0093】
−乾燥工程−
次いで、PI前駆体塗膜をその表面に形成した芯体Aを水平にし、20rpmで回転させながら、120℃の乾燥炉に1時間入れて乾燥させた。乾燥後のPI前駆体塗膜の膜厚は約150μmであった。なお、この時点では、前記PI前駆体塗膜は、十分な強度を有していないために、芯体表面から取り外すことはできない。
【0094】
−芯体の被覆処理−
次に、フッ素樹脂を、芯体A表面に塗布するために、PI樹脂塗膜で覆われていない部分を以下のように被覆処理した。
芯体AがPI前駆体溶液に没しなかった側の端部(端面および端面近傍の外周面)の塗膜が形成されていない露出部では乾燥後のPI前駆体塗膜の端部と端面近傍の外周面との間に隙間がみられたため、幅20mmのポリエステルテープ(商品名:No.31B、日東電工)を前記露出部の外周面および端面に張り付け、外周面の貼り付けに際してはPI前駆体塗膜の端部を覆うように被覆部を形成した。
【0095】
−フッ素樹脂塗布液およびフッ素樹脂塗布工程−
フッ素樹脂塗布液のPI前駆体塗膜表面への塗布は、図4に示すような浸漬塗布方法を利用して実施した。
まず、フッ素樹脂塗布液としては、PFAの水性分散塗料(商品名:AW5000、ダイキン工業製)に、グリコール変性シリコーンレベリング剤(商品名:SH28PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を固形分が100ppmになるよう添加して混合したものを用いた。
次に、このフッ素樹脂塗布液、を内径90mm、高さ480mmの塗布槽に入れ、この中に、上記したように被覆処理した芯体Aを、被覆部を下側にして垂直にし、芯体Aの上端部近傍のPI前駆体塗膜の端部から5mm下側の部分まで芯体Aを浸漬した。次いで芯体Aを300mm/分の速度で引き上げ、芯体A表面にPFA塗膜を形成した。その後、芯体Aの端部を被覆していたポリエステルテープを除去した。
【0096】
−PI前駆体塗膜およびフッ素樹脂塗膜の乾燥・加熱処理−
表面に、PI前駆体塗膜およびフッ素樹脂塗膜が順次形成された芯体Aを80℃で10分間の乾燥した。
次に150℃で20分間、続いて200℃で20分間、その後380℃で30分間加熱して、PI樹脂皮膜を形成すると共に、PFA皮膜を形成した。芯体Aが室温に冷えた後、芯体A表面に形成された2層からなる皮膜を取り外すことにより、厚み75μmのPI樹脂層の外周面に厚み30μmのPFA層を有する実施例1の無端ベルト(定着ベルト)を得ることができた。この定着ベルトのPFA層にへこみ等の欠陥はなく、またPI樹脂層とPFA層との密着性は強固であった。
【0097】
(比較例1)
実施例1において、PI前駆体溶液およびフッ素樹脂塗布液の両方にシリコーンレベリング剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてPI前駆体皮膜を塗布形成し、乾燥させることにより比較例1の無端ベルト(定着ベルト)を得た。この定着ベルトの乾燥後のPI前駆体皮膜には、面当り平均して2個程度のへこみが発生しており、乾燥後に、実施例1と同様にして作製した比較例1の無端ベルトには、PI前駆体塗膜の乾燥時に起因するへこみが残留していた。
【0098】
(実施例2)
−PI前駆体溶液の調整−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)と、を等モルづつN−メチルピロリドン中で、両者を反応させることにより、固形分濃度を20重量%、粘度を約10Pa・sに調整した溶液を用意した。
さらにこの溶液に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分重量比で23%混合し、次いでサンドミルにより24時間分散し、さらにシリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、実施例1と同じ)を固形分が200ppmになるよう添加してよく混合し、PI前駆体溶液Bを得た。
【0099】
一方、外径168mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒の外周面を実施例1と同様に粗面化処理し、シリコーン離型剤層を形成することにより、離型剤層を設けた芯体Bを得た。
【0100】
−PI前駆体塗布工程−
PI前駆体溶液Bの芯体B表面への塗布は、図2に示すような塗布方法を利用して実施した。
なお、環状塗布槽としては、内径260mm、内高50mmで、下部に直径180mmの開口部を有する容器を用い、この開口部には内径160mmのあ化を開けたポリエチレン製シール材を取りつけたものである。
また、環状体として、外径200mm、内径180mm、高さ30mmのステンレス製の中空リングを作製し、この内側に、外径が180mmで断面が三角形で、最も狭い部分の内径が169mmのテフロン(R)製リングを嵌合させたものを用意した。
【0101】
次いで、環状塗布槽にPI前駆体溶液Bを満たし、環状体のPI前駆体溶液B液面からの上昇高さが停止位置より常に15mm高になるよう、芯体Bの上昇速度を0.9〜0.7m/minに調整しながら芯体Bを上昇させて塗布を行った。次いで、実施例1と同様にして乾燥と加熱を行った。
室温に冷えてからPI樹脂皮膜を取り外すことにより、厚みが75μm厚の無端ベルトを得ることができた。その表面には、はじきやへこみといった欠陥はなく、体積抵抗を測定すると、約108Ω・cmであり、実施例2の無端ベルトは電子写真用転写ベルトとして使用することができた。また、無端ベルトの表面をX線分析装置により分析したところ、シリコーン成分は検出されず、PI前駆体溶液Bに添加したシリコーンレベリング剤は加熱時に飛散したものと推定される。
【0102】
(比較例2)
実施例2において、PI前駆体塗布液にシリコーンレベリング剤を加えなかった以外は実施例2と同様にして比較例2の無端ベルト(転写ベルト)を得た。得られた比較例2の無端ベルトは、平均して、2本に約1個のはじき、1本に1個以上のへこみが発生しており、品質的に劣ったものであった。
【0103】
(参考例1)
実施例2において、シリコーンレベリング剤としてメチルフェニルシリコーン(商品名:KP340、信越化学製)を用いた以外は同様にして、実施例3の無端ベルト(転写ベルト)を作製した。得られた参考例1の無端ベルトには、はじきやへこみ欠陥は見られなかった。
また、無端ベルトの表面をX線分析装置により分析したところ、シリコーン成分が検出され、無端ベルト表面にシリコーンレベリング剤が残留していることが確認された。
【0104】
(実施例3)
−芯体の作製−
実施例2で作製した無端ベルトの外周面に、実施例1と同様の方法で、PFA層を形成した。但し、フッ素樹脂塗布液の浸漬塗布時の速度は80mm/分とし、形成されるPFA層の膜厚が15μmとなるようにした。このようにして膜厚(PI層とPFA層との厚みの和)が90μmの離型用無端ベルトを得た。
次に、この離型用無端ベルトを380mmの長さに切り取り、図5に示すように、外径168mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒の表面に嵌めた。また、アルミニウム製円筒表面に嵌められた離形用無端ベルトの両端には、実施例1と同様の被覆処理を施した。以下、表面に離形用無端ベルトを嵌め、その両端を被覆処理した芯体を、芯体Cと称す。
【0105】
−PI前駆体溶液の調整−
ピロメリト酸二無水物とジアミノジフェニルエーテルと、を等モルづつN−メチルピロリドン中で反応させることにより、固形分濃度を20重量%、粘度約10Pa・sに調整した溶液を用意し、さらに、カーボンブラック(実施例2と同じ)を固形分重量比で23%混合し、次いでジェットミルにより分散し、さらにシリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を固形分濃度が200ppmになるよう添加してよく混合し、PI前駆体溶液Cを得た。
【0106】
−PI前駆体塗布工程−
環状体として、外径200mm、内径180mm、高さ30mmのステンレス製の中空リングの内側に、外径が180mmで断面が三角形で、最狭部分の内径が169.18mmのテフロン(R)製リングを嵌合させたものを用いた。
なお、環状体の内径は、芯体Cの外径が、芯体Bより0.18mm大きく、実施例2の環状体より大きくしたものである。
【0107】
次いで、芯体Cおよび上記の環状体を用いたこと以外は、実施例2と同様にして塗布、乾燥、加熱を行った。その後、アルミニウム製円筒から、その表面に嵌められた離型用無端ベルトおよびこの離型用無端ベルト外周面に形成された無端ベルトを抜き取った。
【0108】
次に、図6に示したような方法により、離型用無端ベルトを内周側にたわませて、離型用無端ベルトの外周面に形成された無端ベルトを取り外し、実施例3の無端ベルトを得た。この無端ベルトの厚みは75μmで、その表面には、はじきやへこみといった欠陥はなく、また、体積抵抗値は約108Ω・cmであった。さらに、この無端ベルト表面をX線分析装置により分析したところ、シリコーン成分は検出されず、PI前駆体溶液Cに添加したシリコーンレベリング剤は加熱時に飛散したものと推定される。
【0109】
実施例3の無端ベルトは電子写真用転写ベルトとして使用することができるが、実施例2の無端ベルトとPI層を構成する材料が異なっており、より柔軟性が高いため、小さい曲率のローラで回転させる用途に適していた。
【0110】
(比較例3)
実施例3において、PI前駆体溶液Cにシリコーンレベリング剤を添加しなかった以外は同様にして無端ベルトを作製した。しかしながら、芯体CにPI前駆体溶液を塗布した後に形成されたPI前駆体皮膜にははじきの発生がひどく、塗膜が形成されていない部分も見られた。そのため、それ以後の作業は中止し、無端ベルトを得ることはできなかった。
【0111】
(比較例4)
実施例3において、芯体Cの代わりに、実施例2で用いた芯体Bよりも若干外径が大き目の、外径168.18mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒に実施例1と同じ離型剤処理をした芯体Dを用い、他は実施例3と同様にしてPI前駆体溶液Cを用いて、芯体Dの表面にPI樹脂層からなる無端ベルトを形成した。
次に、芯体Dから無端ベルトを抜き取ろうとしたものの、PI前駆体溶液Cから形成されたPI樹脂層からなる無端ベルトは、実施例2のPI前駆体溶液Bから形成されたPI樹脂層からなる無端ベルトと比べて熱膨張率が異なる(大きい)ため、芯体Dから容易に抜き取ることができなかった。
【0112】
−定着ベルトの評価−
実施例1で得られた定着ベルトを画像形成装置(富士ゼロックス社製)に取り付け、A4用紙(210×297mm)で10万枚の画像形成を実施した。10万枚の画像形成後の、PFA層の最大磨耗量は10μmであり、磨耗量は用紙の端部に接触する部分で最も大きかった。
なお、PFA層の厚みは、良好な定着性を確保する観点から、最低でも2μm以上必要であるが、用紙の端部が接触する部分の余裕を考慮すると10μm以上は必要である。従って、実施例1の定着ベルトの予測寿命は20万枚である。
【0113】
これに対して、比較例1の定着ベルトを用いて、上記と同様の画像形成テストを実施したところ、10万枚画像形成後のPFA層の磨耗は13μmであった。すなわち、比較例1の定着ベルトの予測寿命は15万枚であり、実施例1の定着ベルトよりも明らかに劣っていた。
このような寿命の差は、実施例1の定着ベルトの作製に際し、シリコーン系レベリング剤を用いたことにより、比較例1の定着ベルトに比較して、PFA層の平滑性が向上したこと、および、滑性が向上したことの両方が寄与しているためであると考えられる。
【0114】
−転写ベルトの評価−
実施例2、3で得られた転写ベルトを、湿度が20%〜80%の間で変化させた際の体積抵抗を測定したところ、殆ど変化がなく、108Ω・cmオーダーの範囲内であった。
一方、比較例2で得られた転写ベルトを、上記と同様にして評価したところ、107〜109Ω・cmオーダーの範囲内で大きく変化した。このような体積抵抗値は、形成される画像の画像濃度の変化を招くため、比較例2の転写ベルトのように環境の変化により大きく変動することは好ましくなく、実施例2、3の転写ベルトのように殆ど変化しないことが望ましい。
【0115】
なお、このような湿度変化に伴う体積抵抗値のバラツキの違いは、実施例2の転写ベルトの作製の際に、シリコーン系レベリング剤を用いたために、比較例2の転写ベルトと比較して、外部の湿度変化に関係なく、転写ベルト内部に体積抵抗値に影響を及ぼす水分が取り込まれにくくなったためであると考えられる。
【0116】
−転写ベルトを用いた場合のOPC感光体の特性評価−
次に、実施例2、3の転写ベルトを用いた場合のOPC感光体の特性の変化の有無を、以下に説明するトナー転写テストを行うことにより評価した。
なお、用いたOPC感光体は、寸法が30mmφ×332mmのアルミニウムパイプの表面に、ポリアミド系樹脂からなる下引き層、クロロガリウムフタロシアニン顔料をポリビニルブチラール樹脂に分散した電荷発生層(CGL)、ベンジジン化合物とポリカーボネートZ樹脂からなる電荷輸送層(CTL)を順に設けた構成を有し、最表面層のCTLにメチルフェニルシリコーン(商品名:KP340、信越化学製)が200ppm添加されているものを用いた。
【0117】
次に、この感光体をVh=−400Vに帯電後、Vl=−120Vとなるように画像露光を行い、カラーのトナーで現像し、転写ベルトを当接させてトナーを転写し、さらにそのトナーを紙に転写し、得られたトナー像から、OPC感光体の特性の変化の有無について評価した。
【0118】
その結果、シリコーン系レベリング剤が表面に残留していない実施例2および3の転写ベルトでは、1万枚の画像出力試験をしても良好なトナー像が得られ、その際の感光体の電位を測定したところ、Vh=−400V、Vl=−130Vであったことから、OPC感光体に当接させてもOPC感光体の特性への影響は殆ど無いことが確認された。
【0119】
また、OPC感光体の表面に含まれているシリコーン系レベリング剤と同じものが表面に残留している参考例1の転写ベルトも、1万枚の画像出力試験にて良好なトナー像が得られ、その際の感光体の電位を測定してもVh=−400V、Vl=−130Vであったことから、OPC感光体に当接させてもOPC感光体の特性への影響が殆ど無いことが確認された。
【0120】
なお、参考までに述べれば、一般的シリコーンオイルであるジメチルシロキサン化合物が、OPC感光体の表面に付着すると、電荷輸送性を阻害して、感度が低下する場合があり、初期の電位特性は良好であっても、1万枚の画像出力試験を行った場合の感光体の電位はVh=−400V、Vl=−180Vとなり、画像にかぶりが発生した。しかし、本発明のようにシリコーン系レベリング剤を選択することによりこのような問題を防ぐことができる。
【0121】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、1)へこみやはじき欠陥の無い無端ベルトと、2)へこみやはじき欠陥の無い無端ベルトを作製することが可能な無端ベルトの製造方法と、を提供することができる。
また、本発明の無端ベルトは、はじきやへこみ欠陥を有さないのみならず、さらに用途に応じた構成とすることにより、耐久性および信頼性に優れた定着ベルトや転写ベルト等のベルト部材として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 環状体を用いた浸漬塗布方法の一例を示した模式断面図である。
【図2】 環状体を用いた浸漬塗布方法の他の例を示した模式断面図である。
【図3】 回転塗布方法の一例を示す模式図である。
【図4】 一方の端が予め被覆処理された芯体にフッ素樹脂塗布液を塗布する浸漬塗布方法の一例について示した模式図である。
【図5】 芯体表面に、離型用無端ベルトを嵌めた場合の一例について示す模式図である。
【図6】 離型用無端ベルトと新たに形成された無端ベルトを剥離する方法の一例について示した模式図である。
【符号の説明】
1 芯体
2 PI前駆体溶液
3 塗布槽
4 塗膜(PI前駆体塗膜)
5 環状体
6 環状体の孔
7 環状塗布槽
8 環状シール材
9 中間体
10 PI前駆体溶液供給用の容器
11 ノズル
12 ノズル11から流下しているPI前駆体溶液(流下液)
13 へら
14 乾燥工程を得た後の芯体1表面に形成されたPI前駆体塗膜(乾燥後PI前駆体塗膜)
15 フッ素樹脂塗布液
16 塗布槽
17 被覆処理により覆われた被覆部
18 フッ素樹脂塗膜
19 離型用無端ベルト
20 形成された無端ベルト
Claims (9)
- 少なくともポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する無端ベルトにおいて、
前記ポリイミド前駆体溶液が、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする無端ベルト。 - 前記ポリイミド前駆体溶液に含まれる、前記シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
- ポリイミド樹脂層の外周面に、フッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を有する無端ベルトにおいて、
前記フッ素樹脂塗布液が、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むことを特徴とする無端ベルト。 - 前記フッ素樹脂塗布液に含まれる、前記シリコーン系レベリング剤の含有量が、0.001〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の無端ベルト。
- 少なくとも表面にシリコーン系レベリング剤を含むOPC感光体と、前記感光体と接触して用いられる無端ベルトとを備えた画像形成装置であって、前記無端ベルトは、(1)グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトか、(2)ポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層の外周面に、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトか、又は(3)グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を用いて形成されたポリイミド樹脂層の外周面に、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を用いて形成されたフッ素樹脂層を少なくとも有し、少なくとも表面に前記シリコーン系レベリング剤が残留する無端ベルトであり、かつ、前記無端ベルト表面に残留するシリコーン系レベリング剤と、前記OPC感光体表面に含まれるシリコーン系レベリング剤とが、実質的に同一であることを特徴とする画像形成装置。
- アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液の液面に浮設させた環状体の孔を通して、離型剤層を設けた芯体を前記溶液に浸漬し、その後引き上げることにより前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有する無端ベルトの製造方法。
- 前記乾燥工程を経たポリイミド前駆体塗膜の表面に、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むフッ素樹脂塗布液を塗布することによりフッ素樹脂塗膜を形成するフッ素樹脂塗布工程を、少なくとも有する請求項6に記載の無端ベルトの製造方法。
- 離型剤層を設けた芯体をその軸方向が水平となるように置いた状態で周方向に回転させ、前記回転する芯体の上方からアルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、グリコール変性シリコーンから選ばれる少なくとも1つのシリコーン系レベリング剤を含むポリイミド前駆体溶液を流下させることにより、前記芯体の表面にポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗布工程と、前記ポリイミド前駆体塗膜を乾燥する乾燥工程と、を少なくとも有する無端ベルトの製造方法。
- 前記芯体の表面に、前記離型剤層として、外周面がフッ素樹脂層からなる無端ベルトを嵌めることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の無端ベルトの製造方法。
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