JP4655409B2 - 成形用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形用積層ポリエステルフィルムに関するものである。詳しくは金属、木材、紙、樹脂などの表面被覆やラミネート成形、カップ、パックなどの容器への成形加工やエンボス加工に好適な成形用積層ポリエステルフィルムに関するものである。また、射出成形等において、成形と同時に印刷するインモールド転写成形などに用いられる転写印刷用支持フィルム等の工程用フィルムとして好適な成形用積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属、木材、紙、樹脂などの表面を被覆して用いられる化粧シートなどは、加工性などの点から、代表的なものとしてポリ塩化ビニルフィルムが使用されてきた。しかしながら、ポリ塩化ビニルには、ポリマーの構成成分の中にハロゲン元素が含有されているため、焼却時や火災などにより燃焼した際のにダイオキシンなどの有毒成分の発生や可塑剤のブリードアウトなどの問題があるため、近年の環境負荷低減の声の高まりと共に新しい素材が求められてきている。
【0003】
また、家具、建材、電化製品、自動車内装品、容器などのプラスチック製品や金属の表面を被覆して用いられる化粧シートや、表面へ成形時などに図柄を施す転写印刷用フィルムあるいは転写印刷時に用いられる支持フィルムは、製品の寿命延長や取扱い性、デザイン等へのニーズの多様化により、さらに複雑な立体形状への成形やラミネート後の折り曲げ加工、エンボス加工、深絞り成形に耐えうるものが求められてきている。
【0004】
これに対して、特開平3−67628号公報では、150℃での加工性を改良した成形用二軸延伸ポリエステルフィルムが提案されている。また、A−PETフィルムと呼ばれるアモルファスポリエチレンテレフタレートフィルムが、伸度、耐溶剤性の点から提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平3−67628号公報の成形用二軸延伸ポリエステルフィルムでは、低温での成形性の点で満足できるものではなく、A−PETフィルムと呼ばれるアモルファスポリエチレンテレフタレートフィルムでは、成形、加工時の応力が高い問題があり、応力を低下させるために高温で成形すると軟化によるフィルムのしわや結晶化による白化が生じ、かつ接着性が失われるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解消し、環境性に優れるだけでなく、成形性、接着性に優れた成形用積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、炭素数2〜4のグリコール成分から選ばれる少なくとも2種以上のグリコール成分とジカルボン酸成分とからなるポリエステルAからなる層(A層)の少なくとも片面に、結晶融解熱量20J/g以下の樹脂Bからなる層(B層)を積層した成形用積層ポリエステルフィルムであって、
ポリエステルAが、ポリエチレンテレフタレート80〜20重量%と、ポリプロプレンテレフタレート20〜80重量%から構成される組成物である成形用積層ポリエステルフィルムによって達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、好ましい実施の形態とともに詳細について説明する。
【0009】
本発明においてA層に用いるポリエステルAは、炭素数2〜4のグリコール成分から選ばれる少なくとも2種以上のグリコール成分とジカルボン酸成分とから主に構成される必要がある。ここで主に構成されるとは、上記成分が80モル%以上であることであり、好ましくは85モル%以上、とくに好ましくは90モル%以上である。
【0010】
グリコール成分が一種のみからなるポリエステルであると、成形時の応力が大きく、希望の形状への成形ができなかったり、成形時にフィルムが破断する場合があり好ましくない。
【0011】
また、炭素数が5以上のグリコール成分は含んでも良いが、炭素数5以上のグリコール成分がグリコール成分中の20モル%を越えると、例えば脂肪族グリコールの場合、フィルム作製時あるいは成形時に結晶化が進行し、成形性が不良となるとともに白化しやすく、また脂環族グリコールの場合では、耐溶剤性が低下し印刷性が不良となるため好ましくない。
【0012】
本発明においてA層に用いるポリエステルAを構成する全グリコール成分の90モル%以上は、炭素数2〜4のグリコール成分であることがより好ましい。
【0013】
炭素数2〜4のグリコール成分として、具体的にはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールを用いることができる。印刷性、耐白化性を良好にする点からは、ポリエステルAの全グリコール成分の50〜90モル%はエチレングリコールであることが好ましい。
【0014】
また、成形性を良好にする点から、ポリエステルAの全グリコール成分の10〜50モル%がプロパンジオールおよび/またはブタンジオールであることが好ましい。
【0015】
また、100℃以下の低温成形性を良好にする点から、ポリエステルAの全グリコール成分の10〜45モル%がプロパンジオールおよび/またはブタンジオールであることがより好ましく、15〜40モル%がプロパンジオールおよび/またはブタンジオールであることがさらに好ましい。
【0016】
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、その他のグリコール成分を併用しても良い。例えば、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができ、これらは全グリコール成分の10モル%未満で用いることが好ましい。
【0017】
次に、ポリエステルAを構成するジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0018】
耐熱性、成形性、加工性、印刷性の点で、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などが好ましく用いられる。
【0019】
また、ポリエステルAは、炭素数2〜4のグリコール成分から選択される少なくとも2種以上のグリコール成分とジカルボン酸成分からなる構成であれば、上述した構成成分からなる共重合体であっても、異なるグリコール成分から構成される2種以上のポリエステルの混合体であってもよく、さらには一部が共重合された混合体であっても良い。耐熱性、耐白化性、耐溶剤性を良好とする点から、2種以上のポリエステルの混合体であることがより好ましく、混合する主たるポリエステルがポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートであることがさらに好ましい。
【0020】
本発明に係るポリエステルAの融点(結晶融解曲線のピーク点温度)は、耐熱性の点から240℃以上であることが好ましく、245℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。ここで、融点とは、フィルム(5mg)を示差走査熱量計(DSC)において窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度で測定したときのDSC曲線から求められる吸熱曲線の極小点の温度を言う。なお、一つの吸熱曲線に部分的に重なるショルダーピークも融点とする。
【0021】
また、ポリエステルAの固有粘度は、成形性、耐白化性の点から0.6〜1.2であることが好ましく、0.65〜1.0であることがより好ましく、0.7〜1.0であることがさらに好ましい。
【0022】
次に、本発明においてB層に用いる樹脂Bとしては、結晶融解熱量が20J/g以下の樹脂であればとくに限定されないが、たとえば結晶融解熱量が20J/g以下であるポリエステル、アクリル樹脂などが挙げられる。製膜性などの点から、ポリエステルが好ましい。結晶融解熱量が20J/g以下であるポリエステルとしては、シクロヘキサンジメタノールやレゾルシンエチレンオキサイド付加物などを用いた共重合ポリエステルなどの非晶質ポリエステル、イソフタル酸などを用いた共重合ポリエステルなどの低結晶性ポリエステル、各種添加剤を添加した改質ポリエステルなどが挙げられる。これらは2種以上を使用してもかまわない。また、樹脂Bの成分として、ポリエステルAの構成成分の一部を使用してもかまわない。
【0023】
樹脂Bの結晶融解熱量は、接着性などの点から20J/g以下であることが必要である。結晶融解熱量が15J/g以下であることがより好ましく、10J/g以下であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明の成形用積層ポリエステルフィルムは、80℃におけるフィルムの弾性率が100MPa以下であることが、成形性を良好にする点から好ましい。ここで、フィルムの弾性率は、10mm幅、100mm長さのフィルムを300mm/分で伸長した際のフィルム長手方向および横方向の弾性率の平均値である。80℃における弾性率が50MPa以下であることがより好ましく、30MPa以下であることがさらに好ましい。
【0025】
また、本発明の成形用積層ポリエステルフィルムは、80℃におけるフィルムの破断伸度が800%以上であることが、成形性を良好にする点で好ましい。ここで、フィルムの破断伸度は、10mm幅、100mm長さのフィルムを300mm/分で伸長した際のフィルム長手方向および横方向の破断伸度の平均値である。80℃における破断伸度が900%以上であることがより好ましく、1000〜2000%であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの厚さは、成形性の点から10〜2000μmであることが好ましく、20〜1000μmであることがより好ましい。
【0027】
本発明のフィルムを構成するA層の厚みは特に限定されないが、耐溶剤性などの点から10〜2000μmであることが好ましく、20〜1000μmであることがより好ましい。
【0028】
また、B層の厚みは特に限定されないが、成形性、柔軟性の点から、0.001〜10μmとすることが好ましく、さらに0.01〜5μmであることがより好ましい。
【0029】
B層の厚みは、フィルム全体の厚みの30%以下であることが柔軟性、成形性を良好にする上で好ましく、特に20%以下が好ましい。
【0030】
A層とB層の積層構成はとくに限定されず、たとえばA/B、A/B/A、B/A/Bなどの構成が挙げられるが、成形性の点から両面に積層したB/A/B積層構成であることが好ましい。ここで、/は、積層を表す。
【0031】
また、A層、B層に加えて、それ以外の層(C層とする)を一層以上積層してもよく、C層を二層以上含む場合はC層に使用する材料は各々異なっていてもよい。積層構成としてはとくに限定されず、たとえばA/B/C、C/A/C、C/B/C、C/B/A/B/C、B/C/A/C/B、C/B/A/B、B/C/A/Cなどの構成を挙げることができる。
【0032】
次に、本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの製造方法を説明する。
【0033】
本発明に用いるポリエステルAは、酸成分とグリコール成分等を用いて次のような方法で製造することができる。
【0034】
例えば、酸成分をグリコール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のグリコール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとグリコール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法がある。
【0035】
この際、必要に応じて、反応触媒としてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、亜鉛化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等を用いることができる。
【0036】
ポリエステルAとして、異なるグリコール成分から構成される2種以上のポリエステルを使用する場合、それらを混合する方法としてはとくに限定されないが、たとえばフィルム製造の際の押出機供給時にそれぞれのポリエステルをブレンドして供給する方法や、押出機などであらかじめ溶融混合したものを供給する方法などを用いることができる。
【0037】
また、本発明で使用する樹脂Bの製造方法は、とくに限定されず、公知の方法を使用することができる。
【0038】
本発明において、ポリエステルAおよび/または樹脂Bには、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、末端封鎖剤、さらに脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。さらに、用途に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては、特に制限されないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマ類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等が失活して形成されるいわゆる内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
【0039】
無機粒子、有機粒子などの粒子を配合する場合、配合する量としては、ポリエステルAまたは樹脂B 100重量部に対して0.05〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。また配合する粒子の重量平均粒子径としては、0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。このような粒子は、種類、粒子径の異なる複数のものを併用してもよい。
【0040】
本発明に使用するポリエステルA、樹脂Bから本発明の成形用積層ポリエステルフィルムを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、以下の方法で製造することができる。
【0041】
すなわち、ポリエステルAおよび/または樹脂Bを必要に応じて乾燥した後、単軸または二軸の押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムを得る。このとき口金のスリット幅、ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転数を調整することによって、所望の厚さの未延伸フィルムを得る。ここで得られた未延伸フィルムは、本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの1態様である。また同様にして、以下に記す未延伸フィルムまたは延伸フィルムは、本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの好ましい態様である。
【0042】
A層とB層を積層する方法としては特に限定されるものではなく、たとえばA層となるポリエステルAとB層となる樹脂Bをそれぞれ別々の押出機に供給して溶融押出し、口金マニホールド部分または口金上部に設置したフィードブロックで積層して得る方法や、A層またはB層のみからなるフィルムを予め別々に製膜し、加熱ロール上で重ね合わせてラミネートする方法、ポリエステルAからなるフィルムに樹脂Bをコーティングする方法などが挙げられる。
【0043】
ここで、キャストドラム上にシートを押し出す際、キャスティングドラムへ該シートを密着させる方法としては特に限定されるものではないが、静電印加法、水等の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、ニップロールキャスト法等のうちいずれかの方法、もしくは2つ以上の方法を組み合わせた方法を用いることが好ましい。なかでも、平面性が良好でかつ表面欠点の少ない未延伸フィルムを得る方法として、水等の表面張力を利用した密着キャスト法または静電印加法、ニップロールキャスト法が好ましく、フィルムの厚みムラ低減の点ではニップロールキャスト法が特に好ましい。
【0044】
ここで、ニップロールキャスト法とは、シート状に押出した溶融ポリマーをニップロールとキャスティングドラムの間に落下、ニップロールによりドラムに密着させ冷却固化し、未延伸フィルムを得る方法である。このようにして得られた未延伸フィルムは、ロールシート状に巻き取り本発明のフィルムとすることができる。
【0045】
常温での成形性、加工性が要求される用途においては、未延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0046】
未延伸フィルムには、各種コーティングやコロナ処理、火炎処理、プラズマ放電処理などの表面処理を施すことが出来る。例えばコーティングする場合、塗布化合物、塗布方法、塗布厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
【0047】
次に、未延伸フィルムは、耐熱性や成形後の強度を向上させる等の目的で、必要に応じて、一軸延伸あるいは同時または逐次二軸延伸することができる。逐次二軸延伸の場合、その延伸順序はフィルムの長手方向、幅方向の順、あるいはこの逆としてもよい。さらに逐次二軸延伸においては、長手方向あるいは幅方向の延伸を2回以上行うことも可能である。
【0048】
フィルムの長手方向および幅方向の延伸倍率は、目的とするフィルムの成形性、強度等に応じて、それぞれ任意に設定することができる。好ましくは1.5〜5.0倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。
【0049】
また、延伸温度はとくに限定されないが、通常ポリエステルAまたは樹脂Bのガラス転移温度以上結晶化温度以下の範囲の任意の温度とするのが好ましい。とくに、50〜150℃が好ましい。
【0050】
フィルムを二軸延伸した後、強度、耐熱性の向上を目的に熱処理を行ってもよい。熱処理は、オーブン中、加熱されたロール上等、任意の方法で行うことができる。熱処理条件は、延伸温度以上ポリエステルAまたは樹脂Bの軟化点以下の任意の温度とすることが好ましい。ここで熱処理時間は、任意の時間とすることができる。熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
【0051】
また、フィルムの延伸前または延伸後、巻き取った後、あるいはその途中の工程において、フィルムにコロナ放電処理や離型剤等の塗布を行っても良い。
【0052】
本発明の成形用積層ポリエステルフィルムは、この積層フィルム単体で、あるいは、金属や非金属素材層と積層後、成形して、好ましく用いられる。
【0053】
ここで使用する金属としてはとくに限定されないが、たとえばスチール、アルミ、各種合金が、また非金属素材としては、たとえば紙、不織布、ガラス、ポリマー素材(発泡ポリマーなど)が好ましく用いられる。さらに積層構成において、金属や非金属素材の層との間に接着層、印刷層などが形成されていてもよい。
【0054】
本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの成形方法としては特に限定されず、たとえばラミネート成形加工、真空成形、圧空成形、絞り成形、折り曲げ成形などがあり、これらの成形加工は単独または複数で施してもよい。
【0055】
本発明の成形用積層ポリエステルフィルムを使用した好ましい構成としては、汎用ポリエステルフィルム、印刷層、本発明の成形用積層ポリエステルフィルムを、この順で積層してなる意匠性フィルムは、上記した成形用途で好ましく使用できる。該意匠性フィルムは、未延伸フィルムであっても延伸フィルムであっても良いが、ポリエステル成分を合計で50重量%以上含有することが好ましい。ここで、印刷層とは、インキを含有する層を意味し、顔料とバインダーを含有する層を示す。例えば、グラビア印刷により印刷された顔料とバインダーを含有する層を言う。この意匠性フィルムの製造方法は、例えば、汎用ポリエステルフィルムの表面又は本発明の成形用積層ポリエステルフィルムの表面に印刷を行うことによって印刷層を形成し、次いで、印刷しなかった方のフィルムを、印刷層が中側に位置するように積層することによって製造することができる。
【0056】
その他の好ましい構成として、白色ポリエステルフィルム、印刷層、及び本発明の成形用積層ポリエステルフィルムをこの順で積層した積層フィルム、また、紙、不織布、発泡素材から任意に選択される層、印刷層、及び本発明の成形用積層ポリエステルフィルムをこの順で積層した積層フィルムは、合板、壁紙等に好適に使用できる。ここで、それぞれの層、フィルムの間には別の層が介在していてもよい。別の層としてはたとえば接着層、フィルム層、蒸着層などを挙げることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0058】
(1)フィルム試料の固有粘度
フィルム試料をオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25℃において測定した。
【0059】
(2)フィルム試料の融点(結晶融解ピーク温度)および融解熱量
セイコー電子工業(株)製 示差走査熱量計RDC220型を用い、フィルム試料5mgを採取し、窒素雰囲気下、−30℃で5分間保持後、20℃/分の昇温速度で測定したときのDSC曲線から求められる吸熱曲線の極小点を融点とした。一つの吸熱曲線に部分的に重なるショルダーピークも融点とした。また、ピーク面積より結晶融解熱量を求めた。ここで、積層フィルムについては、各層を片刃で削ることにより採取したサンプルを用いて測定を行った。
【0060】
(3)破断伸度および弾性率
オリエンテック社製テンシロン(引っ張り試験機)を用いて、80℃において測定した。測定は、フィルムを30秒間測定温度で保温し、引っ張り速度300mm/min、幅10mm、試料長50mmとして、フィルム長手方向、幅方向の破断伸度(%)および弾性率(MPa)をそれぞれ10点測定し平均値を求めた。
【0061】
(4)成形性
カップ型真空成形機で温度80℃にて、成形性を判断した。成形は、直径50mmのカップ型で絞り比1.0で行い、最も良好な温度条件で成形した際の状態を下記のように判定した。
◎:コーナーもシャープに成形され、成形後の厚みも均一であった。
○:コーナーにやや丸みがあるが、成形後の厚みは均一であった。
△:コーナーにやや丸みがあり、成形後の厚みがやや不均一であった。
×:成形後の厚みが不均一であり、しわ、破れが発生した。
◎○を合格と判定した。
【0062】
(5)耐溶剤性
耐溶剤性は、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンの各溶剤を脱脂綿に含ませ、成形後に表層となる面、すなわちB/A/B積層品についてはB層、B/A積層品についてはA層について、5回ラビングした後の外観を確認した。
◎:白化せず、受傷も見られない。
○:白化し、わずかに受傷が見られる。
△:白化し、激しく受傷。
×:侵され、溶解する。
◎○を合格と判定した。
【0063】
(6)接着性
熱接着は、B層のフィルムを印刷を施したA層のフィルムと重ね、2kgf/cm2の圧力を10秒間与える事によって行った。印刷は、A層のフィルムに大日本インキ工業株式会社製の塩化酢酸ビニル系のインキVCを#12のメタバーによって塗布し、60℃で1分間乾燥することにより行った。
上記の方法で接着したフィルムを、TP−701S HEAT SEAL TESTERで温度を100〜140℃まで変更し、B層と印刷面(A層に印刷したもの)との熱接着性を評価した。接着の状態は、下記のように評価した。
◎:完全に接着していて剥がれない
○:ほぼ接着され、剥離時に材料破壊を伴う
△:接着力が強く、強い力で剥ぐと剥がれる
×:簡単に剥がれる
◎○を合格と判定した。
【0064】
実施例1
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール65重量部、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウム0.1重量部、重縮合反応触媒としてアンチモン系0.05重量部を加え、150℃から235℃まで昇温しながらメタノールを系外に留出させエステル交換反応せしめた後、リン酸トリメチル0.05重量部を添加し、さらに平均粒径4.0μmのシリカ粒子0.2重量部を加え、235℃から290℃まで減圧下で昇温し重縮合反応を行い、固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレート(ポリエステル1)を得た。
テレフタル酸80重量部、1,3−プロパンジオール75重量部、エステル化反応触媒としてテトラブチルチタネート0.05重量部を加え、150℃から235℃まで昇温しながら水を系外へ留出させ、エステル化反応せしめた後、さらに重縮合反応触媒としてテトラブチルチタネート0.02重量部を加え、235℃から250℃まで減圧下で昇温し重縮合反応を行い、固有粘度0.85のポリプロピレンテレフタレート(ポリエステル2)を得た。
次いで、得られたポリエステル1,2をそれぞれ結晶化させ、150℃で4時間減圧(5torr以下)下で乾燥した後、ポリエステル1とポリエステル2を重量比80:20で混合し、押出し機アに供給し、280℃で溶融させたものをポリエステルA(A層の原料)とした。また三井化学(株)製のB−レジンB100(ポリエステル3)を押出機イに供給し、280℃で同様に溶融させたものを樹脂B(B層の原料)とした。押出し機ア、イから溶融押出しされたポリエステルを積層比 樹脂B/ポリエステルA/樹脂B=10/60/10(μm)に積層し、口金から吐出後、鏡面冷却ドラム上に静電印加キャストして冷却固化し、未延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1から分かるように、成形性、熱接着性、耐溶剤性に優れていることが分かった。
【0065】
実施例2
A層をポリエステル1とポリエステル2を重量比20:80で混合したものとし、B層をイソフタル酸17モル%共重合ポリプロピレンテレフタレート(ポリエステル4)に変更し、積層構成をB/A=10/70(μm)とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表1に示す。得られたフィルムは成形性、熱接着性、耐溶剤性に優れていた。
【0066】
実施例3
A層をポリエステル1とポリエステル2を重量比10:90で混合したものとし、B層をシクロヘキサンジメタノール30モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル5)とし、B層の溶融温度を270℃として積層構成をB/A=10/70(μm)とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表1に示す。得られたフィルムは成形性、熱接着性、耐溶剤性に優れていた。
【0067】
実施例4
A層をポリエステル1とポリエステル2を重量比95:5で混合したものとし、B層をポリエステル1とポリエステル5を重量比50:50で混合したものとし、B層の溶融温度を270℃とし、積層構成をB/A/B=10/60/10(μm)とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表1に示す。得られたフィルムは成形性、熱接着性、耐溶剤性に優れていた。
【0068】
比較例1
A層としてポリエステル1を使用し、A層のみの単膜構成とすること以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表2に示す。表2から分かるように得られたフィルムは成形性、熱接着性が不十分であった。
【0069】
比較例2
A層をポリエステル1とポリエステル2を重量比80:20で混合したものとし、B層をポリエステル1とし、積層構成をB/A/B=10/60/10(μm)とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表2に示す。結晶融解熱量が本発明の範囲を外れる樹脂を使用し得られたフィルムは成形性、熱接着性が不十分であった。
【0070】
比較例3
A層をポリエステル1と東レ(株)製のポリブチレンテレフタレート1100S(ポリエステル6)を重量比20:80で混合したもの、B層をポリエステル1とポリエステル6を重量比80:20で混合したものとし、積層構成をB/A/B=10/60/10(μm)とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。結果を表2に示す。結晶融解熱量が本発明の範囲を外れる樹脂を使用し得られたフィルムは成形性、熱接着性が不十分であった。
【0071】
【表1】
Figure 0004655409
【0072】
【表2】
Figure 0004655409
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、環境性に優れるだけでなく、成形性、接着性、印刷性に優れた成形用積層ポリエステルフィルムを得ることができる。本発明のフィルムは、表面被覆やラミネート、容器への成形やエンボス加工に好適な成形用フィルム、さらに転写印刷用支持フィルム等の工程用フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 炭素数2〜4のグリコール成分から選ばれる少なくとも2種以上のグリコール成分とジカルボン酸成分とからなるポリエステルAからなる層(A層)の少なくとも片面に、結晶融解熱量20J/g以下の樹脂Bからなる層(B層)を積層した成形用積層ポリエステルフィルムであって、
    ポリエステルAが、ポリエチレンテレフタレート80〜20重量%と、ポリプロプレンテレフタレート20〜80重量%から構成される組成物である成形用積層ポリエステルフィルム
  2. ポリエステルAの融点が240℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の成形用積層ポリエステルフィルム。
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