JP2018022056A - 撥液膜とその製造方法、定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する撥液膜を提供する。【解決手段】フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する撥液膜であって、該フッ素ポリマーを含む層の表面に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合しており、該化合物が共有結合した該フッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、該化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合が10atomic%以上であることを特徴とする撥液膜。【選択図】なし
Description
本発明は、撥液膜とその製造方法、定着部材、定着装置及び画像形成装置に関する。
近年、防汚材、防付着材等の用途で、部材の表面を撥水・撥油化した材料が種々開発されている。例えば、特許文献1にはフッ素含有シリコーンポリマーをポリカーボネート等の樹脂の表層にコーティングすることにより、撥水性を向上させる技術が開示されている。また、有機機能部材への応用として特許文献2には、フッ素を含有するポリイミドを電子写真用定着ベルトとして用いることで、撥水性を発現させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されるようなハードコート系の撥水膜では、硬化にフッ素ユニットよりも耐熱性に乏しいアクリレートユニットを必要とするため、含有するフッ素の割合が小さくなりやすく、十分な離型性と耐熱性を確保することが難しい。また、硬化時の収縮により、割れが発生したり、基材から剥がれたりといった操作性に課題がある。
また、特許文献2記載の電子写真用定着ベルトとして撥水膜を用いる方法においては、離型性の高いフッ素ユニットがバルク材料中に化学的に結合された状態で用いられるため、表面における離型性を十分に発現することが難しい。特に、近年電子写真定着システムにおいてはVOC(Volatile Organic Compounds)や超微細粒子(UFP:Ultra Fine Particle)等を低減させる環境対応が求められている。そのため、トナーがワックスを含有しない、または微量しか含有しない場合でも、紙への定着が実現するように離型性の高い定着部材が求められている。
本発明の目的は、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する撥液膜を提供することにある。
本発明に係る撥液膜は、フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する撥液膜であって、該フッ素ポリマーを含む層の表面に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合しており、該化合物が共有結合した該フッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、該化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合が10atomic%以上であることを特徴とする。
本発明に係る定着部材は、記録媒体上のトナー像を加熱して、該トナー像を該記録媒体に定着させる工程に用いられる定着部材であって、該定着部材の最表面に、前記撥液膜が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る撥液膜の製造方法は、フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理する工程と、該化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面を、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る定着装置は、前記定着部材を有することを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記定着装置と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する撥液膜を提供することができる。
[撥液膜]
本発明に係る撥液膜は、フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する。該フッ素ポリマーを含む層の表面には、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合している。また、該化合物が共有結合した該フッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、該化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合は10atomic%以上である。
本発明に係る撥液膜は、フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する。該フッ素ポリマーを含む層の表面には、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合している。また、該化合物が共有結合した該フッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、該化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合は10atomic%以上である。
撥水性材料として知られるフッ素ポリマーを含む層の表面に、さらに撥液性のパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合することで、フッ素を有する撥水性の分子鎖がフッ素ポリマーから伸長する構造が得られる。これにより、通常のフッ素ポリマーよりも優れた撥水性が得られる。前記共有結合は、フッ素ポリマーを含む層を親水化処理した後、親水化処理部をパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理することにより形成することができる。ここで、樹脂の親水化処理には主として、UVオゾン処理、コロナ放電処理、酸素プラズマ処理などが用いられてきた。しかし、本発明者らが検討した結果、フッ素ポリマーにこれらの処理を実施しても、表面の親水化が不十分であることが分かった。実際に該処理部を解析しても、親水化に由来する酸素原子の割合は増加せず、場合によっては処理前のフッ素ポリマーの酸素原子の割合以下になることが分かった。そのため、これらの処理を実施したフッ素ポリマーの表面に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を共有結合させる処理を行っても、該化合物はほとんど共有結合せず、表面から洗い流されてしまっていた。したがって、十分な撥水性、耐熱性及び離型性を実現できないことが分かった。
前記表面処理結果に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、フッ素ポリマーを含む層を強アルカリや金属錯体等を用いた化学的処理法により親水化処理することで、処理部の酸素原子の割合を大幅に増加させることができることを見出した。ここで、強アルカリとはpH11以上のものをいい、具体的には液体アンモニア等が挙げられる。また金属錯体とは単独では不安定な金属元素が錯体となっているものをいい、具体的にはナトリウムナフタレン錯体等が挙げられる。また、この場合XPSの測定深さ(約10nm)以上の深さ領域においても、酸素原子の割合が大幅に増加していることが確認されたことから、層の厚み方向にも親水化が進行していることが分かった。したがって、フッ素ポリマーを含む層の表面領域において、十分な親水化が行われていることが分かった。なお、親水化とは前記層においてC−F結合からFが脱離し、主として水酸基(−OH基)が生成することを意味している。
本発明に係る撥液膜では、前記化合物が共有結合したフッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、前記化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合は10atomic%以上である。前述したように、フッ素ポリマーを含む層を化学的処理法により親水化処理することで、処理部の酸素原子の割合を10atomic%以上とすることができる。ここで、前記化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合は、前記化合物が共有結合する前の酸素原子の割合を示しており、該割合が10atomic%以上であることにより、前記化合物が十分な量表面に共有結合することができる。これにより、本発明では高い撥水性、耐熱性及び離型性を実現することができ、さらに初期の離型性を維持することが可能となる。該割合は15atomic%以上であることが好ましく、20atomic%以上であることがより好ましく、25atomic%以上であることがさらに好ましい。該割合の上限は特に限定されないが、例えば40atomic%以下とすることができる。なお、該割合は、親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層を加熱したり、UV照射したりすることにより調節することができる。例えば液体アンモニアで処理する場合、液体アンモニアで処理したフッ素ポリマーを含む層を200℃程度で加熱したり、UV照射したりすることにより、該割合を10〜40atomic%の範囲で変えることができる。
なお、前記酸素原子の割合は以下の方法で測定することができる。まず、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)により、フッ素ポリマーを含む層の表面に共有結合したパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物をエッチングする。その後、エッチングした表面をXPS(X線光電子分光法)で測定し、酸素原子の割合を算出する。
GCIBはエッチング後の表面に照射イオン由来の化学変化がほとんど認められないソフトなエッチング処理法である。GCIBによれば、通常のArイオンやC60クラスター等では達成できない、1原子あたり1〜20eV程度の超低エネルギーイオンエッチングによる、低損傷・高深さ分解能のエッチングが実現できる。そのため、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を共有結合させた後であっても、GCIBエッチング処理により該化合物を除くことにより、該化合物を共有結合させる前の表面状態を再現することができる。したがって、GCIBエッチング処理後の表面における酸素原子の割合をXPS測定することで、前記酸素原子の割合を測定することができる。
XPSでは表面より深さ1〜数十nmの領域(一般には1〜10nm)の元素割合を算出することができる。GCIBによるエッチング処理及びXPS測定は、具体的には後述する方法により実施することができる。なお、前記酸素原子の割合は、親水化処理後であって、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を共有結合させる前の表面をXPS測定することによっても、ほぼ同等の値を得ることができる。
本発明に係る撥液膜は、フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する。該撥液膜は、フッ素ポリマーを含む層以外に他の層を含んでもよいが、フッ素ポリマーを含む層からなっていてもよい。該撥液膜がフッ素ポリマーを含む層以外に他の層を含む場合には、フッ素ポリマーを含む層は該撥液膜の最表層である。
フッ素ポリマーは、フッ素原子を有するポリマーであり、耐熱性の高いものが好ましい。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に耐熱性に優れる点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)が好ましい。成型性、加工性の観点から、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)がより好ましい。
また、耐熱性の観点から、フッ素ポリマーの融点は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることがさらに好ましい。なお、フッ素ポリマーの融点は高いほうが好ましく、その上限は特に限定されない。フッ素ポリマーの融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。フッ素ポリマーの融点は、例えば、一定の昇温速度で融点以上まで昇温して一度完全に溶融させ、融点以下まで冷却した後、再び昇温したときに得られる融解熱曲線のピークトップより測定される値であることができる。
フッ素ポリマーを含む層は、フッ素ポリマーが自立膜状態を実現していればその形状は特に制限はなく、薄膜、シート状、チューブ状等(フッ素ポリマー粒子を熱融着させたものも含む)であることができる。フッ素ポリマーを含む層の厚みは500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。フッ素ポリマーを含む層の厚みの下限は特に限定されないが、例えば5μm以上であることができる。
フッ素ポリマーを含む層は無機フィラーを含有することが好ましい。フッ素ポリマーを含む層が無機フィラーを含有することで、フッ素ポリマーを含む層の表面に表面形状が形成されるため、構造撥水効果が発現する。また、フッ素ポリマーを含む層の比表面積が増大するため、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物による処理面積が増大し、処理量が多くなるため、耐熱性が向上する。無機フィラーとしては特に限定されないが、化学的処理法で親水化処理されることにより、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物と共有結合を形成し得るものが好ましい。このような無機フィラーとしては、例えばカーボンブラック、シリカ粒子、酸化チタン粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。フッ素ポリマーを含む層に含まれる無機フィラーの含有量は、1〜40質量%が好ましい。
本発明では、フッ素ポリマーを含む層の表面に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合している。ここで、フッ素ポリマーを含む層の表面に該化合物が共有結合しているとは、フッ素ポリマーを含む層の表面に存在する原子との間で該化合物が共有結合している状態を示す。共有結合は、例えば該化合物が有する反応性官能基を介して形成されることができる。フッ素ポリマーを含む層の表面に該化合物が共有結合しているか否かは、赤外分光法(IR法)やX線光電子分光法(XPS法)で結合に伴う反応性官能基の化学構造変化を測定することで確認することができる。また簡易的には、該化合物の良溶媒であるフッ素溶剤中に表面を浸漬させ、浸漬前後の表面物性(接触角等)を測定したり、前記フッ素溶剤中の該化合物の量を定量したりすることにより判断することができる。
パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物は、分子構造中に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖と、反応性官能基とを有することができる。反応性官能基としては、アルコキシシリル基、クロロシリル基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、メルカプト基などが挙げられる。該化合物はこれらの反応性官能基を一種有してもよく、二種以上有してもよい。これらの中でも、処理操作の簡便さ及び生成する化学結合の耐熱性の観点から、反応性官能基としてはアルコキシシリル基、クロロシリル基が好ましい。すなわち、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物はシランカップリング剤であることが好ましい。反応性官能基としては−Si(OR)3で表されるトリアルコキシシリル基がより好ましい。また、フッ素ポリマーを含む層の表面との反応性の観点から、反応性官能基は分子構造中の末端にあることが好ましい。
パーフロオロポリエーテル鎖は、−CF2O−、−CF2CF2O−、−CF(CF3)O−、−CF2CF2CF2O−、−CF2CF(CF3)CF2O−、−CF(CF3)CF2CF2O−、−CF2CF2CF(CF3)O−等の繰り返し単位を少なくとも一種含むことができる。パーフロオロポリエーテル鎖は、直鎖構造、分岐構造のいずれを有してもよい。
パーフロオロアルキル鎖は、−CnF2n+1又は−CnF2n−(nは1以上の整数)で表されることができる。撥水性の観点から、nは7以上であることが好ましい。パーフロオロアルキル鎖は、直鎖構造、分岐構造のいずれを有してもよい。
パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物の重量平均分子量は、撥水性及び耐熱性の観点から1000以上であることが好ましく、1500以上であることがより好ましく、2000以上であることがさらに好ましい。該重量平均分子量の上限は特に限定されないが、例えば5000以下とすることができる。該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)により測定することができ、具体的には展開溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノ−ル(HFIP)を用いることにより測定される値である。
本発明に係る撥液膜は、調理器具、自動車のワイパー、自動車のフロントガラス等、高い撥水性、耐熱性及び離型性が求められる分野に好適に用いることができる。特に、本発明に係る撥液膜は、電子写真分野において好適に用いることができる。例えば、後述するように、画像形成装置の定着装置に備えられた定着部材の最表面において、本発明に係る撥液膜を好適に用いることができる。
[撥液膜の製造方法]
本発明に係る撥液膜の製造方法は、以下の工程を有する。フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理する工程。該化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面を、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する工程。
本発明に係る撥液膜の製造方法は、以下の工程を有する。フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理する工程。該化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面を、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する工程。
フッ素ポリマーを含む層は、例えば以下の方法で準備することができる。原料がペレット体であれば、融点以上に加熱して融着させたり、押出し成型等を用いたりすることで準備することが出来る。また、ディスパージョンの場合は、スプレー塗装後に加熱融着させることも出来る。なお、フッ素ポリマーを含む層として、市販のフッ素ポリマーを含むフィルムを用いてもよい。
本発明に係る撥液膜の製造方法では、フッ素ポリマーを含む層の表面を親水化するにあたり、化学的処理法による親水化処理を行う。化学的処理法による親水化処理は、親水化の程度において、一般的な親水化の手法とは一線を画しており、フッ素ポリマーを含む層に対しても十分な親水化を行うことができる。そのため、化学的処理法による親水化処理部にパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を処理することで、該化合物が表面のみならず、深さ方向にも一部含浸された状態でフッ素ポリマーを含む層と共有結合を形成することができる。その結果、これまでの手法よりも共有結合された該化合物の量が多くなると推測される。そのため、フッ素ポリマー単体よりも高い撥水性を有しながら、かつ、高い耐熱性及び離型性を有する撥液膜を作製できると考えられる。
初めに、フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理する。化学的処理法としては、フッ素ポリマーを含む層の表面における酸素原子の割合を十分に増加できる観点から、液体アンモニア及びナトリウムナフタレン錯体からなる群から選択される少なくとも一種による処理が好ましい。フッ素ポリマーを含む層に対する親水化処理は、フッ素ポリマーを含む層単体に実施してもよく、他の固体基材に積層された状態のフッ素ポリマーを含む層に対して実施してもよい。なお、前者の場合であって、親水化処理後にさらに他の固体基材に積層する場合、積層面側を親水化処理したり、プライマーを併用したりすることにより積層することができる。
フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理することにより、フッ素ポリマーを含む層の表面の、水に対する接触角を55°以下とすることができる。該接触角は40°以下であることがより好ましく、30°以下であることがさらに好ましい。また、該表面における酸素原子の割合を10atomic%以上にすることができる。特に液体アンモニアで処理した場合、該接触角を30°以下とすることができ、十分な親水化処理が行われる。さらに、親水化処理部のXPS測定を行うと、例えば処理前は5atomic%以下であったフッ素ポリマーを含む層の表面における酸素原子の割合を、液体アンモニア処理により20atomic%以上とすることができる。このように酸素原子の割合を大きくすることは、一旦離型性を大きく低下させることとなってしまうが、その後、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する際の処理量が増えるため、本発明では重要である。そうすることにより、高い離型性と耐久性が初めて実現できるからである。
次に、化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面を、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する。該化合物による処理方法は、該化合物の種類にもよるが、シランカップリング処理、縮合処理、イソシアネート処理等が挙げられる。これらの中でも、操作の簡便性から、該化合物としてシランカップリング剤を用い、シランカップリング処理を行うことが好ましい。
シランカップリング処理は、水相、気相、いずれの系においても実施可能であるが、少量の原料で実施可能なこと、反応操作の簡便さ等の観点から気相が好ましい。パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物の分子量が大きく、100℃程度の温度において蒸気圧が低い場合には、以下の方法により処理を行うことができる。該化合物をフッ素系溶剤に希釈し、親水化処理したフッ素ポリマーを含む層の表面に塗布する。その後、水蒸気で飽和させた装置内で加熱処理することで、フッ素ポリマーを含む層の表面に該化合物を共有結合させる。その後、未反応化合物を洗浄し、表面を乾燥させる。一方、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物の分子量が小さく、100℃程度の温度においても蒸気圧が高い場合には、以下の方法により処理を行うことができる。該化合物と親水化処理したフッ素ポリマーを含む層とを容器内に密閉し、加熱処理することで、フッ素ポリマーを含む層の表面に該化合物を共有結合させる。
[定着部材]
本発明に係る定着部材は、記録媒体上のトナー像を加熱して、該トナー像を該記録媒体に定着させる工程に用いられる定着部材であって、該定着部材の最表面に、本発明に係る撥液膜が形成されている。本発明に係る定着部材は、その最表面に離型層として本発明に係る撥液膜が形成されているため、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する。これにより、別途、ワックス、オイル等の離型性成分を用いずに、又はこれまでよりも少ない量で、トナーを対象物に定着させることができる。
本発明に係る定着部材は、記録媒体上のトナー像を加熱して、該トナー像を該記録媒体に定着させる工程に用いられる定着部材であって、該定着部材の最表面に、本発明に係る撥液膜が形成されている。本発明に係る定着部材は、その最表面に離型層として本発明に係る撥液膜が形成されているため、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する。これにより、別途、ワックス、オイル等の離型性成分を用いずに、又はこれまでよりも少ない量で、トナーを対象物に定着させることができる。
図1に、本発明に係る定着部材の一例として、トナーの定着に用いられる定着ローラ10を示す。定着ローラ10は、芯金11と、芯金11上に弾性層12と、弾性層12上に離型層として本発明に係る撥液膜(不図示)と、を有する。各層間には積層のため、適宜プライマー層が設けられていてもよい。プライマー層に含まれるプライマーとしては、特に限定されないが、付加型液状シリコーンゴム、付加型液状フルオロシリコーンゴム等を好適に用いることができる。プライマー層の厚さとしては1〜10μmであることが好ましい。芯金11を構成する材料としては、特に限定されないが、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、銅等の金属、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
弾性層12を構成する材料としては、耐熱性を有するゴムであることが好ましい。具体的にはシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が好適に用いられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのゴムを用いて弾性層12を形成する場合には、成型のしやすさや加熱硬化性を考慮して、液状付加型のシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等を用いて形成することが好ましい。なお、これらのゴムは1液、2液のいずれのタイプを用いてもよい。弾性層12は、熱伝導性等の向上の観点から、必要に応じて無機酸化物、窒化ホウ素、カーボンブラック、炭素繊維等の熱伝導性フィラーを含有することができる。弾性層12の厚さは、表面硬度への寄与、及び定着時の未定着トナーへの熱伝導の効率の観点から、100μm以上500μm以下が好ましく、200μm以上400μm以下がより好ましい。
撥液膜は、必要に応じて抵抗調節剤を含むことができる。抵抗調節剤としては、導電性付与剤を好ましく用いることができる。導電性付与剤としては、例えば、銅、銀、亜鉛、錫、アンチモン、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウムドープド酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属及び金属(亜)酸化物の粉体が挙げられる。また、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボンが挙げられる。さらに、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらのうち、表面撥水処理の観点から、導電性カーボンが好ましく用いられる。
弾性層12上への撥液膜の形成方法は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、撥液膜のチューブを弾性層12に被せる方法、湿式スプレー塗装法、粉体塗装法などが挙げられる。以下、撥液膜のチューブの製造方法について説明する。
撥液膜のチューブは押出し成形で得ることができる。例えば、フッ素ポリマーを含む材料を押し出し機に供給して加熱溶融させ、所定のサイズのリング形状を有する金型(ダイス)を通して押し出し、冷却させることにより成形品を得ることができる。例えばΦ30mmのチューブを押出し成形で製造する場合、まず、ペレット状の材料を押し出し機シリンダー部(押し出しスクリュー部)に供給し、押し出し速度40〜60g/minで加熱しながら練りを加えて押し出す。この時、シリンダー部の温度を徐々に上げることができる。そして、押し出し機のサイズ、滞留時間にもよるが、320〜400℃で完全に溶融した状態で内径50mm、ギャップ5mmのリング状吐出口を通して該材料をチューブ状に押し出す。押し出されたチューブを引き取り、サイジングダイを通して冷却することで、内径を整える。
チューブの厚みは、引落率(型の吐出口面積/成形チューブの断面積)で制御され、押出し速度と、引き取り速度で調整される。例えば、引き取り速度2.0〜8.0m/min、引落率130〜450で、厚み20〜70μmのチューブが得られる。チューブの厚みは、定着効率を向上させる観点から50μm以下が好ましい。撥液膜を積層しても、下層の弾性層12の弾性を維持でき、定着部材として表面硬度が高くなりすぎることを抑制できるためである。一方、チューブの強度を維持する観点から、チューブの厚みは10μm以上が好ましい。
得られたチューブを前述した方法により親水化処理し、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で外表面を処理することで、本発明に係る撥液膜のチューブが得られる。なお、撥液膜のチューブの内面に対しても親水化処理を施すことで、弾性層12等との接着性を向上させることができる。
撥液膜のチューブを、例えばプライマー層を介して弾性層12と加熱硬化により接着させることで、定着ローラ10を作製することができる。なお、本発明に係る定着部材としてローラ状の定着部材について説明したが、本発明における定着部材はこれに限定されず、例えばシームレスベルト状であってもよい。
[定着装置]
本発明に係る定着装置は、本発明に係る定着部材を有する。本発明に係る定着装置は、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する本発明に係る定着部材を備えるため、別途、ワックス、オイル等の離型性成分を用いずに、又は離型成分を用いた場合でも従来よりも少ない量で、トナーを対象物に定着させることができる。図2に、本発明に係る定着装置の一例を示す。定着装置100は、本発明に係る定着部材である定着ローラ10と、加圧ローラ20とを有する。定着ローラ10にはハロゲンヒータ15が内蔵されている。弾性層12上には本発明に係る撥液膜が積層されている。
本発明に係る定着装置は、本発明に係る定着部材を有する。本発明に係る定着装置は、高い撥水性、耐熱性及び離型性を有する本発明に係る定着部材を備えるため、別途、ワックス、オイル等の離型性成分を用いずに、又は離型成分を用いた場合でも従来よりも少ない量で、トナーを対象物に定着させることができる。図2に、本発明に係る定着装置の一例を示す。定着装置100は、本発明に係る定着部材である定着ローラ10と、加圧ローラ20とを有する。定着ローラ10にはハロゲンヒータ15が内蔵されている。弾性層12上には本発明に係る撥液膜が積層されている。
加圧ローラ20は、芯金21と、芯金21上に形成された耐熱性ゴムを含む弾性層22と、弾性層22上に形成された離型層23と、を有する。加圧ローラ20は定着ローラ10に圧接されており、ニップ部が形成されている。トナーTが付着している記録媒体Pが該ニップ部を通過すると、記録媒体Pに付着しているトナーTは、定着ローラ10により加熱されて軟化すると共に加圧されて、記録媒体Pに定着する。
[画像形成装置]
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、本発明に係る定着装置と、を有する。本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る撥液膜を有する定着部材を有する定着装置を備えるため、加熱定着条件においても、長期にわたって高い撥水性及び離型性を実現することができる。そのため、離型剤が含有されていない、または離型剤量が少ないトナーを記録媒体に繰り返し定着することができる。
本発明に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、本発明に係る定着装置と、を有する。本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る撥液膜を有する定着部材を有する定着装置を備えるため、加熱定着条件においても、長期にわたって高い撥水性及び離型性を実現することができる。そのため、離型剤が含有されていない、または離型剤量が少ないトナーを記録媒体に繰り返し定着することができる。
図3に、本発明に係る画像形成装置の一例を示す。円筒状の感光体31は、軸32を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される感光体31の表面(周面)は、帯電装置の帯電部材33により正または負の電位に帯電される。帯電部材としては、例えば、コロトロン、スコロトロンなどを用いたコロナ帯電部材や、ローラ、ブラシ、フィルムなどを用いた接触帯電部材などが挙げられる。また、帯電部材に印加する電圧は、直流電圧のみであってもよいし、交流電圧を重畳した直流電圧であってもよい。次いで、感光体31は、露光装置(不図示)から出力される露光光(画像露光光)34を受ける。露光としては、例えば、スリット露光、レーザービーム走査露光などが挙げられる。こうして感光体31の表面には、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。
感光体31の表面に形成された静電潜像は、現像装置35のトナーにより現像されてトナー像となる。現像方式としては、磁性または非磁性の一成分または二成分トナーを接触または非接触させて現像する方式が挙げられる。感光体31の表面に形成されたトナー像は、転写装置の転写部材36によって、紙などの記録媒体37に順次転写される。記録媒体37は、記録媒体供給手段(不図示)から感光体31と転写部材36との間(当接部)に感光体31の回転と同期して取り出されて給送される。トナー像が転写された記録媒体37は、感光体31の表面から分離されて定着装置38へ導入されて像定着を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置外へプリントアウトされる。その後、感光体31上に残存したトナーはクリーニング部材39により除去され、露光光40により除電され、次のサイクルに備える。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[接触角測定]
作製した撥液膜、及び200℃条件下で200時間放置した後の撥液膜について、それぞれ純水及びヘキサデカン(HD)に対する接触角の測定を行った。純水及びHDに対する接触角は、DM−701(商品名、協和界面化学(株)製)を用いて測定した。該接触角の値としては、液滴1.8μl、液滴着弾後1秒後の値を用いた。該値の算出にはθ/2法を用いた。
作製した撥液膜、及び200℃条件下で200時間放置した後の撥液膜について、それぞれ純水及びヘキサデカン(HD)に対する接触角の測定を行った。純水及びHDに対する接触角は、DM−701(商品名、協和界面化学(株)製)を用いて測定した。該接触角の値としては、液滴1.8μl、液滴着弾後1秒後の値を用いた。該値の算出にはθ/2法を用いた。
[タック試験]
撥液膜の離型性を評価するため、タック試験を行った。タック試験はTAC1000(商品名、レスカ(株)製)を用いて行った。作製した撥液膜をΦ10mmの穴あけポンチで打ち抜き、ポリイミド両面テープでSUS製の円柱プローブの表面に貼りつけた。プローブを本体にセットし、両面テープとプローブとをなじませるため約1時間放置した。加熱ステージ上には、厚み1mm、硬さJIS A50のシリコーンゴム(タイガースポリマー社製、型番SR−50)を置いた。未定着トナー像(0.6g/cm2、離型剤未含有)を形成した紙(商品名:OKトップコート、王子製紙(株)製)を、両面テープで前記シリコーンゴム上に仮止めした。プローブの押し付け条件を以下の様に設定し、一定時間トナーに押し付けた後、引き上げた。その時の荷重−距離プロファイルにおいて、荷重値がゼロからマイナスに転じてから再びゼロとなった領域面積を、トナーが撥液膜から剥離する剥離エネルギーと定義し、その値を評価した。また、試験後の撥液膜の表面を顕微鏡観察することにより、トナーの剥離状態を観察し、剥離性を評価した。評価は作製した撥液膜及び200℃条件下で200時間放置した後の撥液膜について行った。
撥液膜の離型性を評価するため、タック試験を行った。タック試験はTAC1000(商品名、レスカ(株)製)を用いて行った。作製した撥液膜をΦ10mmの穴あけポンチで打ち抜き、ポリイミド両面テープでSUS製の円柱プローブの表面に貼りつけた。プローブを本体にセットし、両面テープとプローブとをなじませるため約1時間放置した。加熱ステージ上には、厚み1mm、硬さJIS A50のシリコーンゴム(タイガースポリマー社製、型番SR−50)を置いた。未定着トナー像(0.6g/cm2、離型剤未含有)を形成した紙(商品名:OKトップコート、王子製紙(株)製)を、両面テープで前記シリコーンゴム上に仮止めした。プローブの押し付け条件を以下の様に設定し、一定時間トナーに押し付けた後、引き上げた。その時の荷重−距離プロファイルにおいて、荷重値がゼロからマイナスに転じてから再びゼロとなった領域面積を、トナーが撥液膜から剥離する剥離エネルギーと定義し、その値を評価した。また、試験後の撥液膜の表面を顕微鏡観察することにより、トナーの剥離状態を観察し、剥離性を評価した。評価は作製した撥液膜及び200℃条件下で200時間放置した後の撥液膜について行った。
(測定条件)
プローブ温度:180℃
押し付け速度:5mm/s
押し付け圧:0.2MPa
押し付け保持時間:0.05秒
引き上げ速度:10mm/s
トナー:iRC3200用Cyトナー(商品名、キヤノン製)
(剥離状態)
○:トナーが撥液膜に付着しておらず、トナーと撥液膜とが界面剥離している。
×:トナーが撥液膜に付着しており、トナーが内部で凝集破壊している。
プローブ温度:180℃
押し付け速度:5mm/s
押し付け圧:0.2MPa
押し付け保持時間:0.05秒
引き上げ速度:10mm/s
トナー:iRC3200用Cyトナー(商品名、キヤノン製)
(剥離状態)
○:トナーが撥液膜に付着しておらず、トナーと撥液膜とが界面剥離している。
×:トナーが撥液膜に付着しており、トナーが内部で凝集破壊している。
[酸素原子の割合(atomic%)測定]
試料を1cm×1cmにカットし、サンプルホルダに固定したものを、以下の装置を用いてXPS測定した。測定条件は以下の通りである。
試料を1cm×1cmにカットし、サンプルホルダに固定したものを、以下の装置を用いてXPS測定した。測定条件は以下の通りである。
測定装置:QuanteraSXM(商品名)、アルバックファイ(株)製
X線源:AlKα
分析領域:φ100μm。
X線源:AlKα
分析領域:φ100μm。
[GCIBによるエッチング後の酸素原子の割合測定]
フッ素ポリマーを含む層の表面に共有結合されたパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を、以下の方法によりGCIBによりエッチングしながら前記XPS測定を行うことにより算出した。測定条件は以下の通りである。
フッ素ポリマーを含む層の表面に共有結合されたパーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物を、以下の方法によりGCIBによりエッチングしながら前記XPS測定を行うことにより算出した。測定条件は以下の通りである。
イオンエッチング:Arガスクラスターイオン 10kV
イオンエッチング速度:2nm/min
GCIBエッチング後の酸素原子の割合は、エッチング時間を変化させながら深さ方向の酸素原子の割合を算出していった際の極大値を用いた。極大値がなく、値が一定値である場合にはその値を用いた。
イオンエッチング速度:2nm/min
GCIBエッチング後の酸素原子の割合は、エッチング時間を変化させながら深さ方向の酸素原子の割合を算出していった際の極大値を用いた。極大値がなく、値が一定値である場合にはその値を用いた。
[耐久離型性評価]
作製した定着部材を複写機(商品名:iRC3200、キヤノン製)に装着した。別途、A4サイズの紙上に10cm×10cmのトナー未定着画像(トナー量0.6g/cm2)を形成した紙を5000枚分用意した。前記複写機及び紙を用いて、剥離性評価を行った。剥離性評価は紙の定着部材への巻きつきで評価した。なお、トナーには離型剤成分(ワックス、オイル等)を含有しないものを用いた。試験条件は以下の通りである。
作製した定着部材を複写機(商品名:iRC3200、キヤノン製)に装着した。別途、A4サイズの紙上に10cm×10cmのトナー未定着画像(トナー量0.6g/cm2)を形成した紙を5000枚分用意した。前記複写機及び紙を用いて、剥離性評価を行った。剥離性評価は紙の定着部材への巻きつきで評価した。なお、トナーには離型剤成分(ワックス、オイル等)を含有しないものを用いた。試験条件は以下の通りである。
トナー:iRC3200用Cyトナー(離型剤成分を含まない)
紙:キヤノン製ペーパーPB
定着温度:180℃
搬送速度:300mm/sec
5000枚通紙後における耐久離型性を、以下の基準で評価した。なお、巻きつきジャムは、溶融したトナーの紙に対する離型性が不十分なために発生する。
◎:巻きつきジャムの発生が無い。
○:巻きつきジャムの発生回数が10回未満である。
×:巻きつきジャムの発生回数が10回以上である。
紙:キヤノン製ペーパーPB
定着温度:180℃
搬送速度:300mm/sec
5000枚通紙後における耐久離型性を、以下の基準で評価した。なお、巻きつきジャムは、溶融したトナーの紙に対する離型性が不十分なために発生する。
◎:巻きつきジャムの発生が無い。
○:巻きつきジャムの発生回数が10回未満である。
×:巻きつきジャムの発生回数が10回以上である。
[実施例1]
PFAフィルム(商品名:ネオフロンPFA、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、水に対する接触角:108°、ヘキサデカンに対する接触角:51°、XPS測定による表面酸素原子の割合:2.6atomic%、融点:315℃)を準備した。該PFAフィルムの片面を、ポリエチレンのマスキングテープでマスキングした。続いて、マスキングされていないもう一方の表面を、ナトリウム・液体アンモニア溶液(液体アンモニア1リットル中に0.3〜20gのナトリウムが溶解されている液)で濡らし、親水化処理を行った。親水化処理後の表面をXPSで測定したところ、酸素原子の割合は29atomic%であった。また、水に対する接触角を測定したところ、25°であった。
PFAフィルム(商品名:ネオフロンPFA、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、水に対する接触角:108°、ヘキサデカンに対する接触角:51°、XPS測定による表面酸素原子の割合:2.6atomic%、融点:315℃)を準備した。該PFAフィルムの片面を、ポリエチレンのマスキングテープでマスキングした。続いて、マスキングされていないもう一方の表面を、ナトリウム・液体アンモニア溶液(液体アンモニア1リットル中に0.3〜20gのナトリウムが溶解されている液)で濡らし、親水化処理を行った。親水化処理後の表面をXPSで測定したところ、酸素原子の割合は29atomic%であった。また、水に対する接触角を測定したところ、25°であった。
続いて、マスキングテープを剥離し、ヘキサン溶剤中に浸漬後、10分間超音波洗浄した。同様の処理をMEK(メチルエチルケトン)及び純水中でも行い、親水化処理した表面を洗浄した。次に、末端にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル(PFPE)(商品名:オプツールDSX、ダイキン工業(株)製、重量平均分子量:4100)をフッ素溶剤(商品名:Novec7300、3M製)中に1質量%の濃度で溶解した。この溶液を、前記親水化処理した表面に十分な量流下した。フッ素溶剤が揮発した後、前記PFAフィルムを密閉可能な容器内に入れ、十分な量の純水が入った別の容器と密閉状態で共存させた。密閉された容器を温度80℃で100分間加熱した後、PFAフィルムを取り出し、前記フッ素溶剤で洗浄した。さらに純水中で洗浄し、120℃で1時間乾燥させ、PFAフィルムの表面にPFPE鎖が共有結合した撥液膜を作製した。
作製した撥液膜の水に対する接触角は116°、ヘキサデカンに対する接触角は68°であった。また、作製した撥液膜をGCIBでエッチングした後、その表面をXPS測定することで酸素原子の割合を定量したところ、酸素原子の割合は27atomic%であった。なお、オプツールDSXにしか出現しないピーク(536eV)の消失を確認した段階で、XPSによる酸素原子の割合の定量を行った。次に、作製した撥液膜についてタック試験を実施したところ、剥離エネルギーは0.15mJであり、トナーは界面剥離していることが分かった。
また、作製した撥液膜を200℃の乾燥炉中で200時間連続乾燥した後、接触角を測定したところ、113°(対純水)、66°(対ヘキサデカン)であった。作製した撥液膜は高い耐熱性を有しているため、200℃という高温条件下で連続的に加熱しても高い撥水性を維持できることが分かった。さらに、前記加熱後の撥液膜についてタック試験を実施したところ、剥離エネルギーは0.17mJであり、トナーは界面剥離していることが分かった。結果を表1に示す。
[実施例2]
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液で処理した後、サンプルを200℃で10時間加熱することで親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液で処理した後、サンプルを200℃で10時間加熱することで親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例3]
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液で処理した後、サンプルをUV−208(商品名、テクノビジョン(株)製)を用いて30分間UVオゾン処理することで親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液で処理した後、サンプルをUV−208(商品名、テクノビジョン(株)製)を用いて30分間UVオゾン処理することで親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例4]
末端アルコキシシラン化合物として、両末端アルコキシシランPFPE(商品名:FLUOROLINK S10、ソルベイ(株)製、重量平均分子量:1800)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
末端アルコキシシラン化合物として、両末端アルコキシシランPFPE(商品名:FLUOROLINK S10、ソルベイ(株)製、重量平均分子量:1800)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例5]
末端アルコキシシラン化合物として、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルシラン(商品名:FAS17、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
末端アルコキシシラン化合物として、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルシラン(商品名:FAS17、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例6]
カーボンブラックを含有した導電PFA(商品名:GRC−PB、グンゼ(株)製、カーボンブラックの含有量:15質量%)を用い、厚さ300μmのフィルムとした。該フィルムをPFAフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
カーボンブラックを含有した導電PFA(商品名:GRC−PB、グンゼ(株)製、カーボンブラックの含有量:15質量%)を用い、厚さ300μmのフィルムとした。該フィルムをPFAフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例7]
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液の代わりにナトリウムナフタレン錯体溶液(商品名:テトラエッチ、潤工社(株)製)を用いて親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。親水化処理条件を以下に示す。前記ナトリウムナフタレン錯体溶液で、片面がマスキングされた前記PFAフィルム表面を全面的に濡らし、10秒間放置した。その後、マスキングテープを剥離し、親水化処理した表面を十分な量のアセトン及び水で洗浄した。その後、実施例1と同様に末端アルコキシシランPFPE(商品名:オプツールDSX、ダイキン(株)製、重量平均分子量4100)を流下した。結果を表1に示す。
前記ナトリウム・液体アンモニア溶液の代わりにナトリウムナフタレン錯体溶液(商品名:テトラエッチ、潤工社(株)製)を用いて親水化処理した以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。親水化処理条件を以下に示す。前記ナトリウムナフタレン錯体溶液で、片面がマスキングされた前記PFAフィルム表面を全面的に濡らし、10秒間放置した。その後、マスキングテープを剥離し、親水化処理した表面を十分な量のアセトン及び水で洗浄した。その後、実施例1と同様に末端アルコキシシランPFPE(商品名:オプツールDSX、ダイキン(株)製、重量平均分子量4100)を流下した。結果を表1に示す。
[実施例8]
PFAフィルムの代わりに、PTFEフィルム(商品名:ヨドフロン、淀川ヒューテック(株)製、厚さ50μm、融点:325℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、PTFEフィルム(商品名:ヨドフロン、淀川ヒューテック(株)製、厚さ50μm、融点:325℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例9]
PFAフィルムの代わりに、FEPフィルム(商品名:ネオフロンFEP、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:262℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、FEPフィルム(商品名:ネオフロンFEP、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:262℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例10]
PFAフィルムの代わりに、ETFEフィルム(商品名:ネオフロンETFE、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:273℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、ETFEフィルム(商品名:ネオフロンETFE、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:273℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例11]
PFAフィルムの代わりに、PCTFEフィルム(商品名:ネオフロンPCTFE、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:210℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、PCTFEフィルム(商品名:ネオフロンPCTFE、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm、融点:210℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[実施例12]
PFAフィルムの代わりに、PVDFフィルム(アルケマ(株)製、厚さ50μm、融点:170℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、PVDFフィルム(アルケマ(株)製、厚さ50μm、融点:170℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例1]
PR500(商品名、ヤマト科学(株)製)を用い、出力100W、処理時間1000秒の条件にて酸素プラズマ処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PR500(商品名、ヤマト科学(株)製)を用い、出力100W、処理時間1000秒の条件にて酸素プラズマ処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例2]
末端アルコキシシラン化合物として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
末端アルコキシシラン化合物として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例3]
末端アルコキシシラン化合物として、n−オクチルトリエトキシシラン(ODS、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
末端アルコキシシラン化合物として、n−オクチルトリエトキシシラン(ODS、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例4]
UV−208(商品名、テクノビジョン(株)製)を用い、処理時間30分にてUVオゾン処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
UV−208(商品名、テクノビジョン(株)製)を用い、処理時間30分にてUVオゾン処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例5]
TEC−4AX(商品名、春日電気(株)製)を用い、出力100W、速度2m/分、10往復処理の条件にてコロナ処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
TEC−4AX(商品名、春日電気(株)製)を用い、出力100W、速度2m/分、10往復処理の条件にてコロナ処理を行うことにより、親水化処理を実施した以外は実施例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例6]
PFAフィルムの代わりに、PTFEフィルム(商品名:ヨドフロン、淀川ヒューテック(株)製、厚さ50μm)を用いた以外は、比較例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
PFAフィルムの代わりに、PTFEフィルム(商品名:ヨドフロン、淀川ヒューテック(株)製、厚さ50μm)を用いた以外は、比較例1と同様にして撥液膜を作製した。結果を表1に示す。
[比較例7]
未処理のPFAフィルム(商品名:ネオフロンPFA、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm)をそのまま撥液膜として用いた。結果を表1に示す。
未処理のPFAフィルム(商品名:ネオフロンPFA、ダイキン工業(株)製、厚さ50μm)をそのまま撥液膜として用いた。結果を表1に示す。
[実施例13]
まず、次の条件でPFAチューブを連続押出成形して、フラット状でロールに巻き取った。得られたPFAチューブの厚さは50.0μmであった。
まず、次の条件でPFAチューブを連続押出成形して、フラット状でロールに巻き取った。得られたPFAチューブの厚さは50.0μmであった。
原料:PFA粉体(商品名:451HP−J、三井デュポンフロロケミカル(株)製)
成形装置:ダイス径80mm、リップ幅1.5mmの環状ダイスを有するスクリュー押出機(一軸)
成形温度:環状ダイス400℃、バレル温度270〜380℃
サイジング:40℃に温調したクーリングマンドレルによるインナーサイジング
引取速度:2500mm/分。
成形装置:ダイス径80mm、リップ幅1.5mmの環状ダイスを有するスクリュー押出機(一軸)
成形温度:環状ダイス400℃、バレル温度270〜380℃
サイジング:40℃に温調したクーリングマンドレルによるインナーサイジング
引取速度:2500mm/分。
続いて得られたPFAチューブを切り出し、PFAチューブの内外面を、実施例1記載のナトリウム・液体アンモニア溶液で濡らし、親水化処理を行った。親水化処理後の表面をXPSで測定したところ、酸素原子の割合は30atomic%であった。また、水に対する接触角を測定したところ、28°であった。続いて、PFAチューブ内面のみをポリエチレンテープでマスキングし、ヘキサン溶剤中に浸漬後、10分間超音波洗浄した。同様の処理をMEK及び純水中でも行い、PFAチューブ外面を洗浄した。
次に、末端アルコキシシラン化合物としてのPFPE(商品名:オプツールDSX、ダイキン工業(株)製、重量平均分子量4100)をフッ素溶剤(商品名:Novec7300、3M製)中に1質量%の濃度で溶解した。この溶液を、前記PFAチューブ外面に十分な量流下した。フッ素溶剤が揮発した後、前記PFAチューブをPFA製の容器内に入れ、十分な量の純水が入った別の容器と密閉状態で共存させた。密閉されたPFA製の容器を温度80℃で100分間加熱した後、PFAチューブを取り出し、前記フッ素溶剤で洗浄した。さらに純水中で洗浄し、120℃で1時間乾燥させ、マスキングテープを剥離することで、PFPE鎖が共有結合したPFAチューブを作製した。
続いて、前記PFAチューブをローラ状の定着部材へと加工した。先ず、図4に示されるように、金型42の内面にPFAチューブ43を挿入し、その両端部を金型42の端部に沿わせて外側に折り返すことで、金型42の内面にPFAチューブ43を装着させた。その後、PFAチューブ43の内面にプライマーを塗布し、乾燥させた。
次に、図5に示されるように、金型42の一端に下部栓体45を被せて密閉した。この密閉端側を下側にして、外周面にプライマーを塗布し、乾燥させた芯金44(外径67mm)を金型42内に同軸に配置した。金型42の上端に上部栓体47を被せて金型42内を密閉した。下部栓体45に設けられたゴム注入孔45Aから芯金44とPFAチューブ43との間に液状ゴムを注入した後、加熱、硬化させ、芯金44上に弾性層46とPFAチューブ43とを有する定着部材を得た。該定着部材について、前記耐久離型性評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例2に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例2に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例3に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例3に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例16]
オプツールDSXに代わりFAS17を用いた以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
オプツールDSXに代わりFAS17を用いた以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例17]
実施例7に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
実施例7に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例8]
比較例1に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
比較例1に記載の方法で親水化処理を実施した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例9]
オプツールDSXに代わりTEOSを用いた以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
オプツールDSXに代わりTEOSを用いた以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例10]
親水化処理及びオプツールDSXによる処理を省略した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
親水化処理及びオプツールDSXによる処理を省略した以外は、実施例13と同様にして定着部材を作製し、評価した。結果を表2に示す。
10 定着ローラ
100 定着装置
100 定着装置
Claims (12)
- フッ素ポリマーを含む層を最表面に有する撥液膜であって、
該フッ素ポリマーを含む層の表面に、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物が共有結合しており、
該化合物が共有結合した該フッ素ポリマーを含む層の表面領域におけるXPS測定において、該化合物を除いた該表面領域における酸素原子の割合が10atomic%以上であることを特徴とする撥液膜。 - 前記フッ素ポリマーを含む層が無機フィラーを含有する請求項1に記載の撥液膜。
- 前記フッ素ポリマーの融点が200℃以上である請求項1又は2に記載の撥液膜。
- 前記フッ素ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)及びクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1から3のいずれか1項に記載の撥液膜。
- 前記パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物がシランカップリング剤である請求項1から4のいずれか1項に記載の撥液膜。
- 前記パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物の重量平均分子量が1000以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の撥液膜。
- 記録媒体上のトナー像を加熱して、該トナー像を該記録媒体に定着させる工程に用いられる定着部材であって、
該定着部材の最表面に、請求項1から6のいずれか1項に記載の撥液膜が形成されていることを特徴とする定着部材。 - フッ素ポリマーを含む層の表面を化学的処理法で親水化処理する工程と、
該化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面を、パーフルオロポリエーテル鎖又はパーフルオロアルキル鎖を有する化合物で処理する工程と、
を有することを特徴とする撥液膜の製造方法。 - 前記化学的処理法による親水化処理後のフッ素ポリマーを含む層の表面の、水に対する接触角が55°以下である請求項8に記載の撥液膜の製造方法。
- 前記化学的処理法が、液体アンモニア及びナトリウムナフタレン錯体からなる群から選択される少なくとも一種による処理である請求項8又は9に記載の撥液膜の製造方法。
- 請求項7に記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
- 感光体と、
該感光体を帯電させる帯電装置と、
該帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、
該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
請求項11に記載の定着装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
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- 2016-08-04 JP JP2016153446A patent/JP2018022056A/ja active Pending
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