JP5127295B2 - 成型同時転写箔用ポリエステルフィルム - Google Patents

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本発明は、成型性および転写性に優れた成型同時転写箔用ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、しぼり率の高い射出成型等において、成型前の加熱に対する耐熱性、被転写体の表面形状への成型追従性および転写性に優れたインモールド成型同時転写箔用の基材フィルムとしてのポリエステルフィルムに関するものである。
従来、射出成型等において成型と同時に転写印刷する成型同時転写箔として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムや塩化ビニル系樹脂のフィルムをベースフィルムとして用い、ベースフィルムの表面に離型層を設け、さらにその上に印刷層を塗工した積層フィルムが用いられている。かかる積層フィルムは、成型転写の後に離型層面と印刷層面との間で分離される。すなわち、成型転写の後に印刷層は成型品の表面に接着して製品として取り出され、離型層はベースフィルムに残存した状態で成型後に取り除かれる。
これらフィルムの要求特性としては、成型性、耐熱性、転写性、寸法安定性、厚み均一性などが挙げられるが、なかでも最近は、家庭用電化製品、自動車内装品、台所用品、化粧容器、玩具類などの大型プラスチック成型品に使用することを目的として、成型時のしぼり率がますます高くなっており、それらに追従する成型性が必要とされている。かかる工程では、しぼり率が高いため成型前にフィルムを高温下で加熱処理するが、その時にフィルムが溶融することなく、また金型とフィルムの空間部における空気層の膨張に際して、フィルムが変形することなく十分耐えうる耐熱性を有することが求められている。従来、かかる用途に用いるフィルムとしては、特定の面配向度を有するポリエステルフィルム(特許文献1)、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを混合溶融したポリエステルフィルム(特許文献2)などが提案されているが、上記課題を全て解決できるものではなかった。
特開平7−237283号公報 特開平10−17683号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その解決課題は、十分な耐熱性、成形性および転写性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ジカルボン酸成分の70〜95モル%がテレフタル酸、5〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、グリコール成分の10〜60モル%が1,4−ブタンジオール、40〜90モル%がエチレングリコールである共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル組成物からなる層の両面にポリエチレンテレフタレート共重合体からなる層を積層した二軸配向ポリエステルフィルムであって、170℃で3分処理後のフィルムの加熱収縮率の縦方向と横方向の平均値が4.0〜15%であることを特徴とする成型同時転写箔用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、内層とその両面に層を有する、少なくとも3層からなる積層フィルムであって、全ての層が押出し機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出し法によって押出されたものを、延伸および熱処理されたものとして得られる。以下、共押出し3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は3層フィルムに限定されず、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
本発明において、内層の両面に接する層を構成するポリエチレンテレフタレート共重合体は、通常85〜95モル%がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げることができ、それらの中でもイソフタル酸を共重合成分とすることが好ましい。また、共重合させることのできるアルコール成分は、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分などが挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、内層を構成する共重合ポリエステルとは、酸成分の70〜95モル%がテレフタル酸、5〜30モル%が2,6-ナフタレンジカルボン酸、グリコール成分の10〜60モル%が1,4-ブタンジオール、40〜90モル%がエチレングリコールである共重合ポリエステルを指す。
また、本発明のフィルムの内層は上記共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル組成物からなり、共重合ポリエステル以外の一種以上のポリエステルを含有する。共重合ポリエステル以外のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであり、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコールが好ましい。また、かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重合体であってもよい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明のフィルムの内層を得る方法としては、共重合ポリエステルと他のポリエステルとをブレンドして、溶融混練りする方法が好ましく用いられる。本発明における共重合ポリエステルの含有量は40〜90重量%、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。40重量%未満では、しぼり率の高い成型加工時においてフィルムが破れたり成型追随性が損なわれたりするため好ましくない。一方、90重量%を超えると、耐熱性が損なわれ、成型前のフィルムを高温下で加熱処理する工程においてフィルムが溶融して破れが発生してしまう。また、フィルム製造時においても破断が多発し、延伸性が著しく悪化して生産性の低下をもたらすようになるため好ましくない。
本発明の内層を構成する共重合ポリエステルは、酸成分の70〜95モル%がテレフタル酸成分、5〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、好ましくは75〜90モル%がテレフタル酸、10〜25モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分から構成されるものである。かかる範囲外では、フィルムの寸法安定性が悪化して射出成型時にフィルムが収縮して成型品の外観が悪化するようになるため好ましくない。
また、内層を構成する共重合ポリエステルのグリコール成分の10〜60モル%が1,4−ブタンジオール成分、40〜90モル%がエチレングリコール成分、好ましくは20〜50モル%が1,4−ブタンジオール成分、好ましくは50〜80モル%がエチレングリコール成分から構成されるものである。かかる範囲外では、成型追従性が損なわれ、真空成型時にフィルムが破れるようになるので好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、耐ブロッキング性、フィルム製造時の巻き上げ工程や印刷工程等での作業性を向上させるため、フィルム表面を粗面化してフィルムに適度な滑り性を付与することが望ましく、少なくともポリエステルフィルムの最外層であるB層を構成するポリエステルには滑剤として平均粒径が0.1〜5.0μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば、0.01〜2.0重量%の割合で含有させることが好ましい。含有させる微粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。かかる微粒子の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、カオリン等の無機粒子や、アクリル樹脂、グアナミン樹脂等の有機粒子や触媒残渣を粒子化させた析出粒子を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
原料ポリエステルに対する前記各粒子の配合方法は、特に限定されないが、例えばポリエステルの重合工程に各粒子を添加する方法または原料ポリエステルと各粒子を溶融混練する方法などが好適である。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等を加えることもできる。
本発明のポリエステルフィルムの170℃で3分処理後の加熱収縮率(S)の縦方向と横方向の平均値は2〜15%、好ましくは2〜10%である。Sが2%未満では、成型性が低下し、また15%を越えると、成型加工工程における加熱時においてフィルムの縮みが大きく操作上好ましくない。
また、本発明において、ポリエステルフィルムの100℃における引っ張り破断伸度(EB)は160%以上、さらには180%以上、特に200%以上が望ましく、かつ引っ張り破断強度(FB)は75MPa以下、さらには70MPa以下、特に60MPa以下が望ましい。EBが180%未満あるいはFBが70MPaを超える場合は、特にしぼり率の高い深絞り成型時においてはフィルム破れなどのトラブルが発生する場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)は、0.020〜0.180の範囲であることが好ましく、0.030〜0.160の範囲であることがさらに好ましい。ΔPが、0.020未満では、フィルムの強度が低下し、平面性も悪化する傾向がある。一方、ΔPが0.160を超える場合は、成形性が不十分となることがある。
本発明において、内層の両面に接する層の融点(Tm1)は180℃〜270℃の範囲であることが好ましく、さらには190℃〜260℃の範囲であることが好ましい。中間層のC層の融点(Tm2)は140℃〜220℃の範囲であることが好ましく、さらには150℃〜210℃の範囲であることが好ましい。Tm1が180℃未満である場合は、耐熱性、転写適性に劣る傾向があり、Tm2が220℃を越える場合は、成形性に劣る傾向がある。
本発明のポリエステルフィルムの厚さは、通常10〜150μmであり、好ましくは30〜130μm、さらに好ましくは50〜100μmである。また、内層の厚みがフィルム全体の厚みに占める割合は、通常78〜95%であり、好ましくは85〜95%の範囲である。78%未満では、柔軟性が損なわれ、射出成型時に成型追従性の低下やフィルムの破れが発生することがある。一方、95%を超える場合は、幅方向での積層厚みが不均一となる傾向がある。
本発明において、ポリエステルフィルムの接着性、帯電防止、易滑性を付与するために、塗布層を設けてもよい。塗布層を構成する成分としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等の樹脂および共重合体などを挙げることができる。かかる樹脂の一種、または二種以上の樹脂を同時に含有してもよい。
上述の塗布液をフィルムに塗布する方法としては、例えば、正回転ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、キスコーター、キスロールコーター、ビードコーター、浸漬コーター等の塗布装置、スクリーンコーティング、キャストコーティング、含浸機LB法のような塗布方法を採用することができるが、これらに限定されるものではない。塗布層は、フィルム製造工程内で設けてもよいし、フィルム製造後に塗布してもよい。特に塗布厚みの均一性や生産効率の点で、フィルム製造工程内で塗布する方法が好ましい。
フィルム製造工程内で塗布する方法としては、未延伸シートに塗布液を塗布し、逐次あるいは同時に二軸延伸する方法、一軸延伸されたフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸フィルムに塗布し、さらに横および/または縦方向に延伸する方法などがある。
塗布層の厚みは、通常0.005〜1.0μmの範囲であり、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。塗布厚みが1.0μmを越えると、フィルム製造時の連続性が悪化するので好ましくない。一方、塗布厚みが0.005未満の場合には、塗布ヌケや塗布斑が生じやすくなる傾向がある。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造法について具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、複数台の押出し機、複数層のマルチマニホールドダイまたはフィードブロックを用い、それぞれのポリエステルを積層して口金から複数層の溶融シートを押出し、冷却ロールで冷却固化して実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平坦性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次いで、得られた未延伸シートは二軸方向に延伸して二軸配向される。すなわち、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常20〜100℃、好ましくは30〜90℃であり、延伸倍率は、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常40〜130℃、好ましくは40〜120℃であり、延伸倍率は、通常2.5倍〜5.5倍、好ましくは3.0〜5.0倍である。なお、一方向の延伸を二段階以上で行う方法も用いることができるが、その場合も、最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが望ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が5〜35倍になるように同時二軸延伸することも可能である。
かくして得られたフィルムには、150℃〜220℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。特に横方向には1〜15%の弛緩を行うことが好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明によれば、特にしぼり率の高い射出成型加工において、成型前の加熱による耐熱性、被転写体の表面形状への成型追従性および転写性に優れたインモールド成型同時転写箔用ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定及び評価方法を以下に示す。
(1)フィルムの破断強度(FB)および破断伸度(EB)
(株)インテスコ製恒温槽付き引っ張り試験機(2001型)を使用し、その恒温槽を100℃に設定し、幅15mmのフィルムをチャック間50mmとなるように試験機にセットして2分間放置後、200mm/minの速度で引っ張り、引っ張り応力-ひずみ曲線より、次式から算出した。
FB(kg/mm)=F/A
(上記式中、Fは破断時における荷重(kg)、Aは元のフィルムの断面積(mm)を表す。フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた)
EB(%)=100×(L−L)/L
(上記式中、Lは破断時のフィルムの長さ(mm)、Lは元のフィルムの長さ(mm)を表す。フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた)
(2)フィルムの面配向度(ΔP)
アタゴ製アッベ式屈折計を用い、単色光ナトリウムD線(589nm)を光源として、23℃で行った。測定はフィルム面内の屈折率の最大値(nγ)、それに直交方向の屈折率(nβ)およびフィルムの厚み方向の屈折率(nα)を測定し、次式よりΔPを算出した。
ΔP=(nγ+nβ)/2−nα
(3)フィルムの融点(Tm1およびTm2)
パーキンエルマー製示差熱走査カロリーメーターDSC7型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のとおりである。すなわち、試料5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。上述の方法により得た融解ピーク温度の内、内層の融点(Tm2)は、測定において先に得られる融解ピーク温度とし、内層の両面に接する層の融点(Tm1)は、Tm2のピーク温度後に得られる融解ピーク温度とした。
(4)フィルムの加熱収縮率(S)
試料を無張力状態で170℃に保ったオーブン中、3分間処理し、その前後の試料長さを測定して次式にてSを算出した。
S(%)=100×(L−L)/L
(上記式中、Lは熱処理前のフィルムの長さ(mm)、Lは熱処理後のフィルムの長さ(mm)を表す。フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求めた)
(5)フィルムの積層厚み
透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理し、ウルトラミクロトームにて厚み200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを日立(株)製透過型電子顕微鏡(H−9000)にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に、明暗によってその界面が観察される。その界面とフィルム表面までの距離を透過型電子顕微鏡写真1枚について平均し、表層厚みを計算した。但し、加速電圧は300kV、倍率は表層厚みに応じ、1〜10万倍の範囲で設定した。少なくとも50枚の写真について行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点削除して30点を平均して測定値とした。
(6)成型同時転写箔用フィルムとしての適性
ポリエステルフィルムに離型層、印刷層及び接着層を形成し、縦300mm、横200mm、最大深さ25mmの金型を用い、金型表面にフィルムを固定して、フィルムをIRヒーターで予備加熱後、金型内部に真空または圧空成型法により予備成型を実施した。予備加熱および予備成型によるフィルムの状況によりフィルムの耐熱性の評価を行った。
○:予備加熱に耐久でき、予備成型において均一な厚さで成型される
△:予備加熱に耐久でき、予備成型に追従できるが、局所的にフィルムが極めて薄い部分が存在する
×:予備加熱時にフィルム融解によるフィルム破れ、フィルム軟化によるフィルム膨張および予備成型時に局所的に極めて薄い部分が発生したことによるフィルム破れが発生する
(7)成型同時転写箔用フィルムとしての成型性
上記(6)の方法にて予備成型を実施した後、樹脂を射出成型し、成型同時転写を行った。得られた成型品の外観、印刷の図柄のヌケや歪みの状態により、下記基準で成型性の評価を行った。
○:成型品の外観が良好で印刷ヌケや歪みが全くない
△:印刷ヌケや歪みはほとんどないが、樹脂射出によりフィルムが局所的に変形したことによる成型品へのシワ転写跡が発生する
×:樹脂射出時にフィルム軟化によるフィルム破れや、成型品にシワの転写跡、印刷ヌケおよび歪みが発生する
実施例1:
<ポリエステル(1)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物に平均粒径が2.3μmの非晶質シリカ粒子をエチレングリコールスラリーとして添加し、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(1)を製造した。ポリマー中での非晶質シリカ粒子の含有量は0.5重量%であった。
<ポリエステル(2)の製造>
ポリエステル(1)の製造において、テレフタル酸ジメチル100重量部の替わりにテレフタル酸ジメチル78重量部、イソフタル酸ジメチル22重量部とし、粒子を無添加としたこと以外はポリエステル(1)と同様の方法でポリエステル(2)を得た。
<共重合ポリエステル(A)の製造>
テレフタル酸ジメチル75モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル25モル%、エチレングリコール50モル%、1,4−ブタンジオール50モル%、テトラブチルチタネート0.005部を反応器にとり、反応開始温度を190℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を徐徐に上昇させ、3時間後に225℃まで昇温した。さらに、常法により重縮合反応を行った。この反応は、温度を徐徐に高めると共に圧力を常圧より徐徐に減じ、2時間後、温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。
<ポリエステルフィルムの製造>
ポリエステル(1)60重量部と、ポリエステル(2)40重量部とを均一にブレンドしたものを最外層、共重合ポリエステル(A)80重量部と、ポリエステル(1)20重量部とを均一にブレンドしたものを内層として、別個の280℃に設定した押し出し機で溶融混練りし、これらのポリマーをフィードブロック内で合流して積層しスリット状ダイスより30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、積層未延伸シートを得た。得られた当該シートを縦方向に70℃で3.3倍、横方向に100℃で3.5倍に延伸し、さらに185℃で15秒間熱処理を施して、熱処理出口のクーリングゾーンで横方向に5%の弛緩を行いながら、外層/内層/外層の各層の厚さが3μm/69μm/3μmである積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例2:
実施例1において、共重合ポリエステル(A)のテレフタル酸ジメチル85モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル15モル%、エチレングリコール70モル%、1,4−ブタンジオール30モル%とする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例3:
ポリエステル(1)60重量部と、ポリエステル(2)40重量部とを均一にブレンドしたものを両外層、共重合ポリエステル(A)60重量部と、ポリエステル(1)40重量部とを均一にブレンドしたものを内層とする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例4:
ポリエステル(1)35重量部と、ポリエステル(2)65重量部とを均一にブレンドしたものを両外層、共重合ポリエステル(A)80重量部と、ポリエステル(2)20重量部とを均一にブレンドしたものを内層とする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
比較例1:
実施例1において、両外層をポリエステル(1)100重量部とする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
比較例2:
実施例1において、内層を共重合ポリエステル(A)20重量部と、ポリエステル(1)80重量部とを均一にブレンドしたものとする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
比較例3:
実施例1において、共重合ポリエステル(A)のテレフタル酸ジメチル90モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル10モル%、エチレングリコール95モル%、1,4−ブタンジオール5モル%とする以外は、実施例1と同様にして、各層の厚さが3/69/3(μm)である積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
比較例4:
ポリエステル(1)60重量部と、ポリエステル(2)40重量部とを均一にブレンドしたものを両外層、共重合ポリエステル(A)100重量部を内層として、別個の280℃に設定した押し出し機で溶融混練りし、これらのポリマーを積層してシート状に押し出し実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを製造しようとしたが、延伸性が乏しくフィルム破断が頻発して満足なフィルムが得られなかった。
比較例5:
ポリエステル(1)20重量部と、ポリエステル(2)80重量部とを均一にブレンドしたものを両外層、共重合ポリエステル(A)80重量部と、ポリエステル(2)20重量部とを均一にブレンドしたものを内層とする以外は、実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを製造しようとしたが、比較例6と同じく延伸性が乏しくフィルム破断が頻発して満足なフィルムが得られなかった。
Figure 0005127295
Figure 0005127295
本発明のポリエステルフィルムは、しぼり率の高い射出成型において、成型加工における耐熱性、被転写体の表面形状への成型追従性および転写性に優れたインモールド成型同時転写箔用の基材フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ジカルボン酸成分の70〜95モル%がテレフタル酸、5〜30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸、グリコール成分の10〜60モル%が1,4−ブタンジオール、40〜90モル%がエチレングリコールである共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル組成物からなる層の両面にポリエチレンテレフタレート共重合体からなる層を積層した二軸配向ポリエステルフィルムであって、170℃で3分処理後のフィルムの加熱収縮率の縦方向と横方向の平均値が4.0〜15%であることを特徴とする成型同時転写箔用ポリエステルフィルム。
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