JP2014152240A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 離型性と作業性に優れた離型フィルムを提供する。
【解決手段】
熱可塑性樹脂からなり、直交する2方向の引張弾性率がともに2GPa以上であって、フィルムの少なくとも片面において次の(1)、(2)をともに満足する離型フィルム。
(1):スキューネスSskが 0≦Ssk≦0.7
(2):ナノインデンテーション法で測定した深度10nmにおける硬度Hが 4≦H≦25
ここで、Sskは、(式1)で表されるパラメータであり、(式1)中、Sqは離型フィルム表面について測定した表面形状曲線をZ(x,y)とし、測定面積をAとしたとき、(式2)で表されるパラメータである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金型を用いた樹脂成形の際に有用な離型フィルムに関する。
樹脂成形において金型による加熱プレスがおこなわれる際、加熱プレス後の成形体を金型から外し易くすること、金型の汚れを防止すること等を目的として、耐熱性の高い離型フィルムが用いられる。
従来、優れた耐熱性を有する離型フィルムとしては、フッ素系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、フィルム表面に離型層(例えば熱硬化型シリコーンなど)を積層、あるいはコーティングしたポリエステルフィルムなどが用いられてきた。しかし、フッ素系フィルムは離型性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、燃焼時に有毒ガスを発生するという問題点があった。ポリメチルペンテンフィルムは軟化温度が低いために成形途中でフィルムに皺が入りやすく、取扱い性が悪いという問題点があった。シリコーン系の離型層を設けたポリエステルフィルムは、シリコーン由来の成分が成形体の表面に転写することで製品の品質を損なうおそれがあり、また、使用後のフィルムを回収再利用した場合に、シリコーンが異物欠点となり、フィルムの品位を悪化させるおそれがあった。
一方で、フィルム表面の凹凸形状を制御することで、ポリエステルフィルムの離型性を向上させる例が報告されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1のポリエステルフィルムは、離型性を向上させるためにシリコーン離型剤を塗布するなどの離型処理を併用することが必要であった。さらに、特許文献1に記載の離型フィルムは、未延伸のポリエステルフィルムであるために、加熱プレスの過程で非晶部位の結晶化が急速に進行し、その結果、フィルムが脆化して離型時にフィルムの割れや破れが生じるといった問題点があった。また、フィルムの脆化が起きにくい二軸延伸ポリエステルフィルムに対して特許文献1に記載の表面凹凸形状を付与しても、やはり離型剤の塗布なしに所望とする離型性を得ることはできなかった。
特開2009−90647号公報
本発明の目的は、耐熱性が高く、取扱い性と離型性がともに優れた離型フィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明の離型フィルムは主として次の構成を有する。すなわち、
(I)熱可塑性樹脂からなり、直交する2方向の引張弾性率がともに2GPa以上であって、フィルムの少なくとも片面において次の(1)、(2)をともに満足する離型フィルム、
(1):スキューネスSskが 0≦Ssk≦0.7
(2):ナノインデンテーション法で測定した深度10nmにおける硬度Hが 4≦H≦25
(II)(I)に記載のフィルムの前記(1)、(2)を共に満たす面の中心面山高さSRpと,中心面谷深さSRvとが下記式を満たすことを特徴とする(I)に記載の離型フィルム、
0.5≦(SRp/SRv)≦2
(III)(I)に記載のフィルムの前記(1)、(2)を共に満たす面のクルトシスSkuが1≦Sku≦6であることを特徴とする(I)または(II)に記載の離型フィルム。
(IV)熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載の離型フィルム、
である。
本発明によれば、耐熱性が高く、取扱い性と離型性がともに優れた離型フィルムを得ることができ、加熱プレスを伴う熱硬化性樹脂の賦形に使用した場合であっても、フィルム破れや劈開等を生じることなく離型フィルムを剥離できて、熱硬化性樹脂成形体を効率よく得ることができる。
以下、本発明について説明する。
本発明の離型フィルムに用いる熱可塑性樹脂は、結晶性が高く、溶融押出による延伸製膜加工が可能なものであれば特に限定されないが、具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンオキシド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
上記例示した熱可塑性樹脂のうち、延伸加工適性に優れているとの理由から、ポリエステル系樹脂およびポリアリーレンスルフィド樹脂が特に好ましく使用される。
ここで、ポリエステル系樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができ、さらにこれらの共重合体であってもよい。これらポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがフィルムとしての特性が良好で好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートが一番好ましい。ポリエチレンテレフタレートは共重合成分を含んでいても構わないが、ポリエステル構成単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることが好ましい。
これらポリエステルの共重合成分としてジカルボン酸成分、グリコール成分、多官能成分を挙げることができ、例えばジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらのアルキルエステルなどの芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸、およびこれらのアルキルエステルなどの脂肪族ジカルボン酸成分、1,4シクロヘキサンジカルボン酸およびこれアルキルエステルなどの脂環族ジカルボン酸成分を挙げることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、イソソルベート等をあげることができる。また多官能成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸成分、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールを挙げることができる。さらにpヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を共重合成分として用いても良い。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂とは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(L)などで表される繰り返し単位などがあるが、なかでも式(A)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
Figure 2014152240
(ただし、式中のR1,R2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(M)〜式(P)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 2014152240
また、本発明に用いるポリアリーレンスルフィドは上記繰り返し単位を有するランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらポリアリーレンスルフィドの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、ポリマーの主要構成単位として下記式(Q)で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%、さらに好ましくは95モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)が挙げられる。かかるp−フェニレンスルフィド単位が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、ポリアリーレンスルフィドフィルムの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性などを損なうことがある。
Figure 2014152240
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、本発明の特性を阻害しない範囲であれば、異種ポリマーや酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの添加剤、有機または無機の粒子などを含有させることができる。かかる粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カオリン、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、金属などの無機粒子や、ポリテトラフルオロエチレン粒子、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子のような有機粒子があげられる。
特に炭酸カルシウム、シリカなどの無機粒子は、熱可塑性樹脂中に添加し、延伸を伴う製膜工程を経ることにより離型フィルムの表面に微細な突起を形成させることができるため、意匠性の高い離型フィルムを得る場合に好適に用いることができる。
粒子の形状は特に制限されず、球状、直方体状、単分散状、凝集状などの粒子を用いることができる。これらの粒子は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。粒子の添加量は、フィルム全体に対して10重量%未満であることが、熱可塑性樹脂の延伸加工性を損なわないために好ましく、また、フィルム表面からの粒子の脱落を抑制して離型性の悪化を抑制するためにも好ましい。
本発明の離型フィルムは、直交する2方向の室温における引張弾性率がともに2GPa以上であることが重要である。より好ましくは2.5GPa以上であり、さらに好ましくは3GPa以上である。引張弾性率が2GPaより小さいと、ポリマー分子鎖の面内配向が不十分であるために、離型フィルムとして加熱プレスの工程を経る間にポリマーの結晶化が進行し、フィルムが脆化して、離型の際に劈開や破れが発生する場合がある。また、成形前の予熱時に離型フィルムが著しく軟化し、シワが発生して作業性が悪化する場合がある。引張弾性率の上限としては、直交する2方向ともに8GPa以下であることが好ましく、より好ましくは6GPa以下である。8GPaを超えると、フィルムの剛性が高すぎることにより、離型フィルムの位置決めを目的として成形金型に付与されるわずかな段差形状に対して追従変形ができなくなり、所望とする形状の成形体が得られない場合がある。
本発明の離型フィルムは、少なくとも一方の表面のスキューネスSskが、0以上0.7以下であることが離型性向上の観点から重要である(便宜的に表面物性(1)と言う)。より好ましくは0.05以上0.65以下、さらに好ましくは0.1以上、0.6以下である。Sskが0より小さいと、離型フィルムと成形体との間のエア抜けが悪くなることでシワが発生し、成形体の外観を損ねることがある。一方、Sskが0.7を超えると、表面突起が成形体に食い込む投錨効果によって離型性が悪化することがある。
ここで、Sskとは平均面を中心とした時の高さ分布の偏り度を表すパラメータであり、下記(式1)で定義される。
Figure 2014152240
式1中のSqは、統計学での標準偏差を表すパラメータであり、平均面をxy面、縦方向をZ軸とし、測定された表面形状曲線をZ(x,y)とし、測定面積をAとする時、下記(式2)で定義される値である。
Figure 2014152240
かかるSskの値を達成するための方法としては、例えば、後述するようにフィルム表面に対してラビング処理を施すことなどが挙げられる。
本発明の離型フィルムは、少なくとも一方の表面の表面突起の尖度を示すクルトシスSkuが、1以上6以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以上5.5以下である。Skuが1より小さいと、離型フィルムと成形体との間のエア抜けが悪くなることでシワが発生し、成形体の外観を損ねることがある。一方、Skuが6を超えると、突起が成形体に食い込む投錨効果によって離型性が悪化することがある。
ここで、Skuとは表面の鋭さの尺度であり、下記(式3)で定義される。
Figure 2014152240
本発明の離型フィルムは、少なくとも一方の表面の、中心面山高さSRpと中心面谷深さSRv(深さとしての距離を表す正の値)とが、0.5≦(SRp/SRv)≦2の関係にあることが好ましく、より好ましくは0.75≦(SRp/SRv)≦1.5である。SRp/SRvの値が0.5より小さい場合や、2より大きい場合には、表面の突起が成形体に食い込む投錨効果によって離型性が悪化することがある。
本発明の離型フィルムは、ナノインデンテーション法で測定した、表面からの深度10nmにおける硬度が4GPa以上25GPa以下であることが離型性向上の観点から重要である(便宜的に表面物性(2)という)。より好ましくは4.2GPa以上、20GPa以下、さらに好ましくは4.5GPa以上17GPa以下である。該硬度が4GPa未満の場合、離型フィルムが成形体と強く密着し、離型性が不十分となる場合がある。一方、該硬度が25GPaを超える場合、フィルムの剛性が高すぎることにより、離型フィルムの位置決めを目的として成形金型に付与されるわずかな段差形状に対して追従変形ができなくなり、所望とする形状の成形体が得られない場合がある。
ここで、ナノインデンテーション法とは、圧子の押し込み荷重と深さを連続的に測定し、押し込み深さと荷重の曲線から硬さやヤング率を算出する方法である。押し込み負荷/除荷試験を行い、荷重−押し込み深さ線図を取得した時、最大荷重Pmaxにおける硬さHは下記式より算出される。
H=Pmax/A
上記式中のAは圧痕の投影面積であり、荷重‐押しこみ深さ線図から算出される有効接触深さを用いて算出される値である。
本発明の離型フィルムは、フィルムの少なくとも片面が前記の表面物性(1)および表面物性(2)をともに満足することが重要である。これら表面物性(1)、(2)を満足する面が離型面として好適に用いられ、その反対側の面の表面物性は特に限定されない。そのため、用途によっては、その両面でフィラー等の添加濃度が異なっていても良く、また、表面物性(1)、(2)を満足する面とは反対側の面に樹脂構成が異なるフィルムが積層されることもできる。
表面物性(1)および(2)をともに満足するフィルム表面は、例えば、フィルム表面に対してラビング処理を施すことなどによって得ることができる。
ラビング処理とは、布を用いてフィルムの表面を物理的に摩擦することをいい、例えば、既知のラビング装置を用いることができる。ラビングの条件の目安としては、下記式Mで表されるラビング密度(mm)が300mm以上となるような条件でラビングすることが好ましく、より好ましくは500mm以上、さらに好ましくは700mm以上である。ラビング密度が300mmに満たない場合、ラビング処理の効果が小さいことにより、前記の表面物性が満足できない場合がある。
M = NL(2πRn/60V±1)
上記式中のNはラビングの回数であり、Lはフィルム表面に触れているラビング布の長さ(mm)であり、Rはラビング布厚みを含めたラビングローラーの半径(mm)であり、nはラビングローラーの回転数(rpm)であり、Vはフィルムの移動速度(mm/s)である。式M中の+、−の符号は、ラビングローラーをフィルムの移動方向に逆らう方向に回転させる場合には+とし、同じ方向に回転させる場合には−として計算する。ラビング布の素材としては酢酸セルロース、綿、レーヨン、ポリアミド、アクリル、アラミドなどが好適に用いられる。ラビング布の形態としては、不織布、パイル織り、ベルベット織りが好ましい。ラビング処理を行う際のフィルム表面の温度は、フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとした場合、フィルム表面の温度が(Tg+5)〜(Tg+120)℃の温度になるように予め加熱した状態でラビング処理を行うことがラビングの効果を高めるために好ましい。また、フィルムへの塵埃等の付着を防止する観点から、ラビング処理後に除電気による除電を行うことが好ましい。
本発明の離型フィルムの厚みは、特に限定されないが、離型フィルムとして使用する際の作業性の観点から1〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは、3〜250μmの範囲、さらに好ましくは5〜100μmの範囲である。
本発明の離型フィルムは、金型を用いて加熱プレス成形される際の離型フィルムとして好適に用いることができる。例えば、プリント基板、ICチップ(ウエハーモールド)、セラミックス電子部品、熱硬化性樹脂製品、化粧板等を製造する時、金属板同士や樹脂同士が接着してしまわないように、成形工程時に該金属板同士の間や樹脂同士の間に挟み込まれ、特に積層板製造時、フレキシブルプリント基板製造時、半導体封止用エポキシ樹脂組成物の成形時、繊維強化複合材料製造時、スポーツ・レジャー用品製造時に好適に用いられるフィルムである。積層板製造時に用いられる離型フィルムとは、具体的には、例えば、多層プリント基板を製造する際のプレス成形において、プリント基板とセパレータープレートまたは他のプリント基板との間の接着を防止するために間に存在させるフィルムをいう。また、フレキシブルプリント基板製造時に用いられる離型フィルムとは、具体的には、例えば、電気製品における可動部分に組み込まれている変形可能なフレキシブルプリント基板の製造時、ベースフィルム上にエッチング等により形成された電気回路を保護するためのカバー樹脂を加熱プレスする際、このカバー樹脂を回路の凹凸部に密着させるためにカバー樹脂を包むように用いられるフィルムをいう。半導体封止用エポキシ樹脂組成物の成形時に用いられる離型フィルムとは、具体的には、例えば、エポキシ樹脂材料のパウダーまたはタブレットを、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等の既知の成形方法で硬化成形する際、金型とエポキシ樹脂との密着を防止するために間に存在させるフィルムをいう。繊維強化複合材料製造時に用いられる離型フィルムとは、具体的には、例えば、マトリックス樹脂にエポキシ樹脂を用いた炭素繊維プリプレグを硬化成形させて種々の製品を製造する際、金型とエポキシ樹脂との密着を防止するために用いられるフィルムをいう。スポーツ・レジャー用品製造時に用いられる離型フィルムとは、具体的には、例えば、釣り竿、ゴルフクラブのシャフト、ウィンドサーフィンポール等の製造において、円筒状に巻かれた炭素繊維プリプレグをオートクレーブ中で硬化させる際、型との密着を防止するために用いられるフィルムである。
本発明は、強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させてなるプリプレグをプレス成形金型で成形する際、金型とプリプレグとの接着を防ぐために特に好適に用いられる。好適に用いられるプリプレグの構成としては、強化繊維として炭素繊維、ガラスクロス、アラミド繊維などの高強度繊維をあげることができ、含浸せしめるマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱硬化性樹脂をあげることができ、中でもエポキシ樹脂が好ましい。
次に、本発明の離型フィルムを製造する方法について、熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィドを用いた場合を例にとって説明するが、本発明ではこれに限定して解釈されない。
(1)ポリフェニレンスルフィドの重合方法
硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。
重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られた粉末ポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであるので、安定した延伸製膜が可能になる。
(2)粒子分散ペレットの製法
上述のようにして得られたポリフェニレンスルフィド粉末と液体中に粒子を分散させたスラリーとを混合し、該混合物をベント押出機に供給して溶融混練と同時に該液体を除去し、ポリフェニレンスルフィド中に粒子を分散させる。好ましい分散方法は、まず粒子を沸点が90〜290℃の液体中に微分散させスラリーとする(以下粒子スラリーと称することがある)。ここで必要に応じて瀘過やデカンター等により、粗大粒子や微小粒子を除去することは好ましい。該粒子の平均粒径は粒子スラリー中においても0.5〜3.0μmの範囲が好ましく、かつ、スラリー中の粒子濃度は2次凝集を防ぐ観点から粒子スラリー全体の重量に対して80重量%以下が好ましい。該液体は、例えば水、エチレングリコール、トリエチレングリコール、NMP、ジフェニルエーテルなどが挙げられるが、該液体の沸点以上でポリフェニレンスルフィドを溶解しない水、エチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。
次いで、上述の粒子スラリ−をポリフェニレンスルフィド粉末に混合後、ベント孔を有する押出機に供給する方法、またはポリフェニレンスルフィド粉末を、ベント孔を有する押出機に供給し、該ポリマーが溶融前または/および溶融中に該粒子スラリーを強制的に注入する方法等により、粒子スラリーが溶融状態のポリフェニレンスルフィドに混練されると同時にベント孔より該液体成分を除去することにより、ポリフェニレンスルフィド中に粒子を分散させる。ここで、ポリフェニレンスルフィド粉末に対する該液体成分の割合は、分散性、液体成分の除去効率の点から30重量%以下が好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。押出機から吐出されたガット状のポリマーは、常法により水浴中などで冷却後、切断してポリマー中に粒子が分散したペレット(以下粒子ペレットと称することがある)となる。
また、(1)で得たポリフェニレンスルフィド粉末のみをペレット化し(以下、かかるペレットを無粒子ペレットと称することがある)、フィルム製造の際に上記粒子ペレットと混合して使用することができる。
(3)二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造
上述のようにして得られた粒子ペレットおよび/または無粒子ペレットを減圧下で乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは310〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内に通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このフィルター部分や口金の設定温度は、押出機の溶融部の温度より3〜20℃高い温度にすることが好ましく、より好ましくは5〜15℃高い温度にする。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、またはそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いた例で説明する。
未延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを加熱ロール群で加熱した後、長手方向(MD方向)に2.5〜4.5倍、好ましくは3.0〜4.0倍、さらに好ましくは3.1〜3.4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸倍率が2.5倍未満の場合、続く熱処理の過程でフィルムの平面性が著しく悪化する場合がある。延伸温度は70〜130℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向(TD方向)の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度は70〜130℃が好ましく、より好ましくは80〜110℃である。延伸倍率は2.5〜4.5倍、好ましくは3.0〜4.0倍、さらに好ましくは3.1〜3.8倍の範囲である。
次に、この二軸延伸フィルムを緊張下で熱処理する。熱処理温度は160〜280℃の範囲が好ましく、1段もしくは2段以上の多段で行う。この際、該熱処理温度でフィルム幅方向に0〜10%の範囲で弛緩処理することが熱的寸法安定性の点で好ましい。2段の熱処理を行う場合、1段目の熱処理温度を160〜220℃の範囲とし、2段目の熱処理温度を230〜280℃の範囲で1段目の温度よりも高い温度とすることが、フィルムの平面性向上や安定した製膜のために好ましい。熱処理後はフィルムを室温まで冷却する。
(4)ラビング処理
上述のようにして得られた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを、ラビング装置を使用してラビング処理する。ラビング装置は公知のものを用いても良い。その概要は、前記フィルムに対してラビング布を巻き着けたローラーを押し付け、ローラーを回転させながら相対的に移動させることにより行われる。ローラーの回転方向は巻き着けられたラビング布の植毛方向の順目方向が好ましく、フィルムの移動方向に逆らう方向に回転させることが好ましい。ラビングの強さはフィルム表面に触れているラビング布の長さやローラーの回転数、フィルムの移動速度、フィルム表面の温度などによって適宜変更できる。また、フィルムへの塵埃等の付着を防止する観点から、ラビング後に除電器による除電を行うことが好ましい。フィルムの表面温度を変える場合、卓上型のラビング装置であれば、ホットプレートをステージ上に取り付け、フィルムを下面から加熱することによって行うことができる。また、ロール状のフィルムを連続的にラビング処理する場合には、連続するロール群にてフィルムを予め加熱し、その後、ラビング布を巻き付けたローラーを回転させながら走行するフィルムに接触させることによって行うことができる。以上のようにして得られたポリフェニレンスルフィドフィルムは、離型フィルムとして好適に用いることができる。
物性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)表面形状パラメータ(Ssk、Sq、Sku、SRp、SRv)
小坂研究所(株)製の微細形状測定機(SURF CORDER ET 4000A)を用いて測定した。
測定装置:小坂研究所(株)製 SURF CORDER ET 4000A
触針形状:0.5μmR(円錐形)
カットオフ:0.25mm
フィルタ:位相補償フィルタ(ガウシアンフィルタ)
X測定長さ:1mm
Y方向長さ:0.5mm
測定間隔:5μm
測定速度:0.1mm/sec
測定回数:80回。
なお、同じサンプルについて同様の測定を任意に場所を変えて5回行い、得られた5つの値(各々80回の測定の平均値)の平均値を用いた。
(2)ナノインデンテーション硬度
MTSシステムズ社製の超微小硬度計「Nano Indenter DCM」を用いてナノインデンテーション法によって測定をおこなった。ダイヤモンド製正三角錐圧子を用いて押し込み負荷/除荷試験を行い、荷重−押し込み深さ線図を取得した。この時、最大荷重Pmaxにおける硬さHは下記式より算出される。
H=Pmax/A (GPa)
上記式中のAは圧痕の投影面積であり、荷重‐押しこみ深さ線図から算出される有効接触深さを用いて算出される値である。測定は下記条件で10回行い、押し込み深さ10nmのときの硬度の平均値を求めた。
測定装置:MTSシステムズ社製 超微小硬度計 Nano Indenter DCM
測定方法:ナノインデンテーション法(連続剛性測定法)
使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子
最大押し込み深さ:約3μm
測定雰囲気:25℃・大気中。
(3)引張弾性率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて下記条件にて測定した。フィルムの任意の方向(A方向)およびA方向に直交する方向(B方向)について、それぞれサンプルを変更して10回測定を行い、その平均値を求めた。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:25℃、65%RH。
(4)フィルム厚み
ダイヤルゲージ厚み計(ミツトヨ社製)を用いて10点測定し、平均値を求めた。
(5)ガラス転移温度
JIS K7121−1987に準じて測定した。示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上350℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。なお、ガラス転移温度Tgは下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2。
(6)金型成形テストによる離型評価
29cm×29cmサイズに切り出した炭素繊維とエポキシ樹脂からなるプリプレグ(東レ製,品番:3252S−15)を5枚重ねにし、30cm×30cmサイズに切り出した2枚の試料フィルムで挟んだ。この際、ラビング処理した面がプリプレグと接するように積層した。金型温度を180℃に調整したプレス成形機(平板金型)で5MPaの圧力を10分間加えたのち、積層体を取り出して、室温中で十分冷却してから、プリプレグと試料フィルムとを手で引き剥がした。剥離の際の離型性および、評価時の離型フィルムの取扱い性ついて、以下の基準で判断した。Cが不合格である。
離型性
A:一定の力で容易に剥離することができた
B:剥離の途中で抵抗が増加する部分があったものの、破れることなく剥離できた
C:強く密着し、剥離しようとするとフィルムが破れた。
取扱い性
A:シワや割れが発生せず、取扱い性が良好であった
B:エッジ部にわずかなシワが発生するものの、作業性に問題はなかった
C:エッジ部にシワが発生し、剥離時にフィルムが割れて剥離作業が困難であった。
<PPS粉末(PPS−1)の作製>
オートクレーブに、47%水硫化ナトリウム9.44kg(80モル)、96%水酸化ナトリウム3.43kg(82.4モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13.0kg(131モル)、酢酸ナトリウム2.86kg(34.9モル)、及びイオン交換水12kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら235℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水17.0kgおよびNMP0.3kg(3.23モル)を留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)11.5kg(78.4モル)、1,2,4−トリクロロベンゼン 0.007kg(0.04モル)、NMP22.2kg(223モル)を追添加し、反応容器を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温した。270℃で30分経過後、水1.11kg(61.6モル)を10分かけて系内に注入し、270℃で更に反応を100分間継続した。その後、水1.60kg(88.8モル)を系内に再度注入し、240℃まで冷却した後、210℃まで 0.4℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急冷した。内容物を取り出し、32リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別した。得られた粒子を再度NMP38リットルで85℃で洗浄した。その後67リットルの温水で5回洗浄、濾別し、0.05重量%酢酸カルシウム水溶液70,000gで5回洗浄、濾別し、PPSポリマー粒子を得た。これを、60℃で熱風乾燥し、120℃で20時間減圧乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド粉末を得た。得られた粉末のTgは92℃であった。
<PPS無粒子ペレット(PPS−2)の作製>
前記PPS−1を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルターに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、ポリフェニレンスルフィドの無粒子ペレットを得た。
<炭酸カルシウム粒子ペレット(PPS−3)の作製>
平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粒子をエチレングリコール中に50重量%分散させたスラリーを調製した。このスラリーをフィルターで濾過した後、ヘンシェルミキサーを用いて前記のPPS−1に混合した。この際、PPS−1に対して炭酸カルシウムの重量が20重量%となるよう混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルターに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量20重量%の粒子ペレットを得た。
(実施例1)
上記で得られたPPS−2とPPS−3を原料とし、炭酸カルシウムの含有量がポリフェニレン樹脂の重量に対して0.5重量%となるように両者を混合した後、回転式真空乾燥機を用いて、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。得られた乾燥チップを、溶融部が310℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、予熱後、ロールの周速差を利用して、101℃のフィルム温度でフィルムの縦方向に3.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.7倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で10秒間熱処理を行った。熱処理の間、フィルム幅方向に5%の弛緩処理を施した。フィルムを室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ38μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
作製したフィルムの片面を、ホットステージを取り付けたニュートム社製のラビング装置を用いて均一にラビングした。ステージの温度は25℃に設定し、ラビング布はレーヨン製のパイル布を用い、下記式Mで表されるラビング密度が1000mmになる条件、すなわち、フィルム表面に触れているラビング布の長さLを10mm、ラビング布厚みを含めたラビングローラーの半径Rを25mm、ラビングローラーの回転数nを720rpm、フィルムの移動速度Vを120mm/sに設定し、ラビングローラーをフィルムの移動方向に逆らう方向に回転させながら6回ラビングを行った。
M = NL(2πRn/60V±1)
ラビングした面の表面物性、およびフィルム全体の引張弾性率を測定すると表1の通りであった。こうして得られた離型フィルムを用いて離型評価を行ったところ、表1に示す通り優れた離型性と取扱い性を示した。
(実施例2)
実施例1で、PPS−3を混合せずにPPS−2のみを原料とし、製膜時の延伸倍率を縦方向に3.0倍、幅方向に2.8倍とした以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。離型評価の結果は表1の通りであり、一部シワが発生したものの、優れた離型性と取扱い性を示した。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.65dl/g)樹脂(Tg75℃)に平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粒子を5%含有させてチップ化し、それを原料として実施例1と同様の方法で溶融押出による延伸製膜を実施した。その際、押出温度を285℃、延伸温度を85℃、熱処理温度を220℃に変更した。
ラビング処理は、ステージの温度を120℃に変更した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られた離型フィルムは、離型評価の結果、表1に示す通り良好な離型性と取扱い性を示した。
(実施例4)
実施例1で、PPS−3の炭酸カルシウムの代わりに平均粒径4μmのシリカ粒子を5重量%含有したシリカ粒子ペレット(PPS−4)を作製し、PPS−4を原料として実施例1と同様の方法で溶融押出による延伸製膜を実施した。ラビング処理は、ステージの温度を180℃に変更した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られた離型フィルムは、離型評価の結果、表1に示す通り優れた離型性と取扱い性を示した。
(実施例5)
実施例3で、粒子を含まないポリエチレンテレフタレート樹脂チップを原料とし、延伸時の倍率を縦方向、幅方向ともに4.0倍としたこと以外は、実施例3と同様にして離型フィルムを作製した。得られた離型フィルムは、離型評価の結果、表1に示す通り優れた離型性と取扱い性を示した。
(実施例6)
実施例1で、PPS−3の炭酸カルシウムの代わりに平均粒径8μmのシリカ粒子を5重量%含有したシリカ粒子ペレット(PPS−5)を作製して原料に用い、延伸時の倍率を縦方向、幅方向ともに3.0倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法で溶融押出による延伸製膜を実施した。ラビング処理は、ステージの温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にして行った。こうして得られた離型フィルムは、離型評価の結果、表1に示す通り良好な離型性と取扱い性を示した。
(比較例1)
実施例1で、フィルムにラビング処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作製した。フィルム物性と離型評価の結果は表1の通りであり、フィルムは強く密着して剥離できなかった。
(比較例2)
実施例3で、フィルムにラビング処理を施さなかった以外は、実施例3と同様にして離型フィルムを作製した。フィルム物性と離型評価の結果は表1の通りであり、フィルムは強く密着して剥離できなかった。
(比較例3)
実施例4で、フィルムにラビング処理を施さなかった以外は、実施例4と同様にして離型フィルムを作製した。フィルム物性と離型評価の結果は表1の通りであり、フィルムは強く密着して剥離できなかった。
(比較例4)
実施例5で、溶融押出時の押出樹脂量やキャストドラムの速度を調節して厚み50μmの未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作製し、その表面にラビング処理を施した。ラビング処理はステージ温度を25℃に設定して行った。得られたフィルムを用いて離型評価を行った結果、フィルムは強く密着して剥離できず、シワや剥離時の割れが発生して取扱い性が悪かった。
(比較例5)
比較例4で、ラビング処理時のステージ温度を90℃に変更した以外は比較例4と同様にしてラビング処理を行った。得られたフィルムは離型評価において良好な離型性を示したものの、シワや剥離時の割れが発生して取扱い性が悪かった。
(比較例6)
実施例2で、ラビング処理を行わず、代わりに、Sskの値が表1に示す値になるよう、エンボスロールを用いたエンボス加工を施した以外は、実施例2と同様にして離型フィルムを作製した。フィルム物性と離型評価の結果は表1の通りであり、フィルムは強く密着して剥離できなかった。
(比較例7)
実施例4で、ラビング処理を行わず、代わりに、Sskの値が表1に示す値になるよう、エンボスロールを用いたエンボス加工を施した以外は、実施例4と同様にして離型フィルムを作製した。フィルム物性と離型評価の結果は表1の通りであり、フィルムは強く密着して剥離できなかった。
本発明の離型フィルムは、炭素繊維−エポキシ樹脂プリプレグの成型などの成型加工工程において、金型からの離型をスムーズに行うための離型フィルムとして用いることができる。
Figure 2014152240

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂からなり、直交する2方向の引張弾性率がともに2GPa以上であって、フィルムの少なくとも片面において次の(1)、(2)をともに満足する離型フィルム。
    (1):スキューネスSskが 0≦Ssk≦0.7
    (2):ナノインデンテーション法で測定した深度10nmにおける硬度Hが 4≦H≦25(GPa)
    ここで、Sskは、(式1)で表されるパラメータであり、(式1)中、Sqは離型フィルム表面について測定した表面形状曲線をZ(x,y)とし、測定面積をAとしたとき、(式2)で表されるパラメータである。
    Figure 2014152240
    Figure 2014152240
  2. 請求項1記載のフィルムの前記(1)、(2)を共に満たす面の中心面山高さSRpと,中心面谷深さSRvとが下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
    0.5≦(SRp/SRv)≦2
  3. 請求項1記載のフィルムの前記(1)、(2)を共に満たす面のクルトシスSkuが1≦Sku≦6であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の離型フィルム。ここで、Skuは、(式3)で表されるパラメータである。
    Figure 2014152240
  4. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂またはポリアリーレンスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
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