JP2004101798A - 定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法 - Google Patents

定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法 Download PDF

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田中 正冶
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佐藤 達哉
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Abstract

【課題】耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法を提供すること。
【解決手段】本発明の定着用回転体10は、無端状基体11の上に、弾性体層13および接着層14の少なくとも一方を具備する内層を有し、回転体10外周面は、オフセット防止被覆層12を有し、かつオフセット防止被覆層12が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなる。本発明の定着装置は、このような回転体を備えてなる。また本発明の加熱定着方法は、前記回転体10を加熱定着体として用い、前記オフセット防止被覆層12には、導電性充填物が分散されている。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法に関するものであり、詳しくは、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法に関するものである。
本発明の定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法は、電子写真式の複写機、レーザープリンタ等の静電転写プロセスを利用する画像形成装置の加熱定着ローラ、加熱定着ベルト、加圧定着ローラ等に好適に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な電子写真複写機等の画像形成装置用の定着装置としては、様々な定着方式のものが提案され、実施されている。例えば、ローラ定着タイプのもの、特にローラ対の少なくとも一方が熱源によって加熱されるローラのタイプである加熱ローラ定着装置(ヒートロール定着方式)が主流をなしている。
ここで一対のローラのうち、記録材の画像担持側の面に接するローラを定着ローラまたは加熱定着ローラと呼び、他方のローラを加圧ローラまたは加圧定着ローラと呼ぶ。
ローラ定着タイプの定着装置において、定着ローラは記録材の画像担持面に直接に接触するため、記録材上の画像を構成している顕画剤(以下、トナーと記す)の一部が前記定着ローラ表面に粘着して付着し、この付着トナーがローラ回転に伴い再び記録材上に転写されるいわゆる「オフセット現象」を発生しやすい。そこでこのオフセット現象を防止する手段として、従来技術では下記のような種々の手段が採択されている。
【0003】
a.定着ローラ外周面にポリテトラフロロエチレン樹脂(以下、PTFEと記す)等のフッ素樹脂やシリコンゴム等の高離型性材料(非粘着性材料)のオフセット防止被覆層を設けて定着ローラの離型性(非粘着性)を向上させる。
b.定着ローラ周面にシリコンオイル等の離型剤を塗布する手段を具備させる。
c.定着ローラ周面の汚染物を清掃除去するブレードやウェブ等の摺擦クリーニング手段を具備させる。
d.記録材上に担持させた未定着画像のトナーと同極性の直流バイアスを定着ローラ芯金に印加する。
e.上記a〜dの手段の組み合わせ。
【0004】
しかしながら上記従来のオフセット防止手段については下記のような問題があった。
1)上記a.のオフセット防止被覆層を設けても、トナー結着樹脂の種類によっては離型性の悪いものがあり、トナーの一部が粘着してローラ面を汚染することがある。
また近年、低コスト化傾向、サービス性の向上、産業廃棄物の規制等から定着ローラ各種部品の高耐久化が強く求められているが、PTFE等のフッ素樹脂の耐摩耗性は十分でなく寿命が短いという欠点を有する。定着ローラの表面はブレート等のクリーニング手段、離型剤塗布手段、記録材分離爪、温度検出素子、加圧ローラ等で摺擦を受けて摩耗する。また定着ローラと加圧ローラの間を通過する記録材の摺擦も受ける。そして大量の紙(記録材)を通した時、紙から紙粉が発生し定着ローラに付着する。この紙粉は定着ローラに当接させたクリーニングブレード等で除去されることになるが、特に紙のエッジ部では紙粉の発生が顕著であり、紙粉に含まれる種々の無機充填剤によりローラ表面は摩耗する。
そして定着ローラは表面の摩耗により平滑性を失うことで本来の離型性が低下する傾向が出てくる。
【0005】
2)純粋なフッ素樹脂の被覆層は一般に絶縁性もしくは高抵抗であるため、その表面が、記録材、加圧ローラ等の対ローラ当接部材との摺擦による摩擦帯電により大きく帯電し、記録材上のトナーが静電作用により定着ローラ表層に吸着され、いわゆる「静電オフセット現象」が発生しやすい。
フッ素樹脂は記録材等との摺擦により負(−)に大きく帯電する。トナーが正(+)の極性を持つ場合、トナーは負帯電のフッ素樹脂被覆層の電界にひきつけられ定着ローラ表面に付着しやすくなる。
【0006】
3)一般にフッ素樹脂等の耐摩耗性は、これにガラス粉、シリカ、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、コランダム粉、ニッケルや鉄等の金属粉等の高硬度の無機充填材を混入することにより向上させることができるが、混合量が少ないと耐摩耗性向上の効果が十分ではなく、混合量を増加していくと離型性が悪くなり、オフセット防止効果が低下する。一般にこれらの充填材はフッ素樹脂中への分散性が悪く、また分散できたとしても充填材とフッ素樹脂との接着性が悪くなり耐久等により定着ローラ被覆層の充填材の一部が離脱する等の不具合が生じていた。分散が不良の場合は、耐久により充填材の少ない部分が先にスジ状あるいはまだら状に削れ、削れた部分にトナーが入り込み、表面に固定化され、定着ローラの非粘着性の低下をきたす場合が多かった。また離脱した充填剤が逆に研摩剤として作用し、摩耗を加速する等の問題が生じた。充填材の粒径を細かくする等の試みもされたが、充填剤とフッ素樹脂との接着性が悪く、逆にフッ素樹脂層全面が摩耗するという結果となっていた。
【0007】
4)静電オフセット防止手段として、被覆層に、カーボンブラック、金属粉、二酸化チタン等の低抵抗の微粉末、またはチタン酸カリウム等の導電化したウイスカー状単結晶繊維等の導電性充填材を混入させることにより被覆層を低抵抗化させ、被覆層の摩擦帯電を防止する技術がある。この場合、導電性充填材に要求される性能は
・被覆層材料中への分散性が良好で均一であること、
・被覆層材料に対する接着性が良好であること、
・被覆層の耐摩耗性が向上すること、
・被覆層に十分な導電性を付与できること、
・被覆層表面の平滑性が得られること、
等である。
【0008】
しかしながら従来の充填材は上記のような性能をすべて満足させることが難しかった。
例えば、カーボンあるいは導電化したウイスカー状単結晶繊維の場合は、フッ素樹脂被覆層を強靭化するため、耐摩耗性を向上する効果はあまり認められず、長期間の使用により被覆層がスジ状に摩耗したりして表面平滑性が悪くなり、オフセット現象を生じたり、定着性が悪くなる場合あった。またカーボン等の微粉末の充填材は、分散性が悪く二次凝集し易いという欠点をもち、耐静電オフセット性を満足させるためには必要以上の量を使用する必要があった。チタン酸カリウム等のウイスカー状単結晶繊維は、比較的に比表面積が大であるために耐静電オフセット性は良好であったが、やはり耐摩耗性を向上させる効果は薄かった。これはこの材料がウイスカー状であるために比較的もろく、かつフッ素樹脂中で樹脂の強度を補強するために要求される3次元橋かけ構造を取りにくいからと考えられる。
特開平6−130849号公報は、オフセット防止被覆層に、中空の内殻と該内殻の表面を被覆し実質的に導電性酸化物からなる外殻とを具備した中空二重殻導電性物質の充填剤を含有させる技術を開示し、中空二重殻導電性物質としては、無定形シリカまたはシリカ含有物質よりなる中空の内殻と、実質的に酸化スズおよび三酸化アンチモンからなる外殻とを具備した材料が例示されている。しかしながら、粒状の充填材であることに変わりはなく、耐摩耗性に関しては不充分な特性であった。
【0009】
5)一方、前記b.のシリコンオイル等の離型剤塗布手段、c.の摺擦クリーニング手段、d.のバイアス印加手段は、前記a.のオフセット防止被覆層を形成した定着ローラの補助的なオフセット防止手段である。
離型剤塗布手段により定着ローラ表面にオイルを供給することにより汚れは軽減するが、オイルのぬれ性が悪く、ツブツブになったり、まだら状になったりして、均一に塗布することが困難であった。従ってオイルの供給量を多くせざるを得なくなり、記録材へのオイルのボタ落ち、シミ等の問題が生じていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体、それを用いた定着装置および加熱定着方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、電子写真式画像形成装置の定着装置に用いる、二つの回転体からなる一対の定着用回転体であって、前記回転体は、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかであり、前記回転体対の少なくとも一方の外周面は、オフセット防止被覆層を有し、かつ前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする定着用回転体である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする定着用回転体である。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化されていることを特徴とする定着用回転体である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする定着用回転体である。
請求項5の発明は、請求項3に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が前記回転体の周面に全体的になされていることを特徴とする定着用回転体である。
請求項6の発明は、請求項3または5に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が、機械的手段または電磁的手段を用いて施されていることを特徴とする定着用回転体である。
請求項7の発明は、請求項4に記載の一対の定着用回転体であって、前記フッ素化処理する方法が、フッ化炭素ガスを用いたプラズマ処理法であることを特徴とする定着用回転体である。
請求項8の発明は、請求項2に記載の一対の定着用回転体であって、前記導電性充填物は、フッ素化処理された炭素材または炭素−炭素複合体の微粉体であることを特徴とする定着用回転体である。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層が、含フッ素樹脂成形体であることを特徴とする定着用回転体である。
請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体が、加熱機構を具備する加熱定着体であることを特徴とする定着用回転体である。
請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の定着用回転体を備えたことを特徴とする電子写真式画像形成装置の定着装置である。
請求項12の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする加熱定着方法である。
請求項13の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化され、かつ前記粗面化が前記回転体の周方向になされていることを特徴とする加熱定着方法である。
請求項14の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層を少なくとも具備する内層を有する回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする加熱定着方法である。
請求項15の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする加熱定着方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
図1は本発明の定着用回転体の一例を説明するための図である。なお図1の回転体は加熱定着ローラを例示しているが、該ローラ以外にも、本発明の回転体は無端形状をもつ定着用ベルトであることができる。
図1に示すように、加熱定着ローラ10は、例えば基体であるアルミニウム合金A5052等の金属芯金11の表面に、従来法に従って接着層の役割を行うプライマー層を塗布した後、その上にオフセット防止被覆層12を積層して形成されている。
図2は、図1におけるA−A断面図である。図2によれば、金属芯金11の上部に、弾性体層13、接着層14が順次積層され、回転体の外周面として、オフセット防止被覆層12がさらに積層されている。本発明では、オフセット防止被覆層12が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴としている。
図3は、本発明におけるオフセット防止被覆層の断面図である。図3のオフセット防止被覆層12は、含フッ素高分子量体15、含フッ素低分子量体16および下記で説明する導電性充填物20を含んでいる。
【0013】
オフセット防止被覆層12は、含フッ素高分子の被膜であり摩擦等の帯電現象によって負帯電の傾向がある。そのため、極性がそれとは逆の帯電特性を有するトナー(正帯電トナー)を画像形成プロセスに用いる場合には、静電的付着を防止するため導電性充填物をオフセット防止被覆層12に含有、分散させるのが好ましい。
前記導電性充填物としては、フッ素化処理された炭素材または炭素−炭素複合体の微粉体が挙げられる。図4は、本発明で使用される導電性充填物を説明するための図である。図4に示されるように、本発明で使用される導電性充填物20は、フッ素化処理された表面21を有する、球形充填材22(断面図)、ファイバー状充填材23(斜視図)、不定形充填材24(断面図)等が挙げられる。フッ素化処理された表面21を有することにより、導電性充填物20の機械的強度および分散性が向上する。フッ素化処理は、炭素系材料の強いC−C結合に基づくぬれ性の悪さを克服するために、導電性充填物20の表面をあらかじめ電解酸化し改質し、続いてフッ素ガスに直接接触させることにより行うことができる。導電性充填物20は、オフセット防止被覆層12の体積抵抗を所望の値にコントロールし、帯電による静電オフセットを防止する役割と、オフセット防止被覆層12の摩耗による損傷や劣化を防止する役割を果たす。本発明における導電性充填物20は、サブミクロンから数ミクロンのサイズであり、フッ素化処理されることによって機械的特性や分散性が改善され、オフセット防止被覆層12中に良好に混合または分散する。
【0014】
また本発明は、オフセット防止被覆層の表面が粗面化されていることが好ましい。粗面化は、公知の機械的手段または電磁的手段を用いて行うことができる。
図5は、粗面化されたオフセット防止被覆層を説明するための断面図である。オフセット防止被覆層12の表面は、粗面化部分17と、非粗面化部分18とを有する。含フッ素樹脂の低分子量体は、表面近傍に集まりやすい特性を有し、これにより粗面化部分17には、該低分子量体が表面露出する割合が増える。また、フッ素化処理された導電性充填物(存在するとき)も表面に露出する。含フッ素樹脂の低分子量体およびフッ素化処理された導電性充填物は、表面自由エネルギーが小さく、潤滑性、非粘着性に優れるが、含フッ素樹脂の高分子量体ほどには油分をはじかない。そのため、粗面化部分17は、顕画剤(トナー)に含有された離型剤であるワックスをとどめておこうとする作用がある。したがって、粗面化されたオフセット防止被覆層は、表面が硬くトナー、ワックスをはじきやすい高分子量体が多い部分と、粗面化によって凹部となり液状物質を保持しやすく潤滑性に優れワックスになじみやすい部分ができ、トナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に満足させることができる。また、定着時は、トナー樹脂の溶融に先立ち、トナーに含有された離型剤であるワックスが連続的に粗面化部分に広がり、その部分に馴染み、粗面化部分17の凹部であってもトナー樹脂が粘着することがなく、トナーのオフセット現象を防止することができる。なお、本発明によれば、画像転写材である紙の運動方向、すなわち回転体の周面に全体的に粗面化がなされているのが好ましい。
【0015】
また本発明によれば、オフセット防止被覆層12の表面が、フッ素化処理されていることが好ましい。
オフセット防止被覆層12の表面に対し、例えばフッ素系ガスを用いたプラズマ処理法によりフッ素化処理を行うことにより、該層表面の含フッ素樹脂の分子鎖の一部が切断され、その部分には−CF基が形成され表面自由エネルギーが低くなる。これにより、オフセット防止被覆層12の機械的特性がさらに改善され、低摩擦、耐摩耗性に富んだ表面となり、回転体へのトナーのオフセット発生が一層防止されるとともに記録材搬送のすべり性や摩擦性を好適にして搬送時のしわや蛇行の防止を可能にする。
【0016】
本発明における弾性体層13としては、例えば硬度の低いシリコーンゴムや硬度のやや高いフッ素ゴムが用いられる。また接着層14としては、耐熱性の接着剤を用いるのが好ましい。
なお本発明によれば、弾性体層13、接着層14は、用途に応じて設けなくても本発明の効果を奏することができる。このような回転体は、例えば電子写真式複写機のモノクロ、低価格のものが挙げられる。
図6は、弾性体層13を設けない本発明の回転体を説明するための断面図である。図6によれば、金属芯金11の上部に接着層14が積層され、回転体の外周面として、オフセット防止被覆層12がさらに積層されている。
本発明の回転体は、加熱定着体(例えば加熱定着ローラ)および加圧定着体(例えば加圧定着ローラ)の両方に弾性体層13および/または接着層14を設けてもよいし、いずれか一方に弾性体層13および/または接着層14を設けてもよいし、両方に弾性体層13および/または接着層14を設けなくてもよい。また、オフセット防止被覆層12は、加熱定着体または加圧定着体あるいはこれらの両方に設けることができる。これらの各層は、用途、画質、部品コスト等を勘案して適宜選択すればよい。
【0017】
図7は、本発明の回転体を説明するための図である。
図7において、符号27および28で示される二つの回転体は、それぞれ加熱定着体である加熱定着ローラおよび加圧定着体である加圧定着ローラである。そして前記各ローラの外周面はオフセット防止被覆層を有し、このオフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることは、前述のとおりである。加熱定着ローラ27の内部には、ランプヒータ等の加熱機構29が具備され、加圧定着ローラ28との間には加圧力が印加されニップを形成している。定着工程において、表面に顕画材(トナー)30が付着した記録材31が、加熱定着ローラ27および加圧定着ローラ28間に挿入され、トナー30が記録材31上に熱定着する。
このとき、加熱定着ローラ27におけるオフセット防止被覆層は、導電性充填物が分散されているか、あるいはその表面が粗面化処理されていることが好ましい。また加圧定着ローラ28が、前記の弾性体層を有するものであるか、あるいはその表面がフッ素化処理されていることが好ましい。
【0018】
また本発明の定着装置は、前述のような本発明の回転体を備えてなる。
図8は、本発明の定着装置の一例を説明するための図である。
図8において、本発明の定着装置40は、本発明の加熱定着ローラ41と、この加圧定着ローラ41と圧接回転する加圧定着ローラ42と、この加圧定着ローラ42側に設けられた加圧スプリング43による加圧力を伝達する加圧レバー44とを備え、この加圧力による圧接および加熱定着ローラ41内部に設けられた加熱機構(定着ヒータ)45による加熱を利用して記録材(紙)上のトナーを定着させている。また、46は定着分離爪、47は加圧分離爪、48は排紙分岐爪をそれぞれ示している。加熱定着ローラ41は定着ヒータ45によって加熱され、その表面温度は加熱定着ローラ41の外周面に摺接させたサーミスタ49によって検出され一定の定着温度に保たれるように加熱定着ローラ41の温度制御が行われる。50は過昇温度防止用の温度ヒューズである。定着装置40での搬送は駆動系(図示せず)からの回転駆動により加熱定着ローラ41および加圧定着ローラ42は回転し、給紙トレイから給紙された紙は定着装置40の入口ガイド51を経由して両ローラ41、42間のニップ部を通り定着後に排紙ローラ52の駆動により排紙される。この定着装置40からの排紙は排紙センサ53により検出される。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明する。
実施例1
図6に示すような回転体を作製した。すなわち、アルミニウム合金A5052の金属芯金11の表面に、従来法に従ってPAI等の接着層14(耐熱性プライマー層)を9μmの厚さで塗布した後、その上にオフセット防止被覆層12を概ね20μmの膜厚で成膜した。オフセット防止被覆層12における含フッ素樹脂の高分子量体は、耐熱性や離型性に優れ、膜形成が行いやすいPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂を高分子量体として用いることができる。高分子量体の数平均分子量は、例えば10万〜20万が好ましい。
本実施例では、平均粒径数μmのMP102粉体(三井デュポンフロロケミカル)を用いた。高分子量体はこれに限定されるものではなく、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体)等を耐熱性を考慮して用いることができる。
また、低分子量体としては、例えばTFEオリゴマー微粉体を用いることができる。TFEオリゴマー微粉体は、ポリテトラフルオロエチレン粉末をフッ素ガス雰囲気中でフッ素化処理したもので、分子鎖の末端までフッ素で置換したものである。低分子量体の数平均分子量は、併用される高分子量体の分子量よりも小さく、例えば数1000〜2000が好ましい。
本実施例では、このTFEオリゴマー微粉体として、セフラルルーブの商品名で呼ばれるセントラル硝子(株)の平均粒径約1μm程度のものを用いた。この二種類のフッ素樹脂を重量比でPFA粉体:TFEオリゴマー微粉体=10:90に混合して塗膜マトリックス樹脂の原料とした。なお、本発明によれば、高分子量体と低分子量体との混合割合は、前者:後者として、5:95〜35:65(重量比)が好ましい。
さらにこの原料に導電性充填物としてグラファイト微粉体を重量%で2〜3%混合し水溶性ディスパージョンを作り、これをスプレー等の塗装手段で芯金11上に塗布してその後に380℃程度の焼成温度で数10分焼成を行って芯金11に固定化した。
なお本発明によれば、導電性充填物としては、公知のグラファイト微粉体、導電性カーボン粉体、炭素−炭素複合体等が用いられる。これらの形状は、図4に示すようにどのようなものでもよい。本実施例で用いたグラファイト微粉体は、フッ素ガスを用いたフッ素化処理を行ったものである。フッ素圧3×10−2Torr、25℃、8分の処理を行い、ぬれ性が改善されたためマトリックス樹脂への分散性が向上した。このような方法より、図6に示したようなローラが得られた。このローラは、定着装置における加熱定着体として用いるのが好適である。形成されたオフセット防止被覆層12は、図3に示されるように、大部分を占める含フッ素高分子量体15の中に、より表面自由エネルギーが小さく撥水性の高い含フッ素低分子量体16がミクロ的に相分離されて点在する形態をとる。導電性充填物20は、表面がフッ素化処理されているので分散性が良く、均一に分散しやすいが、低分子量体16は焼成時の熱的運動によって表面近傍に集まりやすい傾向になる。
上記のローラを加熱定着体として用いる場合、オフセット防止被覆層12の粗面化方法として、ショットブラスト、ワイヤブラシ、研磨テープなどの機械的手段を用いた。粗面化の粗さは中心線平均粗さRaで0.3μm〜20μm、好ましくは0.3μm〜7μmがよい。20μmを越えるとトナー粒子の凹部への入り込みが多くなる。
【0020】
実施例2
実施例1と同様な方法で、含フッ素樹脂の高分子量体として数平均分子量300万のPTFE粉体を用い、低分子量体としてTFEオリゴマー微粉体を用い、前者:後者として15:85(重量比)で混合し、該混合物に対し、導電性充填物としてフッ素化処理した導電性カーボン粉体を3重量%充填し、これを塗工し、図6に示されるようなローラ状の加熱定着体を得た。この場合にもオフセット防止被覆層12は図3に見られるような膜構造が見られた。このローラを加熱定着体として用いる場合、オフセット防止被覆層の粗面化方法として、低温プラズマを用いた電磁的手段を採用した。
具体的には図9に示す装置を用いた。プラズマ源61にガス導入系62からアルゴンガスを導入しアルゴンプラズマを生成しローラに照射した。真空容器60は真空バルブ68を介して真空排気装置67により真空排気される。300Wの電力でプラズマを生成し、ローラ63に200Vの負バイアスを印加してプラズマ処理を行った。ローラ63は保持機構64と回転駆動系65により回転自在である。66は駆動制御装置を示す。この装置を用い、20rpmで周方向(ローラの回転方向)に回転しながらプラズマによる粗面化処理を実施した。電磁的な粗面化はプラズマ処理以外にスパッタリングによるエネルギー粒子を照射することによっても目的は達せられる。ローラ63表面の粗面化は中心線平均粗さRaで0.1μm〜3μmを目処として実施した。0.1μmより小さいと逆にトナーの離型剤とのぬれ性が悪くなり離型剤の広がり具合が悪くなることがわかった。3μmを越えると素面化処理に多大の時間を要する。符号69は加熱用ヒーター、70はその電源、71は低温プラズマ生成のための磁場、72はマイクロ波発生装置である。
【0021】
実施例3
図2に示されるような回転体を作成した。芯金11の表面をブラスト処理などの機械的手段で粗し、プライマー処理をしてこの上にシリコーンゴムの弾性体層13を220μmの厚さで形成した。更にその上に接着層14を8μmで塗布し加熱乾燥した。接着層はダイキン工業製GLPシリーズを用いた。最外層としてオフセット防止被覆層12を、実施例1と同様に20μmの厚さで形成し固定化した。ただし、導電性充填物は使用しなかった。得られたオフセット防止被覆層12は、導電性充填物20は入っていないが、膜構造は図3と同様になっている。なお、オフセット防止被覆層12は、耐久性を向上するため潤滑性を有する充填材を分散することもできる。この弾性層を具備した回転体を加圧定着体として用いた。
次に、オフセット被覆防止層12の表面を、図9に示される装置によりフッ素化処理した。まず、フッ素化の前に気相で酸化処理を行う。真空容器60内のプラズマ源61に酸素、オゾン、窒素酸化物等のガスをガス導入系62から導入しプラズマ化したガスを定着用回転体であるローラ63を回転させながら照射する。64はローラの保持機構、65はローラの回転駆動系、66はその制御装置である。真空容器60は真空排気装置67、真空バルブ68を用いて真空状態にされる。69は加熱用ヒーター、70はその電源である。プラズマ源は種々の方式が利用可能であるが磁場発生装置71、マイクロ波発生装置72を具備した有磁場マイクロ波プラズマ発生装置を使用した。プラズマは200Wの出力で5分間放電を行い酸化処理を行った。気相の酸化処理の後にフッ素系ガスをガス導入系73から導入し、5×10−2Torrの圧力下でローラ63を回転しながら30℃、10分間フッ素化処理を行った。ローラ63の加熱はヒーター69を用いている。これによってC−F共有結合を形成し得ない温度で−CF基の生成を行うことができた。
【0022】
実施例4
実施例1の方法で作られた回転体を加熱定着体とし、実施例3の方法で作られた回転体を加圧定着体とし、図7のように使用したものを試験A、実施例2の方法で作られた回転体を加熱定着体とし、実施例3の方法で作られた回転体を加圧定着体とし、図7のように使用したものを試験B、従来技術で作られた回転体を加熱定着体とし、従来技術で作られた弾性体層を具備する回転体を加圧定着体として使用したものを試験Cとした。
試験Cの場合、加熱定着体は、芯金の上にプライマー層を介してPFA粉体(例えば、三井デュポンフロロケミカルのMP600粉体)を静電粉体塗装し焼成した後、テープ研磨で研磨加工し、さらに再焼成したローラである。加圧定着体は芯金上にシリコーンゴムを付け、さらにPFAチューブを被覆したローラである。
試験A、B、Cそれぞれの回転体の表層について、摩擦係数を測定した。摩擦係数は、新東科学製HEIDON14DRを用い、1/8インチSUS球を圧子として、すべり速度540mm/分、垂直荷重100gfの条件で測定した。測定はサンプルテストピース上5ヶ所の平均をとった。結果を表1〜3に示す。
【0023】
【表1】
Figure 2004101798
【0024】
【表2】
Figure 2004101798
【0025】
【表3】
Figure 2004101798
【0026】
実施例5
実施例4における試験A、試験B、試験Cを、図8で示されるような定着装置を備えた画像形成装置(電子写真式複写機)に用い、下記表4に示すような各種特性を評価した。結果を併せて表4に示す。
【0027】
【表4】
Figure 2004101798
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電子写真式画像形成装置の定着装置に用いる、二つの回転体からなる一対の定着用回転体であって、前記回転体は、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかであり、前記回転体対の少なくとも一方の外周面は、オフセット防止被覆層を有し、かつ前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする定着用回転体であるので、オフセット防止被覆層は、表面が硬くトナーおよびそれに含まれるワックスをはじきやすい高分子量体が多い部分と、液状物質を保持しやすく潤滑性に優れワックスになじみやすい低分子量体が多い部分とが適度に分布し、作用を分担しトナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に可能にする面ができる。これにより、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体が提供される。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする定着用回転体であるので、オフセット防止被覆層の体積抵抗を所望の値にコントロールし、帯電による静電オフセットを防止する役割と、オフセット防止被覆層の摩耗による損傷や劣化を防止できる。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化されていることを特徴とする定着用回転体であるので、トナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に可能にすることができる。これにより、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体が提供される。
【0031】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする定着用回転体であるので、含フッ素樹脂表面の自由エネルギーが低い状態となり、機械的特性がさらに改善されるとともに、低摩擦、耐摩耗性に優れた回転体を提供することができる。
【0032】
請求項5の発明は、請求項3に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が前記回転体の周面に全体的になされていることを特徴とする定着用回転体であるので、トナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に可能にする面ができる。これにより、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体が提供される。
【0033】
請求項6の発明は、請求項3または5に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が、機械的手段または電磁的手段を用いて施されていることを特徴とする定着用回転体であるので、無公害化した手段において、トナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に可能にすることができる。
【0034】
請求項7の発明は、請求項4に記載の一対の定着用回転体であって、前記フッ素化処理する方法が、フッ化炭素ガスを用いたプラズマ処理法であることを特徴とする定着用回転体であるので、無公害化した手段において、トナーに対する離型性とワックスの持続性を同時に可能にすることができる。
【0035】
請求項8の発明は、請求項2に記載の一対の定着用回転体であって、前記導電性充填物は、フッ素化処理された炭素材または炭素−炭素複合体の微粉体であることを特徴とする定着用回転体であるので、充填物の分散性が改善され、マトリックス樹脂への均一分散が可能であるとともに、それ自体が高い撥水、撥油性を示すためこのためトナー離型性が向上し耐オフセット性が確保できる。
【0036】
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層が、含フッ素樹脂成形体であることを特徴とする定着用回転体であるので、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、かつ非粘着表面層を有する定着用回転体が提供される。
【0037】
請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体が、加熱機構を具備する加熱定着体であることを特徴とする定着用回転体であるので、トナーの定着効果を一層高めることができる。
【0038】
請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の定着用回転体を備えたことを特徴とする電子写真式画像形成装置の定着装置であるので、回転体の使用環境あるいはこれらが組み込まれた電子写真式画像形成装置が置かれた環境の変動、すなわち、温度変化、湿度変化、浮遊する活性もしくは不活性な化学物質による汚染や障害に強く、耐候性、耐食性に優れた定着装置を提供することができる。また、機械的および化学的に高耐久でトナー離型性、紙搬送性に優れた電子写真式画像形成装置の定着装置を、簡便な表面処理、表面形成技術によって低コストに提供することが可能となる。
【0039】
請求項12の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする加熱定着方法であるので、熱定着時、加熱定着体にトナーがオフセットすることを防ぐとともに、記録材との低摩擦性および耐擦傷性が維持され、記録材の分離(記録材の回転体からの剥離)を正常に保ち、紙づまりなどの障害を防止することができる。
【0040】
請求項13の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化され、かつ前記粗面化が前記回転体の周方向になされていることを特徴とする定着用回転体であるので、熱定着時、加熱定着体にトナーがオフセットすることを防ぐとともに、記録材との低摩擦性および耐擦傷性が維持され、記録材の分離(記録材の回転体からの剥離)を正常に保ち、紙づまりなどの障害を防止することができる。
【0041】
請求項14の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層を少なくとも具備する内層を有する回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする加熱定着方法であるので、加圧定着が適切な弾性を有し、記録材との低摩擦性および耐擦傷性が維持され、記録材の分離(記録材の回転体からの剥離)を正常に保ち、紙づまりなどの障害を防止することができる。
【0042】
請求項15の発明は、加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする加熱定着方法であるので、熱定着時、加圧定着体にトナーがオフセットすることを防ぐとともに、記録材との低摩擦性および耐擦傷性が維持され、記録材の分離(記録材の回転体からの剥離)を正常に保ち、紙づまりなどの障害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着用回転体の一例を説明するための図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明におけるオフセット防止被覆層の断面図である。
【図4】本発明で使用される導電性充填物を説明するための図である。
【図5】粗面化されたオフセット防止被覆層を説明するための断面図である。
【図6】弾性体層を設けない本発明の回転体を説明するための断面図である。
【図7】本発明の回転体を説明するための図である。
【図8】本発明の定着装置の一例を説明するための図である。
【図9】実施例2および3で用いた装置を説明するための図である。
【符号の説明】
10  加熱定着ローラ
11  金属芯金
12  オフセット防止被覆層
13  弾性体層
14  接着層
15  含フッ素高分子量体
16  含フッ素低分子量体
17  粗面化部分
18  非粗面化部分
20  導電性充填物
21  フッ素化処理された表面
27,41  加熱定着ローラ
28,42  加圧定着ローラ
29  加熱機構
30  顕画材(トナー)
31  記録材
40  定着装置
60  真空容器
61  プラズマ源
63  ローラ

Claims (15)

  1. 電子写真式画像形成装置の定着装置に用いる、二つの回転体からなる一対の定着用回転体であって、前記回転体は、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかであり、前記回転体対の少なくとも一方の外周面は、オフセット防止被覆層を有し、かつ前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする定着用回転体。
  2. 請求項1に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする定着用回転体。
  3. 請求項1または2に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化されていることを特徴とする定着用回転体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体外周面にあるオフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする定着用回転体。
  5. 請求項3に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が前記回転体の周面に全体的になされていることを特徴とする定着用回転体。
  6. 請求項3または5に記載の一対の定着用回転体であって、前記粗面化が、機械的手段または電磁的手段を用いて施されていることを特徴とする定着用回転体。
  7. 請求項4に記載の一対の定着用回転体であって、前記フッ素化処理する方法が、フッ化炭素ガスを用いたプラズマ処理法であることを特徴とする定着用回転体。
  8. 請求項2に記載の一対の定着用回転体であって、前記導電性充填物は、フッ素化処理された炭素材または炭素−炭素複合体の微粉体であることを特徴とする定着用回転体。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記オフセット防止被覆層が、含フッ素樹脂成形体であることを特徴とする定着用回転体。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の一対の定着用回転体であって、前記回転体対の少なくとも一方の回転体が、加熱機構を具備する加熱定着体であることを特徴とする定着用回転体。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の定着用回転体を備えたことを特徴とする電子写真式画像形成装置の定着装置。
  12. 加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層には、導電性充填物が分散されていることを特徴とする加熱定着方法。
  13. 加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加熱定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、前記オフセット防止被覆層の表面が粗面化され、かつ前記粗面化が前記回転体の周方向になされていることを特徴とする加熱定着方法。
  14. 加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層を少なくとも具備する内層を有する回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなることを特徴とする加熱定着方法。
  15. 加熱定着体および加圧定着体を備えた定着装置を用いる電子写真式画像形成装置における加熱定着方法であって、前記加圧定着体が、無端状基体の上に、弾性体層および接着層の少なくとも一方を具備する内層を有するか、あるいはこの内層を有しないかのいずれかの回転体であり、前記回転体の外周面はオフセット防止被覆層を有し、前記オフセット防止被覆層が含フッ素樹脂の高分子量体と低分子量体との混合物からなり、かつ前記オフセット防止被覆層の表面が、フッ素化処理されていることを特徴とする加熱定着方法。
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