JP4797525B2 - 中間転写ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルトに関し、画像欠陥のない良好なトナー画像を記録媒体上に形成することが可能な中間転写ベルトに関する。
電子写真方式の画像形成装置は、オフィス向けの複写機、プリンタに加えて、最近では、軽印刷と呼ばれる印刷分野にまで普及し、版をおこさずに数千枚レベルのプリントを短時間で行えるというメリットから注目されるようになってきた。
電子写真方式の画像形成方法の1つに、感光体上に形成されたトナー画像を転写中間体上に転写し、転写中間体より記録媒体上に2次転写する工程を経て画像形成を行うものがある。そして、中間転写体の実施形態の1つに、樹脂製の無端ベルトを用いた中間転写ベルトがあり、良好な転写性能を発現させるために、中間転写ベルトの改良がこれまでも進められてきた。
例えば、高い撥水性を付与し、かつ、トナーと逆極性の摩擦帯電性を発現する材料を中間転写ベルトの表面に用いることにより、虫食い版画と呼ばれる局所的な転写不良の発生をなくして安定した転写を行える技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、導電性フィラーを含有する層とシリコーン樹脂を含有する表面層を設けることにより、長期にわたりトナーの離型性を維持させるとともに、引張強度を向上させた技術がある(例えば、特許文献2参照)。
また、最近では、デジタル化の進展に対応して高精細なトナー画像を精度よく転写できるように、中間転写ベルト表面領域の性能を向上させる技術が検討されている。具体的には、表面層に導電剤を含有させた中間転写ベルト(例えば、特許文献3参照)や電子受容性あるいは電子供与性の原子団を有するカップリング剤を表面層に含有する中間転写ベルト(例えば、特許文献4参照)などが挙げられる。
ところで、中間転写ベルト上のトナー像を記録部材に転写した後、記録部材を中間転写ベルトから剥離するときに剥離放電と呼ばれる現象が発生することがある。これは、中間転写ベルト側と紙側のギャップ間に電位差が生じて両者間に電界が形成されて放電を起こすもので、トナー画像上に白抜けと呼ばれる数ミリレベルの大きさの画像欠陥を発生させる。
すなわち、中間転写ベルトより記録紙を剥離するとき、残存電荷とトナー電荷が共存することにより、中間転写ベルトと記録紙間の空隙に電界が形成される。一方、空隙における耐電圧値はPaschenの法則により規定されるが、空隙に耐電圧値以上の電界が形成されると、電荷がリークして耐電圧値以下になろうとする。この電荷のリークが放電となってあらわれる結果、トナー画像に乱れを発生させることになる。放電が発生した個所では適正なトナーの転写が行えず、白抜けの画像欠陥を発生させることになる。
この様な画像欠陥を防止する方法の1つとして、前述の特許文献3の様に、中間転写ベルト表面層にカーボンブラック等の導電性微粒子を添加して、転写電圧による抵抗低下をなくすことで画像欠陥の発生を抑制する方法が検討されていた。
しかしながら、前述した軽印刷分野のように、数千枚レベルのプリント作成を短時間で行うケースでは、2次転写を連続的に行うために剥離放電の発生を十分に抑えることができなかった。また、中間転写ベルトと記録媒体との間に密着性が付与されることでトナー画像の転写性が向上するが、連続かつ高速でのプリント作成を円滑に行えるようにする密着性を付与することはなかなか難しく、画像欠陥の発生を十分に抑えられなかった。
この様に、大量のプリント作成を連続で行うような画像形成条件下で、画像欠陥を発生せずに画像形成を行える中間転写ベルトが求められていた。
特開平9−230714号公報 特開平9−269676号公報 特開2001−242725号公報 特開2002−328535号公報
本発明は、2次転写を行った後、剥離放電を起こさずにトナー画像を転写した記録媒体を中間転写ベルトから剥離できるようにして、白抜けによる画像欠陥を発生させない中間転写ベルトを提供することを目的とする。
特に、連続で5000枚以上のプリント作成を行う場合など、大量の画像形成を行ったときに剥離放電を起こさず、画像欠陥のないトナー画像が得られる中間転写ベルトを提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下に記載の構成により達成されることを見出した。すなわち、
(1)
基材上に少なくとも表面層を有する中間転写ベルトであって、
該表面層は、シリコーン樹脂と、導電性物質と、下記一般式(1)で表される化合物を用いて形成されるものとを含有し、
表面硬度が85〜130N/mm2であることを特徴とする中間転写ベルト。
一般式(1) M(O−C n 2n+1 m
(式中、Mはケイ素、アルミニウム、ジルコニウムまたはチタンを表す。nは1〜8の整数を表し、mはMの価数となる。)
(2)
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする前記(1)に記載の中間転写ベルト。
一般式(2) Si(O−C n 2n+1 4
(3)
前記表面層における表面抵抗値が1×1010〜1×1012Ω/□であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中間転写ベルト。
(4)
前記基材と、前記表面層との間に中間層を有することを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか一に記載の中間転写ベルト。
本発明では、特定構造の化合物と導電性物質とを中間転写ベルト表面層に含有させることにより、中間転写ベルト表面に放電可能な領域が形成されるためと推測されるが、中間転写ベルトと紙との間での集中放電を抑制できるようにした。その結果、中間転写ベルトより記録紙上に転写されたトナー画像上に白抜けが発生しなくなり、画像欠陥のない良好なトナー画像を安定して形成できるようになった。
とりわけ、本発明では、連続で5000枚以上のプリント作成を行う様な場合でも、2次転写による局所的な剥離放電を起こさないので、画像欠陥のない良好な画像形成を長期にわたり安定して行えるようになった。その結果、数千枚レベルのプリント作成を短時間で行う軽印刷分野で良好な品質のプリント物を安定して提供できるようになった。
また、本発明では上記構成に加えて中間転写ベルトの表面物性を特定することにより、中間転写ベルト上に形成されたトナー画像と記録媒体との間に適正な密着力が発現されることを見出し、2次転写性能の向上を可能にした。
本発明では、中間転写ベルトの表面層に特定構造を有する化合物と導電性物質を含有させることにより、剥離放電の発生を抑えられることを見出した。これはおそらく、これらを含有させることで放電可能な個所が形成され、中間転写ベルト表面の帯電性が改良されて中間転写ベルトと紙との間で局所的な放電が発生しなくなったものと推測される。
最初に、本発明に係る中間転写ベルトについて説明する。
本発明に係る中間転写ベルトは、基材上に表面層を有するいわゆる多層構造のもので、表面層に前述した特定構造を有する化合物と導電性物質とを含有するものである。また、本発明では、中間転写ベルトを多層構造とすることにより、単一の材料構成では得られない、可撓性と剛性とをバランスよく発現することも可能である。なお、本発明では前述の基材のことを基材層ともいう。
本発明に係る中間転写ベルト2の一例を図1に示す。図1(a)は、表面層21と基材層23とからなる2層構造の中間転写ベルト2で、図1(b)は、基材層23上に中間層24を有し、中間層24上に表面層21を有する3層構造の中間転写ベルト2である。また、図1(c)は基材層23の外側に2つの中間層24、25を有し、中間層25の外側に表面層21を有する4層構造の中間転写ベルト2である。
次に、表面層に含有される特定構造の化合物と導電性物質について説明する。
本発明に係る中間転写ベルト2の表面層21には、下記一般式(1)の化合物を用いて形成されるものが含有される。
一般式(1) M(O−Cn2n+1m
式中、Mはケイ素、アルミニウム、ジルコニウムまたはチタンのいずれかであり、mはMの価数となる。一般式(1)で表される化合物は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンの金属アルコキシド化合物であるが、この中でもMがケイ素である下記に示す一般式(2)のテトラアルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
一般式(2) Si(O−Cn2n+14
上記テトラアルコキシシラン化合物では、式中のアルコキシ基は炭素数が1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基である。本発明に好ましく用いられるテトラアルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
前述した本発明で発現された効果に対し、テトラアルコキシシラン化合物などの化合物を用いて形成されるものを表面層に含有させたことにより画像欠陥を回避できる理由は明らかではないが以下のようなことが推測される。おそらく、表面層に含有される導電性物質が結着樹脂に強固に結合する結果、表面層における導電性が向上して2次転写時の局所的な剥離放電の発生をなくして、画像欠陥の発生を回避できるようになったものと推測される。
また、これらの化合物が表面層の結着樹脂を構成する高分子鎖との間でカップリング反応を起こすことにより、表面層に適度な硬度が付与されることも推測される。
上記以外の使用可能な金属アルコキシドの具体例として、アルコキシシラン化合物は、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどが挙げられる。また、アルコキシチタン化合物は、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどが、アルコキシアルミニウム化合物は、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムなどが挙げられる。
さらに、アルコキシジルコニウム化合物は、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウムなどが挙げられる。
なお、本発明に係る中間転写ベルトには、上述した一般式(1)、(2)で表される化合物を用いて形成されるものが含有されるが、ここで、一般式(1)、(2)で表される化合物を用いて形成されるものとは、上記化合物が単体で含有されている場合や、これらの化合物と結着樹脂とがカップリング反応などにより結合したものを含有する場合を意味するものである。
次に、中間転写ベルトの表面層に含有される導電性物質について説明する。本発明に係る中間転写ベルトの表面層に含有される導電性物質としては、電子伝導性を与するもの(以下、「電子伝導性導電性物質」ともいう。)やイオン伝導性を付与するもの(以下、「イオン伝導性導電性物質」ともいう。)が挙げられる。
電子伝導性導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物等の金属酸化物等が挙げられる。この中でもファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックが代表的なものである。具体的には、電気化学(株)製粒状アセチレンブラック、旭カーボン(株)製HS−500、アサヒサーマルFT、アサヒサーマルMT、ライオンアグゾ(株)製ケッチェンブラック、キャボット(株)製バルカンXC−72、Degussa社製SPECIAL BLACK4等が挙げられる。これらのカーボンブラックは1種単独で使用する他に、2種以上を併用してもよい。
電子伝導性導電性物質の含有量は、前記表面層中の結着樹脂100質量部に対して、4〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。電子伝導性導電性物質の含有量を上記範囲とすることにより、表面層に適度な電子伝導性が付与される。
イオン伝導性導電性物質としては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウム等に見られるスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系−ポリアミド共重合体、ポリエチレン−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルをセグメントとするブロック型のポリマー等の各種の界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、イオン伝導性導電性物質と前述の電子伝導性導電性物質とを組み合わせてもよく、安定した電気抵抗値が得られる。
イオン伝導性導電性物質の含有量は、表面層中の結着樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
この様に、中間転写ベルト2を構成する表面層21には、前述した化合物と導電性物質が含有されている。また、表面層21には表面エネルギーの低い結着樹脂が好ましく用いられ、中間転写ベルト2の表面エネルギーを低くすることによりベルトからのトナー画像の離れを促進させている。その結果、2次転写時に中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の転写性が促進されて、記録媒体上には高画質のトナー画像が得られる。低表面エネルギーを有する材料としては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材料、あるいはこれらを主成分とする材料、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂、シリコンオイル成分を分散してなる材料等が挙げられる。
この中でも、シリコーン樹脂を用いて形成した表面層21が好ましい。表面層21の形成に使用されるシリコーン樹脂は、特に限定されるものではないが、通常、作業効率から液状のシリコーン樹脂が好ましく、n−ヘキサン等の有機溶剤を含有したものや有機溶媒を使用しない反応型のものが挙げられる。また、特にハードタイプの一液または二液の硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。なかでも、加熱硬化型シリコーン樹脂(メチル系)や室温硬化型シリコーン樹脂が好適である。
以下に、本発明に係る中間転写ベルト2の表面層21に使用可能な硬化型シリコーン樹脂の硬化反応の例を下記に示す。
Figure 0004797525
中間転写体2を構成する基材層23について説明する。基材層23は、クリーニングブレードのあたりをはじめとする中間転写ベルト2に加わる負荷によりベルトが変形することを回避し、転写部への影響を低減させる剛性を有するものである。基材層23は、ヤング率が200MPa(200kg/mm2)以上となる材料を用いて形成することが好ましく、300MPa(300kg/mm2)以上の材料がより好ましい。
ベルト材料(ベルト状の基材に用いられる材料)のヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量との関係は、下記式(1)で表すことができる。
式(1) ΔL=P・L・α/(t・w・E)
ここで、ΔL:ベルトの変位量(μm)
P:負荷 (N)
L:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
α:係数
t:ベルト厚み(mm)
w:ベルト幅(mm)
E:ベルト材料のヤング率(N/mm2)を表す。
ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率と厚みに逆比例する。すなわち、高ヤング率のベルト材料を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質が安定して得られる。この様な性能を発現する材料として、例えば、ポリカーボネート、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテル・エ−テルケトン)等の樹脂材料が挙げられる。これらの樹脂材料ではヤング率が200MPaを超えるものであり、厚み100〜150μmで、ベルト基材としての機械特性を満足する。
また、基材層23に使用される材料は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。更に、前述の脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。前記弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この中でも、ポリイミド樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の加熱により形成される。また、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体とジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得られる。
ポリアミック酸の調液に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
また、芳香族ジアミン成分としては、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。
さらに、ポリアミック酸の調液に使用される有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等が挙げられる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾ−ル、フェノ−ル、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる。これらの有機極性溶媒を1種単独、あるいは2種類以上の混合物として使用することも可能である。
このようなポリアミック酸の中でも、特に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応して得られるポリアミック酸が好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂材料として、DuPont(株)のカプトンHA等のポリピロメリット酸イミド系のイミド樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスS等のポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料、宇部興産(株)のユーピレックスR、三井東圧化学工業(株)のLARC−TPI(熱可塑性ポリイミド樹脂)等のポリベンゾフェノンテトラカルボン酸イミド酸系樹脂材料等が挙げられ、いずれも、ヤング率が300MPa(300kg/mm2)以上であり、厚み70〜150μmで、ベルト基材としての機械特性を満足させることができる。
また、本発明の中間転写体の基材に、例えば、宇部興産(株)のユーピレックスS等のポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散した材料を用いると、該材料のヤング率は、200MPa(200kg/mm2)以上であり、ベルトの厚み70〜100μmで、ベルト基材としての機械特性を満足させることができる。
なお、本発明では、基材層にポリイミド系樹脂を使用する場合、基材層におけるポリイミド系樹脂の含有率が51%以上であることが好ましい。
本発明に係る中間転写ベルトは、図1の(b)や(c)に示すように、基材層23と表面層21との間に中間層を設けることも可能である。中間層24に使用可能な材料としては、ポリアミド樹脂が挙げられ、具体的なポリアミド樹脂の例としては、N−メトキシメチル化ナイロン(以下「ナイロン8」と略す)、ナイロン12、共重合ナイロン等が挙げられる。本発明では、基材層23と表面層21との密着強度を向上させ、しかも、これらの層が相溶しないようにするために、中間層24を設けることは好ましい。
ポリアミド樹脂の溶剤としては、メタノール、エタノール等の単独溶剤またはそれら単独溶剤に水、トルエン等を混合させた混合溶剤、1−プロパノール、2−プロパノール等が用いられる。なかでも、ナイロン8とメタノール/水混合溶剤(メタノール/水=3/1)との組合わせが好適である。
また、図1(c)のベルトのように2つの中間層を設けることも可能で、前述のポリアミド樹脂の中間層24に隣接させて第2の中間層25を設け、多層化により中間転写ベルトの強度がより増大する。第2の中間層25に使用可能な樹脂材料としては、前述したポリイミド樹脂やポリアミド樹脂の他に、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。
本発明に係る中間転写ベルトは、各層に導電性フィラーと呼ばれる導電性もしくは半導電性の微粉末を含有させることも可能である。使用可能な導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック等の導電性粉末、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、ステンレス粉末等の金属粉末、c−ZnO、c−TiO2、c−ZnO4、c−SnO2等の導電性金属酸化物、グラファイト、4級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート塩等のイオン性導電材等が挙げられる。これら導電性フィラーのなかでも、良好な分散安定性が得られるケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックやc−TiO2、c−SnO2が好ましい。なお、上記「c−」は、導電性を有するという意味である。これらの導電性フィラーは、単独でもしくは2種以上を併せて用いられる。
本発明では中間転写ベルトに導電性フィラーを含有させることにより、中間転写ベルトにおける抵抗率の調整や抵抗バラツキの抑制、さらには、表面層に含有させた導電性樹脂微粒子を補助して、転写電圧による電界集中の発生の抑制をより効果的に行えるようにすることが期待される。
本発明に係る中間転写ベルトの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、各層の形成材料およびその溶剤をそれぞれ適宜に配合し、ボールミル等で混練、攪拌して各コーティング液を調製する。このようにして調製したコーティング液の濃度は、層の厚みに応じて適宜に設定される。ついで、各コーティング液をそれぞれ槽に収容し、その一方でアルミニウム、ステンレス等の金属製の軸体を準備して、この軸体を基材層用のコーティング液が収容されている槽中に垂直に立てた状態で入れて浸漬させる。この時、浸漬を数回繰り返して所定の厚さの塗膜を形成させた後、コーティング液中から軸体を引き上げる。ついで、各層のコーティング液を用いて同様の操作を繰り返し、多層構造を形成する。次に、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜180℃×60分間)を行い、軸体を抜き取って図1に示す無端状の中間転写ベルトを作製する。
この浸漬法による製法以外にも、押出成形法、スプレーコーティング法、インフレーション法、ブロー成形法等の方法により、中間転写ベルトを作製することが可能である。
また、特に、基材層にポリイミド樹脂を使用する場合は、例えば、全芳香族骨格を有するテトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを重合反応して得たポリアミド酸溶液を適宜な方式で展開し、その展開層を乾燥製膜してフィルム状に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化する方法により基材層が得られる。そして、基材層上に他層を構成するコーティング液を順次浸漬、あるいは、スプレーコーティングして中間転写ベルトを作製する。
シームレスの中間転写ベルトを形成する場合、例えば、ポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
本発明に係る中間転写ベルトは、ベルト表面の表面抵抗率が1×1010〜1×1012Ω/□であることが好ましい。表面抵抗率を上記範囲内にすることで、前述した導電性微粒子の作用によるポストニップ部(2次転写部で記録媒体と中間転写ベルトとが剥離する個所)での局所的な剥離放電の抑制を補助しているものと推測される。また、プレニップ部(2次転写部の記録媒体と中間転写体とが接触開始する個所)でも電界強度の均一化を補助しているものと推測され、従来技術でプレニップ部でのギャップ放電による影響として懸念されていた画質の粒状性に対する影響も改善されている。
本発明に係る中間転写ベルト表面における表面抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に基づいて測定することができる。本発明に係る中間転写ベルトの表面抵抗率の測定方法は、例えば、特開2001−242725号公報の段落0047や図7の記載を参照することができる。
また、本発明に係る中間転写ベルトの体積抵抗率は、1×109〜1×1011Ω・cmであることが好ましい。体積抵抗率を上記範囲内にすることで、中間転写体より記録媒体に転写された未定着トナー像の電荷を適度に保持する様に作用する静電的な力により、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の影響が抑制されるものと推測される。その結果、記録媒体上に転写されたトナー画像は飛散せずに、静電的反発力などによるノイズの影響を受けることなく安定した画像形成が期待される。この様に、本発明に係る中間転写ベルトは、画像欠陥の発生防止に加えてトナー飛散の発生を懸念する必要がない。
体積抵抗率の測定は、前述の表面抵抗率と同様に円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に基づいて測定することが可能である。体積抵抗率の具体的な測定方法は、例えば、特開2001−242725号公報の段落0048や図8の記載を参照することができる。
本発明に係る中間転写体ベルトの表面硬度は85〜130N/mm2である。ここで、表面硬度は金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース圧子により、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)とした時、表面硬度DHは下記式(3)で定義される。
式(3)
DH≡αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:ビッカース圧子の場合)である。
この表面硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。本発明者らは、ここで得られたダイナミックス硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには極めて正確な相関があることを発見した。即ち、中間転写体の転写面の表面硬度が好ましくは10以下、より好ましくは5以下の場合には、上述した2次転写部において、バイアスローラの押圧力によって中間転写体の転写面の変形が起こり、これにより中間転写体上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。
なお、中間転写体の転写面における微小表面硬度は、DIN50 359に準拠するユニバーサル硬度により測定される。具体的には、微小硬度計H100(フィッシャーインスツルメンツ社製)にて測定し、プログラムWIN−HCUによって解析した。
測定条件は、以下の通りである。
測定環境:23℃、55%RH
使用圧子:ビッカース圧子
負荷速度:10mN/20sec
最大押込み深さ:0.5μm
次に、本発明に係る中間転写ベルトが使用可能な画像形成装置について説明する。
本発明に係る中間転写ベルトの使用が可能な画像形成装置としては、例えば、複写機やレーザプリンタ等が挙げられるが、特に、5000枚以上の連続プリントを行うような画像形成装置が含まれる。この様な画像形成では、中間転写ベルトと記録紙との間での電界発生が頻繁に行われるが、本発明に係る中間転写ベルトを使用することにより画像欠陥を発生させることのない安定した2次転写を実現している。
本発明に使用可能な画像形成装置は、画像情報に応じた静電潜像を形成する像担持体、像担持体に形成した静電潜像をトナーを用いて可視化する現像装置、像担持体に担持されたトナー像を本発明に係る中間転写ベルトに転写する1次転写手段、中間転写ベルト上のトナー像を紙やOHPシートといった記録媒体上に転写する2次転写手段とを有する。そして、本発明に係る中間転写ベルトを中間転写体として備えることにより、剥離放電による画像欠陥を発生させることのない安定した画像形成が行える。
本発明に使用可能な中間転写方式の画像形成装置は、特に限定されるものではなく、例えば、単色のトナーのみにより画像形成を行うモノクロの画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像の中間転写体への1次転写を順次繰り返してカラー画像を形成する装置や、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置と呼ばれるものが挙げられる。
図2は、本発明の画像形成装置の実施の形態としてのカラー画像形成装置を示す断面構成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、転写材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、ベルト式定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ローラ5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ローラ5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写ベルト70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写ベルトユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写ベルト70、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
本発明に使用される記録部材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材あるいは転写紙と呼ばれるものである。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種記録部材が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
1.中間転写ベルトの作製
(1)基材層の作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%))に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材層用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
基材層用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、さらに360℃で30分加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目的とする無端ベルト状の基材層を得た。この基材層の総厚みは0.1mmであった。
(2)中間層の形成
塩化ビニル80%、酢酸ビニル15%、マレイン酸5%の組成比よりなる共重合体樹脂100質量部をシクロヘキサノン400質量部に溶解させた。この溶液に酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を前述の共重合体樹脂100質量部に対して10質量部になるよう添加した。添加後、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)で、圧力200MPa、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材層用のカーボンブラック入り共重合体樹脂溶液を得た。
この溶液を前述の基材層上に厚さ10μmとなるようにスプレー塗布を行って中間層を形成した。
(3)表面層の形成
一般式(1)に示される化合物と導電性物質とを表1に示すように組み合わせ、両者を混練、撹拌した後、n−ヘキサン100質量部を添加して調製液を作製した。次に、シリコーン樹脂X−40−2269(信越化学社製)100質量部をn−ヘキサン400質量部に溶解させ、得られた液に前述の調製液を添加し、ボールミルで混練、撹拌を行って10cpsの表面層形成用コーティング液1〜15を作製した。なお、使用した導電性物質のうち、カーボンブラックはSPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)を、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルはノニオンHS−240(日本油脂化学社製)を使用した。
作製した各コーティング液を前述の中間層を形成した試料ベルト上に厚さ10μmとなるようにスプレー塗布を行った。その後、オーブンで170℃に加熱した後1時間乾燥させて、各中間転写ベルト1〜15を作製した。作製した中間転写ベルトの表面硬度、表面抵抗値、体積抵抗値の測定結果を表1に示す。なお、測定は前述した条件、及び、測定装置を用いて行った。
Figure 0004797525
2.評価実験
作製した「中間転写ベルト1〜15」を図2の画像形成装置に搭載して、それぞれ連続1万枚のプリントを行った。なお、画像形成には体積基準によるメディアン径(D50)が6.0μmのトナーを含有する2成分現像剤を使用した。
画像形成は低温低湿(10℃、20%RH)と高温高湿(33℃、80%RH)でそれぞれ行い、記録用紙はA4判の上質紙(64g/m2)を用いた。画像形成に使用した原稿は、画素率が7%の文字画像(3ポイント、5ポイント)、カラー人物顔画像(ハーフトーンを含むドット画像)、べた白画像、べた画像がそれぞれ1/4等分に掲載されたオリジナル画像(A4判)を用いた。
連続プリント実施中の1000枚、5000枚、10000枚の時に下記評価用のサンプルを5枚ずつ作成した。
評価は、2次転写で発生する画像欠陥(べた画像部の白抜け、文字画像部の中抜け、文字部のトナー散り、転写率)で行った。なお、評価において、◎、○は合格、×は不合格とした。
〈べた画像部の白抜け〉
白抜けの評価は、高温高湿でプリントしたべた画像部で、長径が0.4mm以上の白抜けがA4用紙上に何個あるかで判定した。なお、白抜け長径はビデオプリンタ付き顕微鏡で測定した。
◎:0.4mm以上の白抜け頻度:全てのプリント画像で3個以下となり良好
○:0.4mm以上の白抜け頻度:4個以上、19個以下が1枚以上発生
×:0.4mm以上の白抜け頻度:20個以上が1枚以上発生し、実用上問題あり。
〈文字画像の中抜け〉
高温高湿でプリントした文字画像をルーペで拡大観察して、文字画像上の中抜け発生を評価した。
◎:10000枚目まで中抜けの発生なし
○:5000枚目のプリントまで中抜けの発生なし
×:1000枚目のプリントで中抜けの発生あり
〈文字部のトナー散り〉
低温低湿でプリントした文字画像をルーペで拡大観察し、文字部周辺のトナー散りの状態を目視で評価した。
◎:10000枚目のプリントまで見られないか、または、ルーペでやっと見られる程度
○:5000枚目のプリントまで見られないか、または、ルーペでやっと見られる程度
×:1000枚目未満でルーペなしでトナー散りが確認され、実用上問題あり。
〈転写率〉
低温低湿での1万枚目のプリント終了後、画素濃度が1.30のソリッド画像(20mm×50mm)を形成し、下記式により転写率を求めて評価した。
転写率(%)=(記録部材上に転写されたトナーの質量/中間転写ベルト上に供給されるトナーの質量)×100
◎:転写率が90%以上で良好
○:転写率が80%以上で実用上問題なし
×:転写率が80%未満で実用上問題あり。
結果を表2に示す。
Figure 0004797525
表2の結果から明らかなように、本発明に係る中間転写ベルトを用いた場合は、連続で5000枚以上のプリント作成を行ってもべた画像部の白抜けや文字画像の中抜け、文字部のトナー散りといった画像欠陥の発生が見られず、転写率も良好であった。一方、比較例では1000枚あたりから画像欠陥の発生が見られ、本発明に係る中間転写ベルトとは明らかに異なる結果となった。
このように、本実施例により本発明に係る中間転写ベルトが大量のプリントを行ったときに良好な2次転写性能を持続することが確認された。
本発明に係る中間転写ベルトの層構造例を示す模式図である。 本発明に係る中間転写ベルトが使用可能な画像形成装置の概略図である。
符号の説明
1 感光体ドラム
2 中間転写ベルト
21 表面層
22 導電性微粒子
23 基材層
24、25 中間層

Claims (4)

  1. 基材上に少なくとも表面層を有する中間転写ベルトであって、
    該表面層は、シリコーン樹脂と、導電性物質と、下記一般式(1)で表される化合物を用いて形成されるものとを含有し、
    表面硬度が85〜130N/mm2であることを特徴とする中間転写ベルト。
    一般式(1) M(O−Cn2n+1m
    (式中、Mはケイ素、アルミニウム、ジルコニウムまたはチタンを表す。nは1〜8の整数を表し、mはMの価数となる。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
    一般式(2) Si(O−Cn2n+14
  3. 前記表面層における表面抵抗値が1×1010〜1×1012Ω/□であることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写ベルト。
  4. 前記基材と、前記表面層との間に中間層を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の中間転写ベルト。
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