JP5363176B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は離型フィルムに関する。さらに詳しくは、耐熱性、成形性、離型性を同時に備えた離型フィルムに関する。
表示材、建材、自動車部品、電子部品などで使用される、樹脂、金属、木材等を原料とする素材からなる部材の表面保護および/または加飾用には、各種のプラスチックフィルムが用いられている。かかる部材は、一般に様々な形状をしており、そのため表面保護および/または加飾用に用いられるプラスチックフィルムとしては、部材の形状に追随できるように、成形性を有する必要がある。このような成形性を有するプラスチックフィルムの代表的なものとして、ポリ塩化ビニルフィルムがあるが、かかるフィルムは、燃焼した際にダイオキシン等の有毒物質が発生する等の問題がある。また、耐熱性が低く、成形加工時に金型に張り付いてしまう等の問題がある。そこで、かかる問題を解決すべく、例えば特許文献1のようなフィルムが提案されている。
特開2004−122669号公報
上記特許文献1に開示されているフィルムは、耐熱性および成形性に優れ、また比較的融点も高いため、上述のような成形用途、とりわけ成形同時加飾用途に好適に用いられるものである。しかしながら、近年においては、成形部材のさらなる生産性向上の要求があり、上記特許文献1に開示されているフィルムでは不足の場合がある。
本発明は、上記要求を十分に満足すべく、耐熱性、成形性、離型性を同時に備えた離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、それぞれ特定の融点を有するポリエステル樹脂(I)およびポリエステル樹脂(II)を構成成分とする組成物からなり、特定の配向の態様を有する基材フィルムに、特定の離型層を設けた離型フィルムが、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、基材フィルムの少なくとも片方の面に離型層を有する離型フィルムであって、基材フィルムが、融点が210℃以上245℃以下のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)、および融点が210℃以上225℃以下のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を、少なくともその構成成分とする組成物からなり、面配向係数が0.10以上0.16以下であり、離型層が帯電防止性を有する成分と離型性を有する成分とを構成成分として含有し、該離型層表面における剥離力が400g/25mm以下である、離型フィルムである。
さらに本発明は、離型性を有する成分が、ポリビニルアルコール又はポリエチレンイミンを塩素化アルキロイル又はアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であり、帯電防止性を有する成分が、第4級アンモニウム塩型カチオン性化合物であること、離型層がバインダーを含有すること、100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10MPa以上150MPa以下であること、少なくとも片方の表面における表面粗さ(SRz)が1500nm以下であることのうち、少なくともいずれか1つの態様を具備することによって、さらに優れた離型フィルムを提供することができる。
さらに本発明は、上記離型フィルムを用いた成形用シートを包含する。
本発明によれば、耐熱性、成形性、離型性を同時に備えた離型フィルムを提供することができる。特に成形性に優れた離型フィルムを提供することができる。かかる離型フィルムを成形用として、とりわけ成形同時加飾用として用いることによって、成形加工時における金型等との貼り付きを従来よりもさらに好適に抑制することができ、成形部材の生産性を高くすることができる。
更には、本発明の好ましい態様によると、離型フィルム表面の平滑性が適度であるため、成形部材表面への離型フィルムの表面形状の転写が生じたとしてもその影響が小さく、外観が良好な成形部材を得ることができると同時に、巻取り性等のフィルムの取り扱い性に優れる。
したがって、本発明の離型フィルムは、成形部材の表面保護用途、成形用途、とりわけ成形同時加飾用途に好適に用いることができる。
以下、本発明の離型フィルムを構成する各構成成分について説明する。
<基材フィルム>
本発明における基材フィルムは、融点が210℃以上245℃以下のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)、および融点が210℃以上225℃以下のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を、少なくともその構成成分とする組成物からなる。また、本発明における基材フィルムは、フィルムとした後の融点が210〜245℃であることが好ましく、210〜230℃であることがさらに好ましい。
(ポリエステル樹脂(I))
本発明における基材フィルムは、融点が210℃以上245℃以下のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)を構成成分として含有する組成物からなる。ここで「エチレンテレフタレート単位を主体とする」とは、テレフタル酸成分を全ジカルボン酸成分の75モル%以上含有すること、好ましくは85モル%以上含有すること、かつエチレングリコール成分を全ジオール成分の75モル%以上含有すること、好ましくは85モル%以上含有することを示す。
かかるポリエステル樹脂(I)を構成する上記テレフタル酸成分、エチレングリコール成分以外の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸成分、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分などを好ましく例示することができる。また、ジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのエーテル縮合型ジオール成分などを好ましく例示することができる。また、これらの他に、p−ヒドロキシ安息香酸、ω−ヒドロキシ酪酸、ω−ヒドロキシ吉草酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸成分、ポリカーボネートに見られるような炭酸成分、さらに、トリメリット酸、ピロメリット酸やグリセリンなどの3官能以上の成分も、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。ポリエステル樹脂(I)を構成する共重合成分としては、これらの中でも、成形性や耐熱性等の諸特性の発揮のしやすさ、原料の入手のしやすさ、共重合ポリエステルの製造のしやすさなどの観点から、ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましく、ジオール成分としてはジエチレングリコールが特に好ましい。これらの共重合成分の割合は、ポリエステル樹脂(I)の融点が210〜245℃の範囲になるように調整すれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合する場合は、全ジカルボン酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を、おおよそ5.5〜18モル%の範囲にするのが好ましい。
(ポリエステル樹脂(II))
本発明における基材フィルムは、融点が210℃以上225℃以下のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を構成成分として含有する組成物からなる。ここで「ブチレンテレフタレート単位を主体とする」とは、テレフタル酸成分を全ジカルボン酸成分の75モル%以上含有すること、好ましくは85モル%以上含有すること、かつテトラメチレングリコール成分を全ジオール成分の75モル%以上含有すること、好ましくは85モル%以上含有することを示す。
かかるポリエステル樹脂(II)を構成する上記テレフタル酸成分、およびテトラメチレングリコール成分以外の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としては、ポリエステル樹脂(I)の共重合成分として例示したものを同じく好ましく例示することができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのエーテル縮合型ジオール成分などを好ましく例示することができる。また、ヒドロキシカルボン酸成分、炭酸成分、3官能以上の成分についても、ポリエステル樹脂(I)と同様に用いることができる。本発明におけるポリエステル樹脂(II)としては、成形性や耐熱性等の諸特性の発揮のしやすさ、原料の入手のしやすさなどの観点から、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、ジオール成分としてテトラメチレングリコールとからなるポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
本発明における基材フィルムは、上記ポリエステル樹脂(I)と上記ポリエステル樹脂(II)とを、少なくともその構成成分とする組成物からなるフィルムである。このような態様とすることにより、フィルムの成形性を飛躍的に向上できる。特に、基材フィルム100質量%において、ポリエステル樹脂(I)の構成比が30〜99質量%、ポリエステル樹脂(II)の構成比が1〜70質量%であることが好ましく、ポリエステル樹脂(I)の構成比が40〜60質量%、ポリエステル樹脂(II)の構成比が40〜60質量%であることがさらに好ましい。また、本発明においては、耐熱性、成形性、透明性の観点から、ポリエステル樹脂(II)よりもポリエステル樹脂(I)の構成比が高い態様が好ましい。
さらに、本発明においては、ポリエステル樹脂(I)とポリエステル樹脂(II)とを、少なくともその構成成分とする組成物がフィルムの主成分となるが、得られるフィルムの特性が本発明の範囲を超えない限り、かかる組成物以外の樹脂を混合してもよい。ここで「組成物がフィルムの主成分である」とは、混合物が海島構造をとった場合に、連続した「海」領域を構成する樹脂が組成物であるような場合をいう。
その他、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えない限りにおいて、本発明における基材フィルム中には各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、染料、顔料、および難燃剤などを含有させてもよい。
(滑剤粒子)
本発明における基材フィルムが、後述するヘーズや表面粗さ(SRz)を有するものであるためには、フィルム内部に粒子などの他成分や不純物を含有しないことが最も好ましいが、フィルム同士のブロッキングを防止し、ハンドリング性を優れたものとするためにフィルム中に滑剤粒子を含有させることができる。その場合には、滑剤粒子の平均粒径を2.5μm未満とすることが好ましく、2.0μm未満とすることがより好ましく、添加量を1質量%未満とすることが好ましく、0.1質量%未満とすることがより好ましい。滑剤粒子の種類は特に限定されないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機微粒子、触媒残渣の析出微粒子および/またはシリコーン、ポリスチレン架橋体、アクリル系架橋体などの有機微粒子などを好ましいのもとして挙げることができる。各種加工工程へのシリコーンのブリードアウトを考慮すると、例示した中でもシリコーンを含まない無機系の滑剤粒子がより好ましい。また、フィルム内部に滑剤粒子を含有させない場合には、アンチブロッキング効果を奏する物質を内部に含有する表面易滑処理層を基材フィルム表面に塗設することが好ましい。
ここで、滑剤粒子の平均粒径は、次のようにして求めることができる。すなわち、先ず滑剤粒子表面に金属を蒸着して、電子顕微鏡にて例えば1万〜3万倍に拡大して観測する。得られた像から、すくなくとも100個の滑剤粒子について、面積円相当径を求め、次いでこれらを次式にあてはめることによって算出される。
平均粒径(D)=測定粒子の面積円相当径の総和/測定粒子の数
(100%伸長時の応力)
本発明における基材フィルムは、100℃における100%伸長時の応力が、いかなる方向においても10MPa以上150MPa以下であることが好ましい。ここで、「いかなる方向においても」とは、フィルムの「縦方向(0°方向)、15°方向、30°方向、45°方向、60°方向、75°方向、横方向(90°方向)、105°方向、120°方向、135°方向、150°方向、165°方向において」の意味を示す。100℃における100%伸長時の応力は、成形加工工程における成形性の尺度となり、上記数値範囲にあると成形性に優れる。かかる応力が150MPaを越える場合は、基材フィルムが剛直すぎる傾向にあり、成形性に劣る傾向にある。他方、10MPa未満の場合は、変形時に適度な応力が掛かりにくくなる傾向にあり、均等に成形することが困難となる傾向にある。このような観点から、100%伸長時の応力は、いかなる方向においても20MPa以上110MPa以下であることがより好ましく、いかなる方向においても30MPa以上60MPa以下であることが特に好ましい。なお、本発明においては、離型層はかかる100%伸長時の応力にほとんど影響を与えず、そのため基材フィルムの100%伸長時の応力と離型フィルムの100%伸長時の応力とは同じになる。
100%伸長時の応力を上記のような態様とするためには、基材フィルムにおけるポリエステル樹脂(I)およびポリエステル樹脂(II)の融点を本発明が規定する範囲内としたり、これらの配合比を本発明における好ましい範囲内にしたり、面配向係数を本発明が規定する範囲内としたりすることによって達成することができる。かかる応力は、フィルムをより非配向、および/または非晶の態様とすると、低くなる傾向にある。
(面配向係数)
本発明における基材フィルムは、フィルムの面配向係数が0.10以上0.16以下である。これにより成形性に優れる。また、上記のような応力特性を得やすくなる。また、本発明における離型層との密着性に特に優れる。ここで面配向係数とは、アッベ法にて測定されたフィルムの各方向成分の屈折率から、次の計算式(A)によって計算されたものである。計算式(A)中のPは面配向係数、nMDはフィルムのMD方向の屈折率、nTDはフィルムのTD方向の屈折率、nZはフィルム面に垂直な厚み方向の屈折率を示す。なお、「MD方向」とはフィルムの面に平行で且つフィルム製膜方向と平行な方向(縦方向、長手方向と呼称する場合がある)を、「TD方向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に垂直な方向(横方向、幅方向と呼称する場合がある)である。
P=[(nMD+nTD)/2]−nZ ・・・(A)
この面配向係数は、フィルム内における分子鎖の配向状態を表わすものであり、これが0.16を越えると、フィルムの面方向に分子鎖が過度に配向しているため、成形加工の際にフィルムが変形しにくく、部材の形状に対する追随性に劣る。他方、面配向係数が0.10未満になると、フィルムの面方向に分子鎖がほとんど配向していない状態のため、経時や熱履歴後に脆化が起こりやすい。また、耐熱性に劣る傾向にある。このような観点から、面配向係数の好ましい範囲は0.11以上0.15以下、さらに好ましい範囲は0.11以上0.14以下である。
本発明において上記のような面配向係数を得るためには、基材フィルムの製造工程において、特に縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件等の条件を適宜調整すればよい。例えば、縦延伸倍率、横延伸倍率を小さくしたり、縦延伸温度、横延伸温度を高くしたり、熱固定温度を基材フィルムを形成する樹脂の融点に近づけるべく高くしたりすることによって、縦方向および横方向の屈折率は低くなる傾向にあり、厚み方向の屈折率は高くなる傾向にあり、面配向係数は小さくなる傾向にある。
(基材フィルムの製膜方法)
上記のような応力特性や面配向係数を具備する基材フィルムは、従来公知のフィルムの製造方法を適宜調整することで製造できる。製造方法としては、フィルムの縦方向および横方向のそれぞれで、配向状態や伸長応力などのフィルム特性を容易に調整することができる二軸延伸法が好ましい。具体的には、本発明で使用するポリエステル樹脂のペレットを乾燥後溶融し、ダイから冷却ドラム上に押出して冷却し、未延伸フィルムを得る。そして該未延伸フィルムを、4〜15倍の面積延伸倍率となるように、逐次または同時2軸延伸し、(フィルム融点−10)℃以下の温度にて熱固定すればよい。
その際、各方向での延伸倍率は、縦方向に2.0〜4.5倍および横方向に2.0〜5.0倍であることが好ましい。縦方向または横方向の延伸倍率が2.0倍未満では、分子の配向が不十分であり、その結果、面配向係数が低くなりすぎる傾向にあり、経時において脆化しやすいものとなり易くなる。他方、縦方向の延伸倍率が4.5倍または横方向の延伸倍率が5.0倍を越えると、フィルム内の分子が過度に配向し、本発明が規定する面配向係数の範囲を得難くなり、その結果、成形部材への形状追随性に劣るものとなり易い。
また熱固定は、150〜230℃の範囲で(フィルム融点−10)℃以下となる温度で1〜180秒間施すことがより好ましい。フィルムの熱固定温度が150℃未満では、得られたフィルムの熱収縮が大きく、後加工における位置ずれが生じ易い。他方、230℃を越えると、フィルムの配向が緩んでしまい、自重によるたるみなどの原因となる。なお、熱収縮の低減のために、熱固定の際適宜弛緩処理を行うことも好ましい。
フィルムの厚みは、特に制限はないが、0.5〜250μmが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μm、特に好ましくは40〜60μmである。フィルム厚みが薄すぎる場合は、成形加工時に破れ等が生じやすくなるばかりでなく、離型フィルムとして使用する際に薄すぎてシワになりやすい等、取り扱い性に劣る傾向にある。他方、厚すぎる場合は、過剰品質であって不経済であるばかりでなく、離型フィルムとして使用する際にコシが強すぎて成形加工しづらくなる場合がある。
又、ポリエステルフィルムの表面には、離型層との密着性向上、ハンドリング性向上などの目的において、アンカー層を設けても良い。その場合、アンカー層を設ける方法としては、従来公知の方法を取ることができる。
<離型層>
本発明における離型層は、離型性を有する成分と帯電防止性を有する成分とを構成成分として含有するものである。
(離型性を有する成分(離型剤))
離型性を有する成分(離型剤)としては、長いアルキル側鎖をもつポリマーが好ましく、炭素数12以上、特に16〜20のアルキル鎖をもつアルキルアクリレートとアクリル酸とのコポリマーがさらに好ましい。アルキルアクリレートのアルキル鎖の炭素数が12未満では十分な剥離性が得られないことがある。
これらの中、特に好ましくは、ポリビニルアルコール又はポリエチレンイミンを塩素化アルキロイルまたはアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体が好ましく、具体的には、ポリビニルアルコールとオクタデシルイソシアネートとの反応によって得られるポリビニル−N−オクタデシルカルバメートや、ポリエチレンイミンとオクタデシルイソシアネートとの反応によって得られるポリエチレンイミン−N−オクタデシルカルバメートなどが挙げられる。
本発明においては、離型剤としてフッ素系離型剤も用いることができる。
(帯電防止性を有する成分(帯電防止剤))
帯電防止性を有する成分(帯電防止剤)としては、界面活性剤や導電性樹脂等任意の帯電防止能を持つ化合物を包含する。
この帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性の帯電防止剤等の各種界面活性剤型帯電防止剤、更には上記の如き帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤等が挙げられ、又、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴノマー、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、それらの第4級化合物等の重合性帯電防止剤も使用できる。
また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーや、スズ、アンチモン系フィラー、酸化インジウム系フィラーをバインダーに分散したものも使用できる。これらの中、第4級アンモニウム塩型カチオン性化合物が好ましい。
本発明において、帯電防止剤と離型剤の量比(固形分質量比)は、5/95〜95/5の範囲が好ましく、20/80〜80/20の範囲がさらに好ましく、40/60〜60/40の範囲が特に好ましい。量比を上記数値範囲とすることによって、離型性と帯電防止性とのバランスがより良好となる。また、金型からの剥離性により優れる。
(バインダー)
本発明においては、離型層の強度および成形性、基材フィルムへの密着性、耐水性、耐溶剤性、耐ブロッキング性などの特性を向上するために、離型層がバインダーを含有することが好ましい。
上記バインダーとしては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂などの熱可塑性樹脂および/または熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などの高分子化合物を好ましく例示できる。このうち、熱可塑性樹脂としてはポリエステル樹脂が特に好ましく、熱硬化性樹脂としてはメラミン樹脂が特に好ましく、上記特性をさらに向上させることができる。さらに架橋剤として、上記バインダーとは異なる、メラミン系化合物(例えば、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系化合物)、尿素系化合物、グリオキザール系化合物、アクリルアミド系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物(例えば、ポリイソシアネート)からなる群より選ばれた少なくとも1種類を含有することが特に好ましい。かかる架橋剤を含有することによって、バインダーと架橋剤とが架橋した高分子体が形成される。これによって、上記特性、とりわけ成形性をさらに向上させることができる。このような観点においては、バインダーとして熱可塑性樹脂を用いた上で架橋剤を用いる態様が好ましく、かかる態様において、熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂を用い、架橋剤としてメラミン系化合物を用いる態様が特に好ましい。
離型層を構成する帯電防止剤、離型剤及び必要に応じて配合されるバインダーの量比は用途によって異なるが、後述する表面固有抵抗、剥離力、ヘーズ等の特性を満足する量比とすることが好ましい。例えば、離型層にバインダーを配合する場合、その含有量は、離型層の固形分の質量を基準として10質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がさらに好ましく、上述のバインダー含有による効果をより向上させることができる。また、架橋剤の含有量は、バインダー100質量%に対して、30質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がさらに好ましく、上述の架橋剤含有による効果をより向上させることができる。
(厚み)
本発明における離型層の厚みは、好ましくは0.01μm以上1μm以下、さらに好ましくは0.02μm以上0.3μm以下である。厚みが0.01μm未満であると十分な帯電防止効果や離型性が得られないことがあり、他方1μmを超える離型層は、過剰品質であり不経済である。
本発明においては、上述のような離型層を採用することによって、金型からの剥離性に特に優れた離型フィルムを得ることができる。これによって、成形部材の生産性を向上することができる。また、成形加工後においても、離型層のヒビ割れが生じにくく、曇りの少ない外観が良好な成形部材を製造することができる。
<離型フィルム>
本発明の離型フィルムは、上述した基材フィルムの少なくとも片方の面に、上述した離型層を有するものである。
(表面粗さ(SRz))
本発明の離型フィルムは、少なくとも片方の表面における表面粗さ(SRz)が、好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは1300nm以下、特に好ましくは1200nm以下である。表面粗さ(SRz)が上記数値範囲にあると、平滑性に優れ、フィルムの表面凹凸形状が成形歩合表面へ転写したとしても、その影響を小さくすることができ、外観の良好な成形部材を得ることができる。表面粗さ(SRz)が上記数値範囲を超えると、離型フィルム表面の凹凸形状が成形部材表面に転写し、成形部材の外観に劣る傾向にある。表面粗さ(SRz)の下限は特に規定されるものではないが、500nm程度である。又、巻き特性(取り扱い性)を考慮すると800nm以上であることが好ましい。このような表面粗さ(SRz)とするには、基材フィルムが含有する滑剤粒子の態様を適宜調整すればよく、例えば上述したような本発明における好ましい滑剤粒子の態様とすればよい。
なお、このように本発明においては、離型フィルムの少なくとも片方の表面における表面粗さ(SRz)が上記のような態様であることが好ましいが、いずれの表面を上記のような態様とするかは、用途によって適宜選択すれば良い。例えば、成形同時加飾用途において、成形加工後に意匠を有するフィルムが成形部材に残存する用途においては、意匠を設けない側の離型フィルム表面を上記のような態様とすることが好ましい。また、成形加工後に意匠を成形部材に残してフィルムは剥離して残存しない用途においては、意匠を設ける側の離型フィルム表面を上記のような態様とすることが好ましい。
(剥離力)
本発明の離型フィルムは、離型層表面における剥離力が、好ましくは20g/25mm以上400g/25mm以下、さらに好ましくは30g/25mm以上150g/25mm以下、特に好ましくは30g/25mm以上50g/25mm以下である。尚、ここで剥離力は、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、品番:31B)を測定面に貼り付け、300mm/分の速度で180度の角度で剥離するときの剥離力を表す。剥離力が上記数値範囲にあると、金型との離型性に優れ、成形加工工程においてフィルムが金型へ貼り付いてしまうのを抑制することができ、成形部材の生産性をより向上することができる。また、離型フィルムを巻き取った際の耐ブロッキング性に優れる。それにより、離型層を有しない側の表面における離型剤成分等による汚染を抑制することができ、成形部材の外観をより良くすることができる。
(表面固有抵抗)
本発明の離型フィルムは、離型層表面における表面固有抵抗が、好ましくは10Ω/□以上1013Ω/□以下、さらに好ましくは10Ω/□以上1010Ω/□以下である。表面固有抵抗が上記数値範囲にあると、離型フィルムにゴミ等の異物が付着しにくくなり、それにより成形加工工程における成形不良やフィルム破断を抑制できる。また、外観のより良好な成形部材を得ることができる。また、金型からの剥離性に優れる。
剥離力および表面固有抵抗は、上述の離型剤および帯電防止剤の含有量を適宜調整することによって達成することができる。例えば、これらの量比を上述した好ましい範囲とすれば良い。また、離型層におけるこれらの合計の含有量を、離型層の質量を基準として、20質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、30質量%以上60質量%以下とすることがさらに好ましい。
(ヘーズ)
本発明の離型フィルムは、ヘーズが10%以下であることが好ましい。ヘーズが上記数値範囲にあると、成形同時加飾用途において、フィルムが成形部材に残存する用途では、意匠が見やすくなる、光沢感に優れる等の効果が得られ、結果として外観の優れた成形部材を得ることができる。また、フィルムが成形部材に残存しない用途においても、フィルムに意匠を印刷後、成形加工前に意匠の欠点を確認することが容易となり、結果として外観に優れた成形部材を得ることが容易となる。このような観点から、ヘーズは8%以下であることがさらに好ましい。ヘーズの下限は低ければよく、特に限定されないが、実質的な下限は0.1%以上である。このようなヘーズとするには、基材フィルムが含有する滑剤粒子の態様を適宜調整すればよく、例えば上述のような本発明における好ましい粒子の態様とすればよい。
<離型フィルムの製造方法>
本発明の離型フィルムは、上記離型剤、帯電防止剤、任意に配合してもよいバインダー等、離型層を構成する各構成成分を含有する塗液を調製して、かかる塗液を基材フィルムに塗布し、得られた塗膜を乾燥することにより形成することができる。かかる塗液の調製に用いられる媒体としては、各構成成分の溶解性の観点から、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの有機溶剤を例示することができる。これらは単独で用いることもできるし、もしくは溶解性をさらに高めて、それにより離型層の外観をさらに良くするという観点から、複数を組み合わせた混合溶剤を用いることができ、好ましい。また、かかる媒体としては、上記のような有機溶剤が好ましいが、水性塗液(水を媒体とするもの)を用いることも可能である。
本発明における塗液の固形分濃度は特に制約はないが、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜30質量%がさらに好ましい。固形分濃度が30質量%を超えると塗布外観が悪化しやすくなる傾向にある。
本発明の離型フィルムは、上記の離型層を形成するための塗液を基材フィルムの少なくとも一方の面に塗布して得られるが、該基材フィルムとしては、例えばポリエステルフィルムの場合、前述の方法で延伸されて結晶配向が完了したポリエステルフィルム、あるいは結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムが好ましく挙げられる。
結晶配向が完了したポリエステルフィルムとしては、ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状とした未延伸フィルムを縦方向及び横方向に二軸延伸し、熱固定処理をしたものを例示することができ、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとしては、ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状とした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向のいずれか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、縦方向および横方向の2方向に低倍率延伸配向させたもの(最終的に縦方向および横方向に再延伸させて配向結晶化を完了させる前の二軸延伸フィルム)を例示することができる。
基材フィルムへの塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗布方法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法などを単独または組み合わせて適用するとよい。なお、水性塗液を用いる場合には、塗液の安定性を助ける目的で若干量の有機溶剤を含有させてもよい。
乾燥温度は50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上120℃以下がさらに好ましく、70℃以上110℃以下が特に好ましい。乾燥時間は、10秒以上300秒以下が好ましく、60秒以上200秒以下がさらに好ましく、100秒以上150秒以下が特に好ましい。このような乾燥条件を採用することによって、基材フィルムの平坦性を維持しながら塗膜の乾燥および架橋反応を好ましく進行させることができ、優れた塗膜を得ることができる。乾燥温度が高すぎる場合および乾燥時間が長すぎる場合は、基材フィルムが変形してしまい、平坦性に劣る傾向にある。他方、乾燥温度が低すぎる場合および乾燥時間が短すぎる場合は、架橋反応が進行しにくくなる傾向にある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、各特性値は以下の方法によって測定、評価した。
(1)融点
樹脂サンプルの場合は10mg、フィルムサンプル(離型フィルム)の場合は20mgサンプリングし、アルミニウムパンに充填したものを示差走査熱量測定装置(DuPont Instrument910 DSC)にセットし、20℃/分の速度で室温から290℃まで昇温した。空のアルミニウムパンを対照として熱量変化を記録し、最も高温部の吸熱のピークに相当する温度を基材フィルムの融点(単位:℃)とした。なお、本発明においては、上記測定において離型層に由来するピークがあったとしても、離型層と基材フィルムとの質量の差が十分に大きいため、基材フィルムに由来する融解ピークを明確に判断することができる。
(2)屈折率(面配向係数)
得られた離型フィルムについて、縦方向、横方向および厚み方向の各方向の屈折率をアッベ法にて測定し、得られた屈折率を基材フィルムの屈折率とした。また、面配向係数は前述の計算式によって計算し、基材フィルムの面配向係数とした。
(3)表面粗さ(SRz)
基材フィルムの両面に離型層を有する場合は任意の離型層表面について、基材フィルムの一方の表面に離型層を有する場合は離型層を有しない側の表面について測定した。三次元粗さ測定機(小坂研究所製SE―3CK)を用いて、針径2μmR、針圧30mg、測定長1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大率2万倍、横方向拡大率200倍、走査本数100本の条件にてフィルム表面の三次元表面プロファイルを得た。得られたプロファイルから、10点平均表面粗さを求め、表面粗さ(SRz)(単位:nm)とした。
(4)ヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して離型フィルムのヘーズ(単位:%)を測定した。
(5)剥離力
離型フィルムの離型層表面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、型番:31B、25mm幅)を、2kgのローラーを用いて均一な力で貼り合わせてサンプルを作成した。作成したサンプルから、引っ張り試験機機にて、ポリエステル粘着テープを速度300mm/分、角度180度で剥離した時の剥離力を測定した。かかる測定を任意の5箇所について実施し、それらの平均値を剥離力(単位:g/25mm)とした。
(6)表面固有抵抗
離型層表面について、タケダ理研社製の固有抵抗測定器を使用し、測定温度23℃、測定湿度65%RHの雰囲気で、印加電圧100Vで1分後の表面固有抵抗を測定した。かかる測定を任意の5箇所について実施し、それらの平均値を表面固有抵抗(単位:Ω/□)とした。
(7)成形加工評価
金型に、得られた離型フィルムを、離型層側が金型側、反対側が射出側となるように設置し、10cm角の大きさで、立ち上がり20mm、コーナー部のRが2mmのトレー状成形品を射出成形した。この時、成形用の樹脂には、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイを用い、樹脂温度260℃、金型温度50℃、樹脂圧力約350MPaとした。離型フィルムが被覆された状態で成形化工品の外観観察してから、フィルムを剥離し、成形部品を得た。
[成形状況評価基準]
本工程における成形状況を、以下の指標により評価した。
○:フィルムが破れず、シワも無い。
×:フィルムが破れた、もしくは大量のシワが発生した。
××:フィルムとトレー状成形品および/または金型と離型フィルムが融着した。
[剥離前外観評価基準]
離型フィルムが被覆された状態で成形加工品の外観を、以下の指標により評価した。
○:フィルムに曇りが見られず、成形品表面を明瞭に観察できる。
×:フィルムに曇りが見られ、成形品表面を観察しにくい。
[剥離後外観評価基準]
得られたトレー状成形品の外観を、以下の指標により評価した。
○:成形品表面に凹凸形状の転写が見られない。
×:成形品表面に凹凸形状の転写が見られる。
(8)100%伸長時の応力
測定装置として、チャック部を加熱チャンバーで覆った引張試験機(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)を用いて測定した。得られた離型フィルムから、縦方向(0°方向)、15°方向、30°方向、45°方向、60°方向、75°方向、横方向(90°方向)、105°方向、120°方向、135°方向、150°方向、165°方向について、それぞれの方向を長辺とする100mm×10mmの長方形のサンプルを採取し、あらかじめ100℃に加熱した前記装置のチャンバー内で間隔を50mmにセットしたチャックに挟んで固定した後、50mm/分の速度で引張り、試験機に装着されたロードセルで荷重を測定した。そして、チャック間距離が50mm伸長した時点の荷重を読取り、引張前のサンプル断面積で割って応力(MPa)を計算した。得られた12方向、計12点のデータ中の最大値、最小値のいずれもが、本発明の範囲内に入っているかを評価した。
[実施例1]
(基材フィルム)
固有粘度0.65dl/g(35℃のo−クロロフェノール中で測定、以下同じ)のポリエチレン(テレフタレート−イソフタレート)共重合体(テレフタル酸成分/イソフタル酸成分モル比=88/12、融点223℃、ポリエステル樹脂(I)、PET/IA12と表記する場合がある)のペレット(滑剤粒子として平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子0.01質量%を含有する)[*1]と、固有粘度0.9のポリブチレンテレフタレート(融点218℃、ポリエステル樹脂(II)、PBTと表記する場合がある)のペレット[*2]とを、[*1]/[*2]=55/45(質量比)となるように混合した組成物を、乾燥後、押出機に供給し、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して、厚み480μmの未延伸フィルムを製膜した。
次に40℃で余熱し、115℃で製膜方向(縦方向)に3.0倍延伸し、さらに70℃で余熱し、90℃で製膜方向に垂直な方向(横方向)に3.2倍延伸し、さらに横方向に固定したまま全幅の3%の弛緩を与えながら190℃で2秒間熱固定処理し、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(離型層)
帯電防止性を有する成分として第四級アンモニウム塩型カチオン性高分子化合物(綜研科学株式会社製、エレコンドPQ−50B)、離型性を有する成分としてポリエチレンイミンオクタデシルカルバメート(日本触媒株式会社製、RP−20)、バインダーとしてポリエステル樹脂(日立化成工業株式会社製、エスペル1510)、及び架橋剤としてメラミン系化合物(三和ケミカル株式会社製、ニカラックNS−11)を、20/20/40/20(固形分質量比)の比率で混合し、酢酸エチルとトルエンとの50:50体積%混合溶剤で、塗液の固形分濃度が1質量%となるように希釈し、塗液を調製した。
調製した塗液を、上記で得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの片面にグラビアコーターを用いて5g/mのウェット塗布量となるように塗布し、100℃で2分間乾燥、硬化させ、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1および表2に示す。なお、離型フィルムにおける離型層の厚みは5μmとなる。
[実施例2]
PET/IA12のペレット(滑剤粒子として平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子0.01重量%を含有する)[*1]と、PBTのペレット[*2]との質量比を45/55とした以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1および表2に示す。
実施例1および2で得られた離型フィルムは、成形性に優れるものであった。また、金型からの剥離が非常に容易であった。また、基材フィルムと離型層との密着性に優れ、金型の汚染がなかった。
[比較例1]
ポリエチレンテレフタレートホモポリマー(固有粘度0.65dl/g、融点256℃)のペレット(滑剤粒子として平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子0.005質量%を含有する)のみを用いて、ホモポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムとした以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1および表2に示す。
比較例1で得られた離型フィルムは、基材フィルムが不適であり、成形加工できなかった。また、基材フィルムと離型層との密着性に若干劣り、僅かに金型の汚染が見られた。
[比較例2]
離型層において、離型性を有する成分としてのポリエチレンイミンオクタデシルカルバメートを用いない以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1および表2に示す。
比較例2で得られた離型フィルムは、離型層が不適であり、金型からの剥離が困難であった。
[実施例3]
PET/IA12のペレットに添加した滑剤粒子を、平均粒径2.7μmの凝集シリカ粒子0.3質量%とした以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの評価結果を表1および表2に示す。
Figure 0005363176
Figure 0005363176

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片方の面に離型層を有する離型フィルムであって、基材フィルムが、融点が210℃以上245℃以下のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)、および融点が210℃以上225℃以下のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を、少なくともその構成成分とする組成物からなり、面配向係数が0.10以上0.16以下であり、離型層が帯電防止性を有する成分と離型性を有する成分とを構成成分として含有し、該離型層表面における剥離力が400g/25mm以下である、離型フィルム。
  2. 離型性を有する成分が、ポリビニルアルコール又はポリエチレンイミンを塩素化アルキロイル又はアルキルイソシアネートで長鎖アルキル化した共重合体であり、帯電防止性を有する成分が、第4級アンモニウム塩型カチオン性化合物である請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 離型層がバインダーを含有する請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10MPa以上150MPa以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  5. 少なくとも片方の表面における表面粗さ(SRz)が1500nm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の離型フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の離型フィルムを用いた成形用シート。
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