JP2011245812A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性、離型性、耐熱性、非汚染性に優れ、特に、精密なパターンを有するプリント基板に対する埋込み性と離型性を高いレベルで両立でき、かつ、シートの巻取りや裁断時の取扱作業性に優れる離型フィルムを提供する。
【解決手段】離型フィルムであって、ポリエステル系エラストマー(A)層と、共重合ポリエステル(B)層とを有する。ポリエステル系エラストマー(A)層は、表層に配されるとともに、ガラス転移温度が0〜20℃、かつ結晶化速度指標が20〜50℃である。共重合ポリエステル(B)層は、昇温時の結晶化開始温度が100〜140℃、昇温結晶化ピーク温度が130〜185℃、かつ昇温結晶化熱量が15〜40J/gである。
【選択図】なし

Description

本発明は離型フィルムに関し、例えばプリント基板製造時に使うことができる離型フィルムに関する。特に、精密なパターンを有するプリント基板に熱硬化性接着剤によってカバーレイフィルムを高温熱プレス接着する際に有用な離型フィルムに関する。
離型フィルムは工業的に広く使用されている。特に、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、プリプレグや耐熱フィルムがプレス熱板と接着するのを防止するために用いられている。あるいは、フレキシブルプリント基板の製造工程において、電気回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に熱硬化型接着剤によってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムがプレス熱板と接着するのを防止するために用いられている。
このような用途に供される離型フィルムとしては、フッ素系フィルム、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
しかしながら、従来から離型フィルムとして用いられているフッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題点がある。シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルムは、フィルム組成にシリコーンや低分子量体を含んでおり、これの移行によって、プリント配線基板、とりわけ基板上の銅回路の汚染を引き起こし、その品質を損なうおそれがある。ポリプロピレンフィルムは、耐熱性に劣り離型性が不充分である。
そこで、柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性を改善し、さらに廃棄焼却可能とした離型フィルムとして、例えば、ポリプロピレン系樹脂とビニル芳香族系エラストマーとを含有するクッション層の両面に結晶性芳香族ポリエステルからなる離型層を積層したフィルム(特許文献1)や、環状ポリオレフィン系樹脂を離型層とするフィルム(特許文献2)が提案されている。また、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体を離型層とするフィルム(特許文献3)やクッション層とするフィルム(特許文献4)が提案されている。
また、耐熱性、成形加工性に優れる積層化粧シートとして、非晶性ポリエステル系樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を積層したフィルム(特許文献5)が提案されている。
特開2008−049504号公報 特開2006−257399号公報 国際公開第05/002850号パンフレット 特許第4099355号公報 特開2008−162058号公報
しかし、こうした技術においては、離型性および耐熱性と、柔軟性との両立が未だ十分ではない。例えば、離型性と耐熱性を重視した場合は、柔軟性が犠牲となり、精密なパターンを有するプリント基板に対する埋込性に劣る。一方、柔軟性を重視した場合には、プリント基板のパターンにフィルムが過剰に埋め込まれることに起因する穴詰まり現象が発生する。穴詰まりが生じると、カバーレイ接着剤とフィルムとが接着して、熱プレス後のフィルム剥離の際にフィルムが破れたり基板表面に膜残りが生じたりする場合があり、実用上の離型性が悪化する。また、柔軟性を重視した結果、耐熱性が低下するために、熱プレスにおいてフィルムにシワが入りやすく、プリント基板表面にシワが転写されて外観を損なう場合がある。
例えば、特許文献1、特許文献2に記載の処方で、埋込み性に優れるものの、柔軟すぎるゆえに穴詰まり現象が生じ、離型性に劣る。また、クッション層樹脂の融点が低いために、耐熱性が不充分であり、このため熱プレスの際にクッション層がフィルム端部よりはみ出したり、低分子量体の移行によってプリント配線基板の製造工程が汚染されたりするという問題がある。
特許文献3、特許文献4に記載の処方では、埋込み性向上を目的として、柔軟な共重合ポリブチレンテレフタレートを用いている。しかし、離型性、非汚染性に優れるものの、内層、あるいは外層にポリブチレンテレフタレートを用いているため、その硬さゆえに、従来使用されているポリメチルペンテン系フィルムよりも熱プレス時の埋込み性に劣る。
特許文献5に記載の処方では、化粧シートの成形加工性向上を目的として、結晶性ポリエステル樹脂に非晶ポリエステル系樹脂をブレンドしている。このため、埋込み性に優れるものの、表層樹脂は成形性重視により積極的に結晶化されておらず、そのため高温熱プレス時には、耐熱性や離型性に劣るといった問題がある。
本発明は、従来技術の前記問題点を解決し、柔軟性、離型性、耐熱性、非汚染性に優れ、特に、精密なパターンを有するプリント基板に対する埋込み性と離型性を高いレベルで両立でき、かつ、シートの巻取りや裁断時の取扱作業性に優れる離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の結晶性を有するポリエステル系エラストマー層と、共重合ポリエステル層とを積層し、表層を結晶化させることで離型性を付与し、クッション層である共重合ポリエステル層の結晶性を特定の範囲に制御することで、100℃以上に加熱した熱板を用いた高温での熱プレス時の埋込み性と、離型性という相反する特性を両立できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)ポリエステル系エラストマー(A)層と、共重合ポリエステル(B)層とを有し、ポリエステル系エラストマー(A)層は、表層に配されるとともに、ガラス転移温度が0〜20℃、かつ結晶化速度指標が20〜50℃であり、共重合ポリエステル(B)層は、昇温時の結晶化開始温度が100〜140℃、昇温結晶化ピーク温度が130〜185℃、かつ昇温結晶化熱量が15〜40J/gであることを特徴とする離型フィルム。
(2)ポリエステル系エラストマー(A)が、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体であることを特徴とする(1)の離型フィルム。
(3)共重合ポリエステル(B)が共重合ポリエチレンテレフタレートであり、共重合するジカルボン酸成分がイソフタル酸および/またはダイマー酸であることを特徴とする(1)または(2)の離型フィルム。
(4)積層フィルムの構成が、ポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル(B)層/ポリエステル系エラストマー(A)層の2種3層、またはポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル(B)層の2種2層であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの離型フィルム。
本発明によれば、特定の結晶性を有するポリエステル系エラストマー層と、共重合ポリエステル層とを積層し、表層を結晶化させることで離型性を付与し、クッション層である共重合ポリエステル層の結晶性を特定の範囲に制御することで、高温での熱プレス時の埋込み性と離型性という相反する特性を両立することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、表層に配されたポリエステル系エラストマー(A)層と、ポリエステル(B)層とを有する積層フィルムである。
<ポリエステル系エラストマー(A)>
ポリエステル系エラストマー(A)層は、離型フィルムの表層に配されて離型層として機能する。ポリエステル系エラストマー(A)層がなければ、熱プレスにおける離型性が低下し、たとえばカバーレイフィルムを用いた積層板の熱プレス工程において、フィルムが容易に剥がれず、積層板やプレス熱板にフィルムが接着することで、これらを汚染してしまう。
ポリエステル系エラストマー(A)は、例えば高融点結晶性セグメントと低融点セグメントとのブロック共重合体にて構成される。高融点結晶性セグメントは主として結晶性芳香族ポリエステル単位にて構成され、低融点セグメントは脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位にて構成される。
ポリエステル系エラストマー(A)における高融点結晶性セグメントと低融点セグメントの共重合比率は、各セグメントを構成するモノマーを選択したうえで、後述する融点、ガラス転移温度、結晶化速度指標、結晶融解熱量を満たす範囲で決定され、特に限定されない。しかし、ポリエステル系エラストマー(A)中に低融点セグメントが5〜50質量%存在することが適当である。
ポリエステル系エラストマー(A)において、高融点結晶性セグメントを構成する結晶性芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とにより形成されるポリエステルであることが好ましい。詳細には、耐熱性や高結晶性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)が好ましい。
上記したPET、PBT、PTTの他にも、以下のような芳香族ジカルボン酸成分、ジオール成分から得られるポリエステルを結晶性芳香族ポリエステルとして用いることができる。また、そのような結晶性芳香族ポリエステルを、PET、PBT、PTTのいずれかと共重合してもよい。
すなわち、芳香族ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。ジオール成分としては、分子量300以下のジオールが好ましく、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール;キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4'−ジヒドロキシ−p−クオ−ターフェニルなどの芳香族ジオールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびジオール成分は、2種以上併用してもよい。
高融点結晶性セグメントを構成する結晶性芳香族ポリエステルは、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合したものであることも可能である。
ポリエステル系エラストマー(A)において、低融点セグメントを構成する脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。
低融点セグメントを構成する脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかでも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましく、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが特に好ましい。これらの低融点セグメントの数平均分子量は、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
ポリエステル系エラストマー(A)層は、ガラス転移温度が0〜20℃であることが必要である。ガラス転移温度が0℃を下回ると、熱プレス時の離型性と耐熱性に劣り、さらには製膜作業性も低下する。反対に20℃を超えると、埋込性に劣る。これらの観点から、ポリエステル系エラストマー(A)層のガラス転移温度は0〜15℃であることが好ましい。
ポリエステル系エラストマー(A)層は、融点が200℃以上であることが好ましい。融点が200℃を下回ると、熱プレス時の耐熱性に劣ることがある。
ポリエステル系エラストマー(A)層は、製膜時にキャスティングロールで十分に結晶化させる必要がある。このためにポリエステル系エラストマー(A)層は、結晶化速度指標が20〜50℃であることが必要である。結晶化速度指標とは、溶融後の冷却時の結晶化の速さを示す指標である。結晶化速度指標が50℃を超えると、すなわち、溶融後の冷却時の結晶化速度が遅いと、積層フィルムとしたときの耐熱性付与が困難になり、結晶化処理をロールで直接加熱した場合に剥離不良が生じる。結晶化速度指標が上記範囲内であると、溶融押出後の冷却ロールで結晶化が可能で、しかもキャスティングロールの温度や速度でシートの結晶状態の制御が可能となる。この観点から、ポリエステル系エラストマー(A)層の結晶化速度指標は25〜50℃であることが好ましい。
ポリエステル系エラストマー(A)層は、結晶融解熱量が25〜45J/gであることが好ましい。25J/g未満では耐熱性や離型性が不十分であり、一方、45J/gを越えると埋込性が低下する。
上記結晶化特性を有するポリエステル系エラストマー(A)の好ましい構成としては、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルとのブロック共重合体が挙げられる。このとき、ポリエーテルの共重合量は、好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは15〜30質量%である。ポリエーテルの共重合量が少ないと柔軟化効果が小さく、一方、多すぎると耐熱性や結晶性が低下し過ぎる。この範囲であると、ポリエステル系エラストマー(A)層の融点、ガラス転移温度、結晶化速度指標、結晶融解熱量等を調整しやすい。
ポリエステル系エラストマー(A)は公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、低融点セグメント成分を触媒の存在下にエステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法;ジカルボン酸、過剰量のグリコール、低融点セグメント成分を触媒の存在下にエステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法;また、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法;高融点結晶性セグメントと低融点セグメントとを鎖連結剤でつなぐ方法;ポリ(ε−カプロラクトン)を低融点セグメントに用いる場合は、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノマーを付加反応させる方法などが挙げられる。いずれの方法をとってもよい。
<共重合ポリエステル(B)>
本発明の離型フィルムにおいては、離型層として機能するポリエステル系エラストマー(A)層の支持層、および高温での熱プレスにおける柔軟層として、共重合ポリエステル(B)層が積層されていることが必要である。共重合ポリエステル(B)層がなければ、フィルム製造時のロール巻取りにおいて、フィルムのコシが弱いためにシワが発生し、製膜作業性が著しく低下するため、工業的な生産が困難となる。また、高温での熱プレス時における埋込み性が不充分になる。
共重合ポリエステル(B)は、結晶性を有するが、製膜時に結晶化させないことが必要である。共重合ポリエステル(B)層が非晶性であったり、結晶性が低すぎると、熱プレスにおいてフィルムが軟化しすぎるために、基板の凹凸パターンへの埋込みが過剰となり、離型性が悪化したり、特に穴詰まりを生じやすくなったりする。一方、製膜時に共重合ポリエステル(B)層が結晶化していると、熱プレスにおける埋め込み性が不充分となる。このために、共重合ポリエステル(B)層は、昇温結晶化熱量が15〜40J/gであることが必要である。昇温結晶化熱量を上記範囲内とすることで、熱プレスにおいて十分な埋め込み性を発現するとともに、フィルム離型時において穴詰まりを生じない。このため、昇温結晶化熱量は17〜35J/gであることが好ましく、20〜30J/gであることが特に好ましい。
共重合ポリエステル(B)層は、昇温結晶化開始温度が100〜140℃であることが必要である。昇温結晶化開始温度が100℃を下回ると、熱プレス時においてカバーレイ接着剤の流動よりも早くフィルムが結晶化してしまうために、埋込性が不充分となる。一方、結晶化開始温度が140℃を超えると、熱プレス時においてフィルムが軟化しすぎるために、離型性が悪化したり、穴詰まりを生じたりする。このため、共重合ポリエステル(B)層は、昇温結晶化開始温度が110〜135℃であることが好ましく、115〜130℃であることが特に好ましい。
共重合ポリエステル(B)層は、昇温結晶化ピーク温度が130〜185℃であることが必要である。昇温結晶化ピーク温度が130℃を下回ると、熱プレス時におけるフィルムの軟化が不充分となるために埋込性に劣る。反対に昇温結晶化ピーク温度が185℃を超えると、熱プレス時においてフィルムが軟化しすぎるために離型性に劣る。また、結晶化が不充分となるために耐熱性に劣り、フィルム端部より共重合ポリエステル(B)層のはみ出しが生じる場合がある。このため、共重合ポリエステル(B)層は、昇温結晶化ピーク温度が135〜180℃であることが好ましく、140〜175℃であることが特に好ましい。
共重合ポリエステル(B)層は、融点が200℃以上であることが好ましい。融点が200℃を下回ると、熱プレス時の耐熱性に劣ることがある。
共重合ポリエステル(B)としては、代表的には、共重合ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
共重合ポリエステル(B)の共重合成分としては、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。中でもイソフタル酸および/またはダイマー酸を用いると、得られる共重合ポリエステル(B)の結晶性を上記範囲に制御しやすく、共重合ポリエステル(B)を工業的に安価に作りやすい。
共重合ポリエステル(B)のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。
これらの共重合成分は、2種以上併用してもよい。その共重合の割合は、共重合ポリエステル(B)の融点や結晶化特性が上記範囲内となるように選択すればよい。
これら共重合ポリエステル(B)のエステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Ti等が挙げられる。その中ではTiが好ましい。また、重合触媒としては、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物等が挙げられる。中でもゲルマニウム化合物が好ましい。重合法としては、エステル交換法(DMT法)を用いることができるが、エステル化法(直重法)がより好ましい。
重合後の共重合ポリエステル(B)は、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等を含有しているため、そのまま使用すると熱プレス時にこれらの低分子量物が基板に移行する問題が発生する。そのため、減圧下もしくは不活性ガス流通下で200℃以上の温度で固相重合した原料を使用することが好ましい。
ポリエステル系エラストマー(A)、および共重合ポリエステル(B)には、実用性を損なわない範囲で、熱安定剤、帯電防止剤、離型剤、結晶造核剤などを添加してもよい。このうち、熱安定剤を含むことが好ましい。熱安定剤としては、5価または/および3価のリン化合物や、ヒンダードフェノール系化合物などが好ましい。
本発明の離型フィルムは、ポリエステル系エラストマー(A)層の厚みが10〜50μmであることが好ましい。ポリエステル系エラストマー(A)層の厚みが10μm未満であると、押出しの際にポリエステル系エラストマー(A)層と共重合ポリエステル(B)層との間の流動バランスが悪化して、フローマークが発生しやすくなり、均一な製膜が困難となる。また、高温下で柔軟な共重合ポリエステル(B)層が相対的に厚くなって、熱プレス時において基板の微細なパターンにフィルムが埋め込まれすぎるために、離型性の悪化を招く恐れがある。反対にポリエステル系エラストマー(A)層の厚みが50μmを超えると、埋込性が不足しやすくなる。
よって、ポリエステル系エラストマー(A)層の厚みが10〜30μmであることがより好ましい。なお、ここでいうポリエステル系エラストマー(A)層の厚みとは、2種3層構成のようにポリエステル系エラストマー(A)層が2層以上含まれている場合には、その1層分の厚みをいう。
本発明の離型フィルムは、共重合ポリエステル(B)層の厚みが40〜100μmであることが好ましい。共重合ポリエステル(B)層の厚みが40μm未満だと、常温で柔軟なポリエステル系エラストマー(A)層が相対的に厚くなって、フィルムのコシが弱くなる。このため、フィルムを巻取る際にシワが入りやすくなったり、熱プレス時における柔軟性が不充分となるために埋込性の低下を招いたりする。反対に共重合ポリエステル(B)層の厚みが100μmを超えると、押出しの際にポリエステル系エラストマー(A)層と共重合ポリエステル(B)層との間の流動バランスが悪化して、フローマークが発生しやすくなり、製膜が困難になる傾向がある。このため、共重合ポリエステル(B)層の厚みは60〜80μmであることがより好ましい。
本発明の離型フィルムは、積層体全体の厚みが60μm〜150μmであることが好ましい。全体の厚みが60μmを下回ると、シートの強度・剛性が低下し、取扱いが困難になる。一方、全体の厚みが150μmを超えると、熱プレス時におけるプリント基板の表面パターンへの追従性が低下するため、微細なパターンを有したプリント基板製造には適さない場合がある。このため、全体の厚みは70μm〜140μmであることがより好ましく、75μm〜130μmであることがさらに好ましい。
本発明の離型フィルムの好ましい構成としては、ポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル層(B)/ポリエステル系エラストマー(A)層の2種3層、またはポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル層(B)の2種2層が挙げられる。しかし、これらに限定されず、ポリエステル系エラストマー(A)層が表層に配されていれば、さらに他の層を有していてもよい。
ポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル(B)層/ポリエステル系エラストマー(A)層の2種3層構成における好ましい厚み構成比率は、1/2/1〜1/6/1である。この範囲内であれば、共重合ポリエステル(B)層がポリエステル系エラストマー(A)層の支持層としての機能を十分に果たすことができ、かつ、高温での熱プレス時の耐熱性と埋込性とを両立させることができる。
次に本発明の離型フィルムの製造方法について説明する。
本発明の離型フィルムの製造においては、共押出Tダイ法で製膜する方法を採ることが好ましい。この方法によれば、各層の厚みを制御することや、ポリエステル系エラストマー(A)層を所望の結晶化状態とすることが容易である。
本発明の離型フィルムの製造においては、フィルムに所定の熱特性を付与し、かつ耐熱性、離型性、寸法安定性を向上させる目的で、結晶化工程を設けることが必要である。結晶化方法としては、加熱結晶化、配向結晶化が挙げられるが、本発明の離型フィルムに高温での寸法安定性を持たせることを目的とする場合には、実質的に配向させることなく、加熱によって結晶化させることが好ましい。加熱結晶化の方法としては、Tダイから押出後に冷却と同時に結晶化させる方法が、工程の簡便性やフィルム品位の制御性において好ましい。冷却と同時に結晶化する場合には、結晶化速度を考慮してキャスティングロールの温度を適切に設定する必要があり、本発明の樹脂構成であれば、その温度が50〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。なお、離型性と埋込性を制御するためには、離型層となるポリエステル系エラストマー(A)層をキャスティングロール側に配置することが必要である。
本発明の離型フィルムは、180℃における熱収縮率が、MD方向においては2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。この熱収縮率は、TD方向においては1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。このような熱収縮率とすることでプレス時に熱板と接触してもシワになりにくく、プリント基板を製造する際の耐熱性と寸法安定性が良好となる。
本発明の離型フィルムにおいて、表層に配されたポリエステル系エラストマー(A)層の表面状態は、用途に応じて、平滑であってもよいし、作業性のためにスリップ性、アンチブロッキング性が付与されていてもよい。また、熱プレス成形時の空気抜けを目的として、少なくとも片面に適度のエンボス模様が設けられていてもよい。このようなエンボス加工は、表面加工されたキャスティングロールを用いることにより付与することができる。
本発明の離型フィルムは、高温熱プレス時の埋込み性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、しかも安全かつ容易に廃棄処理できる。このため、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、プレス熱板と、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、多層プリント配線板等との接着を防ぐ離型フィルムとして好適に用いることができる。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルムを熱硬化性接着剤で接着する際に、カバーレイフィルムと熱プレス板との接着、又はカバーレイフィルム同士の接着を防ぐ離型フィルムとしても、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(A)ポリエステル系エラストマー
(A−1);東レ・デュポン社製「ハイトレル5557」、Tm208℃、Tg−20℃
(A−2);東レ・デュポン社製「ハイトレル6347」、Tm221℃、Tg3℃
(A−3);東レ・デュポン社製「ハイトレル7247」、Tm221℃、Tg12℃
(A−4);東レ・デュポン社製「ハイトレル6347M」、Tm215℃、Tg3℃
(A−5);東レ・デュポン社製「ハイトレル2571」、Tm225℃、Tg60℃
上記において、Tmは融点、Tgはガラス転移温度を意味する。上記5種のポリエステル系エラストマーは、いずれもポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体である。
(B)共重合ポリエステル
(B−1);PETオリゴマーの存在するエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力50hPaGの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、平均重合度7のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー60kgと、イソフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.3の反応溶液とを、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分とのモル比が96/4となる割合で重合反応器に仕込み、続いて、濃度0.5質量%のリン酸のエチレングリコール溶液を、リン酸の量が酸成分1モルに対して5×10−4モルとなる量で添加し、常圧下、温度260℃で1.5時間攪拌しながら反応させた。さらに二酸化ゲルマニウムを加え、重合反応器中を減圧して、圧力0.9hPa、温度280℃で2時間溶融重合を行い、共重合ポリエチレンテレフタレート(B−1)を得た。
(B−2);(B−1)と比べて、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分とのモル比を94/6とした。それ以外は(B−1)と同様の手法にて、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(B−2)を得た。
(B−3);(B−1)と比べて、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分とのモル比を91/9とした。それ以外は(B−1)と同様の手法にて、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(B−3)を得た。
(B−4);(B−1)と同様の手法にて得られたPETオリゴマー50kgに、ダイマー酸(ヘンケルエメリー社製「エンポール1008」)を5.7kg加えた。また、重縮合触媒として、三酸化アンチモンを、全酸成分1モルに対して2×10−4モル加えた。そして、重合反応器中を減圧して、圧力350Pa、温度285℃で5時間重縮合反応を行い、ダイマー酸成分含有量4モル%の共重合ポリエチレンテレフタレート(B−4)を得た。
(B−5)1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート;イーストマンケミカル社製「EASTER GN001」
(C)ポリエステル
(C−1)ポリブチレンテレフタレート;三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバデュラン5010CS」
(C−2)ポリエチレンテレフタレート;日本エステル社製「NEH−2050」
(D)その他
ポリメチルペンテン;三井化学社製「DX845」、Tm233℃、Tg20℃
本発明における測定法を以下に示す。
<結晶化速度指標>
示差走査型熱量計(Perkin Elmer社製 Pyris1 DSC)を用い、サンプル10mgを速度20℃/minで260℃まで昇温し、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、結晶融解熱量(△Hm)、昇温結晶化開始温度(Tcs)、昇温結晶化ピーク温度(Tc)、昇温結晶化熱量(ΔHc)を測定した。さらに、260℃で3分間ホールドした後、速度20℃/minで冷却し、降温結晶化ピーク温度(Tcc)を測定した。融点と降温時結晶化ピーク温度の差を結晶化速度指標とした。
なお、ポリエステル系エラストマー(A)層の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、結晶化速度指標の測定においては、原料樹脂を一度溶融してから急冷して得た非晶化したサンプルを用いた。ポリエステル系エラストマー(A)層の結晶融解熱量(ΔHm)は、ポリエステル系エラストマー(A)単独樹脂を用い、厚み、押出速度、キャスティングロール温度を積層フィルムと同条件になるようにして単層フィルムサンプルを作成し、これを用いて測定した。
共重合ポリエステル(B)層の融点(Tm)、昇温結晶化開始温度(Tcs)、昇温結晶化ピーク温度(Tc)、昇温結晶化熱量(ΔHc)についても、積層フィルムと同じ製造条件にて単層フィルムサンプルを作成し、これを用いて測定した。
<製膜作業性>
得られたフィルムの端部をカットした後のロール巻取り性を以下の基準に従って評価し、○を合格(良好)とした。
○:ロール巻取り性に問題はなかった
△:ロール巻取り時に少々シワが入った
×:ロール巻取り時にシワなく巻き取ることが困難であった
<耐熱性、埋込性、離型性、穴詰まり性>
両面にエポキシ系接着剤(東亜合成社製「AS−60」)を厚さ20μmでそれぞれ塗布した25μm厚のポリイミドフィルム(デュポン社製「カプトン100V」)の当該両面側に、上記接着剤を用いて厚さ35μmの銅箔をそれぞれ積層することで、3層タイプの銅張積層板を作成した。その片面側の銅箔の表面に、上記と同じエポキシ系接着剤を厚さ20μmで塗布した上記と同じ25μm厚のポリイミドフィルムをカバーレイフィルムとしてのせ、さらに、このようにして重ね合わされた銅張積層板とカバーレイフィルムとの両面側を離型フィルムで挟んだ。このとき、離型フィルムのポリエステル系エラストマー面が内側になるように配置した。その後、温度180℃、圧力3MPaで5分間熱プレスした。プレス後、熱プレス機から素早く取り出して放冷した後、離型フィルムを剥した。そのとき、以下の基準に従って耐熱性、埋込性、離型性、穴詰まり性の評価を行い、○以上を合格(良好)と判断した。その際、銅張積層板には直径1mmの真円状の孔を開けるとともに、カバーレイフィルムには直径3mmの真円状の孔を開けて、前者は穴詰まり性、後者は埋込性すなわち接着剤のはみ出しの評価に用いた。
(耐熱性)
○:プレス後のフィルムにシワが認められない
△:プレス後のフィルムに少々シワが認められる
×:プレス後のフィルムに顕著にシワが認められる
(埋込性)
カバーレイフィルム孔部の接着剤のはみ出しを顕微鏡にて観察し、以下の基準にて評価した。
◎:接着剤のはみ出し長さが50μm以下
○:接着剤のはみ出し長さが50μmを越え70μm以下
△:接着剤のはみ出し長さが70μmを越え100μm以下
×:接着剤のはみ出し長さが100μmを越える
(離型性)
◎:抵抗なく剥せる
○:やや抵抗はあるが積層板に影響なく剥がれる
△:抵抗はあるが、積層板の変形なく剥せる
×:抵抗が強く、剥離時に積層板の変形が伴う
(穴詰まり性)
○:積層板への膜残りなく剥がせる
△:剥離時にフィルム表層の一部が破れ、積層板に膜残りが生じる
×:剥離時にフィルム全層が破れ、積層板に著しい膜残りが生じる
<耐汚染性>
熱脱着GC−MS(熱脱着ガスクロマトグラフ質量分析装置)を用い、180℃、10分間の加熱でフィルムから発生するガスを無極性キャピラリーカラムを用いて分離し、検出されたピーク総面積のヘキサン換算量をフィルム重量で規格化し、これをアウトガス発生量とした。アウトガス発生量は少ない程好ましく、400ppm以下を合格(良好)と判断した。
<熱収縮率>
次の手順に従い、フィルムMD方向(縦方向)、およびTD方向(横方向)の熱収縮率を測定した。
すなわち、サンプルフィルムを10mm×150mmにカットし、これに間隔100mmとなるように2本の標線を入れた試験片を5本作成した。
得られた試験片を無荷重下で170℃のオーブン中に30分間熱処理した後、オーブンから試験片を取り出して室温に戻したうえで、標線間距離を測定した。そして、熱収縮率を下式に従い求め、5本の平均値を各サンプルフィルムの熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=(L−L´)/L×100
ただし、L:熱処理前の標線間距離(mm)、L´:熱処理後の標線間距離(mm)
[実施例1]
2台の独立した押出機に、ポリエステル系エラストマー(A)としてA−2を、共重合ポリエステル(B)としてB−1をそれぞれ供給し、いずれの樹脂も260℃で溶融混練し、それぞれの溶融体をTダイの出口に至る前でポリエステル系エラストマー(A)/共重合ポリエステル(B)/ポリエステル系エラストマー(A)の3層状に合流積層した後、Tダイ出口より押出した。これを80℃に調整したキャスティングロールに密着させることで冷却して、層厚みがA/B/A=20/60/20(μm)の積層フィルムを得た。キャスティングロールへの密着時間は4秒であった。
[実施例2〜11、比較例1〜9]
実施例1に比べ、(A)および(B)の樹脂の種類、層厚み構成を、表1および表3に記載のように変更した。そして、実施例2〜11、比較例1、比較例3〜9は260℃、比較例2は280℃でそれぞれ溶融させて、Tダイ出口より押出し、表1および表3に示す温度に調整したキャスティングロールに密着させた。そのほかの条件は実施例1と同様にして、A/B/Aの構成を有する2種3層の積層フィルムを得た。キャスティングロールへの密着時間は4秒であった。
比較例2、3では、3層の中間層に、実施例の共重合ポリエステル(B)層に代えて、共重合していない単なるポリエステル(C−2)層、(C−1)層を用いた。また比較例4、5では、中間層の樹脂として、共重合ポリエステル(B−5)とポリエステル(C−1)とのブレンド体を用いた。なお、ここでは、説明の簡単のため、これら比較例2〜5の中間層も「(B)層」と称する。
[実施例12]
2台の独立した押出機に、ポリエステル系エラストマー(A)としてA−2を、共重合ポリエステル(B)としてB−1をそれぞれ供給し、いずれの樹脂も260℃で溶融混練し、それぞれの溶融体をTダイの出口に至る前でA/Bの2層状に合流積層した後、Tダイ出口より押出した。これを80℃に調整したキャスティングロールに密着させることで冷却して、層厚みがA/B=30/70(μm)の積層フィルムを得た。キャスティングロールへの密着時間は4秒であった。
[実施例13]
実施例10に比べ、ポリエステル系エラストマー(A)および共重合ポリエステル(B)に用いる樹脂の種類、層厚み構成を、表2に記載のように変更した。そして、260℃で溶融させてTダイ出口より押出し、80℃に調整したキャスティングロールに密着させた。そのほかの条件は実施例10と同様にして、A/Bの構成を有する2種2層の積層フィルムを得た。キャスティングロールへの密着時間は4秒であった。
[比較例10〜12]
押出機に表3に示す樹脂を供給し、260℃で溶融混練して押出し、表3に示す温度に調整したキャスティングロールに密着させて冷却することで、表3に示す厚みを有する単層フィルムを得た。キャスティングロールへの密着時間は4秒であった。
実施例1〜13、比較例1〜12についての評価結果を表1〜3に示す。
Figure 2011245812
Figure 2011245812
Figure 2011245812
実施例1〜13のシートは、各種特性が本発明で規定した範囲内にあったため、離型フィルムとしての要求性能を全て満足し、特に、高温熱プレス時の離型性および埋込性に優れるため精密なパターンを有するプリント基板にも対応でき、かつ、アウトガスも少なく耐汚染性にも優れるものであった。
比較例1は、実施例1〜13とは反対に、離型層がイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、柔軟層がポリエステル系エラストマーであったため、埋込性は良好であったが、製膜時において離型層の結晶性が低く、結晶化が不充分で離型性や耐熱性に劣っていた。
比較例2,3は、柔軟層[(B)層]として機能する樹脂が結晶性の高いポリエステル(C−2)(C−1)であり、製膜時に結晶化したため、離型性や耐熱性は良好であったが、埋込性に劣っていた。
比較例4、6は、柔軟層である(B)層の結晶化熱量が低すぎたために、埋込性は良好であったが、離型性、耐熱性に劣り、特に穴詰まりが顕著であった。
比較例5は、柔軟層である(B)層の結晶化開始温度、および結晶化ピーク温度が低かったため、離型性や耐熱性は良好であったが、埋込性に劣っていた。
比較例7は、柔軟層である(B)の結晶化開始温度、および結晶化ピーク温度が高かったために、埋込性は良好であったが、離型性や耐熱性に劣っていた。
比較例8は、離型層である(A)層のガラス転移温度が高すぎたために、耐熱性や離型性は良好であったが、埋込性に劣っていた。
比較例9は、離型層である(A)層のガラス転移温度が低すぎたために、埋込性は良好であったが、耐熱性や離型性に劣り、フィルムのコシが弱く、製膜作業性に劣っていた。
比較例10は、ポリエステル系エラストマー単層であり、支持層および柔軟層として機能する共重合ポリエステル(B)層を有していなかったため、フィルムのコシが弱く、製膜作業性に劣り、また、熱プレス時における柔軟性が不足したため、埋込み性も不充分であった。
比較例11は、共重合ポリエステル単層であり、製膜時における結晶化が不充分であったため、埋込性は良好であったが、離型性や耐熱性に劣っていた。
比較例12は、離型フィルムとして広く使用されているポリメチルペンテンからなるフィルムであったが、アウトガス発生量が実施例のフィルムの約10倍と著しく多く、耐汚染性に劣り、さらに柔軟すぎるために穴詰まりが見られた。

Claims (4)

  1. ポリエステル系エラストマー(A)層と、共重合ポリエステル(B)層とを有し、ポリエステル系エラストマー(A)層は、表層に配されるとともに、ガラス転移温度が0〜20℃、かつ結晶化速度指標が20〜50℃であり、共重合ポリエステル(B)層は、昇温時の結晶化開始温度が100〜140℃、昇温結晶化ピーク温度が130〜185℃、かつ昇温結晶化熱量が15〜40J/gであることを特徴とする離型フィルム。
  2. ポリエステル系エラストマー(A)が、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
  3. 共重合ポリエステル(B)が共重合ポリエチレンテレフタレートであり、共重合するジカルボン酸成分がイソフタル酸および/またはダイマー酸であることを特徴とする請求項1または2記載の離型フィルム。
  4. 積層フィルムの構成が、ポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル(B)層/ポリエステル系エラストマー(A)層の2種3層、またはポリエステル系エラストマー(A)層/共重合ポリエステル(B)層の2種2層であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の離型フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015202662A (ja) * 2014-04-16 2015-11-16 住友ベークライト株式会社 離型フィルムの製造方法
JP2016112729A (ja) * 2014-12-12 2016-06-23 住友ベークライト株式会社 離型フィルム
JP2017109306A (ja) * 2015-12-14 2017-06-22 住友ベークライト株式会社 離型フィルム

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