JP2017109306A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】離型性と追従性のバランスを向上させた離型フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、T2/T1の値が、0.8以上0.99未満である。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
離型フィルムは、一般的に、成型品を製造する際や異なる材料を貼り合わせた積層体を製造する際に使用される。かかる離型フィルムは、例えば、回路が露出したフレキシブルフィルム(以下「回路露出フィルム」とも称する)に接着剤を介してカバーレイフィルム(以下「CLフィルム」とも称する)を加熱プレスにより接着してフレキシブルプリント回路基板(以下「FPC」とも称する)を作製する際に用いられる。具体的には、離型フィルムは、成型品や積層体を作製する際に、当該成型品や積層体の表面を保護する目的で使用される。そのため、離型フィルムについては、従来から以下に説明する2つの特性を向上させることが要求されてきた。第一に要求される離型フィルムの特性は、成型品や積層体を製造した後における当該離型フィルムの剥離しやすさ、すなわち、離型性である。第二に要求される離型フィルムの特性は、成型品や積層体の表面に対する当該離型フィルムの密着性、すなわち、追従性である。こうした離型フィルムにおける離型性や追従性といった特性を向上させることは、従来から、種々の検討がなされてきた。
離型フィルムの離型性の向上に着目した技術、追従性の向上に着目した技術として、たとえば、以下のものがある。
特許文献1には、ガラス転移温度と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル系エラストマー層と、特定の質量比で配合された結晶性芳香族ポリエステルおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートからなり、ガラス転移温度と結晶融解熱量について特定の値を示すポリエステルによって形成されたポリエステル層とを有する離型フィルムが開示されている。
特許文献2には、結晶融解熱量と結晶化速度指標について特定の値を示す結晶性ポリエステル層と、結晶融解熱量と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル層を有する離型フィルムが開示されている。
特許文献3には、ガラス転移温度と結晶化速度指標について特定の値を示すポリエステル系エラストマー層と、昇温時の結晶化開始温度、昇温結晶化ピーク温度および昇温結晶化熱量について特定の値を示す共重合ポリエステル層を有する離型フィルムが開示されている。
特開2011−88351号公報 特開2011−88352号公報 特開2011−245812号公報
上記背景技術の項に前述したように、従来の離型フィルムにおいても、離型性と追従性を向上させることについては、種々検討されてきた。
しかしながら、近年離型フィルムの各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。本発明者は、特許文献1〜3に記載されるような従来の離型フィルムに関し、以下のような課題を見出した。
従来の離型フィルムでは、当該離型フィルムの追従性を向上させるため、離型層を構成する樹脂材料の結晶化度を低く設定する場合があった。しかし、この場合、離型フィルムの剛性が低下するため、回路との隙間に樹脂を食いこませることはできる一方で、使用時に加わる熱履歴により当該離型フィルムを十分に収縮させることができず、結果として、離型性が低下する傾向にあった。
これに対し、離型フィルムの離型性を向上させるため、離型層を構成する樹脂材料の結晶化度を高く設定した場合には、当該離型フィルムの剛性が高まるため、回路との隙間に十分に樹脂を追従させることが困難となることがあった。このように、本発明者は、従来の離型フィルムにおいて離型性および追従性の間には、トレードオフの関係があることを知見した。
そこで、本発明は、離型性と追従性のバランスを向上させた離型フィルムを提供する。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、離型フィルムに対して熱履歴を加える前後における、フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の比という尺度が、離型性と追従性とのバランスを向上させるための設計指針として有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、
T2/T1の値が、0.8以上0.99未満である、離型フィルムが提供される。
本発明によれば、離型性と追従性のバランスを向上させた離型フィルムを提供できる。
<離型フィルム>
本実施形態における離型フィルムは、少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有するものである。そして、本実施形態における離型フィルムは、当該フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、当該フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、T2/T1の値が、0.8以上0.99未満であることを特徴としている。これにより、離型フィルムの離型性と追従性のバランスを向上させることができる。
本実施形態に係る離型フィルムにおいて、離型層とは、少なくとも当該離型フィルムを対象物上に配置した際に、対象物に接する面(以下、「離型面」とも示す。)を形成する樹脂層であり、ポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であって、カルボキシル基(−COOH)を複数有する化合物である。
離型フィルムは、成型品を製造するため、熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている対象物の表面に配置して使用されることが一般的である。具体的には、離型フィルムは、プレス成型機の金型内に設置した対象物表面上に配置して使用される。また、成型品を製造するためには、対象物表面上に離型フィルムを配置した状態でのプレス処理を要する。通常、上述したプレス処理を行う際に、離型フィルムには熱履歴が加わることになる。
ここで、対象物の表面を形成する材料中に含まれている熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物が挙げられる。なお、本実施形態においては、離型フィルムにおいて対象物表面上に配置された時に上記対象物表面に接する面を、離型面とする。
本発明者は、従来の離型フィルムを用いた場合に、以下の不都合が生じることを知見した。第一に、従来の離型フィルムでは、当該フィルムの追従性を高めるために離型層の結晶化度を低く設定した場合、回路との隙間に樹脂を食いこませることはできる一方で、加熱プレス時に加わる熱履歴により当該離型フィルムを十分収縮させて剥離させることができないことがあった。第二に、従来の離型フィルムでは、当該フィルム剥離性を向上させるために離型層の結晶化度を高く設定した場合、回路との隙間に十分に樹脂を追従させることが困難となることがあった。
本実施形態に係る離型フィルムは、上述したように、当該離型フィルムに対して熱履歴を加える前後における、フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の比T2/T1の値を制御したものである。こうすることで、離型フィルムを使用した後における対象物からの引き剥がしやすさの観点と、対象物表面への凹凸追従性の観点との両方において、良好な特性を備えた離型フィルムとすることができる。この理由としては、明らかではないが、本実施形態に係る離型層を構成する樹脂材料は、加熱プレスすることにより、その結晶化度が十分に向上しているためであると考えられる。一般に、離型層を構成する樹脂材料は、熱履歴を加えることで、その結晶化度が向上し、かつ白色化が進むとされている。本実施形態に係る離型フィルムは、この現象を利用したものであり、加熱プレス前後での結晶化度の変動が大きくなるように設計したものである。
なお、離型フィルムの全光線透過率の値は、一般に、離型層の表面形状に影響されることはない。
ここで、本実施形態に係る離型フィルムにおいて、当該離型フィルムに対して180℃で120秒間の加熱処理を行う前後、すなわち当該離型フィルムに対して熱履歴を加える前後における、フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の比T2/T1の値は、0.8以上0.99未満であるが、好ましくは、0.82以上0.98以下であり、さらに好ましくは、0.85以上0.97以下である。こうすることで、バランスよく離型性と追従性を向上させることができるとともに、加熱プレス後に対象物から離型フィルムを剥離する際に、表面に汚染物が残存することなく、かつ表面の形状が滑らかな良好な品質の成型品を得ることが可能となる。
また、本実施形態に係る離型フィルムにおいて、当該フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の値は、好ましくは、55%以上95%以下であり、さらに好ましくは、58%以上92%以下である。こうすることで、離型フィルムの使用時(対象物表面上に配置した時)に当該離型フィルムの一部が波打つことない程度に良好な追従性を得ることが可能である。
また、本実施形態に係る離型フィルムにおいて、当該フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の値は、好ましくは、50%以上92%以下であり、さらに好ましくは、55%以上90%以下である。こうすることで、離型フィルムの使用後(加熱プレス後)に良好な剥離特性を得ることが可能である。
また、本実施形態に係る離型フィルムは、当該離型フィルムを180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、周波数1Hzで測定した際の100℃の貯蔵弾性率が、好ましくは、0.05GPa以上10GPa以下であり、さらに好ましくは、0.1GPa以上5GPa以下である。こうすることで、離型フィルムの使用後(加熱プレス後)における当該フィルムの凸凹からの剥離性を向上させることが可能である。すなわち、熱履歴を加えた後の貯蔵弾性率の値が上記数値範囲内となるように制御することで、離型フィルムの使用前後(加熱プレス前後)での離型層の結晶化度の変動を大きくすることが可能となり、結果として、離型性と追従性のバランスを向上させることが可能となる。
離型層の離型面の表面10点平均粗さ(Rz)は、離型層の強度を確保しつつ安定した離型性を得る観点から、好ましくは、0.5μm以上であり、より好ましくは、1.0μm以上であり、最も好ましくは、1.5μm以上である。一方、表面粗さが対象物の表面に対して転写されるのを抑制する観点から、離型層の離型面の表面10点平均粗さ(Rz)は、好ましくは、10μm以下であり、より好ましくは、8μm以下であり、最も好ましくは、7μm以下である。なお、表面10点平均粗さ(Rz)は、JIS−B0601−1994に準じて測定することができる。また、本実施形態に係る表面10点平均粗さ(Rz)は、離型フィルムが対象物に配置された際に離型フィルムにおいて対象物側にあたる面(離型面)にかかる数値を指す。
離型層の離型面の凹凸の平均間隔(Sm)は、離型層の強度を確保しつつ安定した離型性を得る観点から、好ましくは、180μm以上であり、より好ましくは、195μm以上である。一方、表面粗さが対象物の表面に対して転写されるのを抑制する観点から、凹凸の平均間隔(Sm)は、好ましくは、450μm以下であり、より好ましくは、345μm以下である。なお、凹凸の平均間隔(Sm)は、JIS−B0601−1994に準じて測定することができる。また、本実施形態に係る凹凸の平均間隔(Sm)は、離型フィルムが対象物に配置された際に、離型フィルムにおいて対象物側にあたる面(離型面)にかかる数値を指す。
離型層の離型面の算術平均粗さ(Ra)は、離型層の強度を確保しつつ安定した離型性を得る観点から、好ましくは、0.08μm以上であり、より好ましくは、0.14μm以上である。一方、表面粗さが対象物の表面に対して転写されるのを抑制する観点から、算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは、1μm以下であり、より好ましくは、0.78μm以下である。なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS−B0601−1994に準じて測定することができる。また、本実施形態に係る算術平均粗さ(Ra)は、離型フィルムが対象物に配置された際に、離型フィルムにおいて対象物側にあたる面(離型面)にかかる数値を指す。
離型層の離型面の剥離強度は、低いほど好ましいが、好ましくは、30N/50mm以下であり、より好ましくは、25N/50mm以下である。上記剥離強度は、たとえば、以下の方法で測定することができる。まず、離型フィルムの離型面に対して、カバーレイフィルムの接着剤面を貼り合わせ、195℃、6MPaの圧力で、2分間の熱プレスを行うことにより、試験片を作製する。その後、得られた試験片に対して、引張試験機を用いて、180°方向に約50mm/秒の速度で応力を加えて引張試験を行う。こうすることで、離型フィルムの離型面と、カバーレイフィルムの接着剤面との剥離強度を測定することができる。なお、剥離強度の測定は熱プレス直後に実施することが好ましい。
離型層は、ポリエステル樹脂を含む。このポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)等のポリアルキレンテレフタレート樹脂、及び他の成分を共重合したポリエステル系共重合体樹脂が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、離型性と追従性のバランスを向上させる観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。なお、上記ポリエステル樹脂は、結晶性のポリエステル樹脂であっても、非晶性のポリエステル樹脂であってもよい。
他の成分を共重合したポリエステル系共重合体樹脂において共重合する他の成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分等が挙げられる。
共重合することが可能な公知の酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。上記共重合することが可能な酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4'−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4'−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
共重合することが可能なアルコール成分および/またはフェノール成分としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコール、または、フェノールおよびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
共重合することが可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
このようなポリエステル系共重合体樹脂の中でもポリエステル樹脂材料と、ポリアルキレングリコール成分との共重合体が好ましく、より具体的にはポリエステル系樹脂と、ポリテトラメチレングリコールとの共重合体、もっと具体的にはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリテトラメチレングリコールとの共重合体が好ましい。これにより、メッキ付き性という観点においても、優れた離型フィルムを得ることができる。
上記共重合することが可能な他の成分(特にポリテトラメチレングリコール)の含有量は、好ましくは、ポリエステル系共重合体樹脂全体の5重量%以上50重量%以下であり、より好ましくは、10重量%以上40重量%以下である。含有量が上記下限値以上であると、離型フィルムの対象物への追従性を向上させることが可能である。また、含有量が上記上限値以下であると、離型性をさらに向上させることができる。
離型層には、ポリエステル樹脂の他に、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
離型層の厚みは、成型品に対する埋め込み性を向上させる観点から、好ましくは、5μm以上であり、より好ましくは、10μm以上である。一方、適度な強度を得る観点から、離型層の厚みは、好ましくは、100μm以下であり、より好ましくは、50μm以下であり、最も好ましくは、30μm以下である。
離型フィルムの離型層を構成する樹脂の固有粘度は、成膜性を良好にできる観点から、好ましくは、0.3dl/g以上であり、より好ましくは、0.5dl/g以上である。一方、離型層を構成する樹脂の固有粘度は、離型フィルム製造時の負荷を軽減する観点から、好ましくは、2.5dl/g以下であり、より好ましくは、2.0dl/g以下であり、最も好ましくは、1.5dl/g以下である。
離型フィルムの離型層を構成する樹脂の酸価は、剥離性、追従性のバランスを良好にする観点から、好ましくは、1以上であり、より好ましくは、3以上である。一方、離型層を構成する樹脂の酸価は、耐熱性、成膜性の観点から、好ましくは、40以下であり、より好ましくは、30以下であり、最も好ましくは、25以下である。なお、本実施形態における酸価は、JIS K0070(1992年式)に準じた値を指す。
本実施形態における離型フィルムは、少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂を含む離型層を有するものであればよいが、離型層と、上記離型層とは異なる他の層とを含む多層構造を形成しているものであることが好ましい。具体的には、離型フィルムは、用途によっては、当該離型フィルムの両面にポリエステル樹脂を含む離型層を有するものとしてもよい。また、離型フィルムは、離型層に接するクッション層をさらに有していてもよい。また、離型フィルムは、離型層、クッション層、及び副離型層の順で積層した三層構造としてもよい。複数の離型層は、ポリエステル樹脂を含む材料であれば、同じ材料から形成されたものであってもよく、異なる材料から形成されたものであってもよい。また、複数の離型層は、互いに異なる厚みであってもよい。
クッション層は、柔軟性を有する樹脂が用いられることにより、離型フィルム全体にクッション性を付与するものである。これにより、離型フィルム使用時(加熱プレス時)において、被着体に対して、プレス熱板からの熱及び圧力が均等に伝わりやすくなり、離型フィルムと被着体との密着性及び追従性をさらに良好にできる。
クッション層を形成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を重合体成分として有するα−オレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられる。これらは、単独であるいは複数併用しても構わない。中でも、α−オレフィン系共重合体が好ましい。このα−オレフィン系共重合体としては、エチレン等のα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。さらに、良好なクッション機能を得る観点から、エチレン等のα−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を単独で用いたもの、または、ポリブチレンテレフタレートと1,4シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとの混合物、α−オレフィン系重合体とエチレン等のα−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物が好ましい。たとえば、エチレンとエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、ポリプロピレン(PP)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリプロピレン(PP)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)との混合物、などがより好ましい。
クッション層は、さらにゴム成分を含んでもよい。ゴム成分としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー材料、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム等のゴム材料等が挙げられる。
クッション層には、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等の着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
なお、クッション層を形成する方法としては、例えば、空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法が挙げられる。
クッション層の厚さは、好ましくは、30μm以上100μm以下であり、より好ましくは、50μm以上90μm以下であり、最も好ましくは、50μm以上70μm以下である。クッション層の厚さが上記下限値以上である場合には、離型フィルムのクッション性が低下することを抑制できる。クッション層の厚さが上記上限値以下である場合には、離型性の低下を抑制することができる。
また、離型フィルムは、接着層、ガスバリア層等を有する4層、5層等の4層以上の構成であってもよい。この場合、接着層、ガスバリア層としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
<離型フィルムの製造方法>
本実施形態における離型フィルムの製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、離型層の製造条件を高度に制御する必要がある。すなわち、以下の3つの条件に係る各種因子をそれぞれ適切に組み合わせて高度に制御する製造方法によって初めて、熱履歴を加える前後(180℃で120秒間の加熱処理前後)における、フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率の比T2/T1の値が、上述した特定の条件を満たす離型フィルムを得ることができる。
(1)離型層を形成する樹脂材料の選択
(2)アニール処理条件・方法
(3)フィルム成膜時の冷却条件
以下、本実施形態に係る離型フィルムの製造方法の一例について説明する。
まず、(1)離型層を形成する樹脂材料の選択について説明する。
離型層を形成するポリエステル樹脂として、結晶性のポリエステル樹脂を選択した場合には、離型層の配向度を制御することができる。しかしながら、本実施形態における離型層は、単に、結晶性のポリエステル樹脂を用いて離型層を形成しただけで実現できるものではない。この理由として、結晶性のポリエステル樹脂には、カルボキシル基のような極性基が存在していることが挙げられる。そのため、結晶性のポリエステル樹脂を用いて離型層を形成した場合には、当該離型層の表面(離型面)を形成する材料中のカルボキシル基等の極性基量についても高度に制御する必要がある。こうすることで、加熱プレスする際に、離型フィルムを配する対象物表面を形成する材料中の未反応の官能基と、離型層を形成する樹脂中の極性基との間で相互作用することを初めて抑制することが可能となる。一方、非晶性のポリエステル樹脂を用いて離型層を形成する場合には、後述する(2)および(3)に係る各種因子をそれぞれ適切に組み合わせて高度に制御することが重要となる。
他には、ポリエステル樹脂として、固相重合反応して得られたポリエステル樹脂を用いてもよい。固相重合における重合触媒の種類、反応温度、反応時間等の反応条件を制御することで、ポリエステル樹脂の結晶性を制御することができる。
また、ポリエステル樹脂を合成する際に使用されるモノマーの分子量を制御してもよい。こうすることで、ポリマー中の結晶成分の配向を制御することができる。
また、ポリエステル樹脂の重合度を制御してもよい。こうすることで、離型層自体の粘性と弾性のバランスを制御することができる。
次に、(2)アニール処理条件・方法について説明する。
本実施形態における離型フィルムを得るためには、上記(1)で説明したようにして選択された離型層を形成する樹脂材料に適したアニール条件を採用する必要がある。具体的には、離型層を形成する樹脂材料の種類に応じてアニール処理の要否を選択し、アニール処理を行う場合には、その処理温度、その処理時間、当該処理に使用する装置の素材、当該処理に使用する装置の表面温度等の各因子を高度に制御して組み合わせることが特に重要となる。かかるアニール処理方法としては、加圧することなく熱風乾燥機を用いる手法と、加圧加熱する手法とが挙げられる。また、上記熱風乾燥機を用いてアニール処理を行う場合には、表層である離型層の結晶化状態を制御すべく加熱条件を制御する必要が有る。仮に、上記条件を制御しなかった場合には、熱伝動に時間がかかり、結果として、フィルム全体が加熱されてしまうことになると考えられる。一方、上記加圧加熱する手法を採用する場合には、フィルムの表面形状や厚みが変動してしまうことを抑制するために、その条件を制御することが重要である。
次に、(3)フィルム成膜時の冷却条件について説明する。
本実施形態における離型フィルムを得るためには、上記(1)で説明したようにして選択された離型層を形成する樹脂材料に適したフィルム成膜時の冷却条件を採用する必要がある。具体的には、離型層を形成する樹脂材料の種類に応じてフィルム成膜時の冷却処理を実施するか否かを選択し、該冷却処理を行う場合には、その冷却処理手法、冷却処理に使用する装置の温度設定、冷却処理速度等の各因子を高度に制御して組み合わせることが特に重要となる。こうすることにより、離型層や副離型層を構成する樹脂材料が過度に結晶化されてしまうことを抑制することが可能となり、結果として離型フィルム自体に関し貯蔵弾性率が低下することについても抑制することができる。
通常、後述する手法で成膜された当該離型フィルムは、冷却した金属ロールに圧着させてから巻き取られる。この冷却した金属ロールに圧着させる際の条件(上述した冷却条件に相当する。)を高度に制御することにより、離型層や副離型層を構成する樹脂材料の結晶化状態を調整することが可能となる。
そして、上述した冷却処理手法としては、タッチロールまたはエアナイフを用いて冷却した金属ロールに圧着させる手法が挙げられる。また、上述した冷却処理に使用する装置の温度設定は、タッチロール、エアナイフおよび金属ロールのいずれを使用する場合においても、10℃以上50℃以下の温度とすることが考えられる。さらに、上述した冷却処理速度は、離型層や副離型層を構成する樹脂材料が過度に結晶化してしまうことを抑制する観点から、50℃/s以上60℃/s以下とすることがよい。
上記のような条件(1)〜(3)に係る各種因子をそれぞれ適切に組み合わせて高度に制御することを前提として、離型フィルムは、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等公知の方法を用いて製造することができる。また、離型フィルムが多層構造の場合、離型層、クッション層の各層を、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよいが、空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で成膜することが好ましい。なかでも、共押出Tダイ法で成膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。また、離型層と、クッション層とをそのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
<離型フィルムの使用方法>
次に、本実施形態の離型フィルムの使用方法について説明する。
まず、表面が熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された成型物の上記表面に対して、上記本実施形態に係る離型フィルムの離型層表面を配置する。そして、離型フィルムを配置した対象物に対し、金型内でプレス処理を行う。ここで、上述した熱硬化性樹脂は、半硬化状態であっても、硬化状態であってもよいが、半硬化状態であると、当該離型フィルムの作用効果が一層顕著なものとなる。特に、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む樹脂組成物である場合には、当該エポキシ樹脂が、硬化反応の中間の段階にあること、すなわち、Bステージ状態にあることが好ましい。
本実施形態の離型フィルムは、たとえば、フレキシブルプリント回路基板を作製する際に使用してもよい。この場合、離型フィルムは、フレキシブルフィルム上に形成された回路を保護するため、当該回路に対してカバーレイフィルムを加熱プレスして密着させる際に、カバーレイフィルムとプレス成型機との間に介在させて使用する。
具体的には、離型フィルムは、例えば、フレキシブルプリント配線基板の製造工程の一つであるカバーレイプレスラミネート工程において用いられる。より詳細には、離型フィルムは、回路露出フィルムへのカバーレイフィルム接着時にカバーレイフィルムを回路パターンの凹凸部に密着させるためにカバーレイフィルムを包むように配置され、回路露出フィルム及びカバーレイフィルムと共にプレス成型機により加熱加圧される。プレス成型機は、加圧を開始してから15分で常温から170℃まで昇温した後、35分間その温度を維持し、その後、50分かけて170℃から常温まで冷却する。このときのプレス圧力は、5〜15MPaで適宜調節される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
離型層および副離型層を形成する材料として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5505S)を用い、クッション層を形成する材料として、変性ポリエチレン(エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学社製、WD203−1))と酸化防止剤を含有しないメタロセン系低密度ポリエチレン (EPPE、住友化学社製、エクセレンCB5002)を用いた。また、クッション層を形成する材料の配合比率は、エチレン−メチルメタクリレート共重合体:EPPE=80:20とした。
離型層、クッション層および副離型層がこの順で積層されるように、押出Tダイ法により3層からなる積層フィルムを製膜した。次いで、エアナイフにより、得られた積層フィルムにおける離型層側の表面を、30℃に冷却された金属ロールに押しつけることで、3層からなる離型フィルムを製造した。なお、エアナイフから吹き付ける風の温度は25℃とした。
また、得られた離型フィルムの各層の厚さは、離型層、副離型層はいずれも25μm、クッション層は70μmであった。
<実施例2>
離型層および副離型層の厚さが30μm、クッション層の厚さが140μmとなるように製膜した点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
<実施例3>
離型層および副離型層を形成する材料としてPBT(東レ社製、1201K)を用いた点、クッション層を形成する材料として、PBT(東レ社製、1201K)と、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG SKケミカル社製、S2008)とをPBT:PETG=80:20の配合比率で用いた点、エアナイフに代えて10℃のタッチロールを用いて副離型層の表面に対して、表面転写加工(エンボス加工)を施した点、離型層および副離型層の厚さが25μm、クッション層の厚さが50μmとなるように製膜した点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
<実施例4>
離型層および副離型層を形成する材料としてPBT(東レ社製、1201K)を用いた点、クッション層を形成する材料として、PBT(東レ社製、1201K)と、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG SKケミカル社製、S2008)とをPBT:PETG=80:20の配合比率で用いた点以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
<実施例5>
クッション層を形成する材料として、PBT(東レ社製、1201K)と、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG SKケミカル社製、S2008)と、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学社製、ノーブレンFH3315)を、PBT:PETG:プロピレン−エチレン共重合体=10:80:10の配合比率で用いた点以外は、実施例3と同様にして離型フィルムを得た。
<比較例1>
離型層および副離型層を形成する材料としてPBT(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5510)を用いた点、クッション層を形成する材料として、プロピレン−エチレン共重合体(住友化学社製、ノーブレンFH3315)を用いた点、以外は、実施例5と同様にして離型フィルムを得た。
<比較例2>
クッション層を形成する材料として、変性ポリエチレン(エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学社製、WH102)を用いた点以外は、比較例1と同様にして離型フィルムを得た。
<比較例3>
離型層および副離型層を形成する材料としてPBT(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5505S)を用いた点以外は、比較例1と同様にして離型フィルムを得た。
実施例及び比較例で得られた離型フィルムを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<評価>
・加熱処理前の全光線透過率:23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて離型フィルムの全光線透過率を測定した。次に、得られた測定結果を、フィルムの厚みで除すことにより、当該フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率T1の値を算出した。なお、単位は、%である。
・加熱処理後の全光線透過率:まず、得られた離型フィルムに対して180℃、120秒間という条件で加熱処理を施した。この加熱処理後の離型フィルムについて、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて全光線透過率を測定した。次に、得られた測定結果を、フィルムの厚みで除すことにより、当該フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率T2の値を算出した。なお、単位は、%である。
・加熱処理後の100℃での貯蔵弾性率:まず、得られた離型フィルムに対して180℃、120秒間という条件で加熱処理を施した。この加熱処理後の離型フィルムについて、動的粘弾性装置を用いて、100℃、周波数1Hz、昇温速度10℃/分での貯蔵弾性率を測定した。なお、単位は、GPaである。
・離型層の離型面および副離型層の離型面の表面10点平均粗さRz:JIS B0601 (1994年)に準じ、「株式会社東京精密製 ハンディサーフ E−35B」を用いて、中央n=3について測定した。なお、単位は、μmである。
・離型性:離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)の接着剤面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行い、引っ張り試験機(エーアンドデイ社製Force gauge AD−4932A−50N)を用いて、180°方向に約1000mm/分の速度で、離型面とCL接着剤間の剥離力を測定した。測定はプレス直後に実施し、以下の基準に基づいて離型性を評価した。
○:剥離可能
△:実用上問題ない程度に剥離可能であるが、剥離がやや重い
×:剥離が重くフィルムもしくはCLが破断する
・追従性(仕上がり外観シワ):JPCA規格の「7.5.7.2項しわ」に準じて測定した。
○:シワ発生率 1.5%未満
△:シワ発生率 1.5%以上2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
・メッキ付き性(必要メッキ面積の90%以上にメッキが付いているものを良品:7.5.4項メッキの外観による)
○:良品が98%以上
△:良品が95%以上98%未満
×:良品が95%未満
Figure 2017109306
実施例の離型フィルムは、いずれも、離型性および追従性のバランスに優れたものであったのに対し、比較例の離型フィルムは、離型性と追従性のバランスという点において不十分なものであった。
本発明によれば、少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
前記離型層上にクッション層を有し、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、
T2/T1の値が、0.8以上0.99未満であり、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、周波数1Hzで測定した100℃での当該離型フィルムの貯蔵弾性率が、0.1GPa以上5GPa以下であり、
前記離型層が、ポリブチレンテレフタレートを含み、
前記クッション層が、α−オレフィン系重合体と、α−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、の混合物を含み、ポリブチレンテレフタレートを含まない、離型フィルムが提供される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
<1> 少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、
当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、
T2/T1の値が、0.8以上0.99未満である、離型フィルム。
<2> 当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、周波数1Hzで測定した100℃での当該離型フィルムの貯蔵弾性率が、0.05GPa以上10GPa以下である、<1>に記載の離型フィルム。
<3> 前記離型層が、ポリブチレンテレフタレートを含む、<1>または<2>に記載の離型フィルム。
<4> 前記離型層、クッション層、及び副離型層の順に積層した三層構造を有している、<1>乃至<3>のいずれか一に記載の離型フィルム。
<5> 前記クッション層が、α−オレフィン系重合体と、α−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、の混合物を含む、<4>に記載の離型フィルム。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂材料を含む離型層を有する離型フィルムであって、
    当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行う前に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT1とし、
    当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、23℃という条件下、JIS−K−7361に準じて測定した当該離型フィルムの厚み1μmあたりの全光線透過率をT2としたとき、
    T2/T1の値が、0.8以上0.99未満である、離型フィルム。
  2. 当該離型フィルムに180℃で120秒間の加熱処理を行った後に、周波数1Hzで測定した100℃での当該離型フィルムの貯蔵弾性率が、0.05GPa以上10GPa以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記離型層が、ポリブチレンテレフタレートを含む、請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 前記離型層、クッション層、及び副離型層の順に積層した三層構造を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の離型フィルム。
  5. 前記クッション層が、α−オレフィン系重合体と、α−オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、の混合物を含む、請求項4に記載の離型フィルム。
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