JP5489768B2 - 貼合せ化粧材用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、貼合せ化粧材用ポリエステルフィルムに関するものであり、家具や台所製品のキャビネットなどの表面化粧の加工性に優れた貼合せ化粧材として好適なポリエステルフィルムに関するものである。
家具や台所製品のキャビネットなどの化粧材において、木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板など、金属系材料の各種材料の表面に、木目調柄や印刷を施した化粧フィルムを用い、接着剤で貼合わせて表面を装飾化することで高級感を与え、商品価値が高められている。
ところで、基材と絵柄印刷層との間に使用されるフィルムとしては、塩化ビニル樹脂が最も一般的である。しかしながら、塩化ビニル樹脂を使用した場合、当該シートに配合された可塑剤が貼合わせ面の接着剤層に移行して接着不良の原因となり、また、塩化ビニル樹脂の熱寸法安定性が悪いため、熱による伸縮が生じてシワの発生原因になる等の問題がある。さらに近年、焼却時の環境問題から、塩化ビニル樹脂を使用しない化粧用基材の要望が高まっている。
貼合せ化粧材用フィルムに対して、耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性などの特性を満足することが要求されている。他の化粧材フィルムとしてアクリル樹脂フィルムが使用されることがあるが、アクリル樹脂フィルムは、耐熱性や耐溶剤性が劣るため、印刷材料や用途範囲が限定されるなどの欠点がある。さらに、近年、その意匠性の多様化が進み、表面の精密な絵柄が施されたものや複雑な立体形状に馴染むことのできる成型性(柔軟性)と耐熱性を兼ね備えた貼合せ用に最適な基材フィルムが求められるようになってきている。
特開2006−182929号公報 特開2004−106411号公報 特開2007−210270号公報 特開2006−160848号公報 特開2002−52604号公報 特開平9−221556号公報 特開2007−181978号公報 特開2002−194186号公報 特開2007−118224号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、焼却時に環境問題を生じることがなく、耐熱性や耐溶剤性などに優れ、かつ精密な絵付けが可能で、複雑な立体形状に成型性が良好な貼合せ化粧材ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とを含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル層の両面に、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とを含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルを20〜40重量%とイソフタル酸共重合ポリエステルを30〜50重量%を含有するポリエチレンテレフタレート共重合体からなる層を有する積層フィルムの少なくとも片面に塗布層を有し、下記式(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とする貼合せ化粧材ポリエステルフィルムに存する。
E‘≦1500 …(1)
△P≦0.150 …(2)
HS≦4.2 …(3)
(上記式中、E‘は80℃におけるフィルム縦横両方向の平均貯蔵弾性率(MPa)であり、△Pは、フィルム幅方向、長手方向、厚さ方向の各屈折率(それぞれnX、nY、nZとする)より、式:(nX+nY)/2−nZにより求められる面配向度であり、HSは150℃の乾燥オーブン中で3分間加熱処理後のフィルム縦横両方向の熱収縮率(%)である)
本発明によれば、焼却時に環境問題を生じることがなく、貼合せ加工時の複雑な立体形状の成型性が良好で高意匠の絵柄模様の現出が可能な優れた貼合せ基材のポリエステルフィルムが提供され、本発明の工業的価値は非常に大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、内層とその両面に層を有する、少なくとも3層からなる積層フィルムであって、全ての層が押出し機の口金から共溶融押出しされる、いわゆる共押出し法によって押出されたものを、延伸および熱処理されたものとして得られる。
以下、共押出し3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は3層フィルムに限定されず、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
本発明において、内層(以下、B層と称することがある)の両面に接する層を構成するポリエチレンテレフタレート共重合体は、通常85〜95モル%がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げることができ、それらの中でもイソフタル酸を共重合成分とすることが好ましい。また、共重合させることのできるアルコール成分は、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分などが挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、B層を構成する共重合ポリエステルは、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルであり、当該共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル層の両面にポリエチレンテレフタレート共重合体からなる共重合ポリエステルからなる層を有するものである。
また、本発明のフィルムのB層は上記共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル組成物からなり、共重合ポリエステル以外の一種以上のポリエステルを含有する。共重合ポリエステル以外のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであればよく、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコールが好ましい。
また、かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重合体であってもよい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明のフィルムのB層を得る方法としては、共重合ポリエステルと他のポリエステルとをブレンドして、溶融混練りする方法が好ましく用いられる。本発明における共重合ポリエステルの含有量は40〜90重量%、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。40重量%未満では、複雑な立体形状に貼り合わせた場合、成型性(馴染み)が悪く、部分的な変形斑による印刷変色が発生しやすくなるため好ましくない。一方、90重量%を超えると、フィルム製造時においても延伸性が低下し、厚薄斑の悪化や製造上において破れが発生しやすくため好ましくない。
また、本発明において、80℃におけるフィルム縦横両方向の貯蔵弾性率E’は1500MPa以下、好ましくは1400MPa以下である。貯蔵弾性率が1500MPaを超える場合、貼合せ加工時に複雑な立体形状の成型性が悪化するため好ましくない。
本発明において、フィルムの面配向度ΔPは、0.150以下であり、0.140以下であることが好ましい。面配向度ΔPが0.150を超える場合は、前記同様、貼合せ加工時に立体形状の成型性が悪化し好ましくない。
さらに本発明において、150℃にて3分間加熱処理後の加熱収縮率(HS)がフィルムの縦横両方ともに4.0%以下である。縦あるいは横の加熱収縮率が4.0%を上回るフィルムは、印刷加工中の乾燥工程においてフィルムの縮みが大きく生じ、多色印刷する場合は印刷ずれが発生しやすくなる。また仕上がり所定幅の確保が困難となる場合が発生し好ましくない。
本発明において、フィルムの易滑性向上等を付与するために、粒子を添加することも好ましい。例えば、フィルムの易滑性を向上させるためには、ポリエステル組成物は、有機、無機の微粒子を配合したものが好ましく、必要に応じて紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、マット化剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに配合してもよい。滑り性を付与する微粒子は、配合の方法に従い、外部粒子と内部粒子とに大別される。前者の例としては、カオリン、クレー、各種炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テレフタル酸カルシウム、α−、γ−、δ−、θ−等の酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、カーボンブラックなどの公知の不活性外部粒子が挙げられる。また、後者の例としては、ポリエステルの溶融製膜に際して不溶な高融点有機化合物、単分散球状有機粒子、粉砕型の有機粒子、架橋ポリマーおよびポリエステル合成時に使用する金属化合物触媒、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などによってポリエステル製造時にポリマー内部に形成される内部粒子などが挙げられる。これらの微粒子は、フィルム中の表面を構成する層に対する含有量が通常0.002〜2.0重量%の範囲内であり、平均粒径が0.001〜3.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
また、本発明のフィルム表面の平均粗さRaはフィルム光沢度の要求に合わせて適宜調整することができる。
次に、本発明のフィルムの製造法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示のみに限定されるものではない。
滑り剤として、有機、無機の微粒子を適量配合してチップ化したポリエステル組成物を、ホッパードライヤー、パドルドライヤー、オーブンなどの、通常用いられる乾燥機または真空乾燥機を用いて乾燥する。前段で、チップを結晶化させて相互の融着が起こらないように(予備結晶化ともいう)、また後段で、水分量を十分に減少させるように(本乾燥ともいう)、乾燥を行う。このように乾燥した後、200〜320℃でシートに押出す。
押出しに際しては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いたA/B/C構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。例えばA原料として特定の粒子を用いてA層の表面形状を設計し、B原料としては粒子を含有しない原料を用い、A/BまたはA/B/A構成のフィルムとすることができる。この場合B層の原料を自由に選択できることからコスト的な利点などが大きい。また当該フィルムの再生原料をB層に配合しても表層であるA層により表面粗度の設計ができるので、さらにコスト的な利点が大きくなる。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明において、このようにして得られた未延伸シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍に延伸し、150℃〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明のフィルムの厚さは、通常10〜200μmであり、好ましくは25〜150μmである。
本発明のフィルムは、貼合せ用加工層構成からなる印刷層を設けることが通常であるが、ポリエステルフィルム自体は一般的に不活性であることから接着性に乏しい。このため印刷層とポリエステル基材との接着を目的とした塗布層を設ける必要がある。
かかる塗布層を形成する方法としては、テンター入口前(横延伸工程前)にコートしてテンター内で乾燥する、いわゆるインラインコート法が好ましい。また、必要に応じ、フィルムの製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
本発明のフィルムの塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなるものが好ましく、バインダー樹脂としては接着性の観点から、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーの中から選ばれた少なくとも1つ以上のポリマーを併用することが好ましい。上記のポリマーは、それぞれそれらの誘導体を含むものであってもよい。ここでいう誘導体とは、他のポリマーとの共重合体、官能基に反応性化合物を反応させたポリマーを指す。なお、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン等も強靭な被膜を形成し上塗り剤と良好な接着性を示すが、これらの化合物は塩素を含有するため、燃焼時に塩素を含む有害なダイオキシン化合物を発生する可能性があり、この点で好ましくない。また、塗布フィルムのスクラップを再利用する際に、着色、腐食性ガスの発生という問題があり、この点でも好ましくない。
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が特に好ましい。メラミン系樹脂は、特に限定される物ではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物およびこれらの配合物などを用いることができる。
メラミン系樹脂としては、単量体あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの配合物を用いてもよい。
前記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを用いることができる。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。さらに、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いることもできる。
塗布剤中におけるメラミン樹脂の配合量は、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。架橋剤樹脂の配合量が1重量%未満の場合は、耐久接着性が十分発揮されないことであり、耐溶剤性の改良効果が不十分となる傾向があり、50重量%を超える場合は、十分な接着性が発揮されない恐れがある。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜6重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、成型品に転写された印刷層の鮮明度が落ちる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価かつ粒子径が多種あるので、利用しやすい。
有機粒子としては、炭素-炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、塗布層は帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することができる。有機溶剤としては、n-ブチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n-ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸アミン等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N-メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、必要に応じて二種類以上を併用してもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
塗布層は、片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
本発明のフィルムは、帯電による印刷工程でのはじきやムラの発生を防止すること、火花発生による引火の危険を防止する観点から、上記接着性を付与する塗布層の反対面(背面)に必要に応じ帯電防止の塗布層を形成することが好ましい。また化粧材用フィルムとしたときの取り扱い性向上や汚れ防止等の効果を得るためには、表面固有抵抗値を1×10〜1×1012Ω/□の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1×10〜1×1011Ω/□の範囲、さらに好ましくは1×10〜1×1010Ω/□の範囲である。表面固有抵抗値が1×1012Ω/□を超える場合は、上記した効果が不足する傾向がある。一方、表面固有抵抗値が1×10Ω/□未満の場合、もはや効果が飽和しており、これ以上の向上は見られないことに加え、帯電防止剤が多量に必要となって塗布層の耐久性が不足し、化粧フィルムの耐久性が不足したり、特殊な帯電防止剤の使用により印刷層の色目に悪影響を及ぼしたりすることがある、またフィルム自身の色調が所望のものにならないなどの問題が発生することがある。
本発明において、フィルムの表面に設けた塗布層に帯電防止剤を含有させることが好ましい。帯電防止剤とは、有機物が吸湿して静電気を逃がす化合物であり、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の化合物の中から選ばれる化合物である。ノニオン系帯電防止剤としては、ポリエーテル化合物、またはその誘導体が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテル/ポリエステル/ポリアミドブロック共重合体がこれに該当する。アニオン系帯電防止剤としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩を持つ化合物が挙げられる。中でも、その帯電防止性の強さと工業的に入手しやすいことから、スルホン酸系帯電防止剤がよく使用される。例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸カリウム、ポリスチレンスルホン酸セシウム、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム等である。もちろん、他の共重合できるモノマーと、スチレンスルホン酸およびその塩、との共重合体も含まれる。また、低分子のスルホン酸系化合物も有効である。例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル等を挙げられる。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩等である。カチオン系帯電防止剤としては、低分子化合物として、第1級アミンの塩酸塩、第2級アミンの塩酸塩、第3級アミンの塩酸塩、第4級アンモニウム塩が代表的である。用いられるアミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ピリジン、モルホリン、グアニジン、ヒドラジン等が挙げられる。また第4級アンモニウム塩の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。高分子カチオン系帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリレート重合体、第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体、等が挙げられる。具体的には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等である。両性系帯電防止剤としては、アミン塩型カチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤、第4級アンモニウム塩型のカチオンを有するカルボン酸塩型両性界面活性剤(いわゆるベタイン型両性界面活性剤)が有名である。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
有機電子伝導性の化合物としては、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(アリレンビニレン)、ポリアセン等が挙げられる。これらは、従来高価であり、また通常溶媒への溶解性があまり良くない。しかし、例えば、スルホン酸残基を導入する等して水に溶解するタイプも開発されている。
導電性微粒子としては、カーボンブラック、金属微粉末、金属酸化物微粉末が挙げられる。例えば、銀、銅、ニッケル等の微粉末、または酸化アンチモン、酸化インジウムなどの微粉末である。
本発明においては、かかる帯電防止剤の中でも特にカチオン系のものが好ましく用いられる。カチオン系の場合、特にフィルム表面に設けた塗布層の帯電防止効果が、化粧シートあるいとした時の表面にも及ぶという点で優れ、その効果が高度に達成される。
カチオン系帯電防止剤の中でも、特に本発明の用途においては、主鎖にピロリジウム環を有するポリマーを用いることが好ましく、具体例として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/ジメチルアンモニウムクロリド/N−メチロールアクリルアミド)などが挙げられる。
本発明における塗布層は、インラインコーティングにより設けられるのが好ましい。インラインコーティングは、ポリステルフイルム製造の工程内で塗布を行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかに塗布する。これらの中では、一軸延伸フィルムに塗布した後に横方向に延伸する方法が優れている。斯かる方法によれば、製膜と塗布乾燥を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがあり、塗布後に延伸を行うために薄膜塗布が容易であり、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗膜とポリエステルフィルムが強固に密着する。
塗布層の厚さは、乾燥後の厚さとして、通常0.001〜10μm、好ましくは0.010〜5μm、さらに好ましくは0.015〜2μmである。塗布層の厚さが0.001μm未満の場合は、帯電防止効果が十分に改良されない場合がある。塗布層の厚さが10μmを超える場合は、塗布層が粘着剤のような作用してロールに巻き上げたフィルム同士が相互に接着する、いわゆる謂ブロッキングを生じることがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、実施例および比較例中の「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味する。
(1)貯蔵弾性率E’
アイティー計測制御製動的粘弾性測定装置(DVA−200型)を使用した。幅5mmのフィルムをチャック間20mmとなるように測定装置にセットし、0℃から300℃まで10℃/min.の速度で昇温させながら、周波数10Hzで粘弾性の推移を測定し、縦横両方向の平均値を用いた。
(2)面配向度(ΔP)
アタゴ製アッベ式屈折計を使用した。ヨウ化メチレンをマウントして、試料フィルムを測定面が下になるようにプリズムに密着させ、単色光ナトリウムD線(589nm)を光源として長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を測定した。得られた値から下記式により各層の面配向度ΔPを求めた。なお、測定試料は製品マスターロールの中央部分より採取した。
ΔP=(nX+nY)/2−nZ
(3)150℃フィルム熱収縮率(HS)
熱風循環炉(田葉井製作所製)を使用し、無張力状態のフィルムを150℃の雰囲気中で3分間熱処理し、フィルムの縦方向および横方向の熱処理前後の長さを測定し、下記式にて計算し、5本ずつの試料についての平均値で表した。
熱収縮率(%)=(L−L)×100/L
(上記式中、Lは熱処理前のサンプル長さ(mm)、Lは熱処理後のサンプル長さ(mm)を表す)
なお、LがLよりも小さくなる場合(フィルムが膨張する場合)は、熱収縮率の値を−(マイナス)で表した。
(4)融解ピーク温度(Tm)
TA Instruments社製の示差走査熱量計「DSC−2920型」を使用し、試料5mgを0℃から300℃まで20℃/min.の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
上述の方法により得た融解ピーク温度の内、B層融点は、製膜したフィルムの表層(A層)を除去したフィルムから得られた融解ピーク温度とし、A層融点は、B層融点と異なる融解ピーク温度とした。
(5)フィルム積層厚さ、および塗布層厚さ
透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理し、ウルトラミクロトームにて厚み200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを日立(株)製透過型電子顕微鏡(H−9000)にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に、明暗によってその界面が観察される。その界面とフィルム表面までの距離を透過型電子顕微鏡写真1枚について平均し、表層厚さ、および塗布層厚さを求めた。但し、加速電圧は300kV、倍率は表層厚みに応じ、1〜10万倍の範囲で設定した。少なくとも50枚の写真について行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点削除して30点を平均して測定値とした。
(6)表面固有抵抗(Ω)
横河・ヒューレット・パッカード社の内側電極50mm径、外側電極70mm径の同心円型電極である16008A(商品名)を23℃、50%RHの雰囲気下で試料に設置し、100Vの電圧を印加し、同社の高抵抗計である4329A(商品名)で試料の表面固有抵抗を測定した。
(7)印刷適正
ロール状のフィルムサンプルを8MPaのテンションで巻出し、4色のグラビア印刷を施したあと、180℃にて30秒間乾燥することにより、絵柄印刷化粧フィルムを作成した。得られた絵柄印刷を目視観察し、以下の基準にて判定した
○:印刷ズレ(フィルムの伸び)の発生がなく、またインキはじきも観察されない
△:僅かに印刷ズレもしくはインキはじきが観察されるが、実用上使用可能なレベルである
×:印刷ズレ、インキはじきが観察され、著しく外観が悪い
(7)接着性
東洋インキ製造製セロカラー用印刷インキCCST39藍を用い、乾燥後の塗膜厚さが1.5μmになるようにフィルム表面に塗布し、80℃で1分間熱風乾燥し、評価用フィルムを得た。評価用フィルムを温度23℃、湿度50%RHにて24時間調温調湿し、フィルムのインキ塗布面にニチバン社製セロテープ(登録商標)(18mm幅)を気泡の入らぬように7cmの長さに貼り、この上を3kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与えた。フィルムを固定し、テープの一端を500gの錘に接続し、錘が45cmの距離を自然落下後に、180℃方向の剥離試験が開始する方法で評価した。接着性は、次の3段階の基準で評価した。
○:フィルム面からインキが全く剥離しない
△:フィルム面からインキが剥離するが、剥離する面積は10%未満である
×:10%以上の面積でインキが剥離する
実用的には○または△であれば問題なく使用できる。
(8)化粧材適正(防汚性)
上記(7)にて作成した化粧材を、印刷面を内側にして通常の室内に同じ高さで置き、1ヶ月後の塵埃等による汚れの付着状態を比較した。汚れ付着の程度は、次の3段階の基準で評価した。
○:汚れの付着が全く認められない
△:汚れの付着は僅かに認められるが実用上使用可能なレベル
×:汚れの付着が多く認められ、実用上実害となる可能性大であるレベル
(9)化粧材適正(成形性)
上記(7)にて作成した化粧材を、オスメス金型を用いて、底面直径50mm、深さ5mmの円筒状に100個/分の速度で連続成形した。得られたサンプルの状態を目視観察し、以下の基準にて判定した。
○:100個中、成型不良が5個以下
△:100個中、成型不良が15個以下
×:100個中、成型不良が16個以上
(10)総合評価
印刷適正および化粧板適正を総合的に評価し、化粧材用フィルムとして優れているものを○、十分ではないが実用上使用可能なものを△、不十分なもの×とした。
<ポリエステル(1)の製造>
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール60部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応配合物に平均粒径が2.3μmの非晶質シリカ粒子をエチレングリコールスラリーとして添加し、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(1)を製造した。得られたポリエステル(1)のTmは257℃、Tgは80.7℃であった。またポリマー中での非晶質シリカ粒子の含有量は0.5%であった。
<ポリエステル(2)の製造>
ポリエステル(1)の製造において、テレフタル酸ジメチル100部の替わりにテレフタル酸ジメチル78部、イソフタル酸ジメチル22部とし、粒子を無添加としたこと以外はポリエステル(1)と同様の方法でポリエステル(2)を製造した。得られたポリエステル(2)のTmは256℃、Tgは80.2℃であった。
<共重合ポリエステル(3)の製造>
テレフタル酸ジメチル75モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル25モル%、エチレングリコール50モル%、1,4−ブタンジオール50モル%、テトラブチルチタネート0.005部を反応器にとり、反応開始温度を190℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を徐徐に上昇させ、3時間後に225℃まで昇温した。さらに、常法により重縮合反応を行った。この反応は、温度を徐徐に高めると共に圧力を常圧より徐徐に減じ、2時間後、温度を280℃、圧力を0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(3)を製造した。得られたポリエステル(3)のTmは256℃、Tgは80.2℃であった。
<接着層塗布液の組成>
下記表1に示す水性塗料原液を下記表2に示す割合で配合してP1〜P3の水性塗布液を作成した。
Figure 0005489768
Figure 0005489768
<帯電防止層塗布液の組成>
下記表3に示す水性塗料原液を下記表4に示す割合で配合してQ1〜Q4の水性塗布液を作成した。
Figure 0005489768
Figure 0005489768
実施例1:
上記ポリエステル(1)、(2)、(3)をそれぞれ30%、50%、20%の割合で配合した原料をA層の原料とし、ポリエステル(2)、(3)、をそれぞれ40%、60%の割合で配合した原料をB層とし、2台の押出機に各々を供給して各々280℃で溶融した後、A層を両外層、B層を内層として、キャスティングドラム上に、2種3層(ABA)の層構成で共押出し、静電印加法を適用して急冷固化させて無定形シートを得た。得られたシートを縦方向に80℃で3.4倍延伸した後、片面に接着層を塗布し、反対面に帯電防止層を塗布した。続いて100℃で横方向に3.4倍延伸し、5%の幅方向の弛緩を行ないながら192℃で熱処理を行なった。得られたフィルム厚のA層/B層/A層をそれぞれ5/40/5(μm)の層構成からなる50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。また接着層と帯電防止層の塗布層の各厚さは、いずれも0.1μmであった。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。これを基材とする化粧フィルムの評価結果は良好であった。
実施例2:
上記ポリエステルA層の配合原料を実施例1と同じで、B層のポリエステル(2)、(3)を、それぞれ55%、45%の割合で配合し、B層の共重合ポリエステルを実施例1よりも15%減量とした。製造方法は実施例1と同様とし、フィルム厚さのA層/B層/A層をそれぞれ5/40/5(μm)の層構成からなる50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。これを基材とする化粧フィルムの評価結果は良好であった。
実施例
上記ポリエステル(1)、(2)、(3)をそれぞれ30%、30%、40%の割合で配合した原料をA層の原料とし、A層の共重合ポリエステルを実施例1〜3よりも20%増量した。B層の配合原料は実施例2と同様とした。製造方法は実施例1と同じで、フィルム厚さのA層/B層/C層をそれぞれ5/40/5(μm)の層構成からなる50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。これを基材とする化粧フィルムの評価結果は良好であった。
実施例
A層、B層の配合原料を前記実施例と同様とし、片面に接着層を塗布し、反対面の帯電防止層を塗布せずに前記実施例と同じ製造方法で50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。この結果より、僅かにインキはじきが観察されるが、実用上使用可能なレベルである。また汚れの付着も僅かに認められるものの実用上使用可能なレベルにあった。
比較例1:
A層、B層の配合原料を実施例4、5と同様とし、片面の接着層を塗布せずに反対面の帯電防止層のみを塗布して製造方法を前記実施例4、5と同じ製造方法で50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。この結果より、インキの接着不足により10%以上の面積でインキ剥離が発生し実用的に使用不可と判定される。
比較例2
A層、B層の配合原料を実施例4、5と同様とし、製造方法において熱処理温度を192℃から185℃に変更して、50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。この結果より、横方向の加熱収縮率が大きくなったことが原因して加工時の幅縮みが著しく増大し、これに伴い印刷ズレによる外観不良が多発した。
比較例3
A層、B層の配合原料および製造方法を実施例3と同様とし、製造方法において縦倍率を3.4倍から3.6倍に、横倍率を3.4倍から3.7倍に変更して前記同様に50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。この結果より、面配向度(△P)が増大し、化粧フィルムの貼合せ時にフィルム追随性が原因する成型不良が多発した。
比較例4
上記ポリエステル(1)、(2)、(3)をそれぞれ30%、55%、15%の割合で配合した原料をA層の原料とし、A層の共重合ポリエステルを比較例3よりもさらに5%減量とした。B層の配合原料は前記比較例3と同様とした。また製造方法において、縦倍率を3.4倍から3.2倍に、横倍率を3.4倍から3.2倍に変更して前記同様に50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。このときのA層、B層におけるポリエステル原料の配合率と各塗布層の組成および得られたフィルムの特性と評価結果を下記表5〜7に示す。この結果より、化粧フィルムの貼合せ時に柔軟性が原因とする成型不良が多発した。
Figure 0005489768
Figure 0005489768
Figure 0005489768
本発明によれば、優れた貼合せ成型性、耐熱性及び化粧材適性を有する、貼合せ成型化粧材に適したフィルムが得られ、これまで難しいとされていた種々用途にも適用することができる。

Claims (1)

  1. テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とを含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルを40〜90重量%含有するポリエステル層の両面に、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とを含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールとエチレングリコールとを含むグリコール成分とからなる共重合ポリエステルを20〜40重量%とイソフタル酸共重合ポリエステルを30〜50重量%を含有するポリエチレンテレフタレート共重合体からなる層を有する積層フィルムの少なくとも片面に塗布層を有し、下記式(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とする貼合せ化粧材ポリエステルフィルム。
    E’≦1500 … (1)
    ΔP≦0.150 … (2)
    HS≦4.2 … (3)
    (上記式中、E’80℃におけるフィルム縦横両方向の平均貯蔵弾性率(MPa)であり、ΔPは、フィルム幅方向、長手方向、厚さ方向の各屈折率(それぞれんX、nY、nZとする)より、式:(nX+nY)/2−nZにより求められる面配向度であり、Hsは150℃の乾燥オーブン中で3分間加熱処理後のフィルム縦横両方向の熱収縮率(%)である)
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