JP3867375B2 - 電子写真用定着部品、および定着装置 - Google Patents

電子写真用定着部品、および定着装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー等に対する非粘着性や、撥水性、撥油性に優れた電子写真用の定着部品に関する。また本発明は、未定着トナー像を形成した記録シートに、熱と圧力とを同時に作用させてトナー像を定着させる、加熱加圧型の定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真プロセスを利用した複写機等においては、記録シート上に形成された未定着トナー像を定着して永久画像にする必要があり、その定着法として溶剤定着法、圧力定着法、および加熱定着法が知られている。
しかし、溶剤定着法は、溶剤蒸気が発散し、臭気や衛生上の問題が多いという欠点を有しており、また、圧力定着法については他の定着法と較べて定着性が悪いという欠点を有しており、共に広く実用化されてはいないのが現状である。
このため、未定着トナー像の定着には、一般に加熱によってトナーを溶融させ、記録シート上に融着させる加熱定着法が広く採用されて来た。
【0003】
この加熱定着法による定着装置の一般的な構成例(後述のソフトロールの例)を図1に示す(概略断面図)。図1に示す定着装置は、円筒状芯金(コアロール)10aの外周面に弾性体層10bが形成され、さらにその上層に耐熱性離型層10cが形成された加熱ロール10と、該加熱ロール10に対し圧接配置され、円筒状芯金11aの外周面に弾性体層11bが形成され、さらにその上層に耐熱性離型層11cが形成された加圧ロール11とで構成され、両ロール10および11の内部には、それぞれヒータランプ12および13が内蔵されている。加熱ロール10には、離型剤塗布装置16により、所定の離型剤が塗布されている。加熱ロール10と加圧ロール11との間には、1〜15Kg/cm2,程度の圧力が加えられたニップ部が形成される。未定着トナー像14の形成された記録シート15は、前記ニップ部に挿通されて定着される。
【0004】
このような加熱ロールを用いて定着を行う方式(ロール定着方式)は、他の加熱定着法である熱風定着方式やオーブン定着方式と較べて熱効率が高く、低電力化が図られ、かつ高速性に優れ、しかも、紙詰まりによる火災の危険性等の問題もないことなどから、現在最も広く利用されている。
【0005】
ロール定着方式は、使用する加熱ロールの材料により、主に大きく2つに分けられる。アルミニウムや鉄のコアロールの上にプライマーと呼ばれる接着剤をコートした後、デュポン社の商品名でテフロンと称されるPTFEやPFAなどのフッ素樹脂を薄く形成したフッ素樹脂ロールと、やはりプライマーを介してシリコーンゴムやフッ素ゴム等を薄く形成したシリコーンゴムロールやフッ素ゴムロールに分けられる。前者は、比較的固いのでハードロール、後者は、柔らかく弾性を有するのでソフトロールと呼ばれる。ハードロールは、主に白黒用複写機、プリンターに、一方ソフトロールは、主にカラー用複写機やカラープリンター、高画質用白黒機等に使用されている。特にカラー用の場合には、高画質と高離型性が求められ、弾性を有するためトナー画像を均一に定着させるのに優れているソフトロールが採用されている。
【0006】
近年、コスト低減や信頼性の改善の観点から、従来より行われていた加熱ロール表面への離型剤の供給はほとんど行われなくなり、この結果、加熱ロールの耐磨耗性が問題となってきている。特に、ソフトロールの場合には、耐磨耗性に対する離型剤の効果は顕著で、離型剤をほとんど供給しない場合には、シリコーンゴムやフッ素ゴムの加熱ロール表面は、数百枚の定着程度で傷や磨耗が発生し、使用不能となることがあった。このため、弾性体層のさらに上層に樹脂層、特に耐磨耗性のあるフッ素樹脂層を形成させることが考えられてきた。
【0007】
特公昭43−1555号では、加熱ロールの構成として、コアロールの回りに弾性体としてシリコーンゴム、更にその上層にフッ素樹脂としてPTFEを被覆したものが提案されている。
特公昭58−43740号では、加熱ロールの構成として、コアロールの回りに弾性層としてシリコーンゴムを形成し、更にその上層に、エーテル基を特定したPFA樹脂層を形成したものが提案されている。
【0008】
特開昭63−36382号等では、加熱ロールの製法として、PFAチューブを引っ張った状態でコアロールに保持し、その隙間に液状シリコーンゴムを注入し、さらにPFAチューブを加硫焼成してフッ素樹脂層を形成することが提案されている。
特開昭55−31494号では、加熱ロールの製法として、コアロールの回りにPFA粒子層を静電塗装法により形成し、その後、溶融焼成してフッ素樹脂層を形成することが提案されている。
【0009】
特開昭63−298382号等では、加熱ロールの製法として、PTFE、PFA、FEPなどのフッ素樹脂分散液(ディスパージョン)をコアロール上に塗布して溶融焼成してフッ素樹脂層を形成することが提案されている。
また、特開昭63−260932号等では、加熱ロール上に、主鎖に下記環状構造
【0010】
【化3】
Figure 0003867375
【0011】
または
【0012】
【化4】
Figure 0003867375
【0013】
を有するパーフロロポリマーをパーフロロ化合物の溶媒に溶解した溶液を用いて、離型層を形成する方法が提案されている。
上記特定のパーフロロポリマーは、サイクルポリマーと呼ばれる環状で融点を持たない非晶質のポリマーで、従来の含フッ素ポリマーが、一般的に溶媒に不溶であったのに対し、上記特定のパーフロロポリマーは、パーフロロ化合物の溶媒に溶解することができ、該溶液を用いればコーティングすることができるので、従来得られなかったフッ素樹脂の薄膜を低温で形成できることに特徴がある。
【0014】
しかしながら、これらのフッ素樹脂層を形成した定着ロールには、定着ロール表面からの用紙剥離性が低下するという共通した問題点があった。これは、表面のフッ素樹脂層の弾性が低いので、トナーを離型するための実効的なロール表面の歪みを確保することができないためである。
【0015】
フッ素樹脂層の弾性を向上させるための対応策として、特開昭61−84671号、特開昭61−89845号、特開昭61−124974号、特開昭61−128274号では芯金の上に弾性体層、更にフッ素樹脂とフッ素ゴムの水溶性混合物、更に乾燥後フッ素樹脂ディスパージョンを塗布した定着ロールを提案している。
しかしながら、これらとても、弾性成分が増した分、短期的な用紙剥離性は満足できても、長期的にはフッ素樹脂粒子が取れてしまい、結果、剥離性が長続きしないという問題点があった。
【0016】
【本発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フッ素樹脂を最外層とする定着ロールの問題点であった用紙剥離性を改善すべく、優れた弾性を有するフッ素樹脂層(離型層)を有する電子写真用定着部品(定着ロール)を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、フッ素樹脂ディスパージョンを塗布した定着ロールの問題点であったフッ素樹脂粒子が脱離したりすることのない、長寿命のフッ素樹脂層を形成した電子写真用定着部品(定着ロール)および定着装置を提供する事を目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の各問題点に鑑み、種々検討した結果、少なくとも外表面を耐熱性および離型性を有する下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状フッ素樹脂と、エラストマーとの混合物で構成する事により達成されることを見いだした。即ち本発明は、
(1)基体の外表面に、下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状フッ素樹脂を溶解したフッ素樹脂溶液と、エラストマーを溶解したエラストマー溶液とを混合し、攪拌した後すぐに、あるいは、攪拌しながら塗布して得られる離型層を有することを特徴とする電子写真用定着部品である。
・一般式(1)
−C6 10O−
【0018】
(2)一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2)または一般式(3)で表される環状の構造単位であることを特徴とする(1)に記載の電子写真用定着部品である。
・一般式(2)
【0019】
【化5】
Figure 0003867375
【0020】
・一般式(3)
【0021】
【化6】
Figure 0003867375
【0022】
(3)前記エラストマーが、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーンゴムからなる群より選ばれる1のエラストマーであることを特徴とする(2)に記載の電子写真用定着部品である。
(4)前記離型層が、SiC、SiO2 、BN、Al2 3 、TiN、CF、PFA粒子、PTFE粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の充填剤を含有してなることを特徴とする(1)ないし(3)に記載の電子写真用定着部品である。
【0023】
(5)基体が、金属あるいはガラスからなる円筒状ロールであることを特徴とする(1)ないし(4)に記載の電子写真用定着部品である。
(6)円筒状ロールと離型層との間に、耐熱性のある弾性体層が形成されていることを特徴とする(5)に記載の電子写真用定着部品である。
【0024】
(7)弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴とする(6)に記載の電子写真用定着部品である。
(8)基体が、金属あるいは耐熱性樹脂からなるベルトであることを特徴とする(1)ないし(4)に記載の電子写真用定着部品である。
【0025】
(9)ベルトと離型層との間に、耐熱性のある弾性体層が形成されていることを特徴とする(8)に記載の電子写真用定着部品である。
(10)弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴とする(9)に記載の電子写真用定着部品である。
【0026】
(11)少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを通過させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱ロール型の定着装置であって、前記加熱ロールおよび/または加圧ロールが(5)ないし(7)に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置である。
【0027】
(12)少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ロールが(5)ないし(7)に記載の電子写真用定着部品、および/または、前記加圧ベルトが(8)ないし(10)に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置である。
【0028】
(13)少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ベルトが(8)ないし(10)に記載の電子写真用定着部品、および/または、加圧ロールが(5)ないし(7)に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置である。
【0029】
(14)少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加熱ベルトおよび加圧ベルトのニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ベルトおよび/または前記加圧ベルトが(8)ないし(10)に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置である。
【0030】
上記構成によれば、用紙剥離性を改善しつつ、かつ、耐久性の高い定着ロールおよび定着ベルトを得ることができる。上記構成により、用紙剥離性が改善できる理由は、明らかではないが、用紙剥離性に対しては離型剤(オイル)の寄与が大きく、フッ素樹脂ではこの離型剤を表面に保持できないが、ゴム状成分が混在する上記本発明の構成によれば、離型剤を表面に保持する事が可能であるためと、考えられる。
なお、本発明において、「定着部品」とは、主として電子写真装置の定着装置として用いられる、ロール、ベルト、ブレード等を指し、その他離型性能や撥水、撥油および耐久性が問題となる電子写真複写機を含む一般の事務機あるいはその他の分野において未定着画像の定着用の部品の全てを含む概念である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態を挙げて詳細に説明する。
〔本発明に用いられる下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状フッ素樹脂〕
まず、本発明に用いられる下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状フッ素樹脂(以下、単に「環状フッ素樹脂」という場合がある)について説明する。
一般式(1)
−C6 10O−
【0032】
本発明に用いられる環状フッ素樹脂は、上記一般式(1)で表される構造単位からなるものであり、該構成単位は、環状の構造を含むものである。上記一般式(1)で表される構造単位としては、具体的には、以下の2種の構造が挙げられる。
一般式(2)
【0033】
【化7】
Figure 0003867375
【0034】
一般式(3)
【0035】
【化8】
Figure 0003867375
【0036】
本発明に用いられる環状フッ素樹脂は、上記一般式(2)および/または一般式(3)で表される構造単位からなるものであり、一般式(2)で表される構造単位と、一般式(3)で表される構造単位とが同一樹脂中で混在していても、単一の構造単位のみから構成されていても構わない。一般式(2)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とが同一樹脂中で混在している場合、その配列、割合等は特に限定されることなく、全体として上記一般式(1)で表される構造単位で、環状フッ素樹脂が構成されていればよい。
【0037】
本発明に用いられる環状フッ素樹脂は、特開平1−131214号公報に記載された方法により製造することができるが、サイトップ(旭硝子社製)という商品名で市場に流通されており、容易に入手することができる。このような環状フッ素樹脂は、PTFEやPFAに比べ引っ張り破壊強度や降伏強度が高いため本発明の定着部品の離型層に耐久性、信頼性の高い表面を与えることができる。なお、具体的な引っ張り破壊強度および降伏強度は以下の通りである。
【0038】
【表1】
Figure 0003867375
【0039】
本発明に用いられる環状フッ素樹脂は、特定のパーフロロ系溶媒に可溶であるため、薄膜のコーティングが可能であり、また、溶媒種により低温で乾燥焼成が可能で、下地にシリコーンゴム等を使用する場合にも、下地を熱で劣化させることがない。
本発明に用いられる環状フッ素樹脂としては、GPCの重量平均分子量としては、3万〜40万の範囲であることが好ましく、特に塗布適性を考慮すると5万〜30万の範囲が好ましい。
【0040】
本発明に用いられる環状フッ素樹脂を溶解し得る溶媒としては、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)FC−75(商品名:3M社製)やパーフロロベンゼン(アフルード:商品名:旭硝子社製)等のパーフロロ化合物の溶媒が好適である。
本発明に用いられる環状フッ素樹脂は、上記のようなパーフロロ化合物の溶媒に溶解してフッ素樹脂溶液とし、後述のエラストマー溶液と混合して離型層塗布液(コーティング液)を構成する。本発明に用いられる環状フッ素樹脂の希釈濃度としては、0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0041】
〔エラストマー〕
従来の問題点であった離型層の弾性の向上は、上記環状フッ素樹脂にエラストマーを添加し、混合物として離型層を形成させることにより達成でき、結果として用紙剥離性を向上することができる。
本発明に使用することができるエラストマーとしては、フッ素ゴムや、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0042】
具体的には、フッ素ゴムとして、加硫可能なフッ素化された弾性状重合体であり従来公知のフッ素ゴムはいずれも含まれる。すなわち、VDF−HFP(フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン)の2元系、VDF−HFP−TFE(フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン)の3元系フッ素ゴムであり、フッ素ゴムの加硫方法としては、アミン加硫、ポリオール加硫、パーオキサイド加硫等各タイプ共使用できるが、ポリオール加硫が最も安定して下流を行うことができる。VDF−HFP−TFEの3元系の中には、配合比率により、樹脂のように溶剤に溶けやすいものがあり、このようなものが本発明において好適に使用することができる。
【0043】
シリコーンゴムとしては、原料的には、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等を挙げることができる。シリコーンゴムの加硫方法としては、有機酸化物で架橋する熱加硫タイプ(HTV)、縮合架橋する室温加硫タイプ(RTV)、白金触媒を用いた付加重合によって架橋させる低温加硫タイプ(LTV)等いずれの加硫方法も使用できる。また、形態的にはシリコーンゴムパウダーなども使用することができる。
また、フッ素樹脂としては、PTFE、PFA、FEP等が挙げられる。
【0044】
本発明に用いられる上記エラストマーは、適当な溶媒に溶解してエラストマー溶液とし、前述のフッ素樹脂溶液と混合して離型層塗布液(コーティング液)を構成する。
フッ素ゴムを溶かす溶媒としては、ケトン類がよくMEK(メチルエチルケトン)やMIBK(メチルイソブチルケトン)が好適に用いられ、単独でも混合して用いてもよい。フッ素ゴムの希釈濃度は0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
シリコーンゴムを溶かす溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンが好適に用いられ、単独でも混合して用いてもよい。シリコーンゴムの希釈濃度は0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
また、フッ素樹脂を溶かす溶媒としては、前述したパーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフロロベンゼンが好適に用いられ、単独でも混合して用いてもよい。フッ素樹脂の希釈濃度は0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0045】
〔離型層塗布液の調製および塗布〕
以上の環状フッ素樹脂を溶解したフッ素樹脂溶液と、エラストマーを溶解したエラストマー溶液とを混合して、離型層塗布液を調製し、基体上の外表面に塗布することにより離型層を得る。フッ素樹脂溶液とエラストマー溶液とは相溶しないのが普通であるため、両溶液を混合し、十分に撹拌した後すぐに、あるいは、撹拌しながら塗布するのがよい。
フッ素樹脂溶液とエラストマー溶液との混合割合は、好ましくは95:5〜40:60、より好ましくは90:10〜70:30である。
【0046】
上記離型層塗布液は、従来の樹脂分散液やディスパージョンタイプ溶液中にフッ素樹脂粒子を含んでいるのではないので、これを塗布焼成することにより得られる離型層は、焼成温度により中に含まれているフッ素樹脂粒子が表面に浮き上がってくることによる離型性の必要以上の向上や、逆にフッ素樹脂粒子の脱落、剥がれによる寿命の低下という問題点がない。
【0047】
上記離型層塗布液は液体であるため、サブミクロンから数10μmまでの薄膜コーティング、とりわけ薄い離型層を得るのに適している。従来のフッ素樹脂チューブ形成法は、30μm程度の厚みとすることが薄さの限度であり、定着後の画質に優れた10μm程度の薄膜の離型層を得ようとすれば、製造上の取扱いが困難になり、極端に製造能力が落ちるのに対し、上記離型層塗布液を用いて離型層を得ればそのような製造能力上の問題は発生しない。
また、このようにして形成された離型層の強度は、従来のフッ素樹脂(PTFE、PFA)よりも引っ張り破壊強度や降伏強度が高くて丈夫であり、信頼性の高い表面が得られる。
【0048】
上記離型層塗布液には、特に磨耗性や離型性の改善のために、充填剤として、SiC、SiO2 、BN、Al2 3 、TiN、CF、PFA粒子、PTFE粒子からなる群より選ばれるものを1種以上使用してもよい。これら充填剤の粒径としては、必要膜厚に応じて適宜選択して使用することができ、具体的には10μm程度以下から1μm以下程度の範囲から選択される。充填剤の充填量としては、上記離型層塗布液中好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0049】
上記離型層塗布液の塗布方法としては、ディップ法、スピン法、スプレー法、ロールコート法等従来公知のいずれの方法をも用いるとができるが、好ましくはスプレー法である。
上記離型層塗布液を塗布後、該塗布膜を乾燥させ離型層を形成する。乾燥は、室温で生乾きさせた後、各種溶媒沸点よりも低温で、プリベークさせてゆっくり温度を上げるようにするとよい。最終的な乾燥温度や、乾燥時間としては、使用する溶媒、昇温速度、空気の対流状態等により、適宜設定すればよいが、およそ150〜180℃、30〜60分程度が好ましい。
乾燥後の離型層の膜厚としては、電子写真用の定着部品として十分な厚みがあれば十分であり、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜30μmの範囲である。
【0050】
〔基体〕
本発明に用いられる基体は、円筒状ロール、ベルト状、ブレード状等電子写真用定着部品として用いられるあらゆる形状のものが挙げられる。
本発明に用いられる基体が円筒状ロールの場合、該基体としては、金属としてアルミニウム、鉄、銅、等の円筒状ロール、ガラス製円筒状ロールが用いられる。
本発明に用いられる基体がベルト状の場合、該基体としては、金属(アルミニウム、鉄、銅等)、あるいは耐熱性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等)からなるベルトが用いられる。
本発明に用いられる基体がブレード状の場合、該基体としては、金属(アルミニウム、鉄、銅等)、あるいは耐熱性ゴム(シリコーンゴム、フッ素ゴム等)からなるブレードが用いられる。
その他、これら基体の大きさ(外径、幅、ベルト長さ等)、厚み(肉厚、シート厚)等は、定着部品として必要な寸法を適宜選択すればよい。
【0051】
〔弾性体層〕
本発明の電子写真用定着部品は、上記基体上に、前記離型層を形成することにより得られるが、基体上に弾性体層として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等を形成した後に前記離型層を形成することが、離型性向上の観点より好ましい。
【0052】
弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、およびその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
【0053】
そしてこれら弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。
このほか特殊な弾性体として、フッ素樹脂としてPTFE、PFAも利用できる。
【0054】
弾性体層に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。
【0055】
〔本発明の定着部品の用途〕
本発明の定着部品は、以下のような種々の分野で利用する事ができる。
(a)電子写真複写機を含む画像形成をその目的とするあらゆる装置において、離型機能が要求されるロール、ベルト、ブレード等の金属あるいはゴム材料に応用する事ができる。
(b)電子写真複写機を含む一般の事務機あるいはその他の分野において、例えばトナー、インク等の画像形成材料がその表面に付着するときに、撥水、撥油および耐久性が問題となるあらゆる金属あるいはゴム製品、ゴム部品に応用が可能であり、これらの部品を使った定着装置としても利用可能である。
【0056】
〔定着装置〕
以上の如き本発明の定着部品を適用し得る具体的な定着装置について、以下に説明する。なお、本発明の定着部品を適用し得る定着装置は、以下のものに限定されるものではない。
1.2ロール方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを通過させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱ロール型の定着装置において、本発明の定着部品は、加熱ロールおよび加圧ロールとして用いることができる。
【0057】
本方式の定着装置は、既述の如き図1に示す方式のものである。即ち、図1における加熱ロール10および加圧ロール11に、本発明の定着部品を適用することができる。即ち、加熱ロール10は基体10a上にシリコーンゴム等による弾性体層10bを形成し、さらにその上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層10cを形成したものであり、同様に加圧ロール11は基体11a上にシリコーンゴム等による弾性体層11bを形成し、さらにその上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層11cを形成したものである。
【0058】
図1に示す定着装置の機構、構造等については、既述の通りであるため割愛する。
なお、本例においては、加熱ロール10と加圧ロール11との双方が本発明の定着部品である場合について説明したが、加熱ロール10と加圧ロール11のうちの一方のみが本発明の定着部品である場合でも、本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の定着部品であることが好ましい。
【0059】
2.ベルトニップロール定着方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着部品は、加熱ロールおよび/または加圧ベルトとして用いることができる。
【0060】
図2に本方式の定着装置の一例の概略断面図を示す。図2において、20は基体20a上にシリコーンゴム等による弾性体層20bを形成し、さらにその上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層20cを形成した、本発明の定着部品としての加熱ロールである。加熱ロール20の内部には、ヒータランプ22が内蔵されている。
【0061】
加熱ロール20には張架ロール27a、ステアリングロール27bおよび圧力ロール27cにより張架された、ポリイミド樹脂シート等よりなる耐熱性の加圧ベルト29が所定角度巻き付き、加圧ベルト29の内側には、加圧ベルト29を加熱ロール20に押しつける加圧パッド28が配され、圧力ロール27cとともにニップ部を形成している。加圧パッド28は、例えば、シリコーンゴムベース上にシリコーンスポンジを載せ、さらにその上にフッ素樹脂製のシートを被せたもの等が用いられる。
【0062】
加熱ロール20は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト29も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像24が形成された記録シート25は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0063】
図5に本方式の定着装置の他の一例の概略断面図を示す。図5において、本発明の定着部品としての加熱ロール50、ヒータランプ52等の構成は、図2の加熱ロール20、ヒータランプ22と同様である。加圧ベルト59自体の構成も、図2の加圧ベルト29と同様であるが、図5においては該加圧ベルト59の保持、引回しの方法が異なっている。即ち、加圧ベルト59は、その内側に配された加圧パッド28により加熱ロール50に押しつけられニップ部を形成しているが、張架ロール等による張架はされず、テンションフリーの状態になっている。
【0064】
加熱ロール50は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト59も矢印C方向に従動回転し、ガイド56により加圧ベルト59の回転の軌道が一定に保持される。未定着トナー像24が形成された記録シート25は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0065】
図5の定着装置は、加圧ベルト59の駆動系が省略されているため、安価に製造でき、また装置の小型化を図ることができる。
【0066】
なお、本例においては、加熱ロール10、50のみが本発明の定着部品である場合について説明したが、加圧ベルト29、59のみが本発明の定着部品である場合であっても本発明の効果は発揮される。もちろん、加熱ロール10、50と加圧ベルト29、59の双方が本発明の定着部品であることが好ましい。加圧ベルト29、59が本発明の定着部品である場合の、該加圧ベルト29、59の構成は、後述の図3における加熱ベルト30と同様である。
【0067】
3.ベルト定着方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着部品は、加熱ベルトおよび/または加圧ロールとして用いることができる。
【0068】
図3は本方式の定着装置の一例を示す概略断面図である。図3において、30は、耐熱性ベースフィルム(例えばポリイミドフィルム等)の基体上にフッ素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層を形成した、本発明の定着部品としての加熱ベルト(定着ベルト)である。該加熱ベルト30に接するように加圧ロール31が配され、加熱ベルト30と加圧ロール31との間にニップ部を形成している。加圧ロール31は、基体31a上にシリコーンゴム等による弾性体層31bを形成し、さらにその上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層31cを形成した、本発明の定着部品である。
【0069】
加熱ベルト30内側には、加圧ロール31と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール33aと、逆T字型をした圧力印加部材33bと、潤滑剤を含浸させた金属パッド33cとからなる加圧部材33が配され、圧力印加部材33bが圧力ロール33aを介して加熱ベルト30を加圧ロール31に押しつけ、前記ニップ部にニップ圧が加わるようになっている。このとき圧力印加部材33bは、金属パッド33cが圧力ロール33aの内面を滑りながらニップ圧を印加している。なお、圧力ロール33aの内面には潤滑性のある耐熱オイルがコーティングされていることが好ましい。
さらに加熱ベルト30の内側には、加熱ベルト30のニップ部を加熱するためのヒータランプ32が配されている。
【0070】
圧力ロール33aに従動して加熱ベルト30は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール31も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像34が形成された記録シート35は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0071】
なお、本例においては、加熱ベルト30と加圧ロール31との双方が本発明の定着部品である場合について説明したが、加熱ベルト30と加圧ロール31のうちの一方のみが本発明の定着部品である場合でも、本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の定着部品であることが好ましい。
【0072】
4.ベルト対方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加熱ベルトおよび加圧ベルトのニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着部品は、加熱ベルトおよび/または加圧ベルトとして用いることができる。
【0073】
図4は本方式の定着装置の一例を示す概略断面図である。図4において、加熱ベルト(定着ベルト)40、ヒータランプ42および加圧部材43の構成は、前記図3における定着装置の加熱ベルト(定着ベルト)30、ヒータランプ32および加圧部材33の構成と同一である。従って、加熱ベルト40は、本発明の定着部品としての加熱ベルト(定着ベルト)である。
【0074】
加熱ベルト40に面で接するように加圧ベルト49が配され、加熱ベルト40と加圧ベルト49との間にニップ部を形成している。加圧ベルト49は、加熱ベルト40と同様の構成、即ち、本発明の定着部品である。加圧ベルト49の内側には、加圧部材43と対向する位置にシリコーンゴム等からなる加圧ロール48が配され、前記ニップ部にニップ圧が加わるようになっている。
【0075】
圧力ロール43aに従動して加熱ベルト40は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト49も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像44が形成された記録シート45は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0076】
なお、本例においては、加熱ベルト40と加圧ベルト49との双方が本発明の定着部品である場合について説明したが、加熱ベルト40と加圧ベルト49のうちの一方のみが本発明の定着部品である場合でも、本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の定着部品であることが好ましい。
【0077】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1
(1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製
(i)フッ素樹脂溶液A1の調製
環状フッ素樹脂(C6 10O)として、サイトップ(旭硝子社製XL809M)を、溶剤として3M社製パーフロロ系溶剤FC−75を用いて環状フッ素樹脂からなる濃度15%のフッ素樹脂溶液A1を調製した。なお、上記サイトップは、前記一般式(2)および一般式(3)の構造単位を有する樹脂であり、分子量は5〜30万の範囲である。
【0078】
(ii)フッ素ゴム溶液B1の調製
3元系のポリオール加硫フッ素ゴムG−602(加硫成分、金属酸化物入り:ダイキン工業社)を3mm立方に細かく裁断したポリマーゴムを、溶剤としてMIBK:MEK=80:20の割合で調製した溶液中に少しずつ投入し、スタラーで攪拌しながら完全に溶解させ、濃度15%のフッ素ゴム溶液B1を調製した。
【0079】
(iii) コーティング液C1の調製
上記(i)で調製したフッ素樹脂溶液A1、(ii)で調製したフッ素ゴム溶液B1、およびプライマーとしてのシランカップリング剤(テトラエトキシシラン、KBE04:信越化学社製)を、50:50:5の割合で混合し、スタラーで十分に攪拌してコーティング液C1を調製し、そのまま攪拌を続けながらスプレーコーティングの準備をした。
【0080】
(iv)加熱ロールの作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、コーティング液C1を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さらに220℃3時間の加硫を行って、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層と白色のゴム層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0081】
(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらに、上記加熱ロールと同じように、コーティング液C1を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、180℃で60分間溶剤分を揮発させ、さらに220℃3時間の加硫を行って加圧ロールを作製した。表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層と白色のゴム層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0082】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。ヒータランプ12および13は、それぞれ800Wおよび700Wのハロゲンランプとし、加熱ロール10の表面の設定温度は、150℃とした。加熱ロール10の回転速度は100mm/secとし、加熱ロール10と加圧ロール11との間に形成されるニップ幅は6mmに設定されている。18および19は、それぞれインレットおよびアウトレットの、記録シート15をスムーズに出入りさせるための平板状の各シュートである。離型剤オイルとしてフジゼロックス(株)製カラーフューザーオイルを加熱ロール10と加圧ロール11の両表面に1μl/(A4用紙サイズ)の量になるように供給した。
【0083】
(4)用紙剥離性評価試験
記録シート15として富士ゼロックス製J紙を用い、該記録シート15に粉体トナーによる未定着トナー像をトナー密度が2.5mg/cm2 になるように形成した。
未定着トナー像14は、トナーとして富士ゼロックスA Color 635用カラートナー(シアン色)にワックス(ポリプロピレンワックス)を5%含有したものを使用し、不図示の電子写真装置の転写機で形成した。用紙剥離性の評価は、記録シート15が加熱ロール10からきれいに剥離するかどうかを官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:問題なくきれいに剥離する場合
×:辛うじて剥離するが、加熱ロール10につられてしまう場合
××:加熱ロール10に巻き付いてしまう場合
結果を表2に示す。表2に示すように用紙剥離性は良好であった。
【0084】
(5)耐磨耗性評価試験
前記定着装置を組み込んだ電子写真装置:富士ゼロックス社製A Color635改造機に装着し、耐磨耗性評価試験を行った。記録シート15および用いたトナーは、用紙剥離性評価試験と同様とした。未定着トナー像のトナー密度は0.7mg/cm2 とした。耐磨耗性の評価は、記録シート15を20000枚通紙したところでの、表面のキズ、しわの発生、ゴムの脱落、磨耗等表面の変化を検査することによって行った。結果を表2に示す。表2に示す通り耐磨耗性は良好であった。
【0085】
実施例2
(1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製
(i)フッ素樹脂溶液B2の調製
TFE−HFP−VDFの3元共重合体のポリオール加硫タイプのフッ素樹脂THV200P(加硫成分、金属酸化物入り:住友3M社)を1mm立方に細かく裁断した樹脂片を、溶剤としてMIBK:MEK=90:10の割合で調製した溶液中に少しずつ投入し、スタラーで攪拌しながら完全に溶解させ、濃度15%のフッ素樹脂溶液B2を調製した。
【0086】
(ii)コーティング液C2の調製
実施例1で調製したフッ素樹脂溶液A1、上記(i)で調製したフッ素樹脂溶液B2、およびプライマーとしてのシランカップリング剤(テトラエトキシシラン、KBE04:信越化学社製)を、50:50:5の割合で混合し、スタラーで十分に攪拌してコーティング液C2を調製し、そのまま攪拌を続けながらスプレーコーティングの準備をした。
【0087】
(iii) 加熱ロールの作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、コーティング液C2を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さらに220℃3時間の加硫を行って、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、ほぼ無色透明な樹脂層と、若干色感の異なるほぼ無色透明な樹脂層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0088】
(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、コーティング液C2を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さらに220℃3時間の加硫を行って、加圧ロールを作製した。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、ほぼ無色透明な樹脂層と、若干色感の異なるほぼ無色透明な樹脂層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0089】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すように用紙剥離性は、特に問題なく良好であった。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示す通り耐磨耗性は良好であった。
【0090】
実施例3
(1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製。
(i)シリコーンゴム溶液B3の調製
有機過酸化物加硫タイプのHTV系シリコーンゴムS−1607(加硫成分、シリカ入り:東レ社製)を3mm立方に細かく裁断したゴム片を、溶剤としてトルエン溶液中に少しずつ投入し、スタラーで攪拌しながら完全に溶解させ、濃度15%のシリコーンゴム溶液B3を調製した。
【0091】
(ii)コーティング液C3の調製
実施例1で調製したフッ素樹脂溶液A1、上記(i)で調製したシリコーンゴム溶液B3、およびプライマーとしてのGLP−103SR(ダイキン工業社製)を、60:40:5の割合で混合し、スタラーで十分に攪拌してコーティング液C3を調製し、そのまま攪拌を続けながらスプレーコーティングの準備をした。
【0092】
(iii) 加熱ロールの作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、コーティング液C3を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を作製した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さらに180℃3時間の加硫を行って、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層と肌色のゴム層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0093】
(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、コーティング液C3を、攪拌を続けながらスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を作製した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さらに180℃3時間の加硫を行って、加圧ロールを作製した。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層と肌色のゴム層とが混在したモザイク模様になっていた。
【0094】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すように用紙剥離性は、特に問題なく良好であった。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示す通り耐磨耗性は良好であった。
【0095】
比較例1
(1)フッ素樹脂のみの離型層を有する加熱ロール(比較例の定着部品)の作製基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、実施例1で調製したフッ素樹脂溶液A1をスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティングしたフッ素樹脂溶液A1中の溶剤分を揮発させ、加熱ロールを作製した(なお、加熱しても架橋はせず、特に加硫は行っていない。)。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層のみが形成されていた。
【0096】
(2)加圧ロール(比較例の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、実施例1で調製したフッ素樹脂溶液A1をスプレーコーティングし、最外層としての離型層(乾燥膜厚として10μm)を形成した。その後、温度をゆっくり上げ、120℃で30分間コーティングしたフッ素樹脂溶液A1中の溶剤分を揮発させ、加圧ロールを作製した(なお、加熱しても架橋はせず、特に加硫は行っていない。)。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、透明な樹脂層のみが形成されていた。
【0097】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。用紙剥離性は定着の途中で、用紙(記録シート)が加熱ロール側にやや向いてから、かろうじて剥離したので、評価としては×とした。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示す通り耐磨耗性については良好であった。
【0098】
比較例2
(1)フッ素樹脂のみの離型層を有する加熱ロール(比較例の定着部品)の作製基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、30μmの厚みのPFA熱収縮チューブ(グンゼ工業社製)をプライマー層(シランカップッリング剤、テトラエトキシシランKBE04、信越化学社製、乾燥層厚5μm)を介して形成し、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、無色透明平滑面になっていた。
【0099】
(2)フッ素樹脂のみの離型層を有する加圧ロール(比較例の定着部品)の作製基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、30μmの厚みのPFA熱収縮チューブ(グンゼ工業社製)をプライマー層(シランカップッリング剤、テトラエトキシシランKBE04、信越化学社製、乾燥層厚5μm)を介して形成し、加圧ロールを作製した。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、無色透明平滑面になっていた。
【0100】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。用紙剥離性は、定着の途中で用紙(記録シート)がロール巻き付いてしまい、評価は××とした。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示す通り耐磨耗性は良好であった。
【0101】
比較例3
(1)フッ素ゴムのみからなる離型層を有する加熱ロール(比較例の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、プライマー層(シランカップッリング剤、テトラエトキシシランKBE04、信越化学社製、乾燥層厚5μm)を介して、カーボン入り2元系パーオキサイド系フッ素ゴムG−802(ダイキン工業社製)を30μmの厚さに形成し、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、黒色平滑面になっていた。
【0102】
(2)フッ素ゴムのみからなる離型層を有する加圧ロール(比較例の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、プライマー層(シランカップッリング剤、テトラエトキシシランKBE04、信越化学社製、乾燥層厚5μm)を介して、カーボン入り2元系パーオキサイド系フッ素ゴムG−802(ダイキン工業社製)を30μmの厚さに形成し、加圧ロールを作製した。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、黒色平滑面になっていた。
【0103】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すように用紙剥離性は、特に問題なく良好であった。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。耐磨耗性は、1000枚ほど流したところで、加熱ロール表面にキズが円周上に発生し、致命的な欠陥と判断し、テストは中止した。
【0104】
比較例4
(1)フッ素ゴム変性型TFE塗料塗布離型層を有する加熱ロール(比較例の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、プライマー層(GLP103SR、ダイキン工業社製、乾燥層厚5μm)を介して、フッ素ゴム−フッ素樹脂ディスパージョン(GLS213:ダイキン工業社製)を塗布し、80℃で10分乾燥し、さらに280℃で10分間加熱して30μmの厚さに形成し、加熱ロールを作製した。得られた加熱ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、茶色の凹凸面になっていた。
【0105】
(2)フッ素ゴム変性型TFE塗料塗布離型層を有する加圧ロール(比較例の定着部品)の作製
基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴムを1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、プライマー層(GLP103SR、ダイキン工業社製、乾燥層厚5μm)を介して、フッ素ゴム−フッ素樹脂ディスパージョン(GLS213:ダイキン工業社製)を塗布し、80℃で10分乾燥し、さらに280℃で10分間加熱して30μmの厚さに形成し、加圧ロールを作製した。得られた加圧ロールの表面を拡大倍率約100倍の顕微鏡で観察すると、茶色の凹凸面になっていた。
【0106】
(3)定着装置
以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加圧ロールを図1に示す定着装置に組み込んだ。その他の条件は、実施例1と同様とした。
(4)用紙剥離性評価試験
実施例1と同様にして用紙剥離性評価試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示すように用紙剥離性は、特に問題なく良好であった。
(5)耐磨耗性評価試験
実施例1と同様にして耐磨耗性評価試験を行った。その結果を表2に示す。耐磨耗性は、3000枚ほど流したところで、加熱ロール表面にスジが円周上に発生し、致命的な欠陥と判断し、テストは中止した。このスジを顕微鏡(拡大倍率約100倍)で見ると表面のフッ素樹脂が脱落していることが観察された。
【0107】
【表2】
Figure 0003867375
【0108】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に用いられる環状フッ素樹脂−エラストマー混合物は、フッ素樹脂でありながら特殊な溶媒に溶けものであり、他の溶媒に溶解したエラストマーと混合して、適当な基材、例えば金属や耐熱性樹脂フィルム、あるいはゴムなどの弾性体にもコーテイングが可能である。このようにして得られる定着部品は、トナーの離型性に優れ、耐磨耗性にも非常に優れるという特徴を持ち、薄くコーテイングできるので、高画質適性も併せ持つ。また、フッ素樹脂粒子の脱落、剥がれによる耐磨耗性の低下という問題点がない。また、低温で加工できるので下地にゴムを用いた場合にも、当該ゴムを痛めることがないといった利点もある。さらに、容易にコーティングできるので、経済性に優れるという利点もある。
また本発明の定着部品は、加熱ロール型定着装置、あるいは、加熱ベルト型定着装置を構成するロール、あるいは、ベルトに適用することにより、高画質・高耐磨耗・高離型性を併せ持つ定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な定着装置の構成例、および本発明の定着部品が適用される定着装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の定着部品が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の定着部品が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の定着部品が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の定着部品が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10、20、50:加熱ロール
11、31:加圧ロール
12、13、22、32、42、52:ヒータランプ
14、24、34、44、54:未定着トナー像
15、25、35、45、55:記録シート
16、26、56:離型剤塗布装置
27:ロール
28、58:加圧パッド
29、49、59:加圧ベルト
30、40:加熱ベルト(定着ベルト)
33、43:加圧部材

Claims (14)

  1. 基体の外表面に、下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状フッ素樹脂を溶解したフッ素樹脂溶液と、エラストマーを溶解したエラストマー溶液とを混合し、攪拌した後すぐに、あるいは、攪拌しながら塗布して得られる離型層を有することを特徴とする電子写真用定着部品。
    ・一般式(1)
    −C6 10O−
  2. 一般式(1)で表される構造単位が、下記一般式(2)または一般式(3)で表される環状の構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用定着部品。
    ・一般式(2)
    Figure 0003867375
    ・一般式(3)
    Figure 0003867375
  3. 前記エラストマーが、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーンゴムからなる群より選ばれる1のエラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真用定着部品。
  4. 前記離型層が、SiC、SiO2 、BN、Al2 3 、TiN、CF、PFA粒子、PTFE粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の充填剤を含有してなることを特徴とする請求項1ないし3に記載の電子写真用定着部品。
  5. 基体が、金属あるいはガラスからなる円筒状ロールであることを特徴とする請求項1ないし4に記載の電子写真用定着部品。
  6. 円筒状ロールと離型層との間に、耐熱性のある弾性体層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子写真用定着部品。
  7. 弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴とする請求項6に記載の電子写真用定着部品。
  8. 基体が、金属あるいは耐熱性樹脂からなるベルトであることを特徴とする請求項1ないし4に記載の電子写真用定着部品。
  9. ベルトと離型層との間に、耐熱性のある弾性体層が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電子写真用定着部品。
  10. 弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴とする請求項9に記載の電子写真用定着部品。
  11. 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを通過させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱ロール型の定着装置であって、前記加熱ロールおよび/または加圧ロールが請求項5ないし7に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置。
  12. 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ロールが請求項5ないし7に記載の電子写真用定着部品、および/または、前記加圧ベルトが請求項8ないし10に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置。
  13. 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ベルトが請求項8ないし10に記載の電子写真用定着部品、および/または、加圧ロールが請求項5ないし7に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置。
  14. 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加熱ベルトおよび加圧ベルトのニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ベルトおよび/または前記加圧ベルトが請求項8ないし10に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定着装置。
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