JP5794043B2 - 離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム - Google Patents
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Description
(1)少なくとも2層(かかる2層をそれぞれA層、B層という)の実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂と粒子のみからなる層が含まれる二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルムであって、A層に含まれる粒子含有量WAが0.5質量%以下であり、B層に含まれる粒子の平均粒径DBが2μm以上8μm以下であり、B層の厚さTBに対するB層に含まれる粒子の平均粒径DBの比率(DB/TB)が0.5以上、2以下である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(2)B層の中心面平均粗さ(SRa)が150nm以上、350nm以下である(1)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(3)フィルムの長手方向あるいは幅方向のいずれか一方の160℃、10分の熱収縮率が1.6%以上、3.0%以下である(1)または(2)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(4)B層に含まれる粒子が炭酸カルシウムおよびシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(5)B層に含まれる粒子の含有量WBが1質量%以上、5質量%以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(6)B層の厚さTBに対するA層の厚さTAの比率(TA/TB)が2以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(7)B層が露出する面側で離型工程が行われる(1)〜(6)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、
(8)3次元成型用である(1)〜(7)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム、である。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される繰り返し単位が採用されたものが好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと称する場合がある)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、PPSが好ましく例示される。本発明においては、上記ポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、下記構造式で示されるパラフェニレンスルフィド単位を好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上含むことが望ましい(パラフェニレンスルフィドからなるPPSをp−PPSを称する)。パラフェニレンスルフィド単位が95モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、離型用フィルムとして耐熱性、離型性などを損なう場合がある。
p−PPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
上述のようにして得られたp−PPS粉末と液体中に粒子を分散させたスラリー、あるいは粒子粉末とを混合し、該混合物をベント押出機に供給して、p−PPS中に粒子を分散させる。ここで、p−PPS粉末に対する粒子粉末の割合は、特に限定されないが、分散性観点から20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。押出機から吐出されたガット状のポリマは、常法により水浴中などで冷却後、切断してポリマ中に粒子が分散したペレット(以下粒子ペレットと称することがある)となる。
上述のようにして得られた無粒子ペレットおよび/または粒子ペレットを減圧下で乾燥した後、無粒子ペレット、無粒子ペレット/粒子ペレットを別々の押出機に投入する。押出機の温度は、溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは310〜340℃に加熱することが好ましい。その後、溶融押出装置と口金出口の間に設けられた合流装置で溶融状態で2層または3層に積層され、スリット状の口金出口からシート状に押し出される。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸複合シートを得る。
幅10mm、長さ200mmにサンプリングした試料に、約100mm間隔となるように直線を引き、その間隔の長さを万能投影機により測定し、L0(mm)とする。次に、該サンプルを2.5gの荷重下で、160℃に加熱されたギアオーブン中で、10分間保持し、その後、室温で2時間冷却した後、再び、直線の間隔を万能投影機で測定し、L(mm)とする。この測定結果から、熱収縮率=((L0−L)/L0)×100)(%)とし、フィルム長手方向および幅方向につきそれぞれn数5サンプルの平均値を採用した。なお、熱収縮率の符号が、「−(負)」の場合は伸びを示している。
小坂研究所製Surfcorder ET30HKを用い、下記条件にてB層表面の平均中心線粗さ(SRa)を求めた。
カットオフ : 0.25mm
測定長 : 0.5mm
測定間隔 : 5μm
測定回数 : 40回。
走査型電子顕微鏡の試料台に固定した測定フィルム表面を、スパッタリング装置を用いて真空度10−3Torr、電圧0.25KV、電流12.5mAの条件にて10分間、イオンエッチング処理を施す。次に、同装置にて該表面に金スパッタを施し、走査型電子顕微鏡にて10000〜30000倍の写真を撮影する。平均粒径(D)は、100個の粒子の面積円相当径(Di)を求め、下記式(式1)により求める。ここで面積円相当径(Di)は個々の二次粒子(但し、一次粒子にて分散しているときは一次粒子)の像に外接する円の直径である。
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST−201を用いて断面切断したフィルムのスライス片を透過型電子顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定した。
幅600mmで巻き取られたフィルムロール品を幅500mm×長さ900mmサイズに切り出し、フィルムおよびエポキシプリプレグを重ね合わせ、曲面形状を有した金型を設置したプレス成型機で160℃、1MPaの圧力を5分間加えたのちにサンプルを取り出して、室温中に十分冷却してから、エポキシプリプレグと離型フィルムを手で引き剥がした。離型性、皺、外観について、以下の基準で判断した。○、△が合格水準である(○が△よりも優れる)。
○:フィルムが破断することなくプリプレグから容易に剥がれた
△:フィルムが一部破断するがプリプレグから剥がれた
×:プリプレグから剥がれなかった
皺
○:プリプレグ表面にフィルム皺の転写が存在しない
×:プリプレグの製品部分にフィルム皺が転写する
外観
◎:プリプレグ表面光沢がなく、成型品表面に表面凹凸欠点が10個以下である
○:プリプレグ表面光沢がなく、成型品表面に表面凹凸欠点が20個以下である
△:プリプレグ表面光沢がなく、成型品表面に表面凹凸欠点が30個以下である
×:プリプレグ表面光沢があり、成型品表面に表面凹凸欠点が30個を超える
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4,−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cm2まで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて5時間撹拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間撹拌後、ポリマーを分離する。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で撹拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸カルシウムの1質量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド粉末を得た。
〔粒子ペレット1〕
平均粒径5μmのシリカ微粉末(富士シリシア社製サイリシア)をヘンシェルミキサを用いて(1)で得られたPPS粉末にシリカの含有量が5質量%となるように混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量5質量%の粒子ペレット1を得た。
〔粒子ペレット2〕
平均粒径1μmの炭酸カルシウム粒子をエチレングリコール中に50質量%分散させたスラリーを調製した。このスラリーをフィルタで濾過した後、ヘンシェルミキサーを用いて、(1)で得られたPPS粉末に炭酸カルシウムの含有量が7質量%となるよう混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量7質量%の粒子ペレット2を得た。
〔粒子ペレット3〕
粒子ペレット1で平均粒径5μmの炭酸カルシウムを用いる以外は粒子ペレット1と同様にして粒子ペレット3を得た。
〔無粒子ペレット〕
粒子を添加しなかった他は、上記粒子ペレットと同様にして溶融押出し、粒子を含有しない無粒子ペレットを得た。
(実施例1)
無粒子ペレットおよび粒子ペレット1をシリカ粒子が1.0質量%となるよう混合し、回転式真空乾燥機で150℃、3mmHgの減圧下で3時間処理して結晶化ペレットとした(PPS−B)。また無粒子ペレットを回転式真空乾燥機で150℃、3mmHgの減圧下で3時間処理して結晶化ペレットとした(PPS−A)。次いで、このPPS−Bを65mmφの単軸押出機(押出機−1)に、PPS−Aを90mmφ単軸押出機(押出機−2)にPPS−BとPPS−Aの吐出比がA:B=4:1になるよう供給した。該PPSの溶融温度を330℃とし、瀘過精度30μmのフィルターを通過させて、角形ブロック式合流部を経て、PPS−Bが粒子含有層であるB層に、PPS−Aが基材層であるA層となるようにし、リップ幅400mm、スリット間隙1.5mmのステンレス製Tダイから吐出させ、表面を30℃に保った金属ドラム上で静電荷を印加させながら密着冷却固化して、A/Bの2層複合非晶シ−トとした。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子を平均粒径が3μmのものとした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子を平均粒径が2μmのものとした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いたPPS−Aで、粒子ペレット2の炭酸カルシウム粒子を0.5質量%となるよう供給する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子の含有量を3.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子の含有量を5.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
得られた二軸配向PPS複合フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向複合PPSフィルムは、皺、外観、離型性に優れたものであった。
実施例1でPPS−AとPPS−Bの吐出比が4:1になるよう供給し、A層/B層の厚み構成を20μm/5μmとする以外は実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1でPPS−AとPPS−Bの吐出比が3:2になるよう供給し、A層/B層の厚み構成を15μm/10μmとする以外は実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いたPPS―Bで、粒子ペレット3の炭酸カルシウムを1質量%となるよう供給する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で2段目熱処理温度を230℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で2段目熱処理温度を265℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子の含有量を7.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子の含有量を0.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に3.2倍、横方向に3.4倍とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
得られた二軸配向PPS複合フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPS複合フィルムは外観、離型性に優れたものであったが、製品部分に皺が発生した。
実施例1でPPS−AとPPS−B吐出比がA:B=24:1になるよう供給し、A/Bの厚み構成を24μm/1μmとする以外は実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で、無粒子ペレットおよび粒子ペレット1をシリカ粒子が1.0質量%となるよう混合し、回転式真空乾燥機で150℃、3mmHgの減圧下で3時間処理して結晶化ペレットとし、65mmφの単軸押出機(押出機−1)に供給して単膜とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1でPPS−AとPPS−B吐出比がA:B=49:1になるよう供給し、A/Bの厚み構成を24.5μm/0.5μmとする以外は実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1のシリカ粒子を平均粒径が10μmのものとした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
比較例2で、延伸倍率を縦方向に3.2倍、横方向に3.4倍とした以外は、比較例2と同様にして二軸配向PPS複合フィルムを作製した。
得られた二軸配向PPS複合フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この二軸配向PPS複合フィルムは、外観に優れたものであったが、製品部分に皺が発生し、プリプレグからの剥離の際、密着部分が発生した。
Claims (7)
- 少なくとも2層(かかる2層をそれぞれA層、B層という)の実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂と粒子のみからなる層が含まれる二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルムであって、A層に含まれる粒子含有量WAが0.5質量%以下であり、B層に含まれる粒子含有量WBが1質量%以上、5質量%以下であり、B層に含まれる粒子の平均粒径DBが4μm以上7μm以下であり、B層の厚さTBに対するB層に含まれる粒子の平均粒径DBの比率(DB/TB)が0.5以上、2以下である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- B層の中心面平均粗さ(SRa)が150nm以上、350nm以下である請求項1に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- フィルムの長手方向あるいは幅方向のいずれか一方の160℃、10分の熱収縮率が1.6%以上、3.0%以下である請求項1または2に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- B層に含まれる粒子が炭酸カルシウムおよびシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- B層の厚さTBに対するA層の厚さTAの比率(TA/TB)が2以上である請求項1〜4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- B層が露出する面側で離型工程が行われる請求項1〜5のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
- 3次元成型用である請求項1〜6のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィド複合フィルム。
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