JP5352976B2 - シームレス管状物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の転写ベルト、転写ローラ、定着ベルトに好ましく使用されるシームレス管状物(シームレスベルト、シームレスチューブ)およびその製造方法、上記シームレス管状物の製造に用いられる成形用芯体、また上記シームレス管状物を備えた画像形成装置に関する。
例えば、電子写真装置では、感光体、転写ベルト或いは定着ベルト等に、金属、各種プラスチック又はゴム製の回転体が使用されている。機器の小型化や高性能化のために、これらの回転体はある程度変形可能なものが好ましい場合があるが、その場合には肉厚が薄いプラスチック製のフィルムからなる管状物が用いられる。その際、管状物に継ぎ目(シーム)があると、画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じる場合があるので、継ぎ目がない管状物を用いる要請が高い。
シームレス管状物を作製する方法に関しては、例えば、特許文献1には回転成形法により型の内周面にフィルムを成形する方法が記載され、特許文献2には樹脂溶液を円柱芯体外面にディッピングにより一定の厚さに塗布し、加熱成膜後に芯体を引き抜く方法が記載されている。
上述したシームレス管状物を形成する樹脂材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、などが挙げられる。そして、これらの中では、強度、耐熱性、寸法安定性の観点からポリイミド樹脂が特に好ましく、シームレス管状物の形成に用いられる。
また、上記シームレス管状物の製造方法においては、一般に、芯体の材質としてアルミニウムやステンレス等の金属が用いられるが、ポリイミド樹脂は接着剤として使用される樹脂であることから、ポリイミド前駆体溶液を芯体に塗布し加熱によりイミド転化すると、ポリイミド管状物は芯体に密着または接着してしまう。この結果、残留した膜で芯体が汚れ、繰り返し使用が出来なくなるばかりか、最悪の場合、ポリイミド管状物を取り外すことができなくなる。
そこで、芯体とシームレス管状物をスムーズに分離するために芯体の表面に離型層を設けて、その表面の接着エネルギーを下げる方法が提案されている。ところが、例えば、離型層を有する芯体にポリイミド前駆体溶液を塗布した後、加熱して前駆体をイミド転化させてポリイミド樹脂製の管状物を得る場合、加熱時にポリイミド前駆体溶液の溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が揮発することにより生じたガスや、イミド転化で発生した水蒸気によって、膨れや収縮が発生したりするため、得られたシームレス管状物の膜厚むらの原因となる。このような成形体の膨れや収縮の発生は、製造しようとするシームレス管状体(例えば、ベルト)の大きさが、例えばφ60mm以上であるとより顕著となる。膜厚むらはシームレス管状物を転写ベルトとして用いた場合、画像の転写不良を発生させる等、転写ベルトの機能を果たせないという問題がある。なお、上記シームレス管状物成形体の両端部がフレア状の場合には、フレア部分が切断されて最終製品のシームレス管状物が得られ、一方上記シームレス管状物成形体の両端部がフレア状でない場合には、更なる加工を行う必要はなくそのままシームレス管状物となる。
なお、特許文献3には、Si,Ti,Al,Zrから選ばれる少なくとも一つ元素のアルコキシド化合物からなる無機コーティング被覆層で覆われた金属製芯体を用いて、ポリイミド樹脂製の管状物を製造することが記載されている。また、特許文献4には、フッ素系樹脂被膜が形成された芯体を用いて無端状ベルトを製造することが記載されている。しかし、これら芯体の場合であっても、シームレス管状物と芯体との密着を十分に防ぐことはできず、得られるシームレス管状物には収縮や膨れが発生してしまい成膜安定性と高い寸法安定性が得られない。
特開昭60−170862号公報 特開平6−222695号公報 特開平7−76025号公報 特開2001−158023号公報
本発明は、シームレス管状物成形体の膨れ抑制および成形用芯体からの脱型性の信頼性向上を図ることを課題とする。
本発明の成形用芯体、シームレス管状物およびその製造方法、画像形成装置は、以下の特徴を有する。
)円筒状の基材と該基材の表面に形成される離型層とを有し、前記基材の端部における水接触角が90°以上であり、かつ該端部以外の部分の水接触角が30°から80°である成形用芯体の表面に、前記端部の一部分と前記端部以外の部分に樹脂を含有する溶液を塗布する塗布工程を有し、前記塗布工程は、前記端部以外の部分と前記端部のそれぞれ一部分にかけて前記樹脂を含有する溶液を塗布する工程であり、前記樹脂を含有する溶液の塗布長をL1、前記樹脂を含有する溶液と前記端部が重複する長さをL2とした場合のL2/L1が0.06以上である、シームレス管状物の製造方法である。
)前記樹脂を含有する溶液における樹脂がポリイミド樹脂である上記(1)に記載のシームレス管状物の製造方法である。
本願請求項1に係る発明の成形用芯体は、シームレス管状物成形体の形成領域の成形用芯体表面が、シームレス管状物成形の膨れ、収縮を防ぎかつ密着なく、離型が容易となるように、2つの効果を両立する水接触角(濡れ性)を有している。シームレス管状物成形体端部に相当する領域の芯体表面は、シームレス管状物成形体の収縮により成形体端部のみ厚膜とする水接触角(濡れ性)を有し、90°以上の水接触角を有することにより上述した揮発溶剤ガスや水蒸気の排出を促進し、またシームレス管状物成形体と芯体との剥離性が向上されている。一方、シームレス管状物成形体端部に相当する領域以外のシームレス管状物成形体中央部に相当する領域における成形用芯体表面の水接触角を30°から80°にすることによって、成形体と芯体の密着性を従来の密着性より向上させ、上述した揮発溶剤ガスや水蒸気による急激な膨れを抑制している。
また、本願請求項2に係る発明の成形用芯体によれば、離型層がシリコーン系樹脂組成物であるため、シームレス管状物成形体の形成温度に耐える耐熱性を有し、かつ成形用芯体表面の水接触角の制御が容易となる。水接触角の制御方法としては、例えばシリコーン系樹脂組成物の固形分調整、紫外線照射処理等がある。
また、本願請求項4および請求項5に係る発明のシームレス管状物の製造方法によれば、上記シームレス管状物成形体中央部に相当する領域の成形用芯体表面のみならず、成形用芯体の両端部のそれぞれ一部分まで、樹脂を含有する溶液を塗布するので、シームレス管状物成形体端部の厚膜を確実に形成できる。
また、本発明によれば、芯体とシームレス管状物成形体との密着、収縮、膨れがなく、成膜安定性と高い寸法精度を達成できかつ芯体の汚れが少なく繰り返し使用可能なシームレス管状物の成形用芯体を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。
[成形用芯体]
図1に示すように、本実施の形態の成形用芯体10は、円筒状の基材11と、基材11の表面に形成される離型層と、を有し、基材11の端部12a,12bにおける水接触角が90°以上であり、かつ端部以外の部分14の水接触角が30°から80°である。なお、本実施の形態において、図1に示すように、「端部以外の部分」とは、成形用芯体10の「中央部」と同義であり、以下「中央部」という場合もある。
成形用芯体10において、端部12a,12bの水接触角が90°未満の場合には、シームレス管状物成形体と芯体とが密着し易くなり、芯体とシームレス管状物成形体との剥離性が悪くなる。また、端部以外の部分14の水接触角が20°未満の場合には、芯体とシームレス管状物成形体とが密着し過ぎて、芯体よりシームレス管状物成形体が剥離できず、シームレス管状物が得られない。また、端部以外の部分14の水接触角が80°を超える場合には、加熱によるイミド転化時に、成形用芯体10の端部以外の部分14とシームレス管状物成形体とが密着せず、成形用芯体10に塗布される樹脂含有溶液から揮発した溶剤ガスや水蒸気が、成形用芯体10の端部以外の部分14とシームレス管状物成形体との間の空間に滞留し、その結果、シームレス管状物の中央部に膨れが生じる。
また、水接触角の測定は、接触角計「CA−X」(協和界面科学株式会社製)を用いて、純水の液滴3.1μl、液滴後15秒以内の接触角θの最大値を測定し、また芯体円周方向4分割して測定した接触角θの最大値の平均値を水接触角とした。水接触角θは0°に近づくほど水濡れ性が高いことを示す。
また、図1に示す成形用芯体10の表面に形成された離型層は、シリコーン樹脂が含有されてなる。ここで、上述したように、成形用芯体10における端部12a,12bの水接触角が90°以上とし、かつ端部以外の部分14の水接触角が30°から80°となるように、それぞれの水接触角を調整する方法としては、離型層がシリコーン樹脂の場合、シリコーン系樹脂組成物の固形分を調整したり、紫外線照射処理の時間を制御したりすることにより行う。
本実施の形態における円筒状の基材11の表面に形成される離型層は耐熱性樹脂が含有され、耐熱性樹脂としては、上述したシリコーン樹脂が好ましく、具体的にはシリコーン樹脂(SEPA−COAT(信越化学社製))が挙げられる。
円筒状の基材11の材質は、金属からなるものであればよく、アルミニウムや亜鉛、銅、ステンレス、ニッケル等の金属が好ましい。芯体の材質がアルミニウムや亜鉛、銅の場合、外周面が傷つきにくいよう、クロムやニッケルでメッキされていてもよい。また、円筒状芯体は、熱膨張率の関係から管状体の脱型が容易となることを考慮すると、アルミニウムまたはアルミニウム系合金が好適であり、例えば、アルミニウム(JIS H4080 合金番号1000系純アルミニウム)、JIS H4080 合金番号3000系アルミニウム−マンガン(Al−Mn)系合金、JIS H4080 合金番号5000系アルミニウム−マグネシウム(Al−Mg)系合金、JIS H4080 合金番号6000系アルミニウム−マグネシウム−ケイ素(Al−Mg−Si)系合金が挙げられるが、高温での形状保持性および加工性に優れるという観点からJIS H4080 合金番号3000系アルミニウム−マンガン系合金、JIS H4080 合金番号5000系アルミニウム−マグネシウム系合金がより好ましい。さらに、円筒状の基材は、その表面がブラスト処理による凹凸形状が設けられている。
[シームレス管状物の製造方法]
次に、成形用芯体を用いたベルト管状物の製造方法について、以下に説明する。
本実施の形態では、円筒状の成形用芯体を用いて、離型剤層形成工程、塗膜形成工程、皮膜形成工程、および剥離・抜き取り工程の4つの工程を少なくとも経て、ベルト管状物が作製され、必要に応じて他の工程を有していてもよい。また、本実施の形態を利用して作製されるベルト管状物は、少なくともポリイミド樹脂層等の熱収縮をするフィルムを基材にしたベルト管状物であり、単層でも前記フィルム基材を含む2層以上から構成されていてもよい。なお、後者の場合は、必ず円筒状の成形用芯体の外周に前記フィルム層となる皮膜が形成されるようにシームレス管状物が作製される。以下の説明は単層の場合を前提にして個々の工程を説明していく。
― 離型剤層形成工程 ―
離型剤層は、ベルト管状物の円筒状成形用芯体外周面形成または円筒状芯体内周面形成に応じて、円筒状芯体の少なくとも中央部の外周面もしくは内周面に形成されていればよいが、端部におけるポリイミド樹脂皮膜の剥離を容易にするために、いずれか一方の端部あるいは両端にも形成されていることが望ましい。離型剤層の形成には、上述した通りである。
― 塗膜形成工程(ポリイミド前駆体塗布工程) ―
離型剤層形成工程の後には、図2に示す成形用芯体10の中央部14および両端部12a,12bの一部分18a,18bの外周面に、例えば、ポリイミド前駆体溶液を塗布することにより、塗膜を形成する塗膜形成工程を行う。ポリイミド前駆体としては従来公知のものを用いるができる。以下、ポリイミド前駆体を用いた塗膜形成方法について述べるが、なお、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いてもよいことは言うまでもない。
本実施の形態におけるシームレス管状物の製造方法の塗膜形成工程は、図2に示すように、円筒状の基材11と基材11の表面に形成される離型層とを有し、基材11の端部12a,12bにおける水接触角が90°以上であり、かつ該端部以外の部分14の水接触角が30°から80°である成形用芯体10の表面に、端部12a,12bの一部分と端部以外の部分14に樹脂を含有する溶液を塗布する塗布工程を有する。ここで、「基材11の表面」とは、基材11の外表面および内表面を含む意味であり、また、「成形用芯体10の表面」とは、成形用芯体10の外表面および内表面を含む意味である。したがって、シームレス管状物を成形用芯体10の外表面にて形成する場合には、基材11の外表面に離型層を形成し、成形用芯体10の外表面に樹脂を含有する溶液を塗布する。一方、シームレス管状物を成形用芯体10の内表面にて形成する場合には、基材11の内表面に離型層を形成し、成形用芯体10の内表面に樹脂を含有する溶液を塗布する。
さらに、詳細に図2を用いて説明する。図2では、シームレス管状物を成形用芯体10の外表面にて形成する例が示されている。上記塗布工程において、端部12aの一部分18aから端部以外の部分14(すなわち、成形用芯体10の中央部)および端部12bの一部分18bにかけて、すなわち、シームレス管状物成形体形成領域にかけて、後述する樹脂を含有する溶液が塗布される。ここで、端部の一部分18a,18bは、端部12a,12bにかかるシームレス管状物成形体形成領域16であり、本実施の形態では、便宜上、端部12a,12bとシームレス管状物成形体形成領域16との「重複領域」と定義する。
また、樹脂を含有する溶液の塗布長をL1、前記樹脂を含有する溶液と前記端部が重複する長さL2とした場合のL2/L1は、0.02以上、より好ましくは0.02以上0.1以下である。
L2/L1が0.02未満の場合には、シームレス管状物成形体の端部と成形用芯体10とが密着し、樹脂を含む溶液の溶剤などのガスが抜けにくくなり、得られるシームレス管状物に膨れが生じる。また、シームレス管状物と成形用芯体の界面に空気を吹きつけることでシームレス管状物を成形用芯体から分離する場合、シームレス管状物の端部と成形用芯体との密着により、空気の注入のきっかけが無く、分離が困難となる。
一方、L2/L1が0.1を超える場合には、得られるシームレス管状物のフレア状端部は長く、最終製品とするためにフレア状端部の切断量が多くなるとともに、成形用樹脂含有溶液塗布量も増大し、経済的でない。
また、シームレス管状物成形用樹脂の種類によって、上記重複領域の範囲を異ならせても良い。例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とオキシジアニリン(ODA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスR:宇部興産株式会社製)のようにイミド化による収縮力が小さい場合は、L2/L1は0.01以上0.1以下であり、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニリンジアミン(PPA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスS:宇部興産株式会社製)やポリアミドイミド樹脂溶液(バイロマックス16NN:東洋紡株式会社製)のようにイミド化による収縮力が大きい場合は、L2/L1は0.05以上0.1以下であることが好ましい。
上述したポリイミド前駆体溶液は、以下のように調製される。まず、ポリアミック酸溶液は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。
[テトラカルボン酸二無水物]
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、さらに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が最適に使用される。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[ジアミン化合物]
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせ]
ポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
[有機極性溶媒]
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸及びポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。従来公知の非プロトン系極性溶剤を用い、ポリアミック酸溶液の濃度、粘度等は、適宜選択される。
上述した方法において調製したポリアミック酸溶液にさらに、導電性微粒子を添加し、分散させ、分散液を調製する。分散液を、図4に示す衝突型分散機に通す。図4は、衝突型分散機の説明図であり、上流から下流に向かって一点に連結された2つの第1流路管50と、連結部を構成する連結管52、この連結管52の一端から2つ以上に分岐した第2流路管54、とから構成された流路に、溶液を流すことにより、分散するものである。
[導電性微粒子]
導電性微粒子としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、樹脂中への分散性、分散安定性、半導電性ポリイミドシームレス管状物の抵抗バラツキ、電界依存性、電気抵抗の経時での安定性を考慮して、pH5以下の酸化処理カーボンブラックを好ましくは添加することがよい。
分散方法としては公知の方法が適用でき、ポールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散等が挙げられる。
[酸化処理カーボンブラック]
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、半導電性ポリイミドシームレス管状物の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきづらくなる。
ここで、pHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは、3.5〜15重量%含まれていることが好適である。揮発分が1重量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25重量%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0重量%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2重量%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0重量%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0重量%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0重量%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5重量%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0重量%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0重量%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5重量%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0重量%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0重量%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5重量%)等が挙げられる。
有機極性溶媒100重量部に対して、ポリアミック酸5〜40重量部、カーボンブラック2〜16重量部になるように反応させポリアミック酸を合成することにより、ポリイミド前駆体溶液である導電性微粒子分散ポリアミック酸組成物を得た。
次に、ポリイミド前駆体溶液を円筒状芯体外周面に塗布する方法としては、円筒状芯体をポリイミド前駆体溶剤に浸漬して引上げる浸漬塗布法、芯体を水平方向に回転させながらその表面に溶剤を吐出する流し塗り法、その際にブレードで塗膜をメタリングするブレード塗布法、ほか既存の公知の方法が採用できる。
― 皮膜形成工程 ―
皮膜形成工程は、ポリイミド前駆体溶液を乾燥する乾燥工程と、加熱焼成する加熱工程とからなる。芯体外周面に形成されたポリイミド前駆体塗膜の乾燥は、乾燥温度が50〜100℃、乾燥時間が30〜200分で行うことが好ましい。乾燥までの間に重力の影響により、ポリイミド前駆体塗膜に垂れが生じる場合には、芯体の軸方向を水平にして、10〜500rpmで回転させるのがよい。
乾燥後の時点では、ポリイミド前駆体塗膜には、溶剤が最初の含有量の10〜40%程度は含まれ、塗膜はまだ柔軟性を有している。そのため、塗膜は芯体から取り外せず、管状物としての強度を保持していない。
次いで、ポリイミド前駆体塗膜を加熱焼成して縮合反応させることにより、ポリイミド前駆体皮膜を形成するための加熱条件は、350〜450℃温度で20〜60分間行われることが好ましい。その際に、皮膜に膨れが生じにくいよう、その温度に達するまでに、温度をすぐに上昇させるのではなく、段階的に上昇させるか、もしくは徐々に一定速度で上昇させる事が好ましい。
ポリイミド樹脂は、加熱して縮合反応する時点で、強い力で収縮する。本発明は、前記収縮を使って、加熱時に発生するガスのガス抜け通路を確保することが特徴である。よってシームレス管状物のベルト膨らみや膜厚ムラ等の外径異常を抑制できる。
― 剥離・抜き取り工程等 ―
芯体の冷却後には、芯体から皮膜を取り出してから皮膜の両端部を切断するか、あるいは、芯体上の皮膜の両端部を切除してから芯体から皮膜を取り外すことによってシームレス管状物を得ることができる。または、金型から樹脂を取り外し、得られたシームレス管状物には、更に必要に応じて端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施されることもある。
[シームレス管状物]
本実施の形態におけるシームレス管状物は、図2に示す成形用芯体10の表面に、端部の一部18a,18bと端部以外の部分14に樹脂を含有する溶液を塗布して成形される。
また、本実施の形態におけるシームレス管状物は、軸方向の膜厚の最大値と最小値の差が7μm以下である。膜厚の測定は、得られたシームレス管状物の内面に基盤としてアルミ板を設置して、渦電流計イソスコープMP30(株式会社フィッシャー・インスルメンツ製)を使用して、膜厚を測定できる。測定点は軸方向に対して10mmピッチとし、軸方向あたりの最大値と最小値の差を算出する。最大値と最小値の差は7μm以下であることが好ましい。差が7μmを超えると、ベルトの周速差による画像ズレや体積抵抗値差による濃度ムラが生じる。
また、本実施の形態のシームレス管状物は、周長変動の少ない、すなわちヤング率が3,000N/mm以上の樹脂材料が好ましい。ヤング率が3,000N/mm以上の樹脂材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などをあげることができるが、特に高ヤング率の樹脂材料であるポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂がベルト材料としては好ましく、例えば、ポリイミド樹脂として宇部興産(株)のユーピレックスSなどのポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料にカーボンブラックを分散した場合のヤング率は、6,200N/mmであり、ベルト基材の厚み70μmから100μmでベルト基材としての機械特性を満足することができる。
−引張り弾性率−
上記ヤング率(引張り弾性率)は、JIS K6301に準拠し、ダンベル3号打ち抜き試験片(幅5mm)を測定した。
― ベルト管状物の層構成・用途 ―
本発明を利用して作製されたシームレス管状物を転写体として使用する場合、ポリイミド材料の中に導電性粒子を分散させる。導電性粒子としては、例えばカーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト等が考えられる。
またベルト管状物を定着体として使用する場合は、表面(外周面)に付着するトナーの融着防止のために、ベルト表面に非粘着性の樹脂層を形成することが有効である。材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂が挙げられる。非粘着層には、耐磨耗性や静電オフセット向上、トナー付着防止用オイルとの親和性等のために、カーボン粉末や酸化チタン、硫酸バリウム等の無機化合物粉体等の材料を含んでもよい。定着ベルトとして好ましいポリイミド樹脂層の厚さは25〜200μm、非粘着層の厚さは5〜50μmの範囲である。
(表面抵抗率)
本実施の形態のポリイミド樹脂製シームレス管状物は、22℃55RH%の条件下において、100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)であり、好ましくは9〜12である。表面抵抗率が低すぎると、転写電流の広がりや横流れにより転写画像が乱れることがあり、一方、表面抵抗率が高すぎると、汚れ防止のために表面電位の除電機構が必要になる場合がある。
なお、表面抵抗率は、図3に示す円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911(1995)に従い、特に指定が無い場合は電圧100Vを印加し、10秒後の電流値から求めた値である。図3は、円形電極の例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)であり、円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試験片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
(表面抵抗率の電界依存性)
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製シームレス管状物は、22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
以上、本発明のシームレス管状物の製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施の態様のみに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
<画像形成装置>
本実施の形態の画像形成装置は、上述した本実施の形態のシームレス管状物と、前記シームレス管状物が巻き掛けられ、前記シームレス管状物を張架搬送する複数の支持ロールと、を備えたことを特徴とする。具体的には、上述した本実施の形態のシームレス管状物を用いた用紙搬送ベルト方式の画像形成装置および本実施の形態のシームレス管状物を用いた中間転写体方式の画像形成装置が挙げられる。
以下に、本発明の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図5は、本発明の画像形成装置の1例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置100は、像担持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスローラ103、被転写体である用紙を供給する用紙トレイ104、K(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、支持ロール121、支持ロール123、及び支持ロール124、バックアップローラ122、導電性ローラ125、電極ローラ126、クリーニングブレード131、用紙141、ピックアップローラ142、並びにフィードローラ143を含んで構成される。なお、上記中間転写ベルト102として、本発明のシームレス管状物10が用いられる。
中間転写ベルト102は、複数の支持ロールとして、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124に架け渡されて、張架された状態で画像形成装置100に搭載される。
中間転写ベルト102は、複数の支持ロール(支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124)によって張架搬送されることにより、所定方向(図5中、矢印G方向)に回転搬送される。
ここで、中間転写ベルト102が、複数の支持ロールとして、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124に架け渡されて張架搬送されるときにおいて、上記シームレス管状物10としての中間転写ベルト102の内周面側に備えられた蛇行防止リブガイドは、支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124の側縁部もしくは支持ロール121、支持ロール123、バックアップローラ122、及び支持ロール124表面の周方向に設けられた不図示の溝に当接するように位置される。このため、ベルト走行時、中間転写ベルト102は蛇行防止リブガイドに案内される。そのため、中間転写ベルト102は、張架搬送時に蛇行する問題を起こさない。
画像形成装置100では、感光体ドラム101は、所定方向(図5中矢印F方向)に回転される。感光体ドラム101が回転されると、図示を省略する帯電装置によって感光体ドラム101表面が一様に帯電される。表面を一様に帯電された感光体ドラム101上には、レーザ書込み装置等の露光装置(図示省略)によって形成する画像の画像データに含まれる第1色(例えばBK)に応じて変調されたレーザ光が走査露光されて、黒色の画像データに応じた静電潜像が形成される。この静電潜像はブラックトナーにより現像を行う現像装置105から供給されたブラックトナーによって可視化されることで、感光体ドラム101上に黒色トナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転によって導電性ローラ125との対向領域(一次転写部)に到ると、導電性ローラ125からトナー像Tに逆極性の電界が作用されることにより静電的に中間転写ベルト102に吸着されることで、中間転写ベルト102に一次転写される。
以下、同様にして第2色(例えば、Y色)のトナー像、第3色(例えば、M色)のトナー像、第4色(例えば、C色)のトナー像が順次形成され中間転写ベルト102において重合せられて、多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の張架搬送により、バイアスローラ103との対向領域(二次転写部)に到る。この二次転写部は、中間転写ベルト102の外周面に対向配置されたバイアスローラ103と、バイアスローラ103との間で中間転写ベルト102を挟持搬送するように配置されたバックアップローラ122、及びこのバックアップローラ122に圧接して回転する電極ローラ126を含んで構成されている。
用紙141は、用紙トレイ104に収容された用紙束からピックアップローラ142で一枚ずつ取り出され、フィードローラ143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスローラ103との対向領域に所定のタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスローラ103及びバックアップローラ122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙141は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙141への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ103は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード131が常時当接するごとく取りつけられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスローラ103と中間転写ベルト102を介して対向配置したバックアップローラ122に圧接した電極ローラ126にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで該トナー像を用紙141に静電反発で転写する。以上のようにして、画像を形成することができる。
次に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。図6に示す画像形成装置200は、Y色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201Y、M色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201M、C色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201C、及び黒色(BK)のトナー像を形成するための画像形成ユニット201BKと、表面に用紙を担持して搬送する用紙搬送ベルト206と、用紙を上記各画像形成ユニット201へ搬送する用紙搬送ロール208と、用紙上に形成されたトナー像を該用紙へ定着させる定着装置209と、を含んで構成されている。なお、上記Y色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201Y、M色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201M、C色のトナー像を形成するための画像形成ユニット201C、及び黒色(BK)のトナー像を形成するための画像形成ユニット201BKを総称する場合には、画像形成ユニット201と称して説明する。用紙搬送ベルト206として、本発明のシームレス管状物が用いられる。
用紙搬送ベルト206は、複数の支持ロールとして、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211に架け渡されて、張架された状態で画像形成装置200に搭載されている。
用紙搬送ベルト206は、上記複数の支持ロール(支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211)によって張架搬送されることにより、所定方向(図6中、矢印H方向)に回転搬送される。
ここで、用紙搬送ベルト206が、複数の支持ロールとして、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211に架け渡されて張架搬送されるときにおいて、上記シームレス管状物10としての用紙搬送ベルト206の内周面側に備えられた蛇行防止リブガイドは、支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211の側縁部もしくは支持ロール213、支持ロール212、支持ロール210、及び支持ロール211表面の周方向に設けられた不図示の溝に当接するように位置される。このため、ベルト走行時、用紙搬送ベルト206は蛇行防止リブガイドに案内される。そのため、用紙搬送ベルト206は、張架搬送時に蛇行する問題を起こさない。
なお、これらの複数の支持ロールとしては、例えば、外径12〜18mmの金属ロールを用いることができる。
上記画像形成ユニット201Y、画像形成ユニット201M、画像形成ユニット201C、及び画像形成ユニット201BK各々は、所定方向(図6中、矢印I方向)に所定の周速度をもって回転する感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々が備えられている。
感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々の近傍には、各々の感光体ドラムの回転方向にそって、感光体ドラムを帯電するための帯電装置(帯電装置202Y、帯電装置202M、帯電装置202C、及び帯電装置202BK)、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム上に形成するための露光器(露光器203Y、露光器203M、露光器203C、及び露光器203BK)、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)、感光体上の残留トナー等の付着物を除去するためのクリーニングブレード(クリーニングブレード205Y、クリーニングブレード205M、クリーニングブレード205C、及びクリーニングブレード205BK)、及び用紙搬送ベルト206と感光体ドラムとの間に搬送された用紙216に感光体ドラム上のトナー像を転写するための転写ロール(転写ロール207Y、転写ロール207M、転写ロール207C、転写ロール207BK)が順に設けられている。
転写ロール207Y、転写ロール207M、転写ロール207C、及び転写ロール207BKは、用紙搬送ベルト206の内周側に設けられると共に、感光体ドラム221Y、感光体ドラム221M、感光体ドラム221C、及び感光体ドラム221BK各々との間で用紙搬送ベルト206を挟持するように設けられている。
なお、上記画像形成ユニット201BK、画像形成ユニット201C、画像形成ユニット201M、及び画像形成ユニット201Y各々は、用紙搬送ベルト206の搬送方向上流側から下流側に向かって、該用紙搬送ベルト206に沿って並列に順に配列されているが、このような順に限られるものではなく、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
定着装置209は、画像形成ユニット201Y、画像形成ユニット201M、画像形成ユニット201C、及び画像形成ユニット201BK各々が、これらの画像形成ユニットによって各色トナー像を転写された用紙にトナー像を定着させるとともに、画像形成装置200外部に用紙を排出する。
画像形成装置200では、まず、画像形成ユニット201BKの感光体ドラム221BK表面が、帯電装置202BKによって一様に帯電された後に、露光器203BKによって画像データに応じて変調された光ビームが走査露光されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像されることで、BKトナーによるトナー像が形成される。なお、トナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
この感光体ドラム221BK上に形成された黒色のトナー画像は、感光体ドラム221BKと用紙搬送ベルト206との対向領域を通過すると同時に、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着してこの対向領域まで搬送されて、転写ロール207BKから印加される転写バイアスにより形成される電界により、用紙216の外周面に転写される。
次に、画像形成ユニット201C、画像形成ユニット201M、及び画像形成ユニット201Yにおいて、上記画像形成ユニット201BKと同様の処理が行われることによって、用紙216に順にC色、M色、及びY色のトナー像が順に転写される。
BK色、C色、M色、及びY色のトナー画像を転写された用紙216は、用紙搬送ベルト206の搬送によって定着装置209の設置位置まで搬送されることにより、定着装置209によってトナー画像が定着された後に、画像形成装置200の外部へと排出される。
なお、上記画像形成装置の例では、複数の支持ロールによってシームレス管状物が巻掛けられて張架搬送される場合を説明したが、本発明のシームレス管状物によれば、図7に示すように、一対の支持ロールとして、支持ロール300及び支持ロール302に巻掛けられて張架搬送されるようにしてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、各実施例は、本発明を制限するものではない。
まず参考にポリイミド前駆体溶液、シームレス管状物成形について説明する。
<ポリイミド前駆体溶液A>
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とオキシジアニリン(ODA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスR:宇部興産株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液Aを得た。
<ポリイミド前駆体溶液B>
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニリンジアミン(PPA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスS:宇部興産株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液Bを得た。
<ポリアミドイミド前駆体溶液C>
ポリアミドイミド樹脂溶液(バイロマックス16NN:東洋紡株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミドイミド酸溶液Cを得た。
<シームレス管状物成形>
前記ポリイミド前駆体溶液A,B、ポリアミドイミド前駆体溶液Cを、成形用芯体を100rpmで回転させながら、成形用芯体端部から75mmを始点とし、芯体外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、塗布長350mm、厚み0.5mmで塗布した後、5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱し、常温に冷却後、300℃まで2時間加熱することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却してから、芯体からポリイミドシームレス管状物を分離した。
[実施例1]
<芯体>
外径190mm、長さ500mm、厚さ5mmの円筒形のアルミ製円筒状基材を用いて、基材の外表面にシリコーン系樹脂組成物(信越化学工業製、SepaCoat)4質量部に対し、n−ヘプタン16質量部で希釈した溶液をスプレーで塗布し、150℃で60分間焼き付け離型層を形成させた。さらに離型層が形成された芯体の両端部85.5mmをフィルムで被覆し、照度13mW/cm、照射時間20min、芯体回転速度5rpmで紫外線照射させた。これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角は55°の成形用芯体を得た。なお水接触角の測定は、上述したように、液滴3.1μl、液滴後15秒以内の測定値の最大値とし、芯体円周方向4分割して測定した平均値とした。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は3μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例2]
<芯体>
紫外線照射時間を26minとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が30°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は1.5μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例3]
<芯体>
紫外線照射時間を13minとした以外は実施例1同様と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が80°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は3μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例4]
<芯体>
成形用芯体の両端部から85.5mmの領域のみ9min紫外線照射した以外は、実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が90°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は3μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
参考実施例5]
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ78.5mmの端部領域をフィルムで被覆して紫外線照射させた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ78.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.02となり、シームレス管状物には膨れ、収縮はなかったが、分離後の芯体に一部汚れが付着した。但し、アルコール拭きにより容易に除去できた。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は6μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例6]
<芯体>
アルミ製円筒状基材を、外径190mm、長さ1000mm、厚さ5mmの円筒形のアルミ製円筒状基材に代えた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ171mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して成形用芯体を100rpmで回転させながら、成形用芯体端部から150mmを始点とし、芯体外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、塗布長700mm、厚み0.5mmで塗布した後、5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱し、常温に冷却後、300℃まで2時間加熱することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却してから、芯体からポリイミドシームレス管状物を分離したところ、L2/L1は0.06となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。また、上記シームレス管状物を幅330mmに2分割し、膜厚を測定したところ、いずれのシームレス管状物も、軸方向の最大値と最小値の幅は3μmであった。一方のシームレス管状物を画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例7]
<芯体>
実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ92.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Bを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.1となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は6.5μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[実施例8]
<芯体>
実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ92.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリアミドイミド前駆体溶液Cを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.1となり、シームレス管状物には膨れ、収縮なく、分離後の芯体に汚れはなかった。膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は3μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
参考実施例9]
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ78mmの端部領域をフィルムで被覆して紫外線照射させた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ78mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.017となり、シームレス管状物には膨れ、収縮はなかったが、分離後の芯体に一部汚れが付着した。但し、アルコール拭きにより容易に除去できた。得られたシームレスベルトを幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は8μmであった。また画像成形装置の転写ベルトとして用いたところ、画像ずれ、濃度ムラなどの画像欠陥は発生しなかった。
[比較例1]
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの領域のみ16min紫外線照射した以外は、実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が70°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06であるが、成形体端部に膨れが発生し、転写ベルトとして用いることが出来なかった。得られたシームレス管状物を幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は15μmであった。
[比較例2]
<芯体>
紫外線照射なしとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、外表面全域の水接触角が100°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、膨れ、収縮筋が発生し、転写ベルトとして用いることが出来なかった。得られたシームレス管状物を幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は10μmであった。
[比較例3]
<芯体>
外表面全域に紫外線を20min照射した以外は実施例1と同様の操作を行い、これにより、外表面全域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、シームレス管状物成形体端部に膨れが発生し、転写ベルトとして用いることが出来なかった。さらに成形用芯体表面に汚れが発生し、アルコール拭きしても除去できず、成形用芯体の繰り返し使用不可能となった。
[比較例4]
<芯体>
紫外線照射時間を40minとした以外は実施例1と同様の操作を行い、これにより、芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が25°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06であるが、シームレス管状物成形体が成形用芯体に密着し、分離することが出来ず、シームレス管状物を得ることが出来なかった。
[比較例5]
<芯体>
紫外線照射時間を11minとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が85°の成形用芯体を得た。
上記成形用芯体を用いて、前記ポリイミド前駆体溶液Aを使用して上述のシームレス管状物成形を行い、シームレス管状物を成形したところ、L2/L1は0.06であるが、膨れ、収縮が発生し、転写ベルトとして用いることが出来なかった。得られたシームレス管状物を幅330mmにカットし、膜厚を測定したところ、軸方向の最大値と最小値の差は8μmであった。
[評価]
(シームレス管状物の膨れおよび収縮スジ)
得られたシームレス管状物の膨れおよび収縮スジは、目視により判定した。
(脱型性)
円筒状芯体からのシームレス管状物の脱離性について以下の基準で判定した。
○:エア挿入を行うことにより容易に脱型した。
△:脱型時にシームレス管状物が円筒状芯体に貼り付くものの、脱型可能であった。
×:脱型時にシームレス管状物が円筒状芯体に貼り付き、脱型したシームレス管状物は使用不可能。
(転写画質の評価)
図5に示す富士ゼロックス(株)Docu Color a450を用い、得られた半導電性ベルトを交換しながら、転写画質を評価した。用紙は、富士ゼロックスオフィスサプライ社製の商品名「レザック66(151g/m)」を用いた。用紙サイズはA3であった。なお出力は200枚を1サイクルとして5サイクル、1000枚まで行い、白抜けなどの画像欠陥を目視により観察した。
○:画像欠陥なし
×:画像欠陥あり
−:転写ベルトとして使用不能
(脱型分離後の成形用芯体に汚れ)
シームレス管状物成形体を成形用芯体より脱型分離後の成形用芯体に汚れを目視にて観察した。
○:分離後の成形用芯体に汚れなし
△:分離後の成形用芯体に汚れに一部汚れがあるものの、成形用芯体に対しアルコール拭きで容易に取り除ける
×:分離後の成形用芯体に汚れがあり、成形用芯体をアルコール拭きしても除去できない
(シームレス管状物の膜厚)
得られたシームレス管状物の内面に基盤としてアルミ板を設置して、渦電流計イソスコープMP30(株式会社フィッシャー・インスルメンツ製)を使用して、膜厚を測定した。測定点は軸方向あたり10mmピッチとし、軸方向あたりの最大値と最小値の差を算出した。最大値と最小値の差が7μmを超えると、ベルトの周速差による画像ズレや体積抵抗値差による濃度ムラが生じる。
Figure 0005352976
本発明の活用例として、耐熱性、高強度および導電性を必要とするベルト用途への適用、例えば、帯電防止部材、電磁波遮蔽部材へ適用することができ、また、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられるベルトへの適用もある。
本実施の形態における成形用芯体の一例の構成を示す概略斜視図である。 本実施の形態の成形用芯体を用いたシームレス管状物成形体の成形の一例を説明する図である。 表面抵抗率および体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。 衝突型分散機の一例の構造を説明する図である。 本実施の形態におけるシームレス管状物を中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の概略構成図である。 本実施の形態のシームレス管状物を用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の概略構成図である。 シームレス管状物の図6とは異なる張架状態を示す概略構成図である。
符号の説明
10 成形用芯体、11 基材、12a,12b 端部、14 端部以外の部分、16 シームレス管状物成形体形成領域、18a,18b 端部の一部分、100 画像形成装置、101 感光体ドラム、102 中間転写ベルト、103 バイアスローラ、104 用紙トレイ、105 現像装置、106 現像装置、107 現像装置、108 現像装置、109 ベルトクリーナー、113 剥離爪、121 支持ロール、122 バックアップローラ、123 支持ロール、124 支持ロール、125 導電性ローラ、126 電極ローラ、131 クリーニングブレード、141 用紙、142 ピックアップローラ、143 フィードローラ。

Claims (2)

  1. 円筒状の基材と該基材の表面に形成される離型層とを有し、前記基材の端部における水接触角が90°以上であり、かつ該端部以外の部分の水接触角が30°から80°である成形用芯体の表面に、前記端部の一部分と前記端部以外の部分に樹脂を含有する溶液を塗布する塗布工程を有し、
    前記塗布工程は、前記端部以外の部分と前記端部のそれぞれ一部分にかけて前記樹脂を含有する溶液を塗布する工程であり、
    前記樹脂を含有する溶液の塗布長をL1、前記樹脂を含有する溶液と前記端部が重複する長さをL2とした場合のL2/L1が0.06以上であることを特徴とするシームレス管状物の製造方法。
  2. 前記樹脂を含有する溶液における樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のシームレス管状物の製造方法
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