JP5352976B2 - シームレス管状物の製造方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施の形態の成形用芯体10は、円筒状の基材11と、基材11の表面に形成される離型層と、を有し、基材11の端部12a,12bにおける水接触角が90°以上であり、かつ端部以外の部分14の水接触角が30°から80°である。なお、本実施の形態において、図1に示すように、「端部以外の部分」とは、成形用芯体10の「中央部」と同義であり、以下「中央部」という場合もある。
次に、成形用芯体を用いたベルト管状物の製造方法について、以下に説明する。
離型剤層は、ベルト管状物の円筒状成形用芯体外周面形成または円筒状芯体内周面形成に応じて、円筒状芯体の少なくとも中央部の外周面もしくは内周面に形成されていればよいが、端部におけるポリイミド樹脂皮膜の剥離を容易にするために、いずれか一方の端部あるいは両端にも形成されていることが望ましい。離型剤層の形成には、上述した通りである。
離型剤層形成工程の後には、図2に示す成形用芯体10の中央部14および両端部12a,12bの一部分18a,18bの外周面に、例えば、ポリイミド前駆体溶液を塗布することにより、塗膜を形成する塗膜形成工程を行う。ポリイミド前駆体としては従来公知のものを用いるができる。以下、ポリイミド前駆体を用いた塗膜形成方法について述べるが、なお、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いてもよいことは言うまでもない。
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
ポリアミック酸としては、好ましくは、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとからなるものが好ましい。
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸及びポリアミック酸−ポリイミド共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。従来公知の非プロトン系極性溶剤を用い、ポリアミック酸溶液の濃度、粘度等は、適宜選択される。
導電性微粒子としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、樹脂中への分散性、分散安定性、半導電性ポリイミドシームレス管状物の抵抗バラツキ、電界依存性、電気抵抗の経時での安定性を考慮して、pH5以下の酸化処理カーボンブラックを好ましくは添加することがよい。
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
皮膜形成工程は、ポリイミド前駆体溶液を乾燥する乾燥工程と、加熱焼成する加熱工程とからなる。芯体外周面に形成されたポリイミド前駆体塗膜の乾燥は、乾燥温度が50〜100℃、乾燥時間が30〜200分で行うことが好ましい。乾燥までの間に重力の影響により、ポリイミド前駆体塗膜に垂れが生じる場合には、芯体の軸方向を水平にして、10〜500rpmで回転させるのがよい。
芯体の冷却後には、芯体から皮膜を取り出してから皮膜の両端部を切断するか、あるいは、芯体上の皮膜の両端部を切除してから芯体から皮膜を取り外すことによってシームレス管状物を得ることができる。または、金型から樹脂を取り外し、得られたシームレス管状物には、更に必要に応じて端部のスリット加工、パンチング穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施されることもある。
本実施の形態におけるシームレス管状物は、図2に示す成形用芯体10の表面に、端部の一部18a,18bと端部以外の部分14に樹脂を含有する溶液を塗布して成形される。
上記ヤング率(引張り弾性率)は、JIS K6301に準拠し、ダンベル3号打ち抜き試験片(幅5mm)を測定した。
本発明を利用して作製されたシームレス管状物を転写体として使用する場合、ポリイミド材料の中に導電性粒子を分散させる。導電性粒子としては、例えばカーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト等が考えられる。
本実施の形態のポリイミド樹脂製シームレス管状物は、22℃55RH%の条件下において、100Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)であり、好ましくは9〜12である。表面抵抗率が低すぎると、転写電流の広がりや横流れにより転写画像が乱れることがあり、一方、表面抵抗率が高すぎると、汚れ防止のために表面電位の除電機構が必要になる場合がある。
また、本実施の形態のポリイミド樹脂製シームレス管状物は、22℃、55RH%の条件下において100V及び1000Vの電圧を印加した時の表面抵抗率の常用対数値の差が0.3(logΩ/□)以下である。
本実施の形態の画像形成装置は、上述した本実施の形態のシームレス管状物と、前記シームレス管状物が巻き掛けられ、前記シームレス管状物を張架搬送する複数の支持ロールと、を備えたことを特徴とする。具体的には、上述した本実施の形態のシームレス管状物を用いた用紙搬送ベルト方式の画像形成装置および本実施の形態のシームレス管状物を用いた中間転写体方式の画像形成装置が挙げられる。
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とオキシジアニリン(ODA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスR:宇部興産株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液Aを得た。
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニリンジアミン(PPA)を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液(ユーピレックスS:宇部興産株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液Bを得た。
ポリアミドイミド樹脂溶液(バイロマックス16NN:東洋紡株式会社製)に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4(Degussa社製))をポリイミド系樹脂固形分100重量部に対して、23重量部になるように添加して、図4に示す衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミドイミド酸溶液Cを得た。
前記ポリイミド前駆体溶液A,B、ポリアミドイミド前駆体溶液Cを、成形用芯体を100rpmで回転させながら、成形用芯体端部から75mmを始点とし、芯体外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、塗布長350mm、厚み0.5mmで塗布した後、5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱し、常温に冷却後、300℃まで2時間加熱することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却してから、芯体からポリイミドシームレス管状物を分離した。
<芯体>
外径190mm、長さ500mm、厚さ5mmの円筒形のアルミ製円筒状基材を用いて、基材の外表面にシリコーン系樹脂組成物(信越化学工業製、SepaCoat)4質量部に対し、n−ヘプタン16質量部で希釈した溶液をスプレーで塗布し、150℃で60分間焼き付け離型層を形成させた。さらに離型層が形成された芯体の両端部85.5mmをフィルムで被覆し、照度13mW/cm2、照射時間20min、芯体回転速度5rpmで紫外線照射させた。これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角は55°の成形用芯体を得た。なお水接触角の測定は、上述したように、液滴3.1μl、液滴後15秒以内の測定値の最大値とし、芯体円周方向4分割して測定した平均値とした。
<芯体>
紫外線照射時間を26minとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が30°の成形用芯体を得た。
<芯体>
紫外線照射時間を13minとした以外は実施例1同様と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が80°の成形用芯体を得た。
<芯体>
成形用芯体の両端部から85.5mmの領域のみ9min紫外線照射した以外は、実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が90°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ78.5mmの端部領域をフィルムで被覆して紫外線照射させた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ78.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
アルミ製円筒状基材を、外径190mm、長さ1000mm、厚さ5mmの円筒形のアルミ製円筒状基材に代えた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ171mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ92.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ92.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ78mmの端部領域をフィルムで被覆して紫外線照射させた以外は実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ78mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの領域のみ16min紫外線照射した以外は、実施例1と同様に操作し、これにより、成形用芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が70°、端部以外の領域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
紫外線照射なしとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、外表面全域の水接触角が100°の成形用芯体を得た。
<芯体>
外表面全域に紫外線を20min照射した以外は実施例1と同様の操作を行い、これにより、外表面全域の水接触角が55°の成形用芯体を得た。
<芯体>
紫外線照射時間を40minとした以外は実施例1と同様の操作を行い、これにより、芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が25°の成形用芯体を得た。
<芯体>
紫外線照射時間を11minとした以外は実施例1と同様に操作し、これにより、芯体の両端からそれぞれ85.5mmの端部領域の水接触角が100°、端部以外の領域の水接触角が85°の成形用芯体を得た。
(シームレス管状物の膨れおよび収縮スジ)
得られたシームレス管状物の膨れおよび収縮スジは、目視により判定した。
円筒状芯体からのシームレス管状物の脱離性について以下の基準で判定した。
○:エア挿入を行うことにより容易に脱型した。
△:脱型時にシームレス管状物が円筒状芯体に貼り付くものの、脱型可能であった。
×:脱型時にシームレス管状物が円筒状芯体に貼り付き、脱型したシームレス管状物は使用不可能。
図5に示す富士ゼロックス(株)Docu Color a450を用い、得られた半導電性ベルトを交換しながら、転写画質を評価した。用紙は、富士ゼロックスオフィスサプライ社製の商品名「レザック66(151g/m2)」を用いた。用紙サイズはA3であった。なお出力は200枚を1サイクルとして5サイクル、1000枚まで行い、白抜けなどの画像欠陥を目視により観察した。
○:画像欠陥なし
×:画像欠陥あり
−:転写ベルトとして使用不能
シームレス管状物成形体を成形用芯体より脱型分離後の成形用芯体に汚れを目視にて観察した。
○:分離後の成形用芯体に汚れなし
△:分離後の成形用芯体に汚れに一部汚れがあるものの、成形用芯体に対しアルコール拭きで容易に取り除ける
×:分離後の成形用芯体に汚れがあり、成形用芯体をアルコール拭きしても除去できない
得られたシームレス管状物の内面に基盤としてアルミ板を設置して、渦電流計イソスコープMP30(株式会社フィッシャー・インスルメンツ製)を使用して、膜厚を測定した。測定点は軸方向あたり10mmピッチとし、軸方向あたりの最大値と最小値の差を算出した。最大値と最小値の差が7μmを超えると、ベルトの周速差による画像ズレや体積抵抗値差による濃度ムラが生じる。
Claims (2)
- 円筒状の基材と該基材の表面に形成される離型層とを有し、前記基材の端部における水接触角が90°以上であり、かつ該端部以外の部分の水接触角が30°から80°である成形用芯体の表面に、前記端部の一部分と前記端部以外の部分に樹脂を含有する溶液を塗布する塗布工程を有し、
前記塗布工程は、前記端部以外の部分と前記端部のそれぞれ一部分にかけて前記樹脂を含有する溶液を塗布する工程であり、
前記樹脂を含有する溶液の塗布長をL1、前記樹脂を含有する溶液と前記端部が重複する長さをL2とした場合のL2/L1が0.06以上であることを特徴とするシームレス管状物の製造方法。 - 前記樹脂を含有する溶液における樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のシームレス管状物の製造方法。
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