JP2006264187A - 多層型離型層の形成方法、円筒状金型、及びシームレス管状物の製造方法 - Google Patents

多層型離型層の形成方法、円筒状金型、及びシームレス管状物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】部分的な離型効果の差の発生を抑制した多層型離型層の形成方法、及び、離型効果が低下した離型層上に新たな離型層を積層した場合でも、ハジキ現象や樹脂との密着が抑制でき、膜厚ムラや穴の発生のないシームレス管状物が得られる円筒状金型、更には、該円筒状金型を用いたシームレス管状物の製造方法を提供する。
【解決手段】基体表面上に先に形成された離型層の上から、更に新たな離型層を積層し、前記新たな離型層を形成する際、前記先に形成された離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にする多層型離型層の形成方法、及び、シームレス管状物の製造に用い離型効果が低下した円筒状金型51の離型層上に、上記多層型離型層の形成方法によって新たな離型層を積層した円筒状金型51、更には、上記円筒状金型51を用いたシームレス管状物の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の離型層を基体上に形成する多層型離型層の形成方法に関し、また、該多層型離型層の形成方法によって離型効果が低下した離型層上に新たに離型層を積層した、シームレス管状物の製造方法に用いられる円筒状金型に関する。更に、該円筒状金型を用い、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、定着ベルト等に好適に使用されるシームレス管状物(シームレスベルト、シームレスチューブ)の製造方法に関する。
電子写真機器では、感光体、転写ベルト或いは定着ベルト等に、金属、各種プラスチック又はゴム製の回転体が使用されている。機器の小型化や高性能化のために、これらの回転体はある程度変形可能なものが好ましい場合があるが、その場合には肉厚が薄いプラスチック製のフィルムからなる管状物が用いられる。その際、管状物に継ぎ目(シーム)があると画像に欠陥が生じるため、継ぎ目のない管状物を用いる必要がある。
シームレス管状物を作製する方法としては、回転成形法により型の内周面にフィルムを成形する方法(例えば、特許文献1参照)、樹脂を溶融し環状に押し出し成膜する方法(例えば、特許文献2参照)、樹脂溶液を円柱芯体外面にディッピングにより一定の厚さに塗布し、加熱成膜後に芯体を引き抜く方法(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。
このシームレス管状物を形成する樹脂材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられ、中でも、強度、耐熱性、寸法安定性の観点からポリイミドが好ましい。
ところが、ポリイミド樹脂を用いてシームレス管状物を製造する場合、熱可塑性樹脂等で製造するのとは違い、押出成形やインフレーション、或いは真空成形等の手段を用いることができない。従って、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液を金型等に塗布し加熱によりイミド化した段階で脱型する方法をとらざるを得ない。
しかしながら、ポリイミド樹脂は接着剤としても使用される樹脂であり、ポリアミド酸溶液を金型に塗布し加熱によりイミド転化すると、一般にアルミニウムやステンレス等の金属からなる金型に密着又は接着してしまい、金型から管状物を取り外すことが困難となる。
このように金型の表面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、加熱しイミド転化させて管状物を得ようとする場合、金型と管状物とをスムーズに分離するため、表面を離型性樹脂で被覆して離型層を有する金型とし、接着エネルギーを下げる方法がある(例えば、特許文献4参照)。ところが、離型性樹脂は上記イミド転化の為の加熱による熱劣化、或いはポリイミド前駆体溶液に用いられるN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒により、表面の接着エネルギーを下げる効果、すなわち離型効果が徐々に低下するという欠点がある。
特開昭60−170862号公報 特開平6−202513号公報 特開平6−222695号公報 特開平9−76361号公報
このような場合、金型表面に更に離型性樹脂を再塗布して新たな離型層を積層することで、離型性を再度付与し、金型を再生する方法が考えられる。
しかし、離型効果が低下した離型層であっても、その上から直接離型性樹脂を再塗布した場合、均一に塗布することができず、新たに積層された離型層には部分的な離型効果の差が生じる。部分的な離型効果の差は、シームレス管状物の樹脂材料を塗布した際のハジキ現象の発生や、硬化した樹脂(管状物)と金型との密着を招き、結果として管状物の膜厚ムラや穴の発生を引き起こす。膜厚ムラや穴が発生したシームレス管状物を、例えば中間転写ベルトとして用いた場合、画像の転写不良が発生する。
また、上記の様に使用によって離型効果が低下した離型層の場合だけでなく、製造段階で多層型の離型層を形成するような場合には、第2層目以降の離型層には、上記同様均一に塗布できないことによる、部分的な離型効果の差が発生する。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、下記目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、部分的な離型効果の差の発生を抑制した多層型離型層の形成方法を提供することにある。また更に、離型効果が低下した離型層上に新たな離型層を積層した場合であっても、その表面に耐熱性樹脂組成物を塗布した際のハジキ現象や、硬化した樹脂との密着が効果的に抑制でき、それによって膜厚ムラや穴の発生のないシームレス管状物を得ることができる円筒状金型、及び、該円筒状金型を用いたシームレス管状物の製造方法を提供することにある。
上記課題は、以下の発明により解決される。
<1> 基体表面上に先に形成された離型層の上から、更に新たな離型層を積層する多層型離型層の形成方法であって、前記新たな離型層を形成する際、前記先に形成された離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にすることを特徴とする多層型離型層の形成方法である。
<2> 前記前処理が紫外線照射処理であることを特徴とする前記<1>に記載の多層型離型層の形成方法である。
<3> 前記前処理が熱処理であることを特徴とする前記<1>に記載の多層型離型層の形成方法である。
<4> 前記先に形成された離型層が、シームレス管状物の製造に用いたことで離型効果が低下した円筒状金型の離型層であることを特徴とする前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の多層型離型層の形成方法である。
<5> 前記<4>に記載の多層型離型層の形成方法によって、離型効果が低下した離型層の上から新たな離型層を積層したことを特徴とする円筒状金型である。
<6> 前記<5>に記載の円筒状金型を用い、該円筒状金型の外周面に液状の耐熱性樹脂組成物を塗布して加熱硬化し、上記円筒状金型から分離することを特徴とするシームレス管状物の製造方法である。
<7> 前記耐熱性樹脂組成物として、芳香属系ポリイミド前駆体を用いることを特徴とする前記<6>に記載のシームレス管状物の製造方法である。
<8> 前記芳香属系ポリイミド前駆体を溶解した塗布液中に、更に導電剤を分散することを特徴とする前記<7>に記載のシームレス管状物の製造方法である。
本発明によれば、部分的な離型効果の差の発生を抑制した多層型離型層の形成方法を提供することができる。また更に、離型効果が低下した離型層上に新たな離型層を積層した場合であっても、その表面に耐熱性樹脂組成物を塗布した際のハジキ現象や、硬化した樹脂との密着が効果的に抑制でき、それによって膜厚ムラや穴の発生のないシームレス管状物を得ることができる円筒状金型、及び、該円筒状金型を用いたシームレス管状物の製造方法を提供することができる。
本発明の多層型離型層の形成方法は、基体表面上に先に形成された離型層(以下、「第1の離型層」ということがある)の上から、更に新たな離型層(以下、「第2の離型層」ということがある)を積層する多層型離型層の形成方法であって、第2の離型層を形成する際、第1の離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にすることを特徴とする。第1の離型層表面が上記条件を満たしていないと、第2の離型層には部分的な離型効果の差が生じ、良好な離型性を得ることができない。
尚、上記本発明の多層型離型層の形成方法は、第1の離型層を形成した直後に第2の離型層を積層する場合のみならず、第1の離型層が、使用によって離型効果が低下した離型層である場合にも有効であり、新たに第2の離型層を積層することにより再度離型性を付与することができる。このような、離型効果低下後の離型層の再形成の例としては、シームレス管状物の製造に用いられる円筒状金型の例が挙げられる。
即ち、本発明の円筒状金型は、シームレス管状物の成形に用いられることで離型層の離型効果が低下した第1の離型層上に、新たに第2の離型層を積層した多層型離型層を有する円筒状金型であって、第2の離型層を形成する際、第1の離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にすることを特徴とする。これにより、部分的な離型効果の差の発生を抑制した新たな離型層が積層され、円筒状金型を良好な状態で再生することができる。
また、上記によって得られた円筒状金型を用いた本発明のシームレス管状物の製造方法は、部分的な離型効果の差の発生が抑制された円筒状金型を用いているため、耐熱性樹脂組成物を塗布した際のハジキ現象や、硬化した樹脂(シームレス管状物)との密着が効果的に抑制でき、それによって膜厚ムラや穴の発生のないシームレス管状物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<多層型離型層の形成方法>
まず、多層型離型層の形成方法について、工程の順を追って説明する。
尚、本発明における多層型離型層は、2層からなる多層型離型層であっても、3層以上からなる多層型離型層であってもよい。3層以上の離型層を積層した場合、第2層目以降の何れかの層が本発明の多層型離型層の形成方法により積層されていればよいが、より多くの層が本発明によって積層されることが好ましく、2層目以降の全ての層が本発明によって積層されることが特に好ましい。
以下においては、2層からなる多層型離型層を形成する場合について説明する。
(第1の離型層の形成方法)
第1の離型層は、従来公知の手段を適宜選択して用いることにより形成することができ、例えば、後述する基体表面に、離型性樹脂を含んだ溶液を塗布し、高温で焼き付けることによって得ることができる。
−離型性樹脂−
まず、第1の離型層の形成に用いられる離型性樹脂について説明する。
第1の離型層を形成する離型性樹脂としては、従来公知の離型性樹脂を用いることができ、その用途によって適宜選択することができる。従来公知の離型性樹脂としては、例えば、シリコン系樹脂、オルガノアルコキシド化合物などの無機系材料、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルなどの耐熱樹脂等が挙げられる。
尚、上記離型層が、上述のシームレス管状物の製造に用いられる円筒状金型に形成される離型層である場合、用いる離型性樹脂は、加熱工程の高温に耐えるものであれば特に限定されるわけではないが、シリコン系樹脂、オルガノアルコキシド化合物などの無機系材料が好ましく、更にシリコン系樹脂が好ましい。
上記シリコン系樹脂の中でも、耐熱性に非常に優れるという観点から、特に3次元架橋のシリコーン系樹脂が好ましい。3次元架橋のシリコーン系樹脂であれば、シームレス管状物の製造において、加熱工程の高温に耐えることができるだけでなく、加熱工程における円筒状金型の熱膨張と、その後の冷却時における円筒状金型の収縮によって引き起こされるひび割れも抑制され、シームレス管状物の製造を行う毎に離型層を被覆するというような煩雑な操作が必要がない。
−離型性樹脂溶液−
次に、上記離型性樹脂を含有する塗布液(離型性樹脂溶液)について説明する。
離型性樹脂溶液に用いる溶媒は、該離型性樹脂の種類によって適宜選択することができ、具体的には、有機溶媒(例えば、n−ヘプタン、n−ヘキサン、トルエン、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸ブチル、酢酸エチル)等が挙げられる。これらの中でも、塗れ性やレベリング性、離型性樹脂の溶解力という観点から、n−ヘプタン、n−ヘキサンが特に好ましい。
−基体−
本発明に用いられる基体は、その用途によって適宜選択することができ、その形状は、円筒状、平面状などいかなるものであってもよい。また、基体が円筒状である場合には、離型層はその外周面、内周面のいずれに形成するものであってもよく、両方に形成しても構わない。更に基体が平面状である場合には、離型層の形成は、片面であっても両面であっても構わない。但し、離型層を形成する表面は良好な平滑性を有していることが好ましい。
また、基体を構成する素材としても、その表面に離型層を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、上述のシームレス管状物の製造に用いられる円筒状金型の芯体となる円筒状基体の場合には、加熱工程の高温による変形・変質のないものが好ましく、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の金属が好ましく用いられる。尚、加熱工程後の樹脂皮膜(シームレス管状物)を金型から分離する際、金型自身の熱膨張差を利用して分離しやすくするという観点から、熱膨張率が大きいアルミニウムを用いることがより好ましい。
円筒状基体がアルミニウムの場合、350℃に加熱すると強度が低下して変形を起こしやすい。このようなアルミニウムの熱変形は、円筒状の形状への冷間加工中に歪みが蓄積していると発生しやすく、そのような歪みを取り去るには、アルミニウムを焼鈍(焼きなまし)する方法がある。但し、焼鈍によっても熱変形が起こるので、所定形状への加工は、その後に施す必要がある。焼鈍の方法としては、例えば、アルミニウム素材を350〜400℃の範囲に加熱し、空気中で自然に冷却する方法等が挙げられる。
−第1の離型層の形成−
前述の通り、第1の離型層は、従来公知の手段を適宜選択して用いることにより形成することができ、例えば、上記基体表面に、上記離型性樹脂溶液を塗布し、高温で焼き付けることによって得ることができる。
上記高温での焼き付けは、用いる離型性樹脂によって適宜選択すればよく、例えば離型性樹脂としてシリコン系樹脂を用いた場合であれば、200〜400℃が好ましく、250〜350℃がより好ましく、280〜320℃が特に好ましい。また、焼付けの時間は温度との関係によって選択することができ、高温であれば時間を短くすることができるが、一般に10〜180分が好ましく、30〜120分がより好ましく、40〜60分が特に好ましい。
また、離型性樹脂溶液を塗布する方法としても一般に用いられている公知の方法を用いることができ、例えば、スプレーガンによる塗布方法、離型性樹脂溶液を布に浸し芯体に直接手で塗布する方法、芯体を離型性樹脂溶液に浸漬し引き上げる浸漬塗布方法等を挙げることができる。中でも膜均一性という観点から、スプレーガンによる塗布方法、浸漬塗布方法が特に好ましい。
尚、上記離型性樹脂溶液は、第1の離型層形成後の膜厚が0.5〜10μm(より好ましくは1〜5μm)となるよう塗布されることが好ましい。
(第2の離型層の形成方法)
本発明の多層型離型層の形成方法においては、上記第2の離型層を積層するにあたり、第1の離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にすることを特徴とする。前処理によって、第1の離型層表面の離型性を十分且つ均一に無効化する処置をしなければ、第2の離型層を形成する際、塗布液のハジキや塗布ムラが生じ、部分的な離型効果の差が生じる。
上記水の接触角は、平均40°以下であることがより好ましく、更には平均30°以下であることが特に好ましい。尚、水の接触角は低ければ低いほど好ましいが、製造及び測定が可能であるという点から、好ましい下限値は20°程度である。
また、水の接触角の最大値と最小値との差は、更には4°以内であることが好ましい。
−水の接触角の測定方法−
前記の水の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃50%RHの環境下で、純水を第1の離型層表面に約3.1μl滴下し、15秒後の値を測定した。尚、測定は離型層表面全面にわたって15点(円筒状基体の表面に形成した離型層であれば、周方向3分割、軸方向5分割の計15点)測定し、これらから平均値、及び最大値と最小値との差を求めた。
−前処理−
次いで、前記前処理について説明する。
前記前処理は、第1の離型層表面の離型性を十分且つ均一に無効化する目的で行う処置であり、具体的には、紫外線照射による処理、熱による処理等が挙げられる。
上記紫外線照射処理を行うことにより、離型性樹脂中の離型性官能基結合の分断、或いは発生したオゾンによる酸化作用で、離型層の離型効果を短時間で均一に低下させることができる。
紫外線照射量としては、照度が1〜20mW/cm2の範囲であることが好ましく、5〜15mW/cm2の範囲であることがより好ましく、8〜10mW/cm2の範囲であることが特に好ましい。また、照射時間は上記照度等によって異なるものの、0.5〜10分の範囲が好ましく、1〜8分の範囲がより好ましく、3〜5分の範囲が特に好ましい。
尚、紫外線照射に用いるランプとしては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が挙げられ、いずれも十分且つ均一に離型効果を無効化できるが、これらの中でも、照度強度という観点から、高圧水銀ランプが好ましい。
紫外線照射を行う第1の離型層が、円筒状基体上に形成されたものである場合、該紫外線照射は円筒状基体を周方向に回転させながら行うことが好ましい。
また、上記熱処理を行うことにより、離型性樹脂中の離型性官能基が酸化、分解され、離型層の離型効果を均一に低下させることができる。
熱処理に用いる熱源としては、オーブン炉等が挙げられ、その温度は100〜600℃の範囲であることが好ましく、200〜500℃の範囲であることがより好ましく、300〜420℃の範囲であることが特に好ましい。また、加熱時間は上記温度等によって異なるものの、8〜24時間の範囲が好ましく、12〜20時間の範囲がより好ましい。
尚、第1の離型層が、基体上に形成した直後の場合と、使用によって離型効果が低下した離型層である場合とのいずれであっても、上記前処理を施すことによって離型性を十分且つ均一に無効化することができる。
−第2の離型層の形成−
上記前処理後の第2の離型層の形成は、前記第1の離型層と同様の離型性樹脂溶液を用い、同様の形成方法にて行うことができる。
<シームレス管状物の製造に用いる円筒状金型>
従来、シームレス管状物の製造に用いる円筒状金型は、樹脂組成物の塗布と加熱硬化を繰り返していくうちに離型層が劣化して離型効果が低下し、それがハジキ現象や、硬化した樹脂との密着を生じさせる原因となっていた。
しかし、本発明の多層型離型層の形成方法によって、離型効果が低下した離型層(第1の離型層)上に新たな離型層(第2の離型層)を積層し、離型性を再度付与して再生された本発明の円筒状金型は、再びシームレス管状物の製造に用いることが可能となった。また、新たな離型層(第2の離型層)は良好な離型性を有するため、ハジキ現象や、硬化した樹脂との密着が効果的に抑制され、第1の離型層の離型効果が低下する前の円筒状金型を用いて製造したシームレス管状物と比べて、遜色のない良好なシームレス管状物を得ることができる。
<シームレス管状物の製造方法>
次いで、上記本発明の円筒状金型を用いることを特徴とする、本発明のシームレス管状物の製造方法について説明する。
(耐熱性樹脂組成物)
本発明においてシームレス管状物は、前記円筒状金型の外周面に液状の耐熱性樹脂組成物を塗布することにより作製される。
上記液状の耐熱性樹脂組成物としては、特に制限されず、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、芳香族ポリアミドなど(これらの前駆体も含む)が挙げられるが、これらの中では、シームレスベルトなどの材料としての強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂が特に好ましく用いられる。したがって、本発明におけるシームレス管状物となる樹脂被膜はポリイミドを主成分とすることが好ましい。
以下、本発明における液状の耐熱性樹脂組成物として、ポリイミド樹脂被膜を作製するためのポリイミド前駆体溶液を例に挙げて説明する。
本発明で使用できるポリイミド前駆体溶液としては、カルボン酸とアミンとからなるものであれば特に制限されないが、特に下記芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分と(芳香族系ポリイミド前駆体)、を有機極性溶媒中で反応させて得られるものが好ましく用いられる。
前記芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられ、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。
前記芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる。前記有機極性溶媒は、単独で用いても、2種類以上の混合物して用いてもよい。
最終製品のポリイミドシームレス管状物は、その使用目的に合わせて、導電性が求められる場合があり、その場合、前記ポリイミド前駆体溶液には、導電剤が添加され分散されることにより、最終製品のポリイミドシームレス管状物に導電性を付与することが好ましい。
前記導電剤としては、電子伝導性系導電剤とイオン伝導性系導電剤が挙げられる。
前記電子伝導性系導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属又は合金;酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムや酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物等の金属酸化物を挙げることができる。
前記イオン伝電性導電剤としては、スルホン酸塩、アンモニア塩、及び、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の各種の界面活性剤等が挙げられる。
更に、最終製品のポリイミドシームレス管状物に導電性を付与する手段として、前記ポリイミド前駆体溶液に導電性ポリマーをブレンドする方法等が挙げられる。
前記導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基が4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートと、他の化合物(例えばスチレン)との共重合体;4級アンモニウム塩基を結合するマレイミドと、メタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー;ポリスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー等の分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー等が挙げられ、更には、電子伝導性系導電剤として、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン等を挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。
既述の導電剤または導電性ポリマー、更に界面活性剤を1種または2種以上を組み合わせ用いることによって、安定した抵抗値を得ることができる。
前記ポリイミド前駆体溶液の粘度は、5〜100Pa・sの範囲であることが好ましく、10〜20Pa・sの範囲であることがより好ましい。前記ポリイミド前駆体溶液の粘度が、5〜100Pa・sの範囲であると均一膜厚の成形に都合がよく好ましい。
(塗布工程)
前記円筒状金型の表面には、液状の耐熱性樹脂組成物を均一に塗布することが好ましい。ここで均一に塗布するとは、液状の耐熱性樹脂組成物を組成的に均一に塗布するだけでなく、膜厚も均一に塗布することをいう。
均一に塗布する方法としては特に限定はされないが、次に示す塗布方法が、効率よく液状の耐熱性樹脂組成物を実質的に均一厚さに塗布することができる点で好ましい。かかる好ましい液状の耐熱性樹脂組成物の塗布方法を、ポリイミド前駆体溶液の場合を例にとり、図を用いて説明する。
図1(A)は、本発明におけるポリイミド前駆体溶液を本発明の円筒状金型の外周面に塗布する方法を示した概略図である。一方、図1(B)は、図1(A)に記載の円筒状金型の塗布部分における断面図である。図1において、51は前記円筒状金型であり、52はプレートであり、53は容器であり、54はポリイミド前駆体溶液である。
この方法は、円筒状金型51を矢印A方向に一定の速度で回転させながら、円筒状金型51の表面に、ポリイミド前駆体溶液54を収容した容器53より一定量のポリイミド前駆体溶液を滴下し、これを円筒状金型51の表面に当接しているプレート52でならしながら塗布する方法であり、結果として、均一にならされたポリイミド前駆体溶液54が円筒状金型51の表面に塗布される。
本発明において、ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型の外周面に塗布する方法としては、この方法に限定されず、浸漬塗布等他の方法を用いてもよい。
(硬化工程)
本工程においては、例えばポリイミド樹脂被膜形成の場合、好ましくは300〜450℃の範囲、より好ましくは350℃前後で、20〜60分間、ポリイミド前駆体塗膜を加熱反応させることで、ポリイミド樹脂被膜を形成することができる。加熱反応の際、非プロトン系極性溶剤が残留しているとポリイミド樹脂被膜に膨れが生じることがあるため、加熱の最終温度に達する前には、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、加熱前に、150〜200℃の範囲の温度で、30〜60分間加熱乾燥して残留溶剤を除去し、続けて、温度を段階的、または一定速度で上昇させて、加熱してポリイミド樹脂被膜を形成することが好ましい。
本発明においては、上記加熱反応前後において生じる被膜の収縮に関し、前記樹脂被膜の塗膜に対する円筒状金型の軸方向収縮率が、6%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。上記収縮率が6%を超えると、円筒状金型の軸方向の膜厚変位が10μm以上、軸方向の体積抵抗値変位が0.5桁以上となる場合がある。
なお、上記樹脂被膜の塗膜に対する円筒状金型の軸方向収縮率とは、樹脂被膜の円筒状金型の軸方向長さをC、前記塗膜の円筒状金型の軸方向長さをDとしたとき、収縮率〔(D−C)/D〕×100で求められるものである。
(分離工程)
前記加熱反応後、円筒状金型を常温に冷却し、形成された樹脂被膜を分離する本工程を経ることで、シームレス管状物を得ることができる。本工程においては、冷却後は樹脂被膜より円筒状金型の方が収縮するので、樹脂被膜は円筒状金型から抜き取ることができる。
抜き取られた樹脂被膜は、その両端は膜厚の均一性が劣っていたり、被膜の破片が付着していたりする場合があり、その部分は不要箇所部分として切断される。本発明において上記不要箇所部分は、端部から30〜40mmの範囲であることが好ましい。
端部の不要箇所部分が切断されてシームレス管状物が得られるが、必要に応じて、穴あけ(パンチング)加工、リブ付け加工、等が施されることがある。
上記本発明のシームレス管状物の製造方法によって得られたシームレス管状物は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、定着ベルト等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例において、「部」は「質量部」を表す。
<円筒状金型の製造及びシームレス管状物の製造>
まず、下記の方法により、芯体上に1層からなる離型層を形成した。
外径366mm、長さ500mmのアルミ製芯体を用い、芯体外表面にシリコン系樹脂組成物(信越化学工業製KS700)100部に対し、n−ヘプタン400部で希釈した溶液をスプレーガン(アネスト岩田(株)製、商品名:SPRAI GUN LHP−50)で厚さ1μmに塗布し、300℃、20分で焼き付けて離型層を形成させた。離型層表面の水の接触角を下記方法にて測定したところ、平均100°であった。
−水の接触角の測定方法−
前記の水の接触角としては、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃50%RHの環境下で、純水を離型層表面に約3.1μl滴下し、15秒後の接触角を測定した。尚、測定は、金型の周方向3分割、軸方向5分割の計15点測定した。
次いで、上記金型を用いて、下記の方法により導電性ポリイミドシームレス管状物を製造したところ、連続成形20回でシームレス管状物の一部が金型に貼り付き、シームレス管状物に膜厚ムラが発生した。このときの金型離型層表面の水の接触角は平均65°、最大76°、最小52°であった。
−導電性ポリイミドシームレス管状物の製造方法−
3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製、ユーワニスS)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPEDIAL BLACK4、Degussa社製)をポリイミド系樹脂固形分100部に対して23部になるように添加し、衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して粘度150ポイズのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。
金型を100rpmで回転させ、ディスペンサーとスクレイパーを速度150mm/minで移動させながら、前記溶液を金型外周面に、厚さ0.5mmで塗布した。その後、金型を5rpmで回転させながら、120℃で30分間加熱し、常温に冷却後、300℃まで2時間加熱することにより、溶媒除去とともにイミド転化を行い、最後に常温まで冷却し、金型から導電性ポリイミドシームレス管状物を分離した。
(実施例1)
<離型層の再形成>
上記によって離型効果が低下した離型層表面に、新たな離型層を積層するにあたり、前処理として、短波長紫外線照射装置(SEN ENGINEERRING製、UB2001D−5、ランプ形式EUV200NS−7)を用いて、ランプと金型表面距離20mm、金型回転速度30rpmで5分間、金型離型層表面を照射した。尚、照射照度は8〜10mW/cm2であった。処理後、離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均29.0°、最大31.3°、最小26.9°、最大と最小の差は4.4°であった。
前処理を施した金型離型層表面に、シリコン系樹脂組成物(信越化学工業製KS700)100部に対し、n−ヘプタン400部で希釈した溶液をスプレーガン(アネスト岩田(株)製、商品名:SPRAI GUN LHP−50)で厚さ1μmに塗布し、300℃、20分で焼き付けて、新たな離型層を積層させた。新たな離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均100°であった。
<評価>
(1)離型効果の均一性
ベンコットンにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を約30g含浸させ、新たな離型層表面全面に塗布した。塗布されたNMPは新たな離型層表面全面に均一に粒径約1mmの液滴となり、離型層の塗布ムラは目視されなかった。
(2)シームレス管状物の製造及び画像形成装置への適用
この新たな離型層を積層した金型を用いて、前述の方法により導電性ポリイミドシームレス管状物を製造したところ、膜厚ムラの発生はなく、成膜性は良好であった。また、管状物の金型への貼り付きもなく、金型からの分離も容易であった。
得られた、導電性ポリイミドシームレス管状物を、画像成形装置(富士ゼロックス社製、商品名:Docu Centre Color 6550)の中間転写体として装着したところ、良好な画像が得られた。
(実施例2)
実施例1の<離型層の再形成>において、照射時間を3分とした以外、実施例1と同様にして、離型効果が低下した離型層表面に前処理を施した。処理後、離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均46.3°、最大48.8°、最小43.0°、最大と最小の差は5.8°であった。
また、前処理を施した金型離型層表面に、実施例1と同様にして、新たな離型層を積層させた。新たな離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均101.2°であった。
更に、実施例1と同様の方法で<評価>を行った。
(1)離型効果の均一性
塗布されたNMPは新たな離型層表面全面に均一に粒径約1mmの液滴となり、離型層の塗布ムラは目視されなかった。
(2)シームレス管状物の製造及び画像形成装置への適用
製造した導電性ポリイミドシームレス管状物は、膜厚ムラの発生はなく、成膜性は良好であった。また、管状物の金型への貼り付きもなく、金型からの分離も容易であった。
また、導電性ポリイミドシームレス管状物を、前記同様の画像成形装置の中間転写体として装着したところ、良好な画像が得られた。
(実施例3)
実施例1の<離型層の再形成>における前処理を、オーブン炉での熱処理に変更した。詳細には、オーブン炉内に金型を縦に静置させ、420℃、20hで空焼き処理をした。処理後、離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均30°、最大32.6°、最小28.2°、最大と最小の差は4.4°であった。
また、前処理を施した金型離型層表面に、実施例1と同様にして、新たな離型層を積層させた。新たな離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均100.8°であった。
更に、実施例1と同様の方法で<評価>を行った。
(1)離型効果の均一性
塗布されたNMPは新たな離型層表面全面に均一に粒径約1mmの液滴となり、離型層の塗布ムラは目視されなかった。
(2)シームレス管状物の製造及び画像形成装置への適用
製造した導電性ポリイミドシームレス管状物は、膜厚ムラの発生はなく、成膜性は良好であった。また、管状物の金型への貼り付きもなく、金型からの分離も容易であった。
また、導電性ポリイミドシームレス管状物を、前記同様の画像成形装置の中間転写体として装着したところ、良好な画像が得られた。
(比較例1)
実施例1の<離型層の再形成>において、前処理を行わずに、即ち水の接触角が、平均65°、最大76°、最小52°、最大と最小の差が24°である離型層表面に、実施例1と同様にして、新たな離型層を積層させた。新たな離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均92.2°であった。
また、実施例1と同様の方法で<評価>を行った。
(1)離型効果の均一性
塗布されたNMPは新たな離型層表面の大部分で粒径約1mmの液滴となったが、1〜4cm2ほどの「塗れ」或いは「液滴が発生しない」部分が存在し、均一な離型効果は得られていなかった。
(2)シームレス管状物の製造及び画像形成装置への適用
製造した導電性ポリイミドシームレス管状物には、金型に塗布したポリアミド酸溶液のハジキ現象起因の穴、膜厚ムラが発生した。
また、導電性ポリイミドシームレス管状物を、前記同様の画像成形装置の中間転写体として装着したところ、穴、膜厚ムラ発生該当部分で転写不良による白抜けが発生した。そのため、金型の再利用を断念した。
(比較例2)
実施例3の<離型層の再形成>において、空焼き時間を5hとした以外、実施例3と同様にして、離型効果が低下した離型層表面に前処理を施した。処理後、離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均46°、最大57°、最小42°、最大と最小の差は15°であった。
また、前処理を施した金型離型層表面に、実施例1と同様にして、新たな離型層を積層させた。新たな離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均98.0°であった。
また、実施例1と同様の方法で<評価>を行った。
(1)離型効果の均一性
塗布されたNMPは新たな離型層表面の大部分で粒径約1mmの液滴となったが、1〜4cm2ほどの「塗れ」或いは「液滴が発生しない」部分が存在し、水の接触角の平均が50°未満である離型層上に新たな離型層を積層したのだが、均一な離型効果は得られていなかった。
(2)シームレス管状物の製造及び画像形成装置への適用
製造した導電性ポリイミドシームレス管状物には、金型に塗布したポリアミド酸溶液のハジキ現象起因の膜厚ムラが発生した。
また、導電性ポリイミドシームレス管状物を、前記同様の画像成形装置の中間転写体として装着したところ、膜厚ムラ発生該当部分で転写不良による白抜けが発生した。そのため、金型の再利用を断念した。
(比較例3)
実施例1の<離型層の再形成>における前処理を、下記方法に変更した。
即ち、前処理として、離型性樹脂(前記シリコン系樹脂組成物(信越化学工業製KS700))の溶媒であるトルエン溶液(関東化学社製、商品名:トルエン鹿1級)に、金型を20h浸漬した。浸漬後、アセトンで金型離型層表面を十分清拭き、離型層表面の水の接触角を前述の方法にて測定したところ、平均64°、最大79°、最小54°、最大と最小の差は25°であった。
これは、上記前処理では離型層の離型性無効化処理になっていないことを意味しており、比較例1同様の結果になると考え、新たな離型層の積層、その後の評価、及び金型の再利用を断念した。
(A)は、本発明におけるポリイミド前駆体溶液を円筒状金型に塗布する方法を示した概略図である。(B)は、(A)に記載の円筒状金型の塗布部分における断面図である。
符号の説明
51 円筒状金型
52 プレート
53 容器
54 ポリイミド前駆体溶液

Claims (3)

  1. 基体表面上に先に形成された離型層の上から、更に新たな離型層を積層する多層型離型層の形成方法であって、
    前記新たな離型層を形成する際、前記先に形成された離型層表面に前処理を施して、水の接触角を平均50°以下、該水の接触角の最大値と最小値との差を6°以内にすることを特徴とする多層型離型層の形成方法。
  2. 前記先に形成された離型層が、シームレス管状物の製造に用いたことで離型効果が低下した円筒状金型の離型層であり、その上から請求項1に記載の多層型離型層の形成方法によって、新たな離型層を積層したことを特徴とする円筒状金型。
  3. 請求項2に記載の円筒状金型を用い、該円筒状金型の外周面に液状の耐熱性樹脂組成物を塗布して加熱硬化し、上記円筒状金型から分離することを特徴とするシームレス管状物の製造方法。
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