JP2017040871A - 画像形成装置用積層ベルト及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
近年の高画質に対するトナーの取り組みとして、粒子径が小さく、平均粒径として4〜6μmの小粒径で粒径ばらつきの少ない球形トナーとして重合トナーが商品化されており、また、外添材として酸化ケイ素や酸化チタン等の硬質の球形又は針状の微粒子が大量に添着してあるものが用いられるようになってきている。
さらに、トナー転写性においては、ハードコート材の使用で、転写ベルトから紙への二次転写性は向上するが、感光体から転写ベルトへの一次転写性は互いに硬い表面を有すもの同士の接触により、トナーが凝集破壊してしまうことから、悪化する傾向がある。一方で、ソフトコート材を用いると、逆に一次転写性は良好なるものの、二次転写性が悪化する。
また、コート層の導電性フィラーの構成を考慮せずにコート層を形成すると、コート層の電気抵抗率と基材層の電気抵抗率の差や厚みの差により積層ベルトの電気抵抗値が不安定になり、その結果、積層ベルトの表面電気抵抗率が制御しにくくなり、画像異常を引き起こす原因となりうる。
さらには、基材層に耐ローラー癖性に極めて優れた特定の高弾性熱可塑性樹脂を用いることにより、機械強度と耐ローラー癖性にも優れたエンドレスベルトを得ることができることを見出した。
[2] [1]において、前記導電性フィラーが、平均一次粒子径40nm以下の金属フィラーを含み、前記活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂が、多官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートオリゴマー及び多分岐アクリレートポリマーより選ばれる1種以上を架橋させた樹脂であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
[3] [1]又は[2]において、前記コート層における導電性フィラーと活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂との含有割合が、導電性フィラー/(活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂)の重量比で、50/50以上、80/20以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
[4] [1]乃至[3]のいずれかにおいて、前記導電性フィラーは、平均一次粒子径の異なる2種以上の導電性フィラーを含むことを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
[5] [1]乃至[4]のいずれかにおいて、前記基材層はポリエーテルエーテルケトン及び/又はポリアルキレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂と導電性フィラーとを含むシームレスベルトであることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載の画像形成装置用積層エンドレスベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
なお、本発明において、「主成分」とは複数の成分を配合してなる材料において、当該配合材料中で最も多く含まれている成分をさす。
本発明の積層エンドレスベルトは、少なくとも基材層と表面層としてのコート層を有するものであればよく、基材層とコート層との間に中間層があっても良いし、両層の接着性を高めるために、基材層にプライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理等の各種表面処理(下地処理ともいう)を施したものであってもかまわない。少なくとも、各種処理を含めた表面層のコート層に導電性フィラーが主成分であることが重要である。
本発明の画像形成装置用積層ベルトのコート層(以下、「本発明のコート層」と称す場合がある。)は、導電性フィラーを主成分として含み、これを活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂で結着させてなるものである。即ち、本発明では、基材層の表面のコート層に、導電性フィラーが高密度に分散され、この高密度に分散された導電性フィラーを結着させるためのバインダー樹脂としての活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂が副成分として存在するものであり、従来のハードコート層とは全く異なるものである。
本発明の積層エンドレスベルトにおいて、コート層は、画質を向上させる必要があるため、導電性フィラーを主成分とする必要がある。コート層が導電性フィラーを主成分とすることにより、ベルト表面に分散する導電性フィラーが、紙との剥離時に発生する放電、紙とベルトとの摩擦による帯電を防止して、除電することができ、高画質を得ることが得切る。
好ましくは、平均一次粒子径の小さい方の第1の導電性フィラー/平均一次粒子径の大きい方の第2の導電性フィラーの比は、重量比で99/1〜60/40であり、より好ましくは、95/5〜80/20である。
また、導電性フィラーは、本発明のコート層及び本発明のコート層を形成するための後述の架橋性液状物中の全固形分に対して50重量%以上、特に52〜70重量%、とりわけ54〜65重量%含まれることが好ましい。
コート層は、活性エネルギー線及び/又は熱により架橋硬化させて形成されることが生産性の観点から好ましいことから、本発明においては、コート層の導電性フィラーを結着するためのバインダー樹脂として活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂を用いる。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、分子量300〜1500程度の、ノボラック型、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレートオリゴマー、ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
多分岐アクリレートポリマーとしては、分子量1500〜50000程度の、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。ここでいう多分岐アクリレートポリマーは、コアを中心に放射状に高分子鎖が伸びている構造をもつデンドリマー型多官能アクリレートポリマーを指す。デンドリマー型多官能アクリレートポリマーは、分子間のユニット間距離が短く硬化速度が速く、硬化後の収縮率が小さくなる特徴がある。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
希釈溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノエチルエーテルとを併用する場合、その使用割合は、重量比でプロピレングリコールモノメチルエーテル:プロピレングリコールモノエチルエーテル=1:0.5〜5、特に1:1〜3とすることが好ましい。また、希釈溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを併用する場合、その使用割合は、重量比でプロピレングリコールモノメチルエーテル:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=1:0.03〜0.5、特に1:0.05〜0.3とすることが好ましい。
本発明のコート層は、その表面のクリーニング性を持続させるために、コート層表面に適度に滑性を付与し低摩擦特性を持続させるべく、非導電性フィラー等の付加的成分を含んでいてもよい。
その中でも、アクリル基含有ポリジメチルシロキサン系、アクリル基含有変性ポリジメチルシロキサン系、シリコーンアクリレート、シリコーンポリエーテルアクリレート、ポリエーテル変性シリコーン、シリコーンウレタンアクリレート材料が、安価で少量の配合で摩擦係数を下げることができ好ましい。特に、アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有変性ポリジメチルシロキサン、シリコーンウレタンアクリレートが各種アクリレートとの混和性の観点より好ましい。
本発明のコート層は、好ましくは、上述のような導電性フィラーを含む架橋性液状物(ハードコート材)を基材層上に塗布して塗布膜を形成した後、加熱及び/又は活性エネルギー線照射により架橋硬化させて形成される。
上述のようにして、基材層に架橋性液状物を塗布して形成した塗布膜の架橋硬化は、活性エネルギー線及び/又は加熱により行われる。
紫外線による架橋硬化を行う場合、公知の紫外線照射装置を用いることができる。例えば、水銀ランプ法、メタルハライドランプ法によるハイキュアランプや低圧水銀ランプを使用することができ、紫外線としては、波長200nm〜500nmの範囲において相対エネルギーのピークを持つものが好ましく用いられる。
また、反射板方式としては、アルミミラー方式、コールドミラー方式、メタルコールドミラー方式、コールドフィルター方式、水冷ジャケット方式、ダブルミラー方式等の公知のものが用いることができ、中でも冷却機構を備えた、コールドミラー方式、メタルコールドミラー方式、コールドフィルター方式が、紫外線を照射している際に、塗布膜及び基材が異常に加熱されることを防ぐことができるため好ましい。
紫外線照射における積算照射エネルギーとしては、100mJ/cm2以上、1500mJ/cm2以下が好ましく、特に300〜1300mJ/cm2であれば、コート材が十分架橋されるため好ましい。
電子線による架橋硬化を行う場合、公知の電子線照射装置を用いることができる。例えば電子線照射線量として50kGy以上、1500kGy以下で照射できる能力を備えた電子線照射装置が好ましく用いられる。
赤外線による架橋硬化を行う場合、公知の赤外線照射装置を用いることができる。例えば、波長0.75μm〜4μmの近赤外線照射装置、波長4μm〜25μmの遠赤外線照射装置、波長25μm〜1000μmの超遠赤外線照射装置が好ましく用いられる。
熱による架橋硬化を行う場合、公知のヒーター、オーブン等を用いて50℃以上、180℃以下で加熱する方法を用いることができる。
尚、加熱とは、熱架橋の目的以外にも、溶媒の除去を促進させる目的、さらには、基材層の結晶性を促進させたり、非結晶部を緻密化させたりすることによる耐ローラー癖特性を向上させる目的も含まれ、本発明においては重要である。
好ましい加熱の温度と時間は、加熱温度60℃以上、150℃以下であり、加熱時間は15秒以上、30分以下、好ましくは30秒以上、15分以下である。
<基材層の材料>
本発明の積層エンドレスベルトにおいて、基材層の構成材料は、後述の基材層及び積層エンドレスベルトの好適な物性や特性を満たす基材層を実現することができるものであればよく、特に制限がないが、生産性の観点から押し出し成形の可能な熱可塑性樹脂を主成分とし導電性成分を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性結晶性樹脂であっても熱可塑性非晶性樹脂であってもよく、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(Par)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリオキシベンジレン(POB)、液晶性ポリエステル、ポリサルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリビスアミドトリアゾール、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
基材層には、導電性フィラー或いは帯電防止剤、イオン導電性物質等の導電性を発現する物質の必要量を配合することにより、所望の導電性を得ることができる。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
基材層の成形に先立って前述の熱可塑性樹脂と導電性フィラー等を加熱混練する手段には特に制限はなく、公知の技術を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、導電性フィラー、及び必要に応じて配合されるその他の添加成分を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。特に、これらを二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後にエンドレスベルト状となるように成形する手法が好ましく用いられる。
本発明において、基材層の成形方法については特に限定されるものではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、或いはインフレーション成形法、遠心成形法、ゴム押出成形法等の公知の方法を採用して得ることができるが、特に好ましい方法は、連続溶融押出成形法である。特に、環状ダイより押し出した溶融チューブを、冷却又は冷却固化しつつ引き取る押出成形法が好ましく、特にチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式或いはバキュームサイジング方式が好ましい。特に、内部冷却マンドレル方式がシームレスベルト状の基材層を容易に得ることができるため画像形成装置用ベルトの成形法としては最も好ましい。この場合、環状ダイとしては、その円周方向に複数の温度調節機構が設けられているものが好ましい。また、溶融チューブの冷却は、80〜150℃の範囲に温度調節した金型を、その内側又は外側に接触させて行うことが好ましく、このようにして、溶融チューブを円筒形状を保持したまま引き取ることが好ましい。
上述のようにして成形された基材層は、コート層の形成に先立ち熱処理を行ってもよく、これにより、より物性の向上した基材層とすることが可能となり、特に、耐屈曲性、引張弾性率や耐ローラー癖性の改善が見られる。
以下に、本発明の積層エンドレスベルトの好適な物性及び特性を挙げる。
(コート層厚み)
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の厚みは、0.2μm以上、5.0μm未満が好ましい。コート層の厚みはより好ましくは、0.4μm以上、1.0μm未満であり、このような厚み範囲であれば、ブレードとの摩擦による摩耗に対し長時間耐え得ることができるため好ましい。また、このような厚み範囲であれば、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率は、基材層の電気抵抗率が支配的となり、基材層の電気抵抗率の制御にあっては、既に技術的に確立されているため、コート層を付与した積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率は基材層で決められるため、表面電気抵抗値の制御がしやすくなり好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の厚みは、その基材層の弾性率(ここで、弾性率とは後述の「引張弾性率」である。)にも関係してくるが、弾性率が2000MPa以上であれば40μm以上、160μm以下が好ましく、弾性率が2000MPaより低ければ、80μm以上、180μm以下が好ましい。特に注意すべき点としては、厚みが厚すぎると厚み偏差が大きくなるため、ベルトの周速が変わり、画像ズレが起こる可能性があるという点と、厚みが厚い場合、基材層における表層と中央部(厚み方向の中央部分)の配向差が大きくなりすぎ、導電性フィラー等の分散の差が大きく、電気抵抗値の差が大きくなるため好ましくない。基材層の好ましい厚みは60〜140μmであり、とりわけ70〜125μm以下であることが、厚み偏差が少なく、また、チューブ状への押し出し成形安定性が得られるため好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の厚みと基材層の厚みの差(比率)は、コート層の厚み/基材層の厚みで1/750以上、1/100以下であることが好ましい。本発明においてコート層は基本的には基材層より硬いため、コート層を薄く、基材層を厚くすることが好ましいが、コート層の耐摩耗性を重視しつつ、コート層の表面電気抵抗率と基材層の表面電気抵抗率が適度に干渉する厚み比として、1/750以上、1/100以下が好ましい。
この比率より基材層が厚すぎると基材層の電気抵抗値のコート層への影響が大きく、電気抵抗値の調整が難しくなる。反対にコート層が厚すぎると、コート層の電気抵抗値が積層エンドレスベルトの電気抵抗値として支配的になるため、電気抵抗値が調整しにくくなる。より好ましい厚み比は1/500以上、1/70以下であり、特に好ましくは1/300以上、1/50以下である。
(コート層の表面微小硬度)
本発明のコート層の硬さは、HUpl(ユニバーサル硬度の塑性硬さ)において250N/mm2以上、700N/mm2以下であることが重要である。
コート層の表面微小硬度が700N/mm2より硬いと、基材層の弾性率が高い場合には、エンドレスベルトと感光体との間でニップを確保できなくなり、感光体上のトナーをエンドレスベルトへ転写されにくくなるばかりか、感光体を傷つけてしまう可能性があるため好ましくない。
また、コート層の表面微小硬度が250N/mm2より低いと、トナーの外添材、とりわけチタンやシリカによりエンドレスベルトの表面が削られ摩耗しやすくなり、表面が荒れやすく、クリーニング性の耐久性が悪化するため好ましくない。
本発明のコート層の表面微小硬度は、好ましくは350N/mm2以上、650N/mm2以下である。
尚、表面微小硬度は、コート層表面の約1μm±0.5μmの深さの微小硬度を示すものであり、具体的には、後述の実施例の項に示される方法で測定される。
例えば、導電性フィラーの配合量がバインダーよりも多い場合、導電性フィラーの配合量を増やすと硬度は低下するが、過多に配合するとフィラー自体は硬いためコート層は硬くなる。一方、導電性フィラーの配合量がバインダーよりも少ない場合、導電性フィラーの配合量を少なくすると、バインダー樹脂自体の硬さの影響を受けるため、コート層は硬くなる。従って、導電性フィラーを主成分としたコート層においては、導電性フィラーの配合量によりコート層の表面微小硬度を調整することができる。
コート層の硬度(上記表面微小硬度)と基材層の硬度(基材層の表面微小硬度の硬度:単位N/mm2)の差(比率)は、あまり大きすぎると、エンドレスベルトが高速でローラー張架されつつ駆動した場合に、ローラー部にて伸縮し、コート層と基材層との間での剥がれが発生しやすくなるため、その比率は、コート層の硬度/基材層の硬度で1/2以上、3以下であることが好ましい。
(コート層の摩擦係数)
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の摩擦係数(この値は、積層エンドレスベルトの摩擦係数となる。)は0.05以上、0.4以下が好ましい。コート層の摩擦係数が0.4より大きいと、クリーニングブレードによるクリーニング効果が悪化し、ブレードとベルト間でステックスリップが発生し、トナー、インクのすり抜けが発生するため好ましくない。コート層の摩擦係数が0.05より小さい場合は、感光体上のトナー像を積層エンドレスベルトへ転写させる際にスリップを発生させ、トナー画像の乱れが発生するため好ましくない。コート層の摩擦係数は、より好ましくは0.1〜0.35である。
(基材層の引張弾性率)
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の引張弾性率は、300MPa以上、4500MPa以下であることが好ましい。基材層の引張弾性率が低いと、コート層との弾性率との差が大きくなりすぎるため、積層エンドレスベルトのローラー張架時の伸縮により基材層とコート層との界面での剥離が発生しやすくなるため好ましくない。また、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に、張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなどの不具合を発生することがある。逆に、引張弾性率が高すぎる場合は、積層エンドレスベルトを駆動する際にモータ負荷がかかるため、厚み設定を薄くする必要が生じ、一旦ローラーとベルト間にゴミが入り込んだり、感光体との摩擦による傷等が入るとクラックが入り易く、信頼性に問題があるため好ましくない。また、一次転写におけるトナーの転写効率を向上させるためには、ベルトが伸びない程度の引張弾性率が必要であり、かつエンドレスベルトが硬くならない程度の引張弾性率が必要である。基材層のより好ましい引張弾性率の範囲は1500MPa以上、3500MPa以下、特に1800MPa以上、3300MPa以下である。
上記と同様な理由から、積層エンドレスベルトの引張弾性率は好ましくは1300MPa以上、4500MPa以下、より好ましくは1600〜3500MPa、特に好ましくは1700〜3300MPaである。
(基材層の表面粗さ(Ra))
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。基材層の表面粗さ(Ra)が0.02μm未満であると、コート層との積層の際に積層界面の面積が少なくなるため接着力に問題が発生する場合があるため好ましくない。ただし、その場合は、プライマー処理、プラズマ処理等で接着力を高める公知の手段を採用して対応することもできる。
また、基材層の表面粗さ(Ra)が0.5μmを超えるとコート層を形成して得られる積層エンドレスベルトに基材層の表面粗さの影響がでるため好ましくない。特に好ましい基層の表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.15μm以下、特に0.03μm以上、0.12μm以下であることが好ましい。
基材層にコート層を形成した後の本発明の積層エンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は、0.02μm以上、0.3μm以下が好ましい。特に、コート材に防汚成分を含まなければ、表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.1μm以下が好ましく、防汚成分を含んでいる場合は表面の凹凸が大きくても、低摩擦係数であるが故にブレードクリーニングしやすくなるため、許容範囲が広くなる。積層エンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は特に好ましくは0.02μm以上、0.08μm以下である。
(基材層の水との接触角)
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の水との接触角は小さい方が好ましく、95°以下であることがコート層の接着力が高くなる点で好ましい。基材層の水との接触角は特に80°以下、とりわけ75°以下であることが好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の水との接触角(コート層の水との接触角とは、積層エンドレスベルトの水との接触角である。)は基材層よりも大きい方が好ましく、80°以上であればトナー非固着性向上の点で好ましく、特に90°以上であれば、クリーニング性、トナー固着性何れも問題がなくなるため好ましい。
尚、コート層の水との接触角の上限は120°以下であり、これより大きすぎると、感光体との摩擦が小さくなりすぎ、トナーの一次転写効率が悪くなり好ましくない。コート層の水との接触角は90°以上、105°以下であることが最も好ましい。
尚、コート層の表面粗さ(Ra)が小さく、表面が平滑であれば、水との接触角が比較的大きくても、トナークリーニング性、トナー転写性は良好であり、言い換えると表面粗さが粗い場合には、水との接触角を小さくするとクリーニングしやすくなる。
本発明の積層エンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好な積層エンドレスベルトが好ましい。
具体的な数値としては,治具先端のRが2mmの治具で折り曲げた場合に、破断回数が5万回を超えていればエンドレスベルトとして優れた機能を発揮して使用することができるが、実用的には10万回以上が好ましく、20万回以上であれば更に好ましい。高弾性ベルトの場合、JIS規格通りの治具先端R0.38mmでは、屈曲が強すぎて、正確な耐久性が読み取れない。
印加電圧100V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(100V)、印加電圧1000V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(1000V)、印加電圧100V,10秒にて測定した体積電気抵抗率をVR(100V)と表記した場合、本発明の積層エンドレスベルトの基材層のSR(100V)は特に制限がないが、中間転写ベルトとしては、1×107〜1×1012Ω/□であることが好ましく、1×108〜1×1011Ω/□であることがより好ましい。また、基材層のSR(1000V)は1×107〜1×1012Ω/□であることが好ましく、1×108Ω〜1×1010Ω/□であることがより好ましい。また、SR(100V)/SR(1000V)の比は100以下であることが好ましく、10以下であることが、印加電圧の振れによる電気抵抗値変化が少なく、感光体から中間転写ベルトへのトナーの転写(一次転写)と中間転写ベルトから紙へのトナーの転写(二次転写)が安定して行われるため好ましい。
また、積層エンドレスベルトのVR(100V)は特に制限はないが、中間転写ベルトの場合には1×107〜1×1012Ω・cmであることが好ましく、1×108〜1×1011Ω・cmであることがより好ましい。
尚、SR(100V)/VR(100V)は特に制限されるものではないが、0.01以上100以下が好ましく、特に0.1以上50未満が特に好ましい。SR(100V)/VR(100V)比が100以上の場合には、厚み方向に電流が流れやすくなり、リークしてしまう恐れがある。また、SR(100V)/VR(100V)比が0.01以下の場合には、通電により体積抵抗値が上昇し変化する恐れがある。
また、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率は、基材層にコート層を形成してなる積層エンドレスベルトの表面(コート層表面)に対して測定される。
本発明の画像形成装置用積層エンドレスベルトの用途に特に制限はないが、寸法精度、耐屈曲性、引張弾性率など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材に好適に用いることができる。この積層エンドレスベルトをシームレスベルト形状とした場合、割れ、伸びなど不具合が少ないので好適である。
{基材層の形成材料}
基材層の形成材料は下記のものを用いた。
(PEEK)
ビクトレックス社製 ポリエーテルエーテルケトン「381G」
(PBT)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ポリブチレンテレフタレート「5050CS」
電気化学(株)製 アセチレンブラック「デンカブラック」
DBP吸油量:180ml/100g
比表面積:65m2/g
揮発分:0%
平均一次粒径:39nm
pH:9
コート層を形成するための架橋性液状物(コート材)は、以下の材料を用いて以下のようにして調製した。
三菱マテリアル社製「EPSPDL−2」:平均一次粒子径10nm、粉末の体積抵抗103〜106Ω・cmの酸化リンドープ酸化スズ
三菱マテリアル社製「13M−C」:平均一次粒子径75nm、粉末の体積抵抗2Ω・cmの酸窒化チタン
新中村化学社製「NKエステル A―DPH」:多官能アクリレートモノマー(分子量578)
大阪有機化学工業社製「STAR501」:多分岐アクリレートポリマー(分子量15000〜21000)
新中村化学社製「UA−122P」:ウレタンアクリレートオリゴマー(分子量1100)
BASFジャパン社製「IRGACURE184」:光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
ビックケミージャパン社製「BYK−UV3570」:滑性付与成分としてのアクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
コート材1の各成分の配合組成は、以下の通りである。
(固形分)
酸化リンドープ酸化スズ 44重量%
酸窒化チタン 8重量%
多官能アクリレートモノマー 36重量%
ウレタンアクリレートオリゴマー 8重量%
アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.5重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 3.5重量%
(希釈溶媒分)
上記固形分100重量部に対し、
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20重量部
コート材2の各成分の配合組成は、以下の通りである。
(固形分)
リンドープ酸化スズ 47重量%
酸窒化チタン 10重量%
多分岐アクリレートポリマー 32重量%
ウレタンアクリレートオリゴマー 8重量%
アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.3重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.7重量%
(希釈溶媒分)
上記固形分100重量部に対し、
プロピレングリコールモノメチルエーテル 300重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20重量部
コート材3の各成分の配合組成は、以下の通りである。
(固形分)
リンドープ酸化スズ 54.5重量%
酸窒化チタン 7重量%
多分岐アクリレートポリマー 25重量%
ウレタンアクリレートオリゴマー 11重量%
アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.5重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.0重量%
(希釈溶媒分)
上記固形分100重量部に対し、
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20重量部
コート材4の各成分の配合組成は、以下の通りである。
(固形分)
リンドープ酸化スズ 22重量%
多官能アクリレートモノマー 75重量%
アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.3重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.7重量%
(希釈溶媒分)
上記固形分100重量部に対し、
プロピレングリコールモノメチルエーテル 300重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20重量部
得られた積層エンドレスベルト及びその構成層について次のような評価を行った。
ダイヤインスツルメンツ(株)製 商品名「ハイレスタ(URプローブ)」を使用し印加電圧100V,1000V 各10秒の条件にて測定した。印加電圧100Vのときの表面電気抵抗率を「SR(100V)」、印加電圧1000Vのときの表面電気抵抗率を「SR(1000V)」と記載する。
基材層の表面電気抵抗率は、押出成形により得られた基材層の外表面に対して測定した値を採用した。
コート層の表面電気抵抗率は、コート層を形成する前の基材層に100μm厚さのPETフィルムを巻き付け、このPETフィルム上に、各コート材を、基材層上にコート層を作製する条件と同一条件で塗布、硬化させてコート層を形成し、このコート層に対して印加電圧1000Vで測定した表面抵抗率をコート材の表面電気抵抗率とした。
積層ベルトの表面電気抵抗率は、基材層にコート層を形成して得られた積層エンドレスベルトの外表面(コート層表面)に対して測定した値を採用した。
積層エンドレスベルトの体積電気抵抗率は、基材層にコート層を形成して得られた積層エンドレスベルトの外表面(コート層表面)に対して印加電圧100Vで測定した値を採用した。この体積電気抵抗率を「VR(100V)」と記載する。
コート層の表面微小硬度は、コート層を形成する前の基材層に厚さ1mmのスライドガラスを巻き付け、このスライドガラス上に、各コート材を、基材層上にコート層を作製する条件と同一条件で塗布、硬化させてコート層を形成し、このコート層に対してフィッシャースコープ社製の微小硬度計「HM2000」を用いて、最大押込み荷重0.8mN、押し込み時間27秒の条件で測定し、HUpl(ユニバーサル硬度の塑性硬さ)を求めた。基材層の表面微小硬度は、作製された基材層について、上記と同様に求めた。尚、微小硬度は、ベルト表面約1μm±0.5μmの深さの微小硬度を示すものである。
積層エンドレスベルトについて、約50mm×50mmの大きさの試験片を切り出し、そのコート層表面を、(株)キーエンス製超深度形状測定顕微鏡「VK8500」を用い、レンズ100倍、ピッチ0.01μm、シャッタースピードAUTO、ゲイン835の測定条件にて40μm×40μmのエリアの表面粗さRaを4点測定し、その平均値を表面粗さの測定値とした。基材層の表面粗さRaは、作製された基材層について、上記と同様に求めた。
本発明の積層エンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、プリンタ内でローラーに張架された状態で60℃以上程度の高温下にさらされた際に、エンドレスベルトにローラーの跡(ローラー癖)が付くと、画像に影響を及ぼすため好ましくない。エンドレスベルトの耐ローラー癖性は以下の方法で評価した。
温度23℃、湿度50%の条件で24時間以上状態調整したエンドレスベルトを15mm幅、44mm長さに切り取り、この試験片を、直径14mmのローラーに、試験片長さ方向がローラーの周方向となるようにセロハンテープ等で固定し、温度60℃湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラーから開放し、温度23℃湿度50%で2時間放置した際の試験片の開口幅L(ローラーにより断面略C字形に癖付けされた試験片の開口部の幅)から以下の式で求めた値を、ローラー癖復元率(%)とする。この値は40%以上であることが、耐ローラー癖性に優れ好ましい。
ローラー癖復元率(%)={開口幅L(mm)/試験片長44(mm)}×100
積層エンドレスベルトについて、コート層表面に水を一滴たらし、エルマー製ゴニオメーター「G−1」を用いて1分後の水の接触角を測定した。
積層エンドレスベルトのコート層表面について、新東化学(株)製「HEIDON トライホギアμS TYPE94i」を用い黄銅にハードクロムメッキした板との静摩擦係数を測定した。
ISO R1184−1970に準拠し、基材層及び積層エンドレスベルトから、それぞれ幅15mm、長さ150mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片に対して引張速度1mm/min、つかみ具間距離100mmとして測定した。
JIS P−8115に準拠し、基材層及び積層エンドレスベルトから、それぞれ幅15mm、長さ100mmの大きさの試験片を切断し、この試験片に対して、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、先端部の曲率半径R=0.38mmと2mmの折り曲げ治具を用い、それぞれの破壊に至る折り曲げ回数を測定した。数値は3点の平均値を用いた。
積層エンドレスベルトをφ25mmローラー2本にテンション4kgにて張架させて回転駆動させ、3万回回転させたときにエンドレスベルトにクラックが発生するかを評価し、3万回でクラックを発生しないものを「○」、1万回以上3万回未満でクラック発生したものを「△」、1万回未満でクラックが発生するものを「×」とした。
なお、「△1」は基材からクラックが発生したものであり、「△2」はコート層表面からクラックが発生したものである。
リコー社製中間転写タンデム機「Ipsio SP C220」の転写ベルトユニットに、積層エンドレスベルトを装着し、クリーニングブレードをつけ、トナーをベルト表面に接触するような状態にてから回し試験を実施し、ベルト10回転後にトナーがブレードにクリーニングされずにスジ状に残る本数を数え、3箇所以下であれば「○」とし、3箇所を超え10箇所以下であれば「△」とし、10箇所を超える場合は「×」とした。
リコー社製中間転写タンデム機「IPSiO SP C220」の転写ベルトユニットに、積層エンドレスベルトを装着し、4cm×5cmの黒ベタ画像をプリントした。ベタ画像の白抜け度を目視で確認し、購入時のプリンタ画像より向上していれば「○」とし、向上していなければ「×」とした。
<実施例1>
PEEK84.5重量%に、アセチレンブラックを15.5重量%配合し、二軸混練押出機(池貝(株)製「PCM45」)を用いてペレット化した。混練条件は、シリンダー温度380℃を基本とした。
スプレーノズルは一軸ロボットに装着し、基材層幅方向(軸方向)に30mm/secの移動速度で移動させた。
得られた積層エンドレスベルトの評価結果を表1に示す。
また、表面平滑性に優れ、適度に表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであり、耐クラック性、耐ローラー癖性も良好であった。
コート層の形成にコート材2を使用した以外は実施例1と同様に積層エンドレスベルトを得た。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
また、表面平滑性に優れ、適度に表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。また、耐クラック性、画像も良好であった。
コート層の形成にコート材3を使用した以外は実施例1と同様に積層エンドレスベルトを得た。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
また、表面平滑性に優れ、適度に表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。また、耐クラック性、画像も良好であった。
PBT86重量%に、アセチレンブラックを14重量%配合し、二軸混練押出機(池貝(株)製「PCM45」)を用いてペレット化した。混練条件は、シリンダー温度260℃を基本とした。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
また、表面平滑性に優れ、適度に表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
また、基材がPBT樹脂のため、耐クラック性、耐ローラー癖性はPEEK樹脂より劣るが、ベルト端部に補強テープを貼ることにより使用できるレベルであった。
コート層の形成にコート材4を使用した以外は実施例1と同様に積層エンドレスベルトを得た。
得られた積層ベルトの評価結果を表1に示す。
また、表面平滑性に優れ、適度に表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであったが、表面が硬く、クラックが入りやすかった。
比較例1の積層エンドレスベルトは、導電性フィラーの配合量が少なく、薄膜層にしたときのコート層の表面電気抵抗値が大きいためか、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が大きくなってしまい、電気抵抗値が不安定のため、画像異常が発生した。これは、紙とエンドレスベルトとの間で発生する放電に起因するものと推察される。
2 帯電器
3 露光光学系
4 現像器
5 クリーナー
6 導電性エンドレスベルト
7,8,9 搬送ローラー
10 静電転写機
11 記録紙
12 押圧ローラー
Claims (6)
- 画像形成装置に用いられる、少なくとも基材層と、該基材層上に形成されたコート層とを備える積層エンドレスベルトであって、
該コート層が、主成分としての導電性フィラーと、活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂とを含み、該コート層の表面微小硬度が250N/mm2以上、700N/mm2以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。 - 請求項1において、前記導電性フィラーが、平均一次粒子径40nm以下の金属フィラーを含み、前記活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂が、多官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートオリゴマー及び多分岐アクリレートポリマーより選ばれる1種以上を架橋させた樹脂であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1又は2において、前記コート層における導電性フィラーと活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂との含有割合が、導電性フィラー/(活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂)の重量比で、50/50以上、80/20以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1乃至3のいずれか1項において、前記導電性フィラーは、平均一次粒子径の異なる2種以上の導電性フィラーを含むことを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1乃至4のいずれか1項において、前記基材層はポリエーテルエーテルケトン及び/又はポリアルキレンテレフタレートを主成分とする熱可塑性樹脂と導電性フィラーとを含むシームレスベルトであることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置用積層エンドレスベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
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