JP7064374B2 - 電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置に供せられる電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置に関する。
複写機、レーザビームプリンタといった電子写真方式の画像形成装置(以下、「電子写真装置」と称す)においては、帯電ベルト、帯電ローラ、電子写真用ベルト、転写ローラといった半導電性の導電性部材が配置されている。
導電性部材のうち、電子写真用ベルト、例えば中間転写ベルトは、基層のみからなる単層のベルト、あるいは、基層に表面層をコーティングしたものや、基層の上に弾性層、さらに表面層を有する複層からなる中間転写ベルトが知られている。
従来より、基層に用いられる材料には、ポリイミド樹脂を始めとする熱硬化性樹脂に導電フィラーとしてカーボンブラックを添加して、電気抵抗値を調整した樹脂組成物が多用されている。
しかし、ポリイミド樹脂は高価であり、また熱硬化時間も数十分という長い時間が必要であるため製造コストの観点から、より安価で、かつ短い時間サイクルで製造可能な熱可塑性樹脂が、新たな基層用の材料として着目されている。
特許文献1には、熱可塑性樹脂中に導電フィラーとしてカーボンブラックが添加された導電性樹脂組成物を円筒ダイスを介してチューブ状に溶融押出した後、押出しチューブの内側に配置した冷却部材の外周に、押出しチューブを担持させて冷却することによって厚み100μmの導電性エンドレスベルトの基層を得る製造方法が記載されている。
特開2007-130803号公報
近年、電子写真装置では、さらなる低価格化が進行してきており、電子写真用ベルトも従来の印刷画質を維持しつつも、より安価であることが求められている。そのため本発明者は、材料費を削減する目的でベルト基層の膜厚を減らす検討を進めてきた。しかしながら、特許文献1に係る方法によって製造された、熱可塑性樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物を主成分とする電子写真用ベルトの基層は、その厚さを薄くするほど膜厚ムラが大きくなる傾向を有していた。
基層の厚さが周囲に比較して厚い部分は、電気抵抗値が相対的に高くなり、トナーを転写させるために必要な電流が供給され難くなる。一方、基層の厚さが周囲に比較して薄い部分が存在した場合、その部分は、一次転写の際に、感光ドラムと十分に接触できず、感光ドラムからベルトへ転写されるトナーの量が少なくなる。このように、電子写真用ベルトの基層の厚みムラは、画像品質に大きな影響を及ぼし得る。
ところで、円筒ダイスから溶融状態の樹脂混合物を押し出してチューブ形状を有する円筒押出成形物を製造する場合、溶融状態の樹脂混合物の流動性が、周囲の環境の影響により部分的に変化し、膜厚ムラの大きい押出成形物が形成される場合があった。
しかしながら、成型時の環境の影響を遮断し得るような設備の設置は、電子写真用ベルトのコストアップの要因になる。
そこで、本発明者は、円筒押出成形物の製造時における周囲環境の厳密な制御とは異なる方法によって、円筒押出成型物の、より一層の膜厚ムラの低減を図る技術の開発が必要であるものと認識した。
本発明の一態様は、厚みムラの小さい円筒押出成形物である電子写真用ベルトの提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを含む導電性の基層を有する、エンドレスベルト形状の電子写真用ベルトであって、
該カーボンブラックは、表面に有機化合物由来の凸部を有し、
該基層は、該熱可塑性樹脂と該カーボンブラックとを含む樹脂混合物の円筒押出成形物であり、該円筒押出成形物の断面を、0.01nm/pixel以上、1nm/pixel以下の解像度、かつ最低階調が0より大きく、最高階調が255未満とする条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、TEM画像を得て、さらに、該TEM画像から、該カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である、一辺が100nmである正方形領域を抽出し、該正方形領域内における、該カーボンブラックに起因する、該正方形領域を構成する各ピクセルの階調情報を頻度分布化した階調分布において最低階調側から1頻度%を構成する複数個のピクセルのうち、互いに隣接してなるピクセル群の面積が10nm以上である電子写真用ベルトが提供される。
本発明の他の態様によれば、電子写真感光体と、該電子写真感光体上に形成された未定着のトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に転写されたトナー像を記録媒体に2次転写させるための2次転写手段と、を備えている電子写真画像形成装置であって、該中間転写ベルトが、上記に記載の電子写真用ベルトである、ことを特徴とする電子写真画像形成装置が提供される。
樹脂組成物に含有されるカーボンブラックの透過型電子顕微鏡(TEM)による画像である。 図1のTEM画像の階調分布を表す図である。 図3(a)は、該電子写真用ベルト300の概略斜視図であり、図3(b)は、該電子写真用ベルト300の周方向に直交する方向の断面の拡大図である。 本発明の一態様に係る電子写真画像形成装置の概略図である。
本発明者の検討の結果、円筒押出成形物の膜厚ムラの発生原因の一つが、押出成型時における熱可塑性樹脂とカーボンブラック間の界面における接触流動抵抗が原因であることを解明した。そして、カーボンブラックとして、表面に微細な凸部を有するカーボンブラックの使用によって、熱可塑性樹脂とカーボンブラックとの界面における接触流動抵抗を抑制できるためか、膜厚ムラの少ない円筒押出成形物を得られることを見出した、本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
本発明者は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した際に、カーボンブラックの表面に周囲よりも暗い微小な領域が存在している電子写真用ベルトが、上記課題を解決できることの理由を以下のように考えている。
TEM画像における明暗は、透過電子の量に依存する。透過電子の量が多い程、画像は明るく、透過電子の量が少ない程、画像は暗い。そして、透過電子量の多少は試料を透過する距離に依存する。透過する距離が長い程、透過電子量は少ない。また、透過距離が短い程、透過電子量は多い。
従って、TEM画像において、暗い領域が観察されるカーボンブラックは、表面に微細な凸部を有しているものと考えられる。すなわち、透過電子が、カーボンブラックを通過するとき、凸形状のある部分を透過する場合は、凸部を有しない部分を透過する場合に比べて、カーボンブラック内の通過距離が長くなるため、透過電子量は少なくなり画像は暗くなり、その結果、TEM画像上に明暗差として表れているものと考えられる。
次いで、膜厚ムラについて説明する。
熱可塑性樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物をチューブ状に溶融押出しする際、一般に溶融状態の熱可塑性樹脂はカーボンブラックにより流動抵抗を受ける。このとき、カーボンブラック周囲の熱可塑性樹脂は流動抵抗による乱流状態となり、樹脂の流れは一様でなくなる。そのため、外乱である温度による影響が樹脂組成物に対して不均一に作用し、得られるチューブ状成形物には膜厚ムラが発生する。
一方で、熱可塑性樹脂とカーボンブラックからなる樹脂組成物をチューブ状に溶融押出しする際、カーボンブラックの表面に微細な凸部があることで、熱可塑性樹脂との接触面積が低減し、微細な凸形状が表面に形成されていないカーボンブラックと比較して流動抵抗が抑えられたと考えている。カーボンブラック周囲の熱可塑性樹脂の流動は、層流状態となり、樹脂は一様に流れるため、外乱である温度の影響を受けにくくなり、表面に微細な凸部を有しないカーボンブラックを使用した場合と比較して、チューブ状成形物の膜厚ムラを抑制できたものと考えられる。
本発明の一態様に係る電子写真用ベルトは、熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを含む導電性基層を有する、エンドレスベルト形状の電子写真用ベルトである。図3(a)は、該電子写真用ベルト300の概略斜視図であり、図3(b)は、該電子写真用ベルト300の周方向に直交する方向の断面の拡大図である。
該導電性基層301は、該熱可塑性樹脂304と該カーボンブラック302とを含む樹脂混合物の円筒押出成形物である。該円筒押出成形物の断面を、0.01nm/pixel以上、1nm/pixel以下の解像度、かつ最低階調が0より大きく、最高階調が255未満とする条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、TEM画像を得て、さらに、該TEM画像から、該カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である、一辺が100nmである正方形領域を抽出したとき、該正方形領域内における、該カーボンブラックに起因する、最低階調側から1頻度%を構成する複数個のピクセルのうち、互いに隣接してなるピクセル群の面積が少なくとも10nmである。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂>
用い得る熱可塑性樹脂は特に限定されない。しかし、用途が電子写真装置に搭載される中間転写ベルトの場合、熱可塑性樹脂としては、以下に挙げられる樹脂が用いられる。
例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度)、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体である。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
さらに、耐久性を考慮すると、熱可塑性樹脂としては、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるものが好ましい。具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。さらに、これらの中でも、表面硬度が高く、使用においても削れにくいことから、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリフェニレンサルファイド(PPS)であることが好ましい。
PEEKおよびPPSは、それぞれ様々なグレードの市販品が提供されている。これらは、単独のグレードを、あるいは2種類以上のグレードのものを組み合わせて使用することができる。
PEEKの市販品としては、ビクトレックス(Victrex)社製の商品名「ビクトレックスPEEK」シリーズが挙げられる。また、グレードとしては、「PEEK450G」、「381G」、「151G」というグレードが挙げられる。
PPSの市販品としては、東レ株式会社製の商品名「トレリナ」シリーズ、DIC株式会社製のPPS樹脂(商品名:「スーパータフPPS」、「ガラス繊維強化PPS」、「無機質フィラー強化PPS」、「変性・アロイPPS」)が挙げられる。グレードとしては、「トレリナA-900」、「A670X01」、「A756MX02」というグレードが挙げられる。
<カーボンブラック>
本態様に係るカーボンブラック302は、例えば、市販されているカーボンブラックに対して後述する処理を施すことによって、表面に有機化合物由来の微細な凸部を形成する処理を施したものである。
本明細書において、処理を施す前のカーボンブラックを、「原料カーボンブラック」という場合がある。また、処理後の、表面に微細な凸部を有するカーボンブラックを「処理済カーボンブラック」または、単に「カーボンブラック」という場合がある。
基層中の処理済カーボンブラックの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下であることが好ましく、特には、5質量部以上30質量部以下であることが好ましい。カーボンブラックの割合が上記範囲であると、導電性部材の電気抵抗を所望の範囲にすることができ、機械的強度も良好である。
原料カーボンブラックとしては、公知の種々のものを用いることができる。具体的には次のものが挙げられる。
ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック。
これらの中でも、不純物が少なく、前記熱可塑性樹脂とともにフィルム形状に成形した時に、異物不良の頻度が少なく、また、所望の導電性を得やすいアセチレンブラックが好ましい。アセチレンブラックとしては、具体的には、「デンカブラック」シリーズ(電気化学工業株式会社製)、「三菱導電フィラー」シリーズ(三菱化学株式会社製)、「バルカン」シリーズ(キャボット社製)、「プリンテックス」シリーズ(デグッサ社製)、「SRF」(旭カーボン社製)が挙げられる。
<カーボンブラックの処理方法>
原料カーボンブラックの表面に微細な凸部を形成して、本態様に係るカーボンブラック302とするための処理方法について説明する。
原料カーボンブラックの表面に微細な凸部を形成する処理は、カーボンブラックの表面に有機物を付着させる第一の工程と、付着させた有機物を焼成させる第二の工程からなる。
まず、原料カーボンブラックの表面に有機物を付着させる第一の工程について説明する。
原料カーボンブラックの表面に有機物を付着させる工程は、原料カーボンブラックを固体粉末状態のままで有機物と混合しても良いが、表面に有機物を均等に付着させることが困難であるため、液中で行うことが好ましい。ここでは液中で、原料カーボンブラックの表面に有機物を付着させる工程を説明する。
第一の工程は、溶媒に有機物を溶解させ有機物溶解溶液とし、次いで、該有機物溶解溶液に原料カーボンブラックを添加・撹拌し、原料カーボンブラック分散液とする工程である。
用いることができる溶媒は、水あるいは有機溶媒が用いられるが、取り扱い容易性や環境負荷性を考慮して水が好ましい。原料カーボンブラックの分散状態を良好にするために一般的な分散剤を使用しても良い。
原料カーボンブラックに付着させる有機物は、原料カーボンブラックの表面に対する親和性が高く、かつ、溶媒に対しても親和性の高いものが好ましい。具体的には、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤と呼称される有機化合物などが挙げられる。これらの中でも、後の工程で有機物が付着したカーボンブラックを取り出す際にも凝集することによる粗大化の傾向が見られない非イオン系界面活性剤が好ましい。
非イオン系界面活性剤は、例えば、エステル型やエーテル型があり、エステル型は、多価アルコールであるグリセリンやソルビタン、ショ糖が脂肪酸とエステル結合した構造を持つグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。エーテル型は、主にエチレンオキシドに、高級アルコールやアルキルフェノール、プロピレングリコールなどを付加重合した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの中でも、溶媒に対しても親和し、かつ導電性カーボンの表面に対して良く親和するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適である。
用いられる分散剤は1種類である必要は無く、複数の分散剤を併用しても良い。
溶媒に添加し溶解させる有機物の量は、溶媒100質量部に対して、飽和溶解度以下の割合であり、かつ、溶媒100質量部に対して、原料カーボンブラックの質量部をA、有機物の質量部をBとしたときの質量比「A/B」が、0.1以上20以下であるように調整されることが好ましい。
有機物の添加量を飽和溶解度以下とすることにより、有機物の沈殿を抑制し、原料カーボンブラックの処理をより容易に行うことができる。
また、カーボンブラックと有機物の質量比を0.1以上とすることで、カーボンブラックに対する有機物の量が適度となるため、原料カーボンブラックの表面に付着できず浮遊する量を抑制できる。また後の工程での効率が悪くなる。また、質量比を20以下とすることで、原料カーボンブラックの処理をより効率的に行うことができる。
有機物の溶媒に対する溶解は、撹拌羽根による撹拌、あるいは超音波振動、ホモジナイザー、または加熱処理等の手段を組み合わせて、有機物の溶解を促進させる手段を適宜選択できる。また撹拌の際には発泡する恐れがあるので、消泡剤等を適宜選択することもできる。
有機物溶解溶液に添加する原料カーボンブラックの量は、溶媒100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。
有機物溶解溶液への原料カーボンブラックの添加は、少量ずつ実施することが好ましい。有機物溶解液中での原料カーボンブラックの拡散は、例えばスクリュー撹拌、剪断流(ホモジナイザ、ナノマイザ)、高圧液衝突、メディア分散(ボールミル、ビーズミル)の如き手段によって行うことができる。
次いで、原料カーボンブラックの表面に付着させた有機物を焼成させる第二の工程について説明する。
第二の工程は、第一の工程で得られた、原料カーボンブラック表面に有機物が付着した原料カーボンブラック分散液より、溶媒を除去して、得られた固形分を焼成させる工程である。
原料カーボンブラック分散液から溶媒を除去し、固形分を抽出する方法として公知のものを使うことができる。例えば、加熱乾燥、真空乾燥、遠心分離、減圧濾過等が挙げられるが、一度の処理量を考慮すると、加熱乾燥が好適である。加熱乾燥としては、加熱雰囲気下で静置する静置乾燥、攪拌乾燥、加熱気流に原料カーボンブラック分散液を曝すことで乾燥を促す気流乾燥、原料カーボンブラック分散液を加熱雰囲気下で霧状に噴霧し乾燥を促す噴霧乾燥等が挙げられるが、処理量および溶媒の除去効率を考慮すると噴霧乾燥が望ましい。
抽出された固形分を焼成させる方法としては、公知の方法を用いることができる。焼成装置には直接加熱方式と、間接加熱方式があるが、バーナー等の火炎で直接、対象物を加熱する方法では温度制御が困難であり、かつ対象物が焼失する可能性があるため、間接加熱方式が好ましい。具体的には、電気炉、熱風循環炉、高周波誘導加熱炉などがあり、加熱温度の均一性に優れた熱風循環炉が好ましい。また加熱炉にはバッチ式加熱炉と連続式加熱炉があるが、連続式加熱炉は、投入と排出の機構を有しているものの、長時間の加熱に適さないことから、バッチ式加熱炉が好ましい。このとき過度な焼成を抑制するために、加熱炉中の雰囲気を例えば窒素等に置換してもよい。
焼成温度は有機物の熱分解開始温度以上、原料カーボンブラックの分解温度以下であることが好ましい。焼成温度を、有機物の熱分解開始温度以上とすることで、原料カーボンブラックの表面に付着した有機物は分解され、表面に凸形状を有する処理済のカーボンブラックを形成することができる。また、焼成温度を、原料カーボンブラックの分解温度以下とすることで、処理工程中における原料カーボンブラックの焼失を抑制できる。具体的には焼成温度としては、例えば、300℃以上600℃以下が好ましく、特には、350℃以上500℃以下が好ましい。
得られた処理済カーボンブラックの観察及び解析は、熱可塑性樹脂の中に添加・分散させて樹脂組成物にした状態で評価する。
樹脂組成物に含有される処理済カーボンブラックの観察は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて実施されるが、観察前の薄片化試料の作製は公知の方法で実施される。例えば、イオンビーム、ダイヤモンドナイフなどで試料の薄片化が可能である。下記の本実施例ではライカ製「ULTRACUT-S」にて切断し、厚み約40nmの観察用切削片試料を採取し、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)は日立(株)製、H-7100FAを用いて、TEモード、加速電圧100kVの測定条件にてTEM画像を取得した。
このときTEM画像の取得にあたり、画像の明るさ、コントラストを、最低階調が0より大きく、最高階調が255未満となるよう調整し、また、観察倍率は、観察画像の1辺が100nm以上で、かつ1ピクセルあたり、0.01nm以上1nm以下となる解像度となるよう調整した。
TEM画像の階調分布(該領域を構成する各ピクセルが保有する階調情報を頻度分布化したもの。横軸:階調、縦軸:頻度)において、最低階調が0階調、もしくは最高階調が255階調であると、本来階調情報に差のあるピクセルが、観察設定の明るさ・コントラストにより、同一の0階調、もしくは255階調として認識される可能性がある。この場合、後述する当該領域のうち最低階調側から1頻度%を構成するピクセルが抽出する処理ができなくなる場合がある。
また、観察倍率は、取得画像の1辺が100nm未満になってしまうと観察領域への電子線ダメージが多くなってしまい適切な画像が得られにくくなる可能性がある。さらに、解像度は、1ピクセルあたりの長さが1nmより大きくなると、本来観察すべき処理済カーボンブラックの存在する領域が認識され難くなる。一方、1ピクセルあたりの長さが、0.01nmより小さくなると、画像サイズが非常に大きくなる。
得られたTEM画像の解析には、公知の画像解析ソフトウェアを用いることができる。例えば、三谷商事(株)社製の商品名:「WinROOF」、(株)日本ローパー社製の商品名:「ImagePro」が代表的な画像解析ソフトウェアとして挙げられる。本実施例では三谷商事(株)社製の商品名:「WinROOF」を用いた。
画像解析ソフトウェアを用いて、取得したTEM画像について、処理済カーボンブラック表面に存在する凸形状と考えられる周囲よりも暗い微小な領域について面積を求める。周囲よりも暗い微小な領域とは、0~255階調からなるTEM画像において、階調分布のうち低階調側を構成するピクセルが、集合した状態である。
まず、取得したTEM画像について、画像解析ソフトウェアを用いて、処理済カーボンブラックが、50面積%以上を占める正方形領域を設定する。該正方形領域は、処理済カーボンブラックの一次粒子、もしくは一次凝集体構造の全体が収まる領域サイズとすることが好ましい。本発明においては、該正方形領域は、一辺が、100nm、すなわち100nm×100nmのサイズを有し、該正方形領域の面積に対して処理済カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である正方形領域とした。
該正方形領域の階調分布において、処理カーボンブラックに由来する、最低階調側から1頻度%を構成するピクセルを抽出する。
抽出されたピクセルのうち、互いに隣接しあう複数のピクセルの面積の和を算出する。この複数のピクセルの面積の和をピクセル群の面積ともいう。ピクセル群の面積が、10nm以上であれば、目視で認識できる処理済カーボンブラック表面の周囲よりも暗い微小な領域として識別できる。
図1は、円筒押出成形物の断面を、0.909nm/pixelの解像度および最低階調が0より大きく、最高階調が255未満である条件にて透過型電子顕微鏡で観察して得られた、1辺が100nmのTEM画像である。当該TEM画像における、処理済カーボンブラックが占める面積比率は、68%である。
図2は、表面に凸部を有する処理済カーボンブラックの上記TEM画像における階調分布を示すグラフである。図2に基づいて、1頻度%を構成する複数のピクセルを抽出する。すなわち、処理済カーボンブラック表面の周囲よりも暗い微小な領域である、処理済カーボンブラック上の凸部に対応する複数のピクセルを抽出する。
すなわち、該円筒押出成形物の断面を、0.01nm/pixel以上、1nm/pixel以下の解像度、かつ最低階調が0より大きく、最高階調が255未満とする条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、TEM画像を得て、さらに、該TEM画像から、該カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である、一辺が100nmである正方形領域を抽出したとき、該正方形領域内における、該カーボンブラックに起因する、最低階調側から1頻度%を構成する複数個のピクセルのうち、互いに隣接してなるピクセル群の面積が10nm以上である。このことによって、処理済カーボンブラックが、その表面に微小な凸部を有するものであることが特定される。
<電子写真用ベルト>
電子写真用ベルトは、次のようにして製造することができる。熱可塑性樹脂と表面処理を施したカーボンブラックを溶融混練して、ペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を作製する工程と、このペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を単軸の押出機で溶融化し、押出機先端に配置された円筒状スリットから、該溶融化物を押出し、押出された樹脂組成物を円筒状の冷却マンドレルによって冷却し、所定の長さで切断する工程とにより製造できる。
表面に凸形状が形成された、処理済カーボンブラックと熱可塑性樹脂を溶融混練して、ペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を作製する工程について説明する。
処理済カーボンブラックと熱可塑性樹脂との溶融混練は公知の方法で行うことができる。例えば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。これらのうち、材料を連続的に供給して溶融混錬ができること、溶融混練した樹脂組成物をペレット形状に成形することを鑑みると、一軸押出機、二軸混練押出機が好ましい。また、このときにカーボンブラックの熱可塑性樹脂中への分散を向上させるため、また、特定の機能を付与する目的に必要な添加剤を配合しても良い。
熱可塑性樹脂との溶融混練時の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上であり、かつ熱可塑性樹脂が分解しない温度範囲で行う。例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用する場合では、溶融混練温度は250℃以上400℃以下が好ましく、さらには300℃以上400℃以下が好ましい。溶融混練温度がガラス転移温度以下になると、樹脂の粘度が非常に高くなり、溶融混練において大きな剪断がかかることで樹脂の分子構造が切断されて劣化してしまう。また、溶融混練温度が400℃以上になると、樹脂の酸化・架橋が進行し、非常に強固な構造体を形成し、異物となってしまうためである。
ペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を電子写真用ベルトとして成形する場合は、得られたペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を単軸の押出機内で溶融し、押出機先端に配置された円筒状スリットからチューブ状に押出し、円筒状の冷却マンドレルによりチューブ状に押出された樹脂組成物の温度制御を実施しつつ、所定の長さに切断することにより電子写真用ベルト基層を得ることができる。本発明の電子写真用ベルトの導電性としては、体積抵抗率が1.0×10Ωcm以上、1.0×1014Ωcm以下の範囲にあることが好ましく、1.0×10Ωcm以上、1.0×1013Ωcm以下の範囲にあることがより好ましい。また、電子写真用ベルトの体積抵抗率と表面抵抗率との比(表面抵抗率/体積抵抗率)は1以上、1000以下の範囲にあることが好ましい。また、電子写真用ベルト基層の平均膜厚は、25μm以上100μm以下であることが好ましい。
なお、電子写真用ベルトは、基層の上にコーティングがなされていても良い。具体的には紫外線硬化型の樹脂および導電性制御剤を有機溶媒に溶解させた後にスリットコート法により導電性部材の表面にコーティングし、有機溶媒を乾燥させた後に、紫外線を照射し表面層を形成してもよい。
〔電子写真画像形成装置〕
図4に示す電子写真画像形成装置100は、カラー電子写真画像形成装置(カラーレーザープリンタ)である。この電子写真画像形成装置には、中間転写体である中間転写ベルト7の平坦部分に沿って、その移動方向に順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成ユニットPy、Pm、Pc、Pkが配設されている。ここで、1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ電子写真感光体、2Y、2M、2C、2Kはそれぞれ帯電ローラ、3Y、3M、3C、3Kはそれぞれレーザー露光装置、4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ現像器、5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ1次転写ローラを示す。各画像形成ユニットの基本的な構成は同一であるので、画像形成ユニットの詳細については、イエロー画像形成ユニットPyについてのみ説明する。
イエロー画像形成ユニットPyは、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」又は「第1の画像担持体」とも称する)1Yを有する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製のシリンダを基体として、その上に電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順に積層して形成したものである。
また、イエロー画像形成ユニットPyは、帯電手段としての帯電ローラ2Yを備えている。帯電ローラ2Yに帯電バイアスを印加することで、感光ドラム1Yの表面は一様に帯電される。感光ドラム1Yの上方には、画像露光手段としてのレーザー露光装置3Yが配設されている。レーザー露光装置3Yは、一様に帯電された感光ドラム1Yの表面を画像情報に応じて走査露光して、イエロー色成分の静電潜像をその感光ドラム1Yの表面に形成する。
感光ドラム1Yに形成された静電潜像は、現像手段としての現像器4Yによって現像剤であるトナーによって現像される。つまり、現像器4Yは、現像剤担持体である現像ローラ4Ya、現像剤量規制部材である規制ブレード4Ybを備えており、また現像剤であるイエロートナーを収容している。イエロートナーが供給された現像ローラ4Yaは、現像部において感光ドラム1Yと軽圧接されており、感光ドラム1Yと順方向に速度差を持って回転される。現像ローラ4Yaによって現像部に搬送されたイエロートナーは、現像ローラ4Yaに現像バイアスを印加することで、感光ドラム1Yに形成された静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1Yに可視像(イエロートナー画像)が形成される。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71、テンションローラ72、従動ローラ73に張架されており、感光ドラム1Yと接触して図中矢印の方向に移動(回転駆動)される。
1次転写部Tyに到達した感光ドラム上(第1の画像担持体上)に形成されたイエロートナー画像(未定着のトナー像)は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1Yに対向して配置されている1次転写体(1次転写ローラ5Y)によって中間転写ベルト7上に1次転写される。
同様に、以上の作像動作を、中間転写ベルト7の移動に伴ってマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各ユニットPm、Pc、Pkにおいて行い、中間転写ベルト7上にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー画像を積層する。4色のトナー層は中間転写ベルト7の移動に従って搬送され、2次転写部T’において、2次転写手段としての2次転写ローラ8により、所定のタイミングで搬送されてくる記録媒体S(以下、「第2の画像担持体」とも称する)上に一括転写される。このような2次転写においては通常十分な転写率を確保するために数kVの転写電圧を印加するが、その際に転写ニップ近傍において放電が発生することがある。なお、この放電が中間転写体の表面特性の低下の一因となっている。
記録媒体Sは、記録媒体Sが収納されているカセット12から、ピックアップローラ13によって搬送路に供給される。搬送路に供給された記録媒体Sは、搬送ローラ対14及びレジストローラ対15によって中間転写ベルト7に転写された4色のトナー画像と同期をとられて2次転写部T’まで搬送される。記録媒体Sに転写されたトナー画像は、定着器9によって定着されて、例えばフルカラーの画像となる。定着器9は、加熱手段を備えた定着ローラ91と加圧ローラ92とを有し、記録媒体S上の未定着トナー画像を加熱、加圧することで定着する。その後、記録媒体Sは搬送ローラ対16、排出ローラ対17などによって機外に排出される。
中間転写ベルト7のクリーニング手段であるクリーニングブレード11が、中間転写ベルト7の駆動方向の2次転写部T’の下流に配設されており、2次転写部T’において記録媒体Sに転写されずに中間転写ベルト7に残った転写残トナーを除去する。
以上説明したように感光体から中間転写ベルト、中間転写ベルトから記録媒体へトナー画像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の記録媒体へ記録を繰り返すことで電気的転写プロセスが更に繰り返し行われることになる。
そして、上記電子写真画像形成装置における中間転写ベルトとして、前記した電子写真用部材を用いることにより、高品位な電子写真画像を形成することができる。
本発明の一態様によれば、厚みムラが改善され、優れた印刷画質を供する円筒押出成形物である電子写真用ベルトを得ることができる。
また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真画像形成装置を得ることができる。
以下に本態様に係る電子写真用ベルトの実施例を示す。なお、本態様における、原料カーボンブラックを表面処理し、微細な凸形状を有する処理済カーボンブラックを調製する工程と、熱可塑性樹脂と処理済カーボンブラックとを溶融混練して、ペレット形状の電子写真用導電性樹脂組成物を調製する工程と、該電子写真用導電性樹脂組成物を単軸の押出機より溶融押出しし、電子写真用ベルトとする工程についてはすべて共通の装置で実施したが、本態様は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
<電子写真用ベルトの作製>
水100質量部に対して、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(三洋化成工業(株)製、商品名:「ナロアクティー」)を10質量部添加し、溶解させた後に、原料カーボンブラック(電気化学工業(株)製、商品名:「デンカブラック」)を15質量部添加した。このとき水100質量部に対して、原料カーボンブラックの質量部をA,界面活性剤の質量部をBとしたときの比「A/B」は1.5である。
ビーズミル(アイメックス(株)製、商品名:「アルファミル」)にて撹拌し、原料カーボンブラック分散液を得た。この原料カーボンブラック分散液を、スプレードライヤー(ヤマト科学(株)製、商品名:「スプレードライヤーL-8i」)を用いて水分を除去し固形分を得た。得られた固形分を高温炉(ヤマト科学(株)製、商品名:「恒温乾燥機DR200」)にて、温度400℃で5時間焼成し、処理済カーボンブラックを得た。
次いで、処理済カーボンブラックと、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(Victrex製、商品名:「ビクトレックスPEEK381G」)を、PEEK 100質量部に対して、処理済カーボンブラック25質量部となるよう混合し、連続二軸押出機(商品名:TEX30α、日本製鋼所(株)社製)を用いて、この混合物を溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を調製し、ペレット形状の導電性樹脂組成物を得た。溶融混練時の温度は、350℃以上380℃以下の範囲内となるように調整した。さらに、得られたペレット形状の導電性樹脂組成物を、設定温度を380℃とした一軸スクリュー押出機(商品名:GT40、(株)プラスチック工学研究所製)に投入し、環状ダイスより溶融押出した。これを、円筒状の冷却マンドレルによって冷却固化し、所定の長さで切断して、厚さ40μmの電子写真用ベルトを得た。
<電子写真用ベルトの評価>
<評価1:電子写真用ベルトの膜厚/膜厚ムラ評価>
得られた電子写真用ベルトの膜厚は、デジタル膜厚計(サンコー電子(株)製、商品名:「デュアルタイプ膜厚計SWT-9000/FN325」)を用いて評価した。膜厚測定点は、電子写真用ベルトの幅方向に均等に6分割される端部を除く各位置に対して、ある位相を基準に周方向に10°ごとに位相をずらした35箇所とし、電子写真用ベルト面上の複数の膜厚測定点での最大値、最小値の差分を、膜厚ムラとして評価した。
<評価2:電子写真用ベルト中の処理済カーボンブラックのTEM画像解析>
得られた電子写真用ベルト中の処理済カーボンブラック表面の観察評価を、前述の通り実施した。そして、1nm/ピクセル以下、0.01nm/ピクセル以上の解像度、かつ最低階調が0より大きく、最高階調が255未満とする条件で、該円筒押出成形物の断面を観察したTEM画像のうち、該カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である100nm×100nmの領域において、該カーボンブラックに起因する、最低階調側から1頻度%を構成する複数個のピクセルのうち、互いに隣接してなるピクセル群の面積を求めた。
<評価3:電子写真用ベルトの表面性評価/異物が発生した電子写真用ベルトの本数>
得られた電子写真用ベルトの表面性は、ベルト表面における異物の数を目視により計測し、ベルト20本のうち、1個以上の異物が発生した電子写真用ベルトの本数を、下記の基準で評価した。
ランク「AA」:0本;
ランク「A」:1本以上5本未満;
ランク「C」:5本以上。
<評価4:電子写真用ベルト表面のマルテンス硬度の評価>
得られた電子写真用ベルト表面のマルテンス硬度を、フィッシャー・インスツルメンツ社製の薄膜硬度計:ピコデンターHM500を使い測定した。約1cm角にカットした電子写真用ベルトサンプルの測定面の裏側をスライドガラスに瞬間接着剤で接着させたものを、バーコビッチ型ダイアモンド圧子を使用して測定した。測定条件は、押し込み速度は1mN/sec、押し込み深さは2μm、保持時間を5sec、測定点は1mm以上離れた間隔で20点とし、その平均値を表面硬度とした。
<評価5:印刷画質の評価>
作製した電子写真用ベルトを、複写機(キヤノン(株)製、商品名:「IR-ADVANCE C5051」)の中間転写ユニットに、中間転写ベルトとして装着し、画質試験を行った。初期の印刷試験は、温度15℃、湿度10%RHの環境下で、A4サイズ用紙(キヤノン(株)製、商品名:「GF-600」(坪量60g/m))を用いて、同じ画像を20枚出力したフルカラー画像により行った。印刷した20枚の画像に対して、色ムラ、白抜け等の画質不良である濃度ムラが発生しているか否かを目視で確認し、以下の基準で評価した。
ランク「A」:いずれの画像においても画像不良が認められない。
ランク「B」:いずれかの画像において画像不良が認められる。
さらに、同じ環境にてフルカラー画像を60万枚印刷し、通紙耐久試験を行った。通紙耐久試験後、中間転写ベルト全周面の印刷画像を確認するため、マゼンダ色のベタ画像を20枚出力した。出力した20枚の画像において、画質不良である濃度ムラが発生しているか否かを目視で確認し、以下の基準で評価した。
ランク「A」:全ての印刷画像に濃度ムラは認められない。
ランク「B」:3枚以下の印刷画像において画像不良が認められる。
ランク「C」:4枚以上の印刷画像において画像不良が認められる。
評価結果を表2に示す。
<実施例2~10、比較例1~5>
下記表1-1、1-2、および1-3に記載の材料構成および配合割合で、実施例1と同様の製法で、実施例2~10および比較例1~5の導電性部材である電子写真用ベルトをそれぞれ作製した。実施例8においては、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド(以下、PPS)を用いているため、溶融混練は温度290℃以上330℃以下で行った。実施例9においては、熱可塑性樹脂としてポリブチレンナフタレート(以下、PBN)を用いているため、溶融混練は温度250℃以上300℃以下で行った。実施例10においては、熱可塑性樹脂としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDF)を用いているため、溶融混練は温度180℃以上270℃以下で行った。
なお、下記表1-1、1-2、および1-3に記載のPEEK樹脂以外の熱可塑性樹脂について、PPS樹脂は東レ株式会社製、商品名「トレリナ」を使用し、PBN樹脂には、帝人株式会社製、商品名「ポリブチレンナフタレート樹脂」を、PVDF樹脂には、ソルベイ製、商品名「ソレフ9007」をそれぞれ使用した。また、下記表1-1、1-2、および1-3に記載のアセチレンブラック以外のカーボンブラックについて、ファーネスブラックは、三菱化学株式会社製、商品名「三菱カーボンブラック#3050B」を、サーマルブラックには、東海カーボン株式会社製、商品名「サーマックス」を、ケッチェンブラックにはライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ケッチェンブラックEC300J」をそれぞれ使用した。さらに、下記表1-1、1-2、および1-3に記載の非イオン系界面活性剤以外の界面活性剤について、陽イオン界面活性剤は花王株式会社製、商品名「アセタミン24」を、陰イオン界面活性剤には、花王株式会社製、商品名「デモールMS」を、それぞれ使用した。
Figure 0007064374000001
Figure 0007064374000002
Figure 0007064374000003
作製した各々の電子写真用ベルトについて、実施例1と同様に、電子写真用ベルトの膜厚/膜厚ムラ、電子写真用ベルト中のカーボンブラック表面の観察、電子写真用ベルトの表面性(異物不良ベルトの本数)、電子写真用ベルト表面のマルテンス硬度、印刷画質の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 0007064374000004
実施例1より実施例10に係る電子写真用ベルトは薄膜であっても、膜厚ムラが著しく低減されていることが確認できた。
一方で、比較例1より比較例5に係る電子写真用ベルトでは、薄膜にすることで大きくなった膜厚ムラにより、画像不良が発生していることが確認された。
実施例1より実施例10に係る電子写真用ベルトは、TEM画像解析による最大面積が、少なくとも10nm以上ある。このとき、処理済カーボンブラックは、その表面に微細な凸形状を有するため、周囲の熱可塑性樹脂との接触面積が低減し流動抵抗が抑制されたと考えられる。そのため、円筒押出成形によってエンドレスベルト形状の膜厚ムラの一層の改善が達成できた。
300 電子写真用ベルト
301 導電性基層
302 カーボンブラック
304 熱可塑性樹脂

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを含む導電性の基層を有する、エンドレスベルト形状の電子写真用ベルトであって、
    該カーボンブラックは、表面に有機化合物由来の凸部を有し、
    該基層は、該熱可塑性樹脂と該カーボンブラックとを含む樹脂混合物の円筒押出成形物であり、
    該円筒押出成形物の断面を、0.01nm/pixel以上、1nm/pixel以下の解像度、かつ最低階調が0より大きく、最高階調が255未満とする条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、TEM画像を得て、さらに、該TEM画像から、該カーボンブラックが占める面積比率が50%以上である、一辺が100nmである正方形領域を抽出し、該正方形領域内における、該カーボンブラックに起因する、該正方形領域を構成する各ピクセルの階調情報を頻度分布化した階調分布において最低階調側から1頻度%を構成する複数個のピクセルのうち、互いに隣接してなるピクセル群の面積が10nm以上であることを特徴とする電子写真用ベルト。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン、もしくはポリフェニレンサルファイドである請求項1に記載の電子写真用ベルト。
  3. 前記基層の平均膜厚が、25μm以上100μm以下である請求項1または2に記載の電子写真用ベルト。
  4. 前記カーボンブラックが、原料カーボンブラックの表面に有機物を付着させ、該有機物を焼成することにより形成されたものである請求項1から3のいずれか一項に記載の電子写真用ベルト。
  5. 前記原料カーボンブラックが、アセチレンブラックである請求項に記載の電子写真用ベルト。
  6. 電子写真感光体と、
    該電子写真感光体に形成された未定着のトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、
    該中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に2次転写させるための2次転写手段と、
    を備えている電子写真画像形成装置であって、
    該中間転写ベルトが、請求項1~のいずれか一項に記載の電子写真用ベルトである、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
  7. 電子写真用ベルトの製造方法であって、
    原料カーボンブラックの表面に有機物を付着させる工程と、
    該有機物を表面に付着させた該原料カーボンブラックを、該有機物の熱分解開始温度以上、該原料カーボンブラックの分解温度以下の温度で焼成することによって、処理済みカーボンブラックを得る工程と、
    該処理済みカーボンブラックと熱可塑性樹脂とを溶融混錬して導電性樹脂組成物を得る工程と、
    該導電性樹脂組成物をチューブ状に溶融押出しする工程と、を有することを特徴とする電子写真用ベルトの製造方法。
  8. 前記有機物が、非イオン系界面活性剤である請求項に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
  9. 前記非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
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