JP5684689B2 - ポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とし、共重合成分として脂肪族ダイマー酸と長鎖のアルキレングリコールを用いたポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。
ところで、特許文献1〜4には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートの改質を目的に、繰り返し単位の一部に、ダイマー酸や脂肪族ポリエステルを組み込むことが提案されている。しかしながら、実際には融点やガラス転移温度の低下が激しく耐熱性などが求められる用途などには、その展開が厳しく制限されるものでしかなかった。
特公昭57−48577号公報 特公昭54−15913号公報 特開平4−91123号公報 特許第3110168号公報
本発明の目的は、耐加水分解性に優れながらも実用上必要な耐熱性を有して、製膜などの成形性をも有するポリエステルおよびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、特定の脂肪族ポリエステルを、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルに組込み、さらにその結合状態を特定の範囲に制御することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、酸成分が芳香族ジカルボン酸成分(成分A)と脂肪族ダイマー酸成分(成分B)とからなり、グリコール成分がエチレングリコール成分(成分C)と炭素数6〜10のアルキレングリコール成分(成分D)とからなるポリエステルであって、
成分Aと成分Bのモル比が70:30〜90:10の範囲で、成分Cと成分Dのモル比が80:20〜95:5の範囲にあること、そして
成分Cと結合している成分B(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、40:60〜60:40の範囲にあるポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、成分Cのモル数を基準として90モル%以上であること、成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜60:40の範囲にあること、成分Aがテレフタル酸成分または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のいずれかであること、成分Bが分子量200以上の脂肪族ダイマー酸成分であることの少なくともいずれか一つをさらに具備するポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムも提供される。
本発明によれば、耐加水分解性に優れ、実用に十分な耐熱性を有するポリエステルを得ることができ、及びそれを用いたポリエステルフィルムを提供できる。
本発明のポリエステルおよびポリエステルフィルムを説明するにあたって、まず成分A、成分B、成分Cおよび成分Dを説明する。
<成分A>
本発明における成分Aは芳香族ジカルボン酸成分であり、具体的には、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分などが挙げられる。力学的特性の点からテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分とが好ましく、さらに耐熱性もより高度にできることから、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。
<成分B>
本発明における成分Bは脂肪族ダイマー酸成分である。耐熱性と湿度変化に対する寸法安定性の点から、成分Bの数平均分子量は200以上であることが好ましい。一方、数平均分子量の上限は特に制限されないが、反応のしやすさなどの点から400以下であることが好ましい。好ましい数平均分子量の下限は220以上、さらに240以上であり、好ましい数平均分子量の上限は350以下、さらに300以下である。
なお、具体的な脂肪族ダイマー酸としては、炭素数5〜20の直鎖状アルキレン基の両末端に水酸基がそれぞれ付加した構造が挙げられ、前記直鎖状アルキレン基の水素の一部が、炭素数1〜4のアルキル基に置換されたものも好ましく挙げられる。
<成分C>
本発明における成分Cはエチレングリコール成分である。
<成分D>
本発明における成分Dは炭素数6〜10のアルキレングリコール成分であり、具体的には、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールが挙げられ、これらの中でも1,6−ヘキサンジオールが本発明の効果の点から好ましい。
<ポリエステル>
本発明のポリエステルは、酸成分が主として前記成分Aと前記成分B、グリコール成分が主として前記成分Cと前記成分Dからなるものである。
本発明において、前記成分Aと成分Bのモル比は70:30〜90:10の範囲である。前記範囲にあることで、耐熱性と耐加水分解性とを高度に発現させることができる。好ましい前記成分Aと成分Bのモル比の下限は77:23、さらに75:25、上限は91:19、さらに85:15である。
また、本発明において、前記成分Cと成分Dのモル比は80:20〜95:5の範囲である。前記範囲にあることで、耐熱性と耐加水分解性とを高度に発現させることができる。好ましい前記成分Cと成分Dのモル比の下限は82:18、さらに85:15、上限は92:8、さらに90:10である。
ところで、本発明の特徴の一つは、上記の通り、少量の成分Bと成分Dを共重合したものでありながら、成分Bと成分Dとが直接結合している割合を極めて高くし、それによって耐熱性をより高度に具備させたことにある。すなわち、本発明のポリエステルは、成分Cと結合している成分Bの割合(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、モル比で40:60〜60:40の範囲であることが耐熱性の点から必要である。好ましい成分Bと成分Bとのモル比は、下限が45:55であり、上限が55:45である。このような結合の状態は、後述の製造方法などを採用することで、調整できる。
また、本発明のポリエステルは、耐熱性の点から、成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、成分Cのモル数を基準として90モル%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、過度にエステル交換反応などを抑制しなくてもよくなることから、98モル%以下、さらに95モル%以下が好ましい。好ましい成分Cの割合の下限は、91%以上である。このような結合の状態は、後述の製造方法などを採用することで、調整できる。
さらにまた、本発明のポリエステルは、耐熱性の点から、成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜60:40の範囲にあることが好ましい。好ましい成分Dと成分Dとのモル比は、下限が45:55であり、上限が55:45である。このような結合の状態は、後述の製造方法などを採用することで、調整できる。
本発明のポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分を共重合しても良いし、また、ポリエーテルイミドや液晶性樹脂などをブレンドして組成物としてもよい。なお、共重合する場合は、耐熱性の点から、全酸成分のモル数を基準として、10モル%未満、さらに5モル%未満であることが好ましい。
本発明のポリエステルは、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が好ましくは0.4〜1.5dl/g、より好ましくは0.5〜1.3dl/gの範囲である。
本発明のポリエステルは、DSCで測定した融点が、200〜280℃の範囲、さらに220〜270℃の範囲、特に240〜260℃の範囲にあることが製膜性の点から好ましい。融点が上記上限を越えると、溶融押し出しして成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、上記下限未満になると、製膜性は優れるものの、芳香族ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなる。
また、本発明のポリエステル樹脂は、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、耐熱性の点から65℃以上であることが好ましい。上限は製膜性などの点から140℃以下であることが好ましい。好ましいTgの下限は70℃、さらに80℃、特に90℃である。また、好ましいTgの上限は120℃である。このような融点やガラス転移温度は、成分A、成分B、成分C、成分Dの種類や割合、さらに後述の製造方法による成分A〜Dの結合の状態、そして副生物の制御などによって調整できる。
<ポリエステルの製造方法>
つぎに、本発明におけるポリエステルの製造方法について、以下で説明する。
まず、成分A〜Dの原料を用意する。具体的には、成分Aの原料として芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、成分Bの原料として脂肪族ダイマー酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、成分Cの原料としてエチレングリコールを、成分Dの原料として炭素数6〜10のアルキレングリコールを用意する。そして、これら成分A〜Dの原料を、エステル化反応もしくはエステル交換反応を経由し、重縮合反応させればよい。ただ、これら成分A〜Dの原料を、最初から所望の割合で混合して反応させるだけでは、前述の組成や結合状態にすることは困難であり、以下、成分Aの原料として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、成分Dとして、1,6−ヘキサンジオールを用いた場合を例にとって説明する。
まず、前述の結合状態とするために、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと過剰のエチレングリコールとをエステル交換反応させて2,6−ナフタレンジカルボン酸にエチレングリコールが2つ付加したポリエステル前躯体E(2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチレングリコールエステル)と、脂肪族ダイマー酸と過剰の1,6−ヘキサンジオールとをエステル化反応させて、脂肪族ダイマー酸に1,6−ヘキサンジオールが2つ付加したポリエステル前躯体Fを作成する。なお、このポリエステル前躯体EとFとは、単量体に限らず、それらが2個以上連結した二量体や三量体であってもよい。
そして、このポリエステル前躯体Eとポリエステル前躯体Fとを、所望の分子量になるまで重縮合反応させることで、製造できる。なお、重縮合反応中にエチレングリコールと1,6−ヘキサンジオールなどの成分Dとが分子鎖から外れて再生成される。このとき、エチレングリコールに比べ1,6−ヘキサンジオールなどの成分Dは蒸発しやすく、反応系の外に流出しやすい。そのため、1,6−ヘキサンジオールなどの成分Dの仕込み量は、所望とする共重合量に比べて、やや過剰に仕込んでおくことが好ましい。
なお、ポリエステル前躯体EやFを製造する際のエステル化反応やエステル交換反応の条件(温度、圧力、時間、触媒種)は、それ自体公知のものを採用できる。
また、本発明のポリエステルは、上記のような方法で製造できるが、例えば成分Bと成分Dの割合を目標よりも多いポリエステルを用意し、成分Bと成分Dの割合の少ないポリエステルとを用意し、それらを溶融混練させて所望の組成のポリエステルとしたものであっても良いし、そのようにすることで生産効率よく、成分A,成分B、成分Cおよび成分Dの割合が異なるポリエステルを製造することもできる。
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、前述のポリエステルを溶融製膜して、シート状に押出すことで得られる。
本発明のポリエステルフィルムは、優れた寸法安定性を発現するため、フィルム面方向における少なくとも一方向に延伸された配向ポリエステルフィルムであることが好ましく、さらに製膜方向と幅方向の両方向に延伸された二軸配向ポリエステルフィルムであることがさらに好ましい。
ところで、本発明のポリエステルフィルムは、磁気テープなどのベースフィルムとして用いる場合、優れた寸法安定性を発現するため、フィルム面方向における少なくとも一方向は、ヤング率が6.0GPa以上であることが好ましい。しかも、このように高いヤング率を有することで、湿度膨張係数と温度膨張係数をより低く抑えることができる。ヤング率の上限は制限されないが、通常11GPaである。好ましいヤング率は、フィルムの長手方向が5.1〜11GPa、さらに5.2〜10GPa、特に5.5〜9GPaの範囲であり、フィルムの幅方向が5.0〜11GPa、さらに6〜10GPa、特に7〜10GPaの範囲である。
さらに本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい態様について、詳述する。本発明のポリエステルフィルムは、前述の本発明のポリエステルからなるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤(粒子やワックスなど)、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合してポリエステル樹脂組成物としても良い。他種熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。特に耐熱性を上げる観点から、ガラス転移温度の高い他の熱可塑性ポリマーなどを含有させることは好ましい態様といえる。
本発明のポリエステルフィルムは、前述の通り、製膜方向または幅方向に延伸して、その方向の分子配向を高めた配向ポリエステルフィルムであることが好ましく、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
まず、上述の本発明のポリエステル、もしくは溶融混練する前の成分(A)と成分(C)の多いポリエステルと、成分Bと成分Dの多いポリエステル樹脂とを原料とし、これを乾燥後、該ポリエステル樹脂の融点(Tm:℃)ないし(Tm+50)℃の温度に加熱された押出機に供給して、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出す。この押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化して未延伸フィルムとし、さらに該未延伸フィルムを延伸する。このとき、溶融混練の間に過度にエステル交換反応が進んでしまわないように注意する。
なお、前述のヤング率を好ましい範囲にするには、その後の延伸を進行させやすくすることが必要であり、そのような観点から冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行なうことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことが可能となる。
なお、二軸延伸の場合、その延伸方法は、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は共重合芳香族ポリエステルのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用いる用途に応じて適宜選定すればよいが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いる場合、10μm以下、さらに8μm以下が好ましく、厚みの下限は特に制限されないが、1μm以上、さらに3μm以上が好ましい。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
本発明のポリエステルフィルムは、単層フィルムに限られず、積層フィルムであってもよく、その場合は、少なくとも一つのフィルム層が本発明の二軸配向ポリエステルフィルムであれば良い。具体的な作り方としては、例えば2種以上の溶融ポリエステルをダイ内で積層してからフィルム状に押出し、好ましくはそれぞれのポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で押出すか、2種以上の溶融ポリエステルをダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとし、ついで前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うとよい。
また、本発明ポリエステルフィルムは、接着性や滑り性を向上させるために、それ自体公知の塗布層を設けても良い。塗布層を設ける場合は、前記した未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を塗布し、後は前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うのが好ましい。
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、他方の面にバックコート層が形成することなどで磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点と融点は、DSC(TAインスツルメンツ(株)製、商品名:DSC2920)によりサンプル重量20mg、昇温速度10℃/minで測定した。
(3)共重合量
グリコール成分については、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後にH−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、13C−NMR(日本電子製 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(4)(成分B)(成分B)(成分C)(成分D)および(成分D)の割合
試料60mgをP−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1の混合溶媒に140℃で溶解した。完全に溶解したことを確認後、13C−NMRを140℃で測定し、各成分のピーク面積比から求めた。
(5)製膜性
ポリエステルを、押し出し機に供給して300℃(平均滞留時間:20分)でダイから溶融状態で回転中の温度55℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度がTg+25℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、横延伸温度Tg+30℃で横延伸倍率3.5倍、熱固定処理(205℃で10秒間)および冷却を行い、厚さ4.5μmの二軸延伸フィルムを得た。
この際、1000m以上の切断することなく製膜できたものを製膜性○、できなかったものを製膜性×とした。
(6)末端カルボキシル基量(COOH量(eq/Ton))
得られた共重合芳香族ポリエステルを定量し、それをベンジルアルコール中で加熱溶解し、フェノールレッドおよびNaOH水溶液を滴下した。溶液が黄色から赤色に変色する中間点におけるNaOH水溶液量からカルボキシル基濃度を算出した。測定は室温で行い、1トン当りの当量として、eq/Tで示した。また、ポリマーの耐加水分解性を評価するため、得られた共重合芳香族ポリエステルを0.5mm程度の大きさに粉砕した後に、140℃で3時間加熱して結晶化させた。その後、プレッシャークッカーにて140℃、湿度100%RHの条件下で24時間の加速寿命試験を行い、試験後のCOOH量を測定した。そして、加速寿命試験後のCOOH量と加速寿命試験を行う前のCOOH量とから、加速寿命試験によって増加した末端カルボキシル基量を求めた。増加した末端カルボキシル基量が少ないほど、ポリマーの耐加水分解性に優れると判断した。
[実施例1]
エステル交換反応容器に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、酢酸マンガン(2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル数を基準として30mmol%)を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル数を基準として50mmol%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて5分後に、重縮合触媒として三酸化アンチモンを添加し(2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル数を基準として20mmol%)、240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させて、ポリエステル前躯体E1を作成した。
一方、脂肪族ダイマー酸として、下記式(A)で示される分子量258のダイマー酸を用意し、1,6−ヘキサンジオールと酢酸マンガンを仕込み、反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成する水を反応容器外へ留出させた。
HO(O)C-CH2CH2CH2CH(CH2CH3)CH(CH2CH3)CH2CH2CH2-C(O)OH (A)
水の留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸を添加し、エステル化反応を終了させた。続いて5分後に、重縮合触媒として三酸化アンチモンを添加し(ダイマー酸のモル数を基準として20mmol%)、240℃まで加熱して一部の1,6−ヘキサンジオールを留出させて、ポリエステル前躯体F1を作成した。
このようにして得られたポリエステル前躯体E1とF1とを、内部に撹拌翼を有する重縮合装置に移行した。この際、両者の重量比を70:30となるように仕込んだ。その後、10分間溶解攪拌させた後に、徐々に真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を290℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を40Paに保ち、重縮合反応(PN反応と略す)を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[実施例2]
ポリエステル前躯体E1とF1との仕込みを、重量比55:45となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[実施例3]
ポリエステル前躯体E1とF1との仕込みを、重量比80:20となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、1,6−ヘキサンジオールの代わりに、1,8−オクタンジオールを用いたほかは、同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、ポリエステル前躯体E1の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの代わりに、テレフタル酸ジメチルを用いたほかは、同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[比較例1]
ポリエステル前躯体F1の添加のタイミングを、実施例1におけるポリエステル前躯体E1のEI反応の始めに変更し、その際の添加量を30重量%から33重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[比較例2]
ポリエステル前躯体E1とF1との仕込みを、重量比45:55となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[比較例3]
ポリエステル前躯体E1とF1との仕込みを、重量比90:10となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[比較例4]
ポリエステル前躯体E1とF1との仕込みを、重量比100:0となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
[比較例5]
実施例1において、1,6−ヘキサンジオールの代わりに、1,4−ブタンジオールを用いたほかは、同様な操作を繰り返した。得られたポリエステルの固有粘度は0.62dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性およびフィルムに製膜したときの製膜性と耐加水分解性とを表1に示す。
Figure 0005684689
表1中の、検出量の成分Aは芳香族ジカルボン酸成分、成分Bはダイマー酸成分、成分Dは炭素数6〜10のアルキレングリコール成分、成分Cはエチレングリコール成分、DEGはジエチレングリコール成分、成分Bは成分Cと結合している成分B、成分Bは成分Dと結合している成分B、成分Cは成分Aとのみ結合している成分C、成分Cは成分Bとも結合している成分C、成分Dは成分Aと結合している成分D、成分Dは成分Bと結合している成分D、Tgはガラス転移温度、MDはフィルムの製膜方向、TDはフィルムの幅方向を示す。
本発明のポリエステルおよびそれを用いたポリエステルフィルムは、耐加水分解性と耐熱性に優れ、それらの特性が要求されるフィルムなどの用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 酸成分が芳香族ジカルボン酸成分(成分A)と脂肪族ダイマー酸成分(成分B)とからなり、グリコール成分がエチレングリコール成分(成分C)と炭素数6〜10のアルキレングリコール成分(成分D)とからなるポリエステルであって、
    成分Aと成分Bのモル比が70:30〜90:10の範囲で、成分Cと成分Dのモル比が80:20〜95:5の範囲にあること、そして
    成分Cと結合している成分B(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、40:60〜60:40の範囲にあることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、成分Cのモル数を基準として90モル%以上である請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜60:40の範囲にある請求項1記載のポリエステル樹脂。
  4. 成分Aがテレフタル酸成分または2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のいずれかである請求項1記載のポリエステル樹脂。
  5. 成分Bが分子量200以上の脂肪族ダイマー酸成分である請求項1記載のポリエステル樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルム。
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